JP3413068B2 - 工作機械の熱変位推定方法 - Google Patents
工作機械の熱変位推定方法Info
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- Machine Tool Sensing Apparatuses (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械の熱変位
を測定温度に基づいて推定するため熱変位推定演算に必
要な熱変位変化形態を関数化することによって、工作機
械固有の熱変位変化形態を小容量の記憶装置で保存する
ことができ、あらゆる回転数における熱変位時定数と測
定温度時定数の比を容易に同定できる工作機械の熱変位
推定方法に関するものである。
を測定温度に基づいて推定するため熱変位推定演算に必
要な熱変位変化形態を関数化することによって、工作機
械固有の熱変位変化形態を小容量の記憶装置で保存する
ことができ、あらゆる回転数における熱変位時定数と測
定温度時定数の比を容易に同定できる工作機械の熱変位
推定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、工作機械は、機械の特性上各部
に熱源、例えば主軸の転がり軸受などを持っており、こ
の熱源によって発生した熱が機械各部に伝わることで、
機体の熱変位を引き起こす。そして、温度上昇(主軸と
ベッドつまり室温との温度差)と熱変位とは、主軸の回
転数が一定した定常状態において、下記の比例関係でよ
く一致することが知られている。
に熱源、例えば主軸の転がり軸受などを持っており、こ
の熱源によって発生した熱が機械各部に伝わることで、
機体の熱変位を引き起こす。そして、温度上昇(主軸と
ベッドつまり室温との温度差)と熱変位とは、主軸の回
転数が一定した定常状態において、下記の比例関係でよ
く一致することが知られている。
【0003】
熱変位 = K・温度上昇 式1
K : 係数
【0004】機体の熱変位は加工精度に大きく影響する
ため、その防止対策として、従来から、発熱部を冷却す
る方法、或いは、機体温度情報から熱変位を推定して補
正する方法が広く採用されている。後者の従来技術とし
て、特公昭61−59860号公報には、工作機械の主
軸頭部の温度と比較的温度変化の少ない機体部分の温度
との二差値と主軸の伸びとの関係を表わす温度差−熱変
位量の実験式(1次式)をプログラムメモリ内にストア
し、主軸頭及び機体部分に設けたセンサの出力により温
度を検出し、検出温度の即時値に基づき前記実験式を用
いて熱変位量を演算して推定し、それに相当する補正量
をサーボ出力に賦与する方法が開示されている。また、
特公平6−22779号公報には、主軸を構成する複数
の要素毎に作成した実験式を用いて主軸の軸線方向の熱
変位量を演算により推定する技術が開示されている。
ため、その防止対策として、従来から、発熱部を冷却す
る方法、或いは、機体温度情報から熱変位を推定して補
正する方法が広く採用されている。後者の従来技術とし
て、特公昭61−59860号公報には、工作機械の主
軸頭部の温度と比較的温度変化の少ない機体部分の温度
との二差値と主軸の伸びとの関係を表わす温度差−熱変
位量の実験式(1次式)をプログラムメモリ内にストア
し、主軸頭及び機体部分に設けたセンサの出力により温
度を検出し、検出温度の即時値に基づき前記実験式を用
いて熱変位量を演算して推定し、それに相当する補正量
をサーボ出力に賦与する方法が開示されている。また、
特公平6−22779号公報には、主軸を構成する複数
の要素毎に作成した実験式を用いて主軸の軸線方向の熱
変位量を演算により推定する技術が開示されている。
【0005】このように、検出温度の即時値を用いて熱
変位を推定する熱変位推定方法によると、主軸ノーズ部
分の熱変位量の演算において温度上昇の時定数と熱変位
の時定数との差を埋めることができず、回転数が変化し
てしばらく続く過渡状態において推定熱変位量に誤差を
発生しやすい。また、過渡状態で回転数がさらに変化し
た場合や、主軸の回転数に応じた熱変位時定数の変化も
考慮されていないため、工作機械の全ての運転状況に応
じて熱変位を正確に推定することが困難であった。 例
えば、図1(a)の条件にて運転されたマシニングセン
タの主軸熱変位と主軸軸受けの温度上昇値(機体温度か
らの相対値)の関係を図1(b)に示す。この実験結果
に対し、従来より提案されている温度上昇値の即時値を
用いて式2で熱変位量を推定し、その推定熱変位量と実
際の熱変位との推定誤差を図1(c)に示す。
変位を推定する熱変位推定方法によると、主軸ノーズ部
分の熱変位量の演算において温度上昇の時定数と熱変位
の時定数との差を埋めることができず、回転数が変化し
てしばらく続く過渡状態において推定熱変位量に誤差を
発生しやすい。また、過渡状態で回転数がさらに変化し
た場合や、主軸の回転数に応じた熱変位時定数の変化も
考慮されていないため、工作機械の全ての運転状況に応
じて熱変位を正確に推定することが困難であった。 例
えば、図1(a)の条件にて運転されたマシニングセン
タの主軸熱変位と主軸軸受けの温度上昇値(機体温度か
らの相対値)の関係を図1(b)に示す。この実験結果
に対し、従来より提案されている温度上昇値の即時値を
用いて式2で熱変位量を推定し、その推定熱変位量と実
際の熱変位との推定誤差を図1(c)に示す。
【0006】
推定熱変位 δ = 5×(温度上昇+0.8) 式2
【0007】この結果より、高速回転から低速回転に移
行して暫くのいわゆる過渡状態において、熱変位推定誤
差が顕著に現われ、しかもその推定誤差は低回転数にな
るに従い拡大していることがわかる。この原因を判りや
すく説明するために、高速回転状態から低速回転状態に
移行したそれぞれの状況において、変化割合を比較でき
るように温度変化及び変位変化の計測値を、その区間に
おける変化量(変化幅)で除した結果をそれぞれ図2
(a)及び図2(b)に示す。なお、図2(b)には比
較のために温度変化のグラフを加えている。これによ
り、図2(a)の温度変化曲線は同一の変化傾向(時定
数)を示しているのに対し、図2(b)の熱変位変化曲
線は回転数が遅くなるに従い、時定数が大きくなる傾向
を示している。つまり、過渡状態において、温度上昇即
時値を用いると、熱変位時定数と温度時定数との差から
推定誤差が発生し、その傾向は低速回転になるにつれ拡
大することが判る。
行して暫くのいわゆる過渡状態において、熱変位推定誤
差が顕著に現われ、しかもその推定誤差は低回転数にな
るに従い拡大していることがわかる。この原因を判りや
すく説明するために、高速回転状態から低速回転状態に
移行したそれぞれの状況において、変化割合を比較でき
るように温度変化及び変位変化の計測値を、その区間に
おける変化量(変化幅)で除した結果をそれぞれ図2
(a)及び図2(b)に示す。なお、図2(b)には比
較のために温度変化のグラフを加えている。これによ
り、図2(a)の温度変化曲線は同一の変化傾向(時定
数)を示しているのに対し、図2(b)の熱変位変化曲
線は回転数が遅くなるに従い、時定数が大きくなる傾向
を示している。つまり、過渡状態において、温度上昇即
時値を用いると、熱変位時定数と温度時定数との差から
推定誤差が発生し、その傾向は低速回転になるにつれ拡
大することが判る。
【0008】そこで、本出願人は、特願平8−3098
2号において、過渡状態における温度と熱変位の時間応
答が同様となるように回転数変化後の過途状態から定常
状態に戻るまで回転数と時間或いは補正回数に応じて熱
変位推定演算式の係数を変化させながら主軸の熱変位を
求める熱変位推定演算を提案し、あらゆる運転状況にお
いて正確に補正することを可能とした。その課題を解決
するための第1の手段として、温度データにフィルタリ
ング処理を施して次式により熱変位の推定用中間値を求
め、フィルタを時間又は補正回数(サンプリング間隔)
により変化する関数f(n) とおいた。なお、フィルタと
しては、例えばデジタルフィルタの指数平滑フィルタを
好ましく使用できる。
2号において、過渡状態における温度と熱変位の時間応
答が同様となるように回転数変化後の過途状態から定常
状態に戻るまで回転数と時間或いは補正回数に応じて熱
変位推定演算式の係数を変化させながら主軸の熱変位を
求める熱変位推定演算を提案し、あらゆる運転状況にお
いて正確に補正することを可能とした。その課題を解決
するための第1の手段として、温度データにフィルタリ
ング処理を施して次式により熱変位の推定用中間値を求
め、フィルタを時間又は補正回数(サンプリング間隔)
により変化する関数f(n) とおいた。なお、フィルタと
しては、例えばデジタルフィルタの指数平滑フィルタを
好ましく使用できる。
【0009】
Yn = Yn-1 + (Xn −Yn-1 )・f(n) 式3
Xn : n 回目の測定温度
Yn : n 回目の熱変位推定用中間値
f(n): フィルタ係数関数
n : 補正回数(時間)
【0010】これにより、図3に示すように過渡状態で
も係数が最適となるように変化させた推定変位は変位モ
デルに一致する。図4は時間により変化するフィルタ係
数関数f(n) を示す。このように第1の手段は、時間或
いは補正回数に応じて変化する係数を含む演算式を用
い、温度時定数及び熱変位時定数の差を埋めて、過渡状
態から定常状態まで全ての運転状況において熱変位を正
確に推定できる効果がある。なお、フィルタ係数関数f
(n) を定数に固定すると、図5に示すように、推定変位
の時間応答が1次遅れ系への1次遅れ入力を実施したと
きとほぼ同様の無駄時間を含むため、正確な推定値を得
ることは難しい。また、フィルタ係数関数f(n) は温度
時定数Ttmp及び熱変位時定数Tδによっても変化する関
数である。しかも、時定数は、主軸の加速時と減速時と
で熱源や熱交換形態が異なること、或いは、高回転から
低回転への変化時に回転数に応じて大気中への放熱現象
が相違すること、などの要因によって大きく変化する。
図6には回転数の上昇・下降によるフィルタ係数の経時
変化を示した。そこで、これを考慮し第2の手段とし
て、フィルタ係数を回転数変化或いは回転数指令を基準
に決定する。推定精度をより向上させるために、好まし
くは、第3の手段として回転数変化後の温度変化状況を
監視して、フィルタ係数を回転数変化後の温度変化方向
を算入して決定する。参考として、図7に高回転から低
回転に移行する際のフィルタ係数の変化を例示した。こ
れら第2、3の方法によれば、回転数に伴って変化する
時定数を算入して、熱変位をより正確に推定できる効果
がある。また、第4の手段として、ビルトインモータで
駆動される主軸の場合は、このモータの発熱も熱変位に
大きく影響することから、NC装置によりモータの出力
を監視し、その出力が閾値を越えたときの測定温度を基
準にフィルタ係数を決定してもよい。第4の手段によれ
ば、モータの発熱による熱変位を正確に推定できる効果
がある。次に、過渡状態で更に回転数が変化したときに
ついて考察する。温度及び熱変位はともに回転数に対し
1次遅れ系の応答を示すので、図8のモデルに例示する
ように、定常状態から最初に回転数が変化した過渡状態
を示す区間Aでは、熱変位を式3を用いて正確に推定す
ることが可能である。一方、過渡状態で回転数が更に減
少方向に変化した後の区間Bでは、温度及び熱変位とも
に低下するが、区間Aにおいて測定温度の方が推定用中
間値よりも高いため、区間Bで推定用中間値が測定温度
により引き上げられ、変位モデルよりも高い値で推移
し、推定誤差が発生する。この推定誤差を解消するため
に、第5の手段として、過渡状態で回転数が変化したと
きに、熱変位推定用中間値温度と測定温度との段差分を
求め、この段差分を吸収する量を付加した温度に基づい
て熱変位を推定する。第6の手段として、好ましくは、
段差分吸収量を温度時定数Ttmp及び回転数変化後の時間
tを算入して決定する。このときの処理を以下に示す。
も係数が最適となるように変化させた推定変位は変位モ
デルに一致する。図4は時間により変化するフィルタ係
数関数f(n) を示す。このように第1の手段は、時間或
いは補正回数に応じて変化する係数を含む演算式を用
い、温度時定数及び熱変位時定数の差を埋めて、過渡状
態から定常状態まで全ての運転状況において熱変位を正
確に推定できる効果がある。なお、フィルタ係数関数f
(n) を定数に固定すると、図5に示すように、推定変位
の時間応答が1次遅れ系への1次遅れ入力を実施したと
きとほぼ同様の無駄時間を含むため、正確な推定値を得
ることは難しい。また、フィルタ係数関数f(n) は温度
時定数Ttmp及び熱変位時定数Tδによっても変化する関
数である。しかも、時定数は、主軸の加速時と減速時と
で熱源や熱交換形態が異なること、或いは、高回転から
低回転への変化時に回転数に応じて大気中への放熱現象
が相違すること、などの要因によって大きく変化する。
図6には回転数の上昇・下降によるフィルタ係数の経時
変化を示した。そこで、これを考慮し第2の手段とし
て、フィルタ係数を回転数変化或いは回転数指令を基準
に決定する。推定精度をより向上させるために、好まし
くは、第3の手段として回転数変化後の温度変化状況を
監視して、フィルタ係数を回転数変化後の温度変化方向
を算入して決定する。参考として、図7に高回転から低
回転に移行する際のフィルタ係数の変化を例示した。こ
れら第2、3の方法によれば、回転数に伴って変化する
時定数を算入して、熱変位をより正確に推定できる効果
がある。また、第4の手段として、ビルトインモータで
駆動される主軸の場合は、このモータの発熱も熱変位に
大きく影響することから、NC装置によりモータの出力
を監視し、その出力が閾値を越えたときの測定温度を基
準にフィルタ係数を決定してもよい。第4の手段によれ
ば、モータの発熱による熱変位を正確に推定できる効果
がある。次に、過渡状態で更に回転数が変化したときに
ついて考察する。温度及び熱変位はともに回転数に対し
1次遅れ系の応答を示すので、図8のモデルに例示する
ように、定常状態から最初に回転数が変化した過渡状態
を示す区間Aでは、熱変位を式3を用いて正確に推定す
ることが可能である。一方、過渡状態で回転数が更に減
少方向に変化した後の区間Bでは、温度及び熱変位とも
に低下するが、区間Aにおいて測定温度の方が推定用中
間値よりも高いため、区間Bで推定用中間値が測定温度
により引き上げられ、変位モデルよりも高い値で推移
し、推定誤差が発生する。この推定誤差を解消するため
に、第5の手段として、過渡状態で回転数が変化したと
きに、熱変位推定用中間値温度と測定温度との段差分を
求め、この段差分を吸収する量を付加した温度に基づい
て熱変位を推定する。第6の手段として、好ましくは、
段差分吸収量を温度時定数Ttmp及び回転数変化後の時間
tを算入して決定する。このときの処理を以下に示す。
【0011】
段差分 = 回転数変化直前の温度 − 推定用中間値 式4
入力計算用温度 = 測定温度 − 段差分・exp(- t/Ttmp ) 式5
入力計算用温度:式3のXn に相当
t:回転数が変化してからの時間
Ttmp:温度時定数
【0012】この段差分処理方法を適用したモデルを図
9に示す。これより、正確な推定が行われていることが
分かる。第5、6の手段によれば、過渡状態で回転数が
変化したときでも、熱変位推定値と温度との段差分を吸
収して、熱変位を正確に推定できる効果がある。なお、
フィルタの最適係数は工作機械ごとに予め時間若しくは
補正回数に応じて又は回転数変化若しくは回転数指令を
基準に計測しておき行列テーブルとしてNC装置の記憶
装置に記憶しておき、加工処理ごとに適切な数値を引用
してくることがよい。また、温度即時値を用い式1によ
り熱変位を推定し、その値に対し式3〜式5を適用して
も同様の結果が得られる。
9に示す。これより、正確な推定が行われていることが
分かる。第5、6の手段によれば、過渡状態で回転数が
変化したときでも、熱変位推定値と温度との段差分を吸
収して、熱変位を正確に推定できる効果がある。なお、
フィルタの最適係数は工作機械ごとに予め時間若しくは
補正回数に応じて又は回転数変化若しくは回転数指令を
基準に計測しておき行列テーブルとしてNC装置の記憶
装置に記憶しておき、加工処理ごとに適切な数値を引用
してくることがよい。また、温度即時値を用い式1によ
り熱変位を推定し、その値に対し式3〜式5を適用して
も同様の結果が得られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、先の出願に係
る、時間nとともに変化する熱変位推定演算式の係数関
数f(n) は、主軸回転加速時と減速時とで発熱形態が変
わることや低速回転時の放熱現象が回転数によって顕著
に変化することから、容易に見つけることが困難であ
る。第2に、フィルタの最適係数の行列テーブルはあら
ゆる運転状況に応じた条件の数だけ必要となり、正確さ
を高めるためには測定個数を増加させると記憶装置の容
量を同じように大きくする必要がある上、記憶容量が大
きくなると、検索・選択する時間を要して装置全体の反
応性が悪くなる。
る、時間nとともに変化する熱変位推定演算式の係数関
数f(n) は、主軸回転加速時と減速時とで発熱形態が変
わることや低速回転時の放熱現象が回転数によって顕著
に変化することから、容易に見つけることが困難であ
る。第2に、フィルタの最適係数の行列テーブルはあら
ゆる運転状況に応じた条件の数だけ必要となり、正確さ
を高めるためには測定個数を増加させると記憶装置の容
量を同じように大きくする必要がある上、記憶容量が大
きくなると、検索・選択する時間を要して装置全体の反
応性が悪くなる。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで、本出願人は、工
作機械を高速回転から低速回転に又は反対方向に運転条
件を移行したときの主軸冷却又は発熱の変化傾向(熱変
位時定数及び温度時定数)はその工作機械固有であり、
主軸温度変化時の熱変位現象が把握できれば過渡状態の
熱変位推定も容易に高精度化できるから、回転数による
熱変位時定数の変化形態に着目した。また、予め計測し
た回転数と熱変位時定数及び温度時定数とのマトリック
スを利用するのではなく、その回転数と熱変位時定数及
び温度時定数との関係を同定した関数式を、記憶装置に
保存することとした。これにより、あらゆる運転状況に
おいて回転数から熱変位時定数及び温度時定数を算出し
正確に熱変位量を補正することを可能にし、過渡状態か
ら定常状態まで全ての運転状況において熱変位を正確に
推定できる方法を提供することにある。
作機械を高速回転から低速回転に又は反対方向に運転条
件を移行したときの主軸冷却又は発熱の変化傾向(熱変
位時定数及び温度時定数)はその工作機械固有であり、
主軸温度変化時の熱変位現象が把握できれば過渡状態の
熱変位推定も容易に高精度化できるから、回転数による
熱変位時定数の変化形態に着目した。また、予め計測し
た回転数と熱変位時定数及び温度時定数とのマトリック
スを利用するのではなく、その回転数と熱変位時定数及
び温度時定数との関係を同定した関数式を、記憶装置に
保存することとした。これにより、あらゆる運転状況に
おいて回転数から熱変位時定数及び温度時定数を算出し
正確に熱変位量を補正することを可能にし、過渡状態か
ら定常状態まで全ての運転状況において熱変位を正確に
推定できる方法を提供することにある。
【0015】上記の課題を解決するために、請求項1に
係る熱変位推定方法は、工作機械各部の温度を検出する
段階と、検出した温度を数値化する段階と、数値化され
た温度に基づき演算式を用いて熱変位量を推定する段階
とを含み、時間又は補正回数(n) により変化する係数を
有した係数関数(f(n)) を用いた工作機械の熱変位推定
方法において、該係数関数(f(n)) の定数が、前記熱変
位時定数(T) をあらかじめ実験によって得られ記憶装置
内に記憶された温度時定数(Ttmp)で除した時定数比(R)
と主軸回転数(N) との関係式(R(N))と指令回転数によっ
て決定される方法である。これにより、熱変位時定数を
回転数による関数で算出するので、従来のように実験で
直接に得られない回転数であっても熱変位時定数を求め
ることができる上、関数式より熱変位時定数を得るのに
要する時間が短縮されるとともに、記憶させる膨大な数
値群が無くなりNC装置の記憶容量を小さくすることが
できる。また、主軸冷却装置の能力及び工作機械の使用
条件等によって、温度時定数の変化による熱変位時定数
が変化する影響を効果的に無くすことができるから、熱
変位補正をより正確に推定できる。そして、請求項2に
係る熱変位推定方法は、前記関係式を、回転数の上昇側
と回転数の降下側とにそれぞれあらかじめ設定し、回転
数変化後に行う関数式の選択を、熱変位推定用中間値と
測定温度との段差分を考慮した入力計算用温度の変化方
向から判断する方法である。これにより、入力計算用温
度の変化方向を用いて段差処理を行うので、測定温度の
変化方向に関わらず熱変位時定数と温度時定数との差異
により計測温度方向と熱変位方向とが必ずしも一致して
いない場合においても、熱変位補正を正確に推定できる
効果がある。
係る熱変位推定方法は、工作機械各部の温度を検出する
段階と、検出した温度を数値化する段階と、数値化され
た温度に基づき演算式を用いて熱変位量を推定する段階
とを含み、時間又は補正回数(n) により変化する係数を
有した係数関数(f(n)) を用いた工作機械の熱変位推定
方法において、該係数関数(f(n)) の定数が、前記熱変
位時定数(T) をあらかじめ実験によって得られ記憶装置
内に記憶された温度時定数(Ttmp)で除した時定数比(R)
と主軸回転数(N) との関係式(R(N))と指令回転数によっ
て決定される方法である。これにより、熱変位時定数を
回転数による関数で算出するので、従来のように実験で
直接に得られない回転数であっても熱変位時定数を求め
ることができる上、関数式より熱変位時定数を得るのに
要する時間が短縮されるとともに、記憶させる膨大な数
値群が無くなりNC装置の記憶容量を小さくすることが
できる。また、主軸冷却装置の能力及び工作機械の使用
条件等によって、温度時定数の変化による熱変位時定数
が変化する影響を効果的に無くすことができるから、熱
変位補正をより正確に推定できる。そして、請求項2に
係る熱変位推定方法は、前記関係式を、回転数の上昇側
と回転数の降下側とにそれぞれあらかじめ設定し、回転
数変化後に行う関数式の選択を、熱変位推定用中間値と
測定温度との段差分を考慮した入力計算用温度の変化方
向から判断する方法である。これにより、入力計算用温
度の変化方向を用いて段差処理を行うので、測定温度の
変化方向に関わらず熱変位時定数と温度時定数との差異
により計測温度方向と熱変位方向とが必ずしも一致して
いない場合においても、熱変位補正を正確に推定できる
効果がある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明をマシニングセンタ
に具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1
0は縦型マシニングセンタにおける熱変位補正システム
を示すものであるが、横型マシニングセンタの場合も符
号6以上の部材は同様である。縦型マシニングセンタ
は、周知のように、主軸ヘッド1、コラム2、主軸3、
ベッド4、移動テーブル5等から構成されている。主軸
3にはその発熱温度を検出する第1温度センサ6が取り
付けられ、ベッド4には基準温度を検出する第2温度セ
ンサ7が取り付けられている。温度測定装置8は各温度
をアナログ信号からデジタル信号に変換して数値化し、
記憶装置10にあらかじめ記憶された補正パラメーター
に基づき熱変位推定演算器9が数値化された温度データ
に基づき演算式を用いて熱変位の補正量を推定し、NC
装置11がその補正量に従って周知の方法で位置補正を
行う。次に、位置補正を行う前の工作機械については、
熱変位時定数Tδ と主軸回転数N との関係を計測する実
験をあらかじめ行い、その実験によって得られたマトリ
ックス値を記憶装置内に一時的に記憶した後、その熱変
位時定数Tδ と主軸回転数N との関係式T(N)のパラメー
ターによる係数関数f(n,T(N))を決定しておく。図11
(a)は図5に示した熱変位時定数から回転数との関係
を示すものであり、この結果から関係式T(N)を次式のよ
うに同定する。
に具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1
0は縦型マシニングセンタにおける熱変位補正システム
を示すものであるが、横型マシニングセンタの場合も符
号6以上の部材は同様である。縦型マシニングセンタ
は、周知のように、主軸ヘッド1、コラム2、主軸3、
ベッド4、移動テーブル5等から構成されている。主軸
3にはその発熱温度を検出する第1温度センサ6が取り
付けられ、ベッド4には基準温度を検出する第2温度セ
ンサ7が取り付けられている。温度測定装置8は各温度
をアナログ信号からデジタル信号に変換して数値化し、
記憶装置10にあらかじめ記憶された補正パラメーター
に基づき熱変位推定演算器9が数値化された温度データ
に基づき演算式を用いて熱変位の補正量を推定し、NC
装置11がその補正量に従って周知の方法で位置補正を
行う。次に、位置補正を行う前の工作機械については、
熱変位時定数Tδ と主軸回転数N との関係を計測する実
験をあらかじめ行い、その実験によって得られたマトリ
ックス値を記憶装置内に一時的に記憶した後、その熱変
位時定数Tδ と主軸回転数N との関係式T(N)のパラメー
ターによる係数関数f(n,T(N))を決定しておく。図11
(a)は図5に示した熱変位時定数から回転数との関係
を示すものであり、この結果から関係式T(N)を次式のよ
うに同定する。
【0017】
熱変位時定数 T(N)=13・e-N/2000+8.3 式6
【0018】実験より求めた熱変位時定数Tδ と回転数
N とから得た式6は、実験で得られていない回転数でも
容易に熱変位時定数Tδ を推定することができるから、
従来のようにマトリックス値に存在しない熱変位時定数
Tδ と主軸回転数N とを主軸回転数N の前後のデータか
ら熱変位時定数Tδ を比例的に内挿して算出する必要が
無くなった。また、マトリックス状のデーター群全てで
は無く、関数式だけ記憶装置に保存すれば回転数T から
熱変位時定数Tδ を求めることができるので算出までの
時間が短くなる上、記憶装置の容量も小さいものにする
ことができる。また、熱変位時定数関数T(N)に加え、熱
変位時定数Tδ を温度変化時定数Ttmpで除した時定数比
R を算出する。そして回転数N と時定数比関数R(N)との
関係を図11(b)に示し、このグラフから時定数比関
数R(n)を同定し次に示す。
N とから得た式6は、実験で得られていない回転数でも
容易に熱変位時定数Tδ を推定することができるから、
従来のようにマトリックス値に存在しない熱変位時定数
Tδ と主軸回転数N とを主軸回転数N の前後のデータか
ら熱変位時定数Tδ を比例的に内挿して算出する必要が
無くなった。また、マトリックス状のデーター群全てで
は無く、関数式だけ記憶装置に保存すれば回転数T から
熱変位時定数Tδ を求めることができるので算出までの
時間が短くなる上、記憶装置の容量も小さいものにする
ことができる。また、熱変位時定数関数T(N)に加え、熱
変位時定数Tδ を温度変化時定数Ttmpで除した時定数比
R を算出する。そして回転数N と時定数比関数R(N)との
関係を図11(b)に示し、このグラフから時定数比関
数R(n)を同定し次に示す。
【0019】
時定数比 R(N)=2.95・e-N/2000+1.95 式7
【0020】この時定数比関数を用いる方式は、図4に
あっては温度時定数が同一であったが、例えば冷却装置
等の能力条件等によって温度時定数が変化する工作機械
の熱変位補正を行うのに都合が良い。更に、図1(a)
に例示した熱現象は回転数が減少した時に温度が低下方
向にある場合であるが、回転数が下降した時に入力計算
用温度が上昇する場合も存在する。そこで、時定数の関
係により必ずしも計測温度変化方向と熱変位方向とが一
致していないため、回転数上昇・降下で別々に実験し、
時定数関数をそれぞれ設定することで、状況により最適
な関係式を用いて熱変位量を推定する必要がある。そし
て、時定数関数を回転数上昇・降下でどちらを用いるか
の判定には、入力計算用温度の変化方向を検知し、入力
計算用温度が上昇方向にある場合は回転数上昇の時定数
関数を選択する。
あっては温度時定数が同一であったが、例えば冷却装置
等の能力条件等によって温度時定数が変化する工作機械
の熱変位補正を行うのに都合が良い。更に、図1(a)
に例示した熱現象は回転数が減少した時に温度が低下方
向にある場合であるが、回転数が下降した時に入力計算
用温度が上昇する場合も存在する。そこで、時定数の関
係により必ずしも計測温度変化方向と熱変位方向とが一
致していないため、回転数上昇・降下で別々に実験し、
時定数関数をそれぞれ設定することで、状況により最適
な関係式を用いて熱変位量を推定する必要がある。そし
て、時定数関数を回転数上昇・降下でどちらを用いるか
の判定には、入力計算用温度の変化方向を検知し、入力
計算用温度が上昇方向にある場合は回転数上昇の時定数
関数を選択する。
【0021】図12は熱変位推定方法の一実施形態を示
すフローチャートである。まず、温度測定(ステップ
1、図面ではstep1 と表示する。以下同じ。)を含む熱
変位補正実行中に再び回転数が変化すると(step2) 、式
4により温度と推定用中間値Yn との段差量が演算され
る(step3) 。次いで、この段差量と回転数変化後の時間
n 及び温度時定数Ttmpとに基づき式5により、差分吸収
量を付加した入力計算用温度Xn が算出される(step4)
。なお、段差量が推定用中間値Yn の算出に影響を及
ぼさない程度に小さくなったときには、段差吸収処理を
省略することができる。そして、この入力計算用温度X
n の温度変化方向から、上昇・下降の時定数比関数の選
択を行い(step5) 、回転数の上昇・下降状態に最適な時
定数比が算出される(step6,step7) 。例えば、測定温度
減少時であっても、熱変位時定数と温度時定数との差異
により熱変位は増加する場合があるから、入力計算用温
度の温度変化方向を検知し、増加方向であれば測定温度
の変化方向に関わらず上昇の時定数比関数を選択する。
その後、時間経過或いは補正回数を累積するカウンター
が始動し(step8) 、段差分処理が終わる(step9) 。こう
して選択された時定数比関数から、予め決定した式7に
おいて指令回転数での時定数比や、或いは熱変位時定数
を式6から算出しておく。そして得られた時定数比や、
或いは熱変位時定数と、カウンターによる回転数変化後
の補正の累積回数又は時間に基づき予め設定された演算
式を用いて最適のフィルタ係数f(n,T(N))が算出され(s
tep10)、このフィルタ係数f(n,T(N))と入力計算用温度
Xnとから、式3を参考に式8により推定用中間値が演
算される(step11)。Y n = Y n−1 + (X n −Y
n−1 )・f(n,T(N)) 式8そして、この推定
用中間値と式1の演算結果とを総合して主軸3の熱変位
量が推定され(step12)、これに相当する補正量がNC装
置11に出力され(step13)、NC装置11が熱変位補正
処理を行う(step14)。
すフローチャートである。まず、温度測定(ステップ
1、図面ではstep1 と表示する。以下同じ。)を含む熱
変位補正実行中に再び回転数が変化すると(step2) 、式
4により温度と推定用中間値Yn との段差量が演算され
る(step3) 。次いで、この段差量と回転数変化後の時間
n 及び温度時定数Ttmpとに基づき式5により、差分吸収
量を付加した入力計算用温度Xn が算出される(step4)
。なお、段差量が推定用中間値Yn の算出に影響を及
ぼさない程度に小さくなったときには、段差吸収処理を
省略することができる。そして、この入力計算用温度X
n の温度変化方向から、上昇・下降の時定数比関数の選
択を行い(step5) 、回転数の上昇・下降状態に最適な時
定数比が算出される(step6,step7) 。例えば、測定温度
減少時であっても、熱変位時定数と温度時定数との差異
により熱変位は増加する場合があるから、入力計算用温
度の温度変化方向を検知し、増加方向であれば測定温度
の変化方向に関わらず上昇の時定数比関数を選択する。
その後、時間経過或いは補正回数を累積するカウンター
が始動し(step8) 、段差分処理が終わる(step9) 。こう
して選択された時定数比関数から、予め決定した式7に
おいて指令回転数での時定数比や、或いは熱変位時定数
を式6から算出しておく。そして得られた時定数比や、
或いは熱変位時定数と、カウンターによる回転数変化後
の補正の累積回数又は時間に基づき予め設定された演算
式を用いて最適のフィルタ係数f(n,T(N))が算出され(s
tep10)、このフィルタ係数f(n,T(N))と入力計算用温度
Xnとから、式3を参考に式8により推定用中間値が演
算される(step11)。Y n = Y n−1 + (X n −Y
n−1 )・f(n,T(N)) 式8そして、この推定
用中間値と式1の演算結果とを総合して主軸3の熱変位
量が推定され(step12)、これに相当する補正量がNC装
置11に出力され(step13)、NC装置11が熱変位補正
処理を行う(step14)。
【0022】図13は、本願発明に係る、回転数による
関数で算出した熱変位時定数により熱変位を推定し、そ
の推定誤差を示す特性図を示す。温度上昇即時値により
推定した図1(c)と比較し、主軸が時定数の異なる回
転数に変化した場合でも正確に熱変位を推定できること
が明らかである。
関数で算出した熱変位時定数により熱変位を推定し、そ
の推定誤差を示す特性図を示す。温度上昇即時値により
推定した図1(c)と比較し、主軸が時定数の異なる回
転数に変化した場合でも正確に熱変位を推定できること
が明らかである。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に係る発
明によれば、高精度な熱変位量を演算するために熱変位
時定数を回転数による関数で算出するようにしたので、
従来のようにマトリックス状にあらゆる主軸回転数にお
ける熱変位時定数を記憶する必要がなくなり、実験で得
られない回転数であっても熱変位時定数を求めることが
できる上、関数式より熱変位時定数を得るのに要する時
間が短縮されるとともに、記憶させる膨大な実験値が無
くなりNC装置の記憶容量を小さくすることができる効
果がある。また、熱変位時定数を温度時定数で除した時
定数比で関数化することによって熱変位時定数を求める
ので、主軸冷却装置の能力及び工作機械の使用条件等に
よって、温度時定数の変化による熱変位時定数が変化す
る影響を効果的に無くすことができるから、熱変位補正
をより正確に推定できる効果がある。請求項2の発明に
よれば、入力計算用温度の変化方向を用いて段差処理を
行うので、熱変位時定数と温度時定数との差異により計
測温度方向と熱変位方向とが必ずしも一致していない場
合においても、熱変位補正を正確に推定できる効果があ
る。尚、回転数によって熱変位の時定数が変化すること
を考慮し、回転数にあった最適な係数関数を算出するの
で、あらゆる回転数において正確な熱変位量が算出でき
る。また、熱変位推定時の推定用の中間値を演算する際
に係数関数を連続的に変化させるだけで過渡状態から定
常状態に至るまで網羅でき、推定演算式を状態に合わせ
て変化させることなく、簡略化された演算処理となる。
特にデジタルファイルを用いた場合には、入力計算用温
度がノイズなどの影響によりばらついても、目的とする
熱変位量推定に影響することがない等の優れた効果を奏
するものである。
明によれば、高精度な熱変位量を演算するために熱変位
時定数を回転数による関数で算出するようにしたので、
従来のようにマトリックス状にあらゆる主軸回転数にお
ける熱変位時定数を記憶する必要がなくなり、実験で得
られない回転数であっても熱変位時定数を求めることが
できる上、関数式より熱変位時定数を得るのに要する時
間が短縮されるとともに、記憶させる膨大な実験値が無
くなりNC装置の記憶容量を小さくすることができる効
果がある。また、熱変位時定数を温度時定数で除した時
定数比で関数化することによって熱変位時定数を求める
ので、主軸冷却装置の能力及び工作機械の使用条件等に
よって、温度時定数の変化による熱変位時定数が変化す
る影響を効果的に無くすことができるから、熱変位補正
をより正確に推定できる効果がある。請求項2の発明に
よれば、入力計算用温度の変化方向を用いて段差処理を
行うので、熱変位時定数と温度時定数との差異により計
測温度方向と熱変位方向とが必ずしも一致していない場
合においても、熱変位補正を正確に推定できる効果があ
る。尚、回転数によって熱変位の時定数が変化すること
を考慮し、回転数にあった最適な係数関数を算出するの
で、あらゆる回転数において正確な熱変位量が算出でき
る。また、熱変位推定時の推定用の中間値を演算する際
に係数関数を連続的に変化させるだけで過渡状態から定
常状態に至るまで網羅でき、推定演算式を状態に合わせ
て変化させることなく、簡略化された演算処理となる。
特にデジタルファイルを用いた場合には、入力計算用温
度がノイズなどの影響によりばらついても、目的とする
熱変位量推定に影響することがない等の優れた効果を奏
するものである。
【図1】経時変化の横軸を揃え(a)は主軸の回転数を
示す特性図を、(b)は主軸の熱変位と温度上昇とを示
す特性図を、(c)は温度上昇即時値により熱変位を推
定した誤差を示す特性図をそれぞれ示す説明図である。
示す特性図を、(b)は主軸の熱変位と温度上昇とを示
す特性図を、(c)は温度上昇即時値により熱変位を推
定した誤差を示す特性図をそれぞれ示す説明図である。
【図2】主軸が高回転から低回転数に変化したときの回
転数変化をパラメータとし、経時変化の横軸を揃え、
(a)は温度変化割合を示す特性図を、(b)は変位変
化割合と一定な温度変化割合を示す特性図をそれぞれ示
す説明図である。
転数変化をパラメータとし、経時変化の横軸を揃え、
(a)は温度変化割合を示す特性図を、(b)は変位変
化割合と一定な温度変化割合を示す特性図をそれぞれ示
す説明図である。
【図3】フィルタ係数を最適化した演算式による熱変位
推定値を示す特性図である。
推定値を示す特性図である。
【図4】フィルタ係数の経時変化を示す特性図である。
【図5】フィルタ係数を固定した演算式による熱変位推
定値を示す特性図である。
定値を示す特性図である。
【図6】回転数の上昇・下降によるフィルタ係数の経時
変化を示す特性図である。
変化を示す特性図である。
【図7】高回転数から低回転数へ変化したときのフィル
タ係数の経時変化を示す特性図である。
タ係数の経時変化を示す特性図である。
【図8】過渡状態で回転数が変化したときの推定誤差を
説明する特性図である。
説明する特性図である。
【図9】過渡状態で回転数が変化したときの本発明の方
法による推定結果を示す特性図である。
法による推定結果を示す特性図である。
【図10】本発明の方法が実施される縦型マシニングセ
ンタの熱変位補正システムを示す概略図である。
ンタの熱変位補正システムを示す概略図である。
【図11】(a)は主軸の熱変位時定数と回転数の関係
を示す特性図を、(b)は主軸の熱変位時定数を温度時
定数で除した時定数比と回転数の関係を示す特性図をそ
れぞれ示す説明図である。
を示す特性図を、(b)は主軸の熱変位時定数を温度時
定数で除した時定数比と回転数の関係を示す特性図をそ
れぞれ示す説明図である。
【図12】本発明の熱変位推定方法の一実施形態を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図13】本発明の方法により熱変位を推定した誤差を
示す特性図である。
示す特性図である。
3・・主軸、4・・ベッド、6・・第1温度センサ、7
・・第2温度センサ、8・・温度測定装置、9・・熱変
位推定演算器、10・・記憶装置、11・・NC装置。
・・第2温度センサ、8・・温度測定装置、9・・熱変
位推定演算器、10・・記憶装置、11・・NC装置。
Claims (2)
- 【請求項1】 工作機械各部の温度を検出する段階と、
検出した温度を数値化する段階と、数値化された温度に
基づき演算式を用いて熱変位量を推定する段階とを含
み、時間又は補正回数(n) により変化する係数を有した
係数関数(f(n)) を用いた工作機械の熱変位推定方法に
おいて、該 係数関数(f(n)) の定数が、前記熱変位時定数(T) を
あらかじめ実験によって得られ記憶装置内に記憶された
温度時定数(Ttmp)で除した時定数比(R) と主軸回転数
(N) との関係式(R(N))と指令回転数によって決定される
ことを特徴とする工作機械の熱変位推定方法。 - 【請求項2】 前記関係式を、回転数の上昇側と回転数
の降下側とにそれぞれあらかじめ設定し、回転数変化後
に行う関数式の選択を、熱変位推定用中間値と測定温度
との段差分を考慮した入力計算用温度の変化方向から判
断することを特徴とする請求項1記載の工作機械の熱変
位推定方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22278697A JP3413068B2 (ja) | 1997-08-19 | 1997-08-19 | 工作機械の熱変位推定方法 |
US09/135,767 US6019506A (en) | 1997-08-19 | 1998-08-18 | Method for estimating thermal displacement in a machine tool |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22278697A JP3413068B2 (ja) | 1997-08-19 | 1997-08-19 | 工作機械の熱変位推定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1158183A JPH1158183A (ja) | 1999-03-02 |
JP3413068B2 true JP3413068B2 (ja) | 2003-06-03 |
Family
ID=16787882
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22278697A Expired - Fee Related JP3413068B2 (ja) | 1997-08-19 | 1997-08-19 | 工作機械の熱変位推定方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6019506A (ja) |
JP (1) | JP3413068B2 (ja) |
Families Citing this family (20)
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JP3154946B2 (ja) * | 1996-11-11 | 2001-04-09 | ファナック株式会社 | 工作機械の熱変位補正方法 |
DE19748088A1 (de) * | 1997-10-30 | 1999-05-12 | Wacker Siltronic Halbleitermat | Verfahren und Vorrichtung zum Erkennen einer Fehllage einer Halbleiterscheibe |
DE19848642A1 (de) * | 1998-10-22 | 2000-04-27 | Heidenhain Gmbh Dr Johannes | Verfahren zur Kompensation von temperaturbedingten Maßabweichungen in der Maschinengeometrie |
JP3435117B2 (ja) * | 2000-03-09 | 2003-08-11 | 義昭 垣野 | 加工制御システム |
JP4452053B2 (ja) * | 2003-10-01 | 2010-04-21 | 三菱重工業株式会社 | 軸ずれ測定装置 |
US6939036B2 (en) * | 2003-11-04 | 2005-09-06 | Certainteed Corporation | Temperature-expansion indicator for siding panels |
JP4658531B2 (ja) * | 2004-07-02 | 2011-03-23 | オークマ株式会社 | 工作機械の熱変位推定方法 |
JP4311686B2 (ja) | 2006-09-27 | 2009-08-12 | 日立ビアメカニクス株式会社 | プリント基板の加工方法 |
JP2008146411A (ja) * | 2006-12-11 | 2008-06-26 | Okuma Corp | 工作機械の熱変位時定数安定化システム |
JP4891104B2 (ja) * | 2007-01-29 | 2012-03-07 | オークマ株式会社 | 工作機械の熱変位推定方法 |
TW201021959A (en) * | 2008-12-11 | 2010-06-16 | Ind Tech Res Inst | A thermal error compensation method for machine tools |
CN101870075B (zh) * | 2010-07-02 | 2012-01-25 | 西南交通大学 | 一种基于性能退化模型的数控机床丝杠副寿命预测方法 |
JP4917665B1 (ja) * | 2010-11-11 | 2012-04-18 | ファナック株式会社 | 工作機械の熱変位補正方法及び熱変位補正装置 |
JP5568005B2 (ja) * | 2010-12-28 | 2014-08-06 | オークマ株式会社 | 工作機械の熱変位補正装置及び方法 |
CN102152170B (zh) * | 2011-03-23 | 2014-01-22 | 电子科技大学 | 数控机床转台温升特性测试装置和方法 |
DE102013001457A1 (de) * | 2013-01-28 | 2014-07-31 | Blum-Novotest Gmbh | In einer Werkstückbearbeitungsmaschine aufzunehmender temperaturkompensierter Messtaster und Verfahren zur Temperaturkompensation eines Messtasters |
JP6280078B2 (ja) * | 2015-05-11 | 2018-02-14 | ファナック株式会社 | 工作機械の熱変位補正訓練装置 |
JP6274246B2 (ja) * | 2016-04-08 | 2018-02-07 | 株式会社デンソー | 監視装置 |
CN112912803A (zh) * | 2018-10-31 | 2021-06-04 | 三菱电机株式会社 | 数控装置、学习装置及学习方法 |
US11467066B2 (en) * | 2019-01-31 | 2022-10-11 | Dalian University Of Technology | Method for determining the preload value of the screw based on thermal error and temperature rise weighting |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5733938A (en) * | 1980-08-07 | 1982-02-24 | Toshiba Mach Co Ltd | Numerical value controlling device with heat displacement compensating function |
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JPS62213945A (ja) * | 1986-03-12 | 1987-09-19 | Toshiba Mach Co Ltd | 工作機械の熱変位補正装置 |
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