JP3419540B2 - スエード調シート状物およびその製造方法 - Google Patents

スエード調シート状物およびその製造方法

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JP3419540B2 JP05753594A JP5753594A JP3419540B2 JP 3419540 B2 JP3419540 B2 JP 3419540B2 JP 05753594 A JP05753594 A JP 05753594A JP 5753594 A JP5753594 A JP 5753594A JP 3419540 B2 JP3419540 B2 JP 3419540B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面が平滑で独特の高
級なヌメリ感のある触感を有するスエード調シート状物
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材表面にポリウレタン溶液を塗
布し、非溶剤中で凝固することにより孔径30〜200
μmの縦長スポンジ構造を有する多孔質皮膜を形成した
後、該多孔質皮膜表面を研削して得られるスエード調シ
ート素材はよく知られているが、これらは必ずしも面平
滑性、外観、風合い及び触感などを満足するものでは無
かった。このような欠点を改良する方法も各種提案され
ている。
【0003】すなわち、多孔質皮膜を形成するポリウレ
タン組成液に、各種の凝固調節剤を添加し、均質で微細
な縦長のスポンジを形成し、表面を研削することにより
ヌバック調皮革様シートとすることが特開平4―308
279号公報に提案されている。また、極細繊維立毛を
有する表面に弾性重合体を塗布、乾燥した後表面を研削
してヌバック調シートとすることが特開昭56―128
367号公報、特開昭56―128368号公報に、同
じく極細繊維立毛を有する表面に弾性重合体を塗布し、
湿式凝固した後表面研削して表面に極細繊維立毛と高分
子弾性重合体立毛を混合させ、ウレタンスエードに極細
繊維立毛のソフトな触感を付与しようと試みたものが特
公昭63―61435号公報に提案されている。さら
に、樹脂中に粒子径が40μm以下でアスペクト比が3
以下の動物の毛の粉末および/または粒子径の80%以
上が20〜80μmの天然皮革粉末を混入し、表面を研
削することによりこれらを表面に露出させ、風合い、表
面の触感の改良を試みたものが特開平5―106173
号公報などに提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、多孔質皮膜を
形成するポリウレタン組成液に、各種の凝固調節剤を添
加してスポンジ構造から風合い、表面の触感を改良する
方法は、微細な縦長スポンジが得られ、風合い、触感は
多少改良されるが、やはり、表面がポリウレタンスポン
ジのみであるために、触感がゴム的でありしっとりとし
たヌメリ感はなく、従来のウレタンスエードの域を出な
い。また、当然、ライティング効果も認められない。ま
た、特開昭56―128367号公報、56―1283
68号公報で提案されている極細繊維立毛を有する表面
に弾性重合体を塗布、乾燥した後表面を研削してヌバッ
ク調シートとする方法では、表面に極細繊維立毛を有す
るためソフトな触感、ライティング効果等は認められる
が、表面の弾性重合体層はスポンジ構造をとらないた
め、弾性感、面感などウレタンスエードの独特な感性は
得られない。
【0005】特公昭63―61435号公報で提案され
ている表面に極細繊維立毛と弾性重合体立毛を混合した
シート状物は、立毛布帛の上に多孔質皮膜を形成しその
表面を研削し、表面に立毛繊維を露出させたものであ
る。ウレタンスエードとしての感性を得るためには研削
前の多孔質皮膜は孔径が50〜300μmの縦ながのス
ポンジ構造を有する必要があり、このような孔径のスポ
ンジ構造とするためには多孔質皮膜の厚みは70〜35
0μm程度必要となる。しかし、極細繊維立毛は曲げ剛
性が小さいため、弾性重合体液の塗布により容易に寝て
しまい、上記の厚さの多孔質皮膜の表面近くには立毛が
ほとんど含まれない状態となりやすい。例えば、ポリア
ミド極細繊維立毛の場合、直径が3μm以下では多孔質
皮膜の表面近くに立毛が存在しないため、表面に立毛を
引き出すためには多孔質皮膜をほとんど削り取る必要が
あり、結果としてウレタンスエードとしての表面が得ら
れない。3μmより太い場合はある程度表面近くにも立
毛が存在するため、多孔質皮膜を残して表面に立毛繊維
を露出させることができるが、繊維が太いためしっとり
としたヌメリ感とは異なり粗い感触となる。また、表面
の立毛密度を大きくして弾性重合体溶液を塗布しても極
細繊維が寝てしまわないようにした場合、弾性重合体溶
液中の繊維量が大きくなりすぎ、樹脂皮膜はウレタンス
エードに必要なスポンジ構造を取り得ない。すなわち、
特公昭63―61435号公報で提案されている方法で
はウレタンスエードとしての感性としっとりとしたヌメ
リ感のある触感を両立することは困難である。
【0006】特開平5―106173号公報に提案され
ている、樹脂中に粒子径が40μm以下でアスペクト比
が3以下の動物の毛の粉末および/または粒子径の80
%以上が20〜80μmの天然皮革粉末を混入し、表面
を研削する方法も、風合いや染色性などは向上するが、
研削後の表面に粉末は粒状で露出し超極細繊維立毛状と
はならないため、表面はざらつき感があり天然スエード
のしっとりとしたヌメリのある感触とは異なり、ライテ
ィング効果もない。また、粒度の揃った皮革紛を調製し
更に該皮革紛が十分に分散されたポリウレタン組成液を
準備しようとしても皮革粉末がブロック状となって固ま
り易く、分散不良となるため容易では無いなどの問題が
ある。
【0007】本発明は、表面が平滑で従来のウレタンス
エードとしての感触に加え、独特のしっとりとしたヌメ
リ感ある感触を有するスエード調シート状物を目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)繊維質
基材の少なくとも片面に積層された微細な縦長のスポン
ジ構造を有するポリウレタン多孔質皮膜の表面を研削し
て得られるスエード調シート状物において、該多孔質皮
膜は、直径1.0μm以下、長さ0.5〜2mmの極細
繊維をポリウレタンに対し10〜100重量%、均一に
分散した状態で含有し、かつ、該極細繊維の一部が研削
後の該多孔質皮膜層の表面に露出していることを特徴と
するスエード調シート状物であり、(2)繊維質基材の
少なくとも片面に、粒径10〜100μmのポリウレタ
ンと直径1.0μm以下、長さ0.5〜2mmの極細繊
維が、極細繊維:ポリウレタン=10:90〜90:1
0の重量比で混在した小粒状物をポリウレタン溶液を希
釈するための溶剤にあらかじめ分散し、攪拌することに
より該極細繊維が均一に分散した状態のポリウレタン溶
液を塗布し、次いで凝固浴に浸漬して、微細な縦長スポ
ンジ構造を有する多孔質皮膜層を形成し、更に該多孔質
皮膜の表面を研削することを特徴とするスエード調シー
ト状物の製造方法である。
【0009】本発明の基体層は、通常の繊維、例えば、
ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポ
リオレフィン、ポリビニルアルコールなどの合成繊維、
再生セルロースなどの化学繊維、天然繊維、あるいは特
殊形態の繊維、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リアクリロニトリルなどの極細繊維、あるいは少なくと
も1成分を溶解除去することにより極細繊維束状繊維や
特殊多孔繊維などに変成することのできる混合紡糸ある
いは複合紡糸より得られた多成分繊維から選ばれた繊維
で構成されたニードルパンチや高速流体流により絡合処
理された繊維絡合不織布、繊維立毛編織布、不織布と織
編布の積層布等の布帛、またはこれらの布帛に弾性重合
体溶液を含浸し、次いで弾性重合体の非溶剤中で凝固さ
せ、多成分繊維を極細繊維束状繊維や特殊多孔繊維に変
成したシート状物等である。基材に含浸させる弾性重合
体溶液は、ポリウレタン、アクリル系重合体、アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン
共重合体等の弾性重合体の群から選ばれた少なくとも1
種類の弾性重合体の溶液であるが、風合いの面から弾性
重合体としてはポリウレタンが好ましい、また、基材に
ポリエステルや、ポリアミドの極細繊維束状繊維や特殊
多孔繊維を使用すれば、柔軟な風合いを持つ基材層とな
る。
【0010】基材層に含浸させるポリウレタン弾性体溶
液、および基材表面に多孔質皮膜を形成するポリウレタ
ン溶液は、平均分子量500〜2500のポリマージオ
ール、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジ
オール、ポリエステルエーテルジオール、ポリカプロラ
クトンジオール、ポリカーボネートジオールなどの群か
ら選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと、有
機ポリイソシアネート、例えば、芳香族ジイソシアネー
ト、芳香族トリイソシアネート、脂環族ジイソシアネー
ト、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート、トリフェ
ニルメタン4,4’,4”−トリイソシアネートなどの
群から選ばれた少なくとも1種類の有機ポリイソシアネ
ートと活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合
物を鎖伸長剤として反応させて得たポリウレタンを、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、ジメチルス
ルフォキシド、N−メチルピロリドン等の極性有機溶
剤、好ましくは、ジメチルホルムアミドに溶解させた溶
液である。なお、該ポリウレタン弾性体溶液は、基材層
含浸用、およびウレタンスエードに適した縦長のスポン
ジ構造を有する皮膜層用それぞれの用途に応じて、非イ
オン系、アニオン系、カチオン系の中から選ばれた少な
くとも1種類の凝固調節剤、着色のための顔料等を添加
することが好ましい。
【0011】多孔質皮膜に混在させる繊維は、直径 1.
0μm以下、長さ0.5〜2mmの極細繊維を使用す
る。繊維の直径1.0μm以上の場合、目的の独特なヌメ
リ感のある感触を得られず、直径が小さすぎる場合、研
削した際の繊維の損傷が大きいため実用上0.1μm以
上が好ましい。また、混在させる繊維の長さが2mmよ
りも長い場合、塗布液調整時に繊維を良好に分散させる
ことが困難になり、0.5mmより短い場合、研削した
際に脱落する繊維の量が多くなる。繊維の種類はポリエ
ステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレ
フィン、ポリビニルアルコールなどの合成繊維、再生セ
ルロースなどの化学繊維等適宜使用でき、その量は多孔
質皮膜を構成するポリウレタン重量に対して10〜10
0重量%である。
【0012】目的とする独特なヌメリ感のある触感を得
るには、表面に露出する繊維の量が一定以上あることが
必要となるが、繊維の量が多すぎると塗布液調整時繊維
が良好に分散した液が得られない、また、繊維が塗布液
と基体層の界面に多量に存在するため、多孔質皮膜と基
体の接着が不十分となる。よって、分散させる極細繊維
の量は、多孔質皮膜中のポリウレタンに対し極細繊維が
10〜100重量%、好ましくは30〜60重量%であ
る必要がある。
【0013】しかし、上記形態を有する極細繊維を必要
量ポリウレタン弾性体組成液に直接分散させようとした
場合攪拌初期に繊維が絡み付いてしまい、十分に極細繊
維が分散されたポリウレタン弾性体溶液を得るためには
強力な攪拌機を必要とし、また極細繊維の量によっては
良好に繊維が分散したポリウレタン弾性体組成液が得ら
れにくい。このような上記極細繊維が安定に分散したポ
リウレタン弾性体溶液は、粒径10〜100μのポリウ
レタンと直径1.0μm以下、長さ0.5〜2mmの極細
繊維が、極細繊維:ポリウレタンが10:90〜90:1
0の重量比で混在した小粒状物を用いることにより製造
できる。すなわち上記極細繊維を含む多孔質皮膜を形成
するポリウレタン弾性体組成液を薬調する場合、このよ
うな小粒状物をポリウレタン弾性体溶液を希釈するため
の溶剤にあらかじめ分散し、その後、ポリウレタン弾性
体溶液、凝固調節剤、顔料などを加え攪拌することによ
り極細繊維が良好に分散したポリウレタン弾性体組成液
が得られる。このような小粒状物は直径1.0μm以下の
極細繊維集合体とポリウレタン弾性体からなるシートを
サンドペーパーなどで研削することにより得られる。
【0014】上記ポリウレタン弾性体溶液を基材に塗布
し、ポリウレタン弾性体の非溶剤で凝固させるに際し、
ポリウレタン弾性重合体の非溶剤としては、水または前
記ポリウレタン弾性重合体の溶剤の水溶液が使用でき
る。ポリウレタン弾性体溶液の塗布量は、凝固後の皮膜
厚みが0.1〜3mm、好ましくは0.2〜2mmになる
ような塗布量の範囲である。凝固後の皮膜厚みが0.1
mmより薄い場合、生成するスポンジ孔の径も小さいも
のとなりウレタンスエードとしての感性が出ない。ま
た、基材表面の微凹凸のため皮膜表面を研削する際に基
材表面が露出しやすい。また、凝固後の皮膜厚みが3m
mを越えるような塗布量の場合、凝固時、ポリウレタン
弾性体皮膜の内部はゆっくりと凝固するため比較的大き
なスポンジ孔となりやすく、風合い、感触が粗くなる。
【0015】ポリウレタン弾性体溶液を湿式凝固すると
きの凝固浴温度は多孔質皮膜のスポンジ構造に影響を与
える。凝固浴温度が高い場合は、ポリウレタン弾性体は
全体的に緩慢に凝固するためスポンジ構造が緻密になり
すぎ表面研削後の外観、感触がスエード調にならない傾
向がある。一方、凝固浴温度が低い場合は、まず、表面
に緻密なスキン層ができやすく、内部はゆっくりと凝固
するためスポンジ孔が大きくなりすぎ、表面研削後の外
観、感触が粗くなる傾向がある。従って、微細なたて長
のスポンジ構造を形成させるには、凝固浴温度は15〜
40℃の範囲で適宜選択すれば良い。また、ポリウレタ
ン弾性体溶液中の極細繊維量が多い場合、スポンジ孔が
小さくなる傾向があるので、その場合スポンジ孔を大き
くするために低温凝固すれば良い。
【0016】上記のポリウレタン弾性体溶液を基材に塗
布し、湿式凝固して得られる多孔質皮膜表面を100〜
240メッシュのサンドペーパーで研削することにより
ウレタンスエードとしての外観、感性を有するスエード
調シート状物を得る。
【0017】以上、述べてきたように本発明により得ら
れるスエード調シート状物は、繊維基材の少なくとも片
面に積層されたポリウレタン多孔質皮膜の表面を研削し
て得られるスエード調シート状物において、該多孔質皮
膜が直径1.0μm以下、長さ0.5〜2mmの極細繊維
を、ポリウレタンに対し10〜100重量%含有し、か
つ、研削後の該多孔質皮膜表面より該極細繊維の一部が
露出していることを特徴とし、表面が平滑で、独特のし
っとりとしたヌメリ感のある感触を有する。以下に、具
体的実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、実
施例中の部、%は断りのないかぎり重量部を表す。
【0018】
【実施例】
参考例(ナイロン極細繊維とポリウレタンからなる研削
粉の調整) 島成分がナイロン-6、海成分がポリエチレンの2成分
混合紡糸繊維(繊度2.5デニール、繊維長30mm、
島成分の平均直径0.2μm(単糸繊度0.0005デ
ニール)をニードルパンチして得られた不織布にポリエ
ステルエーテルジオールをソフトセグメントとするポリ
ウレタン弾性体の20%ジメチルホルムアミド(以下D
MFと略記)溶液を含浸、凝固しポリエチレンを抽出し
て得られたシート状基材の表面を180メッシュのサン
ドペーパーで研削して、ポリウレタンと直径0.2μm、
長さ0.5〜2mmのナイロン極細繊維が混在した研削
粉(ポリウレタン:ナイロン繊維=1:1;平均重量比)を
得た。
【0019】実施例1 島成分がナイロン-6、海成分がポリエチレンの2成分
混合紡糸繊維(繊度2.5デニール、繊維長30mm、
島成分の単糸繊度0.001デニール)をニードルパン
チして得られた不織布にポリエステルエーテルジオール
をソフトセグメントとするポリウレタン弾性体の20%
DMF溶液を含浸、凝固しポリエチレンを抽出して、目
付280g/m2、厚み0.9mmのナイロン極細繊維と
ポリウレタン弾性体よりなるシート状基材を得た。次ぎ
に、参考例で得た研削粉をDMF溶液に分散させ、ソフ
トセグメントの主成分が1,6―ヘキサンカーボネート
ポリオールである難黄変タイプのポリウレタン弾性体の
30%DMF溶液、凝固調節剤、顔料を添加して、ミキ
サーで十分に攪拌しナイロン極細繊維が均一に分散した
ポリウレタン弾性体の16%DMF溶液(ポリウレタン
弾性体100部に対し上記小粒状物100部、凝固調節
剤20部、顔料30部を含む)を調整した。このポリウ
レタン弾性体溶液を、表面にナイフコーターで塗布量が
ポリウレタン弾性体固形分換算で150g/m2となる
ように塗布し、30秒間放置した後、30℃の水浴中に
30分間浸漬して凝固させ、次いで、60℃の温水で1
時間洗浄し、マングルで脱液した後、100℃で20分
間乾燥し、表面の平滑な平均孔径80μmの縦長孔を持
つ多孔質皮膜層を有するシート材を得た。次ぎに、この
多孔質皮膜表面を180メッシュのサンドペーパーで皮
膜表面から0.05〜0.07 mmの厚さ均一に研削す
ることによって、スエード調の人工皮革を得た。このス
エード調人工皮革は、充実感と柔軟な風合いを合わせ持
ち、表面が平滑で、研削後の表面に極細ナイロン繊維が
平均0.5mmほど露出しており、しっとりとした高級
なヌメリ感のある感触を有していた。
【0020】実施例2、3および比較例1〜3 実施例1において、DMFに分散させるナイロン極細繊
維の量を表1に示す量に変更する以外は実施例1と同様
に処理をしてスエード調シート状物を得た。その際、各
実施例、比較例において基材に塗布するポリウレタン弾
性体溶液のポリウレタン固形分濃度はDMFにより調節
し16%とした。ただし、比較例3はポリウレタン微小
粉体:ナイロン極細繊維=1:2(平均重量比)の研削粉
を用い、多孔質皮膜のポリウレタンに対するナイロン極
細繊維量が120重量%となるように塗布液を調整しよ
うとしたが、塗布液中のナイロン極細繊維の量が多くな
りすぎたため、ナイロン極細繊維が良好に分散させるこ
とが困難であり、一部塊状に固まった状態であった。こ
のため、得られたスエード表面はところどころに繊維の
塊状物が露出し、表面平滑性に劣り、触感も悪い物であ
った。それぞれのスエード調シート状物の評価結果を表
1に合わせて示す。
【0021】
【表1】
【0022】比較例4 実施例1において、ポリウレタン弾性体溶液に分散させ
るナイロン極細繊維とポリウレタンの微小粉体からなる
研削粉を、粒子径の80%以上が20〜80μの範囲内
にあるコラーゲン粉末に置き換えた塗布液(コラーゲン
粉末はポリウレタンに対し50重量%)を用い、実施例
1と同様の処理を行いスエード調シート状物を造った。
得られたスエード調シート状物は表面の平滑性、風合い
は良好であったが、研削後の表面に粒状物が露出してい
るためざらついた感触となった。
【0023】実施例4 ポリエステル繊維とレーヨン繊維を混紡した20番手双
糸を用いて綾織にした厚み1.2mmの両面起毛布の片
面に、ソフトセグメントの主成分がポリブチレンアジペ
ートポリオールである難黄変タイプのポリウレタン弾性
体の10%DMF溶液(ポリウレタン弾性体100部に
対し10部の顔料を含む)をナイフコーターにより溶液
の塗布量が500g/m2で塗布した後、30℃の水中
で30分間浸漬して脱溶剤してポリウレタン弾性体を凝
固させ、絞液脱水の後乾燥させ厚み1.3 mmの基材を
得た。次ぎに、参考例で得たナイロン極細繊維とポリウ
レタン微小粉体よりなる研削粉をDMF溶液に分散さ
せ、ポリブチレンアジペートポリオールを主成分とする
難黄変タイプのポリウレタン弾性体の30%DMF溶
液、凝固調節剤、顔料を添加して、ミキサーで十分に攪
拌し、ナイロン極細繊維が均一に分散したポリウレタン
弾性体の16%DMF溶液(ポリウレタン弾性体100
部に対し小粒状物100部、凝固調節剤20部、顔料3
0部を含む)を得た。上記基材のポリウレタン弾性体を
塗布した面とは反対の面に、ナイロン極細繊維が均一に
分散した上記ポリウレタン弾性体溶液をナイフコーター
により塗布量がポリウレタン弾性体固形分換算で150
g/m2となるように塗布し、次いで、25℃のDMF
10%水溶液に浸漬凝固し、60℃の温水で1時間洗
浄、マングル脱液した後、100℃で20分間乾燥し、
表面の平滑な平均孔径100μmの縦長スポンジ孔を持
つ多孔質皮膜層を有するシート材を得た。 次ぎに、こ
の多孔質シート材の皮膜表面を180メッシュのサンド
ペーパーで皮膜表面から0.05〜0.07 mmの厚さ
研削することによって、スエード調のシート材を得た。
このスエード調シート材は、表面が平滑で、研削後の表
面に極細ナイロン繊維が 平均0.5mmほど露出してお
り、しっとりとした高級感のあるヌメリ感のある感触を
有していた。
【0024】
【発明の効果】このように本発明で得られたスエード調
シート状物は、平滑な表面を持ち、ウレタンスエードと
しての感性に加えて、表面に極細繊維が露出しているた
めライティングエフェクトと独特のしっとりとした高級
なヌメリ感を有している。本発明のスエード調シート状
物はこのような特徴を生かして靴、鞄類、インテリアな
どの各種用途に用いられる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質基材の少なくとも片面に積層され
    微細な縦長のスポンジ構造を有するポリウレタン多孔
    質皮膜層の表面を研削して得られるスエード調シート状
    物において、該多孔質皮膜は、直径1.0μm以下、長
    さ0.5〜2mmの極細繊維をポリウレタンに対し10
    〜100重量%、均一に分散した状態で含有し、かつ、
    該極細繊維の一部が研削後の該多孔質皮膜の表面に露出
    していることを特徴とするスエード調シート状物。
  2. 【請求項2】 繊維質基材の少なくとも片面に、粒径1
    0〜100μmのポリウレタンと直径1.0μm以下、
    長さ0.5〜2mmの極細繊維が、極細繊維:ポリウレ
    タン=10:90〜90:10の重量比で混在した小粒
    状物をポリウレタン溶液を希釈するための溶剤にあらか
    じめ分散し、攪拌することにより該極細繊維が均一に分
    散した状態のポリウレタン溶液を塗布し、次いで凝固浴
    に浸漬して、微細な縦長スポンジ構造を有する多孔質皮
    膜層を形成し、更に該多孔質皮膜の表面を研削すること
    を特徴とするスエード調シート状物の製造方法。
JP05753594A 1994-03-28 1994-03-28 スエード調シート状物およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3419540B2 (ja)

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