JP2002346858A - ドライブシャフトの組立装置および組立方法 - Google Patents

ドライブシャフトの組立装置および組立方法

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    • B23P19/084Machines for placing washers, circlips, or the like on bolts or other members for placing resilient or flexible rings, e.g. O-rings, circlips
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライブシャフトの組立において、作業環境
の改善、作業スペースの有効利用、作業効率の向上およ
び作業時間の短縮化を図ることにある。 【解決手段】 固定型等速自在継手、摺動型等速自在継
手、シャフト、ブーツ、ブーツバンドを含む構成部品か
らなるドライブシャフトの組立ラインにおいて、各構成
部品を所定位置に定配する工程と、各ブーツ内にシャフ
トを挿入する工程と、シャフト両端部に各継手の内側継
手部材をそれぞれ嵌合させる工程と、シャフト両端部の
内側継手部材に各継手の外側継手部材をそれぞれ嵌合さ
せる工程と、ブーツ内にグリースを封入し、ブーツを各
継手の外側継手部材に被せる工程とを含み、各工程を含
む全工程を複数のポジションに振り分け、各ポジション
に配置された多関節ロボットR1〜R5により各工程で
の作業を実行させ、多関節ロボット同士の連係でもって
次工程へのアッセンブリの受け渡しを実行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はドライブシャフトの
組立装置および組立方法に関し、詳しくは、自動車等の
回転力伝達手段として用いられるドライブシャフトにつ
いて、固定型等速自在継手と摺動型等速自在継手をシャ
フトの両端部にそれぞれ組み付けるドライブシャフトの
組立装置および組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジンから駆動車輪に動力を
伝達する動力伝達機構として用いられるドライブシャフ
トは、一本のシャフトの両端部に摺動型等速自在継手お
よび固定型等速自在継手をセレーションによりトルク伝
達可能にそれぞれ結合させてユニット化した構成を具備
する。
【0003】このドライブシャフトでは、エンジンと車
輪との相対的位置関係の変化による角度変位と軸方向変
位に対応する必要があるため、エンジン側(インボード
側)と駆動車輪側(アウトボード側)との間にシャフト
を介装し、そのシャフトの一端部を摺動型等速自在継手
を介してディファレンシャルに連結し、他端部を固定型
等速自在継手および車輪軸受を介して駆動車輪に連結し
ている。これら摺動型等速自在継手および固定型等速自
在継手には、内部への異物などの侵入や外部へのグリー
スの漏出を防止するための密封用ブーツがそれぞれ装着
されている。通常、アウトボード側に位置する固定型等
速自在継手については樹脂製ブーツが使用され、インボ
ード側に位置する摺動型等速自在継手についてはゴム製
ブーツが使用され、それぞれシャフトの端部と各等速自
在継手の外側継手部材にブーツバンドにより締め付け固
定される。
【0004】前記摺動型等速自在継手は角度変位だけで
なく、いわゆるプランジングによって軸方向変位も吸収
されるのに対して、固定型等速自在継手は、角度変位の
みが可能となっている。前記摺動型等速自在継手の一種
にトリポード型等速自在継手があり、このトリポード型
等速自在継手は、半径方向に突出した三本の脚軸を有
し、シャフトの一端にセレーションを介してトルク伝達
可能に連結されてスナップリングにより抜け止めされる
トリポード部材と、そのトリポード部材が収容され、車
体側のディファレンシャルに取り付けられる外側継手部
材と、前記トリポード部材の脚軸に複数のニードルころ
を介して取り付けられ、外側継手部材の内周面に形成さ
れたトラック溝に収容されてそのトラック溝両側のロー
ラ案内面によって案内されるローラとを主要な構成部材
としている。また、固定型等速自在継手は、車輪軸受を
介して駆動車輪に取り付けられる外側継手部材と、シャ
フトの他端に取り付けられる内側継手部材と、内外側継
手部材の両トラック溝間に介在してトルクを伝達する複
数のボールと、内外側継手部材間に介在して各ボールを
保持するケージとを主要な構成部材としている。
【0005】前記シャフト、摺動型等速自在継手および
固定型等速自在継手からなるドライブシャフトの組立の
概略は以下の通りである。なお、各構成部材の組立手順
はいろいろなパターンがあるため、以下では摺動型等速
自在継手と固定型等速自在継手とに分けて説明する。
【0006】まず、固定型等速自在継手のブーツのシャ
フト側端部にブーツバンドを定配し、シャフトの一方の
端部に前記ブーツを挿入する。そして、このシャフトの
端部に、内側継手部材、ボール、ケージおよび外側継手
部材とを組み付けてユニット化されたアッセンブリ(ア
ッシー)を装着する。この時、シャフトの端部外周面に
形成されたセレーションと前記内側継手部材の内径面に
形成されたセレーションとの位相を合わせた状態でアッ
センブリの内側継手部材をシャフトに嵌合させる。その
後、ブーツ内にグリースを封入した上で、そのブーツの
継手側端部を外側継手部材に装着してその継手側端部に
ブーツバンドを定配し、ブーツのシャフト側端部および
継手側端部のブーツバンドを締め付け固定する。
【0007】一方、摺動型等速自在継手のブーツのシャ
フト側端部にブーツバンドを定配し、シャフトの他方の
端部に前記ブーツを挿入する。そして、シャフトの端部
にトリポード部材およびローラを装着する。このトリポ
ード部材とローラとがユニット化されたトリポードキッ
トを、シャフトの端部外周面に形成されたセレーション
とトリポード部材の内径面に形成されたセレーションと
の位相を合わせた状態でシャフトに嵌合させる。このシ
ャフトに装着されたトリポードに外側継手部材を被せ、
ブーツ内にグリースを封入した後、そのブーツの継手側
端部を外側継手部材に装着してその継手側端部にブーツ
バンドを定配し、ブーツのシャフト側端部および継手側
端部のブーツバンドを締め付け固定する。
【0008】以上のように摺動型等速自在継手と固定型
等速自在継手とをシャフトに組み付けたドライブシャフ
トは、外観検査工程や各種試験工程などの後工程へ経て
最終的に製品化されることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したド
ライブシャフトの組立は、人手に頼っているというのが
現状であり、複数の作業者が摺動型等速自在継手、固定
型等速自在継手およびシャフトの各構成部品の組み付け
を分業体制で行っている。この種のドライブシャフトを
構成する摺動型等速自在継手、固定型等速自在継手およ
びシャフトの各種部品の中にはかなりの重量物もあり、
それら重量物を作業者が扱うことから、作業環境の悪化
を招来し、また、複数の作業者が、分担された作業内容
を実行するためにはある程度の作業スペースを必要とす
ることから、ドライブシャフトの組立全体での作業スペ
ースの有効利用を図ることが困難であった。
【0010】さらに、両等速自在継手の内側継手部材を
シャフトに装着するに際しては、両者におけるセレーシ
ョンの位相を合わせる作業に熟練を要し、また、ブーツ
の端部を外側継手部材に装着する作業においても熟練を
要するなど、人手の場合には熟練度を必要とし、作業効
率の向上および作業時間の短縮化を図ることも非常に困
難であった。
【0011】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、ドライブシャ
フトの組立において、作業環境の改善、作業スペースの
有効利用、作業効率の向上および作業時間の短縮化を図
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明装置は、固定型等速自在継
手、摺動型等速自在継手、これら継手の内側継手部材に
嵌合するシャフト、前記継手の外側継手部材の内部を密
封するブーツ、そのブーツの端部をシャフトまたは外側
継手部材に固定するブーツバンドを含む構成部品からな
るドライブシャフトの組立装置であって、複数の多関節
ロボットを、隣接する多関節ロボット同士のアーム先端
部の移動範囲が一部重複するように振り分けて配置し、
前記多関節ロボットのアーム先端部の移動範囲の重複部
位に、部品または組立品の定配、検査、組立作業を実行
する複数のステーションを配置し、前記多関節ロボット
同士の連係でもって、部品または組立品の供給部からの
取り出し、ステーションへの移送、およびステーション
での定配、検査、組立作業を実行するシーケンサを具備
したことを特徴とする。
【0013】また、本発明方法は、固定型等速自在継
手、摺動型等速自在継手、これら継手の内側継手部材に
嵌合するシャフト、前記継手の外側継手部材の内部を密
封するブーツ、そのブーツの端部をシャフトまたは外側
継手部材に固定するブーツバンドを含む構成部品からな
るドライブシャフトの組立方法であって、前記ドライブ
シャフトの各構成部品を所定位置に定配する工程と、前
記各ブーツ内に前記シャフトを挿入する工程と、そのシ
ャフトの両端部に各継手の内側継手部材をそれぞれ嵌合
させる工程と、前記シャフトの両端部の内側継手部材に
各継手の外側継手部材をそれぞれ嵌合させる工程と、各
継手のブーツ内にグリースを封入し、そのブーツを各継
手の外側継手部材に被せる工程と、前記ブーツバンドに
よりブーツの端部をシャフトまたは外側継手部材に固定
する工程とを含み、前記各工程を含む全工程を複数のポ
ジションに振り分け、各ポジションに配置された多関節
ロボットにより前記各工程での作業を実行させ、前記多
関節ロボット同士の連係でもって次工程への部品または
組立品の受け渡しを実行することを特徴とする。
【0014】本発明では、摺動型等速自在継手、固定型
等速自在継手およびシャフトを含む構成部品からなるド
ライブシャフトの組立において、複数の多関節ロボット
を利用してそれら多関節ロボット同士の連係でもって各
構成部品の組立を実行するようにしたことから、ドライ
ブシャフトの組立ラインの自動化を図ることができて作
業者の削減、作業環境の改善、作業スペースの有効利
用、作業効率の向上および作業時間の短縮化が図れる。
【0015】前記多関節ロボットは、他の多関節ロボッ
トが実行する作業の一部と重複する機能を有し、多関節
ロボットが保有する作業量の多少に応じて他の多関節ロ
ボットに代えて作業を実行して他の多関節ロボットを補
助することを特徴とする。このようにすれば、作業効率
の向上、作業時間の短縮化が図れる。
【0016】前記多関節ロボットは、次工程における多
関節ロボットの作業開始に合致した姿勢に部品または組
立品を保持した状態のままでステーションに載置するこ
とを特徴とする。このようにすれば、次工程における多
関節ロボットは即座に作業開始することができて、作業
効率の向上、作業時間の短縮化が図れる。
【0017】前記多関節ロボットは、そのアーム先端部
の移動範囲内に設置され、部品または組立品に応じた把
持機能を有する複数のハンドリングツールを、部品また
は組立品に応じて選択しながら着脱自在に装着すること
を特徴とする。このようにすれば、ハンドリングツール
の変更だけでドライブシャフトの組立において多品種対
応が容易となる。
【0018】前記多関節ロボットは、ドライブシャフト
への固定型等速自在継手と摺動型等速自在継手の組立に
ついて共通した作業を実行することを特徴とする。この
ようにすれば、固定型等速自在継手と摺動型等速自在継
手の組立において重複した作業を回避することができ、
作業効率の向上、作業時間の短縮化が図れる。
【0019】前記ドライブシャフトへの固定型等速自在
継手と摺動型等速自在継手の組立を前後二つの組立ライ
ンに分け、固定型等速自在継手または摺動型等速自在継
手のいずれか一方の組立をオフラインにより行うことを
特徴とする。このようにすれば、ドライブシャフトの組
立において多品種対応が容易となる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を以下に詳述す
る。以下の実施形態では、シャフトの両端部に摺動型等
速自在継手および固定型等速自在継手を装着したドライ
ブシャフトについて、摺動型等速自在継手としてトリポ
ード型等速自在継手(以下、TJと称す)、固定型等速
自在継手としてツェッパー型等速自在継手(以下、BJ
と称す)を採用した場合について説明する。なお、TJ
以外にDOJ等の他の摺動型等速自在継手、BJ以外に
UJ等の他の固定型等速自在継手をそれぞれシャフトの
両端部に装着したドライブシャフトについても適用可能
である。
【0021】実施形態の組立ラインは、前組立ラインと
後組立ラインに分割されている。図1は前組立ラインに
おける多関節ロボットR1〜R5を含む配置レイアウ
ト、図2は後組立ラインにおける多関節ロボットR6〜
R10を含む配置レイアウトをそれぞれ示す。これら配
置レイアウトは一例であり、ドライブシャフトの組立内
容に応じて設計変更可能である。前組立ラインと後組立
ラインとの間は、前組立ラインから後組立ラインへ組立
品(ワーク)を搬送するための移送装置20が配設され
ている。この移送装置20は、前組立ラインと後組立ラ
インとの処理速度の差によってはバッファとしての機能
も発揮する。つまり、この移送装置20では、部品また
は組立品を一時的に取り置くことができ、これにより、
部品または組立品の待ちによるラインストップを回避す
ることができる。なお、このようなバッファは、前組立
ラインまたは後組立ライン内に設置することも可能であ
る。
【0022】図3、図4は前組立ラインと後組立ライン
のそれぞれにおいて、TJ、BJおよびシャフトを主要
な構成部品としてドライブシャフトの組立手順を説明す
るためのものである。なお、ドライブシャフトの組立手
順についても適宜設計変更が可能である。図中のシャフ
トは同一姿勢であるが、後述するように前組立ラインお
よび後組立ラインにおいて、多関節ロボットの作業動作
に合わせて垂直状態または水平状態のいずれかの姿勢に
保持される。
【0023】図1、図2に示す前組立ラインと後組立ラ
インでは、複数(それぞれのラインで5箇所ずつ)のポ
ジションに多関節ロボットR1〜R5,R6〜R10を
配置し、各多関節ロボットR1〜R5,R6〜R10が
受け持つ作業を実行する。これら前組立ラインと後組立
ラインのそれぞれでは、複数(この実施形態では前組立
ラインに5台、後組立ラインに5台の計10台)の多関
節ロボットR1〜R5,R6〜R10が設置されている
が、この多関節ロボットの設置台数については、前述し
た配置レイアウトと共に必要に応じて変更可能であって
任意である。
【0024】これら多関節ロボットR1〜R5,R6〜
R10は、他の多関節ロボットが実行する作業の一部と
重複する機能を有し、多関節ロボットが保有する作業量
の多少に応じて他の多関節ロボットに代えて作業を実行
して他の多関節ロボットを補助することが可能である。
つまり、一台の多関節ロボットが作業不能となれば、隣
接する多関節ロボットが、前記多関節ロボットの移動範
囲と重合する部分で作業を代行することができる。
【0025】各多関節ロボットR1〜R5,R6〜R1
0が実行する作業は、その多関節ロボットR1〜R5,
R6〜R10のアーム先端部21の移動範囲内に、部品
または組立品に応じた把持機能を有する各種のハンドリ
ングツール(アタッチメント)を着脱可能に設置し、多
関節ロボットR1〜R5,R6〜R10が所望のハンド
リングツールを選択してアーム先端部21に装着した上
で、設置ベースの水平回転と多関節による折り曲げ駆動
により、前記アーム先端部21がXYZ方向での三次元
の旋回範囲内で移動し、かつ、軸中心に回転することに
より行われる。
【0026】まず、図1に示すように前組立ラインの作
業エリア22の周囲箇所には、ドライブシャフトの構成
部品、つまり、BJブーツ、TJブーツ、BJ小バン
ド、TJ小バンド、シャフト、小丸クリップ、トリポー
ドキット、BJアッセンブリ(BJアッシー)、スナッ
プリングを供給するためのホッパー等の供給部23〜3
1が配設されている。前記多関節ロボットR1〜R5の
アーム先端部21の移動範囲内において、隣接する多関
節ロボットのアーム先端部の移動範囲と重複する部位
に、前記部品または組立品を載置して多関節ロボットR
1〜R5による作業を実行するためのステーションS1
〜S4(作業台)が配置されている。これらステーショ
ンS1〜S4には、部品または組立品を垂直状態あるい
は水平状態で支持するための支持治具や各種の検査装置
などが設置されている。なお、ステーションS4につい
ては多関節ロボットR4のみのアーム移動範囲内である
が、後組立ラインへの移送装置20が付設されている。
【0027】この前組立ラインでは、図3に示すように
BJブーツ1を定配し、そのBJブーツ1の小径端部
(シャフト側端部)にBJ小バンド2を定配し、前記B
Jブーツ1の小径端部にシャフト3のBJ側端部を挿入
する。また、TJブーツ4を定配し、そのTJブーツ4
の小径側端部(シャフト側端部)にTJ小バンド5を定
配し、前記TJブーツ4の小径側端部にシャフト3のT
J側端部を挿入する。そして、シャフト3のTJ側端部
にトリポードキット6を装着し、シャフト3のBJ側端
部に内側継手部材(以下、内輪と称す)の抜け止め用の
クリップ7(以下、小丸クリップと称す)を挿入する。
このトリポードキット6は、内輪であるトリポード部材
とローラとをユニット化したものであり、シャフト3の
TJ側端部の外周面に形成されたセレーションとトリポ
ード部材の内径面に形成されたセレーションとの位相を
合わせた状態でシャフト3のTJ側端部に嵌合される。
その後、シャフト3のBJ側端部にBJアッセンブリ8
を装着する。このBJアッセンブリ8は、内輪、ボー
ル、ケージおよび外側継手部材(以下、外輪と称す)を
予め組み込んだもので、シャフト3のBJ側端部に前工
程で取り付けられた小丸クリップ7を縮径させながらシ
ャフト3のBJ側端部に装着され、前述したシャフト3
のTJ側端部に組み付けられたトリポードキット6の場
合と同様、シャフト3のBJ側端部の外周面に形成され
たセレーションと内輪の内径面に形成されたセレーショ
ンとの位相を合わせた状態でシャフト3のBJ側端部に
嵌合される。最後にトリポードキット6が装着されたシ
ャフト3のTJ側端部にトリポードキット6の抜け止め
用のスナップリング9を装着する。なお、この前組立ラ
インでの一連の部品のシャフト3に対する組み付け順序
について、図3に示すものは一例であり、ドライブシャ
フトを構成する部品の種類によっては前後逆転するよう
な組み付け順序とすることも可能である。
【0028】次に、図2に示すように後組立ラインの作
業エリア32の周囲箇所には、ドライブシャフトの構成
部品、つまり、TJ外輪、BJ大バンド、TJ大バンド
を供給するためのホッパー等の供給部33〜35が配設
されている。さらに、前記多関節ロボットR6〜R10
のアーム先端部21の移動範囲内において、隣接する多
関節ロボットのアーム先端部の移動範囲と重複する部位
に、部品または組立品を載置して多関節ロボットR6〜
R10による作業を実行するためのステーションS5〜
S8(作業台)が配置されている。これらステーション
S5〜S8には、前述した前組立ラインと同様、部品ま
たは組立品を垂直状態あるいは水平状態で支持するため
の支持治具や各種の検査装置などが設置されている。な
お、ステーションS5には前組立ラインからの移送装置
20が付設されている。また、ステーションS8につい
ては多関節ロボットR10のみのアーム移動範囲内であ
るが、後組立ラインでの組立を完了したドライブシャフ
トが定配される。
【0029】この後組立ラインでは、図4に示すように
前組立ラインで組み立てられた組立品に対して、まず、
TJ外輪10をシャフト3のTJ側端部に組み付ける。
つまり、シャフト3のTJ側端部に装着されたトリポー
ドキット6が前記TJ外輪10内に収容されるようにT
J外輪10を定配する。このTJ外輪10およびTJブ
ーツ4間、BJアッセンブリ8およびBJブーツ1間の
それぞれにグリースを封入する。このグリースの封入
後、BJブーツ1およびTJブーツ4の大径端部(継手
側端部)をTJ外輪10およびBJアッセンブリ8に被
せ、BJ大バンド11およびTJ大バンド12を挿入し
てBJブーツ1およびTJブーツ4の大径端部にそれぞ
れ定配し、その後、仮加締めおよび本加締めにより締め
付け固定する。なお、前述したBJ小バンド2、BJ大
バンド11およびTJ大バンド12は、加締めにより塑
性変形で締め付け可能なものが使用され、TJ小バンド
5は、ワンタッチ式で締め付け可能なものを使用されて
いる。これら二種類のブーツバンドは、その取り付け箇
所などの諸条件に応じて適宜変更して選択使用すること
が可能である。
【0030】これら前組立ラインおよび後組立ラインに
おける各工程の多関節ロボットR1〜R5,R6〜R1
0は、次工程における多関節ロボットの作業開始に合致
した姿勢に部品または組立品を保持した状態のままでス
テーションに載置する。なお、必ずしもすべてのステー
ションを設置する必要はなく、部品または組立品の受け
渡しは、多関節ロボットがアーム先端部のハンドリング
ツールを利用して直接的に行うことも可能である。
【0031】また、多関節ロボットR1〜R5,R6〜
R10は、ドライブシャフトへのBJとTJの組立につ
いて共通した作業を実行することも可能である。また、
前記ドライブシャフトへのBJとTJの組立を前後二つ
の組立ラインに分けているが、これ以外にBJまたはT
Jのいずれか一方の組立をオフラインにより行うことも
できる。さらに、多関節ロボットR1〜R5,R6〜R
10は、前工程からの部品または組立品の供給停止、あ
るいは前工程での多関節ロボットの異常のいずれかが発
生した時、他の多関節ロボットの作業動作を阻害しない
位置で工程待ちとして停止し、部品または組立品の供給
再開、あるいは多関節ロボットの正常復帰により稼動再
開させることができる。この多関節ロボットの異常など
の検出は、その多関節ロボットに設けられたセンサ、次
工程の多関節ロボットに設けられたセンサ、あるいはそ
れら多関節ロボットを監視する画像処理装置などにより
行われる。これらセンサは、多関節ロボット以外にも、
例えばハンドリングツール、ステーション、部品の供給
部などに設けることも可能であり、その使用目的として
も、異常検出のみでなく、部品または組立品の有無や個
数を検出することにも使用できる。
【0032】これら前組立ラインおよび後組立ラインで
は、図5、図6に示すようにシーケンサ36,37によ
り周辺機器(多関節ロボットR1〜R5,R6〜R1
0、部品の供給部23〜31,33〜35、固定表示器
38,39、ハンディ表示器40,41、画像処理装置
42〜43,44〜45)からの情報および前記周辺機
器への情報に基づいて、多関節ロボットR1〜R5,R
6〜R10を用いた各工程での作業、各種の部品および
BJアッセンブリの供給、画像処理装置42〜43,4
4〜45による部品などの有無検出などを実行する。ま
た、前組立ラインと後組立ラインにおけるドライブシャ
フトの構成部品の組立流れは図7、図8のようになって
おり、前組立ラインおよび後組立ラインに設置された多
関節ロボットR1〜R5,R6〜R10の作業動作手順
は図9乃至図18に示すとおりである。以下、前組立ラ
イン(図5、図7、図9乃至図13参照)と後組立ライ
ン(図6、図8、図14乃至図18参照)に分けて説明
する。[前組立ライン]図1に示す実施形態の前組立ラ
インにおいて、図5に示すシーケンサ36は、固定表示
器38およびハンディ表示器40、各種部品の供給部2
3〜31、画像処理装置42,43、多関節ロボットR
1〜R5およびステーションS1〜S4のそれぞれとの
間で、以下のような情報の送受信が実行される。
【0033】固定表示器38およびハンディ表示器40
については、動作状況・異常情報の表示指令と、その表
示指令に基づくライン動作指示・手動操作の情報、ワー
ク有無・エラー情報との送受信が実行される。シャフト
3の供給部27、BJブーツ1およびTJブーツ4の供
給部23,24、BJアッセンブリ8の供給部30、ス
ナップリング9の供給部31、トリポードキット6(以
下、単にトリポードと称す)の供給部29、BJ小バン
ド2およびTJ小バンド5の供給部25,26、小丸ク
リップ7の供給部28については、動作指令とその動作
指令に基づくワーク有無・エラー情報の送受信が実行さ
れる。TJ小バンド供給用カメラ46、BJ小バンド供
給用カメラ47、BJアッセンブリ供給用カメラ48、
TJブーツ位相検出用カメラ49を有する画像処理装置
42と、BJブーツ供給用カメラ50、TJブーツ供給
用カメラ51、トリポード供給用カメラ52を有する画
像処理装置43については、動作指令とその動作指令に
基づくワーク有無・エラー情報の送受信が実行される。
5台の多関節ロボットR1〜R5については、動作指令
・データ・段取り情報とそれらの情報に基づく動作完了
・データ・エラー情報の送受信が実行される。ブーツ挿
入・小バンド加締めステーションS1、シャフトセレー
ション検出・トリポード嵌合ステーションS2、プレス
ステーションS3、排出・スナップリング組み付けステ
ーションS4については、動作指令とその動作指令に基
づくワーク有無・エラー情報の送受信が実行される。
【0034】図1に示す実施形態の前組立ラインにおい
て、図7に示す部品の組立流れおよび図9乃至図13に
示す多関節ロボットR1〜R5の動作を参照しながら多
関節ロボットR1〜R5を中心に詳述する。
【0035】まず、多関節ロボットR1は、図7および
図9に示すようにブーツ把持用のハンドリングツールを
装着するために、そのアーム先端部21が、多関節ロボ
ットR1の移動範囲内に配置された前記ハンドリングツ
ールへ移動してそのハンドリングツールを装着する。こ
の時、アーム先端部21とハンドリングツールとの電気
的な接点でもってハンドリングツールの装着の有無が検
出可能となる。なお、このハンドリングツール装着の有
無検出は、以下に述べる全てのハンドリングツールにお
いても同様である。また、BJブーツ1の供給部23に
おける供給装置(ホッパー)を回転させた上で、画像処
理装置43のBJブーツ供給用カメラ50により供給装
置内でのBJブーツ1の有無および姿勢を非接触で検出
する。BJブーツ1の取り出しが可能であり、かつ、ス
テーションS1上へのBJブーツ1の定配が可能である
ことを確認した上でアーム先端部21をBJブーツ1の
供給部23へ移動させ、ハンドリングツールでもってB
Jブーツ1を供給装置から取り出し、そのBJブーツ1
をステーションS1上に所定の姿勢、つまり、小径端部
であるシャフト側端部を上にした姿勢で定配する。
【0036】同様に、TJブーツ4の供給部24におけ
る供給装置(ホッパー)を回転させた上で画像処理装置
43のTJブーツ供給用カメラ51により供給装置内で
のTJブーツ4の有無および姿勢を非接触で検出する。
TJブーツ4の取り出しが可能であり、かつ、ステーシ
ョンS1上へのTJブーツ4の定配が可能であることを
確認した上でアーム先端部21をTJブーツ4の供給部
24へ移動させ、ハンドリングツールでもってTJブー
ツ4を供給装置から取り出し、そのTJブーツ4をステ
ーションS1上に所定の姿勢、つまり、小径端部である
シャフト側端部を上にした姿勢で定配する。
【0037】ここで、TJブーツ4は、その大径端部が
装着されるTJ外輪10がトリポード形状により断面花
形の形状を有するためにその断面形状に合わせて位相を
検出する必要がある。従って、多関節ロボットR1によ
りTJブーツ4をブーツ位相検出位置へ移送し、画像処
理装置42のTJブーツ位相検出用カメラ49によりT
Jブーツ4の位相を非接触で検出し、その検出信号に基
づいてアーム先端部21を軸中心に回転させることによ
りTJブーツ4の位相を調整する。なお、TJ外輪10
の断面形状が真円形状であれば、前述した位相検出を実
行する必要はない。
【0038】BJ小バンド2に関する作業準備ができた
時点で、多関節ロボットR1は、ステーションS1での
作業において次の多関節ロボットR2によるシャフト3
の挿入待ち状態となる。この時、多関節ロボットR1
は、多関節ロボットR2の作業動作を阻害しないような
位置で待機することになる。
【0039】この多関節ロボットR1の待機中、多関節
ロボットR2は、図7および図10に示すようにシャフ
ト把持用のハンドリングツールを装着するために、その
アーム先端部21が、多関節ロボットR2の移動範囲内
に配置された前記ハンドリングツールへ移動してそのハ
ンドリングツールを装着する。また、シャフト3の供給
部27におけるシャフト3の供給状況を検出し、シャフ
ト3の取り出しが可能であることを確認した上でアーム
先端部21をシャフト3の供給部27へ移動させ、ハン
ドリングツールでもってシャフト3を供給装置から取り
出す。なお、この多関節ロボットR2の作業が完了して
おれば、多関節ロボットR1は待機することなく、後述
する次の作業を連続的に続行することになる。
【0040】多関節ロボットR2は、供給装置から取り
出されたシャフト3を、ステーションS1に配置された
シャフト検査装置へ移送し、その検査装置によりシャフ
ト3の長さおよび把持方向、TJ側セレーションの位相
を非接触で検出する。この検査後、シャフト挿入準備が
できた状態であるか否か、つまり、ステーションS1上
に定配されたBJブーツ1にBJ小バンド2が組み付け
られているか否かを判断する。このBJ小バンド2の組
み付けは多関節ロボットR3により実行されるため、B
Jブーツ1にBJ小バンド2が組み付けられていなけれ
ば、多関節ロボットR2は、ステーションS1での作業
において次の多関節ロボットR3によるBJ小バンド2
の組付待ち状態となる。この時、多関節ロボットR2
は、多関節ロボットR3の作業動作を阻害しないような
位置で待機することになる。
【0041】この多関節ロボットR2の待機中、多関節
ロボットR3は、図7および図11に示すようにBJ小
バンド把持用のハンドリングツールを装着するために、
そのアーム先端部21が、多関節ロボットR3の移動範
囲内に配置された前記ハンドリングツールへ移動してそ
のハンドリングツールを装着する。また、加締めタイプ
のBJ小バンド2の供給部25における供給装置を回転
させた上で画像処理装置42のBJ小バンド供給用カメ
ラ47により供給装置内でのBJ小バンド2の有無およ
び姿勢を非接触で検出する。BJ小バンド2の取り出し
が可能であり、かつ、BJ小バンド2の定配が可能であ
ることを確認した上でアーム先端部21をBJ小バンド
2の供給部25へ移動させ、ハンドリングツールでもっ
てBJ小バンド2を供給装置から取り出す。この時、ハ
ンドリングツールでは、BJ小バンド2の内径側をチャ
ックする状態で把持する。ここで、BJ小バンド2の取
り出し後、加締め部分による位相と表裏いずれの状態に
あるかを検出する必要があるため、多関節ロボットR3
によりBJ小バンド2を位相・表裏検査位置に移送し、
画像処理装置42によりBJ小バンド2の位相・表裏を
非接触で検出する。
【0042】また、この多関節ロボットR3では、ワン
タッチ式のTJ小バンド5の供給部26における供給装
置を回転させた上で画像処理装置42のTJ小バンド供
給用カメラ46により供給装置内でのTJ小バンド5の
有無および姿勢を検出する。TJ小バンド5の取り出し
が可能であり、かつ、TJ小バンド5の定配が可能であ
ることを確認した上でアーム先端部21をTJ小バンド
5の供給部26へ移動させ、ハンドリングツールでもっ
てTJ小バンド5を供給装置から取り出す。この時、ハ
ンドリングツールでは、TJ小バンド5の内径側をチャ
ックする状態で把持する。ここで、前述したBJ小バン
ド2の場合と同様、TJ小バンド5の取り出し後、仮加
締め部分(レバー部)および本加締め部分(爪部)によ
る位相と表裏いずれの状態にあるかを検出する必要があ
るため、多関節ロボットR3によりTJ小バンド5を拡
径させながら位相・表裏検出位置へ移送し、画像処理装
置42によりTJ小バンド5の位相・表裏を非接触で検
出する。
【0043】その後、多関節ロボットR3は、BJ小バ
ンド2の取り出しが可能であるか否かを判断し、そのB
J小バンド2が取り出し不可であれば、BJ小バンド2
の位相・表裏検査における画像処理待ちとなる。このB
J小バンド2の取り出しが可能であれば、そのBJ小バ
ンド2の定配が可能であることを確認した上で、多関節
ロボットR3によりBJ小バンド2を内径チャックで把
持した状態で移送し、多関節ロボットR3の移動範囲内
に配置された仮置き台に定配する。
【0044】この時点で、多関節ロボットR3はハンド
リングツールを交換する。つまり、BJ小バンド2の内
径チャック把持用のハンドリングツールを、BJブーツ
1への装着を可能にするため、BJ小バンド2の外径チ
ャック把持用のハンドリングツールに交換する。このツ
ール交換は、内径チャック用ハンドリングツールを元の
箇所に返却した上で、多関節ロボットR3の移動範囲内
に配置された外径チャック用ハンドリングツールをアー
ム先端部21が受け取りに行くことにより実現される。
なお、他の種類のハンドリングツールについても、その
交換時は、前述の場合と同様、不要なハンドリングツー
ルを元の箇所に返却した上で、多関節ロボットの移動範
囲内に配置された必要なハンドリングツールをアーム先
端部21が受け取りに行くことになる。
【0045】この多関節ロボットR3によるBJ小バン
ド2の組み付け準備ができた時点で、多関節ロボットR
3によりBJ小バンド2を外径チャックで把持した状態
でステーションS1へ移送し、そのステーションS1上
に定配されたBJブーツ1の小径端部に前記BJ小バン
ド2を定配する。このBJ小バンド2の定配は、外部ア
クチュエータによりBJ小バンド2を保持した状態で行
われる。なお、BJ小バンド2の組み付け準備ができて
いなければ、多関節ロボットR2によるBJブーツ1の
定配待ちとなる。この時、多関節ロボットR3は、多関
節ロボットR2の作業動作を阻害しないような位置で待
機することになる。この時点で、多関節ロボットR3は
ハンドリングツールを交換する。つまり、BJ小バンド
2の外径チャック把持用のハンドリングツールを、TJ
小バンド5の外径チャック把持用のハンドリングツール
に交換する。
【0046】その後、多関節ロボットR3は、TJ小バ
ンド5の取り出しが可能であるか否かを判断し、そのT
J小バンド5が取り出し不可であれば、TJ小バンド5
の位相・表裏検査における画像処理待ちとなる。このT
J小バンド5の取り出しが可能であれば、多関節ロボッ
トR3によるTJ小バンド5の組み付け準備ができた時
点で、多関節ロボットR3によりTJ小バンド5を外径
チャックで把持した状態でステーションS1へ移送し、
そのステーションS1上に定配されたTJブーツ4の小
径端部に前記TJ小バンド5を定配して仮加締めする。
このTJ小バンド5の仮加締めは、ステーションS1に
設置された加締め用治具によりそのTJ小バンド5のレ
バー部が折り曲げられ、外部アクチュエータによりTJ
小バンド5を補助した状態で行われる。なお、TJ小バ
ンド5の組み付け準備ができていなければ、多関節ロボ
ットR2によるTJブーツ4の定配待ちとなる。この
時、多関節ロボットR3は、多関節ロボットR2の作業
動作を阻害しないような位置で待機することになる。
【0047】このTJ小バンド5の組み付け後、多関節
ロボットR3は、BJ小バンド2の内径チャック用ハン
ドリングツールへ交換するために初期状態に復帰して待
機する。この状況では、ステーションS1上にBJブー
ツ1およびTJブーツ4が定配され、それぞれの小径端
部(シャフト側端部)にBJ小バンド2およびTJッ小
バンド5が定配された状態にある。
【0048】一方、前述したようにシャフト3の挿入準
備ができた状態にある多関節ロボットR2は、多関節ロ
ボットR3によるBJ小バンド2の組み付けが完了した
時点で、図7および図10に示すようにステーションS
1上に定配されたBJブーツ1にシャフト3を挿入す
る。また、前述したようにBJ小バンド2の加締め準備
ができた状態にある多関節ロボットR1は、多関節ロボ
ットR2によるシャフト3の挿入が完了した時点で、図
7および図9に示すようにBJ小バンド2を加締める。
【0049】多関節ロボットR2は、BJブーツ1を装
着したシャフト3をハンドリングツールで把持した状態
で上下反転し、シャフト3の挿入準備ができた時点で、
ステーションS1上に定配されたTJブーツ4にシャフ
ト3を挿入する。この時、シャフト3の挿入準備ができ
ていなければ、多関節ロボットR3によるステーション
S1でのTJ小バンド5の組み付け待ちとなる。この
時、多関節ロボットR2は、多関節ロボットR3の作業
動作を阻害しないような位置で待機することになる。
【0050】その後、多関節ロボットR1は、BJ小バ
ンド2の加締め用ハンドリングツールからTJ小バンド
5の加締め用ハンドリングツールへ交換した上でTJ小
バンド5の本加締め準備ができたか否かを判断する。こ
のTJ小バンド5の本加締め準備ができていなければ、
ステーションS1でのTJ小バンド5の本加締め補助待
ち状態となる。そのTJ小バンド5の本加締め準備がで
きた時点でTJ小バンド5を本加締めする。このTJ小
バンド5の本加締めは、前記加締め用ハンドリングツー
ルにより爪部を加締めることにより行われる。なお、T
J小バンド5の本加締めを完了した多関節ロボットR1
は、ブーツ把持用のハンドリングツールへ交換するため
に初期状態に復帰して待機する。
【0051】一方、多関節ロボットR2は、ステーショ
ンS2での作業準備ができているかを判断し、その準備
ができていなければ、後述する多関節ロボットR5によ
るステーションS2からステーションS3への組立品
(ワーク)搬送待ちとなる。つまり、ステーションS2
にて多関節ロボットR5によりトリポード6および小丸
クリップ7をシャフト3に装着する作業が完了し、その
作業済みの組立品がステーションS3へ搬送された後で
ステーションS2には組立品が存在しない状況が作業準
備ができた状態である。前記ステーションS2での作業
準備ができた時点で、多関節ロボットR2は、BJブー
ツ1およびTJブーツ4を装着したシャフト3(組立
品)をステーションS2へ移送して定配する。その後、
多関節ロボットR2は初期状態に復帰して待機する。
【0052】次に、多関節ロボットR4は、図7および
図12に示すようにシャフト把持用のハンドリングツー
ルを装着するために、そのアーム先端部21が、多関節
ロボットR4の移動範囲内に配置された前記ハンドリン
グツールへ移動してそのハンドリングツールを装着す
る。また、ステーションS2からの組立品の取り出しが
可能であることを確認した上でアーム先端部21をステ
ーションS2へ移動させ、ハンドリングツールでもって
組立品をステーションS2から取り出す。なお、ステー
ションS2からの組立品の取り出しが不可であれば、多
関節ロボットR2による組立品の定配待ちとなる。この
時、多関節ロボットR4は、多関節ロボットR2の作業
動作を阻害しないような位置で待機することになる。
【0053】再度、ステーションS2への組立品の定配
が可能であることを確認した上で、多関節ロボットR4
は、前記組立品を、ステーションS2に配置されたシャ
フトセレーション用の位相検査装置へ移送し、その位相
検査装置によりシャフト3のTJ側端部の外周面に形成
されたセレーションの位相を非接触で検出する。この検
査後、多関節ロボットR4はその組立品を上下反転させ
ながらステーションS2へ移送し、そのステーションS
2上で固定治具により垂直状態で固定する。
【0054】その後、BJアッセンブリ8の供給部30
における供給装置を回転させた上で画像処理装置42の
BJアッセンブリ供給用カメラ48により供給装置内で
のBJアッセンブリ8の有無および姿勢を非接触で検出
する。BJアッセンブリ8が取り出し可能であることを
確認した上でアーム先端部21をBJアッセンブリ8の
供給部30へ移動させ、ハンドリングツールでもってB
Jアッセンブリ8を供給装置から取り出す。
【0055】このBJアッセンブリ8の取り出し後、ス
テーションS2に設置された姿勢矯正装置まで移送し、
その姿勢矯正装置によりBJアッセンブリ8の内輪の姿
勢を矯正する。さらに、ステーションS2に設置された
ボール検査装置まで移送し、そのボール検査装置により
BJアッセンブリ8のボールを検査する。このボール検
査は、透過型または反射型光電センサにより非接触でも
ってケージのボールポケット内のボールの有無を検査す
るものである。この検査によりボールが正常でなけれ
ば、そのBJアッセンブリ8を不良品として排出する。
【0056】前記検査によりボールが正常であれば、ス
テーションS2に配置されたセレーション位相検査装置
へ移送し、その位相検査装置によりBJアッセンブリ8
の内輪の内径に形成されたセレーションの位相を非接触
で検出する。この位相検出後、BJアッセンブリ8を、
ステーションS2に設置されたグリース供給装置へ移送
し、そのグリース供給装置によりグリースを封入する。
そして、BJアッセンブリ8をステーションS2に定配
可能であることを確認した上で、多関節ロボットR4は
BJアッセンブリ8をステーションS2に定配し、さら
に、そのBJアッセンブリ8の把持状態が上下反転する
ように持ち替える。その持ち替えられたBJアッセンブ
リ8を移送してステーションS3に定配する。このステ
ーションS3にはプレス加工用のシャフト圧入機が設置
されている。この時点で、多関節ロボットR4は、前述
した多関節ロボットR3と同様の動作でもって、BJア
ッセンブリ把持用のハンドリングツールからスナップリ
ング把持用のハンドリングツールへ交換する。
【0057】多関節ロボットR4は、スナップリング9
が取り出し可能であることを確認した上でアーム先端部
21をそのスナップリング9の供給部31へ移動させ、
ハンドリングツールでもってBJアッセンブリ8を供給
装置から取り出す。なお、スナップリング9が取り出し
不可であれば、スナップリング9の供給待ちとなる。こ
の多関節ロボットR4がスナップリング9の供給装置か
らそのスナップリング9を取り出し、スナップリング9
の一個取りを確認した上でそのスナップリング9が組み
付け可能であるか否かを判断する。このスナップリング
9が組み付け不可であれば、多関節ロボットR5による
ステーションS3でのシャフト3のプレス完了待ちとな
る。この時、多関節ロボットR4は、多関節ロボットR
5の作業動作を阻害しないような位置で待機することに
なる。なお、この多関節ロボットR5の作業が完了して
おれば、多関節ロボットR4は待機することなく、後述
する次の作業を連続的に続行することになる。
【0058】一方、多関節ロボットR5は、図7および
図13に示すようにトリポード把持用のハンドリングツ
ールを装着するために、そのアーム先端部21が、多関
節ロボットR5の移動範囲内に配置された前記ハンドリ
ングツールへ移動してそのハンドリングツールを装着す
る。また、トリポード6の供給部29における供給装置
を回転させた上で画像処理装置43のトリポード供給用
カメラ52により供給装置内でのトリポード6の有無お
よび姿勢を非接触で検出する。トリポード6の取り出し
が可能であり、かつ、トリポード6の定配が可能である
ことを確認した上でアーム先端部21をトリポード6の
供給部29へ移動させ、ハンドリングツールでもってト
リポード6を供給装置から取り出す。この時、ハンドリ
ングツールでは、トリポード6の内径側をチャックする
状態で把持する。
【0059】ここで、前記供給装置からの取り出し後、
トリポード6を、ステーションS2に配置された置き台
に定配してトリポード部材の脚軸位置を定めた上でハン
ドリングツールにより把持し直して取り出し、その位相
と表裏いずれの状態にあるかを非接触で検出する。多関
節ロボットR5は、トリポード6を、ステーションS2
に配置されたセレーション位相検査装置へ移送し、その
位相検査装置によりトリポード6の内径に形成されたセ
レーションの位相を非接触で検出する。このセレーショ
ン検出後、トリポード6の表裏をセンサにより検出し、
そのトリポード6が表向きでなければ、トリポード6を
表裏反転させた上で再度セレーションの位相を検出す
る。その後、シャフト3の準備ができた時点で、トリポ
ード6を、ステーションS2上に定配されたシャフト3
に嵌合させる。なお、前記シャフト3の準備ができてい
なければ、多関節ロボットR2によるステーションS2
でのシャフト待ちとなる。
【0060】多関節ロボットR5によりトリポード6を
シャフト3に嵌合させた上で、その多関節ロボットR5
について、トリポード6を内径チャックで把持するハン
ドリングツールを、シャフト把持用のハンドリングツー
ルに交換する。その上で、トリポード6を嵌合させたシ
ャフト3を、ステーションS2に配置されたシャフトセ
レーション用の位相検出装置へ移送し、その位相検査装
置によりシャフト3のBJ側端部の外周面に形成された
セレーションの位相を非接触で検出する。
【0061】この位相検出後、小丸クリップ7の準備が
でき、かつ、シャフト3にその小丸クリップ7が組み付
けられていないことを確認した上で、多関節ロボットR
5を小丸クリップ7の供給部28へ移送し、その小丸ク
リップ7の供給装置にてシャフト3のBJ側端部に小丸
クリップ7を挿入して組み付ける。なお、小丸クリップ
7の供給部28で小丸クリップ7が準備できていなけれ
ば、その供給装置により一個の小丸クリップ7の定配待
ちとなる。
【0062】この小丸クリップ7の組み付け後、多関節
ロボットR5によりシャフト3をステーションS2へ移
送し、そのステーションS2に配置された小丸クリップ
7の検査装置で、シャフト3に組み付けられた小丸クリ
ップ7の有無を検出し、小丸クリップ7の組み付けが完
了しておれば、そのシャフト3を多関節ロボットR5に
よりステーションS3へ移送して定配し、そのステーシ
ョンS3に予め定配されたBJアッセンブリ8とセレー
ション嵌合させる。つまり、多関節ロボットR5により
把持されたシャフト3のBJ側端部をBJアッセンブリ
8の内輪にセレーションの位相を合わせた状態で嵌合さ
せる。
【0063】その上で、ステーションS3に設置された
シャフト圧入機によるプレス加工でもってトリポード6
およびBJアッセンブリ8にシャフト3を圧入する。こ
のプレス後、多関節ロボットR5によりシャフト把持用
のハンドリングツールでもってBJブーツ1をBJアッ
センブリ8に装着する。つまり、BJブーツ1の大径側
端部をBJアッセンブリ8の外輪に被せる。このBJブ
ーツ1の装着後、多関節ロボットR5は、シャフト把持
用のハンドリングツールをトリポード把持用のハンドリ
ングツールへ交換した上で初期状態に復帰して待機す
る。
【0064】多関節ロボットR5により前記ステーショ
ンS3にてトリポード6およびBJアッセンブリ8への
シャフト3のプレスが完了すれば、多関節ロボットR4
は、図7および図12に示すようにトリポード6が組み
付けられたシャフト3のTJ側端部に、供給装置から取
り出したスナップリング9を組み付ける。このスナップ
リング9の組み付け後、多関節ロボットR4は、スナッ
プリング把持用のハンドリングツールからBJアッセン
ブリ把持用のハンドリングツールへ交換する。そして、
プレス完了してスナップリング9を組み付けたシャフト
3を、多関節ロボットR4によりBJアッセンブリ8を
把持した状態でステーションS4へ移送して排出する。
このステーションS4では、ステーションS4に設置さ
れたスナップリング圧入装置および検査装置により、シ
ャフト3のTJ側端部に組み付けられたスナップリング
9を圧入すると共にその状態を検査し、その後、移送装
置20により前組立完了品を後組立ラインへ搬送する。
[後組立ライン]図2に示す実施形態の後組立ラインに
おいて、図6に示すシーケンサ37は、固定表示器39
およびハンディ表示器41、各種部品の供給部33〜3
5、画像処理装置44,45、多関節ロボットR6〜R
10およびステーションS5〜S8のそれぞれとの間
で、以下のような情報の送受信が実行される。
【0065】固定表示器39およびハンディ表示器41
については、動作状況・異常情報の表示指令と、その表
示指令に基づくライン動作指示・手動操作の情報、ワー
ク有無・エラー情報との送受信が実行される。TJ外輪
10の供給部33、BJ大バンド11およびTJ大バン
ド12の供給部34,35については、動作指令とその
動作指令に基づくワーク有無・エラー情報の送受信が実
行される。TJ大バンド供給用カメラ53,54(1個
取り用と位相検出用)を有する画像処理装置44と、B
J大バンド供給用カメラ55,56(1個取り用と位相
検出用)およびTJ外輪供給用カメラ57を有する画像
処理装置45については、動作指令とその動作指令に基
づくワーク有無・エラー情報の送受信が実行される。5
台の多関節ロボットR6〜R10については、動作指令
・データ・段取り情報とそれらの情報に基づく動作完了
・データ・エラー情報の送受信が実行される。引き抜き
検査ステーションS5、BJ側組立ステーションS6、
TJ側組立ステーションS7、排出ステーションS8に
ついては、動作指令とその動作指令に基づくワーク有無
・エラー情報の送受信が実行される。
【0066】図2に示す実施形態の後組立ラインにおい
て、図8に示す部品の組立流れおよび図14乃至図18
に示す多関節ロボットR6〜R10の動作を参照しなが
ら多関節ロボットR6〜R10を中心に詳述する。
【0067】まず、多関節ロボットR6は、図8および
図14に示すようにシャフト把持用のハンドリングツー
ルを装着するために、そのアーム先端部21が、多関節
ロボットR6の移動範囲内に配置された前記ハンドリン
グツールへ移動してそのハンドリングツールを装着す
る。また、シャフト3の取り出しが可能であり、かつ、
ステーションS5上へのシャフト3の定配が可能である
ことを確認した上でアーム先端部21を前組立ラインか
らの移送装置20の排出端へ移動させ、ハンドリングツ
ールでもって前組立完了品(シャフト3)を前記移送装
置20の排出端から取り出し、そのシャフト3をステー
ションS5上に所定の姿勢で定配する。このステーショ
ンS5には、シャフト3を水平状態で支持するワーク支
持治具が設置されている。なお、シャフト3の取り出し
不可であれば、前組立ラインからの組立品の搬送待ちと
なる。
【0068】ここで、多関節ロボットR6は、シャフト
把持用のハンドリングツールをブーツ把持用のハンドリ
ングツールに交換する。ステーションS5では、そのブ
ーツ把持用のハンドリングツールによりTJブーツ4と
BJブーツ1を中央に寄せ、その状態で、ステーション
S5に付設された検査装置により引き抜き検査が実行さ
れる。さらに、前記ハンドリングツールによりBJブー
ツ1を傾け保持し、ステーションS5に付設されたグリ
ース供給装置によりBJブーツ1内にグリースを封入す
る。このグリースの封入後、BJブーツ1をBJアッセ
ンブリ8に装着する。つまり、BJブーツ1の大径側端
部をBJアッセンブリ8のBJ外輪に被せる。多関節ロ
ボットR6は、前記BJブーツ1の装着後、ブーツ把持
用のハンドリングツールをシャフト把持用のハンドリン
グツールに交換した上で、初期状態に復帰して待機す
る。
【0069】多関節ロボットR7は、図8および図15
に示すようにBJ大バンド把持用のハンドリングツール
を装着するために、そのアーム先端部21が、多関節ロ
ボットR7の移動範囲内に配置された前記ハンドリング
ツールへ移動してそのハンドリングツールを装着する。
この時、ハンドリングツールでは、BJ大バンド11の
内径側をチャックする状態で把持する。また、BJ大バ
ンド11の供給部34における供給装置を回転させた上
で画像処理装置45のBJ大バンド供給用カメラ55,
56により供給装置内でのBJ大バンド11の有無およ
び姿勢を検出する。BJ大バンド11の取り出しが可能
であり、かつ、BJ大バンド11の定配が可能であるこ
とを確認した上でアーム先端部21をBJ大バンド11
の供給部34へ移動させ、ハンドリングツールでもって
BJ大バンド11を供給装置から取り出す。
【0070】このBJ大バンド11の取り出し後、加締
め部分による位相と表裏いずれの状態にあるかを検出す
る必要があるため、BJ大バンド11を位相・表裏検出
位置へ移送し、画像処理装置45によりBJ大バンド1
1の位相・表裏を非接触で検査する。このBJ大バンド
11の位相・表裏の検査後、多関節ロボットR7により
BJ大バンド11をステーションS6の受け渡し位置に
定配する。
【0071】ここで、多関節ロボットR8は、図8およ
び図16に示すようにシャフト把持用のハンドリングツ
ールを装着するために、そのアーム先端部21が、多関
節ロボットR8の移動範囲内に配置された前記ハンドリ
ングツールへ移動してそのハンドリングツールを装着す
る。そして、シャフト3の取り出しが可能であることを
確認した上で、シャフト3をステーションS5からステ
ーションS6へ移送する。ステーションS6には、シャ
フト3を水平状態で支持するワーク支持治具が設置され
ている。この移送後、多関節ロボットR8は、シャフト
把持用のハンドリングツールをBJ大バンド把持用のハ
ンドリングツールに交換する。このハンドリングツール
は、BJ大バンド11の外径側をチャックする状態で把
持するものである。そして、BJ大バンド11の取り出
しが可能であることを確認した上で、多関節ロボットR
8により、前記ステーションS6の受け渡し位置に定配
されたBJ大バンド11を、ステーションS6の支持治
具上に水平保持された組立品のBJブーツ1に組み付け
る。
【0072】一方、多関節ロボットR7は、図8および
図15に示すようにBJ大バンド用のハンドリングツー
ルをBJ大バンド加締め用のハンドリングツールに交換
する。このハンドリングツールでもってステーションS
6に定配されたBJ大バンド11を加締めことにより、
BJブーツ1の大径側端部をBJアッセンブリ8のBJ
外輪に締め付け固定する。多関節ロボットR7は、前記
BJ大バンド11の装着後、ハンドリングツールをBJ
大バンド加締め用からBJ大バンド把持用へ交換した上
で、初期状態に復帰して待機する。
【0073】これに対して、多関節ロボットR8は、図
8および図16に示すように前述したBJ大バンド11
の組み付け動作後、BJ大バンド把持用のハンドリング
ツールをシャフト把持用のハンドリングツールに交換す
る。また、TJ外輪10の供給部33における供給装置
を回転させた上で画像処理装置45のTJ外輪供給用カ
メラ57により供給装置内でのTJ外輪10の有無およ
び姿勢を非接触で検出する。TJ外輪10の取り出しが
可能であり、かつ、TJ外輪10の定配が可能であるこ
とを確認した上でアーム先端部21をTJ外輪10の供
給部33へ移動させ、ハンドリングツールでもってTJ
外輪10を供給装置から取り出す。
【0074】ここで、TJ外輪10はトリポード形状に
より断面花形の形状を有するためにその断面形状に合わ
せて位相を検出する必要がある。多関節ロボットR8
は、供給装置から取り出したTJ外輪10を位相検出位
置へ移送してTJ外輪10の位相を非接触で検出し、そ
の検出信号に基づいてアーム先端部21を軸中心に回転
させることによりTJ外輪10の位相を調整する。この
位相検出後、TJ外輪10の内部にグリースを封入した
上で、TJ外輪10を仮置き台に定配する。その後、多
関節ロボットR8は初期状態に復帰して待機する。
【0075】多関節ロボットR9は、図8および図17
に示すようにシャフト把持用のハンドリングツールを装
着するために、そのアーム先端部21が、多関節ロボッ
トR9の移動範囲内に配置された前記ハンドリングツー
ルへ移動してそのハンドリングツールを装着する。ま
た、シャフト3の取り出しが可能であり、かつ、ステー
ションS7上へのシャフト3の定配が可能であることを
確認した上で、ステーションS6に定配されていたシャ
フト3をステーションS7に移送して定配する。このス
テーションS7には、シャフト3を水平状態で支持する
ワーク支持治具が設置されている。なお、シャフト3の
取り出し不可であれば、前組立ラインにおける多関節ロ
ボットR2によるシャフト3の定配待ちとなる。
【0076】その後、TJ外輪10の取り出しが可能で
あることを確認した上で、多関節ロボットR9により仮
置き台に定配されていたTJ外輪10をステーションS
7へ移送し、そのステーションS7にてハンドリングツ
ールによりTJ外輪10をシャフト3に組み付ける。つ
まり、シャフト3のTJ側端部に装着されたトリポード
6に位相を合わせた状態でTJ外輪10を被せるように
装着する。
【0077】多関節ロボットR9は、シャフト把持用の
ハンドリングツールをTJ大バンド把持用のハンドリン
グツールに交換する。その上で、TJ大バンド12の供
給部35における供給装置を回転させた上で画像処理装
置44のTJ大バンド供給用カメラ53,54により供
給装置内でのTJ大バンド12の有無および姿勢を非接
触で検出する。TJ大バンド12の取り出しが可能であ
り、かつ、TJ大バンド12の定配が可能であることを
確認した上でアーム先端部21をTJ大バンド12の供
給部35へ移動させ、ハンドリングツールでもってTJ
大バンド12を供給装置から取り出す。この時、ハンド
リングツールでは、TJ大バンド12の内径側をチャッ
クする状態で把持する。ここで、TJ大バンド12の取
り出し後、仮加締め部分(レバー部)および本加締め部
分(爪部)による位相と表裏いずれの状態にあるかを検
出する必要があるため、多関節ロボットR9によりTJ
大バンド12を拡径させながら位相・表裏検出位置へ移
送し、画像処理装置44によりTJ大バンド12の位相
・表裏を非接触で検査する。このTJ大バンド12の位
相・表裏検出後、多関節ロボットR9は、TJ大バンド
12をステーションS6の受け渡し台へ移送して定配す
る。
【0078】一方、多関節ロボットR10は、図8およ
び図18に示すようにTJブーツ把持用のハンドリング
ツールを装着するために、そのアーム先端部21が、多
関節ロボットR10の移動範囲内に配置された前記ハン
ドリングツールへ移動してそのハンドリングツールを装
着する。そのハンドリングツールによりステーションS
7に定配されたシャフト3のTJブーツ4を傾けてその
内部にグリースを封入し、さらに、そのTJブーツ4を
TJ外輪10に装着する。つまり、TJブーツ4の大径
側端部をTJ外輪10に被せる。
【0079】その後、多関節ロボットR10は、TJブ
ーツ把持用のハンドリングツールをTJ大バンド把持用
のハンドリングツールに交換し、TJ大バンド12の取
り出しが可能であることを確認した上で、その多関節ロ
ボットR10によりTJ大バンド12を前記ステーショ
ンS6の受け渡し台から取り出す。そして、TJ大バン
ド12の組み付け準備ができた時点で、多関節ロボット
R10によりTJ大バンド12をステーションS7へ移
送し、そのステーションS7に定配されたTJブーツ4
の大径端部に組み付けた上で仮加締めする。このTJ大
バンド12の仮加締めは、ステーションS7に設置され
た加締め用治具によりそのTJ大バンドのレバー部を折
り曲げることにより行われる。その後、多関節ロボット
R10は、TJ大バンド把持用のハンドリングツールを
シャフト把持用のハンドリングツールに交換する。
【0080】一方、多関節ロボットR9は、図8および
図17に示すようにTJ大バンド把持用のハンドリング
ツールをTJ大バンド本加締め用のハンドリングツール
に交換する。そして、TJ大バンド12の本加締め準備
ができたことを確認した上で、多関節ロボットR9のハ
ンドリングツールより、仮加締めされていたTJ大バン
ド12を本加締めする。この本加締めは、多関節ロボッ
トR9のハンドリングツールにより爪部を加締めること
により行われる。その後、多関節ロボットR9は、TJ
大バンド本加締め用のハンドリングツールをシャフト把
持用のハンドリングツールに交換し、初期状態に復帰し
て待機する。
【0081】シャフト把持用のハンドリングツールに交
換した多関節ロボットR10は、組立品排出の準備がで
きたことを確認した上で、ステーションS7で組立を完
了したドライブシャフトをステーションS8へ移送して
定配する。多関節ロボットR10は、シャフト把持用の
ハンドリングツールをTJブーツ把持用のハンドリング
ツールに交換し、初期状態に復帰して待機する。ステー
ションS8に定配されたドライブシャフトは、後組立ラ
インの後段に設置された外観検査工程へ排出されること
になる。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、摺動型等速自在継手、
固定型等速自在継手およびシャフトを含む構成部品から
なるドライブシャフトの組立において、多関節ロボット
を利用したことにより、ラインの自動化を図ることがで
きて作業者の削減が容易となり、摺動型等速自在継手、
固定型等速自在継手およびシャフトなどの重量物を作業
者が直接的に取り扱うことが低減できて、作業環境の改
善や作業スペースの有効利用が図れ、セレーション位相
合わせなどでの熟練度も不要となり、作業効率の向上お
よび作業時間の短縮化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドライブシャフトの組立ラインの
実施形態で、前組立ラインの配置レイアウトを示す平面
図である。
【図2】本発明の実施形態における後組立ラインの配置
レイアウトを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態における前組立ラインについ
て、ドライブシャフトの組立手順を説明するための工程
図である。
【図4】本発明の実施形態における後組立ラインについ
て、ドライブシャフトの組立手順を説明するための工程
図である。
【図5】本発明の実施形態における前組立ラインについ
て、シーケンサと周辺機器からの情報および前記周辺機
器への情報との関係を示す系統図であるである。
【図6】本発明の実施形態における後組立ラインについ
て、シーケンサと周辺機器からの情報および前記周辺機
器への情報との関係を示す系統図であるである。
【図7】本発明の実施形態における前組立ラインについ
て、ドライブシャフトを構成する部品の組立流れを説明
するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態における後組立ラインについ
て、ドライブシャフトを構成する部品の組立流れを説明
するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態における前組立ラインについ
て、多関節ロボットR1の作業動作手順を説明するため
のフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態における前組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR2の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態における前組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR3の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態における前組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR4の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態における前組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR5の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態における後組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR6の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図15】本発明の実施形態における後組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR7の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態における後組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR8の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態における後組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR9の作業動作手順を説明するた
めのフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態における後組立ラインにつ
いて、多関節ロボットR10の作業動作手順を説明する
ためのフローチャートである。
【符号の説明】
R1〜R10 多関節ロボット 1 ブーツ(BJブーツ) 3 シャフト 4 ブーツ(TJブーツ) 6 内側継手部材(トリポードキット) 8 BJアッセンブリ 10 外側継手部材(TJ外輪) 21 アーム先端部 23〜31,33〜35 部品の供給部 42〜43,44〜45 画像処理装置
フロントページの続き (72)発明者 名倉 元治 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 沢津橋 寿久 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 Fターム(参考) 3C030 AA11 AA19 AA24 BB11 CC07 DA02 DA09 DA11 DA23 DA24 DA37 3D114 AA03 AA05 AA07 AA11 AA12 BA29 CA07 DA11 EA03 FA07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定型等速自在継手、摺動型等速自在継
    手、これら継手の内側継手部材に嵌合するシャフト、前
    記継手の外側継手部材の内部を密封するブーツ、そのブ
    ーツの端部をシャフトまたは外側継手部材に固定するブ
    ーツバンドを含む構成部品からなるドライブシャフトの
    組立装置において、 複数の多関節ロボットを、隣接する多関節ロボット同士
    のアーム先端部の移動範囲が一部重複するように振り分
    けて配置し、前記多関節ロボットのアーム先端部の移動
    範囲の重複部位に、部品または組立品の定配、検査、組
    立作業を実行する複数のステーションを配置し、前記多
    関節ロボット同士の連係でもって、部品または組立品の
    供給部からの取り出し、ステーションへの移送、および
    ステーションでの定配、検査、組立作業を実行するシー
    ケンサを具備したことを特徴とするドライブシャフトの
    組立装置。
  2. 【請求項2】 前記多関節ロボットは、他の多関節ロボ
    ットが実行する作業の一部と重複する機能を有し、多関
    節ロボットが保有する作業量の多少に応じて他の多関節
    ロボットに代えて作業を実行して他の多関節ロボットを
    補助することを特徴とする請求項1に記載のドライブシ
    ャフトの組立装置。
  3. 【請求項3】 前記多関節ロボットは、次工程における
    多関節ロボットの作業開始に合致した姿勢に部品または
    組立品を保持した状態のままでステーションに載置する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のドライブシャ
    フトの組立装置。
  4. 【請求項4】 前記多関節ロボットは、そのアーム先端
    部の移動範囲内に設置され、部品または組立品に応じた
    把持機能を有する複数のハンドリングツールを、部品ま
    たは組立品に応じて選択しながら着脱自在に装着するこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のドラ
    イブシャフトの組立装置。
  5. 【請求項5】 前記多関節ロボットは、ドライブシャフ
    トへの固定型等速自在継手と摺動型等速自在継手の組立
    について共通した作業を実行することを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれかに記載のドライブシャフトの組立
    装置。
  6. 【請求項6】 前記ドライブシャフトへの固定型等速自
    在継手と摺動型等速自在継手の組立を前後二つの組立ラ
    インに分け、固定型等速自在継手または摺動型等速自在
    継手のいずれか一方の組立をオフラインにより行うこと
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のドライ
    ブシャフトの組立装置。
  7. 【請求項7】 固定型等速自在継手、摺動型等速自在継
    手、これら継手の内側継手部材に嵌合するシャフト、前
    記継手の外側継手部材の内部を密封するブーツ、そのブ
    ーツの端部をシャフトまたは外側継手部材に固定するブ
    ーツバンドを含む構成部品からなるドライブシャフトの
    組立方法において、 前記ドライブシャフトの各構成部品を所定位置に定配す
    る工程と、前記各ブーツ内に前記シャフトを挿入する工
    程と、そのシャフトの両端部に各継手の内側継手部材を
    それぞれ嵌合させる工程と、前記シャフトの両端部の内
    側継手部材に各継手の外側継手部材をそれぞれ嵌合させ
    る工程と、各継手のブーツ内にグリースを封入し、その
    ブーツを各継手の外側継手部材に被せる工程と、前記ブ
    ーツバンドによりブーツの端部をシャフトまたは外側継
    手部材に固定する工程とを含み、 前記各工程を含む全工程を複数のポジションに振り分
    け、各ポジションに配置された多関節ロボットにより前
    記各工程での作業を実行させ、前記多関節ロボット同士
    の連係でもって次工程への部品または組立品の受け渡し
    を実行することを特徴とするドライブシャフトの組立方
    法。
  8. 【請求項8】 前記多関節ロボットは、他の多関節ロボ
    ットが実行する作業の一部と重複する機能を有し、多関
    節ロボットが保有する作業量の多少に応じて他の多関節
    ロボットに代えて作業を実行して他の多関節ロボットを
    補助することを特徴とする請求項7に記載のドライブシ
    ャフトの組立方法。
  9. 【請求項9】 前記多関節ロボットは、次工程における
    多関節ロボットの作業開始に合致した姿勢に部品または
    組立品を保持した状態のままでステーションに載置する
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載のドライブシャ
    フトの組立方法。
  10. 【請求項10】 前記多関節ロボットは、そのアーム先
    端部の移動範囲内に設置され、部品または組立品に応じ
    た把持機能を有する複数のハンドリングツールを、部品
    または組立品に応じて選択しながら着脱自在に装着する
    ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のド
    ライブシャフトの組立方法。
  11. 【請求項11】 前記多関節ロボットは、ドライブシャ
    フトへの固定型等速自在継手と摺動型等速自在継手の組
    立について共通した作業を実行することを特徴とする請
    求項7乃至10に記載のドライブシャフトの組立方法。
  12. 【請求項12】 前記ドライブシャフトへの固定型等速
    自在継手と摺動型等速自在継手の組立を前後二つの組立
    ラインに分け、固定型等速自在継手または摺動型等速自
    在継手のいずれか一方の組立をオフラインにより行うこ
    とを特徴とする請求項7乃至11に記載のドライブシャ
    フトの組立方法。
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