JP3420458B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents

圧電磁器組成物

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JP3420458B2
JP3420458B2 JP07981597A JP7981597A JP3420458B2 JP 3420458 B2 JP3420458 B2 JP 3420458B2 JP 07981597 A JP07981597 A JP 07981597A JP 7981597 A JP7981597 A JP 7981597A JP 3420458 B2 JP3420458 B2 JP 3420458B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、圧電磁器組成物に
係わり、例えば発振子、超音波振動子、超音波モータ及
び加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧
電センサなどに適する耐熱衝撃性に優れた、特に厚み縦
振動の3次オーバートーンを利用する、高周波用として
最適な圧電磁器組成物に関する。 【0002】 【従来技術】従来から、圧電磁器組成物を利用した製品
としては、例えば、フィルタ、共振子、発振子、超音波
振動子、超音波モータ、圧電センサ等がある。 【0003】ここで、発振子は、マイコンの基準信号発
振用として、例えば、コルピッツ型発振回路等の発振回
路に組み込まれて利用される。図1はコルピッツ型発振
回路を示すもので、このコルピッツ型発振回路はコンデ
ンサ11,12と抵抗13とインバータ14及び発振子
15により構成されている。そして、コルピッツ型発振
回路において、発振信号を発生するには、以下の発振条
件を満足する必要がある。 【0004】インバータ14と抵抗13からなる増幅器
における増幅率をα、移相量をθ1とし、また、発振子
15とコンデンサ11,12からなる帰還回路における
帰還率をβ、移相量をθ2 としたとき、ループゲインが
α×β≧1であり、かつ、移相量がθ1 +θ2 =360
×n(但しn=1,2,…)であることが必要となる。 【0005】一般的に抵抗13及びインバータ14から
なる増幅器は、マイコンに内蔵されている。誤発振や不
発振を起さない、安定した発振を得るためにはループゲ
インを大きくしなければならない。ループゲインを大き
くするには、帰還率βのゲインを決定する、発振子のP
/V値、すなわち共振インピーダンスR0 及び反共振イ
ンピーダンスRa の差を大きくする事が必要となる。
尚、P/V値は20×Log(Ra /R0 )の値として
定義される。 【0006】また、移相量の条件を満足させるために
は、共振周波数と反共振周波数の間及びその近傍にスプ
リアスが発生しない事が重要となる。 【0007】従来、この種の圧電磁器材料としては、P
bTiO3 やPb(TiZr)O3を主成分としたも
の、あるいはこれらに更に第2成分、第3成分として、
Pb(Mn1/3 Nb2/3 )O3 やPb(Ni1/3 Nb
2/3 )O3 などを固溶させたもの等が知られている。特
に、PbTiO3 を主成分とした磁器組成物の場合、広
がり振動に比べて厚み縦振動の電気機械結合係数が大き
いことから、厚み縦振動を利用した発振子においては、
広がり振動によるスプリアスの影響が小さくなり、さら
に比誘電率が400〜700と小さく10MHz以上の
高周波領域での使用が可能になるなどの特徴を有してい
た。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のPbTiO3 を主成分とした、圧電磁器組成物
においては、発振を開始させるための重要な因子、すな
わち帰還率βを決定する厚み縦振動の3次オーバートー
ンのP/V値が小さいため、増幅率αの比較的小さな増
幅器を内蔵したマイコンなどにおいては動作しない不発
振などの問題があった。 【0009】また、リフロー耐熱やヒートショックなど
の耐熱性が良好なものはP/V値が小さく、CD−RO
MやHDDなどに用いられる33.86MHzの発振子
の場合を例にとると、厚み縦振動の3次オーバートーン
のP/V値は60dBが上限であり、また50.8MH
zにおいては43dBが上限であった。このように周波
数が高くなるに従い、P/V値が小さくなるため、高周
波になるに従い、誤発振や不発振の頻度が急激に増加す
るという問題があった。 【0010】さらに、3次オーバートーンでのP/V値
に対して、基本波のP/V値が大きく、そのため基本波
で発振してしまう誤発振が問題になっていた。このよう
に情報処理速度の高速化に伴い発振周波数の高周波化が
進み、特に30MHzから60MHzの高周波領域にお
いては、3次オーバートーンでのP/V値が小さくな
り、不発振を起しやすくなることから適用できるマイコ
ンが極めて限定されるなどの問題があった。 【0011】さらにまた、P/V値が小さいと回路定数
の設定条件を厳しくしなければならず、特にコンデンサ
11と12との容量設定の許容が狭くなり、さらに容量
比を1:1にしなければならないなどにより、容量選別
工程が不可欠となり、選別及び組合せ工程が繁雑になり
生産性が低下してしまうなどの問題があった。 【0012】従って、本発明は、基本波のP/V値を小
さくしながら、3次オーバートーンでのP/V値を大き
くし、さらにスプリアスの発生を無くすことで、安定し
た発振を保証するとともに発振周波数の温度安定性に優
れ、さらにリフロー耐熱やヒートショックの耐熱性に優
れた、高信頼性が得られる、特に10MHz以上の3次
オーバートーンを用いた高周波の発振子に適した圧電磁
器組成物を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の圧電磁器組成物
は、金属元素としてPb、La、Sr、Ba、Sb、M
nおよびTiと、Co、YbおよびInのうち少なくと
も一種を含むペロブスカイト型複合酸化物であって、モ
ル比による組成式を、 (Pb1-x-y-z k Lax Sry Baz (Co1/3 Sb
2/3 a(Yb1/2 Sb1/2 b (In1/2 Sb1/2
c Mnd Ti1-a-b-c-d 3 と表した時、前記x、y、z、k、a、b、cおよびd
が、0.07≦x≦0.13、0.01≦y≦0.0
7、0.01≦z≦0.07、0.94≦k≦1.0
0、0≦a≦0.03、0≦b≦0.03、0≦c≦
0.03、0.01≦a+b+c≦0.04、0.01
≦d≦0.03を満足するものである。 【0014】 【作用】本発明の圧電磁器組成物では、PbTiO3
Pbの一部をLa及びSr、Baで置換し、Tiの一部
をMnと、さらに(Co1/3 Sb2/3 )、(Yb1/2
1/2 )、(In1/2 Sb1/2 )のうち少なくとも一種
で置換し、さらにPb量を化学量論組成より少なくする
ことで、基本波のP/Vを小さくさせながら、3次オー
バートンのP/V値を飛躍的に大きくさせることができ
る。そして、PbTiO3 のPbの一部をBaで置換す
ることにより、Baで置換しない場合よりも発振周波数
の温度安定性を向上できる。これにより、不発振が無く
なり、発振周波数が基本周波数へと移行してしまう誤作
動が無くなるとともに、60MHzまでの高周波に適用
させることができる。さらに、耐熱性に優れていること
からSMD対応が可能となる。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の圧電磁器組成物は、モル
比による組成式を、 (Pb1-x-y-z k Lax Sry Baz (Co1/3 Sb
2/3 a(Yb1/2 Sb1/2 b (In1/2 Sb1/2
c Mnd Ti1-a-b-c-d 3 と表した時、前記x、y、z、k、a、b、cおよびd
が、0.07≦x≦0.13、0.01≦y≦0.0
7、0.01≦z≦0.07、0.94≦k≦1.0
0、0≦a≦0.03、0≦b≦0.03、0≦c≦
0.03、0.01≦a+b+c≦0.04、0.01
≦d≦0.03を満足するものである。 【0016】ここで、x、y、z、k、a、b、cおよ
びdを上記の範囲に設定した理由について説明する。P
bのLaによる適量置換は、特に分極を容易にしP/V
値向上に寄与する。上記組成式において、xを0.07
≦x≦0.13の範囲に設定した理由は、xが0.07
より小さい場合分極がかかりにくくなり、P/V値が小
さくなるためである。0.13よりも大きい場合スプリ
アスの発生が起こりやすくなり、さらにキュリー温度の
大幅な低下をもたらすためリフロー耐熱が著しく劣化す
るためである。xはP/V値を向上し、スプリアスの発
生を抑制し、リフロー耐熱を向上するという観点から、
0.08≦x≦0.10であることが望ましい。 【0017】またPbのSrによる適量置換は、発振周
波数の温度特性に顕著な影響を及ぼす効果があり、上記
組成式において、yを0.01≦y≦0.07の範囲に
設定した理由は、yが0.01未満の場合、−20℃〜
+80℃の温度範囲で発振周波数の温度変化率が±0.
2%の範囲を超えてしまうからである。また、yが0.
07をこえる場合、キュリー温度が下がりリフロー耐熱
が満足できなくなるからである。yは、発振周波数の温
度変化率を±0.2%の範囲内とし、リフロー耐熱を向
上するという観点から、0.02≦y≦0.05である
ことが望ましい。 【0018】またPbのBaによる適量置換は、耐熱性
を維持しながら発振周波数の温度特性に影響を及ぼす効
果があり、上記組成において、zを0.01≦z≦0.
07の範囲に設定した理由は、0.01未満の場合−2
0℃〜+80℃の温度範囲で、発振周波数の温度変化率
が±0.2%を超えてしまうからである。また、0.0
7をこえる場合、キュリー温度が下がりリフロー耐熱が
満足できなくなるからである。 【0019】また、高いリフロー耐熱性を維持しなが
ら、発振周波数の温度特性を大幅に向上するという観点
から、PbのSrとBaの複合置換による効果が大き
く、0.02≦z ≦0.05、0.02≦y≦0.05
であることが望ましい。 【0020】またPbの化学量論組成値より適量少なく
するとP/V値の大幅向上に大きく寄与することができ
る。上記組成式において、kを0.94≦z≦1の範囲
に設定した理由は、kが小さくなるに従いP/V値の向
上が図れるが、0.94より小さいとリフロー耐熱が著
しく劣化するからである。また、1より大きいとP/V
値が低下するからである。従って、kの範囲は、P/V
値の向上を図りながらリフロー耐熱性が充分保たれる範
囲である。kは、リフロー耐熱を向上し、発振周波数F
OSC の変化率を±0.2%の範囲内とするという観点か
ら、0.95≦k≦0.97であることが望ましい。 【0021】Tiの(Co1/3 Sb2/3 )もしくは(Y
1/2 Sb1/2 )もしくは(In1/ 2 Sb1/2 )の少な
くとも一種以上の置換は、3次オーバートーンのP/V
値を大きくしながら、基本波のP/V値を小さくする効
果がある。Tiに対する置換量をそれぞれ0〜0.03
としたのは、a、b、cの単独置換の場合0.03より
多いとP/V値が小さくなるとともに、リフロー耐熱性
が悪化するからである。a、b、cは、P/V値および
リフロー耐熱性を向上し、基本波のP/V値を小さくす
るという観点から、それぞれ0.01≦a≦0.03、
0.01≦b≦0.03、0.01≦c≦0.03を満
足することが望ましい。 【0022】また、0.01≦a+b+c≦0.04の
範囲に設定した理由は、a+b+cが0.01より小さ
いと基本波のP/V値が大きくなり、誤発振を招き易く
なるためである。a+b+cとなるように複合的な置換
を行なうと、置換量の上限が0.04まで拡がり、a+
b+cが0.04を超える置換は、耐熱性を劣化させ
る。a,b,cは、基本波のP/V値を小さくし、リフ
ロー耐熱性を向上するという観点から、それぞれ0.0
15〜0.025であることが望ましい。またa+b+
cの値においても基本波のP/V値を小さくし、リフロ
ー耐熱性を向上するという観点から0.02≦a+b+
c≦0.03であることが望ましい。 【0023】TiのMnによる適量置換は、P/V値の
向上に大きく寄与する。dを0.01≦d≦0.03の
範囲に設定した理由は、dが0.01未満の場合、P/
V値向上にさほど寄与しない。dが0.03より多くな
ると、P/V値を逆に小さくしてしまうからである。d
は、P/V値を向上するという観点から0.02≦d≦
0.03であることが望ましい。 【0024】本発明の圧電磁器組成物は、特に、金属元
素のモル比による組成式を、 (Pb1-x-y-z k Lax Sry Baz (Co1/3 Sb
2/3 a(Yb1/2 Sb1/2 b (In1/2 Sb1/2
c Mnd Ti1-a-b-c-d 3 と表した時、前記x、y、z、k、a、b、cおよびd
が、0.08≦x≦0.10、0.02≦y≦0.0
5、0.02≦z ≦0.05、0.95≦k≦0.9
7、0.01≦a≦0.03、b= 0、c=0、0.0
1≦a+b+c≦0.03、0.02≦d≦0.03を
満足することが望ましい。 【0025】また、本発明の圧電磁器組成物は、金属元
素のモル比による組成式を、 (Pb1-x-y-z k Lax Sry Baz (Co1/3 Sb
2/3 a(Yb1/2 Sb1/2 b (In1/2 Sb1/2
c Mnd Ti1-a-b-c-d 3 と表した時、前記x、y、z、k、a、b、cおよびd
が、0.08≦x≦0.10、0.02≦y≦0.0
5、0.02≦z ≦0.05、0.95≦k≦0.9
7、0.01≦a≦0.03、0.01≦b≦0.0
3、0.01≦c≦0.03、0.02≦a+b+c≦
0.03、0.02≦d≦0.03を満足するものも望
ましい。 【0026】また、本発明の圧電磁器組成物は、原料粉
砕時にFe等が混入する場合があり、これらが全量中
0.02重量%程度混入しても特性上問題ない。また、
粉砕時のボールからZr等ボール成分が混入する場合も
ある。 【0027】本発明の圧電磁器組成物では、結晶相とし
て(Pb1-x-y-z k Lax SryBaz (Co1/3
2/3 a (Yb1/2 Sb1/2 b (In1/2
1/2 cMnd Ti1-a-b-c-d 3 からなるペロブス
カイト型結晶相を主結晶相とするものである。本発明の
圧電磁器組成物では、その他の結晶相として、パイロク
ロア相が存在することもあるが、微量であれば特性上問
題ない。 【0028】本発明の圧電磁器組成物は、例えば、原料
として、Pb3 4 、La2 3 、SrCO3 、BaC
3 、Sb2 3 、MnO2 、TiO2 、Co3 4
Yb2 3 、In2 3 からなる各種酸化物を用いる。
原料はこれに限定されず、焼成により酸化物を生成する
炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を用いても良い。 【0029】これらの原料を上記した組成となるように
秤量し、混合し、この混合物を950〜1050℃で仮
焼し、所定の有機バインダを加え乾式混合し、整粒す
る。このようにして得られた粉体を、公知のプレス成形
等により所定形状に成形し、大気中等の酸化性雰囲気に
おいて1200〜1300℃の温度範囲で2〜5時間焼
成し、本発明の圧電磁器組成物が得られる。 【0030】本発明の圧電磁器組成物は、図1に示すよ
うなコルピッツ型発振回路の発振子の圧電磁器組成物と
して最適であるが、それ以外の発振子、超音波振動子、
超音波モータ及び加速度センサ、ノッキングセンサ、A
Eセンサ等の圧電センサなどに最適であり、特に厚み縦
振動の3次オーバートーンを利用する高周波用として最
適な圧電磁器組成物である。 【0031】 【実施例】原料として、Pb3 4 、La2 3 、Sr
CO3 、BaCO3 、Sb2 3、MnO2 、Ti
2 、Co3 4 、Yb2 3 、In2 3 からなる各
種酸化物を用い、焼結体が表1の組成となるように秤量
し、ZrO2 ボールを用いたボールミルにて24時間湿
式混合した。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、
1000℃で3時間仮焼し、適量の有機バインダを加え
乾式混合し、メッシュの容器に通し整粒した。このよう
にして得られた粉体を1.5〜3ton/cm2の圧力
で縦20mm、横30mm、厚み1.5mmの板状に成
形し、大気中において1250℃の温度で3時間本焼成
し圧電磁器を得た。 【0032】その後、板厚を0.22mmに加工し、両
面にAg−Crを蒸着し、80℃で30分間分極を施し
た。その後、図2に示す電極構造となるように、無電極
に相当する部位の電極をエッチングで除去し、縦4.7
mm(L)、横1.1mm(B)、厚み0.22mm
(t)形状の33.86MHz発振に相当する厚み縦振
動の3次オーバートーン用発振子を得た。 【0033】発振子の特性は、インピーダンスアナライ
ザにより、インピーダンス波形を測定し、厚み縦振動の
3次オーバートーンでのP/V値と基本波でのP/V
値、比誘電率ε33T /ε0 を以下の式により算出した。
さらに、コルピッツ型発振回路を用いて発振周波数の温
度特性を調査した。耐熱性は、リフロー耐熱およびヒー
トショックの試験をおこない、発振周波数FOSC の変化
率として捉えた。 【0034】尚、リフロー試験はリフロー炉を用いて、
試験片が最高温度265℃で20秒間さらされるように
した。また、ヒートショックは、−55℃で30分間保
持した後、85℃で30分間保持する操作を1サイクル
(1時間)として100サイクル繰り返した。 【0035】P/V値=20×Log(Ra /R0 ) 但し、Ra :反共振インピーダンス R0 :共振インピーダンス ε33T /ε0 = tC/εS 但し、ε:真空中の誘電率(8.854×10-12 F/
m) S:振動部の面積(m2 ) C:自由容量 発振周波数の温度変化率は25℃を基準にして、以下の
式により算出した。 【0036】FOSC 変化率(%)={(FOSC (drift)
−FOSC (25))/FOSC (25)}×100但し、FOSC (d
rift) は、−20℃もしくは+80℃での発振周波数で
あり、FOSC (25)は25℃での発振周波数である。 【0037】リフローおよびヒートショックの各耐熱試
験の評価を、FOSC 変化率(%)={(処理後のFOSC
−処理前のFOSC )/処理前のFOSC }×100の式に
より行った。これらの結果を表2に示す。 【0038】 【表1】 【0039】 【表2】【0040】33.86MHzでの発振子特性におい
て、安定した発振を保証するためには、P/V値は基本
波で40dB以下で、3次オーバートンで60dB以上
あり、また、発振周波数の温度変化率で±0.2%以下
で、リフロー耐熱が0.17%以下、ヒートショックの
耐熱性で0.18%以下、発振周波数の変化率が±0.
2%以下であることが望まれる。さらに比誘電率は40
0以下が望まれる。 【0041】表1および表2から明かなように、本発明
の範囲内の試料では、3次オーバートーンでのP/V値
を60dB以上と大きくしながら、基本波のP/V値を
40dB以下と小さくできることが判る。これにより、
発振の安定化と誤発振の抑制が図られ、優れた発振性能
を保証することができる。さらに、本発明の試料では、
発振周波数の温度変化率が小さく、発振周波数の温度安
定性に優れていることが判る。さらに、耐熱性において
は、リフロー耐熱、ヒートショック耐熱ともにその変化
率は著しく小さく、耐熱性においても優れていることが
判る。また、比誘電率も400より小さく、高周波に適
応していることが判る。 【0042】一方、比較例である試料No4,15,2
8などでは3次オーバートーンのP/V値が小さく不発
振となる。試料No19や22では、3次オーバートー
ンに対して、基本波のP/V値が大きく、基本波での誤
発振が起こりやすくなることが判る。 【0043】このように、本発明の圧電磁器組成物にお
いては、3次オーバートーンのP/V値を大きくしなが
ら、基本波のP/V値を小さくできたことから、不発振
や誤発振が起こらなくなり、しかも耐熱性に優れ、−2
0〜+80℃の広範囲な温度範囲で、発振子として使用
することができる。 【0044】試料No.8を図2の発振子の圧電磁器に用
いた場合の3次オーバートーンのP/V値の周波数依存
性を図3に示す。この図3より、12MHz〜60MH
zの高範囲な周波数に対して、3次オーバートーンのP
/V値が55dBを上回り、広範囲な周波数範囲におい
ても、安定した発振が得られることが判る。尚、図3に
Pb0.85La0.15TiO3 +0.2重量%MnO2 から
なる従来の圧電磁器組成物を用いた既存製品の、3次オ
ーバートーンのP/V値の周波数依存性を示す。また、
試料No.8を図2の発振子の圧電磁器に用いた場合のイ
ンピーダンス特性を図4に示す。 【0045】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係わる圧
電磁器組成物は、厚み縦振動の基本波のP/V値を小さ
くしながら3次オーバートーンのP/V値を大きくする
ことができ、さらに発振周波数の温度変化率が小さく、
さらにリフロー耐熱およびヒートショックの各耐熱に優
れており、不発振や、誤発振が無くなることから、発振
子用素子として好適な圧電磁器組成物とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】コルピッツ型の発振回路を示した概略図であ
る。 【図2】33.86MHz用発振子の概略図である。 【図3】試料No.8の3次オーバートーンのP/V値の
周波数依存性を示すグラフである。 【図4】試料No.8のインピーダンス特性を示すグラフ
である。 【符号の説明】 11,12・・・コンデンサ 13・・・抵抗 14・・・インバータ 15・・・発振子
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−133827(JP,A) 特開 昭62−147605(JP,A) 特開 昭57−126186(JP,A) 特開 平8−321643(JP,A) 特開 平8−319159(JP,A) 特開 平7−69723(JP,A) 特開 平5−163063(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】金属元素としてPb、La、Sr、Ba、
    Sb、MnおよびTiと、Co、YbおよびInのうち
    少なくとも一種を含むペロブスカイト型複合酸化物であ
    って、モル比による組成式を、 (Pb1-x-y-z k Lax Sry Baz (Co1/3 Sb
    2/3 a(Yb1/2 Sb1/2 b (In1/2 Sb1/2
    c Mnd Ti1-a-b-c-d 3 と表した時、前記x、y、z、k、a、b、cおよびd
    が、 0.07 ≦ x ≦ 0.13 0.01 ≦ y ≦ 0.07 0.01 ≦ z ≦ 0.07 0.94 ≦ k ≦ 1.00 0 ≦ a ≦ 0.03 0 ≦ b ≦ 0.03 0 ≦ c ≦ 0.03 0.01 ≦a+b+c≦ 0.04 0.01 ≦ d ≦ 0.03 を満足することを特徴とする圧電磁器組成物。
JP07981597A 1997-03-31 1997-03-31 圧電磁器組成物 Expired - Fee Related JP3420458B2 (ja)

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