JP3415266B2 - 回転軸シール - Google Patents
回転軸シールInfo
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は回転軸シールに関する。
【０００２】
【従来の技術】高速回転で運転されるようなコンプレッ
サ、例えばスーパーチャージャー用コンプレッサに使用
されている潤滑油等の液状流体を密封する回転軸シール
として、従来、メカニカルシールや、図５に示す構造の
回転軸シール（ＰＴＦＥラジアルリップシール）を使用
していた。同図の回転軸シールは、ハウジングａと回転
軸ｅとの間に介装され、回転軸ｅに接触して流体収納室
ｃを密封する主シールエレメントｆと、回転軸ｅに接触
して空気側ｄを密封する副シールエレメントｇと、を備
えている。
サ、例えばスーパーチャージャー用コンプレッサに使用
されている潤滑油等の液状流体を密封する回転軸シール
として、従来、メカニカルシールや、図５に示す構造の
回転軸シール（ＰＴＦＥラジアルリップシール）を使用
していた。同図の回転軸シールは、ハウジングａと回転
軸ｅとの間に介装され、回転軸ｅに接触して流体収納室
ｃを密封する主シールエレメントｆと、回転軸ｅに接触
して空気側ｄを密封する副シールエレメントｇと、を備
えている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記メカニカ
ルシールは、高価格で、コンパクトでないためシールス
ペースが大きくなる問題があった。また、図５に示す回
転軸シールは、メカニカルシールに比べて安価かつコン
パクトであるが、高速回転 (回転軸ｅの周速度が30〜50
m/sec)であって、空気側ｄの気圧が、大気圧より低くな
ったり、高くなったりする使用条件下では、主シールエ
レメントｆの耐久性が著しく短くなり、流体収納室ｃか
ら空気側ｄへ流体漏れが発生する問題があった。
ルシールは、高価格で、コンパクトでないためシールス
ペースが大きくなる問題があった。また、図５に示す回
転軸シールは、メカニカルシールに比べて安価かつコン
パクトであるが、高速回転 (回転軸ｅの周速度が30〜50
m/sec)であって、空気側ｄの気圧が、大気圧より低くな
ったり、高くなったりする使用条件下では、主シールエ
レメントｆの耐久性が著しく短くなり、流体収納室ｃか
ら空気側ｄへ流体漏れが発生する問題があった。
【０００４】即ち、副シールエレメントｇによって、主
シールエレメントｆが空気側ｄの圧力の影響を直接受け
ないように図っているが、回転軸ｅの外周面と副シール
エレメントｇの回転軸接触面との間から空気が漏れる
と、副シールエレメントｇと主シールエレメントｆの間
の空隙部ｈは塞がれた状態であるため、空気側ｄと同じ
圧力になってしまい、流体収納室ｃと空隙部ｈの圧力バ
ランスが崩れて主シールエレメントｆが変形し、密封性
が損なわれる。
シールエレメントｆが空気側ｄの圧力の影響を直接受け
ないように図っているが、回転軸ｅの外周面と副シール
エレメントｇの回転軸接触面との間から空気が漏れる
と、副シールエレメントｇと主シールエレメントｆの間
の空隙部ｈは塞がれた状態であるため、空気側ｄと同じ
圧力になってしまい、流体収納室ｃと空隙部ｈの圧力バ
ランスが崩れて主シールエレメントｆが変形し、密封性
が損なわれる。
【０００５】そこで、本発明は、上記使用条件下におけ
る耐久性・密封性を向上できる回転軸シールを提供する
ことを目的とする。
る耐久性・密封性を向上できる回転軸シールを提供する
ことを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、ハウジングと回転軸との間に介装される
回転軸シールであって、該回転軸の外周面に接触する主
リップ部を有し流体収納室の液状流体をシールする円環
状の主シールエレメントと、該回転軸の外周面と微小間
隙をもって近接する副リップ部を有し真空状態及び加圧
状態となる空気側の圧力変動を該主シールエレメントに
直接作用させないようする副シールエレメントと、該主
リップ部と副リップ部との間の空気を上記ハウジングに
形成された大気開放路に通じて開放させる連通小路と、
を備え、上記副シールエレメントが、金属製心板片の表
面に合成樹脂やゴム等の弾性材の表皮部を被覆状に形成
してなるものである。
成するために、ハウジングと回転軸との間に介装される
回転軸シールであって、該回転軸の外周面に接触する主
リップ部を有し流体収納室の液状流体をシールする円環
状の主シールエレメントと、該回転軸の外周面と微小間
隙をもって近接する副リップ部を有し真空状態及び加圧
状態となる空気側の圧力変動を該主シールエレメントに
直接作用させないようする副シールエレメントと、該主
リップ部と副リップ部との間の空気を上記ハウジングに
形成された大気開放路に通じて開放させる連通小路と、
を備え、上記副シールエレメントが、金属製心板片の表
面に合成樹脂やゴム等の弾性材の表皮部を被覆状に形成
してなるものである。
【０００７】また、ハウジングの孔部に嵌着される円環
状のアウターケースに、円環板状であって内周縁部が流
体収納室側に弯曲して回転軸の外周面に接触する主リッ
プ部を有し該流体収納室の液状流体をシールする主シー
ルエレメントと、真空状態及び加圧状態となる空気側の
圧力変動を該主シールエレメントに直接作用させないよ
うする円環板状の副シールエレメントと、該主・副シー
ルエレメントの両外周縁部の間に介装された円環状ガス
ケットと、を保持してなる回転軸シールであって、上記
アウターケースが嵌着される上記ハウジングの孔部内周
面から、大気側と連通する大気開放路を形成すると共
に、上記主シールエレメント、副シールエレメント、ガ
スケット及び回転軸にて囲まれて形成される円環状空隙
部と、上記大気開放路とを連通連結する連通小路を、上
記ガスケット及びアウターケースに、形成し、さらに、
上記主シールエレメントの上記主リップ部に、回転軸接
触面に浸入した液状流体を上記流体収納室へ還流させる
螺旋溝が形成され、上記副シールエレメントが、円環状
であって内周縁部が上記回転軸に沿って空気側に屈曲す
る金属製心板片と、該心板片の表面に被覆状に形成され
た合成樹脂やゴム等の弾性材の表皮部と、からなると共
に、該副シールエレメントの内周縁部の表皮部を、上記
回転軸の外周面と微小間隙をもって近接させたものであ
る。
状のアウターケースに、円環板状であって内周縁部が流
体収納室側に弯曲して回転軸の外周面に接触する主リッ
プ部を有し該流体収納室の液状流体をシールする主シー
ルエレメントと、真空状態及び加圧状態となる空気側の
圧力変動を該主シールエレメントに直接作用させないよ
うする円環板状の副シールエレメントと、該主・副シー
ルエレメントの両外周縁部の間に介装された円環状ガス
ケットと、を保持してなる回転軸シールであって、上記
アウターケースが嵌着される上記ハウジングの孔部内周
面から、大気側と連通する大気開放路を形成すると共
に、上記主シールエレメント、副シールエレメント、ガ
スケット及び回転軸にて囲まれて形成される円環状空隙
部と、上記大気開放路とを連通連結する連通小路を、上
記ガスケット及びアウターケースに、形成し、さらに、
上記主シールエレメントの上記主リップ部に、回転軸接
触面に浸入した液状流体を上記流体収納室へ還流させる
螺旋溝が形成され、上記副シールエレメントが、円環状
であって内周縁部が上記回転軸に沿って空気側に屈曲す
る金属製心板片と、該心板片の表面に被覆状に形成され
た合成樹脂やゴム等の弾性材の表皮部と、からなると共
に、該副シールエレメントの内周縁部の表皮部を、上記
回転軸の外周面と微小間隙をもって近接させたものであ
る。
【０００８】
【作用】空気側が大気圧より減圧・増圧する使用条件下
に於て、副シールエレメントの副リップ部と回転軸外周
面との間の微小間隙から空気が漏れても、副リップ部と
主リップ部との間の空気を連通小路と大気開放路にて大
気に開放してあるので、主シールエレメントの背面部へ
の空気側の圧力の影響が小さくなって、大気圧に近い状
態に維持され、主リップ部の変形が抑えられる。
に於て、副シールエレメントの副リップ部と回転軸外周
面との間の微小間隙から空気が漏れても、副リップ部と
主リップ部との間の空気を連通小路と大気開放路にて大
気に開放してあるので、主シールエレメントの背面部へ
の空気側の圧力の影響が小さくなって、大気圧に近い状
態に維持され、主リップ部の変形が抑えられる。
【０００９】このとき、副リップ部は、回転軸と微小間
隙をもって近接させてあるので、回転軸の回転によりラ
ビリンスシールとして機能し、空気側の圧力をシールで
きる。しかも、副シールエレメントは、心板片にて剛性
及び強度をもたせてあるので、空気側から圧力を受けた
場合でも変形を防げて、副リップ部と回転軸の接触が回
避される。そのため、空気側が加圧状態となる使用条件
でも、副リップ部が摩滅せず、主リップ部の密封性が早
期に失われることがない。
隙をもって近接させてあるので、回転軸の回転によりラ
ビリンスシールとして機能し、空気側の圧力をシールで
きる。しかも、副シールエレメントは、心板片にて剛性
及び強度をもたせてあるので、空気側から圧力を受けた
場合でも変形を防げて、副リップ部と回転軸の接触が回
避される。そのため、空気側が加圧状態となる使用条件
でも、副リップ部が摩滅せず、主リップ部の密封性が早
期に失われることがない。
【００１０】
【実施例】以下、実施例を示す図面に基づいて本発明を
詳説する。
詳説する。
【００１１】図１は、本発明に係る回転軸シールを示
し、コンプレッサ等のハウジング１の孔部２と、該孔部
２に挿通された回転軸３との間に介装され、流体収納室
Ｒの所定圧力の流体Ｍが空気側Ａへ漏れないように密封
する。この流体Ｍは、例えば、潤滑油や冷凍機油等の
油、液状冷媒などの各種液状流体である。
し、コンプレッサ等のハウジング１の孔部２と、該孔部
２に挿通された回転軸３との間に介装され、流体収納室
Ｒの所定圧力の流体Ｍが空気側Ａへ漏れないように密封
する。この流体Ｍは、例えば、潤滑油や冷凍機油等の
油、液状冷媒などの各種液状流体である。
【００１２】しかして、回転軸シールは、回転軸３の外
周面３ａに接触する主リップ部４を有する円環状の主シ
ールエレメント６と、回転軸３の外周面３ａと微小間隙
Ｅをもって近接する副リップ部５を有する副シールエレ
メント７と、主リップ部４と副リップ部５との間の空気
をハウジング１に形成された大気開放路８に通じて開放
させる連通小路９と、を備えている。
周面３ａに接触する主リップ部４を有する円環状の主シ
ールエレメント６と、回転軸３の外周面３ａと微小間隙
Ｅをもって近接する副リップ部５を有する副シールエレ
メント７と、主リップ部４と副リップ部５との間の空気
をハウジング１に形成された大気開放路８に通じて開放
させる連通小路９と、を備えている。
【００１３】具体的には、主シールエレメント６を流体
収納室Ｒ側に、副シールエレメント７を空気側Ａに配置
すると共に、主・副シールエレメント６，７の両外周縁
部の間に円環状のガスケット11を介装して、ハウジング
１の孔部２の内周面２ａに嵌着される金属等からなる円
環状アウターケース10の内面に、金属等からなる円環状
インナーケース12と共に保持固定してある。
収納室Ｒ側に、副シールエレメント７を空気側Ａに配置
すると共に、主・副シールエレメント６，７の両外周縁
部の間に円環状のガスケット11を介装して、ハウジング
１の孔部２の内周面２ａに嵌着される金属等からなる円
環状アウターケース10の内面に、金属等からなる円環状
インナーケース12と共に保持固定してある。
【００１４】主シールエレメント６は、（四ふっ化エチ
レン樹脂等のふっ素系樹脂（ＰＴＦＥ）等の）合成樹脂
からなると共に、円環板状であって内周縁部が流体収納
室Ｒ側に弯曲して回転軸３の外周面３ａに所定幅で面接
触する。
レン樹脂等のふっ素系樹脂（ＰＴＦＥ）等の）合成樹脂
からなると共に、円環板状であって内周縁部が流体収納
室Ｒ側に弯曲して回転軸３の外周面３ａに所定幅で面接
触する。
【００１５】主シールエレメント６は、図２に示すよう
な円環平板状に形成した後、その内周縁部を図１の如く
流体収納室Ｒ側へ弯曲させてなり、この内周縁部が、主
リップ部４となる。
な円環平板状に形成した後、その内周縁部を図１の如く
流体収納室Ｒ側へ弯曲させてなり、この内周縁部が、主
リップ部４となる。
【００１６】主リップ部４の回転軸接触面には、図２に
示す円環平板状の主シールエレメント６の軸心を中心と
する螺旋溝Ｈを形成する。
示す円環平板状の主シールエレメント６の軸心を中心と
する螺旋溝Ｈを形成する。
【００１７】螺旋溝Ｈは、図１のように主リップ部４の
回転軸接触面から空気側Ａへ向かって斜めになるように
すると共に、螺旋溝Ｈ内に浸入した流体Ｍを流体収納室
Ｒへ還流するポンピング作用を生じさせる回転方向とす
る。
回転軸接触面から空気側Ａへ向かって斜めになるように
すると共に、螺旋溝Ｈ内に浸入した流体Ｍを流体収納室
Ｒへ還流するポンピング作用を生じさせる回転方向とす
る。
【００１８】この主リップ部４を回転軸３の外周面３ａ
に面接触させると、螺旋溝Ｈが適度に開いて、流体収納
室Ｒ側から空気側Ａへの流体漏れを封止するに十分な接
触面圧まで高めることができる。
に面接触させると、螺旋溝Ｈが適度に開いて、流体収納
室Ｒ側から空気側Ａへの流体漏れを封止するに十分な接
触面圧まで高めることができる。
【００１９】次に、大気側と連通する大気開放路８は、
連通小路９との位置合わせが容易なように、ハウジング
１の孔部２内周面２ａのアウターケース10が嵌着される
部位から、孔や凹周溝等をもって形成する。
連通小路９との位置合わせが容易なように、ハウジング
１の孔部２内周面２ａのアウターケース10が嵌着される
部位から、孔や凹周溝等をもって形成する。
【００２０】連通小路９は、ガスケット11及びアウター
ケース10に形成され、図例では、ガスケット11の一端面
に、径方向溝16を形成すると共に、ガスケット11の外周
縁部に、径方向溝16と連通する凹周部17を形成し、か
つ、アウターケース10に凹周部17と大気開放路８とを連
通連結する小貫孔18を形成して、成る。
ケース10に形成され、図例では、ガスケット11の一端面
に、径方向溝16を形成すると共に、ガスケット11の外周
縁部に、径方向溝16と連通する凹周部17を形成し、か
つ、アウターケース10に凹周部17と大気開放路８とを連
通連結する小貫孔18を形成して、成る。
【００２１】このようにして、主シールエレメント６、
副シールエレメント７、ガスケット11及び回転軸３にて
囲まれて形成される円環状空隙部13と、大気開放路８と
を、連通小路９にて連通連結する。
副シールエレメント７、ガスケット11及び回転軸３にて
囲まれて形成される円環状空隙部13と、大気開放路８と
を、連通小路９にて連通連結する。
【００２２】この連通小路９は、図例以外の構成のもの
であってもよく、例えば、凹周部17を省略して溝16と小
貫孔18を直接連通させたり、あるいは、ガスケット11及
びアウターケース10を共に貫通する径方向小孔にて連通
小路９を構成してもよい。また、溝16や小貫孔18は単数
・複数いずれであってもよく、その位置の変更も自由で
ある。
であってもよく、例えば、凹周部17を省略して溝16と小
貫孔18を直接連通させたり、あるいは、ガスケット11及
びアウターケース10を共に貫通する径方向小孔にて連通
小路９を構成してもよい。また、溝16や小貫孔18は単数
・複数いずれであってもよく、その位置の変更も自由で
ある。
【００２３】なお、ガスケット11は、補強のために、ゴ
ムや合成樹脂等の弾性リング14に平板円環状の心金具15
を埋設してなる。
ムや合成樹脂等の弾性リング14に平板円環状の心金具15
を埋設してなる。
【００２４】次に、副シールエレメント７は、円環状で
あって内周縁部が回転軸に沿って空気側Ａに屈曲又は弯
曲する金属製心板片19と、心板片19の表面にコーティン
グ等にて被覆状に形成された表皮部20と、からなる。
あって内周縁部が回転軸に沿って空気側Ａに屈曲又は弯
曲する金属製心板片19と、心板片19の表面にコーティン
グ等にて被覆状に形成された表皮部20と、からなる。
【００２５】表皮部20は、四ふっ化エチレン樹脂等のふ
っ素系樹脂（ＰＴＦＥ）等の合成樹脂や、ゴム等の弾性
材からなる。
っ素系樹脂（ＰＴＦＥ）等の合成樹脂や、ゴム等の弾性
材からなる。
【００２６】この副シールエレメント７の屈曲状の内周
縁部を副リップ部５として、その表皮部20を、回転軸３
の外周面３ａと、例えば0.04〜0.10mmの微小間隙Ｅをも
って近接させて、ラビリンスシールとして機能させ、空
気側Ａの気圧が、大気圧 (1.0 kgf/cm2 G)より低くなっ
たり（以下真空状態という）、高くなったり（以下加圧
状態という）したときでも、その圧力の影響を主シール
エレメント６の背面部６ａが直接受けないように適度に
シールする。
縁部を副リップ部５として、その表皮部20を、回転軸３
の外周面３ａと、例えば0.04〜0.10mmの微小間隙Ｅをも
って近接させて、ラビリンスシールとして機能させ、空
気側Ａの気圧が、大気圧 (1.0 kgf/cm2 G)より低くなっ
たり（以下真空状態という）、高くなったり（以下加圧
状態という）したときでも、その圧力の影響を主シール
エレメント６の背面部６ａが直接受けないように適度に
シールする。
【００２７】図例では、副リップ部５の表皮部20の回転
軸近接面を平坦面に形成しているが、図３のように、表
皮部20の回転軸近接面に、軸心方向所定ピッチでもって
独立円環状の凹条又は凸条を形成するも好ましい。
軸近接面を平坦面に形成しているが、図３のように、表
皮部20の回転軸近接面に、軸心方向所定ピッチでもって
独立円環状の凹条又は凸条を形成するも好ましい。
【００２８】しかして、図１に示すように、連通小路９
と大気開放路８を通じて空隙部13を大気に開放してある
ので、空気側Ａが真空状態や加圧状態となる使用条件に
於て副リップ部５と回転軸３の外周面３ａとの間の微小
間隙Ｅから空気が漏れても、空隙部13を大気圧に近い状
態に維持して、主シールエレメント６の背面部６ａへ掛
かる圧力変動を小さくし、主リップ部４の変形を軽減さ
せることができる。
と大気開放路８を通じて空隙部13を大気に開放してある
ので、空気側Ａが真空状態や加圧状態となる使用条件に
於て副リップ部５と回転軸３の外周面３ａとの間の微小
間隙Ｅから空気が漏れても、空隙部13を大気圧に近い状
態に維持して、主シールエレメント６の背面部６ａへ掛
かる圧力変動を小さくし、主リップ部４の変形を軽減さ
せることができる。
【００２９】即ち、上記背面部６ａが真空状態の場合に
生じる主リップ部４の回転軸３への加圧押付けを軽減で
きると共に、背面部６ａが加圧状態の場合に生じる主リ
ップ部４の回転軸３からの浮き上がりを軽減でき、主リ
ップ部４の耐久性・密封性が良好となる。
生じる主リップ部４の回転軸３への加圧押付けを軽減で
きると共に、背面部６ａが加圧状態の場合に生じる主リ
ップ部４の回転軸３からの浮き上がりを軽減でき、主リ
ップ部４の耐久性・密封性が良好となる。
【００３０】図４は、本発明との比較例を示しており、
この例では、副シールエレメント30以外の構成は図１の
実施例と同じとすると共に、副シールエレメント30を、
図１の主シールエレメント６と（溝Ｈを除いて）同様の
材質及び構造とし、内周縁部を副リップ部31として空気
側Ａに弯曲させて回転軸３の外周面３ａに面接触させて
いる。
この例では、副シールエレメント30以外の構成は図１の
実施例と同じとすると共に、副シールエレメント30を、
図１の主シールエレメント６と（溝Ｈを除いて）同様の
材質及び構造とし、内周縁部を副リップ部31として空気
側Ａに弯曲させて回転軸３の外周面３ａに面接触させて
いる。
【００３１】ところが、図４の構造では、空気側Ａが加
圧状態 (例えば圧力1.5 kgf/cm2 G)の場合、その圧力に
よって副リップ部31が、高速で回転 (例えば周速41.4m/
sec)する回転軸３のドライな状態の外周面３ａに押付け
られるため、早期（70〜80時間）に摩滅する。このた
め、空隙部13を大気開放していても、主シールエレメン
ト６の背面部６ａが空気側Ａと同条件に暴されるため、
主リップ部４が変形して、耐久性が劣る欠点がある。
圧状態 (例えば圧力1.5 kgf/cm2 G)の場合、その圧力に
よって副リップ部31が、高速で回転 (例えば周速41.4m/
sec)する回転軸３のドライな状態の外周面３ａに押付け
られるため、早期（70〜80時間）に摩滅する。このた
め、空隙部13を大気開放していても、主シールエレメン
ト６の背面部６ａが空気側Ａと同条件に暴されるため、
主リップ部４が変形して、耐久性が劣る欠点がある。
【００３２】このような比較例の欠点は、図１の本発明
の回転軸シールでは全く無い。即ち、副シールエレメン
ト７の使用目的は、空気側Ａが真空状態や加圧状態にあ
る場合に、空気側Ａの圧力をある程度シールし、主・副
リップ部４，５間の空隙部13を大気圧に開放させること
により、主リップ部４の変形を軽減して、耐久性を高め
ることにある。そのため、真空・加圧時の副リップ部５
の多少の空気漏れは許容され、本発明の如くラビリンス
シール構造を採用しても、上記使用目的を十分達成する
ことができる。故に、副リップ部５は、摩滅することが
なく、比較例の欠点は全く生じない。
の回転軸シールでは全く無い。即ち、副シールエレメン
ト７の使用目的は、空気側Ａが真空状態や加圧状態にあ
る場合に、空気側Ａの圧力をある程度シールし、主・副
リップ部４，５間の空隙部13を大気圧に開放させること
により、主リップ部４の変形を軽減して、耐久性を高め
ることにある。そのため、真空・加圧時の副リップ部５
の多少の空気漏れは許容され、本発明の如くラビリンス
シール構造を採用しても、上記使用目的を十分達成する
ことができる。故に、副リップ部５は、摩滅することが
なく、比較例の欠点は全く生じない。
【００３３】また、副シールエレメント７は、心板片19
にて剛性及び強度をもたせてあるので、空気側Ａから圧
力を受けた場合でも変形を防げて、副リップ部５と回転
軸３の接触を回避できる。
にて剛性及び強度をもたせてあるので、空気側Ａから圧
力を受けた場合でも変形を防げて、副リップ部５と回転
軸３の接触を回避できる。
【００３４】しかも、副シールエレメント７が万一微小
変形したり、回転軸３の偏心等により、副リップ部５が
回転軸３に接触しても、表皮部20のＰＴＦＥなどの樹脂
の自己潤滑作用により、回転軸３及び副リップ部５とも
摩耗のダメージが非常に少なくて済む。
変形したり、回転軸３の偏心等により、副リップ部５が
回転軸３に接触しても、表皮部20のＰＴＦＥなどの樹脂
の自己潤滑作用により、回転軸３及び副リップ部５とも
摩耗のダメージが非常に少なくて済む。
【００３５】さらに、ハウジング１へのシールの組付け
時に、副シールエレメント７が変形して回転軸３に僅か
に接触する状態となっても、回転軸３と表皮部20の接触
摩耗によって、間隙Ｅをもつように副リップ部５の内径
が自動的に調整されるような利点もある。
時に、副シールエレメント７が変形して回転軸３に僅か
に接触する状態となっても、回転軸３と表皮部20の接触
摩耗によって、間隙Ｅをもつように副リップ部５の内径
が自動的に調整されるような利点もある。
【００３６】本発明は、レショルム式スーパーチャージ
ャー等の高速回転用コンプレッサの回転軸シールとして
好適であるが、それ以外にも、車両、産業機械、航空機
等の回転軸シールとしても適用可能である。
ャー等の高速回転用コンプレッサの回転軸シールとして
好適であるが、それ以外にも、車両、産業機械、航空機
等の回転軸シールとしても適用可能である。
【００３７】
【発明の効果】本発明は上述の如く構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。
で、次に記載する効果を奏する。
【００３８】主リップ部４と副リップ部５の間の空気を
連通小路９と大気開放路８を通じて大気に開放している
ので、空気側Ａが真空状態や加圧状態となる厳しい使用
条件下に於ても、主シールエレメント６への空気側Ａの
圧力の影響を抑えて、主リップ部４の変形を軽減させる
ことができ、図５の従来品よりも大幅に耐久性・密封性
が向上する。空気側Ａが真空状態や加圧状態となる使用
条件に於て副リップ部５と回転軸３の外周面３ａとの間
の微小間隙Ｅから空気が漏れても、空隙部13を大気圧に
近い状態に維持して、主シールエレメント６の背面部６
ａへ掛かる圧力変動を小さくし、主リップ部４の変形を
軽減させることができる。
連通小路９と大気開放路８を通じて大気に開放している
ので、空気側Ａが真空状態や加圧状態となる厳しい使用
条件下に於ても、主シールエレメント６への空気側Ａの
圧力の影響を抑えて、主リップ部４の変形を軽減させる
ことができ、図５の従来品よりも大幅に耐久性・密封性
が向上する。空気側Ａが真空状態や加圧状態となる使用
条件に於て副リップ部５と回転軸３の外周面３ａとの間
の微小間隙Ｅから空気が漏れても、空隙部13を大気圧に
近い状態に維持して、主シールエレメント６の背面部６
ａへ掛かる圧力変動を小さくし、主リップ部４の変形を
軽減させることができる。
【００３９】しかも、副リップ部５が回転軸３と非接触
状態にて空気側Ａの圧力をシールでき、かつ心板片19に
て副リップ部５の変形を防止できるので、空気側Ａが加
圧状態となる使用条件でも、副リップ部５の摩滅が防止
され、耐久性・密封性が劣ることがない。
状態にて空気側Ａの圧力をシールでき、かつ心板片19に
て副リップ部５の変形を防止できるので、空気側Ａが加
圧状態となる使用条件でも、副リップ部５の摩滅が防止
され、耐久性・密封性が劣ることがない。
【００４０】また、副シールエレメント７が万一微小変
形したり、回転軸３の偏心等により、副リップ部５が回
転軸３に接触しても、表皮部20の自己潤滑作用により、
回転軸３及び副リップ部５とも摩耗のダメージが非常に
少なくて済むと共に、回転軸３と表皮部20の接触摩耗に
よる微小間隙Ｅの自動形成が可能である。
形したり、回転軸３の偏心等により、副リップ部５が回
転軸３に接触しても、表皮部20の自己潤滑作用により、
回転軸３及び副リップ部５とも摩耗のダメージが非常に
少なくて済むと共に、回転軸３と表皮部20の接触摩耗に
よる微小間隙Ｅの自動形成が可能である。
【図１】本発明の一実施例を示す装着状態の断面図であ
る。
る。
【図２】主シールエレメントの内周縁部を弯曲させる前
の状態を示す平面図である。
の状態を示す平面図である。
【図３】副リップ部の変形例を示す断面図である。
【図４】比較例を示す断面図である。
【図５】従来例を示す断面図である。
１ ハウジング
２ 孔部
３ 回転軸
３ａ 外周面
４ 主リップ部
５ 副リップ部
６ 主シールエレメント
７ 副シールエレメント
８ 大気開放路
９ 連通小路
10 アウターケース
11 ガスケット
13 空隙部
19 心板片
20 表皮部
Ｒ 流体収納室
Ａ 空気側
Ｅ 微小間隙
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平５−42887（ＪＰ，Ａ)
実開 昭56−25866（ＪＰ，Ｕ)
実開 昭51−110156（ＪＰ，Ｕ)
実開 平４−117959（ＪＰ，Ｕ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
F16J 15/16 - 15/32
Claims (2)
- 【請求項１】 ハウジングと回転軸との間に介装される
回転軸シールであって、該回転軸の外周面に接触する主
リップ部を有し流体収納室の液状流体をシールする円環
状の主シールエレメントと、該回転軸の外周面と微小間
隙をもって近接する副リップ部を有し真空状態及び加圧
状態となる空気側の圧力変動を該主シールエレメントに
直接作用させないようする副シールエレメントと、該主
リップ部と副リップ部との間の空気を上記ハウジングに
形成された大気開放路に通じて開放させる連通小路と、
を備え、上記副シールエレメントが、金属製心板片の表
面に合成樹脂やゴム等の弾性材の表皮部を被覆状に形成
してなることを特徴とする回転軸シール。 - 【請求項２】 ハウジングの孔部に嵌着される円環状の
アウターケースに、円環板状であって内周縁部が流体収
納室側に弯曲して回転軸の外周面に接触する主リップ部
を有し該流体収納室の液状流体をシールする主シールエ
レメントと、真空状態及び加圧状態となる空気側の圧力
変動を該主シールエレメントに直接作用させないようす
る円環板状の副シールエレメントと、該主・副シールエ
レメントの両外周縁部の間に介装された円環状ガスケッ
トと、を保持してなる回転軸シールであって、上記アウ
ターケースが嵌着される上記ハウジングの孔部内周面か
ら、大気側と連通する大気開放路を形成すると共に、上
記主シールエレメント、副シールエレメント、ガスケッ
ト及び回転軸にて囲まれて形成される円環状空隙部と、
上記大気開放路とを連通連結する連通小路を、上記ガス
ケット及びアウターケースに、形成し、さらに、上記主
シールエレメントの上記主リップ部に、回転軸接触面に
浸入した液状流体を上記流体収納室へ還流させる螺旋溝
が形成され、上記副シールエレメントが、円環状であっ
て内周縁部が上記回転軸に沿って空気側に屈曲する金属
製心板片と、該心板片の表面に被覆状に形成された合成
樹脂やゴム等の弾性材の表皮部と、からなると共に、該
副シールエレメントの内周縁部の表皮部を、上記回転軸
の外周面と微小間隙をもって近接させたことを特徴とす
る回転軸シール。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13520194A JP3415266B2 (ja) | 1994-05-24 | 1994-05-24 | 回転軸シール |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13520194A JP3415266B2 (ja) | 1994-05-24 | 1994-05-24 | 回転軸シール |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07317913A JPH07317913A (ja) | 1995-12-08 |
| JP3415266B2 true JP3415266B2 (ja) | 2003-06-09 |
Family
ID=15146221
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13520194A Expired - Fee Related JP3415266B2 (ja) | 1994-05-24 | 1994-05-24 | 回転軸シール |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3415266B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4648514B2 (ja) * | 2000-05-02 | 2011-03-09 | イーグル工業株式会社 | リップ型シール |
| JP2002122087A (ja) * | 2000-10-17 | 2002-04-26 | Toyota Industries Corp | 真空ポンプにおける軸封構造 |
| JP2018017161A (ja) * | 2016-07-27 | 2018-02-01 | 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 | 冷媒用軸シール、これを備えた開放型冷媒圧縮機 |
-
1994
- 1994-05-24 JP JP13520194A patent/JP3415266B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07317913A (ja) | 1995-12-08 |
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