JP3432198B2 - 単板積層材 - Google Patents

単板積層材

Info

Publication number
JP3432198B2
JP3432198B2 JP2000057181A JP2000057181A JP3432198B2 JP 3432198 B2 JP3432198 B2 JP 3432198B2 JP 2000057181 A JP2000057181 A JP 2000057181A JP 2000057181 A JP2000057181 A JP 2000057181A JP 3432198 B2 JP3432198 B2 JP 3432198B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
veneer
isocyanate compound
laminated material
laminated
wood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000057181A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001239511A (ja
Inventor
博規 谷内
靖 穴沢
俊雄 高芝
民雄 高橋
安治 浪崎
康弘 有賀
守 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iwate Prefectural Government
Original Assignee
Iwate Prefectural Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Iwate Prefectural Government filed Critical Iwate Prefectural Government
Priority to JP2000057181A priority Critical patent/JP3432198B2/ja
Publication of JP2001239511A publication Critical patent/JP2001239511A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3432198B2 publication Critical patent/JP3432198B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
  • Manufacture Of Wood Veneers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材の丸太を加工
して作成され柾目模様を有する単板積層材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の単板積層材及び単板積層
材の製造方法としては、例えば、特開平9−14160
9号公報に掲載されたものが知られている。この単板積
層材の製造方法は、カバノキ等の広葉樹である木材の丸
太を100℃〜150℃の水蒸気で15時間蒸した後
に、この丸太をロータリーレースするとともに適宜の大
きさに切断して単板を作成し、この単板をポリウレタン
接着剤を介して積層し加圧して接着して積層ブロックを
作成し、その後、この積層ブロックを単板の面に直交す
る方向であって柾目模様が表面に現れるように切断して
単板積層材を作成するものである。この単板積層材によ
れば、単に丸太を切削して得られる板に比較して、カバ
ノキ等の広葉樹で作成されることもあって、硬度が高く
て強度が増し、曲がりや捩じれ等も低減されることか
ら、壁や床等の建築材,建具あるいは家具に極めて適し
た材料になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この従来の
単板積層材にあっては、カバノキ等の広葉樹を加工する
技術であり、そのため、針葉樹へ単に応用しても、充分
な硬さが得られないという問題がある。本願発明者等
は、針葉樹、中でもアカマツを用いた床等の材料の開発
のため、種々研究を重ねてきた。アカマツ等の針葉樹材
は、軟質な早材部に起因する硬度不足のため傷が付き易
く、従来、床材等の硬度を必要とする部位にはブナ、ミ
ズナラ等の広葉樹材が用いられてきた。従って、アカマ
ツ等の針葉樹材を用いた材料開発のためには、表面の硬
さを広葉樹並みに改質する必要がある。木材は多孔体で
あるため、比重が増加するほど外力に対する抵抗が増大
すると一般的にいわれている。また、広葉樹材は針葉樹
材に比較して、組織構成要素の種類も多く、材の構造が
非常に複雑である。その中で、木部繊維は樹体の強固性
を保持するための細胞といわれ、力学的性質と極めて密
接な関係にある。このことから、アカマツ材の表面硬度
が低いのは、材の構造が単純であること、材表面の
比重が低いことに起因していると考えられる。そこで、
本願発明者等は、上記の単板積層材の技術に着目し、ア
カマツを積層構造にして、これらの問題点を解消するこ
とを考えた。しかしながら、上記のの材の構造が単純
であることに起因する点はある程度解消できるが、必ず
しも充分ではなく、また、の材表面の比重の低さに起
因する点については解決できない。
【0004】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、より一層材構造を複雑にするとともに材表
面の比重を大きくして硬度の向上を図った単板積層材を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るための本発明の単板積層材は、木材の丸太をロータリ
ーレースすることにより得られた単板を接着剤を介して
積層し、これによって得られた積層ブロックを単板の面
に直交する方向に表面が現れるように切断して得られた
単板積層材において、上記表面にイソシアネート化合物
を含む塗装下地剤を塗布した構成としている。イソシア
ネート化合物は、活性化水素を持つ化合物との間で付加
反応し、下記の(1)式のようにいったんカルバミン酸
となるが、不安定なためアミンと炭酸ガスに分解する。
このアミンは下記の(2)式のように未反応のイソシア
ネート基(−NCO)と素早く橋かけ反応し、かなり硬
質の膜を形成する。そのため、単板の積層によって材の
構造が複雑化して硬度が増すとともに、表面に下地材の
膜が形成され、しかも、ある程度表面内部に浸透するこ
とから相乗的に硬度が増し、硬度の向上が図られる。
【0006】
【化1】
【0007】そして、上記塗装下地剤を、芳香族系のイ
ソシアネート化合物とこれより分子量の大きい脂肪族系
のイソシアネート化合物とを含んで構成している。上記
芳香族系のイソシアネート化合物と脂肪族系のイソシア
ネート化合物との混合比を、重量比で50.0〜75.
0:50.0〜25.0としている。望ましくは、上記
芳香族系のイソシアネート化合物と脂肪族系のイソシア
ネート化合物との混合比を、重量比で65.0〜70.
0:35.0〜30.0としている。また、上記芳香族
系のイソシアネート化合物として、トリレンジイソシア
ネート樹脂を用いたことが有効である。更に、上記脂肪
族系のイソシアネート化合物として、ポリブタジエン変
性ポリイソシアネート樹脂を用いたことが有効である。
【0008】一般に、イソシアネート化合物としては、
主にウレタン塗料用樹脂の硬化剤として用いられるタイ
プのものが考えられるが、このようなイソシアネート化
合物は、広葉樹に比べ細胞数が少ない針葉樹に塗装した
場合、木材中に充分に浸透する前に空気中の水分等と素
早く反応し、その大部分が表面で硬化するようなもので
あった。また、反応が速いため炭酸ガスの発生量が多く
その表面はかなり凹凸状の表面となり、造膜性がほとん
どないため脆く、表面を平滑にするために研磨作業にか
なりの時間を費やさなければならなかったり、塗料の層
間剥離を起こしたり、また、針葉樹等の白木素材を黄変
させる問題等があった。そこで、イソシアネート化合物
の中でも、水分との反応が速く分子量も小さく木材質中
への浸透性に優れた芳香族系のトリレンジイソシアネー
ト樹脂と、反応は穏やかで分子量は大きく造膜性に優
れ、さらに耐光性にも優れた脂肪族系のポリブタジエン
変性ポリイソシアネート樹脂との混合物を開発した。以
下に夫々の構造式を示す。
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】この本発明の塗装下地剤を針葉樹等の木材
表面に塗装すると、分子量の小さい芳香族系のイソシア
ネート化合物が木材中に浸透して細胞内に充填され、細
胞内の水分とゆっくりと反応、硬化する。表面層は分子
量の大きい脂肪族系のイソシアネート化合物で覆われ、
空気中の水分と穏やかに反応するため凹凸が少ない塗膜
を形成し、更に、耐光性が良く塗料等との付着性も良い
塗膜を形成する。そのため、より一層材構造が複雑にな
って材表面の比重が大きくなり硬度の向上が図られ、針
葉樹材(軟質木材)等の表面硬さを広葉樹並みの表面硬
さに改質することができる。
【0012】そしてまた、本発明においては、必要に応
じ、上記接着剤として、ポリイソシアネートと2個以上
の活性水素を持つ化合物との2液接着剤を用いた構成と
している。この場合、上記接着剤として、ポリイソシア
ネートと2個以上の活性水素を持つ酢酸ビニルとの2液
接着剤を用いたことが有効である。即ち、この接着剤
は、ポリイソシアネート(NCO基を持つ化合物)と2
個以上の活性水素を持つ化合物(ポバール、酢酸ビニル
等)との反応で生成するポリマーを利用する接着剤で、
イソシアネートの高い極性と反応により木材中の活性水
素(COOH,OH基等)と強力に結合する。さらに接
着層に高い弾性力を持ち木材の膨潤収縮に追随する。そ
の反応式を示すと、 アルコール等の水酸基との反応 RNCO+R´OH→RNHCOOR´ カルボン酸との反応 RNCO+R´COOH→RNHCOR´+CO2 となる。また、この接着剤を用いることにより、上記の
塗装下地剤中の活性水素とも強力に結合し、木質部と塗
装下地剤の双方と高い親和性を持つようになる。そのた
め、単板と単板の継ぎ目の部分においてより一層硬度が
増加させられ、これにより、表面全体の硬度が向上させ
られる。
【0013】また、本発明においては、必要に応じ、上
記単板の厚さを0.5mm〜5mmにしている。厚さ
が、5mmを越えると、硬度低下が生じ、0.5mm以
下であると加工が困難になる。望ましくは、上記単板の
厚さを0.5mm〜3mmにしたことが有効である。よ
り望ましくは、上記単板の厚さを1mm±0.2mmに
したことが有効である。更に、必要に応じ、上記木材は
針葉樹である構成としている。更にまた、必要に応じ、
上記針葉樹は、アカマツである構成としている。
【0014】また、本発明の単板積層材の製造方法は、
木材の丸太を温水に所定時間浸漬して加熱処理する加熱
処理工程と、該加熱処理工程で加熱処理した丸太をロー
タリーレースすることにより単板を作成する単板作成工
程と、該単板作成工程で作成した単板を接着剤を介して
積層し積層ブロックを作成する積層ブロック作成工程
と、該積層ブロック作成工程で作成した積層ブロックを
単板の面に直交する方向に表面が現れるように切断して
単板積層材の中間製品を作成する切断工程と、該切断工
程で作成された中間製品の表面にイソシアネート化合物
を含む塗装下地剤を塗布する塗装下地剤塗布工程とを備
えた単板積層材の製造方法において、上記加熱処理工程
で、温水の温度を40℃〜80℃、浸漬時間を48hr
〜168hrにした構成としている。そして、必要に応
じ、上記加熱処理工程で、温水の温度を50℃〜70
℃、浸漬時間を96hr〜144hrにしている。更
に、必要に応じ、上記加熱処理工程における温水の温度
を60℃±5℃にしている。このような加熱処理工程の
構成により、木材が組織的にポーラスになり、下地剤が
木材中に浸透して細胞内に充填され易くなる。そのた
め、より一層構造が複雑になって材表面の比重が大きく
なり硬度の向上が図られ、針葉樹材(軟質木材)等の表
面硬さを広葉樹並みの表面硬さに改質することができ
る。80℃を越えると組織破壊が進み過ぎてかえって硬
度が低下傾向になる。40℃以下ではポーラスになりに
くく、下地剤の浸透が少ない。尚、各工程においては、
上記本発明の単板積層材の構成を実現するための所要の
処理を行なう。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の実施の形態に係る単板積層材及び単板積層材の製造方
法を説明する。図1には、本発明の実施の形態に係る単
板積層材の製造方法に係る製造工程を示している。各工
程について詳しく説明する。この実施の形態では、原材
料の木材として、針葉樹である岩手県産のアカマツの丸
太を用いた。 (1)加熱処理工程 木材の丸太を温水に所定時間浸漬して加熱処理する。温
水の温度は、40℃〜80℃、望ましくは、50℃〜7
0℃、より望ましくは60℃±5℃である。また、浸漬
時間は、48hr〜168hr、望ましくは、96hr
〜144hrである。これにより、木材が組織的にポー
ラスになるとともに、組織がある程度柔らかくなり、後
述の加工が容易になる。
【0016】(2)単板作成工程 加熱処理工程で加熱処理した丸太をロータリーレースす
るとともに適宜の大きさに切断して単板を作成する。単
板の厚さは、0.5mm〜5mmにしている。望ましく
は、0.5mm〜3mm、より望ましくは、1mm±
0.2mmである。 (3)積層ブロック作成工程 単板作成工程で作成した単板を接着剤を介して積層し加
圧して接着して積層ブロックを作成する。接着剤とし
て、ポリイソシアネートと2個以上の活性水素を持つ化
合物との2液接着剤を用いた。より詳しくは、接着剤と
して、ポリイソシアネートと2個以上の活性水素を持つ
酢酸ビニルとの2液接着剤を用いた。イソシアネートの
高い極性と反応により木材中の活性水素(COOH,O
H基等)と強力に結合し、高い接着力を呈する。 (4)切断工程 積層ブロック作成工程で作成した積層ブロックを単板の
面に直交する方向であって柾目模様が表面に現れるよう
に切断して単板積層材の中間製品を作成する。中間製品
の厚さは、例えば、5mm,10mm等、どのような厚
さに設定しても良い。
【0017】(5)塗装下地剤塗布工程 切断工程で作成された中間製品の表面にイソシアネート
化合物を含む塗装下地剤を噴霧器により塗布する。塗装
下地剤は、芳香族系のイソシアネート化合物とこれより
分子量の大きい脂肪族系のイソシアネート化合物とを含
んだ構成のものである。芳香族系のイソシアネート化合
物として、トリレンジイソシアネート樹脂を用いた。ま
た、脂肪族系のイソシアネート化合物として、ポリブタ
ジエン変性ポリイソシアネート樹脂を用いた。芳香族系
のイソシアネート化合物と脂肪族系のイソシアネート化
合物との混合比は、重量比で50.0〜75.0:5
0.0〜25.0である。より望ましくは、65.0〜
70.0:35.0〜30.0である。
【0018】この塗装下地剤を木材表面に塗装すると、
分子量の小さい芳香族系のイソシアネート化合物が木材
中に浸透して細胞内に充填され、細胞内の水分とゆっく
りと反応、硬化する。表面層は分子量の大きい脂肪族系
のイソシアネート化合物で覆われ、空気中の水分と穏や
かに反応するため凹凸が少ない塗膜を形成し、更に、耐
光性が良く塗料等との付着性も良い塗膜を形成する。そ
のため、より一層材構造が複雑になって材表面の比重が
大きくなり硬度の向上が図られる。また、この場合、加
熱処理工程により、木材が組織的にポーラスになってい
るので、下地剤が木材中に良く浸透して細胞内に充填さ
れ易くなる。そのため、より一層構造が複雑になって材
表面の比重が大きくなり硬度の向上が図られる。更に、
単板と単板の間に介装された接着剤の部分においては、
接着剤が塗装下地剤中の活性水素とも強力に結合し、木
質部と塗装下地剤の双方と高い親和性を持つようにな
る。そのため、単板と単板の継ぎ目の部分においてより
一層硬度が増加させられ、これにより、表面全体の硬度
が向上させられる。このようにして、単板積層材が製造
される。 (6)塗装工程 この単板積層材に、塗料を塗布する。塗料としては、紫
外線硬化樹脂塗料やポリウレタン樹脂塗料等、適宜のも
のを用いて良い。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例に係る単板積層材につ
いて、比較例とともに説明する。図2に示すように、実
施例1乃至5及び比較例0乃至5を作成した。これらに
ついて、原材料の木材として、針葉樹である岩手県産の
アカマツの丸太を用い、以下の条件で作成した。 (1)加熱処理工程においては、温水の温度を60℃、
浸漬時間を120hrとした。 (2)単板作成工程においては、単板の厚さを、1,
2,3,5mmの4種類用意した。 (3)積層ブロック作成工程においては、接着剤とし
て、ポリイソシアネートと2個以上の活性水素を持つ酢
酸ビニルとの2液接着剤を用いた。具体的には、水性ビ
ニルウレタン樹脂系接着剤を用いた。そして、単板の厚
さが1,2,3,5mmに対応した各積層ブロックを作
成した。 (4)切断工程においては、単板の厚さが1,2,3,
5mmに対応した2000×60×120mmの辺材を
得た。そして、これらを適宜の大きさに切断し試験片と
した。 (5)塗装下地剤塗布工程では、塗装下地剤として、芳
香族系のトリレンジイソシアネート樹脂と脂肪族系のポ
リブタジエン変性ポリイソシアネート樹脂とを重量比6
7.0:33.0で混合したものを用いた。ここでは、
塗装下地剤を塗布したものと塗布しないものを用意し
た。 (6)塗装工程 これらに対して、紫外線硬化樹脂塗料とポリウレタン樹
脂塗料の2種の塗料を塗り方を変えて塗布して各実施例
(実施例1乃至5)及び比較例(比較例1乃至5)を作
成した。各実施例及び比較例ともに単板の厚さが1,
2,3,5mmの単板積層材について作成した。比較例
0については、塗装を行なわないものとした。
【0020】また、図3に示すように、単板積層材では
ない単に普通に丸太を切削した柾目の板材(平均年輪幅
2.5mm)のものについて、塗装下地剤も塗装処理も
いずれも行なわないもの(比較例6)、塗装下地剤を塗
布しないで上記と同様の塗装処理を行なったもの(比較
例7,8,9,10,11)も作成した。
【0021】そして、これらについて、ブリネル硬さ
(N/mm2 )を測定した。結果を図2及び図3に示
す。図2及び図3の数値は平均硬度である。この結果か
ら、図2に示すように、同じ単板積層材においては、下
地剤を塗布したものは、いずれも、下地剤を塗布しない
ものに比較して硬度が高くなった。また、図3に示すよ
うに、下地剤を塗布した単板積層材と、下地剤を塗布し
ない柾目の板材(平均年輪幅2.5mm)とを比較する
と、硬度の差が顕著に現れた。図4(a)(b)には、
図3で示したもののうち、実施例2と比較例8について
詳細に示した。これから分かるように、実施例の単板積
層材の硬さは、アカマツの板材(ブリネル硬さの平均値
11.8N/mm2 )より硬度が増したことは勿論のこ
と、広葉樹のブナの板材(ブリネル硬さの平均値17.
7N/mm2 )及びケヤキ(ブリネル硬さの平均値1
9.6N/mm2 )に比較しても、相当高い硬度が得ら
れることが分かった。
【0022】更に、図2及び図3に示すように、単板の
単位長さあたりの積層数が増加すると、即ち、単板の厚
さが小さいほど、ブリネル硬さは増加する。特に、単板
の厚さが1mmで、最も高い数値を示す。これについて
は、ビッカース硬さ試験においても証明された。図5に
は、実施例1と比較例1についての結果をグラフにした
ものである。尚、積層数0のビッカース硬さの数値は、
単板積層材ではない柾目の板材のものである。これから
も分かるように、単板の厚さは、薄いほど良く、特に1
mmでは優れた値を示す。
【0023】
【実験例】次に、上記加熱処理工程における、温水の温
度とブルネリ硬さとの関係について実験した。この実験
は、温水の温度設定を変えるとともに、4hr浸漬した
丸太のものと、120hr浸漬した丸太のもので比較し
た。測定対象の材料は、単板の厚さが5mmのもので、
塗装下地剤を塗布して塗装処理(実施例1と同じ処理)
を行なったものと、塗装下地剤を塗布しないで塗装処理
(比較例1と同じ処理)を行なったものとについて測定
した。図6に示す結果から分かるように、温水の温度を
40℃〜80℃、特に50℃〜70℃に設定することが
有効であることが分かる。80℃を越えると組織破壊が
進み過ぎてかえって硬度が低下傾向になる。40℃以下
ではポーラスになりにくく、下地剤の浸透が少ないもの
と考えられる。
【0024】また、今度は、浸漬時間と、組織の単板積
層材の組織の状態との関係を顕微鏡写真により考察し
た。この顕微鏡写真は、加温処理しないもの、温水の温
度設定を60℃にして、48hr浸漬した丸太のもの、
128hr浸漬した丸太のもので比較した。測定対象の
材料は、単板の厚さが5mmのもので、塗装下地剤を1
0回塗布したものについて行なった。結果を図7乃至図
9に示す。加温処理しないものは、図7の図面代用顕微
鏡写真に示すように、木材成分が分解しないで木材が組
織的にポーラスでなく、下地剤が充分に浸透せず、表面
に堆積してしまっている。48hr浸漬したものは、図
8の図面代用顕微鏡写真に示すように、木材が組織的に
ポーラスになってはいるが、組織破壊の度合いが少ない
ことに起因して、下地剤が充分に浸透せず、表面に堆積
も見られる。128hr浸漬したものは、図9の図面代
用顕微鏡写真に示すように、木材が組織的にポーラスに
なるとともに、組織破壊の度合いも進むことに起因し、
下地剤が内部まで充分に浸透していることが分かる。
【0025】尚、上記実施の形態及び実施例では材料と
してアカマツを用いたが、必ずしもこれに限定されるも
のではなく、どのような種類の木材でも良い。特に、針
葉樹には極めて有効になる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の単板積層
材によれば、単板積層材の表面にイソシアネート化合物
を含む塗装下地剤を塗布したので、単板の積層によって
材の構造が複雑化して硬度が増すとともに、表面に下地
材の膜が形成され、しかも、ある程度表面内部に浸透す
ることから相乗的に硬度が増し、硬度の向上を図ること
ができる。即ち、材構造を複雑にするとともに材表面の
比重を大きくして硬度の向上を図ることができ、針葉樹
材(軟質木材)等の表面硬さを広葉樹並みの表面硬さに
改質することができるようになる。そして、塗装下地剤
を、芳香族系のイソシアネート化合物とこれより分子量
の大きい脂肪族系のイソシアネート化合物とを含んで構
成したので、木材中に充分に浸透する前に空気中の水分
等と素早く反応する事態を抑制できるとともに、分子量
の小さい芳香族系のイソシアネート化合物が木材中に浸
透して細胞内に充填され、細胞内の水分とゆっくりと反
応して硬化し、表面層は分子量の大きい脂肪族系のイソ
シアネート化合物で覆われ、空気中の水分と穏やかに反
応するため凹凸が少ない塗膜を形成でき、そのため、よ
り一層材構造が複雑になって材表面の比重が大きくなり
硬度を向上させることができる。
【0027】また、接着剤として、ポリイソシアネート
と2個以上の活性水素を持つ化合物との2液接着剤を用
いた場合には、塗装下地剤中の活性水素とも強力に結合
させ、木質部と塗装下地剤の双方と高い親和性を持たせ
ることができ、そのため、単板と単板の継ぎ目の部分に
おいてより一層硬度を増加させることができ、表面全体
の硬度を向上させることができる。更に、単板の厚さを
0.5mm〜5mm,望ましくは0.5mm〜3mm,
特に望ましくは1mm±0.2mmにした場合には、よ
り一層材構造を複雑にして硬度を向上させることができ
る。
【0028】また、本発明の単板積層材の製造方法にお
いて、加熱処理工程で、温水の温度を40℃〜80℃、
浸漬時間を48hr〜168hrにし、望ましくは、温
水の温度を50℃〜70℃、浸漬時間を96hr〜14
4hrにし、特に望ましくは60℃±5℃にした場合に
は、木材が組織的にポーラスになり、下地剤が木材中に
浸透して細胞内に充填され易くなる。そのため、より一
層構造が複雑になって材表面の比重が大きくなるので、
硬度の向上を図ることができ、針葉樹材(軟質木材)等
の表面硬さを広葉樹並みの表面硬さに改質することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る単板積層材及び単板
積層材の製造方法を示す図である。
【図2】本発明の実施例(実施例1乃至5)に係る単板
積層材の単板の厚さ毎のブリネル硬さの測定結果を比較
例(比較例0乃至5)の測定結果とともに示す表図であ
る。
【図3】本発明の実施例(実施例1乃至5)に係る単板
積層材の単板の厚さ毎のブリネル硬さの測定結果を比較
例(比較例6乃至11)の測定結果とともに示す表図で
ある。
【図4】本発明の実施例に係る単板積層材のブリネル硬
さの測定結果と比較例の測定結果を示す図であり、
(a)は本発明の実施例2に係る単板積層材のブリネル
硬さとその出現率を示すグラフ図、(b)は比較例のブ
リネル硬さとその出現率を示すグラフ図である。
【図5】本発明の実施例1に係る単板積層材の単位長さ
当たりの単板の積層数とビッカース硬さとの関係を比較
例1の関係とともに示すグラフ図である。
【図6】本発明の実施例に係る単板積層材の丸太の加熱
処理温度とブリネル硬さとの関係を比較例の関係ととも
に示すグラフ図である。
【図7】比較例に係る単板積層材の下地剤の塗布状態を
示す図面代用顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例に係る単板積層材(丸太の加熱
処理時間48hr)の下地剤の塗布状態を示す図面代用
顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施例に係る単板積層材(丸太の加熱
処理時間128hr)の下地剤の塗布状態を示す図面代
用顕微鏡写真である。
【符号の説明】
(1)加熱処理工程 (2)単板作成工程 (3)積層ブロック作成工程 (4)切断工程 (5)塗装下地剤塗布工程 (6)塗装工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 穴沢 靖 岩手県盛岡市飯岡新田3地割35番2 岩 手県工業技術センター内 (72)発明者 高芝 俊雄 岩手県宮古市五月町1−20 宮古地方振 興局林務部内 (72)発明者 高橋 民雄 岩手県盛岡市飯岡新田3地割35番2 岩 手県工業技術センター内 (72)発明者 浪崎 安治 岩手県盛岡市飯岡新田3地割35番2 岩 手県工業技術センター内 (72)発明者 有賀 康弘 岩手県盛岡市飯岡新田3地割35番2 岩 手県工業技術センター内 (72)発明者 川村 守 岩手県下閉伊郡岩泉町二升石字貝内野5 番地9 有限会社日本木材工業内 (56)参考文献 特開 平9−141609(JP,A) 特開 平8−90513(JP,A) 特開 平10−34611(JP,A) 特開 平10−128711(JP,A) 特開 平11−156815(JP,A) 特開 平11−262905(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27M 3/00 B27L 5/00 - 5/08 B27K 1/00 - 9/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材の丸太をロータリーレースすること
    により得られた単板を接着剤を介して積層し、これによ
    って得られた積層ブロックを単板の面に直交する方向に
    表面が現れるように切断して得られた単板積層材におい
    て、 上記表面にイソシアネート化合物を含む塗装下地剤を塗
    し、 上記塗装下地剤を、芳香族系のイソシアネート化合物と
    これより分子量の大きい脂肪族系のイソシアネート化合
    物とを含んで構成した ことを特徴とする単板積層材。
  2. 【請求項2】 上記芳香族系のイソシアネート化合物と
    脂肪族系のイソシアネート化合物との混合比を、重量比
    で50.0〜75.0:50.0〜25.0としたこと
    を特徴とする請求項1記載の単板積層材。
  3. 【請求項3】 上記芳香族系のイソシアネート化合物と
    脂肪族系のイソシアネート化合物との混合比を、重量比
    で65.0〜70.0:35.0〜30.0としたこと
    を特徴とする請求項1記載の単板積層材。
  4. 【請求項4】 上記芳香族系のイソシアネート化合物と
    して、トリレンジイソシアネート樹脂を用いたことを特
    徴とする請求項1,2または3記載の単板積層材。
  5. 【請求項5】 上記脂肪族系のイソシアネート化合物と
    して、ポリブタジエン変性ポリイソシアネート樹脂を用
    いたことを特徴とする請求項1,2,3または4記載
    単板積層材。
  6. 【請求項6】 上記接着剤として、ポリイソシアネート
    と2個以上の活性水素を持つ化合物との2液接着剤を用
    いたことを特徴とする請求項1,2,3,4または5記
    の単板積層材。
  7. 【請求項7】 上記接着剤として、ポリイソシアネート
    と2個以上の活性水素を持つ酢酸ビニルとの2液接着剤
    を用いたことを特徴とする請求項1,2,3,4または
    5記載の単板積層材。
  8. 【請求項8】 上記単板の厚さを0.5mm〜5mmに
    したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6ま
    たは7記載の単板積層材。
  9. 【請求項9】 上記単板の厚さを0.5mm〜3mmに
    したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6ま
    たは7記載の単板積層材。
  10. 【請求項10】 上記単板の厚さを1mm±0.2mm
    にしたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6
    または7記載の単板積層材。
  11. 【請求項11】 上記木材は針葉樹であることを特徴と
    する請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または
    10記載の単板積層材。
  12. 【請求項12】 上記針葉樹は、アカマツであることを
    特徴とする請求項11記載の単板積層材。
JP2000057181A 2000-03-02 2000-03-02 単板積層材 Expired - Fee Related JP3432198B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000057181A JP3432198B2 (ja) 2000-03-02 2000-03-02 単板積層材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000057181A JP3432198B2 (ja) 2000-03-02 2000-03-02 単板積層材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001239511A JP2001239511A (ja) 2001-09-04
JP3432198B2 true JP3432198B2 (ja) 2003-08-04

Family

ID=18578016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000057181A Expired - Fee Related JP3432198B2 (ja) 2000-03-02 2000-03-02 単板積層材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3432198B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104493943A (zh) * 2014-12-28 2015-04-08 浙江升华云峰新材股份有限公司 一种科技木皮的生产工艺

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008055886A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Takeshi Yamaguchi 木材の表面硬度の高い加工目材の製造方法
JP5725595B2 (ja) * 2009-08-14 2015-05-27 高知県 圧密木材複合成形品の成形方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104493943A (zh) * 2014-12-28 2015-04-08 浙江升华云峰新材股份有限公司 一种科技木皮的生产工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001239511A (ja) 2001-09-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU715331B2 (en) Manufacturing method for a wood board
US8974910B2 (en) Treatment of wood for the production of building structures and other wood products
CN101247931B (zh) 生产木基材料的方法
US6667108B2 (en) Wearprotected wood veneer
CA2195223C (en) Wood veneers and products therefrom having enhanced strength and stiffness
EP0543810A1 (en) Isocyanate modified cellulose products and method for their manufacture
JP4185940B2 (ja) 床基材の製造方法及び床材の製造方法
JP3430230B2 (ja) 木質繊維板の積層加工方法
JP3432198B2 (ja) 単板積層材
Nemli et al. Effects of melamine raw paper weight, varnish type and the structure of continuous pressed laminate (CPL) on the physical, mechanical properties and decay resistance of particleboard
JP4996110B2 (ja) 化粧板とその製造方法
JPH11210325A (ja) 窓台及びその製法
JP2763188B2 (ja) 厚単板化粧板材の製造方法
JP2720019B2 (ja) 木口面が表面となる材料の製造法
JP5681909B2 (ja) 木質化粧板及びその製造方法
JPH06106502A (ja) 合板の製造方法
JPH10249808A (ja) 合板、単板積層材、ランバーコア合板、集成材及びパーティクルボードから成る楽器用部品、並びにこれらの製造方法
JPS63205201A (ja) 化粧合板およびその製造方法
JPS612503A (ja) 集成化粧単板の製法
KR20040001390A (ko) 마루용 패널 및 그 제조 방법
CA2852072C (en) Water-resistant surface treatment for wood products
JPS6096404A (ja) 集成単板の改質法
JPS5850276B2 (ja) シツジユンツキイタフリツチヨウセツチヤクザイ
JPH08207208A (ja) 建築板の製造方法
JP2003251605A (ja) 積層材

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130523

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees