JP3430585B2 - 電子打楽器 - Google Patents

電子打楽器

Info

Publication number
JP3430585B2
JP3430585B2 JP28119293A JP28119293A JP3430585B2 JP 3430585 B2 JP3430585 B2 JP 3430585B2 JP 28119293 A JP28119293 A JP 28119293A JP 28119293 A JP28119293 A JP 28119293A JP 3430585 B2 JP3430585 B2 JP 3430585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
striking
mallet
register
pad
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28119293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07134583A (ja
Inventor
俊幸 岩本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP28119293A priority Critical patent/JP3430585B2/ja
Publication of JPH07134583A publication Critical patent/JPH07134583A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3430585B2 publication Critical patent/JP3430585B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子打楽器に関し、特に
発音すべき楽音を制御する電子打楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パッドを備えた電子打楽器が普及
してきた。これらは、パッドを叩くことにより音を発す
る。そして、音色を変える手段としては、本体上に備え
付けられた音色選択スイッチを用いる。予め用意されて
いる複数の音色の中から所望の音色を選択して、音色選
択スイッチを押す。
【0003】また、他の電子打楽器においては、電子楽
器上に複数のパッドが備えられていて、それらのパッド
毎に異なる音色を設定することができる。したがって、
叩くパッドにより音色が異なり、パッドの数だけの音色
を発生できる。
【0004】しかし、これらの電子打楽器の発生する楽
音は、アタック時のエンベロープ変化等を除き、パッド
を叩く打撃部材にほとんど影響されることがない。どん
な打撃部材を用いても基本的音色が変わることはない。
音色は、音色選択スイッチにより変更するのみである。
【0005】電子楽器においては、回路定数等を変更す
ることにより種々の音色を形成することができる。例え
ば、ループ回路を有する物理モデル音源ではフィルタや
遅延回路の定数を変化させ、種々の振動体をシミュレー
トすることができる。波形メモリ型音源では読み出す波
形を変えることにより、容易に音色を変更できる。
【0006】従来の電子打楽器は、パッドを叩く強さ、
速さ、位置等を検出することにより楽音を制御するもの
であった。したがって、金属性のマレットを用いてもゴ
ム性のマレットを用いても打撃が同じ強さ、速さ、位置
であれば、同じ楽音が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子打楽器にお
いて1音毎に音色を変更する演奏は、音色を変更したい
度に音色選択スイッチを操作しなければならないので非
常に煩わしく、テンポの速い演奏においては不可能とな
ってしまう。
【0008】本発明の目的は、打撃部材の種類に応じて
変化する楽音を生成することができる電子打楽器を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点によれ
ば、打撃部材を用いて叩くことにより、楽音信号を生成
する電子打楽器であって、楽音信号を生成するために打
撃部材で叩く被打撃部材と、被打撃部材に加えられた打
撃力を検出する打撃力検出手段と、打撃力検出手段が検
出した打撃力の時間変化に基づいて、打撃部材の種類を
検出する打撃部材検出手段と、打撃部材検出手段が検出
した打撃部材の種類により楽音信号を制御する楽音制御
手段とを有する電子打楽器が提供される。本発明の他の
観点によれば、打撃部材を用いて叩くことにより、楽音
信号を生成する電子打楽器であって、楽音信号を生成す
るために打撃部材で叩く被打撃部材と、前記被打撃部材
に加えられた打撃力を検出する打撃力検出手段と、前記
打撃力検出手段が検出した打撃力の力積の周波数特性に
基づいて、打撃部材の種類を検出する打撃部材検出手段
と、前記打撃部材検出手段が検出した打撃部材の種類に
より楽音信号を制御する楽音制御手段とを有する電子打
楽器が提供される。
【0010】
【作用】被打撃部材が受けた打撃力を検出処理すること
により、打撃部材の種類を判別することができる。これ
により、打撃部材の種類に応じた楽音信号を生成するこ
とができる。
【0011】
【実施例】図1は、本発明の実施例による電子打楽器の
全体構成を示す。本実施例は、マレットを用いてパッド
を叩くことにより、音を発する電子楽器である。
【0012】マレット1を用いてパッド2を叩くことに
より、パッド2に加振力が加わる。パッド2を叩く打撃
部材は、マレットに限られずスティック等でもよい。パ
ッド2に加えられた加振力は、感知部3により検出され
る。
【0013】感知部3には荷重センサや加速度センサ等
のセンサが含まれ、パッド2への打撃による加振力を検
出することができる。エンベロープ抽出器4は、感知部
3において検出されたパッドの加振力波形のエンベロー
プを抽出する。抽出されたエンベロープは、Amp5に
より信号増幅される。増幅されたエンベロープは、A/
D変換器6によりディジタル信号に変換され、バス14
に供給される。
【0014】エンベロープ信号は、バス14を介して、
CPU10に入力される。バス14には、CPU10、
ROM12、RAM13、スイッチ7、音源8が接続さ
れている。
【0015】CPU10は楽音パラメータ発生の演算処
理を行う。ROM12は演算プログラム等を記憶する。
RAM13はフラグ、レジスタ、バッファメモリ等のワ
ーキングメモリを有する。タイマ11はタイミング信号
を発し、CPU10が演算を行うタイミングを支配す
る。
【0016】スイッチ7は、液晶表示器等の表示器と演
奏、音色等の制御を行うパネルスイッチを有する。音源
8はCPU10より供給される楽音パラメータに基づき
楽音信号を発生する。
【0017】スイッチ7によって演奏環境を設定し、マ
レット1でパッド2を叩いて演奏を行うと、CPU1
0、ROM12、RAM13、タイマ11により音色波
形や演奏情報を指定する楽音パラメータが形成され、音
源回路8を介してサウンドシステム9において楽音が発
生する。
【0018】図2は、マレットでパッドを叩いた時に発
生する加振力を時間変化に対して示したグラフである。
縦軸は、パッドに加わった加振力を示し、横軸は、加振
力がパッドに加わってからの時間経過を示す。図に示す
データは、解析用の測定系で得たものであるが、パッド
の種類による応答変化の特徴は種々の打撃構造に通用す
るものである。
【0019】剛性の異なる5種類のマレット(kp =1
000,500,300,200,100[N/M
M])を用いてパッドを叩いた。剛性の大きいマレット
(kp =1000[N/MM])は、加振力のピーク値
(Fmax)が大きな値をとる。逆に、剛性の小さなマ
レット(kp =100[N/MM])は、加振力のピー
ク値が小さな値をとる。
【0020】また、剛性の大きいマレットは、パッドに
加振力が加わってから加振力が再び0[N]に減衰する
までの押圧時間(Th)が短い。逆に、剛性の小さなマ
レットは、押圧時間が長い。実際の系においては、雑音
を避けるため、加振力があるしきい値を越えてから再び
しきい値以下に減少するまでの時間をThとする。
【0021】図1に示す感知部3において検出された加
振力の出力値より、加振力のピーク値(Fmax)と押
圧時間(Th)は算出される。図2に示すグラフにおい
て、kp =1000[N/MM]のマレットを使用した
場合には、Fmax≒1800[N]であり、Th≒
1.3[ms]である。
【0022】以上のように検出されたピーク値(Fma
x)と押圧時間(Th)の値を用いて、発音する音色波
形または演奏情報を示す楽音パラメータの生成を行う。
ピーク値(Fmax)と押圧時間(Th)より、発音す
る音は変化する。
【0023】例えば、(Fmax/Th)の値が大きな
時には、剛性の大きいマレット(k p 大)によりパッド
が叩かれたので、固い音を発する。逆に、(Fmax/
Th)の値が小さな時には、剛性の小さいマレット(k
p 小)によりパッドが叩かれたので、柔らかい音を発す
る。
【0024】同じマレットを使用した場合でも、パッド
を叩く強さによって音は変わる。(Fmax×Th)の
値が大きな時には、強い音(大きな音)を発する。逆
に、(Fmax×Th)の値が小さな時には、弱い音
(小さな音)を発する。
【0025】図3は、電子打楽器の処理のメインルーチ
ンを説明するためのフローチャートである。ステップS
1から処理はスタートし、ステップS2においてレジス
タ類の初期化等の初期設定を行う。
【0026】続いてステップS3に進み、図1に示すス
イッチ7上に配置された音色選択SW状態をチェックす
る。音色選択SWにオンイベントがあればステップS4
へ進み、オンイベントがなければステップS5へ進む。
音色選択SWは、ドラム等の様々な楽器の音色を選択す
るためのスイッチである。
【0027】ステップS4では、押下された音色選択S
Wの音色選択番号を音色選択レジスタTCに格納して、
ステップS5へと進む。ステップS5においてはその他
の処理を行い、再びステップS3へ進む。
【0028】以上のメインルーチンの処理が行われてい
る間、0.1[msec]毎に割込み処理が行われる。
この割込み処理では、マレットでパッドが叩かれたこと
による加振力の信号を取り込み、音色制御等の処理を行
う。
【0029】図4は、電子打楽器の処理中に発生する割
込み処理を説明するためのフローチャートである。ステ
ップS11から処理はスタートし、ステップS12にお
いてパッドに加えられた加振力のエンベロープが加振力
レジスタPRに格納される。
【0030】加振力は、図1に示すパッド2に加えられ
た力を感知部3で検出したものである。パッド2が振動
することにより、その生の信号は振動する波形を示す。
加振力のエンベロープは、エンベロープ抽出器4により
抽出される。そのエンベロープが入力値として、0.1
[msec]毎に加振力レジスタPRに格納される。
【0031】次にステップS13において、ノイズ処理
を行う。加振力レジスタPRに格納されている値と所定
のしきい値を比較し、加振力レジスタPRの値が、しき
い値以上であればステップS14に進み、しきい値より
小さければステップS30に進む。
【0032】しきい値は、ノイズ成分を除去するために
設定する値である。本来は、パッドが叩かれていない時
は加振力が0となるべきであるが、出力される加振力に
ノイズ成分が加わり、通常0とはならない。そこで、し
きい値を設定し、加振力レジスタPRの値がしきい値以
上の値となった時にのみパッドが叩かれているとの判断
を行う。
【0033】ステップS14において、打撃フラグON
をチェックする。打撃フラグONが0であればステップ
S15に進み、1であればステップS16に進む。打撃
フラグONは、初期状態においては0にセットされてい
て、加振力レジスタPRの値がしきい値以上になれば1
にセットされるフラグである。
【0034】ステップS15において、打撃フラグON
を1にセットする。そして、時間レジスタTIMEに0
を格納し、ピーク値レジスタMAXに0を格納する。そ
して、ステップS16に進む。
【0035】時間レジスタTIMEは、時間経過値を格
納するためのレジスタである。ピーク値レジスタMAX
は、図2に示す時間経過に対する加振力曲線におけるピ
ーク値を格納するためのレジスタである。
【0036】ステップS16において、加振力レジスタ
PRとピーク値レジスタMAXとの比較を行う。新たに
入力された加振力が、現時点において加振力曲線上の最
大値であるのかどうかを判断する。加振力レジスタPR
が、ピーク値レジスタMAXよりも大きければステップ
S17に進み、大きくなければステップS18に進む。
【0037】ステップS17において、ピーク値レジス
タMAXに加振力レジスタPRの値を格納する。加振力
レジスタPRに格納されている値が現時点において加振
力曲線上の最大値として、ピーク値レジスタMAXの値
を更新する。そして、ステップS18に進む。
【0038】ステップS18において、加振力がしきい
値を越えてからの経過時間を調べる。時間レジスタTI
MEに50が格納されていればステップS19に進み、
50が格納されていなければステップS23に進む。
【0039】ステップS23においては、時間レジスタ
TIMEに1を加える。つまり、加振力がしきい値を越
えてから、時間レジスタTIMEの値が50でない間は
時間レジスタTIMEの値を増やし、時間をカウントし
て行く。そして、ステップS33へと進み、割込み処理
を終了し、図3に示す電子打楽器のメインルーチンの処
理に戻る。
【0040】時間レジスタTIMEは、加振力がしきい
値を越えた後は、割込み処理が行われる度に1が加えら
れて行く。本実施例では、割込み処理が0.1[mse
c]毎に行われるとした。したがって、時間レジスタT
IMEに50が格納されていれば、加振力がしきい値を
越えてから5[msec]経過したことを意味する。
【0041】加振力曲線は、図2に示すように剛性の大
きさにより変化し、剛性が小さいほど加振力がしきい値
を越えてからしきい値に減衰するまでの押圧時間が長く
なる。しかし、加振力がしきい値を越えてから5[ms
ec]を経過すれば、どのようなマレットを用いてもほ
とんどの加振力曲線はしきい値にまで減衰する。また、
加振力がしきい値より下がるまで、あまり長く待ちすぎ
るとパッドを叩いてからの発音遅れが生じてしまうの
で、好ましくない。そこで、加振力がしきい値を越えて
から、最大5[msec]待つこととしている。
【0042】ステップS18において加振力がしきい値
を越えてから5[msec]を経過しても、加振力がし
きい値にまで減衰しないものについては、これ以上加振
力が減衰するのを待つことなく処理を打ち切り、ステッ
プS19へ進む。
【0043】ステップS19において、剛性レジスタX
に所定値を格納する。本来、剛性レジスタXには、(M
AX/TIME)の値が格納される。この時のピーク値
レジスタMAXは加振力曲線におけるピーク値(Fma
x)を表し、時間レジスタTIMEは加振力がしきい値
を越えてからの押圧時間(Th)を表す。これは、剛性
の大きさを表し、剛性レジスタXの値が大きいほどマレ
ットの剛性が大きいことを意味する。逆に、剛性レジス
タXの値が小さいほどマレットの剛性が小さいことを意
味する。
【0044】しかし、ステップS19は、加振力がしき
い値を越えてから5[msec]経過してもしきい値ま
で減衰しなかった場合の処理であるので、加振力曲線の
ピーク値(Fmax)と押圧時間(Th)を検出できて
いない。そこで、剛性レジスタXには、予め設定した所
定値を格納する。
【0045】また、ステップS19において、速度レジ
スタVELに数式1の計算値を格納する。
【0046】
【数1】 VEL=MAX×TIME×K ・・・(1) ここで、Kは定数である。速度レジスタVELはパッド
を叩く速度を示すレジスタであり、発音する音量を制御
する。なお、詳細は後のステップS32において説明す
る。次にステップS20に進む。
【0047】ステップS20において、時間レジスタT
IMEに1を加え、ステップS21へと進む。これによ
り、時間レジスタTIMEの値は51となる。この後、
現割込み処理のステップS22において演奏情報を音源
に出力し発音をするが、次回の割込み処理以降において
は発音させないようにする必要がある。そのために、時
間レジスタTIMEの値を51とする。これにより、次
回の割込み処理以降では、ステップS18において時間
レジスタTIMEが50を越えているので、ステップS
23へと進むようになる。
【0048】ステップS21において、音色波形レジス
タWNに音色波形番号を格納する。この音色波形番号
は、音色選択レジスタTCと剛性レジスタXのそれぞれ
に格納された値により決定される。音色選択レジスタT
Cは、図3に示すメインルーチンにおいて値が決定され
る。すなわち、電子打楽器上で押された音色選択SWの
音色選択番号が格納されている。その音色選択番号の音
色を基礎として、剛性レジスタXに応じた音色波形番号
が決定される。剛性が大きければ固い音とし、剛性が小
さければ柔らかい音とする。
【0049】次にステップS22に進み、音色波形レジ
スタWNが示す音色でキーオン信号、速度レジスタVE
Lが示す音量等の演奏情報を音源に出力し、サウンドシ
ステムから発音する。そして、ステップS33へと進
み、割込み処理を終了し、図3に示す電子打楽器のメイ
ンルーチンの処理に戻る。
【0050】ステップS13で加振力レジスタPRの値
がしきい値未満の時は、ステップS30において、打撃
フラグONをチェックする。打撃フラグONが1であり
且つ時間レジスタTIMEが50より小さければ、加振
力がしきい値にまで減衰した状態であり、パッドを叩き
終わった状態を示す。この時には、ステップS31へ進
む。打撃フラグONが0であれば、既に打撃終了の処理
が済んでいるので、ステップS33へと進み、割込み処
理を終了し、図3に示す電子打楽器のメインルーチンの
処理に戻る。
【0051】また、打撃フラグONが1であり且つ時間
レジスタTIMEが50以上であれば、前回の発音時の
加振力曲線の押圧時間(Th)が5[msec]を越え
ていたことを示すので、同様にステップS33へ進み、
発音を行わない。
【0052】ステップS31は、パッドを叩き終わった
状態の処理である。加振力がしきい値より小さくなった
ということで、打撃フラグONを0にセットする。そし
て、ステップS32に進む。
【0053】ステップS32において、剛性レジスタX
に数式2の計算値を格納する。
【0054】
【数2】X=MAX/TIME ・・・(2) この時のピーク値レジスタMAXは加振力曲線における
ピーク値(Fmax)を表し、時間レジスタTIMEは
加振力がしきい値を越えてからの押圧時間(Th)を表
す。(MAX/TIME)は、剛性の大きさを表し、剛
性レジスタXの値が大きいほどマレットの剛性が大きい
ことを意味する。逆に、剛性レジスタXの値が小さいほ
どマレットの剛性が小さいことを意味する。
【0055】また、ステップS32において、速度レジ
スタVELに数式1の計算値を格納する。そして、ステ
ップS21へ進み、指定した音色スイッチとマレットの
剛性に応じた波形番号を選択する。速度レジスタVEL
は、パッドを叩く速度を表す。同じマレットを使用した
場合でも、パッドを叩く速度によって音は変わる。パッ
ドを叩く速度は、数式1の値に依存する。この時のピー
ク値レジスタMAXの値は加振力曲線におけるピーク値
(Fmax)を示し、時間レジスタTIMEは加振力が
しきい値を越えてからの押圧時間(Th)を示す。
【0056】速度レジスタVELの値が大きくなるほ
ど、パッドを叩く速度が速いことを示し、大きな音を発
音する。逆に、速度レジスタVELの値が小さくなるほ
ど、パッドを叩く速度が遅いことを示し、小さな音を発
音する。つまり、速度レジスタVELは音量を表すレジ
スタである。
【0057】以上時間変化に対する加振力曲線より、マ
レットの剛性の大きさを判断し楽音を変化させる方法に
ついて説明した。次は、別の方法により、マレットの剛
性の大きさを判断する方法について説明する。そして、
同様にマレットの剛性の違いより発音する音色や音量等
の演奏情報を変化させることができる。
【0058】まず、異なる剛性の大きさを有するマレッ
トを用いてパッドを叩いたときに発生する音の周波数特
性について述べる。図6は、剛性が小さいマレットを用
いてパッドを叩いたときに発生する音の周波数特性を示
す。
【0059】図6(A)は、剛性が小さいマレットの加
振力の周波数特性を示すグラフである。横軸に周波数
「Hz]、縦軸にレベル[N]をとり、各周波数におけ
るレベルの大きさを表している。周波数が、低周波数か
ら高周波数に変化すると、その周波数におけるレベルは
小さくなって行き、かつ、周波数に対してレベルが凹形
(下に向かって凸形)の変化を示す。
【0060】図6(B)は、マレットにより叩かれるパ
ッドのモビリティの周波数特性を示すグラフである。横
軸に周波数[Hz]、縦軸にモビリティ[m/N・s]
をとり、各周波数におけるモビリティの大きさを表して
いる。モビリティとは、単位が示すように速度[m/
s]を力[N]で割ったものであり、動きやすさを示
す。
【0061】図6(C)は、図6(B)に示す周波数特
性を有するパッドを、図6(A)に示す周波数特性を有
する剛性が小さいマレットで叩いたときに発生する音の
周波数特性を示す。横軸に周波数[Hz]、縦軸に速度
[m/s]をとる。この周波数特性は、図6(A)に示
すレベル[N]と図6(B)に示すモビリティ[m/N
・s]の乗算を行うことにより得られる。したがって、
発生する音の周波数特性には、剛性が小さいマレットの
特性を示す凹形の周波数特性が反映されている。そし
て、この図に示された周波数特性の音が、いわゆるやわ
らかい音といわれる音色となって人間の耳に聞こえる。
【0062】図7は、剛性が大きいマレットを用いてパ
ッドを叩いたときに発生する音の周波数特性を示す。図
7(A)は、剛性が大きいマレットの加振力の周波数特
性を示すグラフである。横軸に周波数「Hz]、縦軸に
レベル[N]をとる。周波数が、低周波数から高周波数
に変化すると、周波数に対してレベルが上に向かって凸
形の変化を示す。剛性が大きいマレットは図に示すよう
な凸形の周波数特性を示し、剛性が小さいマレットは図
6(A)に示すような凹形の周波数特性を示す。
【0063】図7(B)は、マレットにより叩かれるパ
ッドのモビリティの周波数特性を示すグラフである。横
軸に周波数[Hz]、縦軸にモビリティ[m/N・s]
をとる。この周波数特性は、図6(B)に示す剛性が小
さいマレットにより叩いたパッドと同じ特性である。
【0064】図7(C)は、図7(B)に示す周波数特
性を有するパッドを、図7(A)に示す周波数特性を有
する剛性が大きいマレットで叩いたときに発生する音の
周波数特性を示す。横軸に周波数[Hz]、縦軸に速度
[m/s]をとる。発生する音の周波数特性には、剛性
が大きいマレットの特性を示す凸形の周波数特性が反映
されている。この図に示された周波数特性の音が、いわ
ゆるかたい音といわれる音色となって人間の耳に聞こえ
る。
【0065】以上のように、同じパッドを用いても、マ
レットの剛性の大きさが異なれば、異なる周波数特性の
音が発生する。また、図6(A)および図6(B)に示
すようにマレットの剛性の大きさが異なれば、加振力の
周波数特性が異なる。
【0066】図5は、マレットでパッドを叩いた時にお
ける加振力の力積の周波数特性を示したグラフである。
縦軸はパッドに加わった加振力の力積[N・s]を示
し、横軸は周波数[Hz]を示す。図示の特性は図2の
特性と同様に解析用の測定系で得たものであるが、その
特徴は広く打撃系に適用することができる。
【0067】剛性の異なる5種類のマレット(kp =1
000,500,300,200,100[N/M
M])を用いてパッドを叩いた。剛性の大きいマレット
(kp =1000[N/MM])は、0[Hz]から1
000[Hz]位まで周波数が大きくなるに連れて徐々
に力積が小さくなっている。
【0068】一方、剛性の小さなマレット(kp =10
0[N/MM])は、0[Hz]から350[Hz]位
まで周波数が大きくなるに連れて徐々に力積が小さくな
っている。そして、それより高周波数においては、非常
に小さなレベルの力積しか存在しない。
【0069】つまり、剛性が小さくなるほど、周波数の
変化に対する力積の変化分が大きくなる。そして、高周
波数における力積の成分が小さくなる。この特性を利用
すれば、マレットの剛性の大きさを検出することができ
る。
【0070】例えば、バンドパスフィルタ等を用いて適
当な3種類の周波数における力積をそれぞれ調べ、それ
らの力積の関係を調べれば、力積の周波数分布が判り、
マレットの剛性の大きさを検出することができる。そし
て、マレットの剛性の違いより発音する音色や音量等の
演奏情報を変化させる。
【0071】このようにマレット等の打撃部材の種類を
変えることにより、発音する音を変化させることができ
る。このような特性を取り入れることにより、より変化
に富んだ楽音を発生できる電子打楽器を実現することが
できる。
【0072】なお、音色を変化させる方法として、マレ
ットの剛性に応じて適した音色波形番号を選択決定する
場合について説明したが、これに限定されない。例え
ば、LPFを用いてマレットの剛性が大きい時にはLP
Fのカットオフ周波数を高くして、剛性が小さい時には
LPFのカットオフ周波数を低くすることによっても音
色変化を実現することができる。
【0073】また、異なる剛性を有するマレットを用い
てパッドを叩くことにより、発音する音色や音量等を変
化させる電子打楽器について説明したが、これはマレッ
トの材質が異なることを条件とするものではない。マレ
ット等の打撃部材の種類が異なれば、発音する音の音色
を変化させることができる。例えば、マレットの長さや
太さ等の形状が異なることによっても異なる音色波形ま
たは演奏情報を発生させることができる。
【0074】なお、以上の記載に基づき、電子打楽器と
同様、打撃部材により被打撃部材を叩くことにより発生
する打撃力を検出する工程と、前記打撃力から打撃部材
の種類を検出する工程と、前記打撃部材の種類より楽音
信号を制御する工程とを含む楽音信号生成方法が提供さ
れることは自明であろう。
【0075】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組合わせ等が可能なことは当業者に自
明であろう。
【0076】
【発明の効果】被打撃部材が受けた打撃力を検出処理し
て楽音信号を制御することによって、音色等を変化さ
せ、演奏にバリエーションを持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による電子打楽器の全体構成
を示すブロック図である。
【図2】 種類の異なるマレットでパッドを叩いた時に
発生する加振力を時間変化に対して示したグラフであ
る。
【図3】 電子打楽器の処理のメインルーチンを表すフ
ローチャートである。
【図4】 電子打楽器の処理中に発生する割込み処理を
表すフローチャートである。
【図5】 種類の異なるマレットでパッドを叩いた時に
おける加振力の力積の周波数スペクトルを示したグラフ
である。
【図6】 剛性が小さいマレットを用いてパッドを叩い
たときに発生する音の周波数特性を示す。図6(A)
は、剛性が小さいマレットの加振力の周波数特性を示す
グラフであり、図6(B)は、マレットにより叩かれる
パッドのモビリティの周波数特性を示すグラフであり、
図6(C)は、図6(B)に示す周波数特性を有するパ
ッドを、図6(A)に示す周波数特性を有するマレット
で叩いたときに発生する音の周波数特性を示す。
【図7】 剛性が大きいマレットを用いてパッドを叩い
たときに発生する音の周波数特性を示す。図7(A)
は、剛性が大きいマレットの加振力の周波数特性を示す
グラフであり、図7(B)は、マレットにより叩かれる
パッドのモビリティの周波数特性を示すグラフであり、
図7(C)は、図7(B)に示す周波数特性を有するパ
ッドを、図7(A)に示す周波数特性を有するマレット
で叩いたときに発生する音の周波数特性を示す。
【符号の説明】
1 マレット、 2 パッド、 3 感知部、
4 エンベロープ抽出器、 5 Amp、 6 A
/D変換器、 7 スイッチ、 8 音源、 9
サウンドシステム、 10 CPU、 11 タ
イマ、 12ROM、 13 RAM、 14
バス

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 打撃部材(1)を用いて叩くことによ
    り、楽音信号を生成する電子打楽器であって、 楽音信号を生成するために打撃部材で叩く被打撃部材
    (2)と、 前記被打撃部材に加えられた打撃力を検出する打撃力検
    出手段(3)と、 前記打撃力検出手段が検出した打撃力の時間変化に基づ
    いて、打撃部材の種類を検出する打撃部材検出手段と、 前記打撃部材検出手段が検出した打撃部材の種類により
    楽音信号を制御する楽音制御手段とを有する電子打楽
    器。
  2. 【請求項2】 打撃部材(1)を用いて叩くことによ
    り、楽音信号を生成する電子打楽器であって、 楽音信号を生成するために打撃部材で叩く被打撃部材
    (2)と、 前記被打撃部材に加えられた打撃力を検出する打撃力検
    出手段(3)と、 前記打撃力検出手段が検出した打撃力の力積の周波数特
    性に基づいて、打撃部材の種類を検出する打撃部材検出
    手段と、 前記打撃部材検出手段が検出した打撃部材の種類により
    楽音信号を制御する楽音制御手段とを有する電子打楽
    器。
JP28119293A 1993-11-10 1993-11-10 電子打楽器 Expired - Fee Related JP3430585B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28119293A JP3430585B2 (ja) 1993-11-10 1993-11-10 電子打楽器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28119293A JP3430585B2 (ja) 1993-11-10 1993-11-10 電子打楽器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07134583A JPH07134583A (ja) 1995-05-23
JP3430585B2 true JP3430585B2 (ja) 2003-07-28

Family

ID=17635635

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28119293A Expired - Fee Related JP3430585B2 (ja) 1993-11-10 1993-11-10 電子打楽器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3430585B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4054852B2 (ja) * 2005-02-24 2008-03-05 国立大学法人九州工業大学 楽音生成方法およびその装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07134583A (ja) 1995-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10902830B2 (en) Signal supply device, keyboard device and non-transitory computer-readable storage medium
EP2571018B1 (en) Acoustic effect impartment apparatus, and piano
US10937403B2 (en) Signal supply device, keyboard device and non-transitory computer-readable storage medium
US8710347B2 (en) Performance apparatus and electronic musical instrument
JPH1020854A (ja) 電子打楽器装置および電子打楽器装置における打撃検出装置
JP2546097B2 (ja) 電子楽器
JPH04191894A (ja) 鍵盤楽器
JP3135687B2 (ja) 電子打楽器
JP3430585B2 (ja) 電子打楽器
JP2021067752A (ja) 電子打楽器、電子楽器、情報処理装置、及び情報処理方法
JP5030016B2 (ja) 楽音発生装置および楽音発生処理プログラム
JPH0580750A (ja) 鍵盤楽器
JP3624780B2 (ja) 楽音制御装置
JP2744257B2 (ja) 電子打楽器
JP2015225332A (ja) 楽音発生装置、電子楽器、楽音発生方法およびプログラム
JP7172423B2 (ja) 電子鍵盤楽器、方法およびプログラム
JP3584585B2 (ja) 電子楽器
JP2008033111A (ja) 楽音発生装置
JPH0695672A (ja) 電子打楽器
JPH06118946A (ja) 電子打楽器
KR950010018B1 (ko) 전자악기의 메트로놈음 강,약 조절방법
JP5029729B2 (ja) 演奏装置および電子楽器
JP2739414B2 (ja) 電子打楽器
JP3509120B2 (ja) 電子楽器
JP3716701B2 (ja) 発音チャンネル割り当て方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030422

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090523

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100523

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees