JP2014043890A - グリース充填方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】グリース充填装置は、グリースGを貯蔵するための容器10と、容器10内のグリースGを第一ホース14を介して充填シリンダ16へ圧送するためのポンプ12と、第一ホース14と充填シリンダ16との間に設置したバルブ20と、グリースGを噴出させるための充填ノズル50を備えた吐出バルブ48と、充填シリンダ16と吐出バルブ48を接続する第二ホース40と、第二ホース40内を流れるグリースGを加熱するための加熱コイル42とを有し、充填シリンダ16のストロークに基づいてグリースGの吐出量を管理し、ワークWとの間に一定の距離を隔てた充填ノズル50からグリースGを噴出させてワークWに充填する。
【選択図】図1
Description
グリースの粘度を一時的に低く抑えるため、充填ヘッド本体にはその内部を流れるグリースを所定の温度に加熱するためのヒータおよび温度センサが設けてある。
充填ノズルは、ハウジングと、吐出バルブと、ノズル本体と、アタッチメントとを基本的な構成要素としている。また、ハウジングは、連絡経路と、供給されたグリースを一時貯蔵する貯蔵室とを備えている。
しかながら、次に述べるような問題点がある。すなわち、充填ヘッド本体内にヒータおよび温度センサを設置しなければならないことから高コストである。さらに、充填ノズルの構造が複雑であるため、この面からも高コストとなる。しかも、転がり軸受にグリースを充填する場合のように、グリースの充填量が極少量の場合は、ポンプ圧と吐出バルブの開放時間の設定のみでグリース充填量を管理することが可能であるが、大容量のグリースを充填する場合は、充填ヘッド本体内のグリースを加熱するだけでは足りず、配管経路内のグリース流速のばらつきなどにより、充填量にばらつきが生じる。
充填ノズル50にグリースGを導くための第二ホース40にヒータ42を取り付けただけの比較的簡単な構造の加熱手段を採用して、グリースGの粘度を充填ノズル50の上流側において一時的に低く抑えるようにしたため、複雑な構造の充填ヘッドを用いる必要がなく、低コストで製造することができる。とくに、吐出バルブ48および充填ノズル50には市販の汎用品を利用することができる。
図1にグリース充填装置の全体構成を示す。このグリース充填装置は、ペール缶、ドラム缶その他の容器10内のグリースGをワークWに自動的に充填するための装置であって、ポンプ12により、容器10内のグリースGをホース14を介して充填シリンダ16の圧送シリンダ18に圧送し、また、充填シリンダ16の圧送シリンダ18からホース40を介して吐出バルブ48にグリースGを圧送し、吐出バルブ48からワークWに向けてグリースGを噴出させるようになっている。次に、各構成要素ごとに詳しく説明する。
ポンプ12は、容器10内のグリースG、あるいは図示しない集中配管から供給されるグリースGを吸い込み、ホース14を介してバルブ20に向けて圧送する役割を果たす。そのような機能を持つものである限りポンプの機種やタイプは問わない。たとえば容積式でも非容積式でもよい。ここでは、容器10とポンプ12は移動式の架台に設置し、下部に容器10、上部にポンプ12を配置した場合を例示する。
全体を符号16で概括的に示してある充填シリンダは、圧送シリンダ18と駆動シリンダ24とで構成され、駆動シリンダ24は圧送シリンダ18の駆動部となる。より詳しく述べるならば、圧送シリンダ18と駆動シリンダ24は一本のピストンロッド26を共用し、ピストンロッド26の一方の端部に駆動シリンダ24内で往復移動する第一ピストン25が、ピストンロッド26の他方の端部に駆動シリンダ24内で往復移動する第二ピストン27が、それぞれ固定してある。そして、第一ピストン25よりも第二ピストン27を大径とすることにより、いわゆるエアオイルブースタが構成される。すなわち、駆動シリンダ24の下部室にエアを供給すると、第二ピストン25が上昇し、それと同時に第一ピストン27も上昇する。このとき、第一ピストン25と第二ピストン27の受圧面積の差に基づき、第二ピストン27は第一ピストン25に作用するエア圧の割に大きな力を発生させることができる。駆動シリンダ24にエアを供給するためにバルブ28とレギュレータ30が取り付けてある。バルブ28は、たとえば開閉を電気的に制御するようにした電磁弁を採用することができる。レギュレータ30は、バルブ28から駆動シリンダ24に供給されるエア圧を変更するためのものである。なお、図1では、容器10やポンプ12はキャスタ付きのフレームに設置して可動式とし、一方、充填シリンダ16は定置式とした場合が例示してあるが、可動式とするか定置式とするかは状況に応じて適宜選択することができる。
ホース14と圧送シリンダ18との間、つまり圧送シリンダ18の入り口ポートに、バルブ20が取り付けてある。このバルブ20は、圧送シリンダ18からグリースGが逆流するのを防止する役割を果たすもので、ポンプ12から圧送されてきたグリースGが圧送シリンダ18内に充満すると閉じ、1回の充填サイクルが完了するまで閉じた状態を保つ。このバルブ20の閉操作は、シーケンサを介して、ロッド26が上ストロークエンドに達したことを検知した近接スイッチ38bからの信号に応答してなされる。
ホース40は圧送シリンダ18と吐出バルブ48を接続するためのもので、ある程度可撓性を備えた材料で構成され、長さは一例として1〜6m程度である。ホース40にはヒータ42が設けてあり、ボース40の内部のグリースGを加熱するようになっている。ヒータ42は、たとえばホース40の周囲に巻き付けた加熱コイル(電熱線をらせん状に巻いたもの)の形態をとることができる。もちろん、赤外線ヒータ、熱風機その他の既存の加熱装置を採用してもよい。ヒータ42によるグリース加熱温度は一例を挙げるならば40℃±1℃である。この程度の温度までグリースGを加熱することにより、グリースの粘度が低下して流動抵抗が少なくなるため、充填ノズル13からワークWに向けてグリースGを噴出させ、ワークWに対して非接触で円滑なグリースGの充填を実行することができる。
温度測定部44は吐出バルブ12の上流側に配置してあり、この位置におけるホース40内のグリースGの実際の温度を計測するための温度センサ10が設けてある。そして、上に述べた例に従えば、ヒータ42による加熱作用によって充填ノズル50から噴出するグリースGの温度は約40℃に設定される。このグリースGの温度は、グリースG中の潤滑油成分(基油)が分離しない約20℃〜80℃の範囲内で、グリースGの特性に合わせて適宜、変更することが可能である。そのために、温度センサ10からの信号に基づいてヒータ42の設定加熱温度を変更できるようにしておくのが好ましい。
吐出バルブ48としては、一例として、バルブ駆動装置52としてソレノイドバルブを備えたボールバルブを用いることができる。吐出バルブ48の出口には充填ノズル50が取り付けてある。充填ノズル50の一例としては一般的な直進ノズルを挙げることができる。充填ノズル50の出口径は、グリースGの充填サイクルに合わせて、約1mm〜20mmの範囲内で適宜、変更することが可能である。充填ノズル50とワークWとの間隔は、ワークWの大きさ等に応じて適宜、変更可能であり、一例として0.5mm〜1000mmの広い範囲で調整可能に構成するのが好ましい。たとえば、ホース40の長さや屈曲等で対応する。
グリース供給工程は、ポンプ12により容器10内のグリースGを圧送シリンダ18内に供給する工程である。この工程では、まずバルブ20が開く。すなわち、図示しないシーケンサからの開出力信号に応答してエアバルブが開き、エアが供給される結果、バルブ20が開く。バルブ20が開くことによって、圧送シリンダ18内にグリースGが供給され、供給されたグリースGによってピストンロッド26が押し下げられる。ピストンロッド26が下降すると、ロッド34を介してスケールセンサ32も下降し、下ストロークエンドに達したことをセンサ38が検知すると、ポンプ12とバルブ20に信号を出力し、グリースGの圧送を止めるとともに、バルブ20を閉じる。
グリース吐出工程では、シーケンサからの開出力信号に応答して吐出バルブ48が開く。同様に、シーケンサからの開出力信号に応答してバルブ28が開く。つまり、この工程は、バルブ28および吐出バルブ48を開いてピストンロッド26、第一ピストン25、第二ピストン27を上昇させることにより、圧送シリンダ18内のグリースGを押し出し、充填ノズル50から一挙に噴出させる工程である。同時に、そのグリースGをワークWに充填する工程でもある。このとき、ピストンロッド26のストロークを管理することにより、1回のグリースGの吐出量すなわち充填量を設定することができる。すでに述べたとおり、ピストンロッド26のストロークの管理には、一例として、ストローク測定センサとしてスケールセンサ32を用いることができる。ピストンロッド26と接続した、シリンダ外に設置してあるロッド34に取り付けたスケールセンサ32により、その前面のスケール36を読み取り、吐出中のピストンロッド26のストロークを測定し、ロッド34があらかじめ設定した任意の上ストロークエンドに達した時点で、吐出バルブ48を閉じるべき旨の信号を外部に出力する。このようにして充填量が設定される。
グリース加熱工程は、グリース吐出工程の前段に位置し、グリースGを所定温度に加熱する工程である。この工程では、ヒータ42と温度センサ46を使用して、ホース40内のグリースGを所定の温度まで加熱する。温度センサ46でホース40内のグリースGの実際の温度を計測し、その計測結果をフィードバックしてヒータ42のON、OFF等の制御を実行する。
図5から分かるように、グリース吐出量をピストンロッド26のストロークに基づいて管理した場合、グリース充填量(計測値)はそれぞれ平均15.61g、100.50g、150.76gで、ばらつきはそれぞれ0.72g、0.99g、0.76gとなった。
両者を対比すれば明らかなように、グリース吐出量を吐出バルブ48の開放時間に基づいて管理した場合よりも、グリース吐出量をピストンロッド26のストロークに基づいて管理した場合のほうが、高い充填量精度が得られた。特許文献1に関連して述べたとおり、吐出バルブ48の開放時間の設定のみでの充填量の管理では、配管経路内のグリース流速のばらつきなどにより、充填量にばらつきが生じたものと推測される。
12 ポンプ
14 ホース
16 充填シリンダ
18 圧送シリンダ
20 バルブ
22 圧力センサ
24 駆動シリンダ
26 ピストンロッド
28 バルブ
30 レギュレータ
32 スケールセンサ
34 ロッド
36 スケール
38a、38b 近接スイッチ
40 ホース
42 加熱コイル
44 温度測定部
46 温度センサ
48 吐出バルブ
50 充填ノズル
52 バルブ駆動装置
54 外輪
56 トリポード
58 ローラ
60 シャフト
62 ブーツ
64 ブーツバンド
A 圧縮エア
G グリース
W、W’ ワーク
Claims (10)
- グリースを貯蔵する容器と、
前記容器内のグリースを第一ホースを介して充填シリンダへ圧送するためのポンプと、
前記第一ホースと前記充填シリンダとの間に設置したバルブと、
グリースを噴出させるための充填ノズルを備えた吐出バルブと、
前記充填シリンダと前記吐出バルブを接続する第二ホースと、
前記第二ホース内を流れるグリースを加熱するためのヒータと
を有し、前記充填シリンダのストロークに基づいてグリースの吐出量を管理し、ワークとの間に一定の距離を隔てた前記充填ノズルからグリースを噴出させて前記ワークに充填するグリース充填装置。 - 前記充填シリンダは、前記第一ホースと接続した圧送シリンダと、前記圧送シリンダを駆動するための駆動シリンダとからなり、前記圧送シリンダと前記駆動シリンダは一本のピストンロッドを共用し、前記ピストンロッドの一方の端部に前記駆動シリンダ内で往復移動可能な第一ピストンを固定し、前記ピストンロッドの他方の端部に前記圧送シリンダ内で往復移動可能な第二ピストンを固定した請求項1のグリース充填装置。
- 前記ピストンロッドのストロークを管理するための機構を設け、前記ピストンロッドのストロークに基づいてグリースの充填量を設定するようにした請求項2のグリース充填装置。
- 前記吐出バルブの上流側のグリースの温度を測定するために温度センサを設けた請求項1ないし3のいずれか1項のグリース充填装置。
- 前記温度センサで測定した温度を前記加熱コイルにフィードバックすることにより、前記吐出バルブの上流側のグリースの温度を前記グリースの滴点未満の温度に設定した請求項4のグリース充填装置。
- グリースの設定温度を20℃〜80℃の範囲内とした請求項5のグリース充填装置。
- ポンプにより容器内のグリースを充填シリンダに供給するグリース供給工程と、前記充填シリンダに供給されたグリースを吐出バルブに供給して前記吐出バルブから噴出させる吐出工程とを有し、前記充填シリンダと前記吐出バルブを接続するホース内でグリースを加熱することを特徴とするグリース充填方法。
- 前記グリース充填工程において設定するグリースの充填量を、前記充填シリンダのピストンロッドのストロークに基づいて設定する請求項7のグリース充填方法。
- 前記グリース充填工程において、グリースの設定温度を前記グリースの滴点未満の温度とした請求項7または8のグリース充填方法。
- 前記グリース充填工程において、グリースの設定温度を20℃〜80℃の範囲内とした請求項9のグリース充填方法。
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