JP3413192B2 - 電子放出素子及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子及び画像形成装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極型の電子放
出素子及び該素子を用いた画像形成装置の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】電子線発生源としては、熱陰極からの熱
電子放出が用いられてきた。このような熱陰極を利用し
た電子放出は、加熱によるエネルギーロスが大きい点、
加熱手段の形成が必要である点、及び予備加熱にかなり
の時間を要する点や熱により系が不安定になり易いとい
う点で問題があった。
【0003】そこで、加熱によらない電子放出素子の研
究が進められており、その中の一つに電界放出型の電子
放出素子がある。
【0004】従来からの電界放出型陰極を用いた電子源
は数多く報告されている。図9は電界放出型冷陰極電子
源の一例を示す斜視図である。同図において91はSi
等の基板であり、92は基板上に形成された円錐形状の
冷陰極、93はSiO2等の絶縁層、94は絶縁層93
を介して基板上に形成された、貫通孔95を有する引き
出し電極である。同図に示したように、電界放出型電子
放出素子は冷陰極92と引き出し電極94を対向させ、
引き出し電極94に高電圧を印加し電子を放出させるも
のであり、円錐状の冷陰極先端の曲率半径は0.5ミク
ロン以下の針状に形成されている。冷陰極92と引き出
し電極94の間に所定の電圧を印加した場合、陰極の先
端には108V/cm程度の強電界が発生し、電子放出
が生じるため、陰極先端部の微小面積に電流が集中す
る。そこで従来では冷陰極材料に熱的に安定なタングス
テン、モリブデン、タンタル、炭素等の熱的に安定な高
融点金属材料が使用されてきた。
【0005】一方、従来、簡単な構造で電子の放出が得
られる素子として、例えばエム アイ エリンソン
(M.I.Elinson)等によって発表された冷陰
極素子が知られている[ラジオ エンジニアリング エ
レクトロン フィジックス(Radio Eng.El
ectron Phys.)第10巻,1290〜12
96頁,1965年]。
【0006】これは、基板上に形成された小面積の薄膜
に、膜内に平行に電流を流すことにより、電子放出が生
ずる現象を利用するもので、一般には表面伝導形電子放
出素子と呼ばれている。
【0007】この表面伝導形電子放出素子としては、前
記エリンソン等により開発されたSnO2(Sb)薄膜
を用いたもの、Au薄膜によるもの[ジー・ディトマー
“スイン ソリド フィルムス”(G.Dittme
r:“Thin SolidFilms”),9巻 3
17頁,(1972年)]、ITO薄膜によるもの[エ
ム ハートウェル アンド シージーフォンスタッド
“アイイーイーイートランス“イーディーコンファレン
(M.Hartwell and C.G.Fonst
ad;“IEEE Trans.ED Conf.”)
519頁,(1975年)]、カーボン薄膜によるもの
[荒木久他:“真空”第26巻,第1号,22頁,(1
983年)]などが報告されている。
【0008】これらの表面伝導形電子放出素子の典型的
な素子構成を図6に示す。同図において、73及び74
は電気的接続を得るための電極、72は電子放出材料で
形成される薄膜、71は基板、75は電子放出部を示
す。
【0009】従来、これらの表面伝導形電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に予めフォーミングと呼ば
れる通電加熱処理によって電子放出部を形成する。即
ち、前記電極73と電極74の間に電圧を印加する事に
より、薄膜72に通電し、これにより発生するジュール
熱で薄膜72を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部75を形成
することにより電子放出機能を得ている。
【0010】尚、電気的に高抵抗状態とは、薄膜72の
一部に、0.5μm〜5μmの亀裂を有し、且つ亀裂内
がいわゆる島構造を有する不連続状態膜をいう。島構造
とは一般に数十Åから数μm径の微粒子が基板71にあ
り、各微粒子は空間的に不連続で電気的に連続な膜をい
う。
【0011】従来、表面伝導形電子放出素子は上述高抵
抗不連続膜に電極73,74により電圧を印加し、素子
表面に電流を流すことにより、上述微粒子より電子を放
出せしめるものである。
【0012】しかしながら、上記の様な従来の通電加熱
によるフォーミング処理によって製造された電子放出素
子には、次のような問題点があった。 1)電子放出部となる島構造の設計が不可能なため、素
子の改良が難しく、素子間のバラツキも生じやすい。 2)フォーミング工程の際に生じるジュール熱が大きい
為、基盤が破壊し易くマルチ化が難しい。 3)島の材料が金、銀、SnO2、ITO等に限定され
た仕事関数の小さい材料が使えないため、大電流を得る
ことができない。
【0013】以上のような問題点があるため、表面伝導
形電子放出素子は、素子構造が簡単であるという利点が
あるにもかかわらず、産業上積極的に応用されるには至
っていなかった。
【0014】本発明者等は上記問題点を鑑みて検討した
結果、特願昭63−107570号公報、特願昭63−
110480号公報において電極間に微粒子膜を配置し
これに通電処理を施すことにより電子放出部を設ける新
規な表面伝導形電子放出素子を提案した。この新規な電
子放出素子の構成図を図7に示す。同図において、76
は微粒子膜である。
【0015】この電子放出素子の特徴としては次のよう
なことが挙げられる。 1)微粒子膜76に非常に少ない電流を流すことで電子
放出部75を形成できるので素子劣化のない素子が形成
でき、さらに電極の形状を任意に設計できる。 2)微粒子膜を形成する微粒子自身が電子放出の構成材
となる為、微粒子の材料や形状等の設計が可能となり電
子放出特性を変えることができる。 3)素子の構成材である基板71や電極の材料の選択性
が広がる。
【0016】また、従来より、面状に展開した複数の電
子放出素子とこの電子放出素子から放出された電子線の
照射を各々受ける蛍光体ターゲットとを各々相対向させ
た薄形の画像表示装置が存在する。これら電子線ディス
プレイ装置は、基本的に次のような構造からなる。
【0017】図8は従来のディスプレイ装置の概要を示
すものである。81は基板、82は支持体、83は配線
電極、84は電子放出部、85は電子通過孔、86は変
調電極、87はガラス板、88は画像形成部材で、例え
ば蛍光体、レジスト材等電子が衝突することにより発
光,変色,帯電,変質等する部材から成る。89は蛍光
体の輝点である。
【0018】ここで、電子放出部84は薄膜技術により
形成され、ガラス基板81とは接触することがない中空
構造をなすものである。配線電極83は電子放出部材と
同一の材料を用いて形成しても、別材料を用いても良
く、一般に融点が高く電気抵抗の小さいものが用いられ
る。支持体82は絶縁体材料もしくは導電体材料で形成
されている。
【0019】これら電子線ディスプレイ装置は、配線電
極83に電圧を印加せしめ中空構造をなす電子放出部よ
り電子を放出させ、これら電子流を情報信号に応じて変
調する変調電極86に電圧を印加することにより電子を
取り出し、取り出した電子を加速させ蛍光体88に衝突
させるものである。また、配線電極83と変調電極86
でXYマトリックスを形成せしめ、画像形成部材たる蛍
光体88上に画像表示を行うものである。
【0020】一方、縦横等間隔で面状に複数の電子源を
展開した電子放出装置が知られている(特開昭56−2
8445号公報)。しかしながら、残念なことに、上記
電子放出装置では、電子源としてコイル状ヒータ形式の
熱カソードを用いているため、電子放出効率が低く、し
かも構造が複雑化してしまい、装置の消費電力や製造コ
ストが莫大なものとなることから、実用化されるまでに
は至っていない。
【0021】更には、この電子源から電子ビームの照射
を各々受ける蛍光体ターゲットとを各々相対向させた薄
形の画像形成装置を構成すると、構造が複雑なため1つ
のライン状電子源に対して複数画素もしくは1つの電子
源に対して1画素を形成する構造のみしか構成できない
ことから、電子源に欠陥が生ずると、 1)各電子源からの電子照射領域間に大きな隙間を生じ
る。 2)各電子源からの電子照射領域間に過度の重複を生じ
る。 3)各電子源からの電子放出量が異なり、場所によって
蛍光体の発光輝度が異なる、いわゆる表示むらを生じ
る。などの問題点がある。
【0022】また、上述した通電加熱を施す従来の電子
放出素子においては、通電加熱に要するパワーが大きい
ため、電子放出部や基板の劣化が著しく、電子放出特性
や電子放出部の位置を制御することは不可能である。
【0023】また、上述した熱カソードを複数個電気的
に直列に接続構成し、その両端に電圧を印加すると、 1)直列に2素子以上の複数個を構成したうちの1素子
のみを動作させることができない。 2)印加電圧が分圧され、各素子を駆動する駆動電圧が
高くなり、消費電力が増大する。 3)各素子の素子抵抗による電圧降下量が増大し、電子
放出量が異なり、場所によって蛍光体の発光輝度が異な
る、いわゆる表示むらを生じる。などの問題がある。
【0024】また、従来の通電加熱を施す上記素子をラ
イン状にマルチに配置した例では、上記素子の電子放出
部が直線的にライン状に規則正しく配置されていて、ラ
イン状に並んだ点発光の発光部を得るには、図3に示す
如く、発光部108の間隔が非常に広い電子放出が点発
光のライン電子源を構成しているため、複数個の素子を
ライン状に、規則正しくマルチに配置した場合、発光部
108の間隔の広い、即ち電子源の間隔の非常に広い、
点発光の電子源しか得られず、高密度に構成されたライ
ン状の電子源が得られないという欠点がある。
【0025】また、上述した通電加熱を施す従来の電子
放出素子においては、通電加熱に要するパワーが大きい
ため、電子放出部や基板の劣化が著しく、電子放出特性
や電子放出部の位置を制御することは不可能であった。
【0026】以上の問題点があるため、表面伝導形電子
放出素子は、素子構造が簡単でかつ、2つ以上の複数の
素子をライン状に配置することが容易であるにもかかわ
らず、産業分野として積極的に応用されるには至ってい
なかった。
【0027】また、上記従来の欠点を改善する為に素子
形状を検討し、発光部の広がりを小さくする為に図6の
薄膜72のL1寸法の小さい素子を作製したが、薄膜7
2のL1を小さくするとフォーミング工程時に電子放出
部に著しく欠陥が生じた。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】従来型の電界放出型電
子放出素子は図9に示したように陰極先端を微小な曲率
半径に加工する必要があり、一般的に陰極先端を電界研
磨したあとリモルディングによって形成していた。この
工程は多くの手間を要し煩雑であると共に、経験的な要
素が強く、再現性の点で問題であった。
【0029】また、こうした電界放出型冷陰極では電子
放出させるために陰極と引き出し電極の間に100V以
上の高電圧を印加する必要があり、駆動回路のIC化が
困難であった。
【0030】更に、陰極先端の曲率半径の僅かな変化が
電子放出特性に大きく影響を与え、放出電流の不安定
化、陰極先端の破壊を引き起こす等、製造上のネックと
なると共に、特殊用途を除いて一般的には実用には供さ
れていない。更にまた、陰極先端と引き出し電極との間
の距離及び位置関係が電子放出特性、特に放出電流の変
化に影響を与え、均一な放出電流を得るためには、数百
オングストローム以下の制御性が必要である。
【0031】こうした製造上の困難さは電界放出型電子
放出素子の応用を著しく制限している。例えば今日、電
子線を用いた装置として、平面内に数百万個の電子放出
素子を配列し、蛍光体を塗布したフェースプレートに放
出された電子線を照射して画像を表示するディスプレイ
が考えられているが、前述したように電界放出型電子放
出素子の場合には数百万素子を数百オングストローム以
下の精度で均一に製造することは極めて困難であり、製
造時のバラツキはそのまま表示画像のバラツキ或いはム
ラとして現われるため、実用には至っていない。
【0032】また、上述の電界放出型電子放出素子を複
数面状に展開した電子線描画装置が考えられているが、
電子線描画装置の場合はディスプレイに比べ更に高密度
且つ均一な電子放出素子が要求され、冷陰極先端と引き
出し電極に設けられた貫通孔との位置関係が極めて重要
となる。貫通孔の中心と陰極先端の位置ずれは放出電流
を桁違いに変化させると共に、電子線の射出方向を著し
く変化させ、微細パターン形成に必要な集束性の良い電
子線を得ることを困難にしている。
【0033】一方、上記発明者等が先に提案した表面伝
導形電子放出素子においては、図7に示す如く、電極間
の微粒子膜76内に電子放出部75が形成され、該電子
放出部75が電子の放出位置になっているが、実際に
は、電子放出部75は0.01μm〜0.5μmの微細
な範囲から形成されており、その位置は、微粒子膜の形
成条件や通電処理の条件等によってばらつきが生じ、電
極間の所定の位置に正確に配置することが困難であっ
た。
【0034】図7において、電子放出部は直線的に描か
れているが、実際には電極74及び73の間でかなり蛇
行しており、通電条件によりその形態はかなり変化し、
電子放出部の実効的な位置及び長さが設計できなかっ
た。
【0035】一般に、電極73と電極74の間隔は0.
5μm〜50μmであるが、電極間が広くなる程電子放
出部の位置を制御することが難しかった。
【0036】このような電子放出部の位置のばらつき
は、電子放出素子として応用する場合、電子放出量にば
らつきを生じ、特にこれらの素子を複数配置した面状電
子源として応用する場合には、場所によって電子放出量
が変わるという問題があった。
【0037】面状電子源の有効な応用として、特開昭5
6−28445号公報にあるような、面状に展開した複
数の電子源と、この電子源から電子ビームの照射を各々
受ける蛍光体ターゲットとを、各々相対向させた薄形の
画像形成装置があるが、この画像形成装置の電子源とし
て上記表面伝導形電子放出素子を応用すると、各素子の
電子放出量が異なる為、場所によって蛍光体の蛍光輝度
が異なり表示むらを生じていた。
【0038】また、上述した通電加熱を施す従来の電子
放出素子においては、通電加熱に要するパワーが大きい
為電子放出部や基板の劣化が著しく、電子放出特性や電
子放出部の位置を制御することは不可能であった。
【0039】即ち、本発明の目的とするところは、上述
のような問題点を解消し得る電子放出素子及び該素子を
用いた画像形成装置を提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の、本発明の特徴とする構成は、下記の通りである。
【0041】即ち本発明の第1は、基板上に、複数の相
対向する突出部を有する一対の電極を形成する工程
該電極間に導電性の微粒子膜を形成する工程と該一対
の電極を介して当該導電性の微粒子膜に通電し、該複数
の相対向する突出と突出部間との間を結ぶ直線状の
電子放出部を形成する工程とを有することを特徴とする
電子放出素子の製造方法である。
【0042】更に、本発明の第2は、真空容器内に、少
なくとも電子放出素子を複数配置した電子源と、該電子
源から放出された電子の照射により画像を形成する画像
形成部材とを設けた画像形成装置の製造方法であって、
前記放出素子を請求項1に記載の方法にて製造すること
を特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0043】本発明の第1及び第2の基本的技術思想
は、相対向する電極間に形成された微粒子膜の中に、電
子放出部を一定の形状に形成するため、その一部に通電
処理時に電界集中しやすい部位を予め設けておくこと
よって前記課題を解決するものである。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、第1の発明の構成要素及び
作用について詳述する。
【0045】本発明における微粒子膜としては、粒径が
十数Åから数μmの導電性微粒子の膜、あるいはこれら
導電性微粒子が分散されたカーボン薄膜等が挙げられ
る。その材料はPd,Ag,Au,Ti等の金属、Pd
O,SnO2等の酸化物導電体等導電性材料であればど
れを用いても構わない。そしてこれらの膜はガスデポジ
ション法や分散塗布法等により電極間に形成される。
【0046】形状が定まった不連続な電子放出部の形成
方法としては様々な方法が考えられるが、その一例とし
ては次のようなものがある。
【0047】図1は、本発明の一実施態様を示す素子構
成図である。
【0048】同図において21は絶縁性基板、23と2
4は電極、25は微粒子膜、26は電子放出部である。
【0049】従来の電子放出素子は、電極の間隔が放出
部幅全域にわたって一定であるが、本発明では、放出部
26を形成する電極23,24間に、更に電界集中を起
こし易い突起27をあらかじめ設けておくことで形状、
特性の定まった放出部を直線状に形成することができ
る。電極23と24の間隔は、通常の電子放出素子の場
合には0.1ミクロン〜100ミクロンが望ましく、一
般には0.5ミクロン〜10ミクロンが実用的である。
しかるに、上記範囲の素子では電極間に形成される電子
放出部は直線状には形成されず、電極間隔の1/2程度
の範囲でばらつき及び蛇行を生じてしまう。そこで、本
発明による突起部27を電極間隔と同程度のピッチで配
置することで突起部27を結ぶ直線状に微小放出部が均
一に形成されることになる。本発明における突起部を設
けた場合に適用できる電極の間隔は、5ミクロン以下で
あるがより高精度の放出部配置を要求される場合には1
ミクロン以下とする必要がある。1ミクロンの電極間隔
に1ミクロンピッチで突起部27を設けた場合には突起
部間に形成される放出部はほぼ100オングストローム
以下のばらつきの範囲で一直線に形成される。
【0050】本発明における突起部27の形状は三角形
を対向させる、或いは台形の短辺を対向させる等、さま
ざまな形状が可能であるが特にこれらに限定されるもの
ではない。
【0051】電界集中部位の形成方法としては、図2に
示すように対向する電極の一部に電極間隔をさらに狭め
るような突起部27を予め作り込むことが最も容易であ
る。また、突起27と27’とがつながっているものを
フォーミング時に焼切ってもよい。
【0052】この電界集中部に沿って電子放出部が形成
されるため、突起間の距離gと突起の幅wの関係はg≦
wが望ましく、具体的にはgは0.5μm〜5μmが実
用的である。
【0053】次に、電極間に有機金属を分散塗布し、そ
の後焼成することにより電極間に金属微粒子膜を形成す
る。金属微粒子膜の径は数十Å〜数μmが好ましく、そ
の材料はPd,Ag,Au,Ti等の金属、PdO,S
nO2等の酸化物導電体等導電性材料であればどれを用
いても構わない。また、微粒子膜の形成方法は、通常良
く用いられるガスデポジション法等の超微粒子膜の形成
等いずれの方法を用いても構わない。
【0054】以上のように、電極間がさらに狭くなるよ
うな電極の突起を設けることで、図2に示す様に電子放
出部26が直線状に形成され、上述従来例のような電子
放出部が蛇行することはなくなる。
【0055】通電処理の方法は、微粒子膜を通電加熱に
よりその一部を高抵抗化して電子放出部を形成するもの
や、微粒子膜に通電することによりその一部を低抵抗化
して電子放出部を形成するものがあるがいずれを用いて
も構わない。
【0056】係る通電処理時に微粒子膜の構造が変わ
り、上述したような不連続な電子放出部が形成される。
実際、突起部27がこの構造変化にどのような役割を果
たしているかは不明であるが、発明者等は突起部27で
温度分布或は電界分布が不連続となり、それが原因で突
起に沿って電子放出部が形成されるものと推測してい
る。
【0057】本発明第1の電子放出素子では、電界集中
を生ずる部分が通電処理によって放出部となり、次に該
放出部を中心として隣接する微粒子膜部分が電子放出部
化するというプロセスを経る。
【0058】本発明の電子放出素子は、形状が定まった
電子放出部と電子放出部を挟み電気的に接続された微粒
子膜と該電子放出部と該微粒子膜に電流を通電する為の
電極を設けるという素子構成であり、従来例と比較すれ
ば電子放出素子の形状と位置が正確に設計できるので、
電子放出特性の制御が可能であるばかりでなく素子の再
現性が得られるようになる。
【0059】前述した複数の電子放出素子を設けた画像
形成装置において、本発明の電子放出素子を用いれば、
各素子の電子放出量が同等となる為、表示むらがない良
好な画像が形成される。
【0060】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳述する。
【0061】(実施例1) 以下に述べる様に、図2に示した電子放出素子を作製し
た。十分脱脂洗浄を行ったガラス基板上に、通常のフ
ォトリソグラフィ技術を用いてリフトオフ用レジストを
形成した後、真空蒸着によって電極23,24を形成し
た。用いた電極材料はTi50Å,Ni950Åを積層
した構成であり、同図に示したように、放出部となる部
分の電極幅は300μm,電極23,24間の距離は1
μmである。また電極23,24に付加された突起27
は同図に示したように対向する三角形とし、頂点間の距
離を0.5μm,突起27の幅を1μm,突起のピッチ
を1μmとして形成した。次に、で形成した電極基
板上に、全面にわたってCr薄膜1000Åを真空蒸着
により形成した後、微粒子膜25を設ける部分のCr薄
膜のみをエッチング除去した。次にまでで得られた
電極基板上に、有機パラジウム化合物を含む有機溶媒
(奥野製薬工業製キャタペーストCCP)を回転塗布し
た後、大気中300℃,10分間の焼成を行い、電極2
3,24間にPd微粒子から成る不連続な微粒子膜25
を形成した。最後に、で形成したCr薄膜を全てエ
ッチング除去して図2に示した電子放出素子を完成し
た。
【0062】こうして得られた電子放出素子の電極23
をプラス側、電極24をアース側となるように電源を接
続し、微粒子膜25に直流4Vまでの通電処理を行っ
た。その結果、図2に示したように、電極23,24の
ほぼ中央に、直線状に放出部26が形成された。
【0063】ここで通電処理前の微粒子膜の厚さは数十
Åから200Åが実用的であるがこれに限るものではな
い。尚、この時の微粒子膜のシート抵抗は103〜108
Ω/□程度である。
【0064】尚、微粒子膜25の膜厚は、電子放出部規
定部材を含めて電極間でほぼ均一であると考えられる。
【0065】本実施例では、通電処理において電流の流
れる向きを電極23側から電極24側にしたが、本実施
例においては電流の流れる向きに関係なく、再現良く上
述した位置に電子放出部を形成できる。
【0066】(比較例) 比較例として、図4に示した電子放出素子を作製した。
同図において23,24は電極、25は微粒子膜、26
が放出部である。電極23,24の幅は実施例1と同様
に300μmであるが、突起27を設けないため、電極
間隔が1μm一定である。
【0067】本素子を実施例1同様電極23をプラス
側,電極24をアース側として通電処理を行ったとこ
ろ、同図で模式的に示したように、1μm電極間で放出
部がほぼ2000Åの幅で蛇行し、特にDCで長時間連
続駆動した場合に、部分的に放電が発生して、次第に放
出電流が減少する傾向にあった。
【0068】(実施例2) 図5は、本実施例の画像形成装置を示す構成図である。
本実施例の面状電子源は、実施例1の電子放出素子を複
数配列したもので、とくに電極53と電極54の間に電
子放出素子を並列に配置した線電子源を複数本基板に規
則正しく設けたものである。
【0069】同図において、59はグリッド電極,60
は電子通過孔,63はガラス板,62は蛍光体,61は
アルミニウム材からなるメタルバック,65はフェース
プレート,64は蛍光体の輝点である。
【0070】本実施例において、グリッド電極59は複
数のライン電極群からなり、面状電子源の電極群と直角
方向に配置される。電子通過孔60は電子放出部56の
ほぼ鉛直上に設けられ、グリッド電極59を信号電極、
線電子源群を走査電極として、XYマトリックス駆動を
行い画像を形成するものである。
【0071】フェースプレート65は透明なガラス板6
3の上に蛍光体62が一様に塗布され、更にその上にメ
タルバック61を設けたものである。
【0072】本実施例の画像形成装置において、電極5
3と電極54に14Vの電圧を印加することにより各電
子放出部56から電子を放出させ、グリッド電極59に
適当な電圧を印加することにより電子を引き出し蛍光体
64に電子を衝突させた。本画像形成装置は、当然なが
ら真空度1×10-5Torr〜1×10-7Torrの環
境下に置かれ、蛍光体に500〜5000Vの電圧を印
加した。
【0073】本実施例の電子放出装置を用いた画像形成
装置では、以下の結果が得られた。 (1).本実施例は各電子放出部から放出される電子量
が等しいので明るさが均一な表示画面が得られた。 (2).本実施例は各電子放出部の位置が正確に定まっ
ているので蛍光体上の輝点もほぼ同一な形状で規則正し
い配列であった。
【0074】以上、本実施例は画像形成装置についての
み説明してきたが、画像形成部材としては、蛍光体の他
にレジスト材や薄膜金属のような電子ビームが衝突する
ことにより状態が変化する全ての部材が含まれ、電子ビ
ーム応用装置としては、記録装置,記憶装置,電子ビー
ム描画装置等の様々な装置があり、本発明は電子放出素
子が複数配置された面状電子源を用いた画像形成装置で
あれば同等の効果がある。
【0075】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の電子放出素
子は、電極間に強電界を発生する電極突起を予め設けて
おき、低電圧での通電処理を行うことで以下の効果があ
る。 (1)電子放出量や放出効率等の電子放出特性が制御で
き、さらに素子間での特性のばらつきの少ない電子放出
素子が実現できる。(2) 画像形成装置として均一な発光輝度の画像表示が
可能となる。(3) 電子放出部の位置が正確に定まるので、画像形成
装置として蛍光体の輝点形状が均一な画像表示が得られ
る。(4) 電子放出部の位置が正確に定まるので、画像形成
装置として変調電極の形状設計や制御系が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の構成図である。
【図2】本発明の電子放出素子の放出部の構成図であ
る。
【図3】従来の素子における電子照射領域の説明図であ
る。
【図4】比較例で作製した電子放出素子の放出部構成図
である。
【図5】実施例2で作製した画像形成装置の説明図であ
る。
【図6】従来の通電加熱によって作製された電子放出素
子の構成図である。
【図7】従来の微粒子膜に通電処理することにより作製
された電子放出素子の構成図である。
【図8】従来形電子源を用いた画像形成装置の構成図で
ある。
【図9】従来の電界放出型電子放出素子の構成図であ
る。
【符号の説明】
21 絶縁性基板 23,24 電極 25 微粒子膜 26 電子放出部 27 突起 51 絶縁性基板 53,54 電極 55 微粒子膜 56 電子放出部 59 グリッド電極 60 電子通過孔 61 メタルバック 62 蛍光体 63 ガラス板 64 蛍光体の輝点 65 フェースプレート 71 基板 72 薄膜 73,74 電極 75 電子放出部 76 微粒子膜 81 ガラス基板 82 支持体 83 素子配線電極 84 電子放出部 85 電子通過孔 86 電極 87 ガラス板 88 蛍光体 89 蛍光体の輝点 90 薄膜 91 Si基板 92 冷陰極 93 絶縁層 94 引き出し電極 95 貫通孔 107 蛍光体ターゲット 108 発光部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 理恵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 坂野 嘉和 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 野村 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 金子 哲也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 鱸 英俊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−296531(JP,A) 特許2961523(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 1/316 H01J 29/04 H01J 31/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、複数の相対向する突出部を有
    する一対の電極を形成する工程該電極間に導電性の
    微粒子膜を形成する工程と該一対の電極を介して当該
    導電性の微粒子膜に通電し、該複数の相対向する突出
    と突出部間との間を結ぶ直線状の電子放出部を形成
    工程とを有することを特徴とする電子放出素子の製造
    方法
  2. 【請求項2】 真空容器内に、少なくとも電子放出素子
    を複数配置した電子源と、該電子源から放出された電子
    の照射により画像を形成する画像形成部材とを設けた
    像形成装置の製造方法であって、前記放出素子を請求項
    1に記載の方法にて製造することを特徴とする画像形成
    装置の製造方法
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