JP2613860B2 - 高ニトリル系重合体組成物、成形品およびその製造法 - Google Patents

高ニトリル系重合体組成物、成形品およびその製造法

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JP2613860B2
JP2613860B2 JP2241747A JP24174790A JP2613860B2 JP 2613860 B2 JP2613860 B2 JP 2613860B2 JP 2241747 A JP2241747 A JP 2241747A JP 24174790 A JP24174790 A JP 24174790A JP 2613860 B2 JP2613860 B2 JP 2613860B2
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明男 西野
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、高ニトリル系共重合体組成物,成形品およ
びその製造法に関する。さらに詳しくは、熱溶融流動性
に優れた高ガスバリア性を有する新規な高ニトリル系共
重合体組成物,成形品およびその製造法に関する。
<従来の技術> アクリロニトリル又はメタクリロニトリルの重合単位
を50%以上含有するニトリル樹脂は、ニトリル基特有の
分子間結合に基づいて優れたガスバリヤー性(ガス不透
過性)を示す。また、ニトリル樹脂は、酸,アルカリ,
有機溶剤などに対する耐薬品性および曲げ弾性率,引張
り強度,耐クリープ性などの機械的物性に優れており、
バランスのとれた樹脂である。これらの多くの有用な特
性の故に、ニトリル樹脂は食品包装用フィルム,シー
ト,容器の素材として広く使用されている。
一方、近年食品保存に関し、酸化防止剤などの添加剤
を一切加えない保存法が進展し、それに伴って食品包装
用素材としてガスバリヤー性の一層優れた素材の開発が
望まれているが技術的には難しい。
例えばアクリロニトリル樹脂のガスバリヤー性は、一
般に、アクリロニトリル成分の含有量が高くなるほど大
きくなる。反面、このようなアクリロニトリル樹脂は20
0℃を越える温度に加熱されると分子内縮合により環化
して着色,不溶融化を起こすようになり、アクリロニト
リル成分の含有量が85%以上になると、アクリロニトリ
ル樹脂の熱溶融成形は実質的に困難となる。
特公昭46−25005号公報には、ガスに対して低い透過
性をもつ熱可塑性ニトリル重合体の製造法が開示されて
いる。この方法は(A)アクリロニトリルの如きα,β
−オレフィン性不飽和モノニトリル少くとも70重量%と
(B)アクリル酸メチルの如きオレフィン性不飽和カル
ボン酸エステル30重量%以下との混合物100重量部を、
(C)ブタジエンおよびイソプレンよりなる群から選択
される共役ジエンとオレフィン性不飽和ニトリルとの共
重合体1〜20重量部の存在下で、水性媒体中、乳化剤お
よびラジカル重合開始剤の存在下、分子状酸素の不存在
下において、0〜100℃の温度で重合させる方法であ
る。この方法によって製造されるニトリル重合体は、上
記のとおり、共役ジエンとオレフィン性不飽和ニトリル
との共重合体を含有する。
米国特許第3,742,092号明細書には、少くとも80重量
部のメタクリロニトリルと、0〜20重量部のアクリル酸
メチル,メタクリル酸メチルおよびスチレンから選ばれ
る単量体を、1〜40重量部の予め形成されたジエンゴ
ム,5〜160重量部のシード重合体およびラジカル開始剤
の存在下で重合させて、耐衝撃性のゴム改質メタクリロ
ニトリルホモ又は共重合体を製造する方法が開示されて
いる。該シード重合体は、ポリメタクリロニトリル,メ
タクリロニトリルと20重量%までの他のモノビニルモノ
マーとの共重合体、ポリスチレン,ポリメチルアクリレ
ート,ポリメチルメタクリレート,ポリアクリロニトリ
ル又はアクリロニトリルと他のモノビニルモノマーとの
共重合体である。
上記ゴム改質メタクリロニトリルホモ又は共重合体
も、上記の如くジエンゴムを含有することを特徴とす
る。
米国特許第3,732,336号明細書には、少くとも80重量
部のメタクリロニトリルと0〜20重量部の他のモノビニ
ルモノマーとを、5〜160重量部のシード重合体および
ラジカル開始剤の存在下で、重合させて、メタクリロニ
トリルホモ又は共重合体を乳化製造する方法が開示され
ている。該シード重合体としては、上記米国特許第3,74
2,092号明細書に記載されたシード重合体と同じ重合体
が使用されている。また、上記明細書には、上記製造法
によれば、重合速度が改善される旨記載されているが、
シード重合体が高ニトリル共重合体でありそしてシェル
層が低ニトリル共重合体である重合体粒子の製造はデー
タを伴う形で具体的には開示されていない。
特開昭48−62848号公報には、アクリロニトリル共重
合体とグラフトゴムからなる、二酸化炭素透過性の小さ
い組成物が開示されている。
特公昭59−21331号公報には、ゴム5〜20重量部にア
クリロニトリル等の単量体80〜95重量部をグラフト重合
せしめて、得られる重合体100重量部中に該ゴムにグラ
フトした該単量体のグラフト樹脂部分2〜40重量部及び
該単量体のマトリックス樹脂部分40〜93重量部を含有す
る組成物が開示されている。
特開平1−167318号公報には、ジエン系合成ゴム1〜
40重量部に、不飽和ニトリルと芳香族ビニル化合物から
なる単量体混合物60〜99重量部をグラフトさせた高ニト
リル系樹脂が開示されている。
<発明が解決しようとする問題点> 上記提案された重合体および製造法は、いずれも重合
体中の不飽和ニトリルの含有量が高い樹脂を特徴とする
ものであり、特公昭46−25005号公報,特開昭48−62848
号公報はゴム成分を加えグラフト重合を行い耐衝撃性及
びガスバリア性を付与することを目的としたものであ
り、米国特許第3,742,092号明細書はゴム成分を加えグ
ラフト重合を行うと共にシード重合体を加え耐衝撃性の
付与と重合速度の改善を目的としたものであり、米国特
許第3,732,336号明細書もシード重合体を加え重合速度
の改善を目的としたものである。しかしいづれの方法
も、樹脂の組成に対し、熱溶融流動性,ガスバリヤー性
および機械的物性をバランスよく達成することはできな
い問題がある。特公昭59−21331号公報,特開平1−167
318号公報は二段重合してゴム成分にグラフトした重合
体とマトリックス重合体の組成差をもたせ、耐溶剤性の
付与を目的としたものであるが、熱溶融流動性とガスバ
リア性のバランスにおいては不満足である。
本発明の目的は、熱溶融流動性に優れ且つ優れた高い
ガスバリヤー性と機械的性質を有するゴム含有高ニトリ
ル系重合体組成物およびその製造法を提供することにあ
る。
本発明のさらに他の目的は、フィルム,シート,ボト
ルあるいは繊維等に溶融成形可能な高ニトリル系重合体
組成物およびその製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の上記組成物の特
性を備えた高ニトリル系重合体成形品を提供することに
ある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から
明らかとなろう。
<問題を解決するための手段> 本発明者らは、鋭意研究した結果、ニトリル樹脂に関
し、熱溶融流動性の高い低ニトリル樹脂をマトリックス
重合体とし、熱溶融流動性が低いかまたは熱溶融流動性
を示さないけれどもガスバリア性に優れた高ニトリル樹
脂を微粒子状に分散させ、熱溶融流動性,ガスバリア性
および機械的物性のバランスが優れた新規な高ニトリル
組成物および成形品が得られることを見出し、本発明に
至った。
即ち、本発明の第1は (A) 下記式(a) ここで、R′は水素又はメチル基である、で表わされ
る重合単位(a)と下記式(b) ここで、R2は水素又はメチル基であり、そしてR3は炭
素数1〜6のアルキル基である で表わされる重合単位からなり且つこれらの重合単位
(a)と(b)の合計に対し重合単位(a)の割合が50
〜85重量%を占める低ニトリル共重合体の重合体マトリ
ックス50〜97重量部中に、 (B) 50重量%以上の1,3共役ジエンを含有する合成
ゴム1〜20重量部と該合成ゴムに上記式(a)の重合単
位からなるか又は上記式(a)の重合単位と上記式
(b)の重合単位からなり且つこれらの重合単位
(a),(b)の合計に対し、重合単位(a)の割合が
少なくとも86重量%を占める高ニトリル共重合体がグラ
フトしたグラフト重合体(グラフト成分)1〜15重量部
と高ニトリル共重合体(非グラフト成分)1〜15重量部
よりなる微粒子が海島状に分散してなる、 ことを特徴とする高ニトリル系重合体組成物および、該
重合体組成物から溶融成形された成形品である。
また本発明の第2は、請求項第1項記載のニトリル系
重合体組成物において、重合体マトリックスとゴム及び
グラフト重合体を含む高ニトリル共重合体の微粒子との
間に中間層が存在し、該中間層は重合単位(a)と
(b)の合計に対する重合単位(a)の割合が50〜85重
量%を占め且つ前記重合体マトリックスより重合単位
(a)の割合が大きいことを特徴とする。
本発明組成物は低ニトリル共重合体よりなるマトリッ
クスと合成ゴム及びグラフト重合体を含有し高ニトリル
共重合体よりなる微粒子の多成分のポリマー相からな
り、海島構造を形成する。組成物はコアシェル型多層構
造の重合体粒子に由来し得られ、マトリックスの重合体
はシェル層重合体に由来し、また微粒子の重合体は合成
ゴム及びグラフト重合体を含有するコア層重合体に由来
する。本発明の特徴はグラフト重合体によりコア層と高
ニトリル重合体との接着性がよく、コア層とシェル層の
接着性に起因して、組成物中のマトリクスと微粒子の接
着性がよく、延伸成形時の白化,ハク離などの成形時の
問題を生じにくく、また微粒子の分散性にも優れてい
る。特に中間層を有するコアシェル型多層粒子はコア層
とシェル層の接着性に優れ、中間層がコア層に近い程コ
ア層の組成に近く、またシェル層に近い程シェル層の組
成に近くなる組成勾配を持つグラディエントタイプの中
間層の場合には接着性はさらに優れる。また熱溶融流動
性および機械的物性に関しては組成物中のマトリクスの
組成分子量に大きく依存し、ガスバリア性に関しては組
成物中のゴム成分と高ニトリル重合体との接着性と微粒
子の組成に大きく依存する。
上記式(a),(b)の重合単位は上記式(a′),
(b′)の単量体に由来し単量体(a′)はアクリロニ
トリル又はメタクリロニトリルであり、このうちアクリ
ロニトリルが好ましい。単量体(b′)は、アルキルア
クリレート又はアルキルメタクリレートであり、その例
としてアクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル
酸プロピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸アミル,ア
クリル酸ヘキシル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸
エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,
メタクリル酸アミルおよびメタクリル酸ヘキシル等を挙
げることができる。これらのうち、アクリル酸メチルが
特に好ましい。また必要に応じてその他の共重合可能な
単量体を5重量%未満使用したものであってもよく、例
えば、酢酸ビニル,アクリルアミド,ビニルエチルエー
テル,塩化ビニル,塩化ビニリデン等の中性単量体、ア
クリル酸,メタクリル酸,アリルスルホン酸,スチレン
スルホン酸等の酸性単量体およびこれら単量体のアンモ
ニウム塩,金属塩などである。
また本発明に用いられる合成ゴムは共役ジエンを有す
る単量体、例えば1,3−ブタジエン,イソプレン,クロ
ロプレン等の単独重合体及びこれらの共重合体、及びこ
れらジエンの少なくとも一種と他の単量体例えばアクリ
ロニトリル,メタクリロニトリル,スチレン,アクリル
酸メチル,メタクリル酸メチル等との共重合体でもよ
い。好ましくは、共役ジエン系単量体は1,3−ブタジエ
ン及びイソプレンであり、共重合単量体としてはアクリ
ロニトリル,メタクリロニトリル,スチレンが良い。
また、本発明に用いる合成ゴムは共役ジエン系単量体
を50重量%以上含有するものが好ましく、その製造は通
常のラジカル開始剤を用いる乳化重合が良いが、特にそ
の製造方法に制限はない。重合体組成物中の合成ゴムの
含有量は1〜20重量部であるが、好ましくは2〜15重量
部である。
グラフト重合体及び高ニトリル共重合体は、上記式
(a)の重合単位からなるか又は上記式(a)の重合単
位と上記式(b)の重合単位の合計に基づき、上記式
(a)の重合単位を少なくとも86重量%含有する。ま
た、高ニトリル共重合体は、同じ基準に対し、上記式
(a)の重合単位を好ましくは86〜95重量%で含有し、
さらに好ましくは87〜92重量%である。マトリックス樹
脂の低ニトリル共重合体は、同様に上記式(a)と
(b)の重合単位からなり、組成物中のグラフト重合体
を含有する高ニトリル共重合体より上記式(a)の重合
単位の含量が少なく、重合単位(a)と(b)の合計に
対して、重合単位(a)を50〜85重量%で含有する。ま
た、低ニトリル共重合体は上記式(a)の重合単位を、
同じ基準に対し65〜80重量%で含有するのが好ましく、
さらに好ましくは70〜80重量%で含有する。
重合体組成物は、さらに次の少なくともいずれかの関
係を満足するのが望ましい。
(i)高ニトリル共重合体及び低ニトリル共重合体を形
成する上記式(a)の重合単位がアクリロニトリルより
なる重合単位であり、上記式(b)の重合単位がアクリ
ル酸メチルよりなる重合単位である。
(ii)グラフト重合体が組成物の1〜15重量%、さらに
好ましくは2〜13重量%を占める。
(iii)グラフト重合体を含有する高ニトリル共重合体
が重合体組成物の2〜30重量%、さらに好ましくは3〜
20重量%を占める。
(iv)低ニトリル共重合体が組成物の50〜97重量%、さ
らに好ましくは65〜95重量%を占める。
(v)重合体組成部のジメチルホルムアミド中、30℃で
測定した還元粘度が0.5〜5dl/g、さらに好ましくは0.5
〜2dl/gの範囲にある。
(vi)重合体組成物の200℃におけるメルトインデック
ス値が2〜50g/10分以下、さらに好ましくは3〜25g/10
分である。
(vii)高ニトリル共重合体の重合単位(a)の含有量
がマトリクス樹脂の低ニトリル共重合体の重合単位
(a)の含有量よりも少なくとも2重量%、さらに好ま
しくは少なくとも5重量%、最も好ましくは少なくとも
10重量%多い。
組成物中のマトリックスと高ニトリル共重合体の微粒
子又はコア層重合体とシェル層重合体の間に存在する中
間層は重合単位(a)と(b)の合計に対する重合単位
(a)の割合が50〜85重量%を占め且つ前記重合体マト
リックス又はシェル層重合体より重合単位(a)の割合
が多い。好ましくは重合単位(a)の割合が65〜80重量
%で含有し、さらに好ましくは70〜80重量%で含有す
る。中間層は均一な組成であっても、濃度勾配を有する
組成であっても良いが、好ましくは、組成物中の微粒子
又はコア層重合体に近い程重合単位(a)の割合が大き
い。
本発明の組成物は乳化グラフト法及びシード重合法と
一般に云われる方法によって製造することができる。例
えば、ゴム重合体の存在下上記式(a)のアクリロニト
リル成分及び/又はメタクリロニトリル成分の割合が、
上記式(a)と(b)の重合単位の全量に対し、86〜10
0重量%となるよう上記式(a′)からなるか又は上記
式(a′)と(b′)で表わされる単量体を水媒体中で
乳化グラフト重合して得られるゴム成分含有高ニトリル
共重合体をシードとして、次にシェル層の重合を水媒体
中で乳化重合を行なう。
中間層を有するコアシェル型多層粒子を形成する方法
は、まずゴム重合体の存在下高ニトリル共重合体よりな
るコア層重合体粒子を重合し、さらに該粒子をシードと
してコア層重合体より重合単位(a)の割合が少ない低
ニトリル共重合体よりなる中間層の重合体をシード重合
する。次にこの中間層を有するコア層重合体粒子をシー
ドとして、中間層の重合体よりさらに重合単位(a)の
割合が少ない低ニトリル共重合体よりなるシェル層の重
合体をシード重合して得られる。中間層の重合単位
(a)の割合がコア層に近い程大きく組成勾配を有する
コアシェル型多層粒子を形成する方法は、前記の中間層
の重合体をシード重合する際、コア層重合体を得る重合
工程が完結する前の未反応の単量体が存在するところ
へ、単量体(a′)成分の割合が未反応の単量体より少
ない単量体を連続的に又は分割して添加しシード重合す
る。次にこの中間層を有するコア層重合体粒子をシード
として、中間層の重合体よりさらに重合単位(a)の割
合が少ない低ニトリル共重合体よりなるシェル層の重合
体をシード重合して得られる。
中間層の厚み,含有量又は組成勾配をコントロールす
る方法は、中間層の重合工程における重合量を制御した
り、コア層重合工程の未反応単量体の存在するところ
へ、さらに単量体を連続的に添加する際の添加速度また
は添加時間を制御することで行える。単量体の供給は一
括添加,分割添加,連続添加など採用できるが、連続添
加がシード重合を有効に実施する為に好ましい。
乳化剤としては公知のアニオン性乳化剤,カチオン性
乳化剤,ノニオン性乳化剤を適宜選択して使用できる。
乳化剤濃度はシード重合では重要であり、重合系内で約
0.1〜約2重量%を形成する。乳化剤は、多過ぎても少
な過ぎても好ましくない。多過ぎると新しいポリマー粒
子を生成し、シード重合の効率を低下させる。逆に少な
過ぎると乳化安定性が低下し凝集の原因となる。乳化剤
は連続的に添加するのが好ましい。重合開始剤としては
公知の重合開始剤を使用することができ、分子量調節剤
としてはメルカプタン類等を使用できる。ゴム重合体を
含有するコア層の重合では分子量調節剤は使用しても使
用しなくてもよく、シェル層の重合では適宜濃度で使用
するのが好ましい。乳化重合後得られたポリマーエマル
ジョンは常法により未反応モノマー除去,凝固,水洗,
脱水,乾燥し、必要に応じて各種安定剤,顔料等を加え
て溶融押出して例えばペレット状に加工した本発明の組
成物を得ることができ、又粉末を直接成形できる。
本発明の重合体組成物は、上記の如く、本発明方法の
コア・シェル型多層の重合体粒子から得るのが好まし
い。その他例えば別々に製造した高ニトリル共重合体の
エマルジョンと該低ニトリル共重合体のエマルジョンを
混合し、前記と同様に処理して製造することもできる
が、成形後延伸すると白化,破断などが生じやすい。
本発明により得られる組成物は、公知の成形法例えば
押出成形,射出成形,ブロー成形,インフレーション成
形等により容易に溶融成形できる。例えばフィルム,シ
ート,容器等の1次成形品に加工できる。さらに加熱し
て1軸延伸,同時2軸延伸,逐次2軸延伸,圧縮成形,
真空成形,カレンダー加工,ヒートセット等の2次成形
も可能である。その際公知の成形機を使用することがで
きる。また目的に応じて艶消し剤,着色剤,耐熱安定
剤,紫外線吸収剤等を成形加工の際添加しても何ら差し
支えない。
本発明の溶融成形された成形品は高ニトリル共重合体
を島成分とし低ニトリル共重合体を海成分とする海島2
相構造を有している。高ニトリル共重合体は、延伸等に
より低ニトリル重合体の重合体マトリックス中に高ニト
リル共重合体を一方向に長く伸び形、あるいは平面状に
広がった形で分散して有しているのが良好なガスバリヤ
性を示す上で好ましく、特に成形品が延伸フィルム又は
延伸ボトルである場合には、特に好ましい。
延伸する際の延伸温度は高ニトリル共重合体が変形さ
れやすい温度が適し、低くても高いニトリル共重合体の
ガラス転移点より高い温度を必要とする。低ニトリル共
重合体が延伸されやすい延伸温度であっても高ニトリル
共重合体が延伸されにくいような低延伸温度の場合には
フィルムの白化,破断などの問題が生じるが、適正な延
伸条件ではほぼ透明なフィルムが得られる。
本発明の成形品は同一組成の従来法による均一共重合
体と比較して曲げ強度,及びフィルムの引張り伸度に優
れ、その他強度,耐衝撃性などの機械物性,透明性,耐
熱性,耐薬品性にも優れたものである。すなわち、本発
明の組成物は溶融成形性,熱成形性,延伸性など加工性
が良好であり、食品包装フィルム,及び容器や薬品,化
粧品用途の容器として用いることができる。
<実施例> 以下、実施例により本発明を説明する。実施例中の
「部」及び「%」はいずれも重量基準による。
なお、還元粘度,転化率,ポリマー組成比,メルトイ
ンデックス(以下MIと略記),シードポリマーの含有
量,エマルジョン粒子粒径,酸素透過量,曲げ物性,フ
ィルム物性は次の方法に従い測定した。
・還元粘度:試料を充分乾燥させたのち、N−N−ジメ
チルホルムアミド(以下DMFと略記)に0.4g/dlになるよ
うに溶解し30℃でその溶液粘度を測定しηsp/Cの計算よ
り求める。
・転化率:重合によって得られたエマルジョンを、1ml
サンプリングし、これを水で10倍に希釈したもの20μ
をバイアルビンにつめ、120℃で気化させヘッドスペー
スガスをガスクロマトグラフ(GC−9A、島津製作所製)
にうちこみ残存モノマーより算出する。転化率は全仕込
モノマー量に対するポリマー転化率を表わす。
・ポリマー組成:試料を充分乾燥させたのち、ジメチル
スルホキシド及び重ジメチルスルホキシドに溶解しIR及
1H−NMRにて求める。
・MI:ASTM−D1238に準じる。条件は濃度200℃,荷重12.
5kg,オリフィス径2.1mmφにて測定した。
・高ニトリル樹脂含有量:グラフト樹脂からゴム成分を
除いた成分とグラフトしていない高ニトリル共重合体の
合計量の樹脂組成物全体に対する割合。シードポリマー
(コア層ポリマー)及び最終の転化率から計算により求
める。
・グラフト樹脂含有量:グラフト樹脂からゴム成分を除
いた成分の組成物全体に対する割合。試料をアセトニト
リル/ジメチルホルムアミド(1:1)に溶解させ、溶媒
に可溶な樹脂成分と溶媒に不溶なグラフト樹脂成分に分
離し、さらに12,000rpmで20分間遠心分離した。それぞ
れの含有量を求め仕込ゴム量と全ポリマーの転化率から
計算により求める。
・平均粒径:堀場製作所製,超遠心式自動粒度分布測定
装置CAPA−700形にて回転数7000rpmで測定した。
・酸素透過量:試料(粉末)を充分乾燥させた後、溶融
押出し機を用いて170℃で押出し、ペレタイザーでペレ
ット化を行った。このチップを180℃で溶融成形し、シ
ートを作成する。このシート成形物を二軸延伸し測定フ
ィルムを得た。このフィルムを用い酸素透過量をモダー
ンコントロール(Modern Contrals)社製OX−TRAN−100
型酸素透過度測定器を用いて30℃,100%RHの条件下で測
定した。
・曲げ物性:射出成形した試料片を用い曲げ弾性率,曲
げ強度をASTM−D790に準じて測定を行った。
・フィルム物性:2軸延伸フィルムの縦横各方向の引張強
度,引張伸度をASTM−D638に準じて測定を行った。
[実施例1] [コア層の重合] 下記成分からなる混合物をステンレス製反応器に仕込
み、反応器内を窒素で充分置換した後、攪拌下60℃で1
時間、重合を行った。*1 NIPOL−1551 10.3 部 水 147.65部 アクリロニトリル 30.0 部 アクリル酸メチル 3.3 部 過硫酸ナトリウム 0.04部 エチレンジアミン四酢酸−カリウム 0.04部*2 モノゲンY−100 0.64部 (*1日本ゼオン社製 アクリロニトリル−ブタジエン
ゴムラテックス 固形分51%) (*2第1工業製薬社製,天然アルコール硫酸エステル
塩) このときの転化率,ポリマーの組成等の物性を測定し
た。
結果は表−1に示した。
[シード重合] ここに下記成分からなる混合物を、3時間かけて連続
的に滴下した(中間層の重合)。
水 82.05部 アクリロニトリル 50 部 アクリル酸メチル 16.67部 n−ドデシルメルカプタン 2.5 部 過硫酸ナトリウム 0.02部 エチレンジアミン四酢酸−カリウム 0.02部 モノゲンY−100 0.36部 滴下を終了した後、60℃でさらに4時間重合を行った
(シェル層の重合)。得られたエマルジョンの転化率等
の物性は表−1に示した。このエマルジョンより残存モ
ノマーを除去し、そしてこのエマルジョンを硫酸アルミ
ニウムを用い塩析(凝固)させて、ポリマー粉末を得
た。
次いで、このポリマー粉末を充分乾燥させた後、溶融
押出機を用い、170℃でストランド状に押出し、ペレタ
イザーでペレット化を行った。このポリマー(重合体組
成物)の物性を表−1に示した。
[実施例2] [コア層の重合] NIPOL−1551を21.8部とする以外は実施例1[コア層
の重合]と同様に行い、このポリマーの物性を表−1に
示した。
[シード重合] 実施例1[シード重合]と同様に実施した。このとき
のポリマーの物性を表−1に示した。
[実施例3] [コア層の重合] モノマーの仕込みをアクリロニトリル31.7部,アクリ
ル酸メチル1.6部とする以外は実施例1と同様に行い、
このポリマーの物性を表−1に示した。
[シード重合] ここにアクリロニトリル48.3部,アクリル酸メチル1
8.4部とする以外は実施例1と同様の方法で重合を行っ
た。このときのポリマーの物性を表−1に示した。
[実施例4] [コア層の重合] 実施例1[コア層の重合]と同様に重合を実施し、こ
のポリマーの物性を表−1に示した。
[シード重合] ここにアクリロニトリル55.3部,アクリル酸メチル1
1.4部とする以外は実施例1[シード重合]と同様の操
作を行い重合をし、ポリマーを得た。このポリマーの物
性を表−1に示した。
[比較例1] [コア層の重合] 下記成分からなる混合物をステンレス製反応器に仕込
み、反応器内を窒素で充分置換した後、攪拌下60℃で1
時間、重合を行った。
NIPOL−1551 10.3 部 水 147.65部 アクリロニトリル 25 部 アクリル酸メチル 8.33部 過硫酸ナトリウム 0.04部 エチレンジアミン四酢酸−カリウム 0.04部 モノゲンY−100 0.64部 n−ドデシルメルカプタン 1.1 部 このときのポリマーの物性を表−1に示した。
[シード重合] ここに下記成分からなる混合物を3時間かけて滴下し
た。
水 82.05部 アクリロニトリル 50 部 アクリル酸メチル 16.67部 n−ドデシルメルカプタン 2.2 部 過硫酸ナトリウム 0.02部 エチレンジアミン四酢酸−カリウム 0.02部 モノゲンY−100 0.36部 滴下を終了した後、60℃でさらに4時間熟成重合を行
った。得られたエマルジョンの転化率等の物性を表−1
に示した。実施例1と同様の操作を行い、ポリマーのチ
ップを得た。このポリマーの物性を表−1に示した。
[比較例2] [コア層の重合] NIPOL−1551を21.8部とする以外は比較例1[コア層
の重合]と同様に行い、このときのポリマーの物性を表
−1に示した。
[シード重合] 比較例1[シード重合]と同様に行った。このときの
ポリマーの物性を表−1に示した。
[実施例5] 実施例1のチップを用い射出成形し曲げ弾性率,曲げ
強度測定用試料片を得た。またT型ダイを有する押出機
にて180℃で溶融成形し、厚さ300μmのシートを作成
し、このシート成形物をテンター二軸延伸機を用いて延
伸温度105℃にて縦,横の各方向に同時2軸延伸し、厚
さ約50μmの2軸延伸フィルムを得た。曲げ弾性率,曲
げ強度及びフィルムの引張強伸度の測定を行った。この
結果を表−2に示した。
[比較例3] 比較例1と同様にしてポリマーを得ること以外は、実
施例5と同様に行った。この結果を表−2に示した。
<発明の効果> 以上によりニトリル系重合体組成物,成形品はポリマ
ー中のニトリル含有量が高く還元粘度が高い範囲におい
ても熱溶融流動性,熱成形加工性が良好であり、かつガ
スバリア性,フィルムの引張り伸度,成形物の曲げ強度
が優れており、実用上極めて有用である。また本発明方
法は工業的に容易でかつ、実用上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
第1,2,3図は、本発明のコアシェル型重合体粒子の模式
図を示し、A,Bはそれぞれゴム及びグラフト重合体を含
むコア層の高ニトリル共重合体,シェル層の低ニトリル
共重合体を示す。C,Dは上記コア層とシェル層の間の中
間層の低ニトリル共重合体を示し、Cのポリマー中AN組
成はコア層の組成からシェル層の組成まで勾配を有し、
コア層に近い程高ニトリル組成となる。又Dのポリマー
中AN組成はコア層とシェル層の中間組成で常に一定組成
である。第4,5図はコアシェル型重合体粒子より溶融成
形された組成物又は成形品の模式図を示し、Aは上記ゴ
ムを含むコア層よりなる高ニトリル共重合体を、B′は
上記中間層及びシェル層よりなる低ニトリル共重合体
(B,C,D)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C08L 33/18 51:04)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 下記式(a) ここで、R′は水素又はメチル基である、 で表される重合単位(a)と下記式(b) ここで、R2は水素又はメチル基であり、そしてR3は炭素
    数1〜6のアルキル基である で表される重合単位からなり、且つこれらの重合単位
    (a)と(b)の合計に対し重合単位(a)の割合が50
    〜85重量%を占める低ニトリル共重合体の重合体マトリ
    ックス50〜97重量部中に、 (B) 50重量%以上の1、3共役ジエンを重合単位と
    して含有する合成ゴム1〜20重量部と、該合成ゴムに上
    記(a)の重合単位と上記式(b)の重合単位からな
    り、且つこれらの重合単位(a)と(b)の合計に対し
    重合単位(a)の割合が少なくとも86重量%を占める高
    ニトリル重合体がグラフトした高ニトリル樹脂よりなる
    微粒子1〜15重量部および上記(a)の重合単位と上記
    式(b)の重合単位からなり、且つこれらの重合単位
    (a)と(b)の合計に対し重合単位(a)の割合が少
    なくとも86重量%を占めゴム成分にグラフトしていない
    高ニトリル樹脂1〜15重量部よりなる微粒子が海島状に
    分散してなることを特徴とする高ニトリル系共重合体組
    成物。
  2. 【請求項2】請求項第1項記載の高ニトリル系共重合体
    組成物において、重合体マトリックスとゴム及び該ゴム
    成分にグラフトした高ニトリル共重合体を含む高ニトリ
    ル共重合体の微粒子との間に中間層が存在し、該中間層
    は重合単位(a)と(b)の合計に対する重合単位
    (a)の割合が50〜85重量%を占め且つ前記重合体マト
    リックスより重合単位(a)の割合が大きいことを特徴
    とする高ニトリル系重合体組成物。
  3. 【請求項3】請求項第1又は2項に記載の重合体組成物
    から溶融成形された成形品。
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