JP2001329984A - 真空ポンプにおける軸封構造 - Google Patents

真空ポンプにおける軸封構造

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JP2001329984A
JP2001329984A JP2000146168A JP2000146168A JP2001329984A JP 2001329984 A JP2001329984 A JP 2001329984A JP 2000146168 A JP2000146168 A JP 2000146168A JP 2000146168 A JP2000146168 A JP 2000146168A JP 2001329984 A JP2001329984 A JP 2001329984A
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lip ring
pump
vacuum pump
lip
shaft
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JP2000146168A
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Shinya Yamamoto
真也 山本
Hiroyuki Ishigure
宏行 石榑
Masahiro Kawaguchi
真広 川口
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空ポンプにおいて良好なシール性能を確保し
つつリップシールの長寿命化を達成できる軸封構造を提
供する。 【解決手段】ラジアルベアリング37,38とロータ2
7,32との間における回転軸19,20の周面にはリ
ップシール44,44Aが配置されている。リップシー
ル44,44Aのゴム製のリップリング48は、リング
ケース45よりもギヤ収容室331側に配置されてい
る。リップシール44,44Aのフッ素樹脂製のリップ
リング49は、リングケース45よりもポンプ室43側
に配置されている。ギヤ収容室331内の潤滑油は、リ
ップシール44,44Aのゴム製のリップリング48を
潤滑する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸の回転に基
づいてポンプ室内のガス移送体を動かし、前記ガス移送
体の動作によってガスを移送して吸引作用をもたらす真
空ポンプにおける軸封構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平7−317912号公報及び特開
平7−317913号公報に開示される回転軸シール
は、主シールエレメントと副シールエレメントとからな
る。主シールエレメントは流体収納室側に配置されてお
り、副シールエレメントは空気側に配置されている。主
シールエレメントは、所定圧力の流体収納室から空気側
への流体洩れを防止する。副シールエレメントは、大気
圧以下から大気圧以上にわたる範囲で変動する空気側の
圧力の変動が主シールエレメントに影響を与えないよう
に働く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】主シールエレメントは
合成樹脂製であり、副シールエレメントは合成樹脂製又
はゴム製である。ゴム製の副シールエレメントは、合成
樹脂製の副シールエレメントに比べてシール性能が高い
が、ゴム製の副シールエレメントは、回転軸との摺接に
よる摩耗を防止するために油潤滑を必要とする。しか
し、空気側にゴム製のシールエレメントを配置した構成
は油潤滑を困難にし、回転軸シールの寿命が短くなる。
【0004】本発明は、真空ポンプにおいて良好なシー
ル性能を確保しつつリップシールの長寿命化を達成でき
る軸封構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、回
転軸の回転に基づいてポンプ室内のガス移送体を動か
し、前記ガス移送体の動作によってガスを移送して吸引
作用をもたらす真空ポンプを対象とし、請求項1の発明
では、油存在領域と前記ポンプ室との間の前記回転軸の
周面上に配置されたゴム製のリップリングと、前記油存
在領域と前記ポンプ室との間の前記回転軸の周面上に配
置された樹脂製のリップリングとを備えた軸封構造を構
成し、前記ゴム製のリップリングを前記油存在領域側に
配置すると共に、前記樹脂製のリップリングを前記ポン
プ室側に配置した。
【0006】ポンプ室側に配置された樹脂製のリップリ
ングは、負圧から正圧にわたって変動するポンプ室の圧
力をシールする。油存在領域側に配置されたゴム製のリ
ップリングは、油存在領域側の圧力をシールする。ポン
プ室の圧力は樹脂製のリップリングによってシールされ
るため、ゴム製のリップリングは油存在領域の圧力のみ
を考慮した緊迫力で済む。又、ゴム製のリップリングは
油で潤滑されるため、ゴム製のリップリングの早期摩耗
が防止される。
【0007】請求項2の発明では、請求項1において、
前記樹脂はフッ素樹脂とした。フッ素樹脂は、樹脂製の
リップリングの材質として最適である。請求項3の発明
では、請求項1及び請求項2のいずれか1項において、
前記樹脂製のリップリングは、前記回転軸の周面に対し
て摺接する部位にポンプ溝を有し、前記ポンプ溝は、前
記回転軸の回転方向に辿るにつれて前記樹脂製のリップ
リング側から前記ゴム製のリップリング側へ移行してゆ
くようにした。
【0008】油がゴム製のリップリングと回転軸の周面
との間から樹脂製のリップリング側へ洩れた場合にも、
ポンプ溝が洩れ油をゴム製のリップリング側へ送り返
す。請求項4の発明では、請求項1乃至請求項3のいず
れか1項において、前記油存在領域は、前記回転軸を回
転可能に支持するための軸受けを収容する領域とした。
【0009】軸受けを潤滑する油がゴム製のリップリン
グを潤滑する。請求項5の発明では、請求項1乃至請求
項4のいずれか1項において、前記真空ポンプは、複数
の前記回転軸を平行に配置すると共に、前記各回転軸上
にロータを配置し、隣合う回転軸上のロータを互いに噛
み合わせ、互いに噛み合った状態の複数のロータを1組
として収容する複数のポンプ室、又は単一のポンプ室を
備えた真空ポンプとした。
【0010】このような真空ポンプは、本発明の適用対
象として好適である。請求項6の発明では、請求項5に
おいて、複数の前記回転軸は、歯車機構を用いて同期し
て回転され、前記油存在領域は、前記歯車機構を収容す
る領域とした。
【0011】歯車機構を潤滑する油がゴム製のリップリ
ングを潤滑する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をルーツポンプに具
体化した第1の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明
する。
【0013】図1(a)に示すように、多段ルーツポン
プ11のロータハウジング12の前端にはフロントハウ
ジング13が接合されており、フロントハウジング13
には封鎖体36が接合されている。ロータハウジング1
2の後端にはリヤハウジング14が接合されている。ロ
ータハウジング12は、シリンダブロック15と複数の
隔壁16とからなる。図2(b)に示すように、シリン
ダブロック15は、一対のブロック片17,18からな
り、隔壁16は一対の壁片161,162からなる。図
1(a)に示すように、フロントハウジング13と隔壁
16との間の空間、隣合う隔壁16の間の空間、及びリ
ヤハウジング14と隔壁16との間の空間は、それぞれ
ポンプ室39,40,41,42,43となっている。
【0014】フロントハウジング13とリヤハウジング
14とには一対の回転軸19,20がラジアルベアリン
グ21,37,22,38を介して回転可能に支持され
ている。両回転軸19,20は互いに平行に配置されて
いる。回転軸19,20は隔壁16に通されている。
【0015】回転軸19には複数のロータ23,24,
25,26,27が一体形成されており、回転軸20に
は同数のロータ28,29,30,31,32が一体形
成されている。ロータ23〜32は、回転軸19,20
の軸線191,201の方向に見て同形同大の形状をし
ている。ロータ23,24,25,26,27の厚みは
この順に小さくなってゆくようにしてあり、ロータ2
8,29,30,31,32の厚みはこの順に小さくな
ってゆくようにしてある。ロータ23,28は互いに噛
合した状態でポンプ室39に収容されており、ロータ2
4,29は互いに噛合した状態でポンプ室40に収容さ
れている。ロータ25,30は互いに噛合した状態でポ
ンプ室41に収容されており、ロータ26,31は互い
に噛合した状態でポンプ室42に収容されている。ロー
タ27,32は互いに噛合した状態でポンプ室43に収
容されている。
【0016】リヤハウジング14にはギヤハウジング3
3が組み付けられている。回転軸19,20は、リヤハ
ウジング14を貫通してギヤハウジング33内に突出し
ており、各回転軸19,20の突出端部には歯車34,
35が互いに噛合した状態で止着されている。ギヤハウ
ジング33には電動モータMが組み付けられている。電
動モータMの駆動力は、軸継ぎ手10を介して回転軸1
9に伝えられ、回転軸19は、電動モータMによって図
2(a),(b),(c)の矢印R1の方向に回転され
る。回転軸19の回転は歯車34,35を介して回転軸
20に伝えられ、回転軸20は図2(a),(b),
(c)の矢印R2で示すように回転軸19とは逆方向に
回転する。即ち、回転軸19,20は、歯車34,35
を用いて同期して回転される。
【0017】図1及び図2(b)に示すように、隔壁1
6内には通路163が形成されている。図2(b)に示
すように、隔壁16には通路163の入口164及び出
口165が形成されている。隣合うポンプ室39,4
0,41,42,43は、通路163を介して連通して
いる。
【0018】図2(a)に示すように、ブロック片18
には導入口181がポンプ室39に連通するように形成
されている。図2(c)に示すように、ブロック片17
には排出口171がポンプ室43に連通するように形成
されている。導入口181からポンプ室39に導入され
たガスは、ロータ23,28の回転によって隔壁16の
入口164から通路163を経由して出口165から隣
のポンプ室40へ移送される。以下、同様にガスは、ポ
ンプ室の容積が小さくなってゆく順、即ちポンプ室4
0,41,42,43の順に移送される。ポンプ室43
へ移送されたガスは、排出口171から外部へ排出され
る。ロータ23〜32は、ガスを移送するガス移送体で
ある。
【0019】図1(a)に示すように、ラジアルベアリ
ング37とロータ27との間における回転軸19の周面
にはリップシール44が配置されている。図1(b)に
示すように、リヤハウジング14にはシール収容室50
が形成されており、リップシール44がシール収容室5
0に収容されている。リップシール44は、リングケー
ス45と、リングケース45の内周側に配置されたリン
グ形状の保持金具46と、リングケース45の内周側に
配置されたリング形状の姿勢保持金具47と、リングケ
ース45を被覆するようにリングケース45に保持され
たゴム製のリップリング48と、保持金具46に保持さ
れたフッ素樹脂製のリップリング49とからなる。フッ
素樹脂製のリップリング49は、例えばポリテトラフル
オロエチレン製である。姿勢保持金具47はゴム製のリ
ップリング48とフッ素樹脂製のリップリング49との
間に配置されている。
【0020】リング形状の姿勢保持金具47は、ポンプ
室43側に最大径を有し、ギヤ収容室331側に最小径
を有する。回転軸19,20の軸線191,201の方
向における姿勢保持金具47の中間部は、回転軸19,
20の周面に対して略平行となっている。ゴム製のリッ
プリング48及びフッ素樹脂製のリップリング49は、
回転軸19,20の軸線191,201の方向において
姿勢保持金具47に沿う形状にしてある。リップシール
44は、シール収容室50から離脱不能にサークリップ
51によって位置規制されている。
【0021】ラジアルベアリング38とロータ32との
間における回転軸20の周面にもリップシール44と同
様のリップシール44Aが配置されている。リップシー
ル44Aは、リヤハウジング14に形成されたシール収
容室52に収容されている。リップシール44Aは、シ
ール収容室52から離脱不能にサークリップ53によっ
て位置規制されている。
【0022】図3はリップシール44,44Aに回転軸
19,20を通していない状態を示す。図1(a),
(b)に示すようにシール収容室50,52にリップシ
ール44,44Aを組み付けてリップシール44,44
Aに回転軸19,20を通した状態では、ゴム製のリッ
プリング48の内周側及びフッ素樹脂製のリップリング
49の内周側が回転軸19,20の周面に接触する。回
転軸19の周面に対して摺接するリップシール44のフ
ッ素樹脂製のリップリング49の摺接部には螺旋溝49
1が形成されている。回転軸20の周面に対して摺接す
るリップシール44Aのフッ素樹脂製のリップリング4
9の摺接部には螺旋溝492が形成されている。リップ
シール44の組立前のフッ素樹脂製のリップリング49
は、図4(b)に示すように平板なリングである。螺旋
溝491は図4(b)に示すように形成される。リップ
シール44Aの組立前のフッ素樹脂製のリップリング4
9は、図4(a)に示すように平板なリングである。螺
旋溝492は図4(a)に示すように形成される。
【0023】ギヤハウジング33内のギヤ収容室331
には潤滑油(図示略)が貯留されており、この潤滑油が
歯車34,35及びラジアルベアリング37,38を潤
滑する。歯車機構を構成する歯車34,35及び軸受け
であるラジアルベアリング37,38を収容するギヤハ
ウジング33は、油存在領域である。リップシール4
4,44Aのゴム製のリップリング48は、リングケー
ス45よりもギヤ収容室331側に配置されている。リ
ップシール44,44Aのフッ素樹脂製のリップリング
49は、リングケース45よりもポンプ室43側に配置
されている。ギヤ収容室331内の潤滑油は、リップシ
ール44,44Aのゴム製のリップリング48を潤滑す
る。
【0024】第1の実施の形態では以下の効果が得られ
る。 (1-1)多段ルーツポンプ11の運転開始前には、ポン
プ室39〜43内の圧力は大気圧相当であり、運転開始
直後にはポンプ室39〜43内の圧力は、圧縮によって
大気圧よりも高くなる。ガス排気が進むと、ポンプ室3
9〜43内の圧力は負圧状態に移行する。ポンプ室43
側に配置されたフッ素樹脂製のリップリング49は、負
圧から正圧にわたって変動するポンプ室43の圧力をシ
ールする。油存在領域であるギヤ収容室331側に配置
されたゴム製のリップリング48は、ギヤ収容室331
の圧力をシールする。ギヤ収容室331の圧力は、ロー
タ23〜32の動作によって圧力変動を来さない大気圧
相当の圧力不変領域である。ポンプ室43の圧力は、フ
ッ素樹脂製のリップリング49によってシールされるた
め、ポンプ室43の圧力がゴム製のリップリング48に
波及することはない。そのため、回転軸19,20の周
面に対するゴム製のリップリング48の緊迫力は、ギヤ
収容室331の大気圧相当の圧力のみを考慮した低い緊
迫力で済み、ゴム製のリップリング48における面圧は
低くて済む。又、ゴム製のリップリング48は、ギヤ収
容室331内の潤滑油で潤滑される。その結果、ゴム製
のリップリング48の早期摩耗が防止され、リップシー
ル44,44Aの寿命が長くなる。
【0025】(1-2)フッ素樹脂は耐摩耗性に優れてお
り、フッ素樹脂製のリップリング49は油潤滑を必要と
しない。ポンプ室39〜43でガス圧縮を受けて移送さ
れるガスの種類〔例えば、パーフルオロカーボン(PF
C)ガス等〕によっては、潤滑油に化学反応を起こさせ
て潤滑油を劣化させる。そのため、多段ルーツポンプ1
1におけるポンプ室39〜43内での潤滑油の使用は行
われない。潤滑油を存在させたくない無潤滑領域のポン
プ室43側にフッ素樹脂製のリップリング49を配置し
た構成は、リップシール44,44Aの長寿命化の達成
に最適である。
【0026】(1-3)ポンプ溝である螺旋溝491は、
回転軸19の回転方向〔図2(a),(b),(c)に
矢印R1で示す方向)に辿るにつれてリップシール44
のフッ素樹脂製のリップリング49側からゴム製のリッ
プリング48側へ移行してゆく。ポンプ溝である螺旋溝
492は、回転軸20の回転方向〔図2(a),
(b),(c)に矢印R2で示す方向)に辿るにつれて
リップシール44Aのフッ素樹脂製のリップリング49
側からゴム製のリップリング48側へ移行してゆく。ゴ
ム製のリップリング48を潤滑する潤滑油がゴム製のリ
ップリング48と回転軸19,20の周面との間からフ
ッ素樹脂製のリップリング49側へ洩れた場合にも、螺
旋溝491,492が回転軸19,20との間の相対回
転によって洩れ油をゴム製のリップリング48側へ送り
返す。従って、ギヤ収容室331内の潤滑油がポンプ室
43へ侵入することはない。
【0027】(1-4)ポンプ室39〜43内に潤滑油を
存在させたくないルーツポンプ11は、本発明の適用対
象として好適である。次に、図5の第2の実施の形態を
説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号
が付してある。
【0028】回転軸19,20の周面に対して摺接する
リップシール44,44Aのゴム製のリップリング48
の摺接部には固体潤滑層54が設けられている。本実施
の形態では、固体潤滑層54は、二硫化モリブデンとグ
ラファイトとポリアミドイミド系の熱硬化性樹脂との混
合物である。二硫化モリブデン及びグラファイトは固体
潤滑剤として優れており、ポリアミイミド系の熱硬化性
樹脂は接着剤として機能する。リップシール44,44
Aの組立前にゴム製のリップリング48の摺接部にこれ
らの混合物を塗布してから乾燥すれば、固体潤滑層54
が摺接部に付着する。前記混合物の塗布は、スプレー塗
装、パッド印刷等によって行える。
【0029】固体潤滑剤としては、四フッ化エチレンな
どのポリマー、二硫化モリブデン、グラファイト、二硫
化タングステン、酸化鉛、窒化ホウ素や、鉛、金、イン
ジュウム、錫等の軟質金属等を単独、あるいは複数を組
み合わせた物が使用可能である。接着剤としてはポリイ
ミド系、ポリイミド系の熱硬化性樹脂が使用可能であ
る。鉛、金、インジュウム、錫等の軟質金属はメッキ法
により形成してもよい。
【0030】多段ルーツポンプ11を組み付けた後には
ギヤハウジング33に潤滑油が入れられているが、多段
ルーツポンプ11の組み付け後の多段ルーツポンプ11
の初動時には潤滑油がシール収容室50,42へ充分に
供給されない。そのため、ゴム製のリップリング48の
摺接部と回転軸19,20との間では潤滑油による潤滑
が不足している。固体潤滑層54がない場合には、ゴム
製のリップリング48はフッ素樹脂製のリップリング4
9に比して摩耗しやすい。固体潤滑層54は、多段ルー
ツポンプ11の初動時の潤滑油不足による摩耗を引き受
ける。従って、多段ルーツポンプ11の初動時のシール
収容室50,52における潤滑油不足によるゴム製のリ
ップリング48の異常摩耗が防止される。このようなゴ
ム製のリップリング48の異常摩耗の防止は、リップシ
ール44,44Aの長寿命化をもたらす。
【0031】次に、図6の第3の実施の形態を説明す
る。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付し
てある。リング形状の姿勢保持金具47Bは、回転軸1
9,20の軸線191,201の方向における中間部に
最大径となる屈曲部471を有する。ゴム製のリップリ
ング48は、図6において屈曲部471よりも左側で姿
勢保持金具47Bに沿う形状にしてある。フッ素樹脂製
のリップリング49Bは、図6において屈曲部471よ
りも右側で姿勢保持金具47B及びリング形状の保持金
具46Bに沿う形状にしてある。即ち、ゴム製のリップ
リング48とフッ素樹脂製のリップリング49Bとは、
回転軸19,20の半径方向へ回転軸19,20の周面
へ近づくにつれて離れてゆく。回転軸19,20に対す
るフッ素樹脂製のリップリング49Bの摺接部には螺旋
溝491B,492Bが形成されている。
【0032】多段ルーツポンプ11の運転開始直後のポ
ンプ室43における大気圧を越えた圧力は、フッ素樹脂
製のリップリング49Bによってシールされる。ポンプ
室43内の大気圧を越えた圧力に対するフッ素樹脂製の
リップリング49Bのシール性は、第1の実施の形態に
おけるフッ素樹脂製のリップリング49よりも優れてい
る。螺旋溝491B,492Bは、第1の実施の形態に
おける螺旋溝491,492と同じ作用をもたらす。
【0033】本発明では以下のような実施の形態も可能
である。 (1)第1〜第3の実施の形態における螺旋溝を省略す
ること。 (2)回転軸に対するフッ素樹脂製のリップリングの摺
接部に固体潤滑層を設けること。 (3)ルーツポンプ以外の真空ポンプに本発明を適用す
ること。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように本発明では、ゴム製
のリップリングを油存在領域側に配置すると共に、樹脂
製のリップリングをポンプ室側に配置したので、真空ポ
ンプにおいて良好なシール性能を確保しつつリップシー
ルの長寿命化を達成し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示し、(a)は多段ルーツ
ポンプ11全体の平断面図。(b)は要部拡大平断面
図。
【図2】(a)は図1のA−A線断面図。(b)は図1
のB−B線断面図。(c)は図1のC−C線断面図。
【図3】要部拡大平断面図。
【図4】(a)はリップシール44A側のフッ素樹脂製
のリップリング49の展開図。(b)はリップシール4
4側のフッ素樹脂製のリップリング49の展開図。
【図5】第2の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【図6】第3の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【符号の説明】
11…真空ポンプである多段ルーツポンプ。19,20
…回転軸。23,24,25,26,27,28,2
9,30,31,32…ガス移送体となるロータ。33
1…油存在領域となるギヤ収容室。34,35…歯車機
構を構成する歯車。37,38…軸受けとなるラジアル
ベアリング。43…ポンプ室。44,44A…リップシ
ール。48…ゴム製のリップリング。49…樹脂製のリ
ップリング。491,492…ポンプ溝である螺旋溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16J 15/32 311 F16J 15/32 311M (72)発明者 川口 真広 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H003 AA05 AC00 AD03 BC01 3H029 AA06 AA09 AA16 AB06 BB01 BB44 CC03 CC05 CC16 CC17 CC20 CC39 3J006 AE05 CA01 CA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸の回転に基づいてポンプ室内のガス
    移送体を動かし、前記ガス移送体の動作によってガスを
    移送して吸引作用をもたらす真空ポンプにおいて、 油存在領域と前記ポンプ室との間の前記回転軸の周面上
    に配置されたゴム製のリップリングと、 前記油存在領域と前記ポンプ室との間の前記回転軸の周
    面上に配置された樹脂製のリップリングとを備え、 前記ゴム製のリップリングを前記油存在領域側に配置す
    ると共に、前記樹脂製のリップリングを前記ポンプ室側
    に配置した真空ポンプにおける軸封構造。
  2. 【請求項2】前記樹脂はフッ素樹脂である請求項1に記
    載の真空ポンプにおける軸封構造。
  3. 【請求項3】前記樹脂製のリップリングは、前記回転軸
    の周面に対して摺接する部位にポンプ溝を有し、前記ポ
    ンプ溝は、前記回転軸の回転方向に辿るにつれて前記樹
    脂製のリップリング側から前記ゴム製のリップリング側
    へ移行してゆく請求項1及び請求項2のいずれか1項に
    記載の真空ポンプにおける軸封構造。
  4. 【請求項4】前記油存在領域は、前記回転軸を回転可能
    に支持するための軸受けを収容する領域である請求項1
    乃至請求項3のいずれか1項に記載の真空ポンプにおけ
    る軸封構造。
  5. 【請求項5】前記真空ポンプは、複数の前記回転軸を平
    行に配置すると共に、前記各回転軸上にロータを配置
    し、隣合う回転軸上のロータを互いに噛み合わせ、互い
    に噛み合った状態の複数のロータを1組として収容する
    複数のポンプ室、又は単一のポンプ室を備えた真空ポン
    プである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の
    真空ポンプにおける軸封構造。
  6. 【請求項6】複数の前記回転軸は、歯車機構を用いて同
    期して回転され、前記油存在領域は、前記歯車機構を収
    容する領域である請求項5に記載の真空ポンプにおける
    軸封構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6726212B2 (en) 1997-09-25 2004-04-27 Transcom, Inc. Retrofittable severe duty seal for a shaft
JP2007225088A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Mitsubishi Cable Ind Ltd 回転軸シール
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