JP3325411B2 - 耐衝撃性高ニトリル系重合体及びその製造方法 - Google Patents

耐衝撃性高ニトリル系重合体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の分子量及び多分
散度(分子量分布)を有する耐衝撃性高ニトリル系重合
体及びその製造方法に関する。詳しくは、押出成形、ブ
ロー成形、射出成形等における成形加工性と耐衝撃性が
バランスしており、特に、シート、フィルム等に成形し
た際に優れた耐衝撃性を有する成形物が得られる耐衝撃
性高ニトリル系重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高ニトリル系重合体は、優れたガスバリ
ヤー性、耐溶剤性、薬効成分や臭気の非吸着性等を有す
る熱可塑性重合体であり、食品、農医薬品、化粧品等の
分野における包装材料、容器材料等として広く使用され
ている。
【0003】高ニトリル系重合体に耐衝撃性を付与する
目的で、ゴムの存在下に不飽和ニトリルを主成分とする
単量体混合物をグラフト重合する方法が知られている。
例えば、特公昭46−25005号公報には、共役ジエ
ン系ゴムの存在下で不飽和ニトリル及びアクリル酸アル
キルエステルをグラフト重合させるニトリル重合体の製
造方法が開示されている。
【0004】特公昭49−32789号公報には、共役
ジエン系ゴムの存在下で、不飽和ニトリル、アクリル酸
アルキルエステル及びα−オレフィンを含む単量体をグ
ラフト重合するに際し、重合反応を少なくとも約5%の
転化率まで進行させた後に分子量調節剤を添加する方法
が開示されている。そして、分子量調節剤として、4〜
16個の炭素原子を有する第1、第2、第3アルキルメ
ルカプタン等が例示されている。
【0005】また、特開昭52−139187号公報に
は、共役ジエン系ゴムの存在下で、不飽和ニトリル、ア
クリル酸アルキルエステル、及びα−オレフィン、アル
キルビニルエーテル等を含む単量体をグラフト重合する
に際し、特定量のメルカプタン存在下で重合系のpHを
6.5未満で実施する方法が開示されている。
【0006】しかし、上記方法で得られるゴム変性高ニ
トリル系重合体は、そのマトリックス重合体の多分散度
(分子量分布)が広く、耐衝撃性、成形加工性が不十分
であり、用途によっては、特にシート、フィルム化した
時等に衝撃強度が不足していた。この場合、分子量調節
剤量を減らして分子量を増大させることにより耐衝撃性
(Izod値)を向上させると、成形加工性のひとつの
指標であるメルトインデックス(MI値)が低下する。
一方、成形加工性を良好となすために、分子量調節剤を
増量して分子量を低下させることによりMI値を増大さ
せると耐衝撃性が低下する。このように、該方法では耐
衝撃性と成形加工性がバランスした高ニトリル系重合体
は得られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解決し、耐衝撃性と成形加工性が適度にバランス
し、特に、シート、フィルム化した時に優れた耐衝撃性
を示す耐衝撃性高ニトリル系重合体及びその製造方法を
提供することにある。具体的には、ゴム変性高ニトリル
系重合体中のゴムを含まないマトリックス部の重合体の
重量平均分子量、及び重量平均分子量を数平均分子量で
除した多分散度(分子量分布)が、共に特定の範囲にあ
る、優れた耐衝撃性を示すゴム変性高ニトリル系重合
体、及び該ゴム変性高ニトリル系重合体の製造方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、共役ジエン系合成ゴムの存在下で、特定量の
不飽和ニトリル及び該不飽和ニトリルと共重合性の他の
単量体を含む単量体混合物をグラフト重合するに際し、
該単量体混合物中に特定量のアクリル酸エチルを含ま
せ、且つ、重合開始剤、分子量調節剤及びpH調節剤を
特定の方法で重合系内に添加することにより、ゴム変性
高ニトリル系重合体のゴムを含まないマトリックス部の
重合体の重量平均分子量(以下、Mwという)、及びM
wを数平均分子量(以下、Mnという)で除した多分散
度(以下、Mw/Mnという)を特定の範囲内に制御し
得ることを見出し、本発明に到った。
【0009】すなわち、本発明の第1発明は、共役ジエ
ン単量体単位50重量%以上及びこれと共重合性の単量
体単位50重量%以下を含む共役ジエン系合成ゴム1〜
40重量部の存在下に、不飽和ニトリル単量体50重量
%以上及びこれと共重合性の他の単量体50重量%以下
を含む単量体混合物100重量部をグラフト共重合して
得られる高ニトリル系重合体であって、該単量体混合物
中に5〜40重量%のアクリル酸エチルを含み、且つ、
該高ニトリル系重合体のうち、共役ジエン系合成ゴムに
グラフトした共重合体を除いたマトリックス重合体のM
wが100,000〜200,000、Mw/Mnが
1.1〜2であることを特徴とする耐衝撃性高ニトリル
系重合体である。
【0010】また、本発明の第2発明は、共役ジエン単
量体単位50重量%以上及びこれと共重合性の単量体単
位50重量%以下を含む共役ジエン系合成ゴム1〜40
重量部の存在下、不飽和ニトリル単量体50重量%以上
及びこれと共重合性の他の単量体50重量%以下を含む
単量体混合物100重量部をグラフト共重合して得られ
る高ニトリル系重合体の製造方法であって、該単量体混
合物中にアクリル酸エチル5〜40重量%を含み、該単
量体混合物の転化率が1〜3重量%に到った時点で重合
開始剤を添加し、該転化率が1〜7重量%に到った時点
であり且つ重合開始剤添加後に分子量調節剤の添加を開
始し、該転化率が少なくとも70〜90重量%に到る時
点まで分子量調節剤を重合系内に存在させ、且つ、該転
化率が1〜7重量%に到った時点でpH調節剤の添加を
開始し、該転化率が20〜80重量%に到る時点まで重
合系内のpHを2〜4に調節することを特徴とする耐衝
撃性高ニトリル系重合体の製造方法である。
【0011】第1発明の特徴は、ゴム変性高ニトリル系
重合体のゴムを含まないマトリックス部の重合体が特定
量の不飽和ニトリル単量体単位及びアクリル酸エチル単
位を含み、且つ、Mw及びMw/Mnが特定の範囲にあ
ることにある。また、第2発明の特徴は、特定量の不飽
和ニトリル及びアクリル酸エチルを含む単量体混合物を
グラフト用単量体として用い、重合開始剤、分子量調節
剤及びpH調節剤を重合系内に添加及び/または停止す
るタイミングを特定の時期に限定することにある。
【0012】かかる構成を採用することにより、ゴム変
性高ニトリル系重合体のゴムを含まないマトリックス部
の重合体が特定量の不飽和ニトリル単量体単位及びアク
リル酸エチル単位を含み、且つそのMw及びMw/Mn
を特定の範囲内に制御すること、及び、グラフト用単量
体のゴムへの適度のグラフト重合が可能となり、耐衝撃
性及び成形加工性が適度にバランスした、優れた耐衝撃
性を有するゴム変性高ニトリル系重合体が得られるもの
である。
【0013】本発明の耐衝撃性高ニトリル系重合体は、
特定の組成を有する共役ジエン系合成ゴムの存在下、特
定量の不飽和ニトリル及びアクリル酸エチルを含む単量
体混合物を重合系内に添加し、更に、重合開始剤、分子
量調節剤及びpH調節剤を特定の方法により重合系内に
添加して特定のpH領域においてグラフト重合すること
により製造される。
【0014】グラフト重合方法は、乳化重合、溶液重
合、懸濁重合、塊状重合、またはこれらの組合せ法等公
知の重合方法が適用できる。しかし、重合熱の除去の容
易さ、重合後の後処理の容易さ、有機溶媒の回収・再生
等の付帯設備の簡易化、等を考慮すると乳化重合法が好
ましく適用される。乳化重合法の場合は、重合体生成物
はラテックス状で得られるので、従来公知の方法、例え
ば、電解質または溶媒による凝集法、または凍結法等に
より重合体を凝固、分離し、水洗の後、乾燥して重合体
を得る方法が挙げられる。
【0015】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明に用いる共役ジエン系合成ゴムは、共役ジエン50
重量%以上、及びこれと共重合性の単量体、例えば、不
飽和ニトリル、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸
エステル等から選ばれた、少なくとも一種の単量体との
共重合体である。
【0016】共役ジエン単量体としては、1,3−ブタ
ジエンの他、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3
−ブタジエン等が例示される。入手の容易さや重合性が
良い等の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが
好ましい。
【0017】不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル
等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル、メタクリ
ロニトリルである。又、芳香族ビニル化合物としては、
スチレン、α−メチルスチレンやビニルトルエン類、ビ
ニルキシレン類等が挙げられ、好ましいものはスチレン
である。不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル
酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル等のアルキルエステルを挙げることができ、好ましい
ものはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル等である。
【0018】具体的には、共役ジエン系合成ゴムとして
は、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、
1,3−ブタジエン−アクリロニトリル及びメタクリロ
ニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニト
リル及びスチレン共重合体、1,3−ブタジエン−スチ
レン共重合体が好ましく挙げられる。より好ましくは
1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、1,
3−ブタジエン−スチレン共重合体である。
【0019】これらの共役ジエン系合成ゴムに含まれる
共役ジエンの量は、得られるゴム変性高ニトリル系重合
体の耐衝撃性に関係する。かかる点を考慮すると、共役
ジエンを50重量%以上含むことが好ましい。さらに好
ましくは、60〜90重量%である。
【0020】また、耐衝撃性高ニトリル系重合体全体に
占める共役ジエン系合成ゴム量は、耐衝撃性、成形加工
性に影響を及ぼす。共役ジエン系合成ゴムの量が少ない
と耐衝撃性が低下し、逆に多いと成形加工性が低下す
る。かかる点を考慮すると、耐衝撃性高ニトリル系重合
体全体に占める共役ジエン系合成ゴムの量は、1〜40
重量%であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜
30重量%である。具体的には、共役ジエン系合成ゴム
1〜40重量部の存在下で、後述するグラフト単量体混
合物100重量部を共重合する。
【0021】共役ジエン系合成ゴムは、公知の方法によ
って製造できるが、乳化重合法が好適である。また、重
合温度には特に制限はないが、重合速度、生産性等を考
慮すると、40〜70℃の温度範囲が好ましい。
【0022】本発明では、グラフト単量体として、特定
量の不飽和ニトリル及びアクリル酸エチルを含む単量体
混合物が用いられる。更に、これらと共重合性のビニル
化合物、例えば、芳香族ビニル化合物、ビニルエステ
ル、ビニルエーテル、α−オレフィン等の他の単量体を
併用してもよい。
【0023】グラフト単量体として用いる不飽和ニトリ
ルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、好ましくは
アクリロニトリル、メタクリロニトリルである。
【0024】ゴム変性高ニトリル系重合体の特性は、ゴ
ム成分を除く重合体部分(マトリックス部)に含まれる
不飽和ニトリルの量に影響される。すなわち、不飽和ニ
トリルの量が少ないと耐薬品性、ガスバリヤー性等の特
性が低下する。逆に多過ぎると成形加工性、耐衝撃性が
低下する他、成形時に黄色に変色して色調等が低下す
る。かかる点を考慮すると、グラフト単量体混合物に少
なくとも50〜95重量%の不飽和ニトリルを含むこと
が好ましい。
【0025】ゴム変性高ニトリル系重合体のグラフト単
量体として、アクリル酸アルキルエステルを用いること
は、前項に記載した刊行物に記載されているように公知
である。しかし、アクリル酸アルキルエステルのアルキ
ル基の種類により、得られるゴム変性高ニトリル系重合
体の特性は変化する。得られるゴム変性高ニトリル系重
合体の耐衝撃性、耐熱性を高位に安定せしめるために
は、それらのうち、アクリル酸エチルが特に優れてい
る。同じアクリル酸アルキルエステルであっても、炭素
数が1個少ないアクリル酸メチル、炭素数が1個多いア
クリル酸プロピル、または2個多いアクリル酸ブチルを
用いた場合には、優れた耐衝撃性を有するゴム変性高ニ
トリル系重合体は得られない。
【0026】アクリル酸エチルを用いる場合であって
も、その量により得られるゴム変性高ニトリル系重合体
の耐衝撃性、耐熱性が影響を受ける。具体的には、グラ
フト単量体混合物に占めるアクリル酸エチルの割合が、
5重量%未満である場合には耐衝撃性が不十分であり、
また、40重量%を超える場合には耐衝撃性が却って低
下するだけでなく、耐熱性が著しく低下する。
【0027】本発明においては、上記観点を考慮して、
アクリル酸アルキルエステルのうちから、特にアクリル
酸エチルを選定して必須成分として使用し、グラフト単
量体混合物に5〜40重量%を含ませるものである。
【0028】グラフト用単量体混合物は、反応開始前に
一括して重合系に添加しておいてもよいし、また、重合
反応開始前に一部を添加し、残りを重合反応開始後に連
続的または分割して間欠的に添加してもよい。
【0029】ゴム変性高ニトリル系重合体の耐衝撃性、
成形加工性は、上記のように、共役ジエン系合成ゴムの
組成及び量、グラフト単量体混合物に占める不飽和ニト
リル及びアクリル酸エチルの量等により影響を受ける
が、更に、共役ジエン系合成ゴムにグラフトした重合体
を除いたマトリックス重合体(以下、単にマトリックス
重合体という)のMw及びMw/Mnによっても影響を
受ける。すなわち、該重合体のMwが100,000未
満である場合には耐衝撃性が不十分であり、200,0
00を超える場合には流動性が低下して成形加工性が低
下する。また、該重合体のMwが上記範囲内にあって
も、Mw/Mnが2を超える場合には耐衝撃性が低下す
る他、流動性も低下し、押出成形等の際にダイスウェル
が大きくなり過ぎる等、成形加工性に問題が生じる。M
w/Mnは、小さい程好ましいが、重合技術等を考慮す
ると一般的にはその下限は1.1程度である。
【0030】かかる観点より、本発明の耐衝撃性高ニト
リル系重合体の耐衝撃性及び成形加工性を実用的範囲に
バランスさせるためには、マトリックス重合体のMw
は、100,000〜200,000であることが好ま
しい。さらに好ましくは120,000〜170,00
0である。また、Mw/Mnは、1.1〜2であること
が好ましい。さらに好ましくは1.1〜1.8である。
【0031】本発明の耐衝撃性高ニトリル系重合体は、
共役ジエン系合成ゴムの存在下で上記組成の単量体混合
物をグラフト共重合することにより得られるゴム変性高
ニトリル系重合体であるが、マトリックス重合体のMw
及びMw/Mnを上記範囲に制御するために、重合開始
剤、分子量調節剤及びpH調節剤を特定の方法により重
合系に添加する。
【0032】本発明に用いる重合開始剤には特に制限は
なく、公知のラジカル重合開始剤が用いられる。例え
ば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有機過酸化
物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等
の過硫酸化合物、過酸化水素等が挙げられる。乳化重合
法を適用する場合には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリ
ウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物、過酸化水
素等が好ましい。重合開始剤の添加量は、グラフト単量
体混合物に対して0.02〜0.2重量%が好ましい。
【0033】分子量調節剤としては、アルキルメルカプ
タン類、例えばn−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン、n−ドデシルチオールアセター
ト、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプト
プロピオネート)、リモネンジメルカプタン等が挙げら
れる。これらのうち、好ましくはメルカプタン臭が実質
的にないという点から、分子内に2個以上のメルカプト
基を含む有機メルカプト化合物、例えば、ペンタエリス
リトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネー
ト)、リモネンジメルカプタンが好ましく挙げられる。
【0034】また、pH調節剤としては、無機酸、有機
酸のいずれでも良く、無機酸としては、リン酸、硫酸、
塩酸、臭化水素酸、硝酸等が挙げられる。有機酸として
は、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、3−メルカプトプ
ロピオン酸、アスコルビン酸及び酸性リン酸エステル等
が挙げられる。好ましい酸は、酢酸、クエン酸、リン
酸、3−メルカプトプロピオン酸等である。
【0035】マトリックス重合体のMw及びMw/Mn
の調節方法は、単量体混合物の組成や共役ジエン系合成
ゴムの量等により詳細は異なるが、重合開始剤、分子量
調節剤及びpH調節剤の重合系への添加時期を制御する
ことにより行う。これらの重合系への添加方法として
は、一括添加、あるいは、連続的添加、間欠的分割添加
またはこれらを併用する方法が例示できるが、重合開始
剤は、一括添加または連続的添加で、分子量調節剤及び
pH調節剤は、連続的添加、間欠的分割添加またはこれ
らを併用して、いずれもグラフト単量体混合物が特定の
転化率に到った時点で重合系に添加する。
【0036】重合開始剤は、当初、重合開始剤を添加せ
ずにグラフト重合反応を進行させ、グラフト単量体混合
物の総転化率が1〜3重量%に到った時点で重合系に添
加する。重合開始剤の添加時期が、該転化率が1重量%
未満である場合は、重合反応挙動、得られる重合体の耐
衝撃性、成形加工性等の特性の再現性が悪く、また、3
重量%を超える場合には、得られる重合体に組成分布が
生じ、耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0037】本発明において、重合開始剤を添加せずに
行う重合とは、共役ジエン系合成ゴム、グラフト単量
体、その他副原料を重合系内に仕込んだ後、撹拌下、系
内の脱酸素や所定の重合温度までの昇温を開始してから
昇温が終了し、系内が安定するまでの間に起こる重合反
応を言い、共役ジエン系合成ゴムの製造時に使用し、共
役ジエン系合成ゴムまたはそのラテックス中に残留する
重合開始剤や、加熱により発生したラジカルによる重合
等を意味する。また、グラフト単量体混合物の転化率と
は、該単量体混合物の添加方法(連続添加、分割添加
等)に関係なく、最終的に重合系に添加されるグラフト
単量体混合物の総量を基準とした転化率を意味する。
【0038】分子量調節剤は、重合開始剤を添加せずに
グラフト重合反応を進行させ、重合開始剤を添加した後
であって、且つ、該単量体混合物の転化率が1〜7重量
%に到った時点で添加を開始し、該転化率が70〜90
重量%になるまで重合系内に存在させなければならな
い。従って、重合開始剤を連続的に添加する場合には、
遅くとも転化率7重量%に到るまでに添加し終える必要
がある。
【0039】重合開始剤の添加後、重合系に分子量調節
剤の添加を開始する時期が、グラフト単量体混合物の転
化率で7重量%を超えた場合は、それ以前に高分子量の
重合体が多量に生成してしまい、Mw/Mnを上記範囲
内に制御することが困難になる。また、分子量調節剤を
重合系内に存在させる期間が、該転化率が70重量%未
満である場合には、それ以降に高分子量の重合体が多量
に生成してしまい、Mw/Mnを上記範囲内に制御する
ことが困難になる。該転化率90重量%を超えた後は、
分子量調節剤を重合系内に存在させなくてもMw/Mn
を上記範囲内に制御し得るので、余分の分子量調節剤を
使用せずに済む利点がある。
【0040】分子量調節剤の添加量は、グラフト単量体
混合物に対して、1〜2.5重量%が好ましい。分子量
調節剤を重合系内に存在させる方法は、分子量調節剤を
連続的、間欠的またはそれらの併用により重合系に添加
することによって行う。連続的に添加する場合にはポン
プ等を用い、所定量の分子量調節剤を一定の添加速度ま
たは転化率等に応じて添加速度を変化させながら重合系
内に添加する。一方、分割して間欠的に添加する場合に
は、所定量の分子量調節剤を数回から十数回に分割し、
添加する間隔が空き過ぎる等の理由により、重合系内に
おける分子量調節効果が著しく低下しないように重合系
内に添加する。分割して間欠的に添加する各回毎の分子
量調節剤の量は、添加量を添加回数で除した等分量であ
ってもよいし、転化率等に応じた量であってもよい。す
なわち、分子量調節剤の添加は、重合開始剤が添加され
た後、グラフト単量体混合物の転化率が1〜7重量%に
到った時点で開始し、該転化率が70〜90重量%に到
った時点で停止する。添加方法は、連続的、間欠的また
はそれらの併用でもよい。
【0041】具体的方法は後述の実施例で説明するが、
重合温度が55〜60℃、重合開始剤量が対単量体0.
05〜0.15重量%である場合、上記転化率を重合時
間と対応させると、転化率1〜3重量%は重合開始剤添
加前約30分間、同1〜7重量%は重合開始剤添加開始
(重合開始)時〜1時間後、同70〜90重量%は重合
開始剤添加開始時より起算して7時間後〜8時間後にお
よそ相当する。
【0042】本発明では、分子量調節剤を活性化して分
子量調節効果を高めるため、酸類等を添加して重合系の
pHを特定の範囲内に調節する。すなわち、最終的に重
合系に供給される全単量体混合物の重合体への転化率が
1〜7重量%に到った時点でpH調節剤としての酸類の
添加を開始し、該転化率が20〜80重量%に到るまで
連続的にあるいは分割して、またはこれらを併用して添
加し、この間の重合系のpHを2〜4、好ましくは2.
5〜3.5の範囲内に制御する。pH調節剤の添加開始
時期は、上述の分子量調節剤の添加開始時期と一致させ
ることが好ましい。
【0043】重合系のpHが2未満の場合には、重合系
に添加された共役ジエン系合成ゴムラテックスの乳化安
定性が低下し、ゴムの凝集・析出が起こる他、装置の腐
蝕の原因となるので好ましくない。また、重合系のpH
が4を超える場合には、分子量調節剤の効果が十分に発
揮されないため、Mwを本発明の範囲内に調節すること
が困難になる。pH調節剤の添加を単量体混合物の転化
率が20重量%未満で停止した場合には、それ以降の重
合反応の進行により重合系内のpHが著しく上昇し、分
子量調節効果が低下して、Mwを上記範囲内に調節する
ことが困難になる。該転化率が80重量%を超えた後
は、pH調節剤を添加しなくても重合系内のpH上昇に
よる分子量調節効果への影響は小さく、転化率80重量
%に到るまでとすることで余分なpH調節剤を使用せず
に済む利点がある。また、pH調節剤の添加開始時期が
上記範囲を外れると、分子量調節効果が十分に発揮され
ず、MwやMw/Mnを上記範囲内に制御することが困
難になるため好ましくない。上記酸の添加量は、重合系
のpHを上記範囲に制御し得る量であるが、通常、グラ
フト単量体混合物に対し、0.2〜0.6重量%程度を
目途として選定される。具体的添加方法としては、先ず
グラフト単量体の添加率が1〜7重量%に到った時点
で、重合系のpHが上記範囲になるまで添加し、それ以
降は重合の進行に伴い重合系内のpHが逐次上昇するの
で、その変化に応じて所定の添加速度で連続的、または
所定の量ずつ分割して添加する。
【0044】pH調節剤の添加を開始する転化率1〜7
重量%、及び添加を終了する転化率20〜80重量%
は、後述する実施例の条件下での重合時間と対応させる
と、それぞれ重合開始剤添加開始〜1時間後、及び重合
開始時より起算して3時間後〜4時間後におよそ相当す
る。
【0045】グラフト重合には、この他、乳化剤、分散
剤等が使用されるが、その種類及び量は、公知のものが
適用される。グラフト重合後の後処理方法、乾燥方法も
公知の方法が適用される。グラフト重合の温度には特に
制限はなく、0〜100℃の任意の温度において実施で
きる。重合速度、転化率、生産性等を考慮すると、50
〜70℃の温度範囲が好ましい。可塑剤、安定剤、潤滑
剤、染料及び顔料、充填剤等を、必要に応じて重合後に
添加することも可能である。
【0046】上記方法により製造される重合体は、既知
の熱可塑性重合体材料を使用する従来の成形法、例えば
押出成形、射出成形、ブロー成形等により容易に熱成形
し得る熱可塑性重合体であり、高ニトリル系重合体が本
来有するガス、蒸気に対する高いバリヤー性及び優れた
耐薬品性を備えているのみならず、耐衝撃性と加工性の
バランスに優れ、且つ、シートやフィルム化した場合に
も優れた衝撃強度を示すため、極めて実用価値の高い新
規な重合体である。
【0047】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明につ
いて更に詳細を説明する。なお、実施例、比較例中の
「部」及び「%」はいずれも重量基準を意味する。ま
た、実施例及び比較例に示したマトリックス重合体のM
w、Mw/Mn、ゴム変性高ニトリル系重合体のメルト
インデックス、Izod値、荷重たわみ温度、フィルム
の衝撃強度、転化率及び重合体組成は、下記方法によっ
て測定した。
【0048】(1)マトリックス重合体のMw及びMw
/Mn 得られたゴム変性高ニトリル系重合体0.75gを、
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)70mlに撹
拌、溶解し、アセトニトリル70mlを加えて更に撹拌
した後、溶媒に不溶なグラフト部と可溶なマトリックス
部とに遠心分離する。マトリックス部を分離、乾燥した
後、DMFに再溶解し、その溶液をゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフ(Waters社製、形式:GPC1
50−C)を用いて60℃において分離し、ポリスチレ
ン換算のMw、Mn及びMw/Mnを求める。
【0049】(2)メルトインデックス(g/10mi
n) ASTM D−1238に規定される方法に従い、20
0℃、12.5kg/cm2荷重において測定する。
【0050】(3)アイゾッド衝撃強度(kg・cm/
cm) 得られたゴム変性高ニトリル系重合体を160℃におい
てロール混練した後、170℃で加圧成形して得た厚み
3mmのシートより試験片を調製した。該試験片につい
て、ASTM D−256(ノッチ付)に規定される方
法に従い、23℃において測定する。
【0051】(4)荷重たわみ温度(℃) JIS K−7207(B)法に規定される方法に従
い、4.6kg/cm2荷重で測定する。試験片は前項
と同様にして調製する。
【0052】(5)フィルム衝撃強度(kgf・cm/
mm) 得られたゴム変性高ニトリル系重合体を、Tダイを装着
した30mmφ一軸押出機(スクリュー圧縮比:2.4
3、L/D:23.6)を用いて、180℃において混
練、溶融押出し、厚み70μmのフィルムを成形して試
料とする。得られた試料について、ASTM 613に
規定される方法に従い、インパクトテスター〔(株)東
洋精機製作所製〕を用いて23℃において測定する。
【0053】(6)転化率及び重合体組成(重量%) 重合系内に最終的に供給する全単量体を基準とした重合
体への転化率及び重合体組成は、島津GC−9Aを用
い、ガスクロマトグラフ(GC)分析により、ラテック
ス中に残存する各単量体濃度から算出する。
【0054】実施例1 (A)共役ジエン系合成ゴムラテックスの製造 下記成分からなる混合物をステンレス製重合反応器に装
入して、窒素雰囲気下において、撹拌下、45℃で20
時間重合を行い、転化率90%で重合を終了した。未反
応の単量体を減圧ストリッピングにより除き、固形分濃
度約30%の共役ジエン系合成ゴムラテックスを得た。
また、ラテックスより固形分を回収し、乾燥後、元素分
析によりゴム中の1,3−ブタジエン及びアクリロニト
リル単位の含有量を求めたところ、1,3−ブタジエン
単位が71重量%、アクリロニトリル単位が29重量%
であった。 アクリロニトリル 30部 ブタジエン−1,3 70部 脂肪酸石ケン 2.4部 アゾビスイソブチロニトリル 0.3部 t−ドデシルメルカプタン 0.5部 水 200部
【0055】(B)グラフト重合体の製造 ステンレス製重合反応器に下記の組成の原料を仕込み、
撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、その
まま30分間撹拌した後、重合開始剤として過硫酸カリ
ウム0.06部を含む水溶液の連続的添加を開始して重
合を開始した。過硫酸カリウムの添加を開始した時点
(重合開始時点)の重合系のpHは7.4で、単量体の
重合体への転化率は(単量体総量の)1重量%であっ
た。 アクリロニトリル 15部 アクリル酸エチル 5部 上記(A)のラテックス(固形分量) 10.5部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.29部 ポリビニルピロリドン 0.10部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.035部 水 150部
【0056】重合開始時より起算して30分後、重合開
始剤の連続的添加を終了した後、重合系にリン酸を加え
てpHを3.0とし、次いで、下記の組成の原料を7時
間かけて連続的に添加しながら、58℃で重合を継続し
た。重合開始30分後における単量体の重合体への転化
率は、(単量体総量の)2重量%であった。 アクリロニトリル 60部 アクリル酸エチル 20部 ペンタエリスリトールテトラキス (β−メルカプトプロピオネート) 1.60部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.15部 ポリビニルピロリドン 0.41部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.14部 水 85部
【0057】この添加の間、重合開始時から3時間まで
はリン酸も連続的に添加して、重合系のpHを3±0.
3に保って重合を行った。重合開始から3時間までの単
量体の重合体への転化率は、(単量体総量の)32重量
%であった。重合開始から9時間重合を行い、最終単量
体転化率は90重量%であった。得られたラテックス
を、硫酸アルミニウム水溶液(濃度45%)を加えて凝
固させ、次いで水洗、乾燥して粉末状のゴム変性高ニト
リル系重合体を得た。主要な重合条件を〔表1〕に示
す。また、得られた重合体の特性を上記方法により測定
し、その結果を〔表2〕に示す。他の実施例についても
同様に〔表1〕及び〔表2〕に示す。
【0058】実施例2 ステンレス製重合反応器に下記の組成の原料を仕込み、
撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、その
まま30分間撹拌した後、重合開始剤として過硫酸カリ
ウム0.06部を含む水溶液の添加を開始して重合を開
始した。重合開始時の重合系のpHは9.1であった。 アクリロニトリル 15部 アクリル酸エチル 5部 実施例1(A)のラテックス(固形分量) 12部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.26部 ポリビニルピロリドン 0.094部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.032部 水 150部
【0059】重合開始時より起算して30分後、重合開
始剤の連続的添加を終了した後、重合系にリン酸を加え
てpHを3.0とし、次いで下記の組成の原料を7時間
かけて連続的に添加しながら、58℃で重合を継続し
た。 アクリロニトリル 60部 アクリル酸エチル 20部 ペンタエリスリトールテトラキス (β−メルカプトプロピオネート) 1.60部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.05部 ポリビニルピロリドン 0.38部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.13部 水 85部 以下、実施例1(B)と同様な操作により、粉末状重合
体を得た。最終単量体転化率は93重量%であった。
【0060】実施例3 実施例1(A)のラテックスを固形分量で15部、ペン
タエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオ
ネート)を1.70部使用し、リン酸の連続添加を重合
開始30分後から4時間後まで行った以外は、実施例1
と同様にして重合を行った。重合開始時の重合系のpH
は8.2、最終単量体転化率は93重量%であった。
【0061】実施例4 実施例1(A)のラテックスを固形分量で17.5部、
ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロ
ピオネート)を1.78部に変更した以外は、実施例3
と同様にして重合を行った。重合開始時の重合系のpH
は8.8、最終単量体転化率は93重量%であった。
【0062】実施例5 ステンレス製重合反応器に下記の組成の原料を仕込み、
撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、その
まま30分間撹拌した後、重合開始剤として過硫酸カリ
ウム0.12部を含む水溶液の添加を開始して重合を開
始した。重合開始時の重合系のpHは9.4であった。 アクリロニトリル 15部 アクリル酸エチル 5部 上記(A)のラテックス(固形分量) 30部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.52部 ポリビニルピロリドン 0.19部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.064部 水 150部
【0063】重合開始時より起算して30分後、重合開
始剤の連続的添加を終了した後、重合系にリン酸を加え
てpH3.0とし、次いで下記の組成の原料を5時間半
で連続的に添加しながら、58℃で重合を継続した。 アクリロニトリル 60部 アクリル酸エチル 20部 ペンタエリスリトールテトラキス (β−メルカプトプロピオネート) 2.30部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.10部 ポリビニルピロリドン 0.75部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.26部 水 85部 この添加の間、重合開始から6時間まではリン酸も連続
的に添加して、重合系のpHを3±0.3に保ち、合計
で7時間重合を行った。以下、実施例1(B)と同様な
操作により、粉末状重合体を得た。
【0064】実施例6 原料の初期仕込み分と連続添加分において、アクリロニ
トリルとアクリル酸エチルの組成を以下のように変更
し、過硫酸カリウムを0.08部、ペンタエリスリトー
ルテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)を1.
50部用いた以外は、実施例3と同様にして重合を行っ
た。重合開始時における重合系のpHは8.7、最終単
量体転化率は93重量%であった。 (初期仕込み分) アクリロニトリル 14部 アクリル酸エチル 6部 (連続添加分) アクリロニトリル 56部 アクリル酸エチル 24部
【0065】実施例7 原料の初期仕込み分と連続添加分において、アクリロニ
トリルとアクリル酸エチルの組成を以下のように変更
し、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプト
プロピオネート)を1.30部用いた以外は、実施例6
と同様にして重合を行った。重合開始時の重合系のpH
は8.8、最終単量体転化率は93重量%であった。 (初期仕込み分) アクリロニトリル 13部 アクリル酸エチル 7部 (連続添加分) アクリロニトリル 52部 アクリル酸エチル 28部
【0066】実施例8 実施例1(B)で、ペンタエリスリトールテトラキス
(β−メルカプトプロピオネート)を、重合開始時より
起算して1時間後から6時間半連続的に添加する以外
は、実施例1と同様にして重合を行った。重合開始時及
び重合開始から1時間後における単量体の重合体への転
化率は、それぞれ単量体総量の1及び5重量%であっ
た。重合開始時の重合系のpHは7.5、最終単量体転
化率は93重量%であった。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】比較例1 実施例1(B)で、ペンタエリスリトールテトラキス
(β−メルカプトプロピオネート)を使用しなかった以
外は、実施例1と同様にして重合を行った。主要な重合
条件を〔表3〕に示す。また、得られた重合体の特性を
上記方法により測定し、その結果を〔表4〕に示す。他
の比較例についても同様に〔表3〕及び〔表4〕に示
す。
【0070】比較例2 実施例1(B)で、ペンタエリスリトールテトラキス
(β−メルカプトプロピオネート)を2.80部用いた
以外は、実施例1と同様にして重合を行った。
【0071】比較例3 実施例1(B)で、ペンタエリスリトールテトラキス
(β−メルカプトプロピオネート)1.96部を、重合
開始1時間半後から6時間連続的に添加した以外は、実
施例1と同様にして重合を行った。重合開始1時間半後
における単量体の重合体への転化率は、単量体総量の1
0重量%であった。
【0072】比較例4 実施例1(B)で、ペンタエリスリトールテトラキス
(β−メルカプトプロピオネート)を、重合開始時より
起算して1時間後から2時間連続的に添加した以外は、
実施例1と同様にして重合を行った。重合開始から1時
間後及び3時間後における単量体の重合体への転化率
は、それぞれ単量体総量の5及び25重量%であった。
【0073】比較例5 実施例1(B)で、原料の初期仕込み分と連続添加分に
おいて、アクリロニトリルとアクリル酸エチルの組成を
以下のように、また過硫酸カリウムを0.08部に変更
し、リン酸の連続添加を重合開始30分後から4時間後
まで行った以外は、実施例1と同様に重合を行った。重
合開始時の重合系のpHは8.3であった。 (初期仕込み分) アクリロニトリル 10部 アクリル酸エチル 10部 (連続添加分) アクリロニトリル 40部 アクリル酸エチル 40部
【0074】比較例6 実施例1(B)で、アクリル酸エチルをアクリル酸メチ
ルに、過硫酸カリウムを0.04部に変更する以外は実
施例1と同様にして重合を行った。
【0075】比較例7 ステンレス製重合反応器に下記の組成の原料を仕込み、
撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、その
まま30分間撹拌した後、重合開始剤として過硫酸カリ
ウム0.045部を含む水溶液の添加を開始して重合を
開始した。 アクリロニトリル 15部 アクリル酸メチル 5部 上記(A)のラテックス(固形分量) 15部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.51部 ポリビニルピロリドン 0.18部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.062部 水 150部
【0076】重合開始時より起算して30分後、重合開
始剤の連続的添加を終了した後、重合系にリン酸を加え
てpH3.0とし、次いで下記の組成の原料を7時間で
連続的に添加しながら、58℃で重合を継続した。 アクリロニトリル 60部 アクリル酸メチル 20部 ペンタエリスリトールテトラキス (β−メルカプトプロピオネート) 1.85部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.38部 ポリビニルピロリドン 0.50部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.17部 水 85部 この添加の間、重合開始から3時間まではリン酸も連続
的に添加して、重合系のpHを3±0.3に保って重合
を行った。最終単量体転化率は90重量%であった。以
下、実施例1(B)と同様な操作により粉末状重合体を
得た。
【0077】比較例8 実施例1(B)で、アクリル酸エチルをアクリル酸ブチ
ルに、過硫酸カリウムを0.10部に変更し、リン酸の
連続添加を重合開始30分後から4時間後まで行った以
外は、実施例1と同様にして重合を行った。
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】〔表の簡単な説明〕〔表1〕及び〔表3〕
は、それぞれ実施例、比較例で示した各重合体の単量体
総仕込組成及び重合体組成(単位:重量%)、共役ジエ
ン系合成ゴムの仕込量(単位:重量部)、分子量調節剤
の添加開始時間及び終了時間(重合開始剤添加開始時を
0とする、単位:hr)、リン酸添加時間(重合開始剤
添加開始時を0とする、単位:hr、リン酸添加開始時
間はここでは0.5hrで共通)、リン酸添加時の重合
系内のpHを示している他、重合開始剤添加時、分子量
調節剤の添加開始時及び添加終了時、リン酸添加終了時
の各転化率と最終転化率を示したものである。〔表2〕
及び〔表4〕は、それぞれ実施例、比較例で示した各重
合体の単量体総仕込組成、共役ジエン系合成ゴムの仕込
量、重量平均分子量Mw、Mwを数平均分子量Mnで除
した多分散度(分子量分布)Mw/Mn、メルトインデ
ックス(MI値)、アイゾッド衝撃強度(Izod値)
及び荷重たわみ温度(HDT)を示している他、フィル
ムの衝撃強度を示したものである。なお、各表中のAN
はアクリロニトリル、EAはアクリル酸エチル、MAは
アクリル酸メチル、BAはアクリル酸ブチルをそれぞれ
示す。 〔実施例の考察〕不飽和ニトリル単量体50重量%以上
を含む単量体混合物を重合して得られる高ニトリル系重
合体では、成形温度を上げると色相が黄変して劣化が起
こり、高温での成形は好ましくないため、メルトインデ
ックス(MI値)が高いことが好ましく、少なくとも1
g/10minのMIを有する必要がある。また、重合
体をシートやフィルムに成形した後、熱成形等により包
装材料等を製造する場合、耐衝撃性が高いことが好まし
く、アイゾッド衝撃強度(Izod値)が23℃、ノッ
チ付で不破壊若しくは50kg・cm/cm以上、フィ
ルムの衝撃強度が150kgf・cm/mm以上である
ことが好ましい。本発明によれば、従来の技術では不十
分であったゴム変性高ニトリル系重合体における、耐衝
撃性と加工性のバランスの適正化が達成される。すなわ
ち、グラフト用単量体混合物中に50重量%以上の不飽
和ニトリル単量体及び5〜40重量%のアクリル酸エチ
ルを含み、且つ、Mw及びMw/Mnが本発明の範囲内
である実施例1〜8で得られたゴム変性高ニトリル系重
合体は、耐衝撃性と加工性が適度にバランスしており、
これらの性能が優れており、フィルムの衝撃強度も増大
している。
【0081】一方、不飽和ニトリルと共重合可能な他の
単量体として、アクリル酸エチル以外のアクリル酸アル
キルエステルを含むものをグラフト用単量体混合物とし
て使用した比較例6〜8は、得られたゴム変性高ニトリ
ル系重合体の耐衝撃性が劣っている。アクリル酸エチル
を使用した場合であっても、単量体混合物中におけるそ
の組成が本発明の範囲外である比較例5は、得られる重
合体の耐衝撃性が劣る他、耐熱性が著しく低下してい
る。また、得られる重合体の重量平均分子量Mwが本発
明の範囲外である比較例1では得られる重合体の加工流
動性が劣り、比較例2では耐衝撃性が劣っており、耐衝
撃性と加工性のバランスの適正化が達成されていない。
更に、多分散度(Mw/Mn)が本発明の範囲外である
比較例3は、重量平均分子量Mwが本発明の範囲内であ
っても、加工流動性が劣っていて、耐衝撃性も不十分で
ある。分子量調節剤の添加方法が本発明の範囲外である
比較例4は、得られる重合体のMw及びMw/Mnが共
に本発明の範囲外であり、加工流動性が劣っていて、耐
衝撃性も不十分である。
【0082】
【発明の効果】本発明の耐衝撃性高ニトリル系重合体
は、ガスバリヤー性、耐溶剤性が要求され、且つ、優れ
た耐衝撃性及び成形加工性が要求される押出成形、ブロ
ー成形、射出成形等の成形材料として好適であり、特に
フィルム用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 染田 誠 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 審査官 佐藤 邦彦 (56)参考文献 特開 昭50−52190(JP,A) 特開 昭61−166813(JP,A) 特開 昭63−304015(JP,A) 特開 平2−132111(JP,A) 特開 昭52−139187(JP,A) 特開 平5−320274(JP,A) 特開 平4−149216(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 279/02 - 279/06

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエン単量体単位50重量%以上及
    びこれと共重合性の単量体単位50重量%以下を含む共
    役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和
    ニトリル単量体50重量%以上及びこれと共重合性の他
    の単量体50重量%以下を含む単量体混合物100重量
    部をグラフト共重合して得られる高ニトリル系重合体で
    あって、該単量体混合物中に5〜40重量%のアクリル
    酸エチルを含み、且つ、該高ニトリル系重合体のうち、
    共役ジエン系合成ゴムにグラフトした共重合体を除いた
    マトリックス重合体の重量平均分子量が100,000
    〜200,000、重量平均分子量を数平均分子量で除
    した多分散度が1.1〜2であることを特徴とする耐衝
    撃性高ニトリル系重合体。
  2. 【請求項2】 共役ジエン系合成ゴムが1,3−ブタジ
    エン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン
    −メタクリロニトリル共重合体及び1,3−ブタジエン
    −スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種の共重
    合体である請求項1記載の耐衝撃性高ニトリル系重合
    体。
  3. 【請求項3】 不飽和ニトリル単量体がアクリロニトリ
    ル及びメタクリロニトリルから選ばれた少なくとも1種
    の単量体である請求項1記載の耐衝撃性高ニトリル系重
    合体。
  4. 【請求項4】 共役ジエン単量体単位50重量%以上及
    びこれと共重合性の単量体単位50重量%以下を含む共
    役ジエン系合成ゴム1〜40重量部の存在下に、不飽和
    ニトリル単量体50重量%以上及びこれと共重合性の他
    の単量体50重量%以下を含む単量体混合物100重量
    部をグラフト共重合して得られる高ニトリル系重合体の
    製造方法であって、該単量体混合物中にアクリル酸エチ
    ル5〜40重量%を含み、該単量体混合物の転化率が1
    〜3重量%に到った時点で重合開始剤を添加し、該転化
    率が1〜7重量%に到った時点であり且つ重合開始剤添
    加後に分子量調節剤の添加を開始し、該転化率が少なく
    とも70〜90重量%に到る時点まで分子量調節剤を重
    合系内に存在させ、且つ、該転化率が1〜7重量%に到
    った時点でpH調節剤の添加を開始し、該転化率が20
    〜80重量%に到る時点まで重合系内のpHを2〜4に
    調節することを特徴とする耐衝撃性高ニトリル系重合体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 高ニトリル系重合体中の共役ジエン系合
    成ゴムにグラフトした共重合体を除いたマトリックス重
    合体の重量平均分子量が100,000〜200,00
    0、重量平均分子量を数平均分子量で除した多分散度が
    1.1〜2であることを特徴とする請求項4記載の耐衝
    撃性高ニトリル系重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 共役ジエン系合成ゴムが1,3−ブタジ
    エン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン
    −メタクリロニトリル共重合体及び1,3−ブタジエン
    −スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種の共重
    合体であることを特徴とする請求項4記載の耐衝撃性高
    ニトリル系重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 不飽和ニトリル単量体が、アクリロニト
    リル及びメタクリロニトリルから選ばれた少なくとも1
    種の単量体であることを特徴とする請求項4記載の耐衝
    撃性高ニトリル系重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 分子量調節剤の添加方法が、連続装入、
    間欠装入またはこれらの組合せであり、且つ、該単量体
    混合物の転化率が70〜90重量%に到る時点で添加を
    停止することを特徴とする請求項4記載の耐衝撃性高ニ
    トリル系重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 分子量調節剤が、n−ドデシルメルカプ
    タン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシル
    チオールアセタート、ペンタエリスリトールテトラキス
    (β−メルカプトプロピオネート)及びリモネンジメル
    カプタンから選ばれた少なくとも1種のアルキルメルカ
    プタンであることを特徴とする請求項4、8または9の
    いずれかに記載の耐衝撃性高ニトリル系重合体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 pH調節剤が、酢酸、クエン酸、リン
    酸及び3−メルカプトプロピオン酸から選ばれた少なく
    とも1種の酸であることを特徴とする請求項4記載の耐
    衝撃性高ニトリル系重合体の製造方法。
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