JP3417471B2 - 潤滑装置 - Google Patents

潤滑装置

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JP3417471B2
JP3417471B2 JP22143599A JP22143599A JP3417471B2 JP 3417471 B2 JP3417471 B2 JP 3417471B2 JP 22143599 A JP22143599 A JP 22143599A JP 22143599 A JP22143599 A JP 22143599A JP 3417471 B2 JP3417471 B2 JP 3417471B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極微量(0.00
01〜0.003cc程度)の潤滑剤を、正確な量で潤滑
面に付着させることが要求される潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高速回転体に潤滑剤を供給する従来の潤
滑装置としては、オイルエア潤滑装置、オイルミスト潤
滑装置、強制潤滑装置等がある。オイルエア潤滑装置
は、タンク、ポンプ、分配器、圧縮空気源、プランジ
ャ、ノズルで構成され、プランジャの機械的機構により
一定量に調整された潤滑剤滴(0.01〜0.03cc)
を空気配管中に吐出し、空気によりノズルまで運び、潤
滑面に噴射する。オイルミスト潤滑装置は、油溜まり、
プランジャ、分配器、圧縮空気源、電磁バルブ、ノズル
で構成され、潤滑剤を微細な霧状にし、圧縮空気により
空気配管中を搬送し、潤滑面に吹き付ける。強制潤滑
(ジェット潤滑)装置は、潤滑面の超高速な空気の壁を
貫通させるため、ポンプで油を高圧にし、ノズル径を細
くして吐出速度を速くする。
【0003】ところが、上述のオイルエア潤滑装置は、
微量の潤滑剤を連続して安定供給することが困難なた
め、間欠給油せざるを得ず、給油した直後に軸受温度が
上昇するという欠点がある。また、オイルミスト潤滑装
置は、ミストが大気中に飛散するため潤滑面に付着する
潤滑剤の量が不確定なうえ、作業環境を悪化させるとい
う欠点がある。そして、これらの潤滑装置は、高圧空気
により配管を通して潤滑剤が運ばれるため、潤滑面に付
着する油量が不安定であり、騒音の点でも問題がある。
さらに、ジェット潤滑装置は、高圧ポンプを必要とする
うえ、油量が多いことによる攪拌抵抗の増大を防ぐため
に排油機構を必要とする。
【0004】このような潤滑剤の微量調整の困難さを解
決したものに、以下の公報に開示されるものがある。特
公平2一15003号公報に開示される液体の微定量供
給装置は、電歪素子を使用して微量調整を可能にし、圧
縮空気により潤滑剤をノズルまで運ぶ。特公平7−65
695号公報に開示される流体制御バルブは、磁歪素子
の一端にダイヤフラムを設け、磁歪素子の伸縮によりオ
リフィスを調整して、流量、圧力を調整する。特開平3
−222877号公報に開示される超磁歪ポンプは、超
磁歪材科の変位をレバーで拡大し、このレバーによりダ
イアフラムを駆動してポンプ室内の圧力を負圧、正圧に
し、流体を吸入、吐出させる。米国特許4, 795,3
18、4,804,314号公報に開示される磁気精密
ポンプ(Magnetostrictive Pump)は、シリンダ内に磁
歪材料からなるピストンを内設し、ピストンを包囲して
設けたコイルに電圧を印加することによりピストンを伸
縮させ、シリンダ内の流体を吐出させる。特開平4−8
1565号公報に開示される超磁歪型燃料噴射ポンプ
は、超磁歪材料でニードルバルブを開閉し、高圧の液体
を一定量噴射する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た超磁歪材料を使ったポンプ或いは流体制御バルブに
は、以下に述べる問題があった。特公平2一15003
号公報に開示の微定量供給装置は、高圧エアーにより潤
滑剤をノズルまで運ぶことによる欠点が解決されていな
い。特公平7−65695号公報に開示の流体制御バル
ブは、超磁歪材料の断面積より液体圧力の加わるダイヤ
フラム面積が大きくなり、液体の圧力が超磁歪材料の圧
力より小さくなる。特開平3−222877号公報に開
示の超磁歪ポンプは、変位をレバーにより拡大している
ので、液体圧力が超磁歪材料の圧力より小さくなる。超
磁歪材料は、コイルによる磁界を強くすればそれに応じ
て出力が大きくなるが、コイル磁界を強くすれば、これ
に伴ってコイルの所要体積も大きくなる。この結果、そ
れを用いた装置が大きくなるという新たな問題が生じ
る。米国特許4, 795,318、4,804,314
号公報に開示の磁気精密ポンプは、ピストン自体が駆動
素子から成っているため、潤滑剤の圧力を超磁歪材料の
圧力より大きくできない。特開平4−81565号公報
に開示の超磁歪型燃料噴射ポンプは、液体を高圧化する
機能を有していない。
【0006】本発明は上記状況に鑑みてなされたもの
で、高精度に設定された一定微量の潤滑剤を高速噴射し
て回転体の潤滑面に直接付着させることができると共
に、噴射量の調整を容易にし、温度上昇が小さな高速回
転軸を実現するための小型の潤滑装置を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る請求項1記載の潤滑装置は、潤滑剤を供
給する潤滑装置であって、磁歪材料からなり磁界を印加
・除去することで伸縮動作する棒体と、前記棒体の一端
側を固定すると共に他端側にピストンを接続し、該ピス
トンをシリンダ内で摺動自在に内設することで構成し、
前記棒体の伸縮動作によって潤滑剤を加圧するポンプ室
とを備えた磁歪ポンプと、前記磁歪ポンプに潤滑剤を供
給する流路の途中に配設され、前記磁歪ポンプからの潤
滑剤の流出を阻止する逆止バルブと、前記磁歪ポンプの
潤滑剤吐出側に配設され、前記逆止バルブの潤滑剤流路
断面積より小さい流路断面積を有するノズルと、を備
え、前記シリンダの内面の横断面積が前記棒体の横断面
積より小さく、前記逆止バルブが前記ノズルよりピスト
ンの近くにあり、前記ノズルから潤滑剤を間欠的に吐出
し、該潤滑剤を潤滑面に付着させると共に、前記磁歪ポ
ンプは、磁界印加用のコイルと、該コイルに供給する電
流を制御することにより前記棒体を伸縮制御する制御装
置とを備え、該制御装置は、前記コイルの初期励磁時に
前記磁歪ポンプにより所望の吐出速度が得られる前記ポ
ンプ室内の潤滑剤の圧力となるまで電流を供給し、該圧
力に達した後、潤滑剤の吐出量に応して潤滑剤の圧力を
一定に保持するための電流を供給し、さらに所望の潤滑
剤吐出量が得られた後、供給電流をオフにする一方、前
記棒体の伸長による前記ポンプ室の減容積は、前記棒体
の収縮時に前記ノズルから流入した空気量と、前記逆止
バルブと前記ノズル出口との間の内容積内の潤滑剤の圧
縮による減体積と、前記内容積を構成する部品の圧力変
形による内容積の増容積と、潤滑剤の必要吐出量との和
に等しいことを特徴とする潤滑装置。
【0008】この潤滑装置では、潤滑剤を間欠的に供給
する際に、ポンプ内の潤滑剤が圧縮されることにより、
潤滑剤を供給する流路の圧力が昇圧され、逆止バルブが
閉じ、ノズルから潤滑剤が外部に高速で噴射される。ポ
ンプによる加圧をオフにすると、ポンプ内の圧力が低下
して潤滑剤が逆止バルブを通してポンプ内に補充され
る。この際、ノズル先端から空気も流入するが、潤滑剤
と空気の流入量比は、逆止バルブとノズルとの流路断面
積比からその二乗に比例するので、潤滑剤の流入量が空
気より多くなり、次の作動時においても同様の潤滑剤の
吐出が可能になる。
【0009】また、この潤滑装置では、磁界印加により
棒体が伸長し、ポンプ内の潤滑剤が圧縮される。これに
より、潤滑剤を供給する流路の圧力が昇圧され、逆止バ
ルブが閉じ、ノズルから潤滑剤が外部に高速で噴射され
る。磁界印加をオフにすると、棒体が収縮し、ポンプ内
の内容積が増し、潤滑剤が逆止バルブを通してポンプ内
に補充される。このように、棒体の伸縮によりシリンダ
内のピストンが移動して、これによりポンプが形成され
る。そして、シリンダ内の潤滑剤の圧力が棒体の発生圧
力より高くなり、潤滑剤の高速な吐出が可能となる。さ
らに、逆止バルブがノズルよりピストンの近くにあるた
め、負圧の伝達時間が短くなり、逆止バルブからの潤滑
剤流入量の方が空気流入量より多くなる。従って、次回
の吐出作動時においても同様にして潤滑剤吐出が可能と
なる。
【0010】さらに、この潤滑装置では、制御装置から
コイルに電流を流すと、棒体が伸長し、ピストンがポン
プ室内の潤滑剤を圧縮する。これにより、シリンダ内の
圧力が昇圧され、吸入バルブが閉じ、ノズルから潤滑剤
が外部に高速で噴射される。このとき制御装置は、例え
ばコイルの初期励磁時において磁歪ポンプにより所望の
吐出速度が得られる電流値となるまで電流を供給し、い
ち早くその電流値まで立ち上げる。この間、コイルに高
電圧を印加し、コイルの時定数に抗しすばやく電流を立
ち上げる。そして所望の吐出速度が得られる電流値に達
した後、潤滑剤の吐出量に応して減少する潤滑剤の圧力
を一定に保持するため、吐出量に等しい容積だけシリン
ダ容積が減ずるように電流を供給する。この間は、コイ
ルの時定数により所望の電流上昇速度が得られる電圧に
切り替わる。次いで所望の潤滑剤吐出量が得られた後、
コイルへの供給電流をオフにする。これにより、潤滑剤
の吐出初期時から所要の潤滑剤圧力を得ることができ、
潤滑剤の吐出開始後に一定の吐出速度を保持でき、正確
且つ安定した潤滑剤の吐出が行える。また、電流をオフ
すると、棒体が収縮し、ポンプ室の内容積が増し、潤滑
剤が吸入バルブを通してポンプ室に補充される。
【0011】また、この潤滑装置では、棒体へ印加する
磁界の制御を、ノズルから流入する空気量、潤滑剤の圧
縮による減体積、内容積を構成する部品の圧力変形によ
る内容積の増容積に係わる変動要素を加味した値で補正
して行うため、これら変動要素による吐出量誤差が排除
されて、所望の吐出量が高精度に得られる。
【0012】請求項記載の潤滑装置は、前記コイルに
供給される電流値、該電流に比例した電圧値、該電流に
より生ずる磁束値のいずれかを測定する測定器と、前記
測定器により測定された経過時間に対する測定値を、平
常時の測定値と比較することにより異常が発生したかど
うかを判断する異常判定装置とを備え、前記異常判定装
置により異常と判断されたときに異常信号を発生するこ
とを特徴とする。
【0013】この潤滑装置では、例えば被測定対象を電
流値とした場合、電流供給開始から有る時間経過したと
きに測定された電流値が平常時の電流値(設計値)より
大きい場合、即ち、ある電流値まで上昇するのに要した
時間が設計値よりも短い場合は、ノズルの目詰まり等の
異常が発生したと判断できる。逆に、電流供給開始時か
らある時間経過時に測定された電流値が設計値よりも小
さい場合、即ち、ある電流値まで上昇するのに要した時
間が設計値より長い場合は、潤滑剤漏れ等の異常が生じ
たと判断できる。また、電圧値、磁束値を被測定対象と
しても同様に異常を判断できる。そして、異常発生時に
異常信号を発生させることで、潤滑剤の供給対象の動作
を停止させる等のフィードバック制御を行うことができ
る。
【0014】請求項記載の潤滑装置は、前記コイルに
供給される電流値、該電流に比例した電圧値、該電流に
より生ずる磁束値のいずれかを測定する測定器と、前記
測定器により測定された経過時間に対する測定値を、空
気非混入時における測定値と比較することにより空気混
入の有無を判断する空気混入判定装置とを備え、前記空
気混入判定装置により潤滑装置の運転開始時に空気混入
が無いと判断されるまで前記コイルに供給する電流を大
きく、又は電流の供給周波数を高くすることを特徴とす
る。
【0015】この潤滑装置では、例えば被測定対象を電
流とした場合、潤滑剤中に空気が混入すると測定される
電流の立ち上がり時間が長くなることから、空気混入の
有無を判断できる。また、電圧値、磁束値を被測定対象
としても同様に異常を判断できる。そして、潤滑装置の
運転開始時には、空気混入が無いと判断されるまで、前
記コイルに供給する電流を大きく、又は電流の供給周波
数を高く、或いはその両方を行うことにより、磁歪ポン
プの吐出量や吐出サイクルを高め、速やかに潤滑剤をタ
ンクからポンプ内に吸入し、空気抜きを短時間に完了す
ることができる。
【0016】請求項記載の潤滑装置は、前記潤滑剤の
供給対象となる回転体の回転数を検知する回転数検知器
と、該回転数検知器により検知した回転数に応じて、前
記コイルへの供給電流の電流値と動作周波数を設定する
潤滑剤吐出量調整装置とを備えたことを特徴とする。
【0017】この潤滑装置では、回転体に潤滑剤を供給
する場合に、回転数に伴って変化する回転体への最適な
潤滑剤量の供給が可能となり、潤滑剤の過剰供給や供給
不足が防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る潤滑装置の好
適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1
は本発明に係る潤滑装置の断面図である。図1によれ
ば、正特性の超磁歪材料からなる棒体1の軸線方向一端
部1aは、予圧調整機構3を介してケース5に固定され
ている。棒体1の超磁歪材料としては、例えばEdge
Technologies(ETREMA事業部)社
製の商品名Terfenol−Dや、TDK社製の磁歪
材料が好適に使用できる。この棒体1は、同軸に設けた
後述のコイルにより磁界が印加されると、磁気歪現象
(ジュール効果)によって軸線方向へ伸長する。
【0019】予圧調整機構3は、例えば、回転により棒
体1の軸線方向に突出し、棒体1の一端部1aを押圧可
能にしたネジ機構とすることができる。棒体1の軸線方
向他端部1bには、皿バネ2aにより棒体1を予圧調整
機構3側に付勢して棒体1の軸方向に対する隙間(遊
び)を生じさせずに圧力伝達する圧力伝達部材2を介し
てピストン7が固着されている。このピストン7は、シ
リンダ9の内部に摺動自在に内設される。シリンダ9
は、ピストン摺動空間の軸線直交方向の横断面積Sが、
棒体1の軸線直交方向の横断面積Aより小さく形成され
ており、その内部にはポンプ室11が形成されている。
シリンダ9には配管を介してノズル13が取り付けら
れ、ノズル13の吐出開口部13aはポンプ室11に連
通している。ここで、ポンプ室11とノズル13との間
には、逆止バルブは設けていない。
【0020】また、シリンダ9には、ポンプ室11に潤
滑剤を吸入するための吸入口15が設けられる。吸入口
15には吸入バルブ17が設けられ、吸入バルブ17は
ポンプ室11の外への潤滑剤の流出を阻止する逆止バル
ブとなっている。また、吸入バルブ17の流路断面積
は、ノズル13の吐出開口部13aの断面積より大きく
形成されており、吸入口15は、潤滑剤搬送管19を介
して潤滑剤タンク21に配管接続されている。従って、
潤滑剤は、タンク21から潤滑剤搬送管19を介してポ
ンプ室11へ供給されるが、ポンプ室11からタンク2
1へは逆流しない構造となっている。なお、タンク21
の形状は図示した形状に限らず、他の如何なる形状であ
ってもよい。
【0021】棒体1の外周には、同軸状にコイル23が
設けられている。さらにコイル23の外周には、棒体1
とで磁気回路を形成する磁性材料からなるヨーク25が
設けられている。ヨーク25、シリンダ9の棒体1側の
基端、潤滑剤搬送管19の一部は、ケース5の内方に収
容されている。
【0022】コイル23には、制御装置(駆動回路)2
7が電気的に接続されている。制御装置27は、コイル
23へ磁界発生のための電流を出力する。この電流がコ
イル23に印加されることによりコイル23から磁界が
発生し、棒体1が伸長してポンプ室11内の潤滑剤をノ
ズル13から吐出させる。なお、ノズル13の形状は、
図1に示すようにシリンダ9の軸線に沿って段階的に縮
径した略直管状の流路が形成されたものであるが、例え
ば、図2に示す流路先端の吐出開口部22が斜めに形成
されたものであってもよい。この場合、潤滑装置100
の設置自由度を低下させることなく潤滑剤を目的とする
位置に供給することができる。このノズル13は容易に
脱着可能であり、潤滑装置100の適用対象に応じて適
切な種類のノズルが装着される。
【0023】次に、このように構成される潤滑装置10
0の作用を説明する。図3にコイルに印加される電流と
潤滑剤吐出との時間的関係を表すタイムチャートを、図
4に定量吐出量を得るために制御装置が演算する吐出量
補正の手順を示すブロック図を示した。図3(a)に示す
パターン(31)で制御装置27からコイル23へ電流
を出力すると、コイル23は磁界を発生し、超磁歪材料
からなる棒体1が伸長する。棒体1は、一端部1a側が
固定されているので他端部1b側で軸線方向に伸び、ピ
ストン7は、この伸長動作に従動して図3(b)に示す電
流と同様なパターン(32)で移動する。ピストン7が
移動するとポンプ室11内の潤滑剤が圧縮され、図3
(c)に示すようにシリンダ9内の圧力が昇圧する(3
3)。これにより、吸入口15の吸入バルブ17は閉
じ、ノズル13先端部に前回吐出時に溜まった空気がノ
ズル13から吐出された(34)後、ノズル13から潤
滑剤が外部に向けて高速度で噴射される(35)。そし
てコイルへの電流が定常になると、棒体1の伸長が止ま
り、ポンプ室11の圧力は潤滑剤の吐出により低下す
る。
【0024】その後、制御装置27からのコイル23へ
の電流出力を停止すると、伸長した棒体1は元の状態に
戻ろうと収縮し、ポンプ室11の内容積が増加する。こ
のとき、図3(c)に示すようにポンプ室11が負圧にな
り(36)、これにより図3(e)に示すように潤滑剤が
吸入バルブ17を通してポンプ室11に補充される(3
7)。この際、図3(d)に示すように同時にノズル先端
から若干の空気も流入する(38)。この空気の流入量
は、潤滑剤の補充量と比較すると十分に少ないものとな
る。これはつまり、潤滑剤の流入量と空気の流入量は、
ノズル13流路軸線直交方向の断面積が、吸入バルブ1
7の流路軸線直交方向の断面積より十分小さいため、ま
た、吸入バルブ17はノズル13よりピストン7の近く
にあるため、負圧の伝達時間が短くなり、吸入バルブ1
7からの潤滑剤流入量の方が空気流入量より多くなる。
このため、次回の吐出の作動時においても同様にして潤
滑剤吐出が可能になる。
【0025】好ましくは、ノズル13のノズル穴の体積
は、前記吸入工程においてノズル穴から流入する空気の
体積異常であることが望ましい。これは、ノズル穴を空
気が通過する際の抵抗は、潤滑剤が通過する際の抵抗よ
り小さいため、ノズル穴内がすべて空気になってしまう
と、吸入側逆止バルブよりもノズル穴の流体抵抗が小さ
くなり、吸入側逆止バルブから潤滑剤が吸入されにくく
なる虞れがあるためである。また、ポンプ室と吐出側の
配管の間にも逆止バルブを設けてもよい。なお、この場
合でも、吐出側逆止バルブの応答遅れやバルブの閉じる
動作により若干の空気がノズル穴から流入し、ノズル先
端からの潤滑剤の液ダレは回避できるものと考えられる
が、液ダレ防止効果は低下する。
【0026】さて、棒体圧縮時におけるノズル13から
の空気流入量、吸入バルブ17とノズル出口との間の内
容積内の潤滑剤の圧縮による体積減少量、及び、シリン
ダや配管等の内容積を構成する部品が圧力変形すること
による内容積の増容積等は、微量ながらも存在するた
め、ノズル13から所望量の潤滑剤を正確に吐出させる
には、これらの変動要素を加味して吐出量を設定する必
要がある。
【0027】このため、本実施形態の潤滑装置において
は、制御装置27からの電流をこれらの変動要素を加味
して、コイル23に電流を印加することを特徴としてい
る。即ち、本実施形態においては図4に示すように、
「圧縮時の潤滑剤の体積減少量」、「内容積の増容
積」、「棒体収縮時の空気吸入量」を主要な変動要素と
して、これらを加味して電流を設定している。この変動
要素としては、他に、潤滑剤の温度や粘性抵抗等の要素
が加えられるものであってもよい。
【0028】棒体1の伸長によるポンプ室11の減容積
は、(1)式に示すように、棒体圧縮時にノズル13か
ら流入した空気量と、吸入バルブ17とノズル出口との
間の内容積内の潤滑剤の圧縮による減容積と、内容積を
構成する部品の圧力変形による内容積の増容積と、ノズ
ル13から吐出される潤滑剤の必要吐出量との和に等し
くなる。
【0029】 ポンプ室11の減容積(ピストン横断面積×ピストン移動長さ) = (棒体収縮時にノズルから流入する空気量) +(高圧による潤滑剤の体積減少量) +(高圧による内容積の増容積) +(所要吐出量Qrf) …(1)
【0030】コイル23に印加される電流を(1)式を
満足するように制御することで、0.0001〜0.0
03cc程度の極微量の潤滑剤を、約50m/s〜音速
程度の高速度で間欠的に吐出することが可能となる。な
お、(1)式の各項目の値は、使用する潤滑装置に応じ
てそれぞれ測定、設定されたものを使用することができ
る。
【0031】潤滑剤の吐出量は、(2)式により求める
ことができる。 Qr=Δ・f …(2) ここで、Qr〔cc/秒〕は所要吐出量(設定吐出量)
であり、Δ〔cc/ショット〕は定格電流を供給したと
きの一動作での吐出量であり、f〔ショット/秒〕はコ
イルに印加される動作周波数(供給周波数)である。
【0032】算出された設定吐出量Qrは、その値に応
じて図5に示す3つの条件に分類されて制御される。ま
ず、設定吐出量Qrが最少量ショットを最高動作周波数
で行った吐出量以下である場合、即ち、Qr≦Δmin ・
fmax である場合(51)は、一動作での吐出量Δ、動
作周波数fを、 Δ=Δmin 、f=Qr/Δmin に設定する。
【0033】ここで、Δmin〔cc/ショット〕は、制
御可能な最小電流による一動作での最少吐出量で、本実
施形態の場合は0.0001〔cc/ショット〕とす
る。また、fmax〔ショット/秒〕は本装置で出力でき
る最高動作周波数である。従って、この場合の最終的な
設定吐出量Qrfは(3)式により設定することにな
る。 Qrf=Δmin ×(Qr/Δmin ) …(3)
【0034】また、設定吐出量Qrが、Δmin ・fmax
<Qr≦Δmax ・fmax である場合(52)(ここで、
Δmax〔CC/ショット〕は制御可能な最大電流による一
動作での最大吐出量である)は、位置動作での吐出量
Δ、動作周波数fを次のように設定する。Δ=Qr/f
max 、f=fmax従って、この場合の最終的な設定吐出
量Qrfは(4)式により設定することになる。 Qrf=(Qr/fmax )×fmax …(4)
【0035】そして、設定吐出量QrがΔmax ・fmax
<Qrである場合(53)は、本装置の吐出能力を越え
ているので、制御装置27により吐出不可の信号(図4
参照)を出力する。
【0036】以上の結果、上述の潤滑装置100によれ
ば、以下に示す効果を奏することができる。棒体1の収
縮時には、ノズル13から空気が流入して潤滑剤液面先
端がノズル内部に移るため、休止時に潤滑剤が垂れ落ち
ることを防止できる。また、棒体1の伸長時には、ノズ
ル先端の空気が押し出される間に、シリンダ9内の潤滑
剤の圧力が上昇する。このため、潤滑剤がノズル端から
吐出されるまでの時間に若干の遅れが生ずるが、この遅
れ時間が潤滑剤を所定圧力に上昇させる時間と相殺され
る。その結果、潤滑剤の吐出時に所定速度に近い高速な
吐出速度が得られ、必要となる所定速度未満で潤滑剤が
吐出されることを低減できる。さらに、シリンダ9の軸
線直交方向の横断面積Sを棒体1の横断面積Aより小さ
くしたので、シリンダ内の潤滑剤の圧力を棒体1自体の
発生圧力より高くすることができ、潤滑剤をより高圧で
吐出することができる。
【0037】そして、潤滑剤を直接的に被潤滑面に付着
させることにより、潤滑剤を搬送するための空気ポンプ
が不要になる。また、シリンダ内の潤滑剤を高圧にする
とき、潤滑剤の圧縮、シリンダ9等のポンプ室の膨張が
無視できなくなるが、コイル23への電流を、それらの
変動要素で補正するため、所望の吐出量を高精度に得る
ことができる。さらに、コイル電流を制御することによ
り潤滑剤の潤滑面付着量を容易に調整できるので、定量
バルブを必要としない。この結果、構造が簡単で小型の
潤滑装置を実現することができる。
【0038】また、制御装置27は、潤滑剤供給対象と
なる回転体の回転数を検知し、この検知信号に応じた電
流値、又は検知信号に応じた電流の供給周波数、或いは
その両方の条件でコイル23に電流を供給して、潤滑剤
吐出量を調整するものであってもよい。この場合、回転
数に伴って変化する最適な潤滑剤の供給が可能となり、
潤滑剤の過剰供給を防止し、且つ常に最適な潤滑効果を
得ることができる。例えば、潤滑剤供給対象となる軸受
のシャフト(回転体)回転数をエンコーダ等により検知
し、得られた回転速度を制御装置27に入力する。制御
装置27は、回転速度が速い場合には多く、遅い場合に
は少なく潤滑剤が供給されるようにコイル23への駆動
電流の電流値、動作周波数を調整してコイル電流を出力
する。この場合、制御装置27が潤滑剤吐出量調整装置
に相当する。
【0039】次に、本発明に係る潤滑装置の第2実施形
態を説明する。図6は本実施形態の潤滑装置におけるコ
イルの制御装置の回路構成を示す図である。本実施形態
における潤滑装置は、制御装置を除いて第1実施形態の
潤滑装置の構成と同様であり、重複する説明は省略す
る。
【0040】本実施形態の制御装置28は、図1に示す
超磁歪素子からなる棒体1を伸長させるコイル23に接
続され、コイル23への電流印加を制御する。図6に示
すように、制御装置28は、印加電流を急峻に立ち上げ
るための高電圧電源61と、印加電流の立ち上げ後に所
要の潤滑剤吐出量を得るための低電圧電源62と、これ
らの電源61,62を比較器63、64からの出力に応
じて切り換えるトランジスタ(FET)Tr1、Tr2
とを有している。制御装置28の動作を説明すると、最
初にTr1とTr2とを共にオンにすると、コイルには
高電圧電源61及び低電圧電源62によって電流が供給
される。このとき、図7に示す電流波形に示すように、
コイル電流は急峻に初期圧力設定レベル(第1の電流
値)まで立ち上がる。このコイル電流の立ち上がり特性
は、(5)式で表される。
【0041】 I(t)=E/r・[1−exp{−rt/L}] …(5) ここで、 I:電流 E:電圧 r:抵抗 L:インダクタンス である。例えば、コイルの抵抗rが1.7[Ω]、イン
ダクタンスLが5[mH]で、電圧が200[V]であ
るとすると、電流I(t)は、上式より経過時間tが1
28[μs]で5[A]に達する。
【0042】図7に示すように、初期圧力設定レベルと
して5[A]が設定されていたとすると、電流が5
[A]に達したことを検知してTr1をオフにする。す
ると、コイルには低電圧電源側だけから電流が供給され
る。このときの低電圧電源の電圧Eは次のように求めら
れる。ノズルの断面積をSn[mm2]、シリンダ内容
積の横断面積をSc[mm2]、超磁歪素子の伸長をΔ
L[mm/A]とすると、所要の吐出速度をv[mm/
s]を得るために必要な超磁歪素子の伸長速度vm[m
m/s]は、(6)式で表される。
【0043】vm=v・Sn/Sc …(6) また、電流の所要の増加速度I'[A/s]は、(7)
式で表される。 I'=vm/ΔL …(7)
【0044】例えば、ノズルの断面積Snを0.008
[mm2]、所要の吐出速度vを50000[mm/
s]、シリンダ内容積の横断面積Scを30[mm2
とすると、超磁歪素子の所要の伸長速度vmは、13.
3[mm/s]となる。このとき、超磁歪素子の伸長Δ
Lを0.01[mm/A]とすると、電流の所要増加速
度ΔIは1330[A/s]となる。また、吐出量を1
[mm3]とすると、必要となる電流の増加ΔIは、 ΔI=1/(Sc・ΔL) =3.3[A] となり、この電流値に達する所要時間Tは、 T=3.3/1330 =2.48×10-3[s] となる。上記各パラメータを(5)式に代入すると、電
圧Eは18.3[V]となる。従って、上記条件下にお
いては、この電圧Eを低電圧電源62の電圧値とすれば
よい。
【0045】このように低電圧電源の電圧を、吐出速度
に応じて決定される電圧値に設定することにより、与え
られたポンプにおいて所望の吐出速度を得ることができ
る。そして、初期応力設定レベルの電流値に達して時間
Tが経過したとき、即ち、所要の吐出量が得られたとき
にTr2もオフにしてコイル電流をカットする。このT
r1,Tr2のオンオフ動作によるコイル電流の生成を
所定の動作周波数で行うことで、間欠的に潤滑装置から
潤滑剤を吐出させることができる。本方式によれば、電
流帰還により電流制御するドロッパ方式や、パルス幅制
御方式よりも、省電力に且つ安価に構成することができ
る。なお、本実施形態の回路は、コイルの電流値によっ
て自動的に電圧値の切替え・オフができるものである
が、タイマーによって電圧値の切替え・オフをするなど
しても構わない。また、図7では、電流値が所要吐出量
レベルに達した後、電流をオフしているが、その際、好
ましくは、ポンプ室内にキャビテーションが発生しない
ように徐々に電流値を低下させることが望ましい。
【0046】図8は、経過時間に対するコイル電流の変
化の一例を示したグラフである。なお、この場合もコイ
ルのインダクタンスLは5[mH]で、抵抗rは1.7
[Ω]である。図9に示すように、制御装置28のTr
1,Tr2を共にオンにして高電圧を印加することで、
コイル電流を急峻に立ち上げる。次に、Tr1をオフに
して低電圧電源だけで所定の吐出速度で潤滑剤を吐出す
る。図8には、低電圧電源の電圧値を、24[V]、1
8[V]、12[V]の3種類で表示しており、前述の
計算例における電圧Eが18.3[V]の場合は、上記
18[V]の計算例に略等しくなる。
【0047】次に、本発明に係る潤滑装置の第3実施形
態を説明する。本実施形態の潤滑装置は、潤滑剤漏れや
目詰まり等の異常を検知してポンプの運転状況を監視で
きるようにしたものである。
【0048】まず最初に、磁歪素子の性質について説明
する。磁歪素子の性質の代表的なものとして、次の2つ
の性質が挙げられる。一つはジュール効果と呼ばれるも
ので、磁歪素子はこれに作用する磁界によって歪を生ず
るという性質である。前述したように、この性質を利用
して磁歪素子に磁界をかけることにより、磁歪素子を伸
長させ、これによりピストンを駆動するものが磁歪ポン
プである。
【0049】他の一つはビラーリ効果と呼ばれるもので
ある。ビラーリ効果とは、磁歪素子が受ける応力に応じ
て磁歪素子の透磁率が変化する効果であり、これによ
り、磁歪素子に駆動用のコイルを設けた場合に、そのコ
イルのインダクタンスが変化する。一般に超磁歪材料
は、応力がゼロのときのインダクタンスに対し、応力が
約1[MPa]になると、インダクタンスが約30%小
さくなる。
【0050】このビラーリ効果を次のように利用して、
異常検知を行うことができる。即ち、潤滑装置が正常に
運転されているときは、シリンダ内の圧力は例えば4
[MPa]程度であり、ピストンの横断面積が超磁歪素
子の横断面積の1/4とすると、超磁歪素子の応力は1
[MPa]程度となる。この場合、超磁歪素子を含めた
コイルのインダクタンスの減少率は、この応力に相応す
る減少率、即ち、約30%となる。
【0051】ここで、潤滑装置に異常が発生してノズル
に目詰りが生じたときは、シリンダ内の圧力は30〜4
0[MPa]の高圧となり、超磁歪素子の応力もこれに
対応して大きくなり、その結果、コイルのインダクタン
ス減少率は約40%になる。逆に、超磁歪ポンプ内部で
潤滑剤漏れが生じた場合には、シリンダ内の圧力及び超
磁歪素子の応力は略ゼロとなり、コイルのインダクタン
スの減少率も略ゼロとなる。このように、潤滑装置の超
磁歪ポンプの運転状態に異常が発生すると、コイルのイ
ンダクタンス減少率は0%から40%まで大きく変化す
る。
【0052】ところで、コイルに流れる電流の立ち上が
り特性は前述したように(5)式で表わされる。(5)
式によれば、図9に示すように、コイルのインダクタン
スLの減少が小さい場合には、コイルを流れる電流Iは
設計値よりも遅く立ち上がり、逆にコイルのインダクタ
ンスLの減少が大きい場合には、電流Iは設計値よりも
早く立ち上がることになる。このように、コイルを流れ
る電流の立ち上がり時間を検知することにより、コイル
のインダクタンスの減少率、即ち、超磁歪素子の応力を
検知することができる。
【0053】この電流の立ち上がり特性を、図10に示
すように、検知用抵抗67及び電流判定装置68によっ
てコイル23に流れる電流を監視することにより、超磁
歪ポンプの運転状態の良否を判定する。上記検知用抵抗
67及び電流判定装置68が測定器及び異常判定装置に
相当する。即ち、コイル23に流れる電流の立ち上がり
時間が設計値と同程度であれば、超磁歪ポンプは良好に
動作していることが分かり、もし電流の立ち上がり時間
が設計値より早ければ、ノズル13の目詰り等の原因に
よりシリンダ9内の圧力が上昇し、超磁歪素子1に大き
な応力が発生していることが分かる。また、もし電流の
立ち上がりが設計値より遅ければ、潤滑剤流路から潤滑
剤が漏れ出す等の不具合が発生する等して、超磁歪素子
1に低い応力しか発生していないことが分かる。
【0054】前述のように、シリンダ9内の圧力とノズ
ル13からの潤滑剤の吐出との間には密接な関係がある
ので、コイル23の電流の立ち上がりが設計の目標値か
らずれている場合には、ノズル13からの潤滑剤の吐出
も異常になっていると推定される。ここで、高速スピン
ドルの転がり軸受への潤滑剤を供給する装置として、本
発明の潤滑装置を使用する場合を例に取ると、コイル電
流の立ち上がり特性に目標値とのずれが検知された際
に、電流判定装置68から異常信号を発信させ、高速ス
ピンドルの回転を緊急に停止させる等のフィードバック
制御を施すことができる。
【0055】次に、本発明に係る潤滑装置の第4実施形
態を説明する。本実施形態においては、ノズルからの空
気抜きの完了を検知可能としたものである。前述したよ
うに、磁歪素子の主な性質の一つであるビラーリ効果に
より、超磁歪素子が受ける応力がゼロの場合のインダク
タンスに対し、応力が1[MPa]の場合のインダクタ
ンスは約30%減少する。
【0056】このような関係から、図11に示すコイル
を流れる電流の立ち上がりの早さは、超磁歪素子が受け
る応力、つまり、シリンダ内の圧力に関係するので、図
11に示す検知用抵抗67及び電流判定装置68(測定
器及び空気混入判定装置に相当)により、図12に示す
ようにコイルに流れる電流を検知することで、超磁歪ポ
ンプの空気抜き完了を判定することができる。
【0057】つまり、潤滑装置の始動時に空気抜き完了
を検知する場合、電流の立ち上がり特性を正常の場合の
特性と比較して、立ち上がり時間が所定の定常値より長
い場合には、シリンダ9内や潤滑剤流路内に空気が残っ
ているものと判断する。空気が残っているときは、短時
間に空気抜きを行うため、図1に示す制御装置27によ
り定常状態より速いサイクルで、しかも大きなストロー
クでピストン7を駆動するように超磁歪ポンプを運転す
る。その後、空気抜きが完了したときに定常状態の超磁
歪ポンプの運転に戻す。これにより、例えば、潤滑装置
の初回運転時や朝の始業時等に、短時間で自動的に空気
抜きを完了させることができる。
【0058】なお、以上説明した各実施形態の潤滑装置
は、例えば高精度、高速度回転が要求されるマシニング
センタのカートリッジスピンドル等に対しても好適に適
用することができる。また、棒体を形成する磁歪材料と
しては、上記正特性の超磁歪材料の他にも、双方向特性
の磁歪材料であっても同様にして伸縮作用を利用したポ
ンプを形成することができる。そして、上記電流値の代
わりに、電流値に比例する電圧値を図10に示す検知用
抵抗の電圧降下を電圧計で測定し、得られた電圧値に基
づいて異常判定や空気抜き完了の判定を行ってもよい。
この場合、簡便にして測定や判定を行うことができる。
また、上記電流値の代わりに、電流値に比例する磁界の
強さをホール素子等を用いて測定し、得られた磁界値に
基づいて異常判定や空気抜き完了の判定を行ってもよ
い。この場合、ホール素子は棒体1の近傍に配設するこ
とが好ましく、これにより、棒体の伸縮動作をより直接
的に検知でき、測定精度が向上して判断の正確性を向上
できる。なお、本装置の他の用途としては、例えば、セ
ミドライ加工での切削油剤の供給等が考えられる。
【0059】
【発明の効果】本発明に係る潤滑装置は、潤滑剤を供給
する潤滑装置であって、ノズルから潤 滑剤を間欠的に
し、該潤滑剤を潤滑面に付着させるものであって、ポ
ンプによる加圧休止時(棒体収縮時)に、ノズルから空
気が流入し潤滑剤先端がノズル内部に移るため、休止時
に潤滑剤が垂れ落ちることを防止できる。そして、ノズ
ル先端の空気が押し出される間にシリンダ内の潤滑剤圧
力を上昇させるため、高速な吐出速度を吐出初期段階か
ら安定して得ることができる。また、シリンダ内部の軸
線直交方向の横断面積を棒体の横断面積より小さく形成
しているので、シリンダ内の潤滑剤の圧力を棒体の発生
圧力より高くすることができ、潤滑剤を高速に吐出する
ことができる。このため、潤滑剤を高圧化するためのポ
ンプが不要になり、装置を小型化することができる。さ
らに、コイルへの印加電流値を、潤滑剤の圧縮やシリン
ダの膨張、空気の吸入等の吐出量変動要素に基づいて補
正するため、所望の吐出量を高精度に得ることができ
る。
【0060】そして、潤滑装置の運転状態を検知するこ
とで、潤滑剤の供給が正しく行われているか否かを監視
でき、高い信頼性が要求される高速スピンドル用等の潤
滑装置を得ることができる。また、ポンプ内の空気抜き
完了を検知することにより、短時間で空気抜きを完了さ
せて通常の運転状態に戻すことができ、作業性の良い潤
滑装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る潤滑装置の断面図である。
【図2】他のノズル形状を示す図である。
【図3】定量吐出量を得るために制御装置が行う、コイ
ルへの印加電流に対する補正量の演算を説明するブロッ
ク図である。
【図4】コイルに印加される電流と潤滑剤吐出との時間
的関係を表すタイムチャートである。
【図5】吐出量別の電流制御機能の一例を表すブロック
図である。
【図6】第2実施形態の潤滑装置におけるコイルの制御
装置の回路構成を示す図である
【図7】トランジスタの動作に伴うコイル電流波形を示
す説明図である。
【図8】経過時間に対するコイル電流の変化の一例を示
したグラフである。
【図9】異常時と正常時におけるコイル電流の立ち上が
り特性を示す説明図である。
【図10】コイル電流を検知する構成を示す図である。
【図11】空気混入状態と空気抜き完了後のコイル電流
の立ち上がり特性を示す説明図である。
【図12】空気混入状態から空気抜き完了へのコイル電
流検知状況を示す図である。
【符号の説明】
1 棒体(超磁歪材料) 1a 一端部 1b 他端部 7 ピストン 9 シリンダ 11 ポンプ室 13 ノズル 15 吸入口 17 吸入バルブ 23 コイル 27、28 制御装置 67 検知用抵抗 68 電流判定装置 100 潤滑装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−196520(JP,A) 特開 平6−197573(JP,A) 特開 平6−101631(JP,A) 特開 平7−217532(JP,A) 特開 平5−248350(JP,A) 特開 平10−196519(JP,A) 特開 昭62−150020(JP,A) 特開 平9−166282(JP,A) 特開 平10−9490(JP,A) 実公 平1−41997(JP,Y2) 特許2651876(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 9/00 - 15/08 F04B 53/00 - 53/22 F16N 7/32

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑剤を供給する潤滑装置であって、 磁歪材料からなり磁界を印加・除去することで伸縮動作
    する棒体と、前記棒体の一端側を固定すると共に他端側
    にピストンを接続し、該ピストンをシリンダ内で摺動自
    在に内設することで構成し、前記棒体の伸縮動作によっ
    て潤滑剤を加圧するポンプ室とを備えた磁歪ポンプと、 前記磁歪ポンプに潤滑剤を供給する流路の途中に配設さ
    れ、前記磁歪ポンプからの潤滑剤の流出を阻止する逆止
    バルブと、 前記磁歪ポンプの潤滑剤吐出側に配設され、前記逆止バ
    ルブの潤滑剤流路断面積より小さい流路断面積を有する
    ノズルと、 を備え、 前記シリンダの内面の横断面積が前記棒体の横断面積よ
    り小さく、前記逆止バルブが前記ノズルよりピストンの
    近くにあり、 前記ノズルから潤滑剤を間欠的に吐出し、該潤滑剤を潤
    滑面に付着させると共に、 前記磁歪ポンプは、磁界印加用のコイルと、該コイルに
    供給する電流を制御することにより前記棒体を伸縮制御
    する制御装置とを備え、 該制御装置は、前記コイルの初期励磁時に前記磁歪ポン
    プにより所望の吐出速度が得られる前記ポンプ室内の潤
    滑剤の圧力となるまで電流を供給し、該圧力に達した
    後、潤滑剤の吐出量に応して潤滑剤の圧力を一定に保持
    するための電流を供給し、さらに所望の潤滑剤吐出量が
    得られた後、供給電流をオフにする一方、 前記棒体の伸長による前記ポンプ室の減容積は、前記棒
    体の収縮時に前記ノズルから流入した空気量と、前記逆
    止バルブと前記ノズル出口との間の内容積内の潤滑剤の
    圧縮による減体積と、前記内容積を構成する部品の圧力
    変形による内容積の増容積と、潤滑剤の必要吐出量との
    和に等しいことを特徴とする潤滑装置。
  2. 【請求項2】 前記コイルに供給される電流値、該電流
    に比例した電圧値、該電流により生ずる磁束値のいずれ
    かを測定する測定器と、 前記測定器により測定された経過時間に対する測定値
    を、平常時の測定値と比較することにより異常が発生し
    たかどうかを判断する異常判定装置とを備え、 前記異常判定装置により異常と判断されたときに異常信
    号を発生することを特徴とする請求項1記載の潤滑装
    置。
  3. 【請求項3】 前記コイルに供給される電流値、該電流
    に比例した電圧値、該電流により生ずる磁束値のいずれ
    かを測定する測定器と、 前記測定器により測定された経過時間に対する測定値
    を、空気非混入時における測定値と比較することにより
    空気混入の有無を判断する空気混入判定装置とを備え、 前記空気混入判定装置により潤滑装置の運転開始時に空
    気混入が無いと判断されるまで前記コイルに供給する電
    流を大きく、又は電流の供給周波数を高くすることを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載の潤滑装置。
  4. 【請求項4】 前記潤滑剤の供給対象となる回転体の回
    転数を検知する回転数検知器と、 該回転数検知器により検知した回転数に応じて、前記コ
    イルへの供給電流の電流値と動作周波数を設定する潤滑
    剤吐出量調整装置とを備えたことを特徴とする請求項1
    〜請求項3のいずれか1項記載の潤滑装置。
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