JPH06203741A - 電子放出素子、電子線発生装置及び画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子、電子線発生装置及び画像形成装置

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JPH06203741A
JPH06203741A JP36135292A JP36135292A JPH06203741A JP H06203741 A JPH06203741 A JP H06203741A JP 36135292 A JP36135292 A JP 36135292A JP 36135292 A JP36135292 A JP 36135292A JP H06203741 A JPH06203741 A JP H06203741A
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electron
electrodes
fine particles
image forming
electrode
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JP36135292A
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English (en)
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Toshihiko Takeda
俊彦 武田
Hiroshi Yoneda
弘 米田
Toyonari Sasaki
豊成 佐々木
Ichiro Nomura
一郎 野村
Hidetoshi Suzuki
英俊 鱸
Yasuhiro Hamamoto
康弘 浜元
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Original Assignee
Canon Inc
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/316Cold cathodes having an electric field parallel to the surface thereof, e.g. thin film cathodes
    • H01J2201/3165Surface conduction emission type cathodes

Abstract

(57)【要約】 【目的】 画像形成装置の電子放出源として用いられる
表面伝導形電子放出素子を提供する。 【構成】 基板41上の電極42,43間に、電極4
2,43と接触して配置された微粒子44と、電極4
2,43と非接触に局所的に配置され微粒子44に含有
されている元素よりも原子量の大きな元素を含有する異
種材料微粒子45で構成されている電子放出素子。 【効果】 電子放出量及び電子放出効率が増大し、且
つ、素子ごとの均一性,再現性が改良される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子放出源として用い
られる冷陰極型の電子放出素子及び該素子を用いた電子
線発生装置並びに画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、簡単な構造で電子の放出が得られ
る素子として、例えばエム アイ エリンソン(M.
I.Elinson)等によって発表された冷陰極素子
が知られている[ラジオ エンジニアリング エレクト
ロン フィジックス(RadioEng.Electr
on Phys.)第10巻,1290〜1296頁,
1965年]。
【0003】これは、基板上に形成された小面積の薄膜
に、膜内に平行に電流を流すことにより、電子放出が生
ずる現象を利用するもので、一般には表面伝導形電子放
出素子と呼ばれている。
【0004】この表面伝導形電子放出素子としては、前
記エリンソン等により開発されたSnO2 (Sb)薄膜
を用いたもの、Au薄膜によるもの[ジー・ディトマー
“スイン ソリド フィルムス”(G.Dittme
r:“Thin SolidFilms”),9巻 3
17頁,(1972年)]、ITO薄膜によるもの[エ
ム ハートウェル アンド シージーフォンスタッド
“アイイーイーイートランス”イーディーコンファレン
ス(M.Hartwell and C.G.Fons
tad;“IEEE Trans.ED Con
f.”)519頁,(1975年)]、カーボン薄膜に
よるもの[荒木久他:“真空”第26巻,第1号,22
頁,(1983年)]などが報告されている。
【0005】これらの表面伝導形電子放出素子の典型的
な素子構成を図6に示す。同図において、62及び63
は電気的接続を得るための電極、65は電子放出材料で
形成される薄膜、61は基板、66は電子放出部を示
す。
【0006】従来、これらの表面伝導形電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に予めフォーミングと呼ば
れる通電加熱処理によって電子放出部を形成する。即
ち、前記電極62と電極63の間に電圧を印加する事に
より、薄膜65に通電し、これにより発生するジュール
熱で薄膜65を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部66を形成
することにより電子放出機能を得ている。
【0007】なお、電気的に高抵抗状態とは、薄膜65
の一部に、0.5μm〜5μmの亀裂を有し、かつ亀裂
内が、いわゆる島構造を有する不連続状態膜をいう。島
構造とは一般に数十Åから数μm径の微粒子が基板61
にあり、各微粒子は空間的に不連続で電気的に連続な膜
をいう。
【0008】従来、表面伝導形電子放出素子は上述の高
抵抗不連続膜に電極62,63により電圧を印加し、素
子表面に電流を流すことにより、上述微粒子より電子を
放出せしめるものである。
【0009】しかしながら、上記の様な従来の通電加熱
によるフォーミング処理によって製造された電子放出素
子には、次のような問題点があった。 (1)加熱による薄膜の溶融と通電終了による温度低
下、溶融した薄膜の凝固といった過程を経て不連続な電
子放出部を形成するため、電子放出部を構成する島状微
粒子の大きさ、密度、配置、配列といった素子特性に関
わる構造設計は事実上不可能なため、素子の改良が難し
く、素子間のばらつきも生じやすい。 (2)フォーミング工程で発生するジュール熱は素子を
形成する基板に多大な影響を与え、素子を構成する薄膜
の材料によっては基板破壊を生じやすく、マルチ化が難
しい。 (3)島の材料が金、銀、SnO2 、ITO等に限定さ
れ、仕事関数の小さい材料が使えないため、大電流を得
ることができない。
【0010】以上のような問題点があるため、表面伝導
形電子放出素子は、素子構造が簡単であるという利点が
あるにもかかわらず、産業上積極的に応用されるには至
っていなかった。
【0011】本発明者等は上記問題点を鑑みて検討した
結果、特願昭63−107570号、特願昭63−11
0480号に於いて電極間に微粒子膜を配置しこれに通
電処理を施すことにより電子放出部を設ける新規な表面
伝導形電子放出素子を提案した。この新規な電子放出素
子の構成図を図7に示す。
【0012】同図において、72及び73は電極、75
は微粒子膜、76は電子放出部、71は基板である。
【0013】この電子放出素子の特徴としては次のよう
なことが挙げられる。 (1)微粒子膜75に非常に少ない電流を流すことで電
子放出部76を形成できるので素子劣化のない素子が形
成でき、さらに電極の形状を任意に設計できる。 (2)微粒子膜を形成する微粒子自身が電子放出の構成
材となる為、微粒子の材料や形状等の設計が可能とな
り、電子放出特性を変えることができる。 (3)素子の構成材である基板71や電極の材料の選択
性が広がる。
【0014】また、従来より、面状に展開した複数の電
子放出素子とこの電子放出素子から放出された電子線の
照射を各々受ける蛍光体ターゲットとを各々相対向させ
た薄形の画像表示装置が存在する。これら電子線ディス
プレイ装置は、基本的に次のような構造からなる。
【0015】図8は従来のディスプレイ装置の概要を示
すものである。同図において81は基板、82は支持
体、83は素子配線電極、84は電子放出部、85は電
子通過孔、86は変調電極(グリッド電極)、87はガ
ラス板、88は画像形成部材で、例えば蛍光体、レジス
ト材等、電子が衝突することにより発光,変色,帯電,
変質等する部材から成る。89は蛍光体の輝点である。
【0016】ここで、電子放出部84は薄膜技術により
形成され、ガラス基板81とは接触することがない中空
構造を成すものである。素子配線電極83は電子放出部
材と同一の材料を用いて形成しても、別材料を用いても
良く、一般に融点が高く電気抵抗の小さいものが用いら
れる。支持体82は絶縁体材料もしくは導電体材料で形
成されている。
【0017】上記電子線ディスプレイ装置は、素子配線
電極83に電圧を印加せしめ、中空構造をなす電子放出
部より電子を放出させ、これら電子流を情報信号に応じ
て変調する変調電極86に電圧を印加することにより電
子を取り出し、取り出した電子を加速させ蛍光体88に
衝突させるものである。また、素子配線電極83と変調
電極86でXYマトリックスを形成せしめ、画像形成部
材たる蛍光体88上に画像表示を行うものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】先述したように、図6
に示したような従来の通電加熱処理を必要とする表面伝
導形放出素子では、素子の電子放出部形状の改良が困難
であると共に、素子特性の向上もまた事実上不可能であ
った。具体的には、電子放出効率、放出電流の安定性、
素子ごとの均一性、再現性等、電子放出素子としての基
本的な特性改良が困難であった。また、通電加熱に要す
るパワーが大きいため、電子放出部や基板の劣化が著し
く、かかる素子を複数、面状に展開した電子源への応用
は事実上不可能であった。
【0019】また、図8に示したような画像表示装置の
電子源として従来の表面伝導形電子放出素子を応用する
と、各素子の電子放出効率の違いにより蛍光体の発光輝
度がばらつき、表示むらを生じていた。
【0020】即ち、本発明の目的とするところは、上述
のような問題点を解消し得る電子放出素子及び該素子を
用いた電子線発生装置並びに画像形成装置を提供するこ
とにある。
【0021】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するために、本発明で講じられた手段は、基板上の電極
間に、少なくとも、該電極と接触して配置された微粒子
と、前記電極と非接触に局所的に配置され前記微粒子に
含有されている元素よりも原子量の大きな元素を含有す
る異種材料微粒子で構成されている電子放出素子とし
た。
【0022】また、本発明の電子線発生装置では、上記
本発明の電子放出素子の複数と、該電子放出素子から放
出される電子線を情報信号に応じて変調する変調手段と
を有することとした。
【0023】また、本発明の画像形成装置では、上記本
発明の電子放出素子の複数と、該電子放出素子から放出
される電子線を情報信号に応じて変調する変調手段と、
該電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを
有することとした。
【0024】以下に本発明の構成要素及び作用について
詳述する。
【0025】図1に本発明の電子放出素子の一実施態様
を示す上面図を、図2に図1のA−A断面の概略的部分
断面図を示す。
【0026】これらの図において、11は素子形成基
板、12,13は基板11上に形成された一対の電極、
14は電極12,13間の微小間隔部、15は電極1
2,13間に分散配置され且つ電極12,13に電気的
に接続した微粒子膜、16は電極12,13と非接触に
局所的に配置され電子放出部を形成している異種材料微
粒子である。
【0027】本発明に用いられる素子構成基板11は、
概平坦な表面を持つものであればいかなる材料のもので
も良いが、導電性の高い材料からなる基板を用いた場合
には素子駆動時に基板を流れる電流が多くなるため、効
率の点で好ましくない。従って、絶縁性材料を用いるこ
とが望ましく、具体的には通常のガラス、SiO2
膜、シリコン等が適当である。
【0028】また、電極12,13は電子放出部に電圧
を供給するものであり、通常使われる電極材料であれば
いかなるものを用いても良い。更に、微小電極間隔部1
4は0.1μm〜100μm程度の範囲が可能である
が、実用的には0.5μm〜20μm程度の範囲が好ま
しい。かかる電極の形成方法は通常のリソグラフィー、
印刷等いかなる方法を用いても良い。
【0029】電極12,13に接触して設ける微粒子膜
15は粒径が十数Åから数μmの導電性材料が使用でき
る。具体的には、LaB6 ,C86 ,YB4 ,GdB
4 等のホウ化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,S
iC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の窒
化物、Nb,Mo,Rh,Hf,Ta,W,Re,I
r,Pt,Ti,Au,Ag,Cu,Cr,Al,C
o,Ni,Fe,Pb,Pd,Ca,Ba等の金属、等
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、上記の微粒子膜の形成方法としては、分散塗布後焼
成を行って微粒子化する、あるいはガスデポジション法
によって形成する等適当な手法を用いれば良く、該微粒
子膜のシート抵抗は5×103 〜1×107 Ω/□程度
が望ましい。
【0030】次に、本発明の特徴であるところの、電極
12,13と非接触に局所的に配置され電子放出部を形
成している異種材料微粒子について詳述する。
【0031】本発明に係る異種材料微粒子16は、例え
ば図2に示すように電極12,13に設けられた微粒子
からなる不連続膜15の中央付近に、電極間隔14に沿
って局所的に付設される。上記異種材料微粒子には導電
体、半導体、絶縁体等のいかなる材料を用いても構わな
いが、本発明においては、特に、電極に接触している微
粒子膜15に含有される元素よりも原子量の大きい元素
を含む材料が用いられる。具体的にはMo,Ru,P
d,Ag,Cd,In,Sn,Sb,Te,Ta,W,
Re,Pt,Au,Hg,Pb,Bi,Cs,Ba等の
金属材料及びこれらの化合物を用いることができる。
【0032】本発明において、例えば、微粒子膜15に
Pd微粒子を用いた場合、異種材料微粒子16はPdよ
りも原子量の大きいPb,Pt等の材料で形成すれば良
い。
【0033】本発明の電子放出素子では、上記のように
電極に接触して設けられた微粒子膜に含有される元素よ
りも原子量の大きい元素を含む材料からなる異種材料微
粒子を、電極と非接触に局所的に配置して電子放出部を
形成することにより、高い電子放出効率を得ることがで
きる。
【0034】実際、上記異種材料微粒子が電子放出効率
の向上にいかなる役割を果しているかは不明であるが、
本発明者等は原子量の大きな元素を含有する異種材料微
粒子が電子放出部に配置されることで、該微粒子表面に
おける電子の屈折、回折、あるいは散乱等の効率が向上
し、電子放出効率を向上させているものと考えている。
即ち、微粒子膜内で加速された電子は、外部から印加さ
れた電圧程度のエネルギーを持って電子放出部の異種材
料微粒子に衝突し、屈折、回折あるいは散乱等の効果に
より電子放出素子の概鉛直方向に向きを変化させ、素子
外部に脱出するものと考えられる。従って、微粒子膜材
料よりも原子量の大きい材料、即ち原子内部の電子密度
の高い材料からなる異種材料微粒子を電子放出部に配置
することで電子の放出効率を向上させているものと推定
される。
【0035】また、特にCs,Ba等の低仕事関数材料
を異種材料微粒子に用いた場合には、該微粒子表面にお
ける電子の屈折、回折、あるいは散乱等の効率の向上に
加え、該微粒子表面の仕事関数の低下により、より一
層、高い電子放出効率が得られる。
【0036】また、異種材料微粒子の粒径は素子の駆動
電圧によっても異なるが、一般的には数Åから数十μm
が適用可能であり、本発明においては、上記の電子放出
特性の向上のために、10Å〜10μmであるのが好ま
しい。
【0037】上記異種材料からなる微粒子の形成方法は
通常の真空蒸着、有機錯体の塗布焼成、等いかなる手法
を用いても良く、また、その形成手順としては、微粒子
膜15形成前に予め局所的に配置する、あるいは微粒子
膜15形成後に異種材料微粒子を局所配置する、あるい
は通電処理等を行い微粒子15から成る不連続な電子放
出部を形成した後に異種材料微粒子を形成する等いずれ
の手法を用いても構わない。
【0038】このようにして異種材料微粒子を局所的に
配置する際に、配置する領域の形状(幅や長さ等)を制
御することにより、実効的な電子放出部の形状を容易に
制御することができ、素子ごとの放出電流の均一性,再
現性を向上できる。
【0039】以上のごとく、本発明による電子放出素子
では、通電処理等により形成されるところの電子放出部
を構成する微粒子の位置、配列等の制御を行うことな
く、電子放出量及び電子放出効率等の素子特性の向上を
図るものであり、これにより、安定且つ再現性良く均一
な素子特性を有する電子放出素子を提供できる。
【0040】以上述べたように、本発明は相対向する電
極と該電極間に設けられた不連続な電子放出部からなる
表面伝導形電子放出素子に適用可能であり、従来の連続
膜を通電加熱することにより電子放出部を形成するいわ
ゆるフォーミング素子、及び電極間に予め不連続膜を設
けてなる表面伝導形電子放出素子、どちらにも応用でき
るものであり、特に、後者の素子に適用した場合には、
微粒子膜に非常に少ない電流を流すことで電子放出をさ
せることができ、かかる素子を複数面状に展開した電子
源への応用に好適である。
【0041】更にまた、本発明の電子放出素子を面状に
複数配置した面状電子源を用いた電子線発生装置及び画
像形成装置では、各素子の電子放出効率が向上すると共
に、各素子の素子特性を均一にできるため、低電力駆動
可能で且つ均一な発光輝度を有する画像表示が得られ
る。
【0042】本発明の画像形成装置において、上記電子
源からの電子線の照射により画像を形成する画像形成部
材としては、従来のように、例えば蛍光体、レジスト材
等、電子が衝突することにより発光,変色,帯電,変質
等する部材を用いることができ、特に、前記電子線の照
射により発光するレッド、グリーン、ブルーの三原色発
光体を用いた場合には、カラー画像の表示が可能とな
る。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0044】実施例1 図1は本実施例で作製した本発明の電子放出素子の概略
的構成図であり、図2は図1のA−A断面図、図3はそ
の製造工程を示す工程図である。
【0045】これらの図において、11は絶縁性基板、
12,13は相対向する一対の電極、14は対向する電
極のギャップ部、15は微粒子膜、16は本発明の特徴
である異種材料微粒子である。以下に本実施例の電子放
出素子の製造工程について説明する。
【0046】.絶縁性基板11として石英基板を用
い、有機溶剤等により充分洗浄を行った後、通常のフォ
トリソグラフィー技術と真空蒸着技術を用いて電極1
2,13を形成した。電極の材料としては導電性材料で
あればいかなるものを用いても良いが、本実施例ではニ
ッケル金属を用いて、リフトオフにより作製した。この
時の電極間隔14は10μm、電極膜厚は1000Åと
した(図3(a)参照)。本発明で用いられる電極間隔
は通常、0.5μmから20μm程度が適当であり、上
記電極間隔に限定されるものではない。
【0047】.次に、前記電極12,13のギャップ
部ほぼ中央に、異種材料微粒子をプラチナを用いて作製
した。この微粒子の作製方法としては、通常のフォトリ
ソグラフィー技術と真空蒸着により、電極ギャップ部中
央に幅1μm以下の窓を設けたクロム薄膜を形成後、そ
の窓部分にガスデポジション法により、粒径数十Å〜1
00Åのプラチナ超微粒子を1〜2層形成した。次に、
前記クロム薄膜をエッチング除去し、電極ギャップ部に
異種材料微粒子層16のみを得た(図3(b)参照)。
【0048】.次に、有機金属パラジウムを含む有機
溶媒を電極12,13間に分散塗布した。前記パラジウ
ムを分散したくない部分にはテープあるいはレジスト膜
等を設け、その後に前記有機溶媒を分散塗布し、次に、
前記テープまたはレジスト膜を剥離し、パラジウム膜1
7を形成した(図3(c)参照)。 .次に、大気中で300℃−1時間の焼成を行い、パ
ラジウムと酸化パラジウムの混合した微粒子膜15を形
成した。この時の微粒子膜15を構成する粒子の粒径は
50Å〜150Å程度であった(図3(d)参照)。
【0049】こうして得られた素子をほぼ1×10-6
orrの真空容器に入れ、電極12,13の両端に1k
Hz−14Vの三角波形電圧を印加し、素子鉛直上方5
mmの位置に1kVの直流電圧を印加したアノード電極
を設けて放出電流を測定したところ、素子電流5mA時
に放出電流10μAが得られた。
【0050】また、この時の放出電流の安定性及び放出
電流の経時変化を測定したところ、放出電流変動幅はほ
ぼ±3%以内、100時間連続駆動後の放出電流の増減
はほぼ−5%程度であった。
【0051】以上の結果は、異種材料微粒子16を設け
ず、放出部全体をパラジウム微粒子のみで形成した素子
と比較すると、放出電流量、放出効率共に3〜5倍程度
向上していた。また、パラジウム微粒子のみで形成した
上記素子の放出電流の安定性及び放出電流の経時変化を
測定したところ、放出電流変動幅はほぼ±7%程度であ
り、本実施例の素子では放出電流の安定化も同時に実現
できることが示された。
【0052】比較例1 実施例1と同様の手法を用いて、異種材料微粒子にニッ
ケル超微粒子を用いた電子放出素子を作製し、同一条件
により電子放出量及び電子放出効率の比較検討を行っ
た。その結果、14Vの電圧印加時の放出電流は1μA
以下、放出効率0.02%程度であった。
【0053】この結果、本発明による異種材料微粒子
が、微粒子15に含有される元素よりも、原子量が大き
な元素を含有する材料によって形成されている場合に、
放出電流,放出効率を向上させ得ることが示された。
【0054】実施例2 図4は本実施例で作製した本発明の素子構成図である。
同図において41は絶縁性ガラス基板、42,43は相
対向する一対の電極、44は微粒子からなる不連続膜、
45は本発明の特徴である異種材料微粒子である。本実
施例では、実施例1同様充分脱脂洗浄したガラス基板4
1上に通常のフォトリソグラフィー技術と真空蒸着技術
を用いて、ほぼ20μmの電極間隔を有する一対の電極
42,43を形成した。次に、上記電極間に有機金属鉛
錯体を含有する有機溶媒を回転塗布した後、450℃−
10分間の焼成を行い、電極間中央付近に酸化鉛からな
る幅1μm程度の超微粒子45を形成した。更に、上記
素子の電極間に有機金属からなるルテニウムを含有する
有機溶媒を回転塗布後、450℃−10分間の焼成を行
い素子を完成した。
【0055】こうして得られた素子をほぼ2×10-6
orrの真空度に保たれた真空容器中に入れ、通電処理
を行った後、素子鉛直上方5mmの位置に直流電圧1k
Vを印加したアノード電極を設けて素子を駆動し、放出
電流の測定を行ったところ、素子駆動電圧14V時に素
子電流6mA、放出電流15μAが得られた。これは、
通常の表面伝導形素子において、放出部材料にルテニウ
ムを用いた場合と比較して、ほぼ5倍程度の放出電流量
であり、素子電流はほぼ同等であることから、およそ5
倍程度の電子放出効率の向上が見られたことになる。
【0056】また、本実施例の素子の電子放出部の形態
及び組成を電子顕微鏡及び走査型オージェ電子分光によ
り確認したところ、中央付近の電子放出部は超微粒子状
の酸化鉛、その両端は金属ルテニウム超微粒子であるこ
とが確認された。
【0057】以上の結果から、本発明では酸化鉛のよう
な極めて導電性の低い材料でも電子放出効率の高い電子
放出素子を実現できることが示された。
【0058】実施例3 本実施例では、本発明に係る異種材料微粒子に低仕事関
数材料であるセシウムの酸化物を用いた。本実施例の素
子作製方法は実施例1と同様であり、電子ギャップのほ
ぼ中央付近に真空蒸着によりセシウム超微粒子を形成し
た。この時セシウムは極めて不安定なため、蒸着後直ち
に酸化物となっていた。また、異種材料微粒子に隣接す
る微粒子膜は実施例2同様、有機金属鉛錯体を含有する
有機溶媒の回転塗布/焼成により形成した。
【0059】本実施例では、上記素子を1×10-6to
rrの真空中に入れ、通電処理を行って電子放出素子と
しての機能及び特性評価を実施例2と同様に行った。
【0060】その結果、異種材料微粒子に酸化セシウム
を用いた場合、放出電流は20μA以上、電子放出効率
10%以上となり、放出電流、放出効率共に激増した。
これは、酸化セシウム超微粒子による屈折、回折あるい
は散乱等の効率向上と共に酸化セシウム超微粒子の表面
の低い仕事関数が有効に働いていることを示している。
【0061】実施例4 図5は、本実施例の画像形成装置を示す構成図である。
本実施例の面状電子源は、実施例1の電子放出素子を複
数配列したもので、特に、電極502と電極503の間
に電子放出素子を並列に配置した線電子源を複数本基板
に規則正しく設けたものである。
【0062】同図において、501は絶縁性基板、50
5は微粒子膜、506は電子放出部、507はグリッド
電極、508は電子通過孔であり、上記線電子源を複数
本設けた面状電子源と、該電子源から放出される電子線
を情報信号に応じて変調するグリッド電極507により
電子線発生装置が構成されている。
【0063】また、509はアルミニウム材からなるメ
タルバック、510は画像形成部材であるところの蛍光
体、511はガラス板であり、これらによってフェース
プレート513を構成している。尚、512は蛍光体の
輝点である。
【0064】本実施例において、グリッド電極507は
複数のライン電極からなり、面状電子源の電極群と直角
方向に配置される。電子通過孔508は電子放出部50
6のほぼ鉛直上に設けられ、グリッド電極507を信号
電極、線電子源群を走査電極として、XYマトリックス
駆動を行い画像を形成するものである。
【0065】フェースプレート513は透明なガラス板
511の上に蛍光体510が一様に塗布され、さらにそ
の上にメタルバック509を設けたものである。
【0066】本実施例の画像形成装置に於いて、電極5
02と電極503に14Vの電圧を印加することにより
各電子放出部506から電子を放出させ、グリッド電極
507に適当な電圧を印加することにより電子を引き出
し蛍光体510に電子を衝突させた。尚、本画像形成装
置は、当然ながら真空度1×10-5torr〜1×10
-7torrの環境下に置かれ、蛍光体に500〜500
0Vの電圧を印加した。
【0067】本発明の特徴である異種材料微粒子を局所
的に設けた電子放出素子を用いて形成した本実施例の画
像形成装置と、異種材料微粒子を設けない同様の電子放
出素子を用いて形成した従来の画像形成装置とを比較検
討したところ、次のような結果が得られた。 (1)本実施例の画像形成装置は、各電子放出部から放
出される電流量が、従来装置に比べ2〜3倍増加し、極
めて明るい表示画像が得られた。 (2)本実施例の画像形成装置は、明るさのばらつき及
び各発光輝点のチラツキの少ない良好な表示画像が得ら
れた。 (3)本実施例の画像形成装置は、従来装置より明るい
表示画像が得られるにもかかわらず、消費電力は従来装
置とほぼ同等であった。
【0068】以上のことから、本発明の電子放出素子を
用いた画像形成装置は、カラー画像、高精細画像を得る
のに好適に用いることができる。
【0069】以上、本実施例は画像形成装置についての
み説明してきたが、電子ビーム応用装置としては、記録
装置,記憶装置,電子ビーム描画装置等の様々な装置が
あり、本発明は電子放出素子が複数配置された面状電子
源を用いた装置であれば同等の効果がある。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る異種
材料微粒子を局所的に配置して電子放出部を形成した本
発明の電子放出素子及び、該素子を用いて構成した電子
線発生装置並びに画像形成装置は以下の効果を奏する。 (1)電子放出量及び電子放出効率等の素子特性を大幅
に向上させることができる。 (2)放出電流の時間的変動(ゆらぎ)を低減すること
ができる。 (3)安定且つ再現性良い電子放出素子を提供でき、該
素子を複数面状に展開した電子線発生装置は、均一な電
子放出量が得られる。 (4)画像形成装置として、均一な発光輝度の画像表示
が得られる。 (5)画像形成装置として、低消費電力化が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面伝導形電子放出素子の構成図であ
る。
【図2】図1のA−A断面の概略図である。
【図3】実施例1における本発明の電子放出素子の製造
工程を説明するための工程図である。
【図4】実施例2で作製した本発明の電子放出素子の概
略図である。
【図5】本発明の電子放出素子を用いた画像形成装置の
構成図である。
【図6】従来の通電加熱によって作製された電子放出素
子の構成図である。
【図7】従来の微粒子膜を通電処理することにより作製
された電子放出素子の構成図である。
【図8】従来型電子源を用いた画像形成装置の構成図で
ある。
【符号の説明】
11 素子形成基板 12,13 電極 14 電極間隔部 15 微粒子膜 16 異種材料微粒子 17 パラジウム膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 鱸 英俊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 浜元 康弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の電極間に、少なくとも、該電極
    と接触して配置された微粒子と、前記電極と非接触に局
    所的に配置され前記微粒子に含有されている元素よりも
    原子量の大きな元素を含有する異種材料微粒子で構成さ
    れていることを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記異種材料微粒子が、10Å〜10μ
    mの粒径を有することを特徴とする請求項1記載の電子
    放出素子。
  3. 【請求項3】 前記異種材料微粒子が、低仕事関数材料
    を含むことを特徴とする請求項1記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載の電子放出
    素子の複数と、該電子放出素子から放出される電子線を
    情報信号に応じて変調する変調手段とを有することを特
    徴とする電子線発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3いずれかに記載の電子放出
    素子の複数と、該電子放出素子から放出される電子線を
    情報信号に応じて変調する変調手段と、該電子線の照射
    により画像を形成する画像形成部材とを有することを特
    徴とする画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記画像形成部材が、前記電子線の照射
    により発光する発光体であることを特徴とする請求項5
    記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記画像形成部材が、前記電子線の照射
    により発光するレッド、グリーン、ブルーの三原色発光
    体であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装
    置。
JP36135292A 1992-12-29 1992-12-29 電子放出素子、電子線発生装置及び画像形成装置 Pending JPH06203741A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5903092A (en) * 1994-05-18 1999-05-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Device for emitting electrons
US6184626B1 (en) 1995-01-31 2001-02-06 Canon Kabushiki Kaisha Electron beam apparatus and method of driving the same
CN113161459A (zh) * 2021-02-25 2021-07-23 华灿光电(浙江)有限公司 图形化衬底、发光二极管外延片及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113161459A (zh) * 2021-02-25 2021-07-23 华灿光电(浙江)有限公司 图形化衬底、发光二极管外延片及其制备方法

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Effective date: 20010116