JP3412723B2 - 高ニトリル系グラフト重合体組成物及びその製造方法 - Google Patents
高ニトリル系グラフト重合体組成物及びその製造方法Info
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Description
る高ニトリル系グラフト重合体組成物及びその製造方法
に関する。詳しくは、ガスバリヤー性、耐熱性、耐薬品
性に優れ、しかも押出成形、ブロー成形、射出成形等に
おける成形加工性に優れ、優れた耐衝撃性を有する成形
物が得られる高ニトリル系グラフト重合体組成物及びそ
の製造方法に関する。
スバリヤー性、耐溶剤性、薬効成分や臭気の非吸着性等
を有する熱可塑性重合体組成物であり、食品、農医薬
品、化粧品等の分野における包装材料、容器材料等とし
て広く使用されている。
与する目的で、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下に不
飽和ニトリルを主成分とする単量体混合物をグラフト重
合する方法が知られている。例えば、特公昭46−25
005号公報には、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下
で不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステルをグ
ラフト重合させるニトリル重合体組成物の製造方法が開
示されている。しかし、この方法で得られる重合体組成
物には、芳香族ビニル化合物等の導入がないため、生成
する重合体組成物の耐熱性が不十分である。
ニル化合物を含ませて、熱変形温度等の耐熱性を改善す
る方法が提案されている。例えば、特公昭59−370
07号公報には、1,3共役ジエンを含有するゴム5〜
25重量部の存在下にエチレン性不飽和ニトリルを含む
単量体を二段グラフト重合する方法であり、生成グラフ
ト重合体100重量部中(A)不飽和ニトリル30〜6
0重量%、芳香族ビニル化合物、更に場合によってはア
ルキルメタクリレート及び/又はアルキルアクリレート
等の不飽和ニトリル以外の他のビニル化合物の合計が7
0〜40重量%である第1段目生成重合体樹脂分5〜4
0重量部と、(B)不飽和ニトリル60〜85重量%、
芳香族ビニル化合物、アルキルメタクリレート及び/又
はアルキルアクリレート、更に場合によっては不飽和ニ
トリル以外の他のビニル化合物の合計が40〜15重量
%である第2段目生成重合体樹脂分35〜90重量部の
樹脂分と、(C)ゴム分5〜25重量部を含有する高ニ
トリル系樹脂の製造方法が開示されている。
ラフト単量体中にスチレン等の芳香族ビニル化合物を含
むため、熱変形温度等の耐熱性が優れている。しかし、
1段目で得られる重合体と2段目で得られる重合体の組
成差が大きいため、両者の相溶性が低く、耐衝撃性が良
好である場合には加工性が不良であり、加工性が良好で
ある場合には耐衝撃性が不良であり、両特性が共に高位
にバランスした樹脂ではない。
ル系重合体組成物は、耐衝撃性と成形加工性のバランス
が悪く、用途として、シート、ブロー成形品、射出成形
容器、特に密閉するタイプの容器等に加工した際の衝撃
強度または加工性が不足し問題であった。
問題を解決し、耐熱性が従来公知のものと同レベルに維
持され、且つ、耐衝撃性と成形加工性とが高位において
適度にバランスした高ニトリル系グラフト重合体組成物
及びその製造方法を提供することにある。具体的には、
不飽和ニトリル単位、アクリル酸エチル単位及び芳香族
ビニル化合物単位の3成分を特定の重量比で含む高ニト
リル系グラフト重合体組成物、及びその製造方法を提供
することにある。
した結果、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下で特定量
の不飽和ニトリル、アクリル酸アルキルエステル及び芳
香族ビニル化合物を含む単量体混合物をグラフト重合す
るに際し、アクリル酸アルキルエステルの中から特にア
クリル酸エチルを限定して使用し、更に、グラフト単量
体混合物を重合開始剤の添加開始の前後に区分してそれ
ぞれ特定の比率で反応系に添加し、且つ、総転化率20
重量%に至るまでに反応系に添加するグラフト単量体混
合物の量及び組成を特定の範囲に制御することにより、
上記目的が達成し得ることを見出し、本発明に到った。
エン50重量%以上含む共役ジエン系ゴム状重合体1〜
30重量部の存在下に、不飽和ニトリル60〜85重量
%、アクリル酸エチル8〜20重量%及び芳香族ビニル
化合物7〜20重量%を含む単量体混合物100重量部
をグラフト共重合して得られる高ニトリル系グラフト重
合体組成物であって、該重合体組成物が、式(1) X−17<x<X+15 ・・・(1) 、式(2) Y−8<y<Y+8 ・・・(2) 及び式(3) Z−7<z<Z+25 ・・・(3) で表される組成の重合体(A)を95〜100重量%を
含み、且つ、該重合体(A)が、式(4) X−15<x<X ・・・(4) 、式(5) Y−7<y<Y−1 ・・・(5) 及び式(6) Z+10<z<Z+20 ・・・(6) で表される組成の重合体(B)を10〜20重量%含む
ことを特徴とする高ニトリル系グラフト重合体組成物で
ある。(但し、式(1)〜式(6)において、xは重合
体組成物中の各重合体における不飽和ニトリル単位の重
量割合(%)、yは重合体組成物中の各重合体における
アクリル酸エチル単位の重量割合(%)、zは重合体組
成物中の各重合体における芳香族ビニル化合物単位の重
量割合(%)、Xは単量体混合物の総量に対する不飽和
ニトリルの総量の重量割合(%)、Yは単量体混合物の
総量に対するアクリル酸エチルの総量の重量割合
(%)、Zは単量体混合物の総量に対する芳香族ビニル
化合物の総量の重量割合(%)を示す)
共役ジエン50重量%以上含む共役ジエン系ゴム状重合
体1〜30重量部の存在下に、不飽和ニトリル60〜8
5重量%、アクリル酸エチル8〜20重量%及び芳香族
ビニル化合物7〜20重量%を含む単量体混合物100
重量部をグラフト共重合する高ニトリル系グラフト重合
体組成物の製造方法であって、(1)先ず、初期添加単
量体として、不飽和ニトリル95〜100重量%、アク
リル酸エチル0〜5重量%及び芳香族ビニル化合物0〜
5重量%を含む単量体混合物15〜25重量部を反応系
に添加し、(2)重合開始剤の添加を開始し、(3)次
いで、後添加単量体として、残部の単量体混合物75〜
85重量部を間歇的または連続的に反応系に添加し、
(4)総転化率が20重量%に至る時点までに反応系に
添加する単量体の量を重合反応に消費される単量体量の
2〜3倍となるように後添加単量体を添加し、且つ、該
後添加単量体の組成を、不飽和ニトリルが(X−10)
〜(X−3)重量%、アクリル酸エチルが(Y+1)〜
(Y+5)重量%、及び、芳香族ビニル化合物が(Z+
1)〜(Z+5)重量%に制御することを特徴とする高
ニトリル系グラフト重合体組成物の製造方法である。
(ここで、Xは単量体混合物の総量に対する不飽和ニト
リルの総量の重量割合(%)、Yは単量体混合物の総量
に対するアクリル酸エチルの総量の重量割合(%)、Z
は単量体混合物の総量に対する芳香族ビニル化合物の総
量の重量割合(%)を示す)。
物の特徴は、不飽和ニトリル単位、アクリル酸エチル単
位及び芳香族ビニル化合物単位を上記式(1)〜(3)
で表される範囲で有する重合体(A)を95〜100重
量%含み、且つ、該重合体(A)が、不飽和ニトリル単
位、アクリル酸エチル単位及び芳香族ビニル化合物単位
を上記式(4)〜(6)で表される範囲で有する重合体
(B)を10〜20重量%含むことにある。かかる組成
を有する高ニトリル系グラフト重合体組成物は、従来の
ものと同等の耐熱性、ガスバリアー性、耐薬品性を有
し、しかも、耐衝撃性及び成形加工性が共に優れ、両者
が高位において適度にバランスした組成物である。
物は、水等の水性媒体中で共役ジエン系ゴム状重合体の
存在下に、特定量の不飽和ニトリル、アクリル酸エチル
及び芳香族ビニル化合物を含む単量体混合物をグラフト
共重合することにより製造されるが、グラフト共重合す
るに際し、先ず、不飽和ニトリルを主成分とする単量体
混合物(必要に応じてアクリル酸エチル及び芳香族ビニ
ル化合物を少量含む)を初期添加単量体として反応系に
添加し、反応系を所定の温度範囲に維持し、重合開始剤
を添加する。次いで、特定量の不飽和ニトリル、アクリ
ル酸エチル及び芳香族ビニル化合物を含む単量体混合物
を後添加単量体として間歇的または連続的に反応系に添
加する。
混合物の総転化率が20重量%に至るまでが特に重要で
あり、該時点までに反応系に添加する単量体の量を重合
反応に消費される単量体量の2〜3倍となるように後添
加単量体を添加し、且つ、該後添加単量体の組成を、不
飽和ニトリルが(X−10)〜(X−3)重量%、アク
リル酸エチルが(Y+1)〜(Y+5)重量%、及び、
芳香族ビニル化合物が(Z+1)〜(Z+5)重量%に
制御することを要する。但し、ここで、Xは単量体混合
物の総量に対する不飽和ニトリルの総量の重量割合
(%)、Yは単量体混合物の総量に対するアクリル酸エ
チルの総量の重量割合(%)、Zは単量体混合物の総量
に対する芳香族ビニル化合物の総量の重量割合(%)を
示すものとする。また、上記の総転化率が20重量%と
は、反応系に添加される単量体混合物の総量の重合体へ
の転化率を意味する。
合、懸濁重合、塊状重合、またはこれらの組合せ等公知
の重合方法が適用できる。しかし、重合熱の除去の容易
さ、重合後の後処理の容易さ、有機溶媒の回収・再生等
の付帯設備の簡易化等を考慮すると乳化重合が好ましく
適用される。乳化重合法の場合は、重合体生成物はラテ
ックス状で得られるので、従来公知の方法、例えば、電
解質または溶媒による凝集法、または凍結法等により重
合体を凝固、分離し、水洗の後、乾燥して重合体を得る
方法が挙げられる。
発明に用いる共役ジエン系ゴム重合体は、共役ジエン5
0重量%以上、及びこれと共重合性の単量体、例えば、
不飽和ニトリル、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン
酸エステル等から選ばれた、少なくとも一種の単量体と
の共重合体である。共役ジエン単量体としては、1,3
−ブタジエンの他、イソプレン、クロロプレン、2,3
−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−
1,3−ブタジエン等が例示される。入手の容易さや重
合性の良い等の観点から、1,3−ブタジエン、イソプ
レンが好ましい。
ル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル
等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル、メタクリ
ロニトリルである。又、芳香族ビニル化合物としては、
スチレン、α−メチルスチレンである。不飽和カルボン
酸エステルとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のメ
チル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキルエステル
を挙げることができ、好ましいものはアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル等である。
しては、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル及びメタク
リロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロ
ニトリル及びスチレン共重合体、1,3−ブタジエン−
スチレン共重合体が好ましく挙げられる。より好ましく
は1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、
1,3−ブタジエン−スチレン共重合体である。これら
の共役ジエンゴム状重合体に含まれる共役ジエンの量
は、得られる高ニトリル系グラフト重合体組成物の耐衝
撃性に関係する。かかる点を考慮すると、共役ジエンを
50%以上含むことが好ましい。さらに好ましくは、6
0〜90重量%である。
全体に占める共役ジエン系ゴム状重合体量は、耐衝撃
性、加工性に影響を及ぼす。共役ジエン系ゴム状重合体
の量が少ないと耐衝撃性が低下し、逆に多いと成形加工
性が低下する。かかる点を考慮すると、高ニトリル系グ
ラフト重合体組成物全体に占める共役ジエン系ゴム状重
合体の量は、1〜30重量%であることが好ましい。さ
らに好ましくは、5〜30重量%である。具体的には、
共役ジエン系ゴム状重合体1〜30重量部の存在下で、
後述するグラフト単量体混合物100重量部を共重合す
る。共役ジエンゴム状重合体は、公知の方法によって製
造できるが、乳化重合法が好適である。また、重合温度
には特に制限はないが、重合速度、生産性等を考慮する
と、40〜70℃の温度範囲が好ましい。
量の不飽和ニトリル、アクリル酸エチル及び芳香族ビニ
ル化合物を含む単量体混合物が用いられる。グラフト単
量体として用いる不飽和ニトリルとしては、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニト
リル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル、メタ
クリロニトリルである。また、グラフト単量体として用
いる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレンである。
は、グラフト単量体混合物に含まれる不飽和ニトリルの
量に影響される。すなわち、不飽和ニトリルの量が少な
いと耐薬品性、ガスバリヤー性等の特性が低下する。逆
に多過ぎると成形加工性、耐衝撃性が低下する他、成形
時に黄色に変色して色調等が低下する。かかる点を考慮
すると、グラフト単量体混合物に60〜85重量%の不
飽和ニトリルを含むことが好ましい。
ルエステルを用いることは、前項に記載した刊行物に記
載されているように公知である。しかし、アクリル酸ア
ルキルエステルのアルキル基の種類により、得られる高
ニトリル系グラフト重合体組成物の特性は変化する。得
られる高ニトリル系グラフト重合体組成物の耐衝撃性及
び耐熱性を高位に安定せしめるためには、それらのう
ち、アクリル酸エチルが特に優れている。同じアクリル
酸アルキルエステルであっても、炭素数が1個少ないア
クリル酸メチル、炭素数が1個多いアクリル酸プロピ
ル、または2個多いアクリル酸ブチルを用いた場合に
は、優れた耐衝撃性を有する高ニトリル系グラフト重合
体組成物は得られない。
も、その量により得られる高ニトリル系グラフト重合体
組成物の耐衝撃性、耐熱性等が影響を受ける。具体的に
は、グラフト単量体混合物に占めるアクリル酸エチルの
割合が、8重量%未満である場合には耐衝撃性が不十分
であり、また、20重量%を超える場合には耐衝撃性が
却って低下するだけでなく、耐熱性が著しく低下する。
本発明においては、上記観点を考慮して、アクリル酸ア
ルキルエステルのうちから、特にアクリル酸エチルを選
定して必須成分として使用し、グラフト単量体混合物に
8〜20重量%含むものである。
れる高ニトリル系グラフト重合体組成物の耐衝撃性、耐
熱性が影響を受ける。具体的には、グラフト単量体混合
物中に占める芳香族ビニル化合物の割合が、7重量%未
満である場合には耐熱性が不十分であり、また、20重
量%を超える場合には耐衝撃性が低下する。かかる観点
を考慮して、グラフト単量体混合物に7〜20重量%含
むものである。
性を従来と同等に維持し、且つ、耐衝撃性と成形加工性
を高位において適度にバランスさせるためには、高ニト
リル系グラフト重合体組成物中に、上記式(1)〜
(3)で表される組成の重合体(以下、重合体(A)と
いう)を95〜100重量%含み、且つ、該重合体
(A)が上記式(4)〜(6)で表される組成の重合体
(以下、重合体(B)という)を10〜20重量%含む
ことが好ましい。
合体(A)の含有量が95重量%未満であると耐衝撃性
が低下する。また、重合体(A)に含まれる重合体
(B)が10重量%未満であると、グラフト部の不飽和
ニトリル単位が多くなり、相溶性が低下し、耐衝撃性が
低下する。また、20重量%を超えると、マトリックス
部の不飽和ニトリル単位が多くなり、相溶性が低下し、
耐衝撃性が低下する。
ラフト重合体の主成分であり、該高ニトリル系グラフト
重合体に優れた耐衝撃性と成形加工性を高位にバランス
させて持たせるために、重合体中に上記式(1)で表さ
れる重量割合の不飽和ニトリル単位、上記式(2)で表
される重量割合のアクリル酸エステル単位、及び、上記
式(3)で表される重量割合の芳香族ビニル化合物単位
を含むことが好ましい。
が20重量%に至るまでに生成する重合体であるが、高
ニトリル系グラフト重合体に優れた耐衝撃性と成形加工
性を高位にバランスさせて持たせるために、重合体
(A)中に上記式(4)で表される重量割合の不飽和ニ
トリル単位、上記式(5)で表される重量割合のアクリ
ル酸エステル単位、及び、上記式(6)で表される重量
割合の芳香族ビニル化合物単位を含むことが好ましい。
即ち、重合体(B)は、不飽和ニトリル単位及びアクリ
ル酸エステル単位の含有量が重合系に添加する単量体比
より少なく、芳香族ビニル化合物単位の含有量が重合系
に添加する単量体比より多い重合体である。そして、重
合体(B)は、グラフト部の大部分とマトリックス部の
一部を構成するものであり、グラフト部とマトリックス
部の相溶性を向上させる。かかる点においても、重合体
(A)が10〜20重量%の重合体(B)を含むことが
好ましい。
(B)を高ニトリル系グラフト重合体組成物中に含ませ
るために、本発明においては、グラフト単量体混合物を
特定の方法により反応系に添加する。すなわち、重合反
応系に重合開始剤が初めて添加された時を重合開始とす
るとき、重合開始前に重合反応系に添加するグラフト用
単量体混合物(以下、初期添加単量体という)と、重合
開始後に重合反応系に添加するグラフト用単量体混合物
(以下、後添加単量体という)とに区分して添加する。
重合反応系への添加方法は、初期添加単量体について
は、一括添加で差支えないが、後添加単量体について
は、間歇的または連続的に添加する。
内、15〜25重量部を初期添加単量体、75〜85重
量部を後添加単量体として使用する。初期添加単量体の
量が上記範囲を外れると、上記組成を有する重合体が生
成し難くなる他、重合熱の除去、安定エマルションの生
成等に悪影響を及ぼすことがある。初期添加単量体の組
成は、不飽和ニトリル95〜100重量%、アクリル酸
エチル0〜5重量%及び芳香族ビニル化合物0〜5重量
%とすることが必要である。重合体(B)は、主として
グラフト用単量体混合物の総転化率が20重量%に至る
までに生成すると推測されるため、アクリル酸エチルが
5重量%を超えたり、芳香族ビニル化合物が5重量%を
超える場合には、重合体(A)中の重合体(B)の含有
量を10〜20重量%に制御することが困難となる。
添加方法(特に組成)も重要である。グラフト用単量体
混合物の総転化率が、20重量%に至るまでに添加する
後添加単量体混合物の組成は、不飽和ニトリルを(X−
10)〜(X−3)重量%(ここで、Xは単量体混合物
の総量に対する不飽和ニトリルの総量の重量割合(%)
を示す)、アクリル酸エチルを(Y+1)〜(Y+5)
重量%(ここで、Yは単量体混合物の総量に対するアク
リル酸エチルの総量の重量割合(%)を示す)、及び、
芳香族ビニル化合物を(Z+1)〜(Z+5)重量%
(Zは単量体混合物の総量に対する芳香族ビニル化合物
の総量の重量割合(%)を示す)とすることが好まし
い。アクリル酸エチル及び芳香族ビニル化合物を上記範
囲で含まない場合は、重合体(A)中の重合体(B)の
含有量を10〜20重量%に制御することが困難とな
る。
が20重量%に至るまでに添加する後添加単量体混合物
の量は、該時点までに消費される単量体混合物量の2〜
3倍であることが好ましい。さらに好ましくは2〜2.
5倍である。3倍を超える場合には、反応系内に単量体
混合物が多量残留することになり、重合体組成物の組
成、安定性のよいエマルションの生成に影響を及ぼす
他、重合機壁等に異物が付着し易くなる。また、2倍未
満では、単量体混合物の総転化率が20重量%に至るま
でに重合系内に添加される不飽和ニトリルが多くなり過
ぎて重合体(B)が生成し難くなる。
子量調節剤、pH調整剤等が使用される。重合開始剤と
しては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等
の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ
化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸ア
ンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素等が挙げられ
る。乳化重合法を適用する場合には、過硫酸カリウム、
過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化
物、過酸化水素等が好ましい。
タン類、例えばn−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン、n−ドデシルチオールアセター
ト、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプト
プロピオネート)、リモネンジメルカプタン等が挙げら
れる。これらのうち、好ましくはメルカプタン臭が実質
的にないという点から、分子内に2個以上のメルカプト
基を含む有機メルカプト化合物、例えば、ペンタエリス
リトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネー
ト)、リモネンジメルカプタン等が挙げられる。また、
pH調節剤としては、無機酸、有機酸のいずれでも良
く、無機酸としては、リン酸、硫酸、塩酸、臭化水素
酸、硝酸等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、プロ
ピオン酸、クエン酸、3−メルカプトプロピオン酸、ア
スコルビン酸及び酸性リン酸エステル等が挙げられる。
好ましい酸は、酢酸、クエン酸、リン酸、3−メルカプ
トプロピオン酸等である。
グラフト重合系への添加方法としては、一括添加、間欠
的分割添加、連続的添加、またはこれらを併用する方法
が例示できる。重合開始剤は、撹拌下、水等の水性媒
体、乳化剤等の副原料、共役ジエンゴム状重合体及び初
期添加単量体混合物を重合系内に添加した後、系内の脱
酸素を実施し、所定の重合温度まで昇温を終了した後、
系内が安定した後に添加する。重合開始剤の添加量は、
単量体混合物の総量に対して、0.02〜0.2重量%
が好ましい。分子量調節剤は、重合開始剤を添加し、グ
ラフト重合が開始した後に、連続的、間欠的またはそれ
らの併用により添加し、単量体の総転化率が70〜90
重量%になるまで重合系内に存在させるのが好ましい。
た場合は、それ以降に高分子量の重合体が多量に生成し
てしまい、重合体の加工性が低下する。また、該転化率
90重量%を超えた後は、分子量分布にあまり影響がな
いため、無駄な分子量調節剤を使用せずに済む利点があ
る。分子量調節剤の添加量は、単量体混合物の総量に対
して、1〜2.5重量%が好ましい。
子量調節効果を高めるために、酸類等を添加して重合系
のpHを特定の範囲内に調節することが好ましい。すな
わち、重合開始剤を添加し、グラフト重合を開始した後
にpH調節剤剤として酸類の添加を開始し、総転化率が
70〜90重量%に到るまで連続的あるいは分割して、
またはこれらを併用して添加し、この間のpHを2〜
4、好ましくは2.5〜3.5の範囲内に制御する。
内に添加された共役ジエンゴム状重合体の乳化安定性が
低下し、ゴムの凝集、析出が起こる他、装置の腐食の原
因となるので好ましくない。また、重合系のpHが4を
超える場合には、分子量調節剤の効果が十分に発揮され
ないため、高分子量の重合体が多量に生成してしまい、
得られる重合体の加工性が低下する。pH調節剤の添加
を単量体混合物の転化率が70重量%未満で停止した場
合には、それ以降の重合反応の進行により重合系内のp
Hが著しく上昇し、分子量調節効果が低下して、高分子
量の重合体が多量に生成してしまい、得られる重合体の
加工性が低下する。該転化率が80重量%を超えた後
は、pH調節剤を添加しなくても重合系内のpH上昇に
よる分子量調節効果への影響は小さく、転化率90重量
%に到るまでとすることで余分なpH調節剤を使用せず
に済む利点がある。上記酸の添加量は、重合系のpHを
上記範囲に制御し得る量であるが、通常、単量体混合物
の総量に対し、0.2〜0.6重量%程度が目途として
選定される。
剤等が使用されるが、その種類及び量は、公知のものが
適用される。グラフト重合後の後処理方法、乾燥方法も
公知の方法が適用される。グラフト重合の温度には特に
制限はなく、0〜100℃の任意の温度において実施で
きる。重合速度、転化率、生産性等を考慮すると、30
〜70℃が好ましく、さらに好ましくは50〜70℃の
温度範囲である。
物は、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形等により
容易に熱成形し得る熱可塑性重合体組成物であり、高ニ
トリル系グラフト重合体が本来有する、酸素等に対する
高いバリヤー性、優れた耐熱性、耐薬品性等を備えてい
るのみならず、耐衝撃性と加工性が高位にバランスして
いる。そのため、押出成形、射出成形、ブロー成形等に
より、シート、フィルム、容器等を加工した場合には、
成形性が良好で優れた衝撃強度を有する成形物が得られ
る。
いて更に詳細を説明する。実施例及び比較例に示した高
ニトリル系グラフト重合体組成物のメルトインデック
ス、IZOD値、熱変形温度、押出ブロー成形品の落下
強度及び射出成形品の耐圧強度、転化率及び重合体組成
は下記方法によって測定した。
n) ASTM D−1238に規定される方法に従い、20
0℃、12.5kg/cm2荷重において測定する。
cm) 得られた高ニトリル系グラフト重合体組成物を160℃
においてロール混練した後、170℃で加圧成形して得
た厚み3mmのシートより試験片を調製した。該試験片
について、ASTM D−256(ノッチ付)に規定さ
れる方法に従い、23℃において測定する。
(℃) 得られた高ニトリル系グラフト重合体組成物を160℃
においてロール混練した後、170℃で加圧成形して得
た厚み3mmのシートより試験片を調製した。該試験片
について、ASTM D−648に規定される方法に従
い、4.6kg荷重において測定する。
落下回数) 得られた高ニトリル系グラフト重合体組成物を(株)プ
ラコー製50mmφ単軸押出機を用いて190℃におい
てペレット化し、該ペレットを用いて、押出ブロー成形
を行った。押出ブロー成形は、(株)タハラ製の押出ブ
ロー成形機(45mmφ)を用いて、容量500mlの
丸型容器(全長190mm、胴径70mm、ブロー比
3)を成形温度200℃で成形した。落下強度は、得ら
れた容器20個に500mlの水を充填、キャップ後、
5℃、20℃で1時間の状態調節をし、高さ1.2mか
ら容器を縦にしてコンクリート床面に繰り返し垂直落下
を20回を限度として行い、ボトルが破損するまでの回
数をボトル毎に計数し、20個の平均値を落下強度とす
る。尚、20回落下を繰り返しても破損しないものは2
0回とする。
2) 得られた高ニトリル系グラフト重合体組成物を(株)プ
ラコー製50mmφ単軸押出機を用いて190℃におい
てペレット化し、該ペレットを用いて、射出成形を行っ
た。射出成形は、日精樹脂工業(株)製の射出成形機
(FS−80 12ASE)を用いて、角型スプレー容
器部材〔容器本体(縦23mm×横18mm×高さ75
mm)、栓体(縦23mm×横18mm×高さ15m
m)〕を成形温度210℃で成形した。得られたスプレ
ー容器部材は、島田理化工業(株)製の超音波溶着機
(USW 63A)を用いて、容器本体と栓体を溶着
し、スプレー容器とした。該スプレー容器の耐圧強度
を、(株)キョーワ製の手動式水圧試験機を用いて破損
時の水圧を測定する。
クス)を採取し、ガスクロマトグラフ〔(株)島津製作
所製、形式:GC−9A〕を用いて、ラテックス中に含
まれる各未反応単量体の量を定量し、消費された各単量
体の量を定量する。この定量値とサンプル採取時までに
系内に添加された各単量体の量から重合体への転化率及
び重合体組成を算出する。具体的手法は実施例1に示
す。
て、窒素雰囲気下において、撹拌下、45℃で20時間
重合を行い、転化率90重量%で重合を終了した。未反
応の単量体を減圧ストリッピングにより除き、固形分濃
度約30重量%の共役ジエン系ゴム状重合体を含むラテ
ックスを得た。また、該ラテックスより固形分(重合
体)を回収し、乾燥後、元素分析により該重合体中の
1,3−ブタジエン及びアクリロニトリル単位の含有量
を求めたところ、1,3−ブタジエン単位が71重量
%、アクリロニトリル単位が29重量%であった。 アクリロニトリル(以下、ANという) 30重量部 ブタジエン−1,3 70重量部 脂肪酸石ケン 2.4重量部 アゾビスイソブチロニトリル 0.3重量部 t−ドデシルメルカプタン 0.5重量部 水 200重量部
撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、その
まま30分間撹拌した後、重合開始剤として過硫酸カリ
ウム0.08重量部を含む水溶液を添加して重合を開始
した。過硫酸カリウムの添加を開始した時点(以下、重
合開始時点という)の重合系のpHは9.4であった。 AN 20重量部 上記(A)のゴム状重合体 10.5重量部 ジオクチルスルホコハク酸ソーダ 0.288重量部 ポリビニルピロリドン 0.103重量部 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.035重量部 水 150重量部 重合開始後、重合系にリン酸を加えてpHを3.0と
し、次いで、下記の組成の原料を7時間かけて連続的に
添加しながら、58℃で重合を継続した。 AN 55重量部 アクリル酸エチル(以下、EAという) 10重量部 スチレン(以下、STという) 15重量部 ペンタエリスリトールテトラキス (β−メルカプトプロピオネート) 1.6重量部 ジオクチルスルホコハク酸ソーダ 1.153重量部 ポリビニルピロリドン 0.414重量部 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.141重量部 水 85重量部
ではリン酸も連続的に添加して、重合系のpHを3±
0.3に保って重合を行った。重合開始時点から9時間
重合を行い、最終単量体転化率は92重量%であった。
得られた重合体組成物を、硫酸マグネシウム(濃度20
重量%)を加えて凝固させ、次いで水洗、乾燥して粉末
状の高ニトリル系グラフト重合体組成物を得た。得られ
た重合体の特性を上記方法により測定した。主要な重合
条件及び得られた重合体の特性を〔表1〕に示す。ま
た、得られた重合体のAN、EA及びSTに関する転化
率毎の組成割合(重量%)を〔表2〕に示す。〔図1〕
は、〔表2〕に示した転化率(重量%)を横軸に、重合
体組成(重量%)を縦軸にしてプロットした両者の関係
を示す。図中、折線1はANに関する転化率と重合体組
成の関係、折線2はSTに関する転化率と重合体組成の
関係、折線3はEAに関する転化率と重合体組成の関係
を示す。
いて、重合体(A)及び重合体(B)の含有量を算出す
る方法について説明する。横線11は上記式(1)にお
ける(X+15)、横線12は上記式(1)における
(X−17)を示す。横線13は上記式(2)における
(Y+8)、横線14は上記式(2)における(Y−
8)を示す。従って、実施例1で得られた重合体は全て
の転化率において上記式(1)及び上記式(2)を満足
する重合体である。横線15は上記式(3)における
(Z+25)、横線16は上記式(3)における(Z−
7)を示す。従って、実施例1で得られた重合体のST
に関する組成は、転化率がa点(転化率:88重量%)
に到達する以前に生成した重合体については上記式
(3)を満足する。よって、上記式(1)〜(3)を同
時に満足する重合体(A)は、得られた全重合体中に9
6重量%(88/0.92)含まれる。
横線18は上記式(4)における(X−15)を示す。
従って、実施例1で得られた重合体のANに関する組成
は、転化率がb点(転化率:3重量%)からc点(転化
率:33重量%)の間に生成した重合体、及び、転化率
がd点(転化率:63重量%)からe点(転化率:86
重量%)の間に生成した重合体である。
1)、横線20は上記式(5)における(Y−7)を示
す。従って、実施例1で得られた重合体のEAに関する
組成は、転化率がf点(転化率:4重量%)からg点
(転化率:35重量%)の間に生成した重合体である。
0)、横線22は上記式(6)における(Z+10)を
示す。従って、実施例1で得られた重合体のSTに関す
る組成は、転化率がh点(転化率:4重量%)からj点
(転化率:16重量%)の間に生成した重合体である。
よって、上記式(4)〜(6)を同時に満足する重合体
(B)は、得られた全重合体中に13重量%(12/
0.92)含まれる。得られた結果を〔表8〕に示す。
びSTの組成を以下のように変更した以外、実施例1と
同様にしてグラフト重合を行った。重合開始時のpHは
9.3、最終単量体転化率は91重量%であった。得ら
れた重合体の特性を実施例1と同様にして測定した。主
要な重合条件及び得られた重合体の特性を〔表1〕に示
す。また、得られた重合体のAN、EA及びSTに関す
る転化率毎の組成分布は〔表2〕に示す。 (初期仕込み分) AN 19重量部 EA 1重量部 ST 0重量部 (後添加分) AN 56重量部 EA 9重量部 ST 15重量部 〔表2〕に示した資料に基づいて、実施例1と同様の方
法で重合体(A)及び重合体(B)の含有量を算出し
た。得られた結果を〔表8〕に示す。
びSTの組成を以下のように変更し、実施例1と同様に
して重合を行った。重合開始時のpHは9.7、最終単
量体転化率は91重量%であった。得られた重合体の特
性を実施例1と同様にして測定した。主要な重合条件及
び得られた重合体の特性を〔表1〕に示す。また、得ら
れた重合体のAN、EA及びSTに関する転化率毎の組
成分布は〔表2〕に示す。 (初期仕込み分) AN 19重量部 EA 0重量部 ST 1重量部 (後添加分) AN 56重量部 EA 10重量部 ST 14重量部 〔表2〕に示した資料に基づいて、実施例1と同様の方
法で重合体(A)及び重合体(B)の含有量を算出し
た。得られた結果を〔表8〕に示す。
びSTの組成を以下のように変更し、且つ、後添加分単
量体混合物は重合開始後0.5〜7.5時間にわたって
〔表5〕に示すように段階的に組成を変えて添加した以
外は、実施例1と同様にして重合を行った。尚、重合開
始時の重合系のpHは8.9、最終単量体転化率は90
重量%であった。得られた重合体の特性を実施例1と同
様にして測定した。主要な重合条件及び得られた重合体
の特性を〔表3〕に示す。また、得られた重合体のA
N、EA及びSTに関する転化率毎の組成分布は〔表
6〕に示す。 (初期仕込み分) AN 16.9重量部 EA 2.3重量部 ST 0.8重量部 (後添加分) AN 58.0重量部 EA 7.8重量部 ST 14.2重量部 〔表6〕に示した資料に基づいて、実施例1と同様の方
法で重合体(A)及び重合体(B)の含有量を算出し
た。得られた結果を〔表8〕に示す。
始30分後から7時間添加した以外は、実施例1と同様
にして重合を行った。重合開始時のpHは9.4、最終
単量体転化率は90重量%であった。得られた重合体の
特性を実施例1と同様にして測定した。主要な重合条件
及び得られた重合体の特性を〔表3〕に示す。また、得
られた重合体のAN、EA及びSTに関する転化率毎の
組成分布は〔表6〕に示す。〔表6〕に示した資料に基
づいて、実施例1と同様の方法で重合体(A)及び重合
体(B)の含有量を算出した。得られた結果を〔表8〕
に示す。
始1時間後から7時間添加した以外は、実施例1と同様
にして重合を行った。重合開始時のpHは9.3、最終
単量体転化率は89重量%であった。得られた重合体の
特性を実施例1と同様にして測定した。主要な重合条件
及び得られた重合体の特性を〔表3〕に示す。また、得
られた重合体のAN、EA及びSTに関する転化率毎の
組成分布は〔表6〕に示す。〔表6〕に示した資料に基
づいて、実施例1と同様の方法で重合体(A)及び重合
体(B)の含有量を算出した。得られた結果を〔表8〕
に示す。
びSTの組成を以下のように変更した以外、実施例1と
同様にして重合を行った。重合開始時のpHは9.3、
最終単量体転化率は90重量%であった。得られた重合
体の特性を実施例1と同様にして測定した。主要な重合
条件及び得られた重合体の特性を〔表3〕に示す。ま
た、得られた重合体のAN、EA及びSTに関する転化
率毎の組成分布は〔表6〕に示す。 (初期仕込み分) AN 18重量部 EA 1重量部 ST 1重量部 (後添加分) AN 57重量部 EA 9重量部 ST 14重量部 〔表6〕に示した資料に基づいて、実施例1と同様の方
法で重合体(A)及び重合体(B)の含有量を算出し
た。得られた結果を〔表8〕に示す。
びSTの組成を以下のように変更し、実施例1と同様に
して重合を行った。重合開始時のpHは9.0、最終単
量体転化率は90重量%であった。得られた重合体の特
性を実施例1と同様にして測定した。主要な重合条件及
び得られた重合体の特性を〔表4〕に示す。また、得ら
れた重合体のAN、EA及びSTに関する転化率毎の組
成分布は〔表7〕に示す。 (初期仕込み分) AN 18重量部 EA 2重量部 ST 0重量部 (後添加分) AN 57重量部 EA 8重量部 ST 15重量部 〔表7〕に示した資料に基づいて、実施例1と同様の方
法で重合体(A)及び重合体(B)の含有量を算出し
た。得られた結果を〔表8〕に示す。
びSTの組成を以下のように変更し、実施例1と同様に
して重合を行った。重合開始時のpHは9.5、最終単
量体転化率は91重量%であった。得られた重合体の特
性を実施例1と同様にして測定した。主要な重合条件及
び得られた重合体の特性を〔表4〕に示す。また、得ら
れた重合体のAN、EA及びSTに関する転化率毎の組
成分布は〔表7〕に示す。 (初期仕込み分) AN 18重量部 EA 0重量部 ST 2重量部 (後添加分) AN 57重量部 EA 10重量部 ST 13重量部 〔表7〕に示した資料に基づいて、実施例1と同様の方
法で重合体(A)及び重合体(B)の含有量を算出し
た。得られた結果を〔表8〕に示す。
た以外、実施例1と同様にして重合を行った。重合開始
時のpHは8.8、最終単量体転化率は91重量%であ
った。得られた重合体の特性を実施例1と同様にして測
定した。主要な重合条件及び得られた重合体の特性を
〔表4〕に示す。
にAN及びEAの組成を以下に示すように変更した以外
は、実施例1と同様にして重合を行った。尚、重合開始
時の重合系のpHは8.9であった。また、最終単量体
転化率は90重量%であった。得られた重合体の特性を
実施例1と同様にして測定した。主要な重合条件及び得
られた重合体の特性を〔表4〕に示す。 (初期仕込み分) AN 20重量部 (後添加分) AN 55重量部 EA 25重量部
体の存在下で、不飽和ニトリル単量体を50重量%以上
含む単量体混合物をグラフト重合して得られる高ニトリ
ル系グラフト重合体組成物は、成形温度を上げると色相
が黄変して劣化が起こり、高温での成形性が良好である
とはいえない。従って、メルトインデックス(MI)値
が高いことが好ましく、少なくとも3g/10minの
MIを有することが好ましい。また、該高ニトリル系グ
ラフト重合体組成物を押出成形、ブロー成形及び射出成
形等により成形した成形品は、耐衝撃性が高いことが好
ましく、アイゾッド衝撃強度(Izod値)が23℃、
ノッチ付で不破壊若しくは20kg・cm/cm以上で
あることが好ましい。
あった高ニトリル系グラフト重合体組成物の耐衝撃性と
加工性のバランスの適性化が達成される。すなわち、本
願発明の実施例1〜3で得られた高ニトリル系グラフト
重合体組成物は、AN、EA及びSTの各組成分布が上
記式(1)〜(3)て表される範囲内にある重合体
(A)を95〜100重量%含み、且つ該重合体(A)
がAN、EA及びSTの各組成分布が上記式(4)〜
(6)て表される範囲内にある重合体(B)を10〜2
0重量%含むものである。かかる高ニトリル系グラフト
重合体組成物は、耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)と加
工性(メルトインデックス)が適度にバランスしてお
り、更に押出ブロー成形品や射出成形品とした場合の機
械的強度が優れている。
量体混合物組成、添加量を制御して重合を行った比較例
1は、得られる重合体組成物の流動性、耐衝撃性が低下
している他、押出ブロー成形品、射出成形品とした場合
の強度も低下している。また、初期仕込み組成、後添加
組成とも実施例1と同様であるが、後添加分の原料を重
合開始後30分もしくは1時間で添加し、本発明の重合
体組成物の組成分布の範囲外となった比較例2、3は、
得られる重合体組成物の耐衝撃性が劣っており、成形品
の強度も低下している。初期仕込み組成の不飽和ニトリ
ル分が95重量%未満であり、重合体組成物の組成分布
が本発明の範囲外である比較例4〜6は、耐衝撃性、成
形品の強度が劣っている。比較例7は、実施例1におけ
るアクリル酸エチルをアクリル酸メチルに変更したもの
であるが、耐衝撃性が劣っており、成形品の強度も低下
している。比較例8は、芳香族ビニル化合物を導入せず
に、単量体混合物として不飽和ニトリル、アクリル酸エ
チルのみで重合したものであるが、芳香族ビニル化合物
が存在しないために耐熱性が低下しており、バランスの
適正化が達成されていない。
成物は、耐熱性が従来公知のものと同レベルに維持さ
れ、且つ、耐衝撃性と成形加工性とが高位において適度
にバランスしたものである。そのため、優れた耐衝撃性
及び成形加工性が要求される押出成形、ブロー成形、射
出成形等の成形材料として好適に使用し得る。
と重合体組成の関係を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 水性媒体中で共役ジエン50重量%以上
含む共役ジエン系ゴム状重合体1〜30重量部の存在下
に、不飽和ニトリル60〜85重量%、アクリル酸エチ
ル8〜20重量%及び芳香族ビニル化合物7〜20重量
%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合し
て得られる高ニトリル系グラフト重合体組成物であっ
て、該重合体組成物が、式(1) X−17<x<X+15 ・・・(1) 、式(2) Y−8<y<Y+8 ・・・(2) 及び式(3) Z−7<z<Z+25 ・・・(3) で表される組成の重合体(A)を95〜100重量%を
含み、且つ、該重合体(A)が、式(4) X−15<x<X ・・・(4) 、式(5) Y−7<y<Y−1 ・・・(5) 及び式(6) Z+10<z<Z+20 ・・・(6) で表される組成の重合体(B)を10〜20重量%含む
ことを特徴とする高ニトリル系グラフト重合体組成物。
(但し、式(1)〜式(6)において、xは重合体組成
物中の各重合体における不飽和ニトリル単位の重量割合
(%)、yは重合体組成物中の各重合体におけるアクリ
ル酸エチル単位の重量割合(%)、zは重合体組成物中
の各重合体における芳香族ビニル化合物単位の重量割合
(%)、Xは単量体混合物の総量に対する不飽和ニトリ
ルの総量の重量割合(%)、Yは単量体混合物の総量に
対するアクリル酸エチルの総量の重量割合(%)、Zは
単量体混合物の総量に対する芳香族ビニル化合物の総量
の重量割合(%)を示す) - 【請求項2】 共役ジエン系ゴム状重合体が、1,3−
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体であることを特
徴とする請求項1記載の高ニトリル系グラフト重合体組
成物。 - 【請求項3】 不飽和ニトリルがアクリロニトリルであ
ることを特徴とする請求項1記載の高ニトリル系グラフ
ト重合体組成物。 - 【請求項4】 芳香族ビニル化合物がスチレンであるこ
とを特徴とする請求項1記載の高ニトリル系グラフト重
合体組成物。 - 【請求項5】 水性媒体中で共役ジエン50重量%以上
含む共役ジエン系ゴム状重合体1〜30重量部の存在下
に、不飽和ニトリル60〜85重量%、アクリル酸エチ
ル8〜20重量%及び芳香族ビニル化合物7〜20重量
%を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合す
る高ニトリル系グラフト重合体組成物の製造方法であっ
て、(1)先ず、初期添加単量体として、不飽和ニトリ
ル95〜100重量%、アクリル酸エチル0〜5重量%
及び芳香族ビニル化合物0〜5重量%を含む単量体混合
物15〜25重量部を反応系に添加し、(2)重合開始
剤の添加を開始し、(3)次いで、後添加単量体とし
て、残部の単量体混合物75〜85重量部を間歇的また
は連続的に反応系に添加し、(4)総転化率が20重量
%に至る時点までに反応系に添加する単量体の量を重合
反応に消費される単量体量の2〜3倍となるように後添
加単量体を添加し、且つ、該後添加単量体の組成を、不
飽和ニトリルが(X−10)〜(X−3)重量%、アク
リル酸エチルが(Y+1)〜(Y+5)重量%、及び、
芳香族ビニル化合物が(Z+1)〜(Z+5)重量%に
制御することを特徴とする高ニトリル系グラフト重合体
組成物の製造方法。(ここで、Xは単量体混合物の総量
に対する不飽和ニトリルの総量の重量割合(%)、Yは
単量体混合物の総量に対するアクリル酸エチルの総量の
重量割合(%)、Zは単量体混合物の総量に対する芳香
族ビニル化合物の総量の重量割合(%)を示す) - 【請求項6】 グラフト共重合の温度が、30〜70℃
であることを特徴とする請求項5記載の高ニトリル系グ
ラフト重合体組成物の製造方法。 - 【請求項7】 共役ジエン系ゴム状重合体が、1,3−
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体であることを特
徴とする請求項5記載の高ニトリル系グラフト重合体組
成物の製造方法。 - 【請求項8】 不飽和ニトリルがアクリロニトリルであ
ることを特徴とする請求項5記載の高ニトリル系グラフ
ト重合体組成物の製造方法。 - 【請求項9】 芳香族ビニル化合物がスチレンであるこ
とを特徴とする請求項5記載の高ニトリル系グラフト重
合体組成物の製造方法。
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JP03053395A JP3412723B2 (ja) | 1995-02-20 | 1995-02-20 | 高ニトリル系グラフト重合体組成物及びその製造方法 |
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