JP3435273B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート系樹脂組成物に関し、更に詳しくは、ガラス繊維
で強化され、透明性に優れた成形品が得られる芳香族ポ
リカーボネート系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明
性、耐衝撃性及び耐熱性に優れており、ガラスに比べて
軽く、割れ難いという利点があるので、ガラスの代替材
料として、自動車部品、建材等の構造材料として使用さ
れている。しかし、ガラスに比較すると剛性が低いた
め、高い剛性を必要とする用途においては、ガラス繊維
等の適当なフィラーを添加することによって、剛性の改
良を図る必要があった。
【0003】しかしながら、ガラス繊維、ガラスフレー
ク等のフィラーを添加した場合には、ガラスの屈折率と
芳香族ポリカーボネート樹脂の屈折率との差が大きいた
め、芳番族ポリカーボネート樹脂の特徴である透明性が
損なわれるという欠点があった。樹脂強化用として一般
に使用されているガラス繊維の屈折率は、通常1.55
5程度であり、ビスフェノールAを原料とした芳香族ポ
リカーボネート樹脂の屈折率は1.585であることか
ら、両者の間に大きな差がある。現在市販されており、
市場で入手可能な高屈折率ガラス繊維の屈折率は1.5
79程度であり、これでビスフェノールAを原料とした
芳香族ポリカーボネート樹脂を強化しても、依然存在す
る屈折率差のため透明性の改良効果には限界があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、射出
成形時の成形性、流動性に優れ、高剛性で、しかも透明
性に優れた成形品が得られる、芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、粘度
平均分子量が12,000〜50,000の芳香族ポリ
カーボネート樹脂100重量部に対して、該芳香族ポリ
カーボネート樹脂との屈折率の差が0.015以下であ
るガラス繊維1〜100重量部、数平均分子量が2,0
00〜100,000のポリカプロラクトン1〜30重
量部、およびエステル交換触媒を配合し混練してなる芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における、芳香族ポリカーボネート樹脂として
は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンと
を反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリー
ル化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステル
とを反応させる工ステル交換法によって得られる重合
体、または共重合体であり、代表的なものとしては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビ
スフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂
挙げられる。
【0007】上記ジヒドロキシジアリール化合物として
は、ビスフェノールAの他、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1´−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2´−(4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン、2,2´−(4−ヒドロキシフェニル)オクタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメ夕ン、
2,2´−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)プロパン、1,1´−ビス(4−ヒドロキシ−3−
第3ブチルフェニル)プロパン、2,2´−ビス(4−
ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2´
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)
プロパン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシ
アリール)アルカン類、1,1´−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロペンタン、1,1´−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、のようなビス(ヒ
ドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4´−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ
−3,3´−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒ
ドロキシジアリールエーテル類、4,4´−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシ−
3,3´−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒ
ドロキシジアリールスルフィド類、4,4´−ジヒドロ
キシジフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシ
−3,3´−ジメチルジフェニルスルホキシドのような
ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4´−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキ
シ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホンのようなジ
ヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
【0008】これらは単独で、または2種以上混合して
使用されるが、これらの他にピペラジン、ジピペリジ
ル、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4´−ジヒドロ
キシジフェニル等を混合使用しても良い。ポリカーボネ
ートの粘度平均分子量は、12,000〜50,000
の範囲で選ぶものとする。粘度平均分子量が、12,0
00未満であると、樹脂組成物から得られる成形品の強
度が不十分であり、50,000を越えると流動性が低
下し、良好な成形品が得られにくい。流動性と強度との
兼ね合いの観点から、好ましくは13,000〜45,
000、より好ましくは15,000〜35,000で
ある。
【0009】本発明におけるガラス繊維としては、粘度
平均分子量12,000〜50,000の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂との屈折率の差が0.015以下のガラ
ス繊維を使用する。ガラス繊維は、通常、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂に使用されるEガラスを構成する組成成
分から、B23、F2成分を除き、MgO,TiO2、Z
nO等の成分の割合を増加したものが挙げられる。市販
されている該当するガラス繊維として、旭ファイバーガ
ラス社製のECRガラス(屈折率1.579)がある。
【0010】ガラス繊維は、樹脂とガラス繊維の親和性
を増し密着性を増大して空隙形成による不透明化要因を
排除、低減化するために、シランカップリング剤等の表
面処理剤で表面処理されているものが好ましい。シラン
カップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシ
ラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系の化合物
挙げられる。これらの中では、アミノシラン系の化合物
のものが好ましい。
【0011】本発明におけるガラス繊維の配合量は、粘
度平均分子量が12,000〜50,000の芳香族ポ
リカーボネート樹脂100重量部に対して、1〜100
重量部の範囲で選ぶものとする。1重量部未満では、製
品の剛性を高めるのに不十分であり、100重量部を越
えると、成形性が低下し、良好な透明性の成型品が得ら
れにくい。ガラス繊維の配合量は、剛性と透明性との兼
ね合いの観点より、好ましくは1〜80重量部である。
【0012】本発明においてポリカプロラクトンとは
ε−カプロラクトンの重合体または、全重合体中にε−
カプロラクトン成分を少なくとも70重量%以上含有す
る共重合体を言う。ε−カプロラクトンと共重合するモ
ノマーとしては、β−プロピオラクトン、ピバロラクト
ン、ブチロラクトン等のラクトンモノマー、エチレンオ
キシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピ
レンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキ
シド、スチレン、メチルメタクリレート、ブタジエン等
の不飽和モノマー及びテレフタル酸ジメチル、ジフェニ
ルカーボネート等のカップリング剤等が挙げられる。ポ
リカプロラクトンのメチレン鎖の水素原子の一部がハロ
ゲン原子、炭化水素基で置換されていても良い。また、
ポリカプロラクトンの末端はエステル化、エーテル化等
によって末端変性されていても良い。
【0013】本発明におけるポリカプロラクトンの数平
均分子量は、2,000〜100,000の範囲で選ぶ
ものとし、透明性の観点より、2,000〜50,00
の範囲のものが好ましい。ポリカプロラクトンの製造
法は、特に限定されないが、アルコール、グリコール、
水等の適当な開始剤及びチタニュウムテトラブトキシ
ド、塩化スズ等の触媒を用い、ε一カプロラクトンを開
環重合する方法が好ましく用いられる。
【0014】ポリカプロラクトンの配合量は、粘度平均
分子量が12,000〜50,000の芳香族ポリカー
ボネート樹脂100重量部に対して、1〜30重量部
範囲で選ぶものとする。配合量は、用いられるガラス繊
維の屈折率によって異なった最適値が存在する。ポリカ
プロラクトンの添加量の増加に伴い、マトリックス樹脂
の屈折率が低下するので、使用するガラス繊維の屈折率
と等しくなる添加量が、透明性発現にとっての最適値と
なる。ポリカプロラクトンの配合量は、粘度平均分子量
が12,000〜50,000の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂100重量部に対して、好ましくは2〜20重量
部である。ポリカプロラクトンの使用量が20重量部を
超えると成形品の耐熱性(熱変形温度)等が低下しやす
い。
【0015】本発明においては、粘度平均分子量が1
2,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹
脂、該芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が
0.015以下であるガラス繊維、数平均分子量が2,
000〜100,000のポリカプロラクトンを配合し
混練する際、更にエステル交換触媒を配合し混練する。
エステル交換触媒を混練することにより、樹脂組成物よ
り得られる成形品の透明性を改良することができる。
【0016】エステル交換触媒としては、パラトルエン
スルホン酸、トリフルオロ酢酸、無機酸または三フッ化
ホウ素等のルイス酸等の酸性物質、水酸化ナトリウム、
各種アミン類等の塩基性物質、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の酢酸塩等の金属塩、及び亜鉛、マンガ
ン、コバルト、アンチモン、ゲルマニュウム、チタン、
スズの化合物等が挙げられ、好ましくは、テトラアルキ
ルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸第一スズ、三酸化アンチ
モン等である。
【0017】エステル交換触媒の配合量は、粘度平均分
子量が12,000〜50,000の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂100重量部に対して、0.001〜0.2
重量部の範囲で選ぶのが好ましい。配合量が0.001
重量部未満では成形品の透明性を向上させる効果が不十
分であり、0.2重量%を超えると着色等の問題が生じ
やすい。エステル交換触媒の好ましい配合量は、0.0
05〜0.1重量部である。
【0018】透明性発現には、マトリックス樹脂とガラ
ス繊維の屈折率を近似させることが重要である。本発明
において、ポリカプロラクトン添加が透明性発現に有効
であるのは、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリカプロ
ラクトンとが、エステル交換触媒の存在下で、エステル
交換反応を起こし、マトリックス樹脂の屈折率が低下し
ガラスの屈折率に近似したためと考えられる。
【0019】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、任意の色調の成形品を得るため、更に染料を配
合しても良い。染料としては、アゾ系染料、シアニン系
染料、キノリン系染料、ペリレン系染料等、通常の熱可
塑性樹脂に使用されるものであれば任意に使用すること
ができる。その使用量は、多過ぎると透明性が低下する
ので留意する必要がある。
【0020】更に、本発明を損なわない範囲で、周知の
種々の添加剤を配合することができる。例えば、高屈折
率のガラスフレークやガラスビーズ等の補強剤、少量の
シリカ、アルミナ、炭酸カルシュウム等の充填剤、パラ
フィンワックス、ポリエチレンワックス、蜜鑞、シリコ
ンオイル等の離型剤、各種可塑剤、さらに、ヒンダード
フェノ一ル系、亜燐酸エステル系、硫黄含有エステル化
合物系等の酸化防止剤、ハロゲン化合物、燐酸化合物等
の難燃剤、紫外線吸収剤あるいは耐候性付与剤等が挙げ
られる。また透明性を損なわない範囲で各種のポリマ
ー、例えば、ポリシクロへキサンジメチレンテレフタレ
ート、PET、PBT等のポリエステル系樹脂、芳香族
ナイロン、半芳香族ナイロン等の各種ナイロン、ポリス
チレン系樹脂、ポリアリレート、アイオノマー樹脂、フ
ェノキシ樹脂、等を配合することもできる。
【0021】本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物の製造方法として、任意の方法が採用される。例
えば、比較的簡単な方法としては、(1)芳香族ポリカー
ボネート樹脂、ガラス繊維、ポリカプロラクトン、エス
テル交換触媒、及び適宜その他の添加剤をV型ブレンダ
ー等の混合手段を用いて混合し、一括してブレンドして
ブレンド品を調整した後、このブレンド品をベント付き
押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられ
る。また、(2)二段階練込法として、予め、芳香族ポリ
カーボネート樹脂、ポリカプロラクトン、エステル交換
触媒及びその他の添加剤を十分混合後、ベント付き押出
機で溶融混練りしてペレットを製造し、次いで、そのペ
レットとガラス繊維を混合後、ベント付き押出機で溶融
混練する方法が挙げられる。
【0022】更に、(3)芳香族ポリカーボネート樹脂、
ポリカプロラクトン、エステル交換触媒、及びその他の
添加剤をV型ブレンダー等で十分混合したものを予め調
整しておき、それをベント付き二軸押出機の第一シュー
トより供給し、ガラス繊維は押出機途中の第二シュート
より供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられ
る。
【0023】溶融混練に際しての加熱温度は、通常22
0〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が
高すぎると分解ガスが発生しやすく、成形品不透明化の
原因になる場合があるので注意の必要がある。それ故、
剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望まし
い。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、
酸化防止剤の使用が望ましい。
【0024】本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物
は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形法、押出
成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、回転成形法等
による成形材料として使用でき、電機・電子機器分野、
自動車分野、機械分野、建築分野、医療分野等の成形品
を製造することができる。上記成形方法の中では好まし
いのは、射出成形法である。本発明に係るポリカーボネ
ート樹脂組成物は、射出成形用ポリカーボネート樹脂組
成物として適しており、成形品を得るための射出成形法
においては、樹脂温度を220〜300℃にコントロー
ルするのが好ましい。射出成形時においても、樹脂温度
が高すぎると、分解ガスが発生しやすく、成形品の不透
明化の原因になる場合があるので注意を要する。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。尚、最終的に得られた樹脂組成物ま
たは比較例の樹脂組成物は射出成形法によって試験片、
成形品を成形した後、下記の試験方法により、機械的性
質と光学的性質の評価試験を行った。
【0026】(a) 機械的性質 引張強度は、ASTM D638に準拠して測定した。
曲げ強度、曲げ弾性率は、ASTM D790に準拠し
て測定した。(b) 光学的性質: ヘイズ、全光線透過率(Ttと略記する)とを、 厚さ3
mmの円盤状成形品について、ヘーズメーター(スガ試験
社製、型式:HGM−2DP)を使用して測定した。
【0027】実施例および比較例で用いた原料の略号
と、詳細な物性は次の通りである。(1) PC:粘度平均分子量が21,000、屈折率が
1.585の 芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジ
ニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS
−3000)である。 (2) ガラス繊維 (21)ECRガラス:屈折率が1.579、平均繊維径が
16μの高屈折率ガラス繊維チョップドストランド(旭
ファイバーガラス社製、商品名:ECRガラス)であ
る。 (22)Eガラス:屈折率が1.555、平均繊維径が13
μのチョップドストランド(旭ファイバーガラス社製、
商品名:FT−105)である。
【0028】(3) ポリカプロラクトン (31)H1P:数平均分子量10,000のポリカプロラ
クトン(ダイセル化学工業社製、商品名:Placcel H1P)
である。 (32)H4:数平均分子量40,000のポリカプロラク
トン(ダイセル化学工業社製、商品名:Placcel H4) で
ある。 (4) エステル交換触媒: (41)TBT: チタニュウムテトラブトキシド(モノマ
ー)(和光純薬社の製品)である。 (42) 酢酸亜鉛和光純薬社の製品である。 (43) 酢酸第一スズ関東化学社の製品である(44) 三酸化アンチモン和光純薬社の製品である。 (5) 熱安定剤旭電化社製、商品名:アデカスタブPE
P−36である。
【0029】 [実施例1〜実施例7] 芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリカプロラクトン、エ
ステル交換触媒、熱安定剤を、表−1に記載した量配合
し、タンブラーで十分混合した後、べント付き二軸押出
機(東芝機械社製、型式:TEM−35)の第一シュー
トより供給し、高屈折率のガラス繊維を、表−1に記載
した量、押出機途中の第二シュートより供給し、シリン
ダー温度を270℃に設定して溶融・混練し、ペレット
化した。得られたペレットを、120℃で6時間乾燥
後、シリンダー温度を270℃とした射出成形機によっ
て、物性評価用の試験片を成形した。機械的性質と光学
的性質とを、前記した方法によって評価した。評価結果
を、表−1に示す。
【0030】 [比較例1〜比較例3] 芳香族ポリカーボネート樹脂および熱安定剤を、表−1
に記載した量配合後、ベント付き二軸押出機(実施例1
で使用したものと同じ)の第一シュートより供給し、ガ
ラス繊維を、表−1に記載した量、押出機途中の第二シ
ュートより供給し、シリンダー温度を270℃に設定し
て溶融・混練し、ペレット化した。得られたペレット
を、120℃で6時間乾燥後、シリンダー温度を270
とした射出成形機によって、物性評価用の試験片を成
形した。機械的性質と光学的性質とを、前記した方法に
よって評価した。評価結果を、表−1に示す。
【0031】 [比較例4]実施例7に記載の例において、エステル交換触媒を配合
しなかった他は、同例におけると同様の手順で高屈折率
のガラス繊維を、溶融・混練し、ペレット化し、同例に
おけると同様の手順で試験片を成形した。機械的性質と
光学的性質とを、前記した方法によって評価した。評価
結果を、表−1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】 表−1より、次のことが明らかとなる。 (1) 本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物か
ら得られた成形品は、機械的性質と光学特性ともに優れ
ている(実施例1〜実施例7参照)。 (2) これに対して、ポリカプロラクトンとエステル交換
触媒とを含まない樹脂組成物から得られた成形品は、透
明性が大幅に劣る(比較例1〜比較例3参照)。 (3) また、ポリカプロラクトンを含んでいてもエステル
交換触媒を含まない樹脂組成物(比較例4参照)から得
られた成形品は、透明性が比較例1〜比較例3よりは勝
るものの、実施例のものに比較すると劣る。
【0034】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上
の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量、ガ
ラス繊維の屈折率、ポリカプロラクトンの数平均分子量
を特定の範囲で選び、さらに、エステル交換触媒を配合
し混練したものであるので、成形性、流動性に優れた成
形材料として有用である。 2.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量、ガ
ラス繊維の屈折率、ポリカプロラクトンの数平均分子量
を特定の範囲で選び、さらに、エステル交換触媒を配合
し混練したものであるので、高剛性、高弾性率の成形品
が得られる。 3.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量、ガ
ラス繊維の屈折率、ポリカプロラクトンの数平均分子量
を特定の範囲で選び、さらに、エステル交換触媒を配合
し混練したものであるので、透明性に優れた成形品が得
られる。 4.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、成形性、流動性に優れ、高剛性、高弾性率で、透明
性に優れた成形品が得られので、自動車分野、電気・電
子分野、建材分野等の部品、製品製造用材料として極め
て有用である

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均分子量が12,000〜50,
    000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対
    して、該芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が
    0.015以下であるガラス繊維1〜100重量部、数
    平均分子量が2,000〜100,000のポリカプロ
    ラクトン1〜30重量部、およびエステル交換触媒を配
    合し混練してなることを特徴とする芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エステル交換触媒の配合量が、粘度平均
    分子量が12,000〜50,000の芳香族ポリカー
    ボネート樹脂100重量部に対して、0.001〜0.
    2重量部とされたものである、請求項1に記載の芳香族
    ポリカーボネート樹脂組成物
  3. 【請求項3】 エステル交換触媒が、テトラアルキルチ
    タネート、酢酸亜鉛、酢酸第一スズおよび三酸化アンチ
    モンよりなる群より選ばれたものである、請求項1また
    は請求項2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
    物。
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