JP4586319B2 - 主軸装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸を回転自在に支承した軸受に微量の潤滑油を間欠的に直接噴射することで、軸受の潤滑を行う主軸装置に関するもので、詳しくは、軸の回転性能や耐久性の向上に不可欠な軸受への潤滑油の安定供給を実現するための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工作機械を始めとする各種の産業機械等で、軸と、この軸に内輪内径面が嵌合した転がり軸受と、軸受の外輪外径面が嵌合したハウジングと、軸受に潤滑油を供給するノズルと、ノズルに微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置とを具備した構成の主軸装置が使用されている。
このような主軸装置において、軸の回転性能や耐久性の向上を図るには、軸受への潤滑油の安定供給が重要な課題となる。
軸受への潤滑油の供給が不安定であると、軸受内での転がり摩擦が変動して、軸の回転むらを招く原因となり、また、潤滑不足の場合には、軸受の焼き付きによって回転不能になる重大な事故を招く虞があるからである。
【0003】
これまで、上記の主軸装置における軸受等への潤滑用として、磁歪素子を駆動源としたポンプにより一定微量の潤滑油をノズルを介して軸受に直接噴射する技術が、特開2000−110711号公報に開示されている。また、微少量の潤滑油を高圧の吐出力を以て周期的に吐出する技術が特開2000−74076号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来の潤滑技術は、主にポンプ機能の高性能化によって、潤滑油供給の安定化を図るもので、実際に工作機械の主軸等に応用すると、本来の潤滑性能を得ることが困難になる場合が少なくない。
それは、潤滑油の供給の安定性には、ポンプの性能だけでなく、潤滑油の噴射口に使用するノズル径や、ポンプからノズルまでの配管の長さや、配管の内径等も大きくかかわっていて、例えば、主軸装置の軸の周囲に確保できる設置スペース等の制限から、例えば不用意にノズル径や配管内径を選択すると、これらのノズルや配管が、ポンプの性能を低下させる要因となって、本来の潤滑油供給ができなくなってしまうからである。
【0005】
また、工作機械の主軸装置では、軸受を支持するハウジングを、軸受の外輪外径面が嵌合する内側ハウジングと、この内側ハウジング及び軸の外側を覆う外側ハウジングとで構成し、運転時の熱変位対策として、外側ハウジングに冷却油を流すジャケット構造のものがある。
このようなハウジングがジャケット構造の主軸装置では、限られたスペース内で、冷却油を流すための冷却油循環路と、軸受を潤滑するための配管やノズルを設置しなければならないため、設置スペースによる制限が更に厳しくなり、潤滑油の安定供給をポンプ性能の高性能化に頼った従来の潤滑技術では、潤滑油用の配管の無理な屈曲や小径化による潤滑性能の低下が生じ易い。
【0006】
また、微量の潤滑油を噴射供給する潤滑技術では、配管や配管とノズルとの間の継手部等が熱膨張や圧力等で変形すると、配管内を送る潤滑油の速度や圧力を、適度の高速・高圧に維持することができずに、ノズルからの噴射が圧力変動によって乱れて潤滑不良を招く虞がある。
従って、配管内を送る潤滑油に圧力変動が生じないように、配管の熱膨張や圧力による変形を配慮しておくことも重要となり、その点でも、ポンプ機能の高性能化によって潤滑油供給の安定化を図る従来の潤滑技術では、本来の供給安定性を得ることが難しい。
【0007】
図18は、空気流に潤滑油粒を混入させて転がり軸受に噴射することで転がり軸受の潤滑を行うオイルエア方式の潤滑技術を利用した従来の主軸装置を示している。
この主軸装置では、図19(a)にハウジング端面同士の接続の様子を示すように、ハウジングに設けられた油流路としての管路102は、ハウジング端面に設けたOリング104によってシールされる。また、図19(b)にノズルこま106とハウジングの管路102との接続の様子を示すように、ノズルこま106に管路102を通じてオイルエアを供給する構造となっている。しかし、微量の潤滑油を高速で噴射する潤滑方式においては、このようなOリング104を用いた配管構造では、油吐出時にOリング104の弾性変形により管路内の体積変化が生じ、その結果、管路102内を送る潤滑油に圧力変動が生じて、潤滑油の噴射が不安定になり、潤滑性能の低下を招く虞があった。
【0008】
また、このようなオイルエア方式の潤滑技術の場合は、風切り音による騒音の発生という問題や、エアカーテンの形成による潤滑不良の発生という問題もあった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、例えば、配管の設置スペースの制限等からノズル径や配管内径の小径化等が必要な場合でも、不用意な小径化を避けて、潤滑油を吐出するポンプ性能を低下させることのない適正値にノズル径や配管内径を設定することができ、従って、配管の設置スペースが狭くなる工作機械等の主軸装置であっても、微量潤滑装置におけるポンプ性能を配管内の圧損等で低下させることがなく、軸受への微量な潤滑油の供給を安定させて、軸の回転性能や耐久性の向上を図ることのできる主軸装置を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る主軸装置は、請求項1に記載したように、軸と、この軸に内輪内径面が嵌合した軸受と、前記軸受の外輪外径面が嵌合したハウジングと、前記軸受に潤滑油を供給するノズルと、前記ノズルに微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置とを具備し、前記内輪と前記外輪とが転動体を介して相対的に回転可能となった前記軸受に吐出速度が10m/sec以上で100m/sec以下の範囲、且つ、吐出量が1ショットあたり0.5mm 3 〜10mm 3 の範囲となる微量の潤滑油を前記ノズルから間欠的に噴射供給する主軸装置において、
前記ノズルに潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径d n と配管内径dとの関係を表す配管パラメータ(L・d n 2 /d 4 )が5×10 4 -1 以下となるように、前記各寸法を設定するとともに、前記ハウジングを、前記軸受の外輪外径面が嵌合する内側ハウジングと、この内側ハウジング及び前記軸の外側を覆う外側ハウジングとで構成し、更に、前記内側ハウジングを、前記軸受の外輪外径面を嵌合保持する第1内側ハウジングと、前記第1内側ハウジングを軸方向に移動可能に収容する挿入部を有した第2内側ハウジングとで構成し、前記第1内側ハウジングと前記第2内側ハウジングとの間に、潤滑油を供給する前記配管を軸方向に沿って挿通可能な隙間を設けたことを特徴としている。
本発明に係る参考例の主軸装置は、軸と、この軸に内輪内径面が嵌合した軸受と、前記軸受の外輪外径面が嵌合したハウジングと、前記軸受に潤滑油を供給するノズルと、前記ノズルに微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置とを具備し、前記内輪と前記外輪とが転動体を介して相対的に回転可能となった前記軸受に吐出速度が10m/sec以上で100m/sec以下の範囲、且つ、吐出量が1ショットあたり0.5mm3〜10mm3の範囲となる微量の潤滑油を前記ノズルから間欠的に噴射供給する主軸装置において、
前記ノズルに潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径dnと配管内径dとの関係を表す配管パラメータ(L・dn 2/d4)が5×104-1以下となるように、前記各寸法を設定したことを特徴としている。
【0011】
ここで、上記の微量潤滑装置としては、例えば、磁歪素子を駆動源として超微量の潤滑油の高精度の圧送が可能にしたもの、あるいは、吐出量が微量なポンプにこのポンプの出力を制御する切替弁とを組み合わせて超微量の潤滑油の高精度の圧送を可能にしたものなどが、好適である。
【0012】
このように構成された主軸装置において、配管やノズル内での管路摩擦による圧力損失Δpは微量潤滑装置の吐出する潤滑油の速度を低下させるように作用するため、もしも圧力損失Δpが大きいと微量潤滑装置におけるポンプ圧力がノズルまで到達せず、潤滑油の供給不足や供給の不安定が起こる。
しかし、上記圧力損失Δpは、ノズル径や配管の長さ及び配管内径で定まる配管パラメータ(L・dn 2/d4 )に比例し、配管パラメータ(L・dn 2/d4 )が5×104-1以下となるように、前記の各寸法を設定することで、潤滑油の速度に影響を与えない程度に抑えることができる。
したがって、例えば、配管の設置スペースの制限等からノズル径や配管内径の小径化等が必要な場合でも、配管パラメータ(L・dn 2/d4 )が5×104-1以下となるように、前記の各寸法を設定することで、配管やノズルの不用意な小径化を避けて、潤滑油を吐出する微量潤滑装置におけるポンプ性能を低下させることのない適正値にノズル径や配管内径を設定することができる。
また、本発明の主軸装置における潤滑は、軸受に潤滑油を直接噴射する直噴式のため、風切り音による騒音の発生やエアカーテンの形成による潤滑不良の発生といったオイルエア方式で潤滑油を供給した場合に発生していた問題点を解消することもできる。
【0013】
また、本発明は、請求項2に記載したように、請求項1に記載の主軸装置において、更に、前記配管内部の潤滑油の圧力による配管の膨張量及び潤滑油の圧縮体積との和を、前記潤滑油の吐出量以下に設定したことを特徴としている。
【0014】
主軸装置において、軸の高速回転等に対応した潤滑性能を得るために、微量潤滑装置による潤滑油の吐出圧を高圧化した場合に、もしも、配管内部の潤滑油の圧力による配管の膨張や潤滑油の圧縮による体積減少が大きいと、微量潤滑装置の吐出圧が確実にノズル先端まで到達するに至らず、安定した微量の潤滑油供給が不可能になる。
しかし、上記の構成の主軸装置のように、配管内部の潤滑油の圧力による配管の膨張量及び潤滑油の圧縮体積との和を潤滑油の吐出量以下に設定していると、配管の膨張や潤滑油の圧縮による影響が小さくなり、軸の高速回転等に対応して微量潤滑装置による潤滑油の吐出圧を高圧化した場合にも、微量潤滑装置の吐出圧をノズル先端まで確実に伝えて、微量の潤滑油供給を安定させることができる。
【0015】
また、本発明は、請求項3に記載したように、軸と、この軸に内輪内径面が嵌合した軸受と、前記軸受の外輪外径面が嵌合したハウジングと、前記軸受に潤滑油を供給するノズルと、前記ノズルに微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置とを具備し、前記内輪と前記外輪とが転動体を介して相対的に回転可能となった前記軸受に吐出速度が10m/sec以上で100m/sec以下の範囲、且つ、吐出量が1ショットあたり0.5mm 3 〜10mm 3 の範囲となる微量の潤滑油を前記ノズルから間欠的に噴射供給する主軸装置において、
前記ノズルに潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径d n と配管内径dと前記潤滑油の30℃における粘性係数との関係を表す配管粘度パラメータ(μ H ・L・d n 2 /d 4 )が150以上で、且つ、前記配管の長さLとノズル径d n と配管内径dと前記潤滑油の0℃における粘性係数との関係を表す配管粘度パラメータ(μ L ・L・d n 2 /d 4 )が2500以下となるように、前記各寸法及び動粘度を設定するとともに、前記ハウジングを、前記軸受の外輪外径面が嵌合する内側ハウジングと、この内側ハウジング及び前記軸の外側を覆う外側ハウジングとで構成し、更に、
前記内側ハウジングを、前記軸受の外輪外径面を嵌合保持する第1内側ハウジングと、前記第1内側ハウジングを軸方向に移動可能に収容する挿入部を有した第2内側ハウジングとで構成し、前記第1内側ハウジングと前記第2内側ハウジングとの間に、潤滑油を供給する前記配管を軸方向に沿って挿通可能な隙間を設けたことを特徴としている。
また、本発明に係る参考例の主軸装置は、軸と、この軸に内輪内径面が嵌合した軸受と、前記軸受の外輪外径面が嵌合したハウジングと、前記軸受に潤滑油を供給するノズルと、前記ノズルに微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置とを具備し、前記内輪と前記外輪とが転動体を介して相対的に回転可能となった前記軸受に吐出速度が10m/sec以上で100m/sec以下の範囲、且つ、吐出量が1ショットあたり0.5mm3〜10mm3の範囲となる微量の潤滑油を前記ノズルから間欠的に噴射供給する主軸装置において、
前記ノズルに潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径dnと配管内径dと前記潤滑油の30℃における粘性係数との関係を表す配管粘度パラメータ(μH・L・dn 2/d4)が150以上で、且つ、前記配管の長さLとノズル径dnと配管内径dと前記潤滑油の0℃における粘性係数との関係を表す配管粘度パラメータ(μL・L・dn 2/d4)が2500以下となるように、前記各寸法及び動粘度を設定したことを特徴としている。
【0016】
主軸装置において、潤滑油の配管やノズル内での管路摩擦による圧力損失Δpは、前述した配管パラメータだけでなく、潤滑油の動粘度にも比例する。潤滑油の動粘度は、温度の低下に伴って高くなるため、例えば、冬場の早朝等で潤滑油温度が低い場合には、前述した配管パラメータを適正範囲に設定している場合でも、動粘度の影響で、圧力損失Δpが過大になり、微量の潤滑油の供給が不可能になる虞がある。また、潤滑油の動粘度は、温度の上昇に伴って低くなるため、例えば、夏場等で潤滑油温度が高い場合には、前述した配管パラメータを適正範囲に設定している場合でも、動粘度の過小となって、潤滑箇所における油膜形成が弱くなる結果、軸受上で発生する摩擦抵抗が増大し、回転むらや焼き付き等の不都合を招く虞がある。
しかし、工作機械等が設置される施設内温度は、作業性や、加工精度の維持等の観点から、一般的に室温程度に管理され、主軸装置の使用温度域は、例えば、下限を0℃、上限を30℃と考えれば、十分である。
【0017】
従って、このように、予め、前述した配管パラメータに更に使用温度域の上限(30℃)及び下限(0℃)の粘性係数を加味した配管粘度パラメータが規定範囲内に収まるように、配管やノズルの諸寸法を設定すると共に、使用する潤滑油を選定しておけば、主軸装置が運転される施設内温度の変化に伴う潤滑油の動粘度の変動で、潤滑不良が発生することを防止することができ、使用温度域の全域で、微量潤滑装置におけるポンプ性能を十分に発揮させ、軸受への微量な潤滑油の供給を安定させることができる。
【0018】
また、本発明は、請求項4に記載したように、請求項1乃至3の何れかに記載の主軸装置において、前記配管は、外径が1.0〜3.2mmの範囲で、且つ、内径が0.8〜2.0mmの範囲で、更に、配管材質のヤング率が3GPa以上に設定したことを特徴としている。
【0019】
潤滑油を圧送する配管は、ヤング率が小さいと潤滑油圧力によって膨張し易くなり、配管の膨張が潤滑油の吐出速度を低減させる要因となる。また、配管の内径を大きく設定すると、配管内の潤滑油量が増え、微量潤滑装置の吐出圧によって圧縮される潤滑油の体積が増え、吐出量が微量な潤滑の場合には、吐出時の圧力で圧縮される体積が大きくなるため、潤滑油の吐出速度を低減させる要因となる。また、配管外径は、限られた設置スペースでの布設を容易にする観点からできるだけ小径のものを選定することが好ましいが、吐出量や吐出速度から定まる適正配管内径と強度確保に必要な肉厚寸法とよって、最小寸法が規制される。
しかし、上記のように構成された主軸装置においては、潤滑油圧力による配管の膨張に起因する潤滑油の吐出速度の低減を許容範囲に抑えることができ、また、同時に、配管内の潤滑油の圧縮に起因する潤滑油の吐出速度の低減を許容範囲に抑えることができ、また、配管の外径も必要最小限に抑えて、主軸装置のハウジング内等における限られた設置スペースでの配管布設を容易にすることができる。
【0020】
また、本発明は、請求項5に記載したように、請求項1乃至4の何れかに記載の主軸装置において、前記ハウジングを、前記軸受の外輪外径面が嵌合する内側ハウジングと、この内側ハウジング及び前記軸の外側を覆う外側ハウジングとで構成し、更に、
前記内側ハウジングを、前記軸受の外輪外径面を嵌合保持する第1内側ハウジングと、前記第1内側ハウジングを軸方向に移動可能に収容する挿入部を有した第2内側ハウジングとで構成し、前記第1内側ハウジングと前記第2内側ハウジングとの間に、潤滑油を供給する前記配管を軸方向に沿って挿通可能な隙間を設けたことを特徴としている。
【0021】
このように構成された主軸装置においては、外側ハウジングに冷却油を流すジャケット構造を採用することができて、運転時の回転軸や転がり軸受の熱変位を抑制することができるため、例えば、工作機械等の主軸装置として、高速回転や、高精度な連続運転の要求に応えやすい。
そして、外側ハウジングに冷却油を流すジャケット構造の場合には、軸受へ潤滑油を圧送する配管の設置スペースがジャケット構造により圧迫され、例えば、ノズルへの配管の導入が軸線方向に限定されたり、あるいは内奥の転がり軸受への配管布設が困難になる場合が多い。
しかし、このように構成された主軸装置においては、例えば、ノズルを装備する第1内側ハウジングを、第2内側ハウジングの挿入部から軸方向に取り出した状態で、ノズルと配管との接続を行うようにすれば、ノズルへの配管の導入を、軸や軸受の軸線と直交する方向に設定することもでき、ノズルと配管の接続方向の選択自由度が高まって、配管布設を容易にすることができる。
また、第1内側ハウジング上のノズルに配管を接続した後に、配管を第1内側ハウジングと第2内側ハウジングとの間の配管布設用の隙間に挿通させて、第1内側ハウジングを第2内側ハウジングの挿入部に収容した状態に戻すことで、第2内側ハウジングへの第1内側ハウジングの収容に際して配管が邪魔になることもなく、第1内側ハウジングと第2内側ハウジングの組立性も、良好にすることができる。
【0022】
また、本発明は、請求項に記載したように、請求項1乃至4の何れかに記載の主軸装置において、前記主軸装置は、前記軸受の外側を覆う内側ハウジングと、主軸装置の外側を覆う外側ハウジングとを備え、前記微量潤滑装置から前記外側ハウジングに軸方向に沿って形成された潤滑油供給用の連通孔、前記内側ハウジングに形成された開口部を通じて内側ハウジング内に設置されたノズルこままで配管され、前記ノズルこまへは軸方向に配管が接続されていることを特徴としている。
【0023】
このように構成された主軸装置においては、潤滑油の配管やノズル等の設置スペースが狭い外筒冷却方式の主軸装置であっても、微量の潤滑油を供給することが可能である。
この場合、ノズルこまに対して主軸の軸方向に垂直な方向に対して配管を設置するためのスペースがとれない場合であっても、軸方向にノズルこまの接続口を設置することで配管の接続が可能となる。また、配管の接続は主軸装置の組立の最終段階において行うことができるため、配管敷設の作業性を向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る主軸装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る主軸装置の第1実施形態における構成を示す図である。
本実施形態の主軸装置100は、外側ハウジングに冷却油を流すジャケット構造を採用した工作機械用の主軸装置であって、曲げに対して柔軟性のあるφ1〜φ3.2mm(ここでは一例として外径φ1.6mm、内径φ1.0mm)のステンレス製の耐圧チューブ10を主軸装置100内に取り回し、耐圧チューブ10をノズルこま12に接続する構造としている。このステンレス製の耐圧チューブ10は光輝焼鈍処理を施しており、柔軟であるため、手で容易に曲げることができ、また、圧力による配管膨張が少なく、微量の潤滑油供給に適した配管である。
【0025】
主軸装置100は、スピンドル軸14と、このスピンドル軸を回転自在に支承する複数個(図示例では4個)の転がり軸受16と、転がり軸受16の外側を覆う内側ハウジング18と、主軸装置100の外側を覆う外側ハウジング20とを備え、潤滑油の供給源である微量潤滑装置22から外側ハウジング20に軸方向に沿って形成された潤滑油供給用の連通孔24や、内側ハウジング18に形成された開口部86を通じて、内側ハウジング18内に配置されたノズルこま12まで耐圧チューブ10により接続されている。
即ち、ノズルこま12は、転がり軸受16に微量の潤滑油を間欠的に直接噴射供給するノズルである。そして、耐圧チューブ10は、微量潤滑装置22の吐出する潤滑油をノズルこま12まで導く配管である。
【0026】
外側ハウジング20は、内側ハウジング18の外周を包囲する外筒28、29と、外筒29の端面に固着された後蓋32とから構成されている。
転がり軸受16は、2個づつ組となってスピンドル軸14の前側と後側とをそれぞれに分担して支承するように、軸方向に所定間隔をおいて配置されており、各転がり軸受16の外輪外径面は内側ハウジング18の内周面に緊密嵌合して固定され、最前部の転がり軸受16の外輪は外輪押さえ34に当接して回転不可に係止され、最後部の転がり軸受16の外輪は外輪押さえ36を介して外筒28にバネ38により軸方向に弾性付勢されつつ、回転不可に係止されている。
また、各転がり軸受16の内輪内径面は、スピンドル軸14の外周面に嵌合により固定され、前側・後側のぞれぞれで、各転がり軸受16の間に、転がり軸受16を軸方向に固定するための間座40が設けられている。
【0027】
また、図示のように、内側ハウジング18の外径に冷却溝42があり、この冷却溝には図示しない冷却ユニットからの冷却油が循環することで外側ハウジング20の冷却を行っている。即ち、この主軸装置100は外筒冷却方式による冷却機能を有する構成となっている。
なお、本実施形態におけるスピンドル軸14は水平に支承されているが、例えばマシニングセンタに用いる場合では、垂直或いは傾斜して使用されることもある。
【0028】
次に、微量潤滑装置22を説明する。
図2は、微量潤滑装置22の構成を示す図である。この図に示すように、微量潤滑装置22は、正特性の超磁歪素子からなる棒体46が、該棒体46の軸線方向一端部46aを予圧調整機構48を介してケース50に固定されている。この棒体46は、磁界が印加されると磁気歪現象(ジュール効果)によって軸線方向に伸長する。
【0029】
予圧調整機構48は、例えば回転により棒体46の軸線方向に突出し、棒体46の一端部46aを押圧可能にしたネジ機構を用いることができる。棒体46の軸線方向他端部46bには、棒体46を予圧調整機構48側に付勢して棒体46の軸方向に対する隙間(遊び)を生じさせずに圧力伝達する圧力伝達部材52が配設され、この圧力伝達部材52を介して棒体46がピストン54に接続されている。ピストン54は、シリンダ56の内部に摺動自在に配設され、シリンダ56とピストン54によりポンプ室を形成している。
【0030】
このシリンダ56にはポンプ室に潤滑油を供給するための吸入流路58が設けられ、吸入流路58の吸入口59までの流路の途中には、ポンプ室から潤滑油の流出を阻止する逆止バルブからなる吸入側チェック弁60が設けられている。
また、シリンダ56にはポンプ室から吐出される潤滑油を排出するための排出流路62が設けられ、排出流路62の排出口63までの流路の途中には、ポンプ室への潤滑油の導入を阻止する逆止バルブからなる排出側チェック弁64が設けられている。
【0031】
棒体46の外周には、同軸状にコイル66が設けられ、さらにコイル66の外側には、棒体46とで磁気回路を形成する磁性材料からなるヨーク68が設けられている。また、コイル66には、駆動回路70が電気的に接続され、駆動回路70は磁界発生のための電流を出力する。この電流がコイル66に印加されることにより、棒体46がコイル66から発生する磁界を受けて伸長することで、吸入流路58を通じて供給されたポンプ室内の潤滑油が、排出流路62を通じて排出口63から排出される。排出された潤滑油は耐圧チューブ10を通じてノズルこま12から吐出される。このときの1ショットあたりの吐出量は、0.5〜10mm3 と微量であり、また、その吐出圧力は1MPa以上で、間欠的に吐出される。
【0032】
次に、ノズルこま12について説明する。
図3にノズルこま12の断面図を示した。ノズルこま12は、耐圧チューブに接続された継手74を接続するための固定用穴76と、供給された潤滑油を吐出する吐出部78と、固定用穴76と吐出部78とを接続する流路80とを有している。図示した例では、継手74はノズルこま12の側面側に接続され、流路80に対して略直角に接続される。また、流路80の継手74接続側には埋め栓82が設けられている。
【0033】
継手74は、図4(a)に示すようにPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等の樹脂材料からなるものや、図4(b)に示すようにステンレス材からなるものが使用可能である。(a)に示すPEEK樹脂の継手は、先端のテーパ部分74aがノズルこま12に取り付けた際に締め付けられることによってシールされる。また、(b)に示すステンレス材の継手は、先端部がステンレスやPEEK樹脂等の弾性体からなるテーパ片74bが先端部に取り付けられ、このテーパ片74bの締め付けによりシールされる。
また、吐出部78には、ノズル径dn が0.1mmのノズルチップ79が圧入されている。
【0034】
また、この継手74のノズルこま12への組み付けにおいては、ノズルこま12が主軸装置100の奥深い位置に配置されている場合であっても、図5に示す継手固定用の工具84を用いることにより、継手74を固定用穴7のネジ部に簡単に螺合させることができる。
即ち、主軸装置100の内側ハウジング18には、その端面からノズルこま12の固定用穴76まで直径φ9mmの軸方向孔86が貫通しており、この軸方向孔86の中に工具84を挿入し、継手74を回転させることで、継手74の締め付け及び取り外しを可能にしている。
【0035】
このようなノズルこま12の構造とすることで、配管(耐圧チューブ10)との接続部のシールにOリング等を使用しないため、シール部分からの漏れや圧力による変形がなく、微量の潤滑油供給に適した配管継手とすることができる。また、スピンドル組立の最終段階において配管を接続すればよい構造であるため、組立性に優れた特徴を有する。
【0036】
次に、本発明の特徴部分である主軸装置100の配管について説明する。
配管を用いて微量な潤滑油の供給を行う場合、配管内での圧力損失によって生じる潤滑油の吐出速度低下が問題となる。配管内の圧力損失に関しては、層流の管路摩擦の式が実験結果と良く一致し、ノズル先端の潤滑油流速をv[m/s]としたとき、管路摩擦による配管内の圧力損失Δp[Pa]は、次の(1)式で表される。
Δp=32μ・L・dn 2・v/d4 …(1)
ここで、
μ:潤滑油粘性係数[Pa・s] L:配管長さ[m] d:配管内径[m]
v:ノズルの吐出速度[m/s] dn :ノズル径[m]
である。
【0037】
(1)式において、圧力損失Δpに与える配管の影響は、L・dn 2/d4 のパラメータで表され、このパラメータを配管パラメータと呼ぶことにする。圧力損失Δpは上記配管パラメータに比例するため、配管パラメータを小さくすることにより、配管の圧力損失Δpを低く抑えることができる。
実験的に配管パラメータを変動させて潤滑油の吐出状態を確認したところ、次の(2)式の範囲内であれば、微量の潤滑油吐出を行うに十分な吐出速度を得ることができることが分かった。
L・dn 2/d4 <5×104 [m-1] …(2)
ここで、配管長さLは、主軸装置100のスピンドル内に配管を取り回す必要があるため、L>0.5[m]の長さが必要となる。
【0038】
次に、配管内部の潤滑油の圧縮性と配管の膨張について説明する。
配管中の潤滑油の体積が大きくなると、潤滑油の圧縮性のため、微量潤滑装置22の吐出圧力がノズル先端まで到達されずに、安定した微量の潤滑供給が不可能となる。また、潤滑油圧力による配管の膨張が大きい場合も同様の問題が発生する。
これら潤滑油の圧縮量及び配管の膨張量は、配管内の平均圧力で決まり、平均圧力pによって圧縮される潤滑油の体積Δv0 [m3 ]は、次の(3)式により求められる。
【0039】
Δv0 =π・L・d2 ・p/(4K) …(3)
また、圧力pによって膨張する配管の体積Δvp は、一般的な厚肉円筒の式より、次の(4)式で求められる。
Figure 0004586319
但し、
K:潤滑油の体積弾性係数[Pa]
ν:配管材質のポアソン比
である。
【0040】
Δv0 とΔvp の和が吐出量qと同等以下となれば、潤滑油の圧縮性、配管膨張の影響は小さい。通常、微量の潤滑油供給において、配管内の平均圧力は約0.8〜2.0[MPa]程度である。特に2.0[MPa]の管内圧力においては、Δv0 +Δvp が吐出量q以下となるように設定することで、安定した微量の潤滑油供給が可能となる。即ち、次の(5)式を満足するように設定するとよい。
Figure 0004586319
【0041】
配管内の平均圧力が0.8〜2.0[MPa]になる理由は、次の通りである。通常、転がり軸受の潤滑に必要な潤滑油の吐出速度は、内輪周速度の10〜20%程度である。また、転がり軸受の回転数は、直径[mm]と回転速度[min-1]の積(dm・n)が100万〜350万程度で使用され、このような高速回転を実現させるためには、約5〜33[m/s]程度の吐出速度が必要となる。一方、潤滑油の吐出速度vは、ノズル直前の潤滑油圧力pn [Pa]の関数として、次の(6)式により表される。
【0042】
v=Cd ・√(2pn /ρ) [m/s] …(6)
ここで、
d :ノズル流量係数 ρ:潤滑油密度[kg/m3
であり、ノズル流量係数Cd は、ノズル径φ0.3〜0.08[mm]のノズルにおいて、Cd =0.70〜0.95程度となる。必要吐出速度から(6)式により要求されるノズル直前の圧力、及び(1)式より要求される配管の圧力損失Δpより、配管内の平均圧力は0.8〜2.0[MPa]程度となる。これより、潤滑装置の吐出圧力は最低でも1[MPa]以上が必要となる。
【0043】
(4)式において、配管材質のヤング率Eが小さい場合は、配管が膨張しやすくなり、配管の体積Δvp が大きくなる。この配管材質のヤング率Eが3[GPa]未満の樹脂材料等を用いた場合、配管の膨張が大きくなるため、スピンドル内の配管の取り回しに必要な配管長さLを大きくとることが困難となる。これを図6のグラフで示した。図6は、配管長さLに対する潤滑油圧縮体積Δv0 の変化を配管の各内径dに対してプロットしたグラフである。この図によれば、配管の内径dが2.0[mm]より大きくなると、配管内の潤滑油容積が増え、圧縮される潤滑油の体積Δv0 が増大する。このため、配管内径dは2.0[mm]以下とする必要がある。なお、微量の潤滑油供給に使用する潤滑油は、VG10〜VG32の潤滑油であり、これらの潤滑油の体積弾性係数Kは約1.4[GPa]である。
【0044】
図7は、配管の内径φ0.5〜φ1.0をパラメータとして、配管長さLに対する潤滑油の吐出速度vの変化を測定した結果を示すグラフである。このグラフにおいては、配管長さLが長く、配管内径dが小さいほど吐出速度vが低下する。例えば、配管内径dがφ0.5[mm]の場合、配管長さLが0.5[m]において吐出速度vが数m/sと十分な吐出速度が得られないため、配管内径dは少なくとも0.8[mm]以上とする必要がある。従って、配管内径dはφ0.8[mm]以上、φ2.0[mm]以下に設定することが必要条件となる。また、これに伴って配管の外径Dは、その強度上、φ1.0[mm]〜φ3.2[mm]とすることが好ましい。
【0045】
図8は、図7に示す結果に対し、横軸を配管パラメータL・dn 2/d4 として表したグラフである。このグラフによれば、吐出速度vは配管パラメータに対して比例的に変化しており、配管パラメータによって吐出速度が略決定されることが分かる。配管パラメータが5×104 [m-1]以下の領域を使用することにより、吐出速度vが5〜15[m/s]以上の微量の潤滑油供給に必要な吐出速度を得ることが可能となる。
【0046】
図9は、配管のヤング率を変えることによる吐出速度vの変化を測定した結果を示すグラフである。このグラフは、配管の外径Dがφ1.6[mm]、内径dがφ1.0[mm]、配管長さLが1[m]で、材質がステンレス(ヤング率E≒190[GPa])、PEEK樹脂(E≒4[GPa])、ポリウレタン樹脂(E≒0.1[GPa])の3種類の配管を用い、前述の(3)式、(4)式における平均圧力pを2[MPa]としたときのΔvp +Δv0 の計算結果と、吐出速度vの測定結果である。なお、本実施形態の吐出量qは約3[mm3 ]とし、潤滑油はVG22のものを使用している。
【0047】
このグラフによれば、配管のヤング率Eが小さいと、配管の膨張体積Δvp が増えるためΔvp +Δv0 が増大し、Δvp +Δv0 が3[mm3 ]以上となると吐出速度vが急激に低下する。特に、ポリウレタン樹脂を用いた場合は吐出速度vが略0となることから、ヤング率Eが3[GPa]未満の低弾性率の材料は、微量の潤滑油供給用の配管材料に適さないことがわかる。
逆に、ヤング率Eが190[GPa]程度のステンレス配管では、配管の膨張体積Δvp は0.01[mm3 ]以下のオーダーと計算され、配管の膨張の影響を無視することができる。
【0048】
本実施形態の主軸装置100によれば、ノズルの設置や配管の取り回しスペースの少ない外筒冷却方式による冷却機能を有する主軸装置であっても、配管の外径をφ1.0[mm]〜3.2[mm]、内径をφ0.8[mm]〜φ2.0[mm]、配管材質のヤング率を3[GPa]以上とし、配管長さLが(2)式、(5)式、及びL>0.5[m]を満足するように設定することで、配管やノズルの布設をコンパクトにすることができる。
また、前述したように配管パラメータ(L・dn 2/d4 )が5×104-1以下となるように、前記の各寸法を設定することで、配管やノズルの圧力損失を増大させる要因となる不用意な小径化を避けて、潤滑油を吐出する微量潤滑装置におけるポンプ性能を低下させることのない適正値にノズル径や配管内径を維持することができる。
【0049】
従って、配管の設置スペースが狭くなる工作機械等の主軸装置であっても、微量潤滑装置22におけるポンプ性能を配管内の圧損等で低下させることがなく、微量潤滑装置におけるポンプ性能を十分に発揮させ、転がり軸受への微量な潤滑油の供給を安定させることができる。
そのため、転がり軸受への微量な潤滑油の正確、且つ、安定した供給によって、軸受の作動状態を常に良好に維持し、軸の回転性能や耐久性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態の主軸装置における潤滑は、転がり軸受に潤滑油を直接噴射する直噴式のため、風切り音による騒音の発生やエアカーテンの形成による潤滑不良の発生といったオイルエア方式で潤滑油を供給した場合に発生していた問題点を解消することもできる。
【0050】
また、本実施の形態では、(5)式に示したように、配管内部の潤滑油の圧力による配管の膨張量及び潤滑油の圧縮体積との和を潤滑油の吐出量以下に設定すれば、配管の膨張や潤滑油の圧縮による影響が小さくなり、軸の高速回転等に対応して微量潤滑装置による潤滑油の吐出圧を高圧化した場合にも、微量潤滑装置の吐出圧をノズル先端まで確実に伝えて、微量の潤滑油供給を安定させることができる。
【0051】
また、本実施の形態の主軸装置100では、外側ハウジング20に軸方向に沿って形成された潤滑油供給用の連通孔24及び内側ハウジング18に形成された開口部26を通じて、内側ハウジング18内のノズルこま12まで、潤滑油を圧送する配管である耐圧チューブ10が布設されていて、耐圧チューブ10は転がり軸受16の軸方向に沿う方向から、ノズルこま12に嵌合接続されている。
このような配管とノズルの接続構造は、図示例のように、転がり軸受の軸方向に垂直な方向(即ち、転がり軸受の半径方向)に対して、配管を設置するためのスペースが十分に確保できない場合に適している。この場合、配管の接続は主軸装置の組立の最終段階で行うことができるため、配管敷設の作業性が良いという利点も有する。
【0052】
次に、本発明に係る主軸装置の第2実施形態を説明する。
図10は、本実施形態の主軸装置200の断面一部拡大図である。図10には図1と同じ機能を有する部材に対して同一の符号を付与することで、その説明は省略するものとする。
【0053】
本実施形態の主軸装置200は、4列組み合わせ転がり軸受のスピンドル構成の例である。本実施形態のように、多列組み合わせの転がり軸受のスピンドルにおいては、ハウジングの軸方向孔である連通孔24を通して各ノズルこま12まで配管を通すことが困難な場合がある。この実施形態の場合は、図の左側から3,4列目の転がり軸受16c,16dに対して、内側ハウジング18の左端から連通孔24を開口して配管を行うことは、スペース上困難である。
【0054】
そこで、本実施形態においては、図11にハウジングの組立の様子を示すように、内側ハウジング18を、転がり軸受16の外輪が固定される第1内側ハウジング90と、第1内側ハウジング90を軸方向に収容可能な挿入部91の内周面内径da が、第1内側ハウジング90の外周面の外径db よりも少なくとも耐圧チューブ10の径分大きく設定された第2内側ハウジング92とで構成し、前記第1内側ハウジング90と第2内側ハウジング92との間に、潤滑油を供給する配管である耐圧チューブ10を軸方向に沿って挿通可能な隙間93を設けたことを特徴としている。
【0055】
この組立に際しては、まず、第1内側ハウジング90の転がり軸受16側方に配置されたノズルこま12に対し、ノズルこま12天頂部に継手74を接続し、第2内側ハウジング92に形成された開口部94から耐圧チューブ10を引き出す。この引き出された耐圧チューブ10は、外側ハウジング20に形成された開口部88(図10参照)を通して主軸装置200外部に取り出し可能である。
このように、ノズルこま12の天頂部から継手74を接続することにより、軸方向のスペースが狭い場合であっても配管が可能となる。
【0056】
そして、第1内側ハウジング90を第2ハウジング92の挿入部91へ軸方向にスライドさせて挿入する。このとき、第2内側ハウジング92の内径da が第1内側ハウジング90の外径db より大きく設定されていて、ノズルこま12に接続した耐圧チューブ10を、第1内側ハウジング90と第2内側ハウジング92との間の隙間93に収容することができるため、耐圧チューブ10が第1,第2内側ハウジング双方の間に挟まることなく円滑に挿入される。これにより、主軸装置内の奥深く、スペースの狭い場所であっても、組立作業が容易な構成としつつ配管を行うことができる。
【0057】
即ち、この第2の実施の形態の主軸装置200においては、ノズルこま12を装備する第1内側ハウジング90を、第2内側ハウジング92の挿入部91から軸方向に取り出した状態で、ノズルと配管との接続を行うようにすれば、ノズルへの配管の導入を、軸や転がり軸受の軸線と直交する方向に設定することもでき、ノズルと配管の接続方向の選択自由度が高まって、配管布設を容易にすることができる。
【0058】
また、第1内側ハウジング90上のノズルこま12に耐圧チューブ10を接続した後に、耐圧チューブ10を第1内側ハウジング90と第2内側ハウジング92との間の配管布設用の隙間93に挿通させて、第1内側ハウジング90を第2内側ハウジング92の挿入部91に収容した状態に戻すことで、第2内側ハウジング92への第1内側ハウジング90の収容に際して耐圧チューブ10が邪魔になることもなく、第1内側ハウジング90と第2内側ハウジング92の組立性も、良好にすることができる。
【0059】
なお、耐圧チューブ10を挿通可能な隙間93は、第1内側ハウジング90の外周面又は第2内側ハウジング92の内周面に、切り欠き溝を形成することによって形成してもよい。
【0060】
図12は、本発明に係る主軸装置の第3実施の形態の縦断面図を示したものである。
この第3の実施の形態の主軸装置300は、外側ハウジングに冷却油を流すジャケット構造を採用した工作機械用の主軸装置であって、スピンドル軸14と、このスピンドル軸14に内輪内径面が嵌合した複数個の転がり軸受16と、これらの転がり軸受16の外輪外径面が嵌合した内側ハウジング18と、この内側ハウジング18及び前記スピンドル軸14の外周を覆う外側ハウジング20と、各転がり軸受16に潤滑油を供給するノズルとしてのノズルこま12と、前記ノズルこま12に微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置322とを具備し、各転がり軸受16に吐出速度が10m/sec以上で100m/sec以下の範囲、且つ、吐出量が1ショットあたり0.5mm3 〜10mm3 の範囲となる微量の潤滑油をノズルこま12から間欠的に噴射供給する構成である。
【0061】
この主軸装置300は、第1実施の形態に示した主軸装置100の一部を改良したもので、第1の実施の形態における微量潤滑装置22の代わりに微量潤滑装置322を使用した点、及び、第1実施の形態で示した配管パラメータ(L・dn 2/d4 )の代わりに、潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径dn と配管内径dと潤滑油の粘性係数μとの関係を表す配管粘度パラメータ(μ・L・dn 2/d4 )が規定範囲になるように、前記配管粘度パラメータに関係する各部の寸法及び潤滑油を選定した点が、第1の実施の形態のものと異なっている。
なお、第1実施の形態と共通する構成には、共通の番号を付して説明を省略する。
【0062】
この主軸装置300における微量潤滑装置322は、ノズルこま12からの吐出油量よりも大きい吐出油流量を有するポンプ322bと、このポンプ322bからノズルこま12への潤滑油の流れを制御する切替弁322aとを備えた構成である。
切替弁322aは、ポンプ322bとノズルこま12とを接続する配管途中に介装され、ポンプ322bからの吐出油圧力が一定圧力未満では前記配管の流路を遮断してノズルこま12からの潤滑油の噴射を停止する一方、ポンプ322bからの吐出油圧力が一定圧力以上となった時に、配管の流路を開放してポンプ322bからの潤滑油をノズルこま12から一定時間噴射させるもので、流路の開閉動作を周期的に繰り返すことで、微量な潤滑油の間欠的な吐出を行う。
【0063】
ノズルこま12から吐出される潤滑油の吐出速度vと、吐出量qとは、ノズルこま12の直前の潤滑油圧力pn [Pa]によって決定され、 潤滑油圧力pn は、微量潤滑装置322の吐出圧力p0 からノズルこま12までの配管内での圧力損失Δpを引いた値である。
n =p0 −Δp ……(7)
ノズルこま12における潤滑油の吐出速度vや吐出量qを安定させるためには、ノズルこま12の直前の潤滑油圧力pn が一定であること、即ち、Δpの変化が小さいことが必要となる。
Δpには、(1)式にも示したように、温度の関数である潤滑油の粘性係数μが含まれるため、温度変化によって動粘度が大きく変化しないように、使用する潤滑油を選択することが重要になる。
【0064】
図13及び図14は、潤滑油を圧送する配管の内径と、動粘度と、吐出量との関係を示したものである。
これらの図13及び図14から、潤滑油の粘度が増加すると、配管抵抗が増すため、吐出量が低下することが分かる。また、図13では、配管が細いほど粘度による吐出量変化の影響が大きいことが分かり、図13と図14とを比較することで、配管の長さが長い方が粘度による吐出量変化が大きいことが分かる。
【0065】
以上の結果は、前述した配管粘度パラメータ(μ・L・dn 2/d4 )を用いて整理することが可能である。
図15は、図13及び図14に示した関係を、配管粘度パラメータを横軸にとって書き直したものである。
この図15から分かるように、吐出量は、配管粘度パラメータに極めて密接である。
ノズルこま12から吐出される潤滑油の平均的な吐出速度は、吐出量÷ノズル面積÷切替弁の開放時間で求めることができる。
主軸装置300において、切替弁322aの開放時間及びノズルこま12の内径を一定とした時には、吐出量と平均吐出速度は比例関係にあるので、図15では、平均吐出速度をグラフの縦軸の第2軸にとった。
【0066】
直接噴射による潤滑の場合は、転がり軸受16の内部に確実に潤滑油を供給するため、軸受の内輪の周速度の10〜20%の吐出速度が必要となることが判っている。
スピンドル軸14が高速回転の場合、転がり軸受の直径[mm]と回転速度[min-1]の積(dm・n)は、上限で370万程度になることが予想される。
このとき、吐出速度は約18m/sec以上必要で、図15によれば、その時には配管粘度パラメータを2000〜2500以下に抑えることが必要になる。
【0067】
この主軸装置300の場合、以上を考慮し、潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径dn と配管内径dと潤滑油の30℃における粘性係数μH との関係を表す配管粘度パラメータ(μH ・L・dn 2/d4 )が150[kg/s/m2 ]以上で、且つ、配管の長さLとノズル径dn と配管内径dと潤滑油の0℃における粘性係数μL との関係を表す配管粘度パラメータ(μL ・L・dn 2/d4 )が2500[kg/s/m2 ]以下となるように、前記の各寸法及び動粘度を設定する。 次の表1は、直接噴射に使用される代表的な潤滑油を列挙したものである。
【0068】
【表1】
Figure 0004586319
【0069】
図16及び図17はこの第3実施の形態の作用効果を確認するための試験結果で、図16は表1に示した各潤滑油の温度と粘度との関係を示したものである。
また、図17は、表1に示した各潤滑油毎に、転がり軸受16の回転数と温度との相関を測定した試験結果である。
【0070】
なお、回転試験に際して、次の試験条件は、何れの潤滑油でも共通にした。
Figure 0004586319
また、回転試験に際して、潤滑油の種類によって相異する試験条件は、次の表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 0004586319
【0072】
表2に示した各条件に対する試験結果は、次に示す如きであった。
表2に示した条件1においては、室温が低く潤滑油粘度が大きくなったため配管粘度パラメータが大きくなり、吐出量及び吐出速度が減少して、36,000min-1にて焼き付きが発生した。
表2の条件2〜条件4までは、40,000min-1の超高速(dm.n370万)を達成することが可能である。配管粘度パラメータが2500〜150の範囲では、36,000min-1以上の高速回転が可能であった。
表2の条件5の潤滑油は温度粘度指数が非常に大きい油で、低温でも粘度が大きく上昇しないため、極低温においても十分な吐出量、吐出速度を得ることができる。そして表2と同じ配管を用いた場合、−20℃においても、配管粘度パラメータが1200となり、安定した吐出が可能であった。しかし、潤滑油の特性で油膜形成が悪くなるため、高速時には温度上昇が大きくなったが、36,000min-1までの高速回転が可能であった。
表2の条件6では、20,000min-1にて焼き付きを発生している。粘度が低いVG2相当の潤滑油では、油膜形成が不十分であるために、焼き付きが発生した。直噴潤滑においては、VG10相当以上の粘度が必要であると考察する。
【0073】
以上に説明したように、工作機械等が設置される施設内温度は、作業性や、加工精度の維持等の観点から、一般的に室温程度に管理され、主軸装置の使用温度域は、例えば、下限を0℃、上限を30℃と考えれば、十分である。
従って、予め、前述した配管パラメータに更に使用温度域の上限(30℃)及び下限(0℃)の粘度を加味した配管粘度パラメータが規定範囲内に収まるように、配管やノズルの諸寸法を設定すると共に、使用する潤滑油を選定しておけば、主軸装置が運転される施設内温度の変化に伴う潤滑油の動粘度の変動で、潤滑不良が発生することを防止することができ、使用温度域の全域で、微量潤滑装置におけるポンプ性能を十分に発揮させ、転がり軸受への微量な潤滑油の供給を安定させることができる。
そのため、軸装置が運転される施設内温度の変化に関係なく、転がり軸受への微量な潤滑油の正確、且つ、安定した供給によって、軸受の作動状態を常に良好に維持し、軸の回転性能や耐久性の向上を図ることができる。
【0074】
なお、本発明の主軸装置において、微量潤滑装置は、微量又は超微量の潤滑油吐出を正確に成し得るものであれば、具体的な構成は上記の実施の形態に限定するものではない。
【0075】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1に記載した本発明の主軸装置によれば、配管パラメータ(L・dn 2/d4)が5×104-1以下となるように、配管パラメータの各寸法を設定することで、配管やノズルの不用意な小径化を避けて、潤滑油を吐出する微量潤滑装置におけるポンプ性能を低下させることのない適正値にノズル径や配管内径を設定することができる。
従って、配管の設置スペースが狭くなる工作機械等の主軸装置であっても、微量潤滑装置におけるポンプ性能を配管内の圧損等で低下させることがなく、微量潤滑装置におけるポンプ性能を十分に発揮させ、軸受への微量な潤滑油の供給を安定させることができる。
そのため、軸受への微量な潤滑油の正確、且つ、安定した供給によって、軸受の作動状態を常に良好に維持し、軸の回転性能や耐久性の向上を図ることができる。
また、請求項1に記載した主軸装置における潤滑は、軸受に潤滑油を直接噴射する直噴式のため、風切り音による騒音の発生やエアカーテンの形成による潤滑不良の発生といったオイルエア方式で潤滑油を供給した場合に発生していた問題点を解消することもできる。
また、請求項1に記載した構成の主軸装置では、外側ハウジングに冷却油を流すジャケット構造を採用することができて、運転時の回転軸や軸受の熱変位を抑制することができるため、例えば、工作機械等の主軸装置として、高速回転や、高精度な連続運転の要求に応えやすい。
そして、更には、例えば、ノズルを装備する第1内側ハウジングを、第2内側ハウジングの挿入部から軸方向に取り出した状態で、ノズルと配管との接続を行うようにすれば、ノズルへの配管の導入を、軸や軸受の軸線と直交する方向に設定することもでき、ノズルと配管の接続方向の選択自由度が高まって、配管布設を容易にすることができる。
また、第1内側ハウジング上のノズルに配管を接続した後に、配管を第1内側ハウジングと第2内側ハウジングとの間の配管布設用の隙間に挿通させて、第1内側ハウジングを第2内側ハウジングの挿入部に収容した状態に戻すことで、第2内側ハウジングへの第1内側ハウジングの収容に際して配管が邪魔になることもなく、第1内側ハウジングと第2内側ハウジングの組立性も、良好にすることができる。
【0076】
また、請求項2に記載した本発明の主軸装置では、配管の膨張や潤滑油の圧縮による影響が小さくなり、軸の高速回転等に対応して微量潤滑装置による潤滑油の吐出圧を高圧化した場合にも、微量潤滑装置の吐出圧をノズル先端まで確実に伝えて、微量の潤滑油供給を安定させることができる。
【0077】
また、請求項3に記載した本発明の主軸装置では、予め、配管パラメータに更に使用温度域の上限(30℃)及び下限(0℃)の粘度を加味した配管粘度パラメータが規定範囲内に収まるように、配管やノズルの諸寸法を設定すると共に、使用する潤滑油を選定するため、主軸装置が運転される施設内温度の変化に伴う潤滑油の動粘度の変動で、潤滑不良が発生することを防止することができ、使用温度域の全域で、微量潤滑装置におけるポンプ性能を十分に発揮させ、軸受への微量な潤滑油の供給を安定させることができる。
そのため、軸装置が運転される施設内温度の変化に関係なく、転がり軸受への微量な潤滑油の正確、且つ、安定した供給によって、軸受の作動状態を常に良好に維持し、軸の回転性能や耐久性の向上を図ることができる。
また、請求項3に記載した構成の主軸装置では、外側ハウジングに冷却油を流すジャケット構造を採用することができて、運転時の回転軸や軸受の熱変位を抑制することができるため、例えば、工作機械等の主軸装置として、高速回転や、高精度な連続運転の要求に応えやすい。
そして、更には、例えば、ノズルを装備する第1内側ハウジングを、第2内側ハウジングの挿入部から軸方向に取り出した状態で、ノズルと配管との接続を行うようにすれば、ノズルへの配管の導入を、軸や軸受の軸線と直交する方向に設定することもでき、ノズルと配管の接続方向の選択自由度が高まって、配管布設を容易にすることができる。
また、第1内側ハウジング上のノズルに配管を接続した後に、配管を第1内側ハウジングと第2内側ハウジングとの間の配管布設用の隙間に挿通させて、第1内側ハウジングを第2内側ハウジングの挿入部に収容した状態に戻すことで、第2内側ハウジングへの第1内側ハウジングの収容に際して配管が邪魔になることもなく、第1内側ハウジングと第2内側ハウジングの組立性も、良好にすることができる。
【0078】
さらに、請求項4に記載した構成の主軸装置では、潤滑油圧力による配管の膨張に起因する潤滑油の吐出速度の低減を許容範囲に抑えることができ、また、同時に、配管内の潤滑油の圧縮に起因する潤滑油の吐出速度の低減を許容範囲に抑えることができ、また、配管の外径も必要最小限に抑えて、主軸装置のハウジング内等における限られた設置スペースでの配管布設を容易にすることができ、軸受への微量な潤滑油の正確、且つ、安定した供給と、配管のコンパクトな敷設とを両立させることができる。
【0080】
また、請求項に記載した構成の主軸装置では、ノズルこまに対して主軸の軸方向に垂直な方向に対して配管を設置するためのスペースがとれない場合であっても、軸方向にノズルこまの接続口を設置することで配管の接続が可能となる。また、配管の接続は主軸装置の組立の最終段階において行うことができるため、配管敷設の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る主軸装置の第1実施形態における構成を示す図である。
【図2】図1の主軸装置で使用している微量潤滑装置の構成を示す図である。
【図3】図1の主軸装置で使用しているノズル(ノズルこま)の断面図である。
【図4】図1の主軸装置において配管とノズルとをつなぐ継手を示す斜視図であり、(a)はPEEK樹脂等の樹脂材料からなるもので、(b)はステンレス材からなるものである。
【図5】図4に示した継手をノズルに螺着させる工具の斜視図である。
【図6】配管長さに対する潤滑油圧縮体積の変化を配管の各内径に対してプロットしたグラフである。
【図7】配管の内径をパラメータとして、配管長さに対する潤滑油の吐出速度の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図8】図7に示す結果に対し、横軸を配管パラメータL・dn 2/d4 として表したグラフである。
【図9】配管のヤング率を変えることによる吐出速度の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図10】本発明に係る主軸装置の第2実施形態の断面の一部拡大図である。
【図11】図10に示した主軸装置におけるハウジングの組立時の様子を示す図である。
【図12】本発明に係る主軸装置の第3実施形態の縦断面図である。
【図13】配管長さを2.5mとしたときの、潤滑油の動粘度と、吐出量と、配管内径との相関を示すグラフである。
【図14】配管長さを1.5mとしたときの、潤滑油の動粘度と、吐出量と、配管内径との相関を示すグラフである。
【図15】配管粘度パラメータと吐出量との関係を、配管寸法毎に比較したグラフである。
【図16】潤滑油の温度と動粘度との相関を示すグラフである。
【図17】回転数と外輪温度との関係を使用する潤滑油毎に比較したグラフである。
【図18】従来の空気流の媒体を用いるオイルエア方式の潤滑装置を示す図である。
【図19】管路の接続の様子を示す図で、(a)はハウジング端面同士の接続の様子、(b)はノズルこまとハウジングの管路との接続の様子を示す図である。
【符号の説明】
10 配管(耐圧チューブ)
12 ノズル(ノズルこま)
14 軸(スピンドル軸)
16,16a,16b,16c,16d 転がり軸受(軸受)
18 内側ハウジング
20 外側ハウジング
22 微量潤滑装置
24 連通孔
26 開口部
28 外筒
70 駆動回路
74 継手
76 固定用穴
78 吐出部
79 ノズルチップ
86 軸方向孔
88 開口部
90 第1内側ハウジング
91 挿入部
92 第2内側ハウジング
93 隙間
94 開口部
100,200 主軸装置
d ノズル流量係数
D 配管外径
d 配管内径
a 第2内側ハウジングの挿入部内径
b 第1内側ハウジングの外径
n ノズル径
E ヤング率
K 体積弾性係数
L 配管長
p 平均圧力
n 潤滑油圧力
q 吐出量
v 吐出速度
Δp 圧力損失
Δv0 潤滑油圧縮体積
Δvp 配管膨張体積

Claims (5)

  1. 軸と、この軸に内輪内径面が嵌合した軸受と、前記軸受の外輪外径面が嵌合したハウジングと、前記軸受に潤滑油を供給するノズルと、前記ノズルに微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置とを具備し、前記内輪と前記外輪とが転動体を介して相対的に回転可能となった前記軸受に吐出速度が10m/sec以上で100m/sec以下の範囲、且つ、吐出量が1ショットあたり0.5mm3〜10mm3の範囲となる微量の潤滑油を前記ノズルから間欠的に噴射供給する主軸装置において、
    前記ノズルに潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径dnと配管内径dとの関係を表す配管パラメータ(L・dn 2/d4)が5×104-1以下となるように、前記各寸法を設定するとともに、前記ハウジングを、前記軸受の外輪外径面が嵌合する内側ハウジングと、この内側ハウジング及び前記軸の外側を覆う外側ハウジングとで構成し、更に、
    前記内側ハウジングを、前記軸受の外輪外径面を嵌合保持する第1内側ハウジングと、前記第1内側ハウジングを軸方向に移動可能に収容する挿入部を有した第2内側ハウジングとで構成し、前記第1内側ハウジングと前記第2内側ハウジングとの間に、潤滑油を供給する前記配管を軸方向に沿って挿通可能な隙間を設けたことを特徴とする主軸装置。
  2. 前記配管内部の潤滑油の圧力による配管の膨張量及び潤滑油の圧縮体積との和を、前記潤滑油の吐出量以下に設定したことを特徴とする請求項1に記載の主軸装置。
  3. 軸と、この軸に内輪内径面が嵌合した軸受と、前記軸受の外輪外径面が嵌合したハウジングと、前記軸受に潤滑油を供給するノズルと、前記ノズルに微量の潤滑油を供給する微量潤滑装置とを具備し、前記内輪と前記外輪とが転動体を介して相対的に回転可能となった前記軸受に吐出速度が10m/sec以上で100m/sec以下の範囲、且つ、吐出量が1ショットあたり0.5mm3〜10mm3の範囲となる微量の潤滑油を前記ノズルから間欠的に噴射供給する主軸装置において、
    前記ノズルに潤滑油を供給する配管の長さLとノズル径dnと配管内径dと前記潤滑油の30℃における粘性係数との関係を表す配管粘度パラメータ(μH・L・dn 2/d4)が150以上で、且つ、前記配管の長さLとノズル径dnと配管内径dと前記潤滑油の0℃における粘性係数との関係を表す配管粘度パラメータ(μL・L・dn 2/d4)が2500以下となるように、前記各寸法及び動粘度を設定するとともに、前記ハウジングを、前記軸受の外輪外径面が嵌合する内側ハウジングと、この内側ハウジング及び前記軸の外側を覆う外側ハウジングとで構成し、更に、
    前記内側ハウジングを、前記軸受の外輪外径面を嵌合保持する第1内側ハウジングと、前記第1内側ハウジングを軸方向に移動可能に収容する挿入部を有した第2内側ハウジングとで構成し、前記第1内側ハウジングと前記第2内側ハウジングとの間に、潤滑油を供給する前記配管を軸方向に沿って挿通可能な隙間を設けたことを特徴とする主軸装置。
  4. 前記配管は、外径が1.0〜3.2mmの範囲で、且つ、内径が0.8〜2.0mmの範囲で、更に、配管材質のヤング率が3GPa以上に設定したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の主軸装置。
  5. 前記主軸装置は、前記軸受の外側を覆う内側ハウジングと、主軸装置の外側を覆う外側ハウジングとを備え、前記微量潤滑装置から前記外側ハウジングに軸方向に沿って形成された潤滑油供給用の連通孔、前記内側ハウジングに形成された開口部を通じて内側ハウジング内に設置されたノズルこままで配管され、前記ノズルこまへは軸方向に配管が接続されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の主軸装置。
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