JP3422376B2 - 抗菌性アクリロニトリル系繊維の製造方法 - Google Patents

抗菌性アクリロニトリル系繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は衣料用途の他、一般資材
用途等多岐に亘り使用することのできる水難溶性である
金属化合物を含有した実用性能の高いカチオン染料可染
性を有する抗菌性アクリロニトリル(以下ANと略する)
系繊維の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、社会の成熟化や高齢化の進展、豊
かで快適な生活環境を求める傾向に伴い、健康の維持、
増進に対する要望が高まり、より清潔で快適な抗菌性能
を有する衣料、寝装、インテリア製品或いは生活資材等
の出現が望まれている。 【0003】そこで、抗菌性能を付与する方法の1つと
して、銀イオン又は銅イオンが優れた抗菌性を示すこと
が知られており、これら金属イオンの特性を利用して繊
維に抗菌性を付与する方法が知られている。例えば、ア
クリル系繊維に銀イオンを付与する方法として特開昭5
2−92000号公報と特開平3−199418号公報
に記載されているようにスルホン酸基、カルボン酸基、
水酸基等のイオン交換性基を有するアクリル繊維におい
て、該イオン交換性基の一部もしくは全部に銀イオンま
たは銅イオンを結合して該金属の化合物として残存せし
めた抗菌性AN系繊維を提供する手段が挙げられてい
る。 【0004】また、抗菌性能を付与する異なる方法の1
つとして、低分子量品、高分子量品を問わず、これまで
多くの抗菌剤が提案されており、その作用機構も明らか
にされてきている。中でも、第4級アンモニウム塩やプ
ロトン化アミン等のカチオン型抗菌剤は、細胞膜破壊に
より強い殺菌性能を発揮することが知られており、広く
用いられている。例えば、これを用いて繊維を形成する
重合体自身に抗菌性を付与する方法としては、特公昭5
8−10510号公報にジオール成分の一部又は全部
に、第3級アミノ基を分子中に有する二価アルコールを
用いてポリエステル系又はポリウレタン系繊維を形成さ
せ、次いでハロゲン化炭化水素と反応させて繊維中に第
4級アンモニウム塩基を導入して抗菌性繊維素材とする
手段が挙げられている。 【0005】しかしながら、イオン交換性基に銀又は銅
の金属イオンを結合した繊維を、カチオン染料で染色す
ると染着座席が金属イオンで封鎖されているために染色
性が得られない、または染料が金属イオンと交換され金
属イオンの脱落が起こり、抗菌性能が死活するといった
問題を生じる。また、第4級アンモニウム塩基を導入し
た抗菌性繊維素材をアニオン染料で染色を行った場合、
抗菌サイトと染着座席が同じ第4級アンモニウム塩基又
はアミノ基であるため、染色すると抗菌サイトが染料に
封鎖されて抗菌性能が低下することがあるといった問題
を生じる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した問題点がなく、染色によって抗菌性が低下すること
なく且つ少量の抗菌サイト量で優れた抗菌性能を有する
と共にカチオン染料可染性を有する抗菌性AN系繊維
(以下、単に抗菌性AN系繊維ともいう)の製造方法を
提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】このような本発明の上記
目的は、カチオン染料可染性AN系繊維に、抗菌性を有
し且つ25℃の純水中24時間抽出による繊維中金属イ
オン保持率が95%以上である金属化合物を形成し得る
金属イオンを含有する水溶液で、カチオン染料可染性基
に該金属イオンを結合せしめる第1の処理の後、該金属
化合物を形成するのに対応した陰イオンを含有する水溶
液で該金属化合物を形成せしめる第2の処理を、1回以
上施すことを特徴とする手段により達成される。 【0008】以下、本発明を詳述する。上述の如き特異
性能を有する抗菌性AN系繊維において、AN系繊維は
カチオン染料可染性AN系重合体によって形成されてい
る限り特に制約はないが、好ましくは60重量%以上、
更に好ましくは80重量%以上のANと0.5〜20重
量%の酸性基含有単量体と必要に応じて、例えば酢酸ビ
ニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、
塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル又はビニリデン
類;アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル等の(メ
タ)アクリル酸低級アルキルエステル類(以下、(メ
タ)アクリルの記載はアクリルとメタアクリルの両方を
表現するものとする);アクリルアミド、スチレン等の
中から採択された1種類以上の単量体とからなるAN系
共重合体から形成されるカチオン染料可染性AN系繊維
を用いることが望ましい。 【0009】ここで、酸性基含有単量体としては、AN
と共重合することができる限り特に限定されないが、メ
タアリルスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸、パラスチレンスルホン酸ソ
ーダー、ビニルスルホン酸ソーダ等のスルホン酸基含有
単量体、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のカルボン
酸基含有単量体を挙げることができる。 【0010】本発明においては、係るカチオン染料可染
性AN系繊維中の金属塩型カチオン染料可染性基の金属
イオンと、他の陰イオンとの反応により形成される金属
化合物を含有することが必要である。 【0011】係る金属塩型カチオン染料可染性基の金属
イオンとしては、使用する上での安全性、抗菌性効果の
観点から、銀、銅、亜鉛でなる群から選ばれた金属イオ
ンの中の少なくとも1種を採択することにより実施され
る。もちろん、複数種を組み合わせて使用することも構
わない。 【0012】また、該金属イオンと組み合わされて反応
を行い、金属化合物を形成するための陰イオンとして
は、上述した繊維中のカチオン染料可染性基の金属イオ
ンと反応して、後述する水難溶性を示す化合物を形成す
る能力を有するものであり、さらに使用する上での安全
性や抗菌効果の耐久性の観点からピロ燐酸、ポリ燐酸、
珪酸、アルミン酸、タングステン酸、バナジン酸、モリ
ブデン酸、アンチモン酸、臭素、沃素、硫黄、臭素酸、
沃素酸、亜硫酸、チオ硫酸、チオシアン酸、炭酸、修
酸、安息香酸、フタル酸、石炭酸でなる群の中から選ば
れた少なくとも1種類の陰イオン成分を使用することが
必要である。 【0013】係る金属イオンと陰イオンとの反応により
形成され、繊維中に含有され抗菌性を示す金属化合物
は、水に対して難溶性を示すことが必要である。係る性
質を有することにより、漂白処理、染色処理、さらに洗
濯処理を行っても繊維中の金属化合物が脱落乃至は易溶
出することが無く優れた抗菌性を恒久的に付与すること
ができる。なお、本願発明でいう水難溶性とは、25℃
の純水100gに繊維10gを投入し24時間攪拌処理
した後、水洗・乾燥した後の繊維の金属イオン含有量
が、未処理の繊維の金属イオン含有量の95%以上のも
のを意味する。 【0014】またここで、本発明において繊維に含有せ
しめるべき抗菌性を示す金属化合物は、特に限定はない
が、より好ましくは繊維に対して金属イオンとして1〜
200m・mol/kg含有させるのが良い。即ち金属
化合物の含有量は要求される抗菌性のレベルにより異な
り、係る範囲の下限に満たない場合は生活環境での充分
な抗菌性能が得られ難く、上限を越える場合は、繊維が
乾燥等の熱処理工程で著しく着色する問題が生じ易い。
さらに係る範囲内で生活用途或いは工業用途への充分な
抗菌性能が恒久的に得られることから上述した範囲を越
えてまで含有せしめることは、不必要にコストが高くな
り工業的に有利でない。 【0015】ただし、上述した如く、カチオン染料可染
性基の金属イオンと他の陰イオンとの反応により、繊維
中に金属化合物を形成し含有せしめる手段を用いるとい
う本発明の特徴により、カチオン染料可染性基に再度金
属イオンを付与した後に、他の陰イオンと反応を行うこ
とができ、1度ならず複数回処理が可能であり、コス
ト、着色の問題がなければ、繊維中に含有しているカチ
オン染料可染性基の含有量に依存すること無く任意の金
属化合物含有量を設定することもできる。 【0016】上述の如き抗菌性AN系繊維を得る好適な
方法として、下記の手段を用いることができる。即ち、
前述したカチオン染料可染性基としての酸性基を含有す
るAN系重合体を通常の紡糸を行い、周知乃至公知の如
き水洗、延伸、熱処理を行うことにより得られるカチオ
ン染料可染性AN系繊維を、金属イオン水溶液で処理し
て繊維中の酸性基に金属イオンを結合せしめる第1の処
理の後、金属イオンと結合して水難溶性金属化合物を形
成する能力を有する陰イオンを含有する化合物水溶液で
処理する第2の処理を、1回以上施すことにより繊維中
に水難溶性金属化合物を含有させることができる。 【0017】ここで、第1の処理において、抗菌性を示
す金属イオンを含有する化合物水溶液中でカチオン染料
可染性AN系繊維を処理するにあたり、処理濃度はAN
系繊維を溶解したり、物性を阻害することがなく、最終
的に繊維中に抗菌性を有する金属化合物を所定量付与し
得る金属イオンを酸性基に結合し得る限り特に限定され
ないが、概ね1〜500m・mol/lの濃度が推奨さ
れる。また、処理温度はAN系繊維の物性を阻害するこ
とのない範囲であれば良く概ね30〜140℃の範囲で
適宜採択され、処理時間は処理温度により設定される。 【0018】また、抗菌性を示す金属イオンを含有する
化合物水溶液で処理する際の水溶液のpHは、抗菌性を
示す金属イオンと上述した酸性基とが結合すれば良い
が、pHが高いと水酸化金属が発生し、繊維中に水溶液
として金属イオンの導入が困難になり易いとか、また、
pHが低いと繊維中の酸性基と金属イオンが結合し難く
なる等の問題点を生じるので、概ねpH=2〜4で処理
することが好ましい。 【0019】係る金属塩型カチオン染料可染性基に担持
させる金属イオンとしては、使用する上での安全性、抗
菌性効果の観点から、銀、銅、亜鉛でなる群から選ばれ
た金属イオンの中の少なくとも1種を採択することによ
り実施される。もちろん、複数種を組み合わせて使用す
ることも構わない。 【0020】さらに、第1の処理を行った後に施す第2
の処理において使用する化合物としては、繊維のカチオ
ン染料可染性基と結合している金属イオンと反応して水
難溶性化合物を形成する能力を有するものであり、さら
使用する上での安全性や抗菌効果の耐久性の観点から
ピロ燐酸、ポリ燐酸、珪酸、アルミン酸、タングステン
酸、バナジン酸、モリブデン酸、アンチモン酸、臭素、
沃素、硫黄、臭素酸、沃素酸、亜硫酸、チオ硫酸、チオ
シアン酸、炭酸、修酸、安息香酸、フタル酸、石炭酸で
なる群の中から選ばれた少なくとも1種類の陰イオン成
分を使用することが必要である。 【0021】ここで、第2の処理において使用する陰イ
オンを含有する化合物の量は、第1の処理によって繊維
中に導入された、金属イオンを水難溶性化合物に変換で
きる量で処理するために、特に金属イオンと水溶性の錯
体を形成するおそれのある陰イオンで処理する場合に
は、錯体が形成されない範囲の陰イオンの量を適宜採択
することが好ましく、また、処理温度はAN系繊維の物
性を阻害することのない範囲であれば良く、概ね30〜
140℃の範囲で適宜採択され、処理時間は処理温度に
より設定される。 【0022】繊維中のカチオン染料可染性基に抗菌活性
を示す金属イオンの結合を行う第1の処理と、その後該
金属イオンと他の陰イオンの反応により水難溶性化合物
の形成を行う第2の処理を1回以上施すことにより、繊
維全層に抗菌性を有し且つ水難溶性を示す金属化合物を
必要量導入することができ、また、第1の処理と第2の
処理の間でまたは第1の処理と第2の処理を複数回行う
間で、かかる金属イオンを死活することの無い処理であ
れば別の処理を行う事も妨げず、従ってこの第1の処理
と第2の処理は必ずしも連続して行う必要はない。 【0023】上述した処理方法の他に、例えば、紡糸さ
れた後の繊維形成過程にあるゲル構造繊維を用いて、紡
糸溶剤を除去する水洗工程の後に引き続いて上記処理を
連続的に行うこともでき、また熱処理後の乾燥処理した
トウ状の繊維を連続的に本発明処理しても良い。 【0024】 【作用】本願に係る抗菌性AN系繊維は、カチオン染料
可染性繊維を用いて、繊維中に存在する酸性基に特定の
抗菌性を有する金属化合物水溶液で処理し、金属イオン
を結合せしめた後、金属イオンと結合して水難溶性金属
化合物を形成する能力を有する陰イオンを含有する化合
物水溶液で処理することで、繊維中の酸性基から金属イ
オンが脱離して該陰イオンと結合し、分子オーダーの微
細な水難溶性の抗菌性金属化合物が生成して繊維に保持
されると考えられる。また、実質的に繊維中に存在する
酸性基を介在すること無く金属化合物が繊維に付与され
るため、複数回処理を行うことも可能であり、さらに一
度乃至複数回金属化合物を付与する処理を行った後に
も、繊維中の酸性基が死活すること無く、アクリル繊維
の特徴である染色性を何ら阻害することが無い。係る特
殊性が、本発明の諸特性や機能を発現するのであろう。 【0025】 【実施例】以下に本発明の理解を容易にするために実施
例を示すが、これらはあくまで例示的なものであり、本
発明の要旨はこれらにより限定されるものではない。な
お、実施例中、部及び百分率は特に断りのない限り重量
基準で示す。なお、実施例において記述する金属イオン
濃度、抗菌性能および染色性は下記の方法で測定したも
のである。 (1)金属イオン含有量 0.1grの繊維を、95%の濃硫酸と62%の濃硝酸
溶液で湿式分解した溶液を日本ジャ−レルアッシュ
(株)製原子吸光分析装置AA855型を用いて原子吸
光度を測定して求めた。 (2)抗菌性 繊維製品衛生加工協議会「抗菌防臭加工製品の加工効果
試験」を基に、黄色葡萄状球菌を用いて、菌数測定を行
い数1により増減値差を求めた。 【0026】 【数1】 【0027】ここで、増減値差とは、無加工試料につい
て接種直後の平均菌数をA、18時間培養後の平均菌数
をBとし、抗菌加工試料の18時間培養後の平均菌数を
Cとして数1により算出する。ここで、測定回数は3回
行いその平均値で以て表示するが、一般に増減値差が
1.6以上あれば抗菌性能が有ると見なされる。 【0028】(3)染色性 次に示す条件で染色を行い、常法に従い残液比色法で吸
光度を測定して数2により染着度を求めた。 染 液 : 住友化学(株)製、カチオン染料 Sumiacryl Orange 3R 3.5%owf pH 調整剤 : 酢酸 3.0%owf 浴 比 : 1/100 温 度 : 93℃ 時 間 : 60分 測定法 : 日立製作所(株)製 U-2000 型を用い
て、470nmの光に対する吸光度を測定した。 【0029】 【数2】 【0030】(4)金属イオン保持率 10gの繊維を25℃純水100gに投入し24時間攪
拌後、水洗・乾燥処理した繊維と元の未処理繊維につい
て繊維中の金属イオン含有量を測定して数3により金属
イオン保持率を求めた。 【0031】 【数3】 【0032】実施例1 常法に従って重合して得られたAN91.1%、アクリ
ル酸メチルエステル8.6%、メタアリルスルホン酸ソ
ーダー0.3%からなるAN系重合体を、濃度45%の
ロダンソーダ水溶液に溶解し、重合体濃度が12%であ
る紡糸原液を作成した。該原液を10%、−3℃のロダ
ンソーダ水溶液中に公知である口金を用いて押し出し、
次いで水洗、延伸、熱処理を行い、スルホン酸含有量が
0.31m・mol/gである試料No.1のカチオン
染料可染性AN系繊維を作成した。銀イオン溶液として
硝酸銀水溶液を、銅(II)イオン溶液として硫酸銅水
溶液を、亜鉛イオン溶液として塩化亜鉛水溶液を各々5
0m・mol/lに調整し、該水溶液1000mlの各
々を1%の硝酸水溶液でpH3にした後、上記で作成し
たNo.1の繊維100gを投入して、98℃で30分
間処理を行い、水洗、乾燥を行い第1の処理を施したN
o.2〜4の3種類の繊維を作成した。 第2の処理と
して、ピロ燐酸イオン水溶液として酸性ピロ燐酸ナトリ
ウム、アルミン酸イオン水溶液としてアルミン酸ナトリ
ウム、硫黄イオン水溶液とし水硫化ナトリウム、チオシ
アン酸イオン水溶液としてチオシアンナトリウム、修酸
イオン水溶液として修酸ナトリウム、フタル酸イオン水
溶液としてフタル酸水素カリウムを各々30m・mol
/lに調整し、該水溶液100mlに上記で作成したN
o.1〜4の4種類の繊維10gの割合で各々投入し
て、98℃で30分間処理を行い、水洗、乾燥を行い、
第1の処理および第2の処理を施したNo.5〜13の
9種類のAN系繊維を作成した。該繊維の金属イオン含
有量、染色性および抗菌性を示す菌数増減値差をそれぞ
れの第1の処理の金属イオンの種類及び第2の処理に採
用した陰イオンの種類と共に表1に併示する。 【0033】 【表1】 【0034】表1で示すようにNo.2〜4の第1の処
理のみ施した繊維は、本願発明であるNo.5〜13及
び全く処理のないNo.1と比較して染色性が低下して
おり抗菌性は有るものの繊維としての特性に欠けるもの
であることが理解される。これに対し本願発明品は抗菌
性を有しながら且つ、染色性も高く維持されている。こ
の事はカチオン染料可染性基が金属イオンにより封鎖さ
れていないことを示すものである。 【0035】実施例2 上記繊維試料No.1〜13の染色性を測定して得られ
た染綿について、JIS−L−0217,103法に従
い、水1lに対して2gの割合で合成洗剤(第1工業製
薬(株)製モノゲンユニ)を溶解し、この洗濯液を40
℃にして、浴比が1対30になるように繊維を投入して
洗濯を10回繰り返したNo.14〜26の繊維を作成
した。該繊維の金属イオン含有量および抗菌性を示す菌
数増減値差を表2に示す。 【0036】 【表2】【0037】表2に示すように、本願発明のNo.18
〜26はNo.14〜17に比較して優れた洗濯耐久性
を示し且つ優れた抗菌性が維持されることが明瞭に理解
できる。これに較べ本発明を充たさないNo.14〜1
7は金属イオンがほとんど脱落し、抗菌性も失ってしま
うことが明らかである。 【0038】実施例3 実施例1で作成したNo.1の繊維10gを用い、第1
の処理として硝酸銀の20m・mol/l水溶液100
mlを1%の硝酸水溶液でpH3.0に調整し98℃で
30分間処理を行い水洗後、第2の処理として酸性ピロ
燐酸ナトリウムの5m・mol/l水溶液100mlに
第1の処理を行った繊維を投入して、98℃で30分間
処理を行い、水洗する。係る第1の処理及び第2の処理
操作を同一繊維試料について各々3回実施した。各回毎
に第2の処理操作後の試料について水洗、乾燥し繊維試
料No.27〜29の3種類の抗菌性AN系繊維を作成
した。試料No.27〜29について染色性、金属イオ
ン含有量即ち銀イオン含有量、抗菌性能を測定した結果
を表3に示す。 【0039】 【表3】 【0040】表3に示すように、処理回数の増加に従い
金属イオン含有量が増加し、繊維中の染着座席であるス
ルホン酸の等量以上の金属イオン量を含有させることが
できる。これに応じて抗菌性も極めて高くなるが、染色
性は高く維持されている。 【0041】実施例4 実施例1におけるNo.6、No.8、No.13に対
応する第2の処理として、過塩素酸イオンとして過塩素
酸ナトリウム、塩素イオンとして塩化ナトリウム、酢酸
イオンとして酢酸ナトリウムを用いる他は実施例1と同
じ処理を行いNo.30〜32の試料を作成した。実施
例1で作成したNo.6、No.8、No.13と上述
のNo.30〜32について金属イオン保持率の測定と
金属イオン含有量、抗菌性能としての増減値差を測定し
た。次いで実施例2と同じ条件で洗濯を10回行ったの
ちの繊維について金属イオン含有量、増減値差を測定
し、これらの結果を表4及び表5に示す。 【0042】 【表4】 【0043】 【表5】 【0044】表4並びに表5に示すように、本願発明品
のNo.6、No.8、No.13については金属イオ
ン保持率が95%以上であり洗濯後の金属イオン含有
量、抗菌性能共に高く維持されている。これに対して本
発明外のNo.30〜32は金属イオン保持率が90%
未満と低く洗濯後の金属イオン含有量、抗菌性能が大き
く低下していることが理解される。 【0045】 【発明の効果】上述した本発明の抗菌性AN系繊維は、
カチオン染料可染性AN系繊維中の酸性基を利用して、
抗菌能を有する金属イオンを導入した後、金属イオンと
結合して水難溶性金属化合物を形成する陰イオンで処理
することによって、繊維中に分子オーダーの微細な水難
溶性の抗菌性金属化合物が生成して繊維に保持されると
考えられる。かかる原理により、少量の金属化合物の含
有でありながら恒久的で且つ優れた抗菌性が付与され、
さらに繊維物性、繊維白度、繊維透明度、繊維の染色性
が損なわれることのない繊維を提供し、且つ該繊維を工
業的有利に製造する方法を提供し得たことが、本発明の
特筆すべき効果である。このように優れた利点を有する
本発明繊維は、糸、編織物、不織布等に加工することが
でき、快適な衣料、寝装、インテリア製品、生活資材、
産業資材、医療用繊維資材等の用途分野に広く用いられ
る。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 カチオン染料可染性アクリロニトリル系
    繊維に、抗菌性を有し且つ25℃の純水中24時間抽出
    による繊維中金属イオン保持率が95%以上である金属
    化合物を形成し得る金属イオンを含有する水溶液で、カ
    チオン染料可染性基に該金属イオンを結合せしめる第1
    の処理の後、該金属化合物を形成するのに対応した陰イ
    オンを含有する水溶液で該金属化合物を形成せしめる第
    2の処理を、1回以上施すことを特徴とするカチオン染
    料可染性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維の製造
    方法。
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JP4062471B2 (ja) 1999-09-22 2008-03-19 日本エクスラン工業株式会社 光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維
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