JP2961477B2 - 電子放出素子、電子線発生装置及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子線発生装置及び画像形成装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子放出源として用いら
れる電子放出素子、詳しくは冷陰極型素子の一つである
表面伝導形電子放出素子製造方法、更には該素子を用
いた電子線発生装置並びに画像形成装置の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、簡単な構造で電子の放出が得られ
る素子として、例えばエム・アイ・エリンソン(M.
I.Elinson)等によって発表された冷陰極素子
が知られている[ラジオ エンジニアリング エレクト
ロン フィジックス(RadioEng.Electr
on.Phys.)第10巻,1290〜1296頁,
1965年]。
【0003】かかる素子は、基板上に形成された小面積
の薄膜に、膜内に平行に電流を流すことにより、電子放
出が生ずる現象を利用するもので、一般には表面伝導形
放出素子と呼ばれている。
【0004】この表面伝導形放出素子としては、前記エ
リンソン等により開発されたSnO2 (Sb)薄膜を用
いたもの、Au薄膜によるもの[ジー・ディトマー“ス
インソリッド フィルムス”(G.Dittmer:
“Thin Solid Films”),9巻,31
7頁(1972年)]、ITO薄膜によるもの[エムハ
ートウェル アンド ジーシーフォンスタッド“アイイ
ーイーイートランス”イーディーコンファレンス(M.
Hartwell and C.G.Fonstad:
“IEEE Trans.ED Conf.”)519
頁,(1975年)]、カーボン薄膜によるもの[荒木
久,他:“真空”第26巻,第1号,22頁,(198
3年)]などが報告されている。
【0005】これらの表面伝導形放出素子の典型的な素
子構成を図11に示す。同図において、2および3は電
気的接続を得るための電極、13は電子放出材料で形成
される薄膜、1は基板、4は電子放出部を示す。
【0006】従来、これらの表面伝導形放出素子におい
ては、電子放出を行う前にあらかじめフォーミングと呼
ばれる通電加熱処理によって電子放出部4を形成する。
即ち、電極2と電極3の間に電圧を印加する事により、
薄膜13に通電し、これにより発生するジュール熱で薄
膜13を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気
的に高抵抗な状態にした電子放出部4を形成することに
より電子放出機能を得ている。
【0007】なお、電気的に高抵抗な状態とは、薄膜1
3の一部に0.5〜5μmの亀裂を有し、且つ亀裂内が
所謂島構造を有する不連続状態膜をいう。島構造とは一
般に数十Åから数μm径の微粒子が基板1にあり、各微
粒子は空間的に不連続で電気的に連続な膜をいう。
【0008】従来、表面伝導形放出素子は上述の高抵抗
連続膜に電極2,3により電圧を印加し、素子表面に電
流を流すことにより、上述の微粒子より電子を放出せし
めるものである。
【0009】しかしながら、上記の様な従来の通電加熱
によるフォーミング処理によって製造された電子放出素
子には、次のような問題点がある。即ち、電子放出部
となる島構造の設計が不可能なため、素子の改良が難し
く、素子間のばらつきも生じやすい、島構造の寿命が
短く且つ安定性が悪く、また外界の電磁波ノイズにより
素子破壊も生じやすい、電気的に高抵抗な状態にする
ために必要とする最小電圧であるフォーミング電圧が大
きく、フォーミング工程の際に生じるジュール熱が大き
いため、基板が破壊しやすくマルチ化が難しい、島構
造の材料が金,銀,SnO2 ,ITO等に限定され仕事
関数の小さい材料が使えないため、大電流を得る事がで
きない、等の問題である。このため、表面伝導形電子放
出素子は、素子構造が簡単であるという利点があるにも
かかわらず、産業上積極的に応用されるには至っていな
い。
【0010】そこで本発明者等は、特開平2−5682
2号において、電極間に微粒子膜を配置し、これに通電
処理を施すことにより電子放出部を設ける新規な表面伝
導形放出素子を提案している。
【0011】この電子放出素子の特徴としては次のよう
なことが挙げられる。即ち、フォーミング時の熱量を
少なくすることができるため膜割れや基板割れを防止す
ることができ、そして島材の選択が可能で、且つ電子
放出材に微粒子膜を用いることによりフォーミング工程
に要する電圧(フォーミング電圧)が小さくて済む。
【0012】上記微粒子膜の製造方法としては、ガスデ
ィポジション法や分散塗布法等が用いられ、それらの中
でも所望材料の微粒子の分散液を回転塗布、あるいはデ
ィッピング等の手法により基板に塗布し、その後加熱処
理で溶剤,バインダー等を除去する分散塗布法が最も簡
便である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記微
粒子膜は製造方法により程度の差こそあるものの、その
膜厚に分布を生じている。本発明者等がこの点について
更に検討を重ねた結果、特に、微粒子膜形成の簡便な方
法として多用されている上記分散塗布法によって作成さ
れた微粒子膜において、その中央部(周辺部に対しての
概念)と周辺部の膜厚との間に大きな差があるものが比
較的多く見られる事がわかった。
【0014】図8は上記のような微粒子膜の中央部と周
辺部とで膜厚の大きく異なる電子放出素子の斜視図であ
り、図9はそのC−C断面図、図10はそのD−D断面
図である。これらの図において、1は基板、5は基板1
上に形成された微粒子膜、2および3は微粒子膜5と電
気的な導通を取るための電極、4は微粒子膜5内に形成
された電子放出部である。本素子においては、図9,図
10に示されるように、微粒子膜5の周辺部が盛り上が
っており、中央部と周辺部でその膜厚が大きく異なって
いる。分散塗布法を用いて所望の場所に微粒子膜を形成
する際には、通常のフォトリソグラフィで用いられるレ
ジストや金属等のマスクを形成した基板に、微粒子の分
散液を回転塗布あるいは基板を分散液中に浸漬して分散
液を塗布した後、焼成して成膜し、更にマスクを除去す
る事により局所的に形成している。
【0015】この時、所望のパターンで形成されている
マスク間に塗布された分散液はマスク材との界面におけ
る張力により、界面近傍の分散液面が界面近傍以外のそ
れよりも上昇し、また、回転塗布による場合には、さら
に遠心力によりその方向に分散液が移動する。
【0016】その結果、本素子のように、最終的に得ら
れる微粒子膜の周辺部が中央部よりも膜厚が厚くなる。
【0017】このような素子を10-5〜10-7Torr
の真空中に入れてフォーミングを行うと、微粒子膜の中
央部と周辺部でフォーミング電圧が異なり、フォーミン
グが不安定になるとともに、フォーミング電圧を上昇さ
せるという問題があった。また、真空中でこのような素
子の上部に引き出し電極を設けて電子放出させた際に
は、1素子内で輝度ムラを生じていた。
【0018】また図9に見られる様に、微粒子膜5の周
辺部がもりあがっているため、電子放出させる際に素子
が放電破壊を生じやすく、引き出し電極に印加するアノ
ード電圧をあげられず、放出電流量が低く制限されると
いう問題があった。
【0019】本発明は、このような問題点に鑑みなされ
たものであり、より低電圧での安定したフォーミングを
可能にし、均一且つより多くの放出電流量を得ることが
できる電子放出素子、更には、これを用いた電子線発生
装置,画像形成装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
特に、微粒子膜の膜厚分布とフォーミング電圧との関係
に着目し鋭意検討した結果、一様なフォーミング電圧に
より電子放出部を形成するための膜厚分布を規定し、更
には、微粒子膜の最も簡便な形成方法である分散塗布法
を用いて、上記規定を満足する微粒子膜を形成するため
の条件を鋭意検討し、以下の本発明に至ったのである。
【0021】即ち、本発明の第1は、一対の電極間を
気的に接続する微粒子膜に電子放出部を有する電子放出
素子の製造方法において、該微粒子膜が、微粒子の分散
液又は有機金属化合物溶液を塗布した後焼成したもので
あって、上記微粒子の分散液又は有機金属溶液の塗布
を、焼成後の微粒子膜の最小膜厚をt1 としたときに2
0/91 以下の膜厚を有するマスクを用いて行うこと
を特徴とする電子放出素子の製造方法にあり、また、本
発明の第2は、上記本発明第1の製造方法により製造し
電子放出素子を複数配列した電子源と、該電子源から
放出される電子線を変調する変調手段とを組み合わせる
ことを特徴とする電子線発生装置の製造方法にあり、更
に、本発明の第3は、上記本発明第1の製造方法により
製造した電子放出素子を複数配列した電子源と、該電子
源から放出される電子線を変調する変調手段と、電子線
の照射により画像を形成する画像形成部材とを組み合わ
せることを特徴とする画像形成装置の製造方法にある。
【0022】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0023】図1は本発明の電子放出素子の一例を示す
斜視図であり、図2は図1のA−A断面図である。。こ
れらの図中、1は絶縁性基板、2および3は電極、4は
電子放出部、5は微粒子膜であり、t1 は微粒子膜5の
最小膜厚、t2 は微粒子膜5の最大膜厚である。
【0024】本発明において、上記t1 とt2 はt2
2t1 の関係を満足するものである。
【0025】これにより、微粒子膜内に電子放出部を形
成するフォーミング工程の際に、両電極間に印加される
フォーミング電圧がフォーミング開始から終了までほぼ
一定となり、このようにして形成された電子放出部は、
ほぼ均一な電子放出特性を有する。
【0026】一方、t1 とt2 が上記関係を満足しない
場合には、異なるフォーミング電圧により電子放出部が
形成され、均一な電子放出特性が得られないばかりか、
フォーミング電圧が上昇して好ましくない。
【0027】微粒子膜の材料としては、LaB6 ,C8
6 ,YB4 ,GdB4 などの硼化物、TiC,Zr
C,HfC,TaC,SiC,WCなどの炭化物、Ti
N,ZrN,HfNなどの窒化物、Nb,Mo,Rh,
Hf,Ta,W,Re,Ir,Pt,Ti,Au,A
g,Cu,Cr,Al,Co,Ni,Fe,Pb,P
d,Ca,Baなどの金属、In2 3 ,SnO2 ,S
2 3 などの金属酸化物、Si,Geなどの半導体、
カーボン、AgMgなどを用いることができるがこれに
限定されない。
【0028】電極材料としては、一般的な導電材料、A
u,Ag,Pt等の金属の他、SnO2 ,ITO等の酸
化物導伝性材料のものも使用できる。電極の幅は数μm
〜数mmが適当である。電極間の最小間隔である電極ギ
ャップ(図1,2中のL)は数μm〜数100μmが適
当であり、少なくとも微粒子膜と電気的導通を得られる
ように配置して形成される。
【0029】微粒子膜の形成方法としては、ガスディポ
ジション法等も用いることができるが、本発明の電子放
出素子の製造方法においては、特に、最も簡便な形成方
法である分散塗布法を用いている。
【0030】この分散塗布法は、前述したような材料の
微粒子の分散液を回転塗布、ディッピング等の手法で基
板等に塗布し、加熱処理で溶剤,バインダー等を除去す
るものである。
【0031】分散液としては、酢酸ブチルやアルコール
等から成る有機溶媒に微粒子及び微粒子の分散を促進す
る添加剤を加えたものを用いることができ、撹拌等によ
り微粒子の分散液を調整する。
【0032】また、微粒子を分散して形成させるのに化
学的な方法として有機金属化合物溶液を基板上に塗布し
た後、熱分解によって半導体の金属酸化物や金属の微粒
子を形成する手法も用いることができる。一例として
は、カプリル酸スズ(C715COO)2 Sn,ジイソ
アシロキシエトキシアンチモンC25 O(C5
11O)2 Sbの熱分解によって、それぞれSnO2 ,S
23 の微粒子を形成したり、有機パラジウム化合物
からPd微粒子を形成する例などを挙げることができ
る。
【0033】尚、このようにして微粒子膜を形成する
際、微粒子膜のシート抵抗は5×103 〜1×107 Ω
/□となるようにするのが好ましい。
【0034】また、この微粒子膜5を所望の位置に局所
的に形成するパターニング方法としては、微粒子膜5を
形成したくない場所に、テープ,通常のフォトリソグラ
フィで用いられるレジスト,金属等のマスクを形成した
後、上記の分散塗布法を用いて微粒子膜を形成し、更
に、上記マスクを除去する事によって形成することがで
きる。
【0035】本発明の電子放出素子の製造方法において
は、最終的に得られる微粒子膜の最小膜厚t1 に対し
て、20/91 以下の膜厚を有するマスクが用いられ
る。これにより、前述した回転塗布あるいはディッピン
グ等の手法で塗布した微粒子分散液や有機金属化合物溶
から形成される微粒子膜は、前記本発明の電子放出素
子の微粒子膜の膜厚条件を満足するものとなる。
【0036】回転塗布あるいはディッピング等の手法を
用いて微粒子膜を形成した場合、通常、図1,図2に示
したように、微粒子膜の中央部の膜厚が最小に、周辺部
の膜厚が最大になるが、例えば、回転塗布による場合
に、微粒子膜の形成位置が回転中心よりずれていると、
遠心力の方向に膜厚分布が生じることがある。
【0037】このような場合においても、上記条件を満
足する膜厚を有するマスクを用いることにより、所望の
膜厚分布(t2 ≦2t1 )内に収めることができる。
【0038】このようにして形成した電子放出素子を約
1×10-5〜1×10-6Torrの真空度の下におき、
電極2,3間に電圧を印加して微粒子膜5内に電子放出
部4を形成するが、このフォーミング工程に要する電圧
(フォーミング電圧)を、t2 >2t1 の時より小さく
することができる。
【0039】即ち、たとえば同じPtを微粒子膜材とし
て用いた場合でも、t2 =10t1の時はフォーミング
電圧が7Vであるのに対し、t2 ≦2t1 のものはおお
むね5Vで一定であった。
【0040】また、これらの素子を真空中においたまま
で、素子上部にフェースプレートを設けて引き出し電圧
a =1kVを印加したところ、それらの輝点形状は、
2=10t1 の素子は図3(a)のように輝度ムラを
生じたが、本発明によるt2≦2t1 の素子では図3
(b)のように輝度ムラのない一様な輝点が得られた。
【0041】また、更にV a を増加したところ、t2
10t1 の素子ではV a =5kV迄増加したところで、
素子と引き出し電極との間で放電破壊がおこり、素子が
壊れてしまったが、t2 ≦2t1 の素子ではV a =7k
V迄増加しても壊れることはなかった。
【0042】このように、本発明の電子放出素子では、
微粒子膜からなる電子放出材の最小膜厚t1 と最大膜厚
2 をt2 ≦2t1 とすることにより、低電圧で且つ安
定にフォーミングでき、1素子内での輝度ムラをなくす
ことができる。
【0043】更に、引き出し電圧を高くすることができ
るため、より多くの放出電流量を得ることができる。
【0044】また、本発明の電子放出素子を複数配置し
た電子源を用いて形成した電子線発生装置並びに画像形
成装置は、上記の理由により一様な輝度が得られ、より
明るい高精細な画像が得られる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0046】実施例1 本実施例では図1,図2に示したような電子放出素子を
作製した。
【0047】本実施例の素子の製造方法は以下の通りで
ある。
【0048】まず、絶縁性基板1を十分洗浄し、微粒子
膜5を形成しようとする領域以外の領域にマスクとして
Crを2000Åの厚さで成膜した。この上にSnO2
微粒子1.0g,有機溶媒(メチルエチルケトン:シク
ロヘキサン=3:1,800cc)の各材料をガラスビ
ーズと共にペイントシェーカーで24時間撹拌して得ら
れた分散液をスピンコートし、250℃で10分焼成し
た。その後、先に成膜したCrをエッチアウトした。こ
れにより微粒子膜5が形成され、その膜厚を触針式膜厚
計(東京エレクトロン社製、α−step)で測定した
ところ、中央部で最小膜厚を示し、その膜厚t1 は90
0Åであり、周辺部で最大膜厚を示し、その膜厚t2
1200Åであり、本発明の電子放出素子に係る微粒子
膜の膜厚条件であるところのt2 ≦2t1 を満足してい
た。
【0049】次に、通常良く用いられるフォトリソ・エ
ッチング技術及び蒸着技術により、電極2及び3を形成
した。電極の材料としては厚さ2000ÅのAlを用い
た。
【0050】以上の工程により作製した電子放出素子を
真空中におき、一対の電極2,3間に電圧を印加してフ
ォーミングを行ったところ、ほぼ8Vの一定電圧で安定
にフォーミングすることができた。
【0051】更に、真空中で素子上にフェースプレート
を設けて電子放出させたところ、この時の輝点形状は図
3(b)に示すごとく、きれいな楕円形状を示し、一様
な輝度が得られた。
【0052】また、フェースプレートに印加する電圧V
a はV a =5kV迄印加しても素子は壊れず、放出電流
Ie=2.5μAを得た。
【0053】比較のため、微粒子膜5を塗布する前にマ
スクとして成膜するCrを7000Åとした以外は、上
記と同様にして微粒子膜を形成し、その膜厚を触針式膜
厚計で測定したところ、最小膜厚t1 =900Å、最大
膜厚t2 =1900Åであり、本発明の電子放出素子に
係る微粒子膜の膜厚条件を満足していなかった。
【0054】この後は、上記と全く同様にして電極を形
成し、フォーミングを行ったところ、フォーミング電圧
は安定せず最終的なフォーミング電圧は10Vであっ
た。即ち、電子放出材である微粒子膜5の膜厚を均一化
した本発明の素子は、フォーミング電圧を低くすること
ができ、安定に歩留り良く作製することができることが
わかる。
【0055】また、比較のために作製した素子を前記本
発明の素子と同様にして電子放出させたところ、輝点形
状は図3(a)に示すような形となり、輝度ムラが見ら
れた。
【0056】更に、フェースプレートに印加できる電圧
a はV a =4kVでそれ以上印加すると素子が放電破
壊により壊れてしまっていた。
【0057】このように微粒子膜5の膜厚を均一化した
本発明の素子では、輝度ムラがなく、より多量の放出電
流量を得られることがわかる。
【0058】
【0059】実施例2 図4は本発明の一実施例に係る電子放出素子の構成を示
す斜視図であり、図5は図4のB−B断面図である。
【0060】これらの図において、図1,図2に示した
素子と同一符号のものは同一部材を示すものであり、再
度の説明は省略する。
【0061】本実施例の素子は実施例1の素子に対して
微粒子膜と電極の成膜順序を逆にしたもので、以下のよ
うにして作製される。
【0062】まず、絶縁性基板1を十分洗浄し、実施例
1と同様にして電極2,3を形成した。電極材は下びき
としてのTi50ÅとNi950Åを用いた。
【0063】次に、実施例1と同様に2000Åの厚さ
で成膜したマスク上に、Au:SnO2 =2:1のモル
比で混合した微粒子分散液を塗布し、同様にして微粒子
膜5を形成した。
【0064】この時、微粒子膜の膜厚を測定したとこ
ろ、中央部で最小膜厚を示し、その膜厚t1 は930Å
であり、周辺部で最大膜厚を示し、そのt2 は1200
Åであり、本発明の電子放出素子に係る微粒子膜の膜厚
条件であるところのt2 ≦2t1 を満足していた。
【0065】以上の工程により作製した電子放出素子を
実施例1と同様にしてフォーミングしたところ、ほぼ6
Vの一定電圧で安定にフォーミングすることができた。
【0066】また、比較例として、微粒子膜5を塗布す
る前に成膜したマスクの厚さを7000Åとした以外
は、上記と同様にして微粒子膜を形成し、その膜厚を測
定したところ、最小膜厚t1 が930Å,最大膜厚t2
が1900Åであり、本発明の電子放出素子に係る微粒
子膜の膜厚条件を満足していなかった。かかる素子をフ
ォーミングしたところ、フォーミング電圧は安定せず、
最終的なフォーミング電圧は8Vであった。
【0067】これらの素子の上部にそれぞれフェースプ
レートを設けて輝点形状を観察したところ、本発明の素
子は均一な輝度が得られたが、比較例素子では輝度ムラ
が見られた。
【0068】また、フェースプレートに印加できる電圧
は、比較例素子では4.5kV迄だったが、本発明の素
子では5kV迄かけても壊れなかった。
【0069】従って、実施例1の場合と併せて考える
と、微粒子膜と電極との構成に関わらず、微粒子膜5の
膜厚を均一化した本発明の素子では、より低電圧での安
定したフォーミングが可能となり、均一且つより多くの
放出電流量が得られることがわかる。
【0070】実施例3 実施例1のSnO2 微粒子の代わりに有機Pd錯体溶
液、Al電極2000Åの代わりにNi電極1000Å
を用いて同様な素子を形成し、フォーミングを行った。
【0071】この時、微粒子膜のパターンを形成するた
めにマスクとして用いたCrの厚さは80Åとし、ディ
ッピングにより塗布を行い、300℃,12分の焼成に
よりPdO微粒子膜を成膜した後、Crをエッチアウト
した。
【0072】この微粒子膜の膜厚を測定すると、中央部
で最小膜厚を示し、その膜厚t1 は70Åであり、周辺
部で最大膜厚を示し、その膜厚t2 は72Åであり、本
発明の電子放出素子に係る微粒子膜の膜厚条件であると
ころのt2 ≦2t1 を満足していた。
【0073】また、比較例素子として、微粒子膜のパタ
ーンを形成するためにマスクとして用いたCrの厚さを
1500Åとした以外は、上記と同様にして微粒子膜を
形成し、本実施例における本発明の素子と同様に素子を
作製した。
【0074】このようにして作製した比較例素子では、
その微粒子膜の最小膜厚t1 が70Å,最大膜厚t2
250Åであった。これら2種類の素子を用いて実施例
1と同様の実験を行ったところ下表のようになった。
【0075】
【表1】 即ち、本実施例の本発明の電子放出素子においても、実
施例1と同様の効果が得られた。
【0076】
【0077】実施例4 図6は本発明の電子放出素子を直線状に複数配列した線
電子放出素子を複数併設した、本実施例における電子線
発生装置の概略構成を示すものである。同図中、1は基
板、2及び3は素子電極、5は微粒子膜、6は配線電極
であり、7はこれからなる電子源である。また、8は変
調電極、9は電子通過孔である。尚、変調電極は、電子
放出素子の裏面に絶縁体を介して配置されたものであっ
ても、又、電子放出素子の周辺基板面上に配置されたも
のであっても、電子放出素子から放出される電子線を情
報信号に応じて変調し得るように設けられたものであれ
ば、図6の配置形態以外のものであっても良い。
【0078】本実施例の電子線発生装置は次のようにし
て製造される。
【0079】まず、実施例3と同様の方法で膜厚の均一
な微粒子膜5及び素子電極2,3を線状に並べたものを
複数形成した。次に、この上に前記素子電極2,3を形
成する場合と同様にして配線電極6を形成して電子源7
とした。更に、通常のフォトリソ・プロセスを用いて、
絶縁体(不図示)を介してグリッド電極からなる変調電
極8を形成した。
【0080】上記の様に作製した電子線発生装置を真空
度10-6Torrの環境下に配置し、素子電極2,3間
に電圧を印加してフォーミングしたところ、4Vで安定
にフォーミングできた。
【0081】更に、素子電極2,3間に駆動電圧14V
を印加し、次に変調電極8に情報信号に応じた電圧を印
加した。すなわち、0V以下で電子線をオフ制御でき、
+30V以上でオン制御できた。また、30〜0Vの間
で電子線の電子量を連続的に変化し得た。その結果、複
数の素子からなる線電子放出素子から1ライン分の情報
信号に応じた電子線の放出が得られた。以上の動作を隣
接する線電子放出素子に対し順次行うことにより、全情
報信号に応じた電子線の放出が得られた。
【0082】本実施例の電子線発生装置は、各素子のフ
ォーミング時に均一且つ低電圧で安定にフォーミングで
き、更に、各素子から放出された電子線のバラツキが極
めて小さく、均一な電子線が得られるという効果が有っ
た。
【0083】実施例5 図7は本発明の電子放出素子を多数個並べた電子源を有
する本実施例における画像形成装置の概略構成を示すも
のである。同図中、10は画像形成板、11は画像形成
部材であるところの蛍光体であり、電子が衝突すること
により発光する。12は蛍光体の輝点である。
【0084】尚、本図において、図6に示した電子線発
生装置と同一符号のものは同一部材を示すものであり、
再度の説明は省略する。
【0085】本画像形成装置は電極配線6の間に素子を
複数並べた電子源7とグリッド電極からなる変調電極8
でXYマトリクス駆動を行い、画像形成板10上の蛍光
体11に電子を衝突させることにより、画像形成を行う
装置である。
【0086】本実施例の画像形成装置では、まず、実施
例4と同様にして電子線発生装置を作製し、真空容器に
入れ、素子電極2,3間に電圧を印加してフォーミング
を行った。この時、4Vで安定にフォーミングできた。
【0087】次に、この電子線発生装置の鉛直上に蛍光
体11を有する画像形成板10を設置し、1kVの電圧
を印加したところ、画像形成体10上の輝点12は一電
子放出素子内で均一な輝度の楕円形を示したのみなら
ず、並列に並べた複数の素子間でもばらつきのない輝度
が得られた。
【0088】更に、画像形成体10に印加する電圧(ア
ノード電圧)Va を5kV迄上げても安定に電子放出
し、放出電流量Ie=100μAを得た。
【0089】比較例として、電子放出素子の微粒子膜5
の最小膜厚t1 と最大膜厚t2 との関係がt2 =10t
1 である素子を多数個用いた以外は、上記の画像表示装
置と同様にして作製した装置では、フォーミング電圧が
安定せず7Vと高かったのみならず、上記アノード電圧
a も4kV迄しかかけられず、放出電流量Ieも80
μAしか得られなかった。また、画像形成板上の輝点
も、1電子放出素子内で輝度ムラがあるため均一となら
なかった。
【0090】以上のように、本発明の電子放出素子を複
数個配置した電子源を用いた画像形成装置は、アノード
電圧を高くすることができ、放出電流量Ieが増加する
だけでなく、更には、ビーム径が絞れるという利点もあ
り、より明るい高精細な画像を得ることができた。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果が得られる小膜厚t1 と最大膜厚t2
の関係がt2 ≦2t1 を満足する膜厚の均一な微粒子膜
が得られ、かかる微粒子膜は低電圧でフォーミングを行
うことができ、歩留り良く電子放出素子を作製できる。
同一素子内で輝度ムラが無く、更には複数の素子間で
バラツキの無い均一な輝点を得ることができる。アノ
ード電圧があげられるため、より多くの放出電流が得ら
れ、本発明の電子放出素子を用いた画像形成装置は、よ
り明るい高精細な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の一例を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の素子のA−A断面図である。
【図3】従来素子及び本発明素子の輝点形状を平面的に
示した図である。
【図4】本発明の電子放出素子の他の例を示す斜視図で
ある。
【図5】図4の素子のB−B断面図である。
【図6】本発明の電子放出素子を複数用いた電子線発生
装置の一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明の電子放出素子を複数用いた画像形成装
置の一例を示す概略構成図である。
【図8】従来例素子の斜視図である。
【図9】図8の素子のC−C断面図である。
【図10】図8の素子のD−D断面図である。
【図11】従来例素子の平面図である。
【符号の説明】
1 基板 2,3 電極 4 電子放出部 5 微粒子膜 6 配線電極 7 電子源 8 変調電極 9 電子通過孔 10 画像形成板 11 蛍光体 12 蛍光体の輝点 13 電子放出材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河手 信一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 三道 和宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 野村 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−65050(JP,A) 特開 平3−261024(JP,A) 特開 平2−247939(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 9/02,1/30 H01J 31/12,29/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極間を電気的に接続する微粒子
    膜に電子放出部を有する電子放出素子の製造方法におい
    て、該微粒子膜が、微粒子の分散液又は有機金属化合物溶液
    を塗布した後焼成したものであって、 上記微粒子の分散液又は有機金属溶液の塗布を、焼成後
    微粒子膜の最小膜厚をt1 としたときに20/91
    以下の膜厚を有するマスクを用いて行うことを特徴とす
    る電子放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記微粒子膜への電子放出部形成を、
    該微粒子膜への通電処理によって行うことを特徴とする
    請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の製造方法により製
    造した電子放出素子を複数配列した電子源と、該電子源
    から放出される電子線を変調する変調手段とを組み合わ
    せることを特徴とする電子線発生装置の製造方法
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の製造方法により製
    造した電子放出素子を複数配列した電子源と、該電子源
    から放出される電子線を変調する変調手段と、電子線の
    照射により画像を形成する画像形成部材とを組み合わせ
    ことを特徴とする画像形成装置の製造方法
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