JP4572462B2 - 潤滑装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡単な構造で、微量の潤滑油を高速吐出可能にする潤滑装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工作機械のスピンドル等に対して行われる微量潤滑としては、連続したエアの流れに間欠的に潤滑油を混合させて搬送させ、吐出ノズルにて噴霧状として軸受に吹き付けるオイルエア潤滑方式や、予め潤滑油を噴霧状としたうえで、既に吐出されているエアによって搬送させ、吐出ノズルから軸受に吹き付けるオイルミスト潤滑方式や、微量の潤滑油を軸受内に直接噴射する潤滑方式(以下、「直噴潤滑」と称す。)がある。
【0003】
オイルエア潤滑方式においては1ショット0.01〜0.03ml程度の潤滑油をある時間間隔でエアと混合する定量弁が用いられる。この定量弁の例としては、実公平8−2578号公報に開示されるものなどが知られている。従来、この種の定量弁は、1つのピストンの往復運動を利用して、定量の油の蓄積、吐出を行う構造であり、ピストンの片側端のシリンダ内に油を蓄積し、その反対側で吐出を行うものである。吐出量を小さくするには、ピストン径とストロークを小さくすることが考えられるが、従来の方式ではOリング等のシール部品やリターンバネの大きさなど寸法的な制約があり、小型化が容易に行えないことから、0.01ml未満の油を吐出することは困難とされていた。
【0004】
一方、直噴潤滑の例としては、特開2000−74076号公報や、特開2000−110711号公報に開示されるものがある。特開2000−74076号公報に開示される潤滑構造では、圧力のかかった作動油と電磁石の作用により潤滑油を吐出するポンプが使用されている。また、特開2000−110711号公報に開示される潤滑装置では超磁歪材料を用いた微量潤滑ポンプが使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したオイルエア潤滑方式やオイルミスト潤滑方式の潤滑装置は、1つのピストンの往復運動を利用して、定量の油の蓄積、吐出を行う構造であるため、オイル1回の給油量が通常0.03ml程度と多く、且つ15分程度の時間間隔で油が吐出されることから、一定回転する軸受の温度が、油のショット間隔で脈動する問題があった。また、転動体とオイルエアとの風切り音の生じることがあった。転動体とオイルエアとの風切り音は、その周波数が2〜3Hz以下のときに耳障りな音となる場合が多く、直径[m]と回転速度[rpm]の積(dm・N)が150万以下のあまり高速回転でない主軸の場合でも問題となった。
【0006】
一方、上記した直噴潤滑の潤滑装置は、0.001ml程度の微量の潤滑油を高速で吐出する必要があり、特開2000−110711号公報や2000−74076号公報に開示される潤滑装置の構造では、この微量且つ高速な潤滑油の吐出が、電磁石や超磁歪材料を用いた微量潤滑ポンプによって実現されるため、装置コストが高くなる問題があった。また、微量潤滑ポンプであるため、配管には圧力による変形の大きいOリングや樹脂チューブを用いることができず、特に設計の自由度が要求される工作機械の主軸用潤滑装置としては容易に適用できない不利があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、電磁石や超磁歪材料を用いる装置に比べ、低コスト且つ簡単な構造で、風切り音を生じさせることなく、微量な潤滑油を高速に吐出することができ、しかも、設計自由度を高めることができる潤滑装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る潤滑装置の構成は、複数のノズルから微量の潤滑油を軸受内部に直接噴射する潤滑装置であって、前記ノズルからの吐出油容量より大きい吐出油容量を有するポンプと、該ポンプと前記ノズルとを接続する油配管と、該油配管のポンプ側配管と複数のノズル側配管との間に介装され、前記ポンプ側配管内の潤滑油を前記ノズル側配管に供給するように前記油配管を遮断又は開放することで、前記ノズルからの潤滑油の噴射と該噴射の停止を行う切替弁と、を具備し、
前記切替弁は、固定摺接面を有する固定部材と、前記固定摺接面に密接する移動摺接面を有し、前記固定摺接面に垂直な軸線を中心に前記固定部材に対して摺動回転する回転部材と、を備え、
前記固定部材の固定摺接面には、前記軸線位置に穿設され、前記ポンプ側配管が接続される吐出孔と、前記軸線を中心とした円周上に穿設され、前記ポンプ側配管の周囲に配置される前記ノズル側配管がそれぞれ接続される複数の送油孔と、が開口し、
前記回転部材の移動摺接面には、前記吐出孔と複数の送油孔とを連通可能なスリットが形成されており、
前記切替弁は、前記回転部材の摺動回転時において、前記吐出孔と前記送油孔が前記スリットを介して連通したときにのみ、前記油配管を開放する構成であり、
前記回転部材は、モータの駆動によって1回転し、該モータを所定の回転速度まで加速させた後、該所定の回転速度を維持している間に、前記吐出孔が前記スリットを介して前記各送油孔と順に連通することで、前記固定部材に接続された前記ポンプ側配管内の潤滑油が前記固定部材に接続された前記各ノズル側配管に順に供給され、
前記回転部材は、前記切替弁の開放時間が0.1〜50msとなるように前記固定部材に対して摺動回転させ、前記油配管の開放によって前記ポンプの圧力が前記ノズルに加わり、1ショットの吐出油量が0.0001〜0.01mlで前記潤滑油が前記軸受内部に噴射されることを特徴とする。
【0009】
従って、切替弁によって、ポンプからの潤滑油をノズルを介して軸受内部へ適切に供給することができ、電磁石や超磁歪材料を用いた高価な微量潤滑ポンプを使用せずに、安価なポンプを用いて十分な吐出速度が得られ、高速回転のスピンドルにおいて、安定した潤滑特性、即ち、耐焼付性の向上、トルクむら低減等が可能になる。また、オイルエア、オイルミストで問題になった転動体の風切音が生じなくなる。さらに、切替弁までの配管には樹脂製耐圧チューブ等を用いることが可能になり、配管の設計自由度が高まる
【0011】
この潤滑装置では、ノズルから噴射される1ショットの吐出油量が、0.0001より大きいことで、潤滑油の圧縮性、配管の圧力変形、及び切替弁の応答性が大きく影響することによる流速の低下が防止され、十分な流速が確保可能になる。また、ノズルから噴射される1ショットの吐出油量が、0.01mlより小さいことで、軸受に生じるトルク変動が防止される。
【0012】
また、潤滑装置は、前記ノズルから噴射される潤滑油の吐出速度が、軸受内輪周速度の10%以上であることが好ましい。
【0013】
この潤滑装置では、ノズルから噴射される潤滑油の吐出速度が、軸受内輪周速度の10%以上となり、軸受内部まで潤滑油が到達するのに必要な吐出速度が確保される。実用的にはポンプ圧力2.5MPa程度の安価な油圧ポンプが使用可能になる。
【0015】
この潤滑装置では、切替弁の開放時間が0.1〜50msとなることにより、必要吐出量0.0001〜0.01mlが満足される。即ち、下記式から、ポンプ圧力、潤滑油、配管が設定されると、切替弁の開放時間tと吐出量の関係が定まり、必要吐出量0.0001〜0.01mlから要求される切替弁の開放時間tが、0.1〜50msとなる。
【0016】
v=Cd・(2(p−Δp)/ρ)0.5
q=v・πd2 ・t/4
Δp=32・μ・L・d2 ・v/D4
但し、
Cd:流量係数、p:ポンプ圧力(Pa)、Δp:圧力損失(Pa)、
ρ:潤滑油密度(kg/m3 )、d:ノズル径(m)、
t:切替弁の開放時間(s)
μ:潤滑油粘性係数(Pa・s)、L:配管長さ(m)、D:配管内径(m)
【0019】
また、潤滑装置は、前記回転部材を回転させるモータと、前記ポンプの吐出油圧力を検出する圧力スイッチと、前記ポンプに駆動信号を送出し、前記吐出油圧力が一定圧力以上となったときの前記圧力スイッチからの検出信号を受けることで前記モータに一回転の駆動信号を送出した後、前記ポンプに駆動停止信号を送出し、該一連の動作を一定時間間隔で繰り返し行わせるコントローラとを具備した構成としてもよい。
【0020】
この潤滑装置では、コントローラによりポンプがONされると、油圧が上昇され、油圧が一定圧力以上となったことが圧力スイッチを介してコントローラによって検出されると、コントローラはモータを一回転させた後、コントローラによってポンプがOFFされる。これら一連の動作が、コントローラによって一定時間間隔で繰り返し行われ、ポンプからの潤滑油がノズルから一定時間間隔で噴射される。
【0021】
また、潤滑装置は、前記切替弁が、固定摺接面を有する固定部材と、前記固定摺接面に密接する移動摺接面を有し且つ前記固定摺接面に垂直な軸線を中心に該移動摺接面を摺接回転させる回転部材とからなり、前記固定部材の固定摺接面には、前記軸線を中心とした円周上に、前記ノズルに接続される複数の送油孔が穿設され、前記軸線位置に前記ポンプに接続された吐出孔が穿設され、前記回転部材の移動摺接面には、前記軸線位置から半径方向に沿って前記送油孔の位置までスリットが形成された構成としてもよい。
【0022】
この潤滑装置では、切替弁の固定部材に対して回転部材が回転され、固定部材の固定摺接面に設けられた送油孔に、回転部材の移動摺接面に設けられたスリットが一致すると、切替弁が開く(油配管が開放される)ことになり、ポンプからの潤滑油がノズルから一定時間噴射される。この際、送油孔が円周上に複数設けられていることで、回転部材が一回転するごとに、それぞれの送油孔に、吐出孔からの潤滑油が供給され、回転部材の一回転で複数箇所への潤滑油の供給が可能になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る潤滑装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る潤滑装置の原理図である。
【0028】
本実施形態の潤滑装置1は、潤滑油を吐出するポンプ3と、このポンプ3の潤滑油吐出口に、油配管(ポンプ側配管)5を介して接続される切替弁7と、この切替弁7の油吐出側に、油配管(ノズル側配管)9を介して接続され、軸受11に潤滑油を噴射するノズル13とにより構成されている。
【0029】
ポンプ3は、油タンクに付設して設けられてもよい。このポンプ3は、ノズル13からの吐出油容量より大きい吐出油容量を有している。ポンプ3としては、空圧や油圧駆動のピストン式ポンプや、ギヤポンプ等の通常の油圧ポンプを用いることができる。
【0030】
切替弁7は、ポンプ3とノズル13とを接続する油配管(ポンプ側配管5、ノズル側配管9)に介装され、ポンプ3からの潤滑油の吐出圧力に応じて、油配管を遮断又は開放するように動作する。即ち、ポンプ3からの吐出油圧力が一定圧力未満では、油配管を遮断してノズル13からの潤滑油の噴射を停止する。一方、ポンプ3からの吐出油圧力が一定圧力以上となったときには、油配管を開放してポンプ3からの潤滑油をノズル13から一定時間噴射させる。切替弁7には、例えばこれら油配管の遮断・開放動作を回転部材の回転によって行う所謂ロータリーバルブが用いられ、これにより、切替弁7は上記した油配管を遮断・開放させる一連の動作を繰り返し行えるようになっている。
【0031】
次に、この潤滑装置1の作用を説明する。
潤滑装置1によって潤滑油を軸受11に噴射するには、まず、ポンプ3を駆動する。ポンプ3の圧力はポンプ側配管5を通して切替弁7に伝わる。この際、切替弁7によって油配管を遮断(OFF)し、ポンプ3によりポンプ側配管5内の圧力を上昇させる。
【0032】
切替弁7は、ポンプ側配管5内の圧力が十分上昇するまで遮断状態を維持する。即ち、ポンプ側配管5やポンプ3内のOリング等、圧力による変形の大きな部位が十分変形するまで待つ。この際の待機動作は、例えば圧力スイッチによる圧力上昇の確認を行うか、ポンプ3の駆動開始から数秒待つなどの措置によってなされる。
【0033】
油圧上昇後、切替弁7を短時間tだけ開放(ON)することによって、ポンプ圧力がノズル13に加わり、流速v、吐出量qで潤滑油が軸受11内に噴射される。つまり、切替弁7はノズル13側への油圧を遮断する機能と、ノズル13へ油圧を伝える機能を持つ。
【0034】
切替弁7の先には複数の油配管とノズルの接続される場合がある。この場合、複数のノズルに対し一度に油圧を加えても良いが、1ノズルずつ油圧を切り替えた方が各ノズルの給油量を安定させることができる。切替弁7の下流側部品(切替弁7自身、ノズル側配管9、ノズル13、及びそれらの継ぎ手等の結合部品)は、短時間に微量の潤滑油が流れるのみであるため、圧力に対して変形し難い部品が使用される。
【0035】
次に、ノズル13からの吐出量と、切替弁7の開放時間tとの関係を説明する。ノズル13から吐出される潤滑油の流速v(m/s)及び吐出量q(m3/Shot)は(1)式及び(2)式で表される。
v=Cd・(2(p−Δp)/ρ)0.5 …(1)
q=v・πd2 ・t/4 …(2)
但し、Cd:流量係数、p:ポンプ圧力(Pa)、Δp:圧力損失(Pa)
ρ:潤滑油密度(kg/m3 )、d:ノズル径(m)
t:切替弁の開放時間(s)である。
【0036】
ここで、Cdは流量係数で、ノズル形状及び潤滑油粘度等によって決まる定数である。スピンドル潤滑用のノズルでは、実質的にノズル径で定まる定数であり、0.9〜0.5の値をとる。Δpは圧力損失であり、ほとんどが油配管の圧力損失で、切替弁7の圧力損失は通常小さい。油配管の圧力損失は層流の粘性流体の管路摩擦の(3)式と実験結果が良く合う。
Δp=32・μ・L・d2 ・v/D4 …(3)
但し、μ:潤滑油粘性係数(Pa・s)、L:配管長さ(m)、
D:配管内径(m)である。
【0037】
以上の(1)〜(3)式より、ポンプ圧力、潤滑油(潤滑油密度、潤滑油粘性係数)、配管(長さ、内径)が設定されると、切替弁7の開放時間tと、ノズル13からの吐出量の関係が定まる。
【0038】
通常、切替弁7の開放時間tは一定とする。即ち、工作機械等主軸の使用条件では、周囲温度の変化は少なく潤滑油の粘度変化などの影響はほとんど無視できるため、流速や給油量に大きなばらつきが生じることなく安定した潤滑が可能となるためである。
【0039】
また、ノズル径は0.08〜0.3mmが最適となる。即ち、0.08未満では異物に対しノズル13が詰まる可能性があり、0.3以上では切替弁7の流量確保が難しくなる上、油配管や潤滑油粘度の影響で吐出量が大きく変化するため、安定した潤滑が困難になる。
【0040】
そして、吐出した潤滑油が軸受内部に到達するためには、軸受11の内輪周速の約10〜20%以上の流速vが必要となる。この場合、流速は速いほど潤滑条件が良好となる。この必要流速からポンプ圧力が決定される。実用的にはポンプ圧力2.5MPa程度の安価な油圧ポンプにて、十分な吐出速度が得られる。
【0041】
軸受11に必要な給油量は、条件によって大きく異なるが、必要給油量はおよそQ=0.01〜10ml/hourである。ここで、1ショットあたりの給油量は0.0001〜0.01mlが望ましい。これは、1ショットの給油で軸受11のトルク変動が問題とならない程度の給油量は0.01ml以下であり、また、0.0001ml未満では、潤滑油の圧縮性や油配管の圧力変形、切替弁7の応答性に起因し、十分な流速が得られない場合があるためである。
【0042】
また、必要吐出量から要求される切替弁7の開放時間tは0.1〜50msとなる。これは微量な潤滑油を流す弁として十分実現可能な開放時間となる。
従って、切替弁7の開放時間t(0.1〜50ms)、1ショットあたりの吐出量q(0.01〜0.0001ml)により、必要給油量Q(0.01〜10ml/hour)を満足する時間間隔で、上記した作用、即ち、ポンプ3の駆動、切替弁7の遮断によるポンプ側配管5内の昇圧、切替弁7の開放、ポンプ3の停止を繰り返せば、安定した潤滑が行えることになる。
【0043】
このように、上記の潤滑装置1によれば、ポンプ3からの吐出油圧力が一定圧力未満のとき、切替弁7によって油配管が遮断される一方、ポンプ3からの吐出油圧力が一定圧力以上となったときには切替弁7によって油配管が開放され、ポンプ3からの潤滑油がノズル13から一定時間噴射される。このため、電磁石や超磁歪材料を用いた高価な微量潤滑ポンプを使用せずに、安価なポンプ3を用いて十分な吐出速度を得ることができ、高速回転のスピンドルにおいて、安定した潤滑特性、即ち、耐焼付性の向上、トルクむら低減等を可能にすることができる。また、オイルエア、オイルミストで問題になった転動体の風切音が生じなくなる。さらに、切替弁7までのポンプ側配管5には樹脂製耐圧チューブ等を用いることが可能になり、配管の設計自由度を高めることができるようになる。
【0044】
【実施例】
次に、上記の実施の形態で説明した潤滑装置1の基本構成と同様の構成によって製作した潤滑装置を用い、吐出の確認を行った第1の実施例を説明する。
図2は第1の実施例に係る潤滑装置の構成図、図3は図2の要部平面図である。なお、図1に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0045】
この実施例において、切替弁7は、固定摺接面21を有する固定部材23と、固定摺接面21に密接する移動摺接面25を有し且つ固定摺接面21に垂直な軸線27を中心に移動摺接面25を摺接回転させる可動部材としての回転部材29とからなる。固定部材23の固定摺接面21には、軸線27を中心とした円周上に、ポンプ3に接続される吐出孔31と、ノズル13に接続される送油孔33とが穿設されている。回転部材29の移動摺接面25には、軸線27を中心とした円周上に、少なくとも吐出孔31と送油孔33とのなす中心角度(本実施例では50°)より大きい中心角度(本実施例では70°)の円弧状スリット35が形成されている。
【0046】
回転部材29は、ギヤによる変速機構を備えたモータ37によって回転される。 ポンプ3は、潤滑油タンク39に付設されている。ポンプ3には、ポンプ3からの吐出油圧力を検出する圧力スイッチ41が取り付けられている。また、モータ37、ポンプ3、圧力スイッチ41にはコントローラ43が接続されている。コントローラ43は、ポンプ3に駆動信号を送出し、吐出油圧力が一定圧力以上となったときの圧力スイッチ41からの検出信号を受けることで、モータ37に一回転の駆動信号を送出した後、ポンプ3に駆動停止信号を送出し、且つこれら一連の動作を一定時間間隔で繰り返し行わせる制御を可能にしている。このコントローラ43としては、プログラマブルシーケンサや、パーソナルコンピュータ等を使用することができる。
【0047】
ポンプ3には空圧駆動のピストン式のポンプを用いた。このほかポンプ3は、一般的な油圧ポンプを使用してもよい。
本実施例において、ポンプ側配管5にはステンレス管を用いたが、これに限らず樹脂製の耐圧チューブを用いてもよい。
なお、図2中、45は回転部材29を固定部材23へ押圧するバネ、47は回転部材29の回転軸を支持するスラスト軸受、49、51、53はそれぞれ配管継ぎ手である。
【0048】
切替弁7は、固定摺接面21と移動摺接面25との密接面で、バネ力による面合わせによって油圧を遮断し、固定部材23の吐出孔31及び送油孔33と、回転部材29のスリット35が重なり合うときに油圧がノズル側へ伝わる構造とした。固定摺接面21と移動摺接面25との密接面は面合わせによる油圧遮断が要求されるため、平面度0.5μm以下、表面あらさ0.4Ra以下とした。動作を高速にするため吐出孔31及び送油孔33は小さくし、ノズル径より僅かに大きな穴径0.5mmのポートとした。
なお、切替弁7の開閉の動力としてはモータの代わりに、油圧や空圧のアクチュエータも使用可能である。
【0049】
切替弁7は、回転部材29の回転速度N(min-1)を制御することによって、開放時間が制御可能となっている。
開放時間t=θ/360/(N/60) (s)
ここでは、θは切替弁7が動作する角度でθ=70−50=20°である。
【0050】
本実施例では、N=600min-1として開放時間を5.6msとした。
ノズル側配管9には内径φ1mm、外径φ1.6mmのステンレス管を用いた。このステンレス管は曲げが比較的自由であり、実際のスピンドルに配管する際に有効な配管素材である上、圧力による膨張が少なく本潤滑装置の配管として適している。
【0051】
以上のようにして製作した潤滑装置1により、吐出の確認を行った。この場合、300ショットの吐出を行い、ノズルから吐出される潤滑油の総重量を測定し、油の比重より1ショットあたりの平均吐出量及び吐出速度を求めた。
吐出速度は、切替弁7の開放時間の平均的速度として、吐出量/ノズル断面積/開放時間より求めた。測定はノズル径、配管長さ、潤滑油粘度をパラメータに行った。
【0052】
図4〜図9に測定結果を示す。図4は配管長さに対する吐出速度の関係をノズル径をパラメータにして示したグラフ、図5は配管長さに対する吐出量の関係をノズル径をパラメータにして示したグラフ、図6は粘度と吐出速度との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフ、図7は粘度と吐出量との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフ、図8はポンプ圧力と吐出速度との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフ、図9はポンプ圧力と吐出量との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフである。なお、潤滑油はVG10、VG22、VG32の3種類を用い、測定時の室温25°Cにおける潤滑油の動粘度を横軸にとった。
【0053】
図4〜図9の結果により適切な圧力、粘度、配管長さ、ノズル径を選定することにより十分な吐出速度、適切な吐出量を得られることが分かる。例えばdm.N300万における内輪の周速度はおよそ130m/sで、この場合の最低必要速度は内輪周速度の10%で13m/s以上となる。
【0054】
また、図4〜図9の結果によれば、ノズル径は小さい方が配管長さや潤滑油粘度、ポンプ圧力に対する吐出量の変化が小さいことが分かった。つまり、本実施例による潤滑装置1では、ノズル径を小さくすることでより安定した吐出が行える。これは上記した(3)式における圧力損失Δpの変化が小さいことを意味し、実用的には(3)式における配管に関するパラメータL・d2 /D4 を105 (m-1)以下とすれば安定した吐出速度、吐出量が得られることになる。
【0055】
図10は、図4〜図9の測定結果から求めた流量係数とノズル径との相関関係を表すグラフである。本流量係数により流速の計算が可能となる。本流量係数及び(1)式より求めた吐出速度が内輪周速の10〜20%を越える場合には安定した潤滑が可能となる。
【0056】
次に、第2の実施例を説明する。
図11は第2の実施例による潤滑装置の要部平面図、図12は第2の実施例による潤滑装置の変形例を示した要部平面図である。
この実施例では、実施例1における切替弁7の吐出孔31及び送油孔33と、スリット35の配設パターンを変更した。
即ち、固定部材23の固定摺接面21には、軸線27を中心とした円周上に、ノズル13に接続される複数の送油孔33が穿設され、軸線27位置にポンプ3に接続された吐出孔31が穿設されている。また、回転部材29の移動摺接面25には、軸線27位置から半径方向に沿って送油孔33の位置までスリット35が形成されている。つまり、この実施例は、1入力4出力の例となっており、回転部材29を1回転したときに4個のノズル13が順次吐出するようになっている。
【0057】
さらに本実施例では、切替弁7の過渡応答を改善するために固定部材23の送油孔33の周りにスリット36を設け、回転部材29を回転させたとき弁開放初期の回転角度の増分に対する弁の開放面積の増分が大きくなるようにした。この構成では、切替弁7の開放時間を短くした場合に特に改善効果を発揮することができる。
【0058】
従って、この実施例では、固定部材23に対して回転部材29が回転され、固定部材23の固定摺接面21に設けられた送油孔33に、回転部材29の移動摺接面25に設けられたスリット35が一致すると、切替弁7が開き(油配管が開放され)、ポンプからの潤滑油がノズルから一定時間噴射される。この際、送油孔33が円周上に複数設けられているので、回転部材29が一回転するごと、即ち、固定部材23と回転部材29との相対位置関係(位相)に応じて、それぞれの送油孔33に吐出孔31からの潤滑油を供給でき、回転部材29の一回転で複数箇所への潤滑油の供給が可能になる。
【0059】
また、本実施例は、図12に示すように直線運動を利用したタイプとすることもできる。この実施例では、切替弁7に、固定摺接面21を有する固定部材23と、固定摺接面21に密接する移動摺接面25を有し且つ固定摺接面21に対して移動摺接面25を直線方向に摺接往復させる可動部材としてのスライド部材55とを設けた。そして、固定部材23の固定摺接面21には、ポンプ3に接続される複数(本実施例では3つ)の吐出孔31が直線方向に間隔を有して穿設される。この吐出孔31は、前記直線方向に直交する縦長状のスリット36内に形成されている。また、スライド部材55の移動摺接面25には、ノズル13に接続される複数(本実施例では3つ)の送油孔33が直線方向に吐出孔31と同一の間隔で穿設される。この送油孔33は、前記直線方向に直交する縦長状のスリット35内に形成されている。
【0060】
従って、この場合の切替弁7は3入力3出力となる。この変形例による切替弁7では、固定部材23とスライド部材55とが直線方向に摺接しつつ往復移動され、即ち、固定部材23とスライド部材55との相対位置関係に応じて、固定部材23の固定摺接面21に設けられた複数の吐出孔31と、スライド部材55の移動摺接面25に設けられた複数の送油孔33とが同時に連通又は遮断される。すると、ポンプ3からの潤滑油がノズル13から一定時間噴射されるようになる。この実施例によれば、スライド部材55が直線方向に摺接して往復移動されるので、駆動源としてソレノイドの可動子や、シリンダ等の直線駆動装置がそのまま使用可能になる。
【0061】
また、図11、図12に示した切替弁では、それぞれのスリットの太さを変更することで、各ノズル13への給油量を変更することも可能となる。円筒ころ軸受はアンギュラ軸受に対して必要給油量が1/3程度となる場合があるが、このような場合に有効となる。
【0062】
次に、上記した第1の実施例で説明した潤滑装置を実際のスピンドルに適用した第3の実施例を説明する。
図13は本発明に係る潤滑装置を実際のスピンドルに適用した第3の実施例の断面図である。
【0063】
主軸装置61は、外筒冷却を行う工作機械用の主軸装置であって曲げに対して柔軟性のあるφ1〜φ3.2mm(ここでは一例として外径φ1.6mm、内径φ1.0mm)のステンレス製の耐圧チューブ63を主軸装置61内に取り回し、耐圧チューブ63をノズルこま65に接続する構造としている。このステンレス製の耐圧チューブ67は手で容易に曲げることができ、また、圧力による配管膨張が少なく、微量の潤滑油供給に適した配管である。
【0064】
主軸装置61は、スピンドル軸69と、このスピンドル軸69を回転自在に支承する複数個(図示例では4個)の転がり軸受71と、転がり軸受71の外側を覆う内側ハウジング73と、主軸装置61の外側を覆う外側ハウジング75とを備え、潤滑油の供給源である切替弁7から外側ハウジング75に軸方向に沿って形成された潤滑油供給用の連通孔77や、内側ハウジング73に形成された開口部79を通じて、内側ハウジング73内に配置されたノズルこま65まで耐圧チューブ67により接続されている。
【0065】
外側ハウジング75は、転がり軸受71の外周を包囲する外筒81と、外筒81の両端面に固着された前蓋83及び後蓋85とから構成されている。
転がり軸受71は、2個づつ組となってスピンドル軸69の前側と後側とをそれぞれに分担して支承するように軸方向に所定間隔をおいて配置されており、各転がり軸受71の外輪は内側ハウジング73の内周面に固定され、最前部の転がり軸受71の外輪は外輪押さえ87を介して前蓋83に当接して係止され、最後部の転がり軸受71の外輪は外輪押さえ87を介して外筒81にバネ89により軸方向に弾性付勢されつつ係止されている。
また、各転がり軸受71の内輪は、スピンドル軸69の外周面に嵌合され、前側・後側のそれぞれで、各転がり軸受71の間に、軸受71を軸方向に固定するための間座が設けられている。
【0066】
また、図示のように、内側ハウジング73外径に冷却溝があり、この冷却溝には図示しない冷却ユニットからの冷却油が循環することで冷却を行っている。即ち、この主軸装置100は外筒冷却方式による冷却機能を有する構成となっている。なお、本実施形態におけるスピンドル軸69は水平に支承されているが、例えばマシニングセンタに用いる場合では、垂直或いは傾斜して使用されることもある。
【0067】
このように、切替弁7、ポンプ3、ノズルこま65からなる潤滑装置を、実際の主軸装置61に適用することによって、電磁石や超磁歪材料を用いた高価な微量潤滑ポンプを使用せずに、安価なポンプ3を用いて十分な吐出速度を得ることができ、高速回転のスピンドルにおいて、安定した潤滑特性、即ち、耐焼付性の向上、トルクむら低減等を可能にすることができる。そして、途中までの配管に樹脂管が使えることにより、配管設計の自由度が高まり、多くのスピンドルシステムへの適用が可能になる。
【0068】
次に、第4の実施例を説明する。
図14は第4の実施例による潤滑装置の構成図、図15は第4の実施例に用いられる切替弁の要部平面図である。
この実施例では、図14に示すように切替弁7が、内周面に固定摺接面101を有する固定部材としての円筒状のステータ103と、固定摺接面101に密接する移動摺接面としての回転摺接面105を外周面に有し且つ固定摺接面101に対して回転摺接面105を摺接させながら回転する回転部材としてのロータ107とからなる。また、図15に示すようにステータ103の固定摺接面101には、ノズル13に接続される送油孔33が半径方向に穿設され、この送油孔33が円周方向に間隔を有して複数穿設されている。一方、ロータ107の回転摺接面105には、ポンプ3に接続される吐出孔31が半径方向に穿設され、この吐出孔31が円周方向に送油孔33と同一の間隔で穿設されている。
【0069】
この潤滑装置1では、ステータ103の内部でロータ107が回転駆動され、ステータ103とロータ107との相対位置関係(位相)に応じて、ステータ103の固定摺接面101に設けられた複数の送油孔33がロータ107の回転摺接面105に設けられた吐出孔31に一致すると、ポンプ3からの潤滑油がノズル13から一定時間噴射される。このステータ103とロータ107とは、すきまばめにより構成することができ、低トルクによる高速切替えが容易に行えるようになる。例えば、永久磁石と電磁石を用いたロータリーソレノイド108の使用が可能になり高速な応答特性が得られ、通常のモータに比べて駆動回路が簡略化でき、アクチュエータの低コスト化が可能になる。
【0070】
この実施例では、ロータ107の動作角度を90度の範囲で多くの出力が得られるように、1入力4出力のロータリーバルブとして構成した。ロータ107はθ1位置からθ2位置、またはθ2からθ1に回転駆動される。初期位置からの回転角が約40〜50°の位置で吐出孔31と送油孔33が連通してノズル13より潤滑油が吐出される。θ1又はθ2の位置では吐出孔31とリリーフポート109がつながり、潤滑油はリリーフ弁110を介して潤滑油タンク39に戻される。
このリリーフポート109は、ロータリーバルブがはめあいすきまで潤滑油をシールする構造であるため、僅かな潤滑油が送油孔33へリークすることを防止するために設けられている。なお、ポンプ3をONする時間を短くした場合は、送油孔33への漏れは非常に少ないため、リリーフポート109を設ける必要がなくなる。
【0071】
次に、第5の実施例を説明する。
図16は第5の実施例による潤滑装置の構成図、図17は切替弁の固定部材及び回転部材を示す図、図18はコントローラがモータに出力する速度指令を示す図である。
本実施例は、内径φ65mmのセラミックアンギュラ玉軸受11を用いた主軸装置62に対して、切替弁7を用いて潤滑油を供給している。
軸受11は、主軸装置62の両端側(A列,B列)に軸芯方向に隔てられて設けられ、それぞれにノズル13が吐出口を軸受内部に向けて配置されている。
【0072】
切替弁7は、図17(a)に固定部材23と図17(b)に可動部材としての回転部材29を示すように、1入力5出力のロータリーバルブの2出力を使用した構成である。即ち、固定部材23には中心部に吐出孔31が設けられ、所定の半径位置で送油孔33が60゜間隔で合計5箇所に設けられている。一方、回転部材29には、中心から前記所定の半径位置までの間に半径方向に幅0.5mmのスリット35が設けられている。そして、回転部材29が回転駆動されることで、固定部材23と回転部材29との相対位置関係(位相)に応じて、固定部材23の吐出孔31から供給された潤滑油が回転部材29のスリット35に導入され、このスリット35の半径方向外側に送油孔33が重なったときに、この送油孔33から潤滑油が送られる。
【0073】
コントローラ43は、間欠的(本実施例では1分に1回)にオイルポンプ3を昇圧させ、圧力の上昇確認後、モータ37に回転角度に応じた速度指令を与えてモータを1回転させる。即ち、図18に示すように、モータの回転角度が0゜(360゜)のときはモータの回転速度を300rpmとし、回転角度が60゜のときに回転速度を900rpmまで加速させて、回転角度が60゜〜300゜の間はこの速度を維持する。
【0074】
これにより回転部材29が回転して、回転部材29のスリット35と固定部材23の送油孔33が重なったときに、送油孔33に接続されたノズル先端に圧力が伝わり潤滑油が吐出される。本試験条件では、1ショットあたりの吐出量が0.0014mlで吐出速度が50m/sとなった。
【0075】
また、本実施例においては、切替弁7の手前に潤滑油フィルタ70を設けている。潤滑油フィルタ70は、圧力損失の少ないガラスウールや石英ウールを用いたフィルタ、又は0.5μm程度の大容量の焼結材フィルタを用いることができる。これにより、異物による固定摺接面21及び移動摺接面25の面荒れの防止、バルブ寿命の延長を図ることができる。各摺接面21,25は、シール性確保のために平面度0.5〜1.0μm未満、表面あらさ0.02Ra未満であることが望ましい。
【0076】
各摺接面21,25の材質は、固定部材23を炭素工具鋼鋼材(SK)やステンレス鋼材(SUS)等の焼き入れ鋼としており、高硬度により摩耗を防いでいる。また、シール面に窒化処理、WC/Cコーティング、DLC(ダイヤモンド状硬質炭素)コーティングを施すことで、更に耐摩耗性を向上させることができる。WC/Cコーティング面やDLCコーティング面は摩擦係数が小さいため、モータの駆動トルクを減少させることができる。また、回転部材29に対しても同様の材料を用いることができ、その他にも、相手面を傷つけないため固定部材23より硬度の低い例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材等の樹脂を用いることも可能である。
【0077】
図19は、本実施例における回転試験結果(温度記録チャート)であって、オイルエア潤滑法との比較を行ったものである。図19(a)に示すオイルエア潤滑では、0.03mlを16分おきに吐出しており、これにより、16分おきに温度の脈動が発生している。一方、図19(b)に示す本実施例の潤滑法では、1ショットあたりの吐出量が0.0014mlと極めて少ないため、軸受内の潤滑油量の変動が小さくなり、そのため、ころがり抵抗の変動も小さくなる。その結果、温度の脈動がない安定した回転が可能となった。
【0078】
図20は、オイルエア潤滑法と本実施例の潤滑法とによる主軸装置からの騒音をスピンドルの手前1mにて測定して比較した結果である。本実施例の潤滑法では、エアを軸受に吹き付けることがないため風切り音の発生をなくすことができ、騒音値を減少させることができた。
【0079】
尚、本発明において、特殊な電磁弁ではなく、市販のポペット弁を利用した高速電磁弁等、応答性の高い一般的な電磁弁も使用可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る潤滑装置によれば、ポンプとノズルとを接続する油配管に切替弁が介装され、この切替弁は、ポンプからの吐出油圧力が一定圧力未満では油配管を遮断し、ポンプからの吐出油圧力が一定圧力以上となったときに油配管を開放してポンプからの油をノズルから一定時間噴射させるので、電磁石や超磁歪材料を用いた高価な微量潤滑ポンプを使用せずに、安価なポンプを用いて十分な吐出速度が得られ、高速回転のスピンドルにおいて、安定した潤滑特性、即ち、耐焼付性の向上、トルクむら低減等を可能にすることができる。また、オイルエア、オイルミストで問題になった転動体の風切音も生じなくなる。さらに、切替弁までの配管には樹脂製耐圧チューブ等を用いることが可能になり、配管の設計自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る潤滑装置の原理図である。
【図2】第1の実施例に係る潤滑装置の構成図である。
【図3】図2の要部平面図である。
【図4】配管長さに対する吐出速度の関係をノズル径をパラメータにして示したグラフである。
【図5】配管長さに対する吐出量の関係をノズル径をパラメータにして示したグラフである。
【図6】粘度と吐出速度との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフである。
【図7】粘度と吐出量との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフである。
【図8】ポンプ圧力と吐出速度との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフである。
【図9】ポンプ圧力と吐出量との相関関係をノズル径をパラメータにして示したグラフである。
【図10】図4〜図9の測定結果から求めた流量係数とノズル径との相関関係を表すグラフである。
【図11】第2の実施例による潤滑装置の要部平面図である。
【図12】第2の実施例による潤滑装置の変形例を示した要部平面図である。
【図13】本発明に係る潤滑装置を実際のスピンドルに適用した第3の実施例の断面図である。
【図14】第4の実施例による潤滑装置の構成図である。
【図15】第4の実施例に用いられる切替弁の要部平面図である。
【図16】第5の実施例による潤滑装置の構成図である。
【図17】切替弁の固定部材及び回転部材を示す図である。
【図18】コントローラがモータに出力する速度指令を示す図である。
【図19】第5の実施例における回転試験結果(温度記録チャート)を示す図である。
【図20】オイルエア潤滑法と第5の実施例の潤滑法とによる主軸装置からの騒音を測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 潤滑装置
3 ポンプ
5 ポンプ側配管(油配管)
7 切替弁
9 ノズル側配管(油配管)
11 軸受
13 ノズル
21 固定摺接面
23 固定部材
25 移動摺接面
27 軸線
29 回転部材
31 吐出孔
33 送油孔
35 円弧状スリット
36 スリット
37 モータ
41 圧力スイッチ
43 コントローラ
55 スライド部材
107 ロータ
103 ステータ

Claims (1)

  1. 複数のノズルから微量の潤滑油を軸受内部に直接噴射する潤滑装置であって、
    前記ノズルからの吐出油容量より大きい吐出油容量を有するポンプと、
    該ポンプと前記ノズルとを接続する油配管と、
    該油配管のポンプ側配管と複数のノズル側配管との間に介装され、前記ポンプ側配管内の潤滑油を前記ノズル側配管に供給するように前記油配管を遮断又は開放することで、 前記ノズルからの潤滑油の噴射と該噴射の停止を行う切替弁と、
    を具備し、
    前記切替弁は、固定摺接面を有する固定部材と、前記固定摺接面に密接する移動摺接面を有し、前記固定摺接面に垂直な軸線を中心に前記固定部材に対して摺動回転する回転部材と、を備え、
    前記固定部材の固定摺接面には、前記軸線位置に穿設され、前記ポンプ側配管が接続される吐出孔と、前記軸線を中心とした円周上に穿設され、前記ポンプ側配管の周囲に配置される前記ノズル側配管がそれぞれ接続される複数の送油孔と、が開口し、
    前記回転部材の移動摺接面には、前記吐出孔と複数の送油孔とを連通可能なスリットが形成されており、
    前記切替弁は、前記回転部材の摺動回転時において、前記吐出孔と前記送油孔が前記スリットを介して連通したときにのみ、前記油配管を開放する構成であり、
    前記回転部材は、モータの駆動によって1回転し、該モータを所定の回転速度まで加速させた後、該所定の回転速度を維持している間に、前記吐出孔が前記スリットを介して前記各送油孔と順に連通することで、前記固定部材に接続された前記ポンプ側配管内の潤滑油が前記固定部材に接続された前記各ノズル側配管に順に供給され、
    前記回転部材は、前記切替弁の開放時間が0.1〜50msとなるように前記固定部材に対して摺動回転させ、前記油配管の開放によって前記ポンプの圧力が前記ノズルに加わり、1ショットの吐出油量が0.0001〜0.01mlで前記潤滑油が前記軸受内部に噴射されることを特徴とする潤滑装置。
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