JP3420398B2 - ポリプロピレン系多孔質フィルム - Google Patents

ポリプロピレン系多孔質フィルム

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JP3420398B2 JP20203995A JP20203995A JP3420398B2 JP 3420398 B2 JP3420398 B2 JP 3420398B2 JP 20203995 A JP20203995 A JP 20203995A JP 20203995 A JP20203995 A JP 20203995A JP 3420398 B2 JP3420398 B2 JP 3420398B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟で且つ耐熱性
に優れた多孔質フィルムに関する。詳しくは、柔軟性に
富み、耐熱性に優れ、且つ通気性、透湿性に富み、特に
通気を必要とする各種物品の包装材料をはじめ、ベット
用シーツ、枕カバー、衛生ナプキン、紙おむつ等の各種
医療・衛生材料、雨天用衣類、手袋等の医療用材料、産
業用資材等の用途を有した多孔質フィルムに関する。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂に
充填材を配合し、溶融成形して得られたフィルムを延伸
処理し多孔質フィルムを製造することは、従来より行わ
れている。しかし、単にポリオレフィン樹脂に充填材を
配合したフィルムでは、柔軟性に劣るため、従来より種
々の試みがなされている。それらを大別すれば、〔A〕
ポリオレフィン樹脂にゴム状成分、ワックス乃至液状物
を添加する方法、〔B〕マトリックス樹脂自身に低弾性
率樹脂を採用する方法の2種に分類される。 【0003】〔A〕に関するものとしては、特公昭62
−15090号公報では、線状低密度ポリエチレンに充
填材とワックス状もしくは液状の炭化水素重合体を添加
している。また、特開昭63−295649号公報で
は、線状低密度ポリエチレンに、オレフィン系ターポリ
マーを添加する方法が提案されている。しかし、これら
の方法では、低分子量成分あるいは低弾性率成分の添加
を伴うため、必然的に耐熱性が低下してしまう。 【0004】一方、〔B〕の方法に関するものとして
は、特公平4−58824号公報では、母材ポリマーと
して低弾性率で疎水性表面を有する配向可能な熱可塑性
ポリマーが採用されている。また、特開平5−5052
2号公報では、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
/エチレン−酢酸ビニル共重合体の採用が示されてい
る。さらに、特開平1−204936号公報には、密度
が0.910未満の線状超低密度ポリエチレン、ブタジ
エンゴム及び充填材を含有する透湿性フィルムが開示さ
れている。しかし、これら従来の方法においては、柔軟
性と透湿性を付与する為に、耐熱性の低い母材ポリマー
を使用することとなり、耐熱性の低いフィルムしか得ら
れない。 【0005】また、特公平4−82011号公報には、
示差走査熱量測定(DSC)で示す最大ピーク(Tm)
が100℃以上のエチレン−α−オレフィン共重合体が
樹脂成分として採用されているが、Tmが122℃以上
のものについての記載は一切無く、これらでは、依然、
耐熱性に関して十分満足すべきものが得られない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ポリプロピレン系樹脂よりなり、該樹脂の有する耐
熱性を保持しつつ、十分な柔軟性と透湿性を付与した多
孔質フィルムを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のエチ
レン−プロピレン共重合体及び無機充填材を含有する組
成を用いた際に、上記目的を達成できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。 【0008】即ち、本発明は、(a)重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)
が4以下であり、エチレンに基づく単量体単位の含有量
が15〜50mol%であり、示差走査熱量測定(DS
C)で示す最大ピーク温度(Tm)が140≦Tm≦1
63℃であるエチレン−プロピレン共重合体100重量
部 (b)無機充填材
50〜400重量部 よりなり、連通孔からなる網状構造を有し、空隙率が1
0〜80%であり、且つ延伸により分子配向されてなる
ポリプロピレン系多孔質フィルムである。 【0009】本発明に使用されれるエチレン−プロピレ
ン共重合体は、Mw/Mnが4以下、好ましくは2.0
〜3.5で、エチレンに基づく単量体単位の含有量が1
5〜50mol%、好ましくは20〜40mol%で有
り、且つ140≦Tm≦163℃、好ましくは145≦
Tm≦163℃である。 【0010】ここで、Mw/Mnは、一般に樹脂の分子
量分布を示す。エチレン−プロピレン共重合体におい
て、この分子量分布が4を越えた場合は、低分子量部分
の量が多く、得られる熱可塑性樹脂組成物をフィルムに
成形後、かかる低分子量部分のブリードアウトによる外
観不良、あるいはフィルムのべたつき感等の問題を招
く。また、製造時に過酸化物による分子量調節を行わな
い等により、上記分子量分布が4を越える場合は、樹脂
の剛性が高くなり、柔軟性フィルムを得ることが出来な
い。 【0011】また、エチレンに基づく単量体単位の含有
量が15mol%未満の場合は、フィルムに成形後十分
な柔軟性が得られない。また、50mol%を越えた場
合、フィルム成形後ブロッキングの問題が発生する。 【0012】更に、融点(Tm)が140℃未満の場合
は、得られる組成物を多孔質フィルムにした際の耐熱性
が低下してしまう。また、一般に、エチレン−プロピレ
ン共重合体では、融点(Tm)が163℃を越えること
はない。また、重合法によって163℃を越えた場合
は、柔軟性、通気性、透湿性において題記の目的物を得
られない。 【0013】本発明では、上記性状を有するエチレン−
プロピレン共重合体であれば、如何なる共重合体も制限
なく使用できる。好適には、下記のエチレン−プロピレ
ン共重合体が挙げられる。即ち、ポリプロピレン成分及
びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含み、
重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量が15
〜50mol%のプロピレン系ブロック共重合体であ
る。ここで、ポリプロピレン成分は、プロピレン単独重
合体でもよく、また、プロピレンと5mol%以下の他
のオレフィンとのランダム共重合体であっても良い。他
のオレフィンとしては特に制限されないが、エチレンも
しくは炭素数4〜12のα−オレフィンの1種又は2種
以上が挙げられ、好適には、エチレン、1−ブテンが用
いられる。ここで、このポリプロピレン成分は、ブロッ
ク共重合体中において5〜70重量%であるのが好まし
い。 【0014】また、プロピレン−エチレンランダム共重
合体成分は、エチレンに基づく単量体単位5〜50mo
l%とプロピレンに基づく単量体単位45〜50モル%
とを含むものが好ましい。また、得られる共重合体組成
物の物性を阻害しない範囲で、例えば、5mol%より
小さい範囲でプロピレン及びエチレン以外に、上記した
ような他のα−オレフィンをランダム共重合体成分とし
て含んでいても良い。ここで、このプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体成分は、ブロック共重合体中におい
て30〜95重量%であるのが好ましい。 【0015】なお、かかるプロピレン系ブロック共重合
体には、上記ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチ
レンランダム共重合体成分の他に、好ましくは10重量
%以下の範囲で他のα−オレフィンの重合体成分が含有
されていても良い。このα−オレフィンとしては、前記
したものが制限なく使用される。好適には、ポリブテン
成分が良好である。 【0016】こうしたエチレン−プロピレン共重合体
は、如何なる方法により得ても良い。代表的な製造例と
して下記に示す方法が挙げられる。即ち、下記成分
(A)及び(B)、または、さらに(C)、及び/また
は(D) (A):チタン化合物 (B):有機アルミニウム化合物 (C):電子供与体 (D):一般式 R−I で示されるヨウ素化合物(但
し、Rはヨウ素原子又は炭素原子数1〜7のアルキル基
又はフェニル基である。) の存在下に、プロピレンを0.1〜500gポリマー/
g・チタン化合物の範囲となるように予備重合を行って
触媒予備重合体を得て、次いで該触媒含有予備重合体の
存在下に1−ブテンの重合及びプロピレンの重合を経て
プロピレンとエチレンとの混合物のランダム共重合体を
順次行って高分子量の粉状物を得、さらに有機過酸化物
で分解する方法により分子量分布が4以下となるように
調整する方法である。かかる製造方法は、特開平5−3
20468号公報に詳述されており、本発明において、
上記エチレン−プロピレン共重合体は、該方法に従って
製造されたものが好適に使用される。 【0017】次に、本発明に用いる無機充填材として
は、一般に樹脂又はゴム類に使用されている公知のもの
を何等制限無く使用することができる。例えば、炭酸カ
ルシウム、石膏、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水和珪
酸、無水珪酸、ソーダ灰、塩化ナトリウム、硫酸バリウ
ム、タルク、クレー、各種セメント、火山灰、シラス、
酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、種々の金属
粉、その他の無機物又は無機物を主体とする有機金属塩
等を挙げることができる。無機充填材の大きさは特に制
限されないが、平均粒径があまりに小さいときは延伸ム
ラを生じ、逆にあまり大きいときは多孔質シートとした
ときの孔の大きさが大きくなりすぎるため、一般に50
μm以下、好ましくは0.05〜30μmの範囲、より
好ましくは0.1〜10μmの範囲であることが好適で
ある。 【0018】無機充填材の配合割合は、エチレン−プロ
ピレン共重合体100重量部に対して50〜400重量
部、好ましくは60〜300重量部である。無機充填材
の配合割合が、50重量部より少ない場合は延伸倍率を
大きくしても該組成物を用いて得られる多孔質シートの
連通孔が少なくなるため、通気性が小さくなり、またこ
の配合割合が、400重量部より大きい場合には溶融混
練成形が困難となり、延伸成形ができなくなる等目的と
する多孔質フィルムが得られなくなる。 【0019】本発明では、エチレン−プロピレン共重合
体、無機充填材に加えて、本発明の目的を損なわない限
り、他の熱可塑性樹脂、顔料、安定剤、界面活性剤、可
塑剤、その他添加剤を必要に応じて適宜添加することが
できる。 【0020】本発明の多孔質フィルムは、延伸により分
子配向している。この延伸により樹脂成分と無機充填材
の界面において剥離が生じ、多数の孔が形成される。そ
の結果、本発明の多孔質フィルムでは、連通孔、即ち、
フィルムの一方の面から他方の面に貫通する孔からなる
網状構造が内部に形成されており、空隙率は10〜80
%の範囲にある。空隙率が10%より小さい場合には無
機充填材の周囲にできた空隙同士が連結されず、連通孔
が形成されない。このため、十分な通気性や透湿性を得
ることが出来ない。一方空隙率が80%を越える場合
は、フィルムの機械的強度が不足し、加工工程において
フィルムの破断や使用中の破れ等の問題を生じる。ま
た、本発明において、延伸は一軸方向であっても二軸方
向であっても良い。 【0021】本発明の多孔質フィルムの厚みは、特に制
限されないが柔軟性と機械的強度の関係より、0.02
〜1.0mmであることが好ましい。 【0022】本発明の多孔質フィルムは、どのような方
法で製造されても良いが、通常は次の方法で好適に製造
できる。即ち、(a)重量平均分子量(Mw)と数平均
分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下であり、
エチレンに基づく単量体単位の含有量が15〜50mo
l%であり、示差走査熱量測定(DSC)で示す最大ピ
ーク温度(Tm)が140≦Tm≦163℃であるエチ
レン−プロピレン共重合体 100重量部 (b)無機充填材
50〜400重量部 よりなる樹脂組成物をシート状に成形し、次いで、樹脂
成分の融点以下の温度で少なくとも一方方向に延伸して
分子配向する方法である。 【0023】本発明における樹脂成分と無機充填材との
混合は、通常の手段が採用され、一般にブレンダーなど
による混合の後、押出機やバンバリーミキサーなどの溶
融混練機により混合した後、必要に応じてペレット化
し、フィルム成形に供する。フィルム成形する方法は特
に制限されないが、一般にインフレーション成型法やT
−ダイを用いる押出成形法が好ましい。次に、延伸は、
一般にロール延伸法による一軸延伸、又は一軸延伸後テ
ンター延伸機、エアーインフレーション延伸機、マンド
レル延伸機などにより横方向に逐次二軸延伸するか、あ
るいは同時に縦及び横方向に二軸延伸する方法が採用さ
れる。とりわけ、二軸延伸法を採用するのが好ましい。
延伸温度は樹脂成分の融点以下、とりわけ融点より10
℃低い温度で延伸するのが好ましい。さらに延伸行程に
次いで熱処理行程やコロナ放電等の表面処理も行うこと
ができる。 【0024】 【発明の効果】本発明の多孔質フィルムは、柔軟性と通
気性、透湿性に富み、さらに耐熱性を併せもった多孔質
フィルムである。このような性質は、本発明の多孔質フ
ィルムを通気性と柔軟性を必要とする用途に使用する
際、該フィルム自身の耐熱性が従来のフィルムに対して
十分に高いことより、ポリプロピレン系不織布等との熱
接着が可能になり、また、高温下での使用に耐えるな
ど、熱的優位性が発揮され好適である。 【0025】 【実施例】以下、実施例及び比較例を示すが、本発明は
これらの実施例に制限される物ではない。尚、実施例及
び比較例に掲載した物性測定値は以下に示す方法によっ
て行ったものである。 【0026】1)分子量分布の測定 数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子
量1万以下の割合は、GPC(ゲルパーミェーションク
ロマトグラフィー)法により測定した。ウォーターズ社
製GPC−150により、o−ジクロルベンゼンを溶媒
として135℃で行った。用いたカラムは、東ソー製T
SK gel GMH6−HT、ゲルサイズ10〜15
μmである。構成曲線は、標準試料として重量平均分子
量が950、2900、1万、5万、49.8万、27
0万、675万のポリスチレンを用いた。 【0027】2)融点(Tm) 示差走査熱量測定器にて試料を170℃に昇温し15分
間保持後0℃まで10℃/分で冷却し、次いで10℃/
分で170℃まで昇温し、この間に現れた最大ピークの
頂点の位置より求めた。 【0028】3)エチレン−プロピレン共重合体成分に
おけるエチレンに基づく単量単位の割合の測定方法13 C−NMRスペクトルのチャートを用いて算出した。
まず、ポリマー(Polymer)29巻(1988
年)1848頁に記載された方法により、ピークの帰属
を決定し、次にマクロモレキュールズ(Macromo
lecules)第10巻(1977年)773頁に記
載された方法により、エチレンに基づく単量体単位の割
合を算出した。 【0029】4)通気度 JIS−P−8117(ガーレ通気度)に準じて測定。 5)剛軟度 JIS−L−1004(45゜カンチレバ法)に準じて
測定。 【0030】6)空隙率 比重測定法により算出した。 【0031】空隙率=(d0−d1)/d00:多孔化前のフィルムの比重 d1:多孔化後のフィルムの比重 樹脂製造例1 (予備重合)攪拌機を備えた内容積1リットルの硝子製
オートクレーブ反応容器を窒素ガスで十分に置換した
後、ヘキサン400ミリリットルを挿入した。反応容器
内温度を20℃で保ち、ジエチレングリコールジメチル
エーテル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mm
ol、ジエチルアルミニウムクロライド18.5mmo
l、及び三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社「TOS−
17」)22.7mmolを加えた後、プロピレンを三
塩化チタン1gあたり3gとなるように30分間連続的
に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保
持した。プロピレンの供給を停止した後、反応容器内を
窒素ガスで十分に置換し、得られたチタン含有ポリプロ
ピレンを精製ヘキサンで4回洗浄した。分析の結果、三
塩化チタン1g当たり2.9gのプロピレンが重合され
ていた。 【0032】(本重合) 工程1:1−ブテンの重合 攪拌機を備えた内容積1リットルのステンレス製オート
クレーブ反応容器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘキ
サン400ミリリットルを挿入した。反応容器内温度を
20℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロライド18.
15mmol、ジエチレングリコールジメチルエーテル
0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、予
備重合で得られたチタン含有ポリプロピレンを三塩化チ
タンとして22.7mmolを加えた後、1−ブテンを
三塩化チタン1g当たり15gとなるように2時間連続
的に反応容器に導入した。なお、この間の温度は20℃
に保持した。1−ブテンの供給を停止した後、反応器内
を窒素ガスで置換し、チタン含有ポリ1−ブテン重合体
を得た。分析の結果、三塩化チタン1g当たり14gの
1−ブテンが重合されていた。 【0033】工程2:プロピレンの重合及びエチレン−
プロピレンの共重合 窒素置換を施した2リットルのオートクレーブに、液体
プロピレンを1リットル、ジエチルアルミニウムクロラ
イド0.70mmolを加え、オートクレーブの内温を
70℃に昇温した。チタン含有ポリ1−ブテン重合体を
三塩化チタンとして0.087mmol加え、70℃で
60分間のプロピレン重合を行った。この間水素は用い
なかった。次いでオートクレーブの内温を急激に55℃
に降温すると同時にエチルアルミニウムジエトキシド
(EtAl(OEt)2)0.50mmol及びメタク
リル酸メチル0.014mmolの混合溶液を加え、エ
チレンを供給し、気相中のエチレンガス濃度が7mol
%となるようにし、55℃で120分間のエチレンとプ
ロピレンの共重合を行った。この間のエチレンガス濃度
はガスクロマトグラフで確認しながら7mol%を保持
した。この間水素は用いなかった。重合終了後、未反応
モノマーをパージし、粒子状の重合体を得た。重合槽内
及び攪拌羽根への付着は全く認められなかった。収量は
140gであり、全重合体の重合倍率は7370g−ポ
リマー/g−三塩化チタンであった。また、別に上記の
プロピレンだけの重合を行った結果、上記70℃、60
分間で、三塩化チタン1g当たり、1030gのプロピ
レンが重合されていた。この結果、ブロック共重合体中
のポリブテン成分は0.19wt%、及びポリプロピレ
ン成分は14wt%であることが分かる。次に、得られ
た重合体30Kgに、有機過酸化物として1,3−ビス
−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを
0.15phr添加し、また、酸化防止剤を0.1ph
r添加し、ヘンシェルミキサーで1分間混合した後、φ
65mm単軸押出機で230℃の条件で溶融混練し、ペ
レットを得た。得られた樹脂の物性を表1に示した。 【0034】樹脂製造例2、比較樹脂製造例1 製造例1の1−ブテンの重合において、1−ブテンの重
合量を三塩化チタン1g当たり50g、3gとし、プロ
ピレンとエチレンの共重合をエチレンガス濃度がそれぞ
れ8モル%及び3.5モル%となるようにした以外は製
造例1と同様の操作を行った。さらに、製造例1と同様
にして0.10phrの有機過酸化物と溶融混練した。
得られた樹脂の物性をそれぞれ表1に示した。 【0035】樹脂製造例3 製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重
量を60℃で10分間とし、プロピレンとエチレンの共
重合をエチレンガス濃度が12モル%となるようにした
以外は製造例1と同様の操作を行った。別途の重合実験
でこの時のプロピレンの重合倍率は240g−PP/g
−TiCl3であった。さらに、製造例1と同様にして
0.10phrの有機過酸化物と溶融混練した。得られ
た樹脂の物性を表1に示した。 【0036】比較樹脂製造例2 製造例1と同様の予備重合を行った後、本重合を以下の
通りに行った。 【0037】(本重合)攪拌機を備えた内容量2リット
ルのステンレス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで置
換した後、液体プロピレンを1リットル、ジエチルアル
ミニウムクロリドを0.73mmol、ジエチルアルミ
ニウム(2、6−ジ−t−ブチル)フェノキシドを0.
22mmol加え、反応容器を55℃に昇温した。水素
を気相の水素ガス濃度が2mol%になるように導入し
た後、予備重合で得られたチタン含有ポリマーを三塩化
チタンとして0.09mmolを窒素ガス雰囲気下に加
えた。55℃で30分間プロピレンの単独重合を行った
後、ジエチルアルミニウム(2、6−ジ−t−ブチル)
フェノキシドを0.22mol及び酢酸ブチル0.03
7molを加え、引き続きエチレンの導入を開始し、気
相中のエチレンガス濃度が10mol%となるように供
給し55℃で120分間プロピレンとエチレンの重合を
行った。重合終了後、未反応のプロピレン、エチレン、
水素を除去した後、プロピレノキシドと水で処理するこ
とによりプロピレン−エチレンブロック共重合体を得
た。得られた樹脂の物性を表1に示した。 【0038】比較樹脂製造例3 製造例3のプロピレンとエチレンの共重合に於いてエチ
レンガス濃度が25mol%となるようにした以外は製
造例3と同様の操作を行った。さらに、製造例3と同様
に0.30phrの有機過酸化物と混練した。得られた
樹脂の物性を表1に示した。 【0039】比較樹脂例 線状低密度ポリエチレン(LLDPE。住友化学工業
(株)製、商品名:スミカセン−LFA201−0、M
FR:2.0g/10min、密度:0.919g/cm
3)の物性を表1に示した。 【0040】 【表1】【0041】実施例1〜5及び比較例1〜6 表1に示した得られた樹脂成分100重量部に対して、
重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品
名:ライトン100−B−10、平均粒径2.2μm高
級脂肪酸表面処理品)を表2に示した任意の割合で配合
し、二軸混練押出機で220℃のシリンダー温度で溶融
し、ペレット状の混練物を得た。このペレットをインフ
レーション押出機を用い、シリンダー温度185℃、ダ
イ温度175℃、引き取りスピード10m/分の条件に
て厚さ50μm折径420mmの筒状シートを成形した
後、60℃の温度で縦方向に延伸を行い、引き続いてマ
ンドレル延伸機を用いて横方向の延伸を行った。この様
にして得られた多孔性シートの物性を前記した物性測定
法により求めた結果を表2に示した。 【0042】 【表2】

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分
    子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下であり、エ
    チレンに基づく単量体単位の含有量が15〜50mol
    %であり、示差走査熱量測定(DSC)で示す最大ピー
    ク温度(Tm)が140≦Tm≦163℃であるエチレ
    ン−プロピレン共重合体100重量部 (b)無機充填材
    50〜400重量部 よりなり、連通孔からなる網状構造を有し、空隙率が1
    0〜80%であり、且つ延伸により分子配向されてなる
    ポリプロピレン系多孔質フィルム。
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