JP3419910B2 - 早炊き用の米の調製方法 - Google Patents

早炊き用の米の調製方法

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知幸 宮川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は早炊き用の米の調製方法
に関する。詳細には、本発明は、炊飯器を用いた家庭、
給食施設における炊飯時間を1/3程度短縮でき、冷凍
により長期保存が可能で、米の種類を問わず一定の炊飯
処理で米飯が得られる、早炊き用の冷凍米の製造方法に
関するものである。また、本発明は、凍結処理に際し凍
結時間および解凍時間が短く、氷結晶の増長による米の
破壊がないため破砕米を生じず、凍結中の米の品質劣化
も起こらず、炊き込みご飯に適用する場合は、具材の劣
化も少なく、かつ炊き込みご飯を製造する際の利用者の
手間を省略できる、早炊き用米の調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、米を主原料とする多種の加工食品
が製造、販売されており、その代表的なものとして、冷
凍ピラフ、レトルトライスなどが挙げられる。これらの
ものは、炊飯→ほぐし→袋詰め→乾燥、凍結、レトルト
処理などの方法で製造される。しかしながら、この様な
加工米飯は、米どうしが付着して塊を生じるブロッキン
グ状態になり易く、水分が多いため保存中の米粒の劣化
が生じるなどの欠点がある。また、最終的には、電子レ
ンジ、湯煎等の加熱方法で温めて食するが、ブロッキン
グ状態にある米をバラバラにほぐして加熱するとして
も、破砕米が多く、米の澱粉の老化も進んでいて、食
味、食感が低下し、炊飯によって得られる炊きたての美
味しさは再現できない。
【0003】このような問題点を解決する手段として、
特開昭62−186755号には、生米を洗米、浸漬し
た後、沸騰水中で煮沸した後冷却し、加工米飯を得る方
法が開示されているが、煮沸により米のうま味成分が流
出して、本来の米のおいしさが損なわれる。また、この
煮沸米を凍結する場合、こめ表面に水分が多いため米ど
うしが付着してブロッキングを起こし、解凍に時間が懸
かり、破砕米が多くなるなどの欠点がある。同様に、特
開平1−256355号には、生米を洗米、浸漬した
後、熱水中で1〜3分間煮沸し、冷却後水と共に凍結す
る方法が開示されているが、上記出願の方法より処理時
間は短いものの、煮沸によるうま味成分の流出、凍結時
のブロッキング現象、米の破砕は避けられない。また、
これらの方法で得られた加工米飯は、電子レンジ等で温
めて食するものであり、炊きたての美味しさは望めな
い、
【0004】また、特開平6−153826号には、生
米を洗米、浸漬した後脱水し、マイクロ波で加熱し70
〜80%α化処理し、冷却、冷凍する方法が開示されて
いる。しかし、マイクロ波による加熱では、均一なα化
が難しい。さらに、80%以上のα化を行うためには、
マイクロ波の照射時間が長くなり、凍結後破砕米が多く
生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、家庭または
給食施設における米の炊飯時間を短縮し、炊き込みご飯
やピラフにも適用でき、冷凍時の米の破砕などの品質低
下が起こらず、米本来のうま味が保持されており、しか
も利用者が一定の加水により簡便に短時間で炊飯できる
冷凍米を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題点は、米を水
洗し、水浸漬後水切りし、高温で一定の水分、α化度に
蒸した後、ほぐし、冷却し、一定の水分を保持した状態
で凍結することによって解決される。すなわち、本発明
は、炊飯用の米に対して特定の処理を工場で行うことに
より、長期の冷凍保存が可能で、かつ、普通に炊飯した
ときに、早く炊けてかつ米本来のうま味が保持されてい
る状態で、米を消費者に提供するものである。したがっ
て、本発明は水洗、水浸漬、水切り、蒸煮、冷却、凍結
の各工程で米を順次処理することを特徴とする早炊き用
の米の調製方法である。
【0007】水洗工程では、精米された米を常法により
洗米する。洗米が終了すると、次いで常法により水浸
漬、水切りした後、高温蒸煮工程を行う。高温蒸煮工程
において、米の水分が30〜40%、α化度が80〜9
5%となるように蒸気で蒸す。この水分、α化度を得る
手段としては蒸煮処理でなければならず、煮沸、マイク
ロ波などのその他の加熱処理では目的とする性状とはな
らない。
【0008】高温蒸煮工程の手段は特に限定されない。
処理量が少ない場合はバッチ式の蒸し器、多い場合は連
続蒸煮装置などを使用できる。この蒸煮工程により、米
の内部が80〜95%がα化され、米の形状には変化が
起きず、表面はしっかりしていてなめらかである。
【0009】高温蒸煮工程終了後、米を冷却する。この
とき、ほぐしながら冷却するのが好ましいが、蒸煮工程
によるα化により、水分は米の内部に吸収され、米表面
は水分が少なくさらさらした状態であるため、ほぐし手
段は簡単なものでよい。冷却方法は特に限定するもので
はなく、冷風、冷蔵庫等で品温が20℃程度まで低下す
るように行えばよい。保存、輸送、販売などを考慮し
て、ほぐした米を討量して適当な量に分け、容器に収容
した後、速やかに凍結処理を行う。最終製品が炊き込み
ご飯、ピラフ等である場合、所定の容器に収容する際
に、必要量の具材、調味料を添加すればよい。その後、
同様に凍結処理を行う。
【0010】凍結処理は、特に限定されるものではない
が、急速に15℃以下に凍結されるよう行うことが望ま
しい。米表面の水分が少ない状態で凍結するため、ブロ
ッキングが起こらずバラ状に凍結され、また、氷結晶の
増長による米の破壊が生じない。また、具材を添加して
いる場合には、具材への水分移行も少ないため、品質劣
化もほとんど起こらない。
【0011】本願の処理により製造された冷凍米は、利
用者が喫食時に、解凍後もしくは凍結状態のまま炊飯器
に投入し、必要量の水もしくは調味液を添加して炊飯す
る。凍結状態の米は、米どうしの付着がなくバラ状態で
あるため、凍結状態のまま炊飯を開始しても、炊飯器中
で直ちに解凍され、米飯の品質には問題ない。また、長
期間冷凍保存しても、米の品質劣化が生じない。
【0012】米のα化度が80〜95%に処理されてい
るため、炊飯時間は通常約60分かかるところ40分程
度で炊きあがり、1/3程度短縮される。また、外米、
特にタイ米は国産米と比べてアミロース含量が多いため
粘りが少なく、細胞壁が堅いため吸水しにくいなどの特
徴があり、これをおいしく炊くためには、浸漬時間や炊
飯時の加水量の調整が難しい。このような調整を行わな
いと、炊きあがりに芯が残ったり、均一な品質の炊飯米
を得られないなどの欠点がある。タイ米以外の外国米で
も、やはり通常の国産米での炊飯と違い、浸漬時間、水
加減などの調整が多少は必要である。しかし、本発明の
方法により水分、α化度を所定の範囲に処理すれば、炊
飯の難しい外国米であっても国産米と同様の炊飯処理で
簡単に短時間で、食味、食感、外観に優れた炊飯米が得
られる。タイ米については、無処理で炊飯したものよ
り、優れた品質の炊飯米が得られる。
【0013】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0014】実施例1 米(カリフォルニア米)1000gを水洗し、水150
0gに90分浸漬したのち、水切りをした。その後、バ
ットに布を張り、米を入れて蒸し器に入れ2分(試験
例)、10分、30分、60分間蒸した。蒸し終了後、
10分間ほぐしながら20℃まで冷却し、一定の水分と
なった処理米を−18℃のフリーザーで、急速凍結し
た。
【0015】比較例1 実施例1と同様に水洗、浸漬、水切り後、沸騰水に入れ
6分間煮沸した。その後水切りし、10分間ほぐしなが
ら冷却し凍結した。
【0016】試験例、実施例1、比較例1の蒸し、煮沸
処理直後の水分、α化度、解凍後の外観を表1に示す。
α化度は、ジアスターゼ法で測定した。
【0017】
【表1】
【0018】実施例2 実施例1(試験例を含む)および比較例1と同様の方法
で冷却処理までを行った後、それぞれ調理した具材を加
え凍結した。解凍後、醤油および味醂を添加した水を加
え(米および具材の全重量:水重量=1:0.6)、炊
飯器で炊飯した。 配合 処理米 340g 鶏そぼろ 150g 野菜炒め 10g 炊飯後の官能検査を表2に示す。官能検査は、10名の
専門パネラーにより、次の4段階の評価を行った。 評価:◎非常に良好、○良好、△少し悪い、×悪い
【0019】
【表2】
【0020】実施例3 日本米(コシヒカリ)と外国米(カリフォルニア米、中
国米、タイ米)それぞれ米1000gを水洗し、水15
00gに90分浸漬したのち、水切りをした。その後、
バットに布を張り、米を入れて蒸し器に入れ、30分間
蒸した。蒸し終了後、10分間ほぐしながら冷却した。
冷却したα化米340gを取り、鶏そぼろ150g、野
菜炒め10gを入れて袋詰めし凍結した。その後、凍結
状態のまま醤油、味醂を添加した水を加え(米および具
材の全重量:水重量=1:0.6)、炊飯器で炊飯し
た。
【0021】比較例3 無処理の日本米(コシヒカリ)340gを水浸潰後、水
切りし、実施例3と同量の具を加え、調味料を適宜添加
した水を加え(米:水=1:1.3)炊飯器により炊飯
した。
【0022】比較例4 無処理のタイ米340gを水浸漬後、水切りし、実施例
3と同量の具を加え、醤油、味醂を添加した水を加え
(米および具材の全重量:水重量=1:1.5)炊飯器
により炊飯した。
【0023】実施例3、比較例3についてそれぞれ官能
検査を行い、また炊飯時間を比較した。水分、α化度に
ついては、実施例3において蒸煮処理終了後の米の水
分、α化度を測定した。官能検査は、専門パネラー10
名によりおこなった。比較例3の無処理の日本米(コシ
ヒカリ)炊飯米をコントロールとし、硬さ、食味、食
感、外観、臭いの5項目について、それぞれコントロー
ルと同等もしくはそれ以上の場合2点、少し劣る場合は
1点、非常に劣る場合は0点とし、10名の点数を加算
した。(最高100点)
【0024】
【表3】
【0025】本発明の方法で処理した冷凍米は、炊飯
後、カリフォルニア米、中国米ともに、日本米(コシヒ
カリ)と同等の良好な品質のものが得られ、また冷凍せ
ずに常法により炊飯した日本米(コシヒカリ)と比較し
ても遜色のない炊飯米が得られた。また、タイ米に関し
ては、通常の炊飯では粘りがなく、米飯としての評価が
良くないものであったが、本発明の処理により品質良好
の炊飯米が得られた。
【0026】
【発明の効果】炊飯時間が1/3程度短縮できる、長期
保存が可能で、米の種類を問わず一定の炊飯時間で米飯
が得られ、炊き込みご飯、ピラフ等に適用すれば、炊き
込みご飯等製造時の手間が省略できる、早炊き用の冷凍
米を提供できる。また、凍結処理の際には、氷結晶の増
長による米の破砕や、ブロッキングが起こらず、凍結、
解凍の時間も短時間で済み、さらに通常炊飯処理の異な
る外国米であっても、国産米と同様の炊飯処理で簡単に
短時間で食味、食感、外観に優れた早炊き用米を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−316969(JP,A) 特開 平6−153826(JP,A) 特開 平3−53856(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水洗、水浸漬、水切り、蒸煮、冷却、凍
    結の各工程で米を順次処理することを特徴とする早炊き
    用のバラ状凍結米の調製方法。
  2. 【請求項2】 蒸煮工程が蒸気で一定の水分、α化度に
    蒸す工程である請求項1の早炊き用のバラ状凍結米の調
    製方法。
  3. 【請求項3】 一定の水分、α化度が水分30〜40
    %、α化度80〜95%である請求項1または2の早炊
    き用のバラ状凍結米の調製方法。
JP25116794A 1994-09-08 1994-09-08 早炊き用の米の調製方法 Ceased JP3419910B2 (ja)

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CN1069818C (zh) * 1997-08-01 2001-08-22 肖其建 凉冻米及其制备方法
JP2007175043A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Asano Shokuhin:Kk 貯蔵米の製造方法及びその装置
CN109043324A (zh) * 2018-08-22 2018-12-21 无锡中粮工程科技有限公司 一种快煮米及其制备方法

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