JP3411697B2 - 超音波式検出装置 - Google Patents

超音波式検出装置

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JP3411697B2
JP3411697B2 JP882795A JP882795A JP3411697B2 JP 3411697 B2 JP3411697 B2 JP 3411697B2 JP 882795 A JP882795 A JP 882795A JP 882795 A JP882795 A JP 882795A JP 3411697 B2 JP3411697 B2 JP 3411697B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、物体の有無または位
置を超音波により検出する超音波式検出装置に関する。 【0002】 【従来の技術】超音波式検出装置は、概略CRT等の表
示画面を覆って配置されるパネルと検出動作を制御する
制御部からなり、パネルに伝搬させた超音波の接触物体
による超音波吸収量から、物体の位置(タッチ位置)ま
たは有無を検出するものである。 【0003】利用可能な超音波には、固体表面を伝搬す
る表面弾性波(SAW:Surface Acoust
ic Wave)と固体中を伝搬する体積弾性波(GA
W:Guided Acoustic Wave)があ
る。 【0004】図19は超音波用のパネルの概略平面構成
を示し、該パネル1は液晶パネルあるいはCRTディス
プレイ等と同一曲率を持ったほぼ矩形のガラスにより成
形され、パネル1の表面の4つの周辺部にはそれぞれ低
融点ガラス粉末により印刷加工された複数の反射素子2
からなる反射アレイ3が形成されている。反射アレイ3
に囲まれた矩形部分は検出面6となっており、検出面6
を挟む平行な対向する2つの反射アレイ3の一方の一端
には超音波を発信する発信子4が、他方の反射アレイ3
の一端には前記発信子4から発信された超音波を受信す
る受信子5が取り付けられて1組の検出対を構成してい
る。パネル1上の互いに垂直な2組の検出対により検出
面6上の位置座標が特定されることになる。2組の検出
対の反射アレイ3は、通常のXY座標面のXY座標軸に
それぞれ対応しており、片方の組の検出対の反射アレイ
3をX軸とすればもう一方の検出対の反射アレイ3はY
軸に相当する。 【0005】図20の(A)は表面弾性波用の発信子ま
たは受信子の取付け状態を示し、該発信子4および受信
子5は圧伝素子7とプリズム8により構成され、パネル
1の表面の前述の位置に取り付けられる。また、固体中
を伝搬する体積弾性波(GAW)の発信子4および受信
子5は、図20の(B)に示すようにパネル1の端面に
直接取り付けられる。以後の説明においては超音波とし
て図20の(A)に示す表面弾性波を例にとり説明す
る。 【0006】次にパネル表面上の物体の座標位置検出の
動作原理について簡単に説明する。図21の(A)に示
すように、制御部から5.5MHzの発信衝撃波が圧電
素子7に与えられると、圧電素子7に振動が発生してプ
リズム8内で縦波に変換される。プリズム8とパネル1
の界面では、縦波が表面弾性波に変換され、パネル1上
の反射アレイ3上を伝搬し、反射アレイ3の各反射素子
2によりごく少量のエネルギーを直角に反射する。反射
した表面弾性波は、図19の矢印に示すようにパネル1
の検出面6の全体に及びそして対向する反射アレイ3に
向かって伝搬し、該反射アレイ3によって直角に反射さ
れて、受信子5の圧電素子7により受信される。受信子
5により受信される信号は図21の(B)に示すように
持続時間の長い信号となる。この場合、パネル1の検出
面6に物体が接触する(タッチが発生する)と、接触部
分で弾性波エネルギーが吸収され図11の(C)に示す
ように接触部分に対応する信号が欠落し、受信信号内で
窪みHになって現れる。この場合、図19において最短
距離aを通る弾性波、タッチ位置bを通る弾性波または
最長距離cを通る弾性波では、受信子5へ到達するのに
時間差を生じるので、最初に受信された弾性波からタッ
チ位置bおよび最長距離cに対応する受信弾性波の経過
時間T1、T0を測定すれば物体9の位置(タッチ位置)
の座標成分を求めることができる。 【0007】図21に示す受信波は、受信用圧電素子に
よって電圧に変換されるものの、受信波を示す電圧(振
幅)の時間変化は、図21に示すように均一ではなく、
実際には図22に示すように時間軸上で不均一なものに
なる。この振幅の形状は、プリズム8とパネル1の界
面、反射素子2、パネル表面等が必ずしも均一でなく表
面弾性波が一様に伝搬しないからであるが、いったんプ
リズム8、反射素子2、パネル1の界面が製作により決
まると、固有の形状(定数)とみなされる。パネル1上
を指等でタッチすると、図22の点線で示すように、そ
のタッチ位置に相当する部分の表面弾性波が吸収され
る。この吸収によるへこみの時間軸の位置から、タッチ
位置の座標成分が算出される。即ち、パネル1上の2組
の検出対の発信子4に交互に発信衝撃波を伝えることに
より、X、Yの座標軸での吸収によるへこみの位置から
タッチ位置の平面座標位置を算出し、タッチ位置座標が
検出される。 【0008】より詳しくは、まず、検出面6上に接触物
体がない(タッチしていない)場合に、図22の電圧波
形は図23の丸印で示すように、等しい時間間隔でA/
D変換器により高速でサンプリングされ、そのサンプリ
ングデータはRAMに記憶される。この記憶データは、
タッチされていない時に受信される表面弾性波のサンプ
リングデータであって、以後にタッチオンを検出するさ
いのベースライン(基準)となるものである。 【0009】次に、通常の検出時に同様に受信波をサン
プリングし、以前にベースラインとしてRAM内に記憶
されている現在のサンプリング時間に対応するデータを
現在のサンプリングデータからそれぞれ差し引いた差分
をとり、時間tにおける測定データとする。この差分が
物体の接触による超音波の吸収の存在を表す値を示す。
ベースラインの記憶の後、何ら物体の接触がなければ、
測定されるサンプリングデータは変化せずベースライン
との差分は0となる。 【0010】図24は、ベースラインを基準とした場合
に、指でタッチしたときに現れる受信された電圧波形の
へこみを点線により示したものである。さらに、図25
は、図24のタッチを示す点線部を拡大すると共にベー
スラインと受信電圧波形のデジタル値の差を表した図で
ある。図25において、時間軸に示す各サンプリング時
間、・・・、tn-2、tn-1、tn、tn+1、tn+2、・・
・、に対してサンプリングされたことを示している。同
図において、サンプリングデータの差分ΔAnは、時間
t=tnで最大となる。 【0011】従来、タッチの有無およびタッチ座標を求
めるには、発信子4から発信衝撃波が出力されるごと
に、最大差分ΔAnを求めて基準レベル値Athと比較
して、 ΔAn≦Ath ・・・ タッチなし、 ΔAn>Ath ・・・ タッチあり、 と判定し、タッチありの場合にΔAnに対応する時間tn
から求められる座標成分をパネル1上のタッチ位置座標
成分とし、XおよびY座標軸の座標成分からタッチ位置
を検出している。 【0012】ところで、タッチセンサとして超音波式検
出装置を使用する場合に問題となるのが、防水、防滴の
構造である。一般に超音波式検出装置では、防水を行う
ために、検出パネル1の検出面6を構成するガラス面に
物を密着させると、音波を吸収したり逃したりするの
で、図26に示すように検出パネル1にベゼル10を密
着固定し液晶表示部本体Aに取り付けた液晶ディスプレ
イBを完全防水、防滴の構造にすることは困難である。
特に、音波エネルギーがガラス表面近傍に集中している
表面弾性波を利用したタッチセンサにおいては、わずか
の密着構造でも音波の吸収度合いが大きいので、防水、
防滴は原理的な困難性がある。一方、体積弾性波の方式
では、表面弾性波の場合ほど音波吸収の度合いが大きく
ないので、ある程度の防水、防滴は可能である。 【0013】図27は、体積弾性波の方式において、両
面テープ101によりガラスの検出パネル1の外周表面
部とベゼル10とを接着し、検出パネル1の外周表面に
取付けられた反射アレイ3、及び検出パネル1の端面に
設けられた発信子4および受信子5を含む、ベゼル10
により覆われた箇所の防水、防滴構造を実現したもので
ある。また、図28は、ベゼル10と検出パネル1の外
周表面部との間にOリング102を介在させ、検出パネ
ル1とベゼル10間に圧力を加えて密着構造にすること
により防水、防滴を実現したものである。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】課 題 A 超音波式検出装置において、一般にトランスデューサと
して使用するLiNbO3単結晶や圧電セラミックスは
温度による特性変化が大きい。また、電子回路部品やセ
ンサ板の温度特性変化も加わって、図23に示すベース
ライン自身が大きく温度ドリフトを起こしていた。この
温度ドリフトにより、例えば超音波式検出装置およびホ
ストコンピュータの電源を入れて暫くすると、実際のベ
ースラインが大きくずれる結果、タッチの有無の判断を
誤って誤動作に至ることがある。この問題に対処するた
めに、従来、定期的にベースラインをリフレッシュする
という作業が行われていた。リフレッシュとは、例えば
30秒または1分等の周期でベースラインとなるA/D
変換値を最新のA/D変換値で置き換えることである。
ところがこの方法では、指でタッチしているときにリフ
レッシュが行われると、タッチされたサンプリングデー
タをベースラインデータとして記憶してしまうため、タ
ッチしていない状態で次のリフレッシュが行われるまで
は前にタッチしていた部分のタッチは判断できないとい
う不都合が生じる。また、周囲温度変化が激しい場合に
は、現在のリフレッシュと次のリフレッシュの間にサン
プリングデータに対する温度変化の影響が著しく、ベー
スラインデータが温度変化に追従しないため誤動作が発
生しやすいことになる。 【0015】また、超音波式検出装置の制御部の回路
は、電源回路やホストコンピュータあるいは電磁波から
のノイズの影響を受けやすい。これは、サンプリングに
使用されるA/D変換が高速で動作すること、そして圧
電素子7の内部インピーダンスが高く外来ノイズを拾い
やすいためである。例えば図29に示すように、A/D
変換されたサンプリングデータにノイズによる誤差Eが
重畳し、正常な場合はベースラインからの差の最大値と
して検出されるR点よりもノイズが重畳したP点やQ点
の差が大きくなって最大値として検出され、このためタ
ッチ位置はR点に対応する正しいサンプリング時間tn
から算出されずにP点またはQ点と対応する誤ったサン
プリング時間tPやtQから求められるので、タッチ位置
の検出がノイズによって誤ることになる。また図30に
示すように、タッチを検出する基準値を実際には越えて
いないのにB点のようにノイズが加わって瞬間的に基準
値Athを越えたり、タッチした指圧力がふらつくこと
によって誤検出やタッチあり/タッチなしを繰り返すよ
うな誤動作が発生する虞れがある。 【0016】この発明の目的は、ベースラインの温度等
による変動の影響を自動的に修正できる超音波式検出装
置を提供することである。また、この発明の目的は、電
気ノイズ等の影響による誤検出を防止する超音波式検出
装置を提供することである。 【0017】課 題 B 従来の同一波長の超音波を発信する方式の超音波式検出
装置には、次のような欠点があった。すなわち、この種
の超音波式検出装置においては、検出される座標(X座
標、Y座標)の分解能を上げるためには、受信子5によ
り受信された超音波信号をA/D変換するA/D変換器
のサンプリング速度を上げる必要がある。例えば、ガラ
ス上の音波の速度が約3000m/secの場合、座標
の分解能を0.3mmにするには、サンプリング速度
は、 【数1】0.3mm/3×106(mm/sec)=
0.1/106(sec)=0.1μsec 従って、サンプリング周波数は、1/(0.1μse
c)=10MHzにする必要がある。これは、A/D変
換器としては相当速い速度であるため、A/D変換器に
使用されるICは高価になり、回路全体のコストアップ
の原因となる。 【0018】また、A/D変換の前段で超音波のAM検
波(AM復調)を行なっているものの、検出に使用され
る音波の周波数は5MHz程度であり、この音波周波数
ではリップルを完全に除去するのは困難であるため、こ
の周波数以上の高速サンプリングを行う場合にリップル
は大きな問題となる。さらに高速のサンプリング速度に
対応するにはタイミングをマイクロプロセッサから制御
するのは困難で、ハードウェアで高速のタイミング発生
および制御回路を特に備える必要があり、その費用が高
価になる問題がある。そのうえ、高速の制御回路を実現
するためには、制御回路が多消費電流型となり、過熱し
易くかつベースラインデータの温度によるドリフトが生
じ易いため低消費電流回路にする必要があるがこの実現
が困難である。 【0019】タッチ座標の分解能を上げるには、データ
のサンプリング速度を上げる必要がある。音波の伝播速
度は一定であるので、サンプリング速度を2倍にすれば
分解能は2倍になる。ところが、サンプリング速度を上
げればそれに比例してサンプリングされたデータ点数が
増加し、データ処理時間が長くなる。また、サンプリン
グ速度を上げるためには、より速く価格の高いA/D変
換器が必要であったり、SRAMに保存するデータ点数
が増加するので、SRAMのメモリサイズも大きくしな
ければならなくなり、価格が上昇する原因となる。 【0020】この発明の別の目的は、高速A/D変換を
行なわずに高分解能の超音波式検出装置を提供すること
である。 【0021】課 題 C 従来、サンプリングされたデータの処理について次のよ
うな問題があった。この問題について図19に示すよう
な300mm×200mmの検出面6を有するパネル1
を例に説明する。ガラス中を伝播する音波速度を300
0m/sとすると、図19に示すように、X軸発信子4
から出力された音波の経路のうち最も長い経路の距離
は、概算で、 【数2】300×2+200=800(mm) となる。この経路を通過する音波の通過時間は、 【数3】800(mm)/3000(m/s)=0.2
7(ms) となる。即ち、衝撃波を発して、データのサンプリング
が完了するまで0.27msである。同様にして、Y軸
発信子4から出力された音波のデータサンプリングが完
了するまでの時間は、 【数4】(300+200×2)(mm)/3000
(m/s)=0.23(ms) となる。従って、X軸、Y軸合わせて、データサンプリ
ングに所要する時間は、 【数5】0.27+0.23=0.5(ms) である。このように、超音波式検出装置では、サンプリ
ング速度が速いので音波発信から、サンプリング終了ま
で短時間で完了している。 【0022】データのサンプリング速度を例えば5MH
zとすると、1サンプリング時間1/(5×106
(s)に進行する音波の距離は、 【数6】3×106(mm/s)・1/(5×106
(s)=0.6(mm) であるから、音波の往復を考慮して、検出座標の分解能
は、0.6(mm)/2=0.3(mm)となる。サン
プル数については、分解能0.3mm(5MHzサンプ
リング)の場合、X軸のサンプル数は、 【数7】 300(mm)/(0.3(mm))=1000点 Y軸のサンプル数は、 【数8】 200(mm)/(0.3(mm))= 667点 となる。分解能を上げればサンプル数はさらに増加す
る。X軸、Y軸の全サンプリング時間は短時間である
が、サンプリングのデータ点数が多いために、データを
処理する時間が長くなる。このデータ処理時間がタッチ
検出の総合速度が遅くなる原因となっていた。 【0023】例えば、データ処理を一般に使用されてい
る8ビットのマイクロプロセッサにより処理した場合の
処理時間は、X座標及びY座標を合わせて約20ms要
する。この処理時間に、発信子の駆動から検出までに要
する時間とその他の処理時間(例えば、ホストコンピュ
ータへの通信の為にASCIIコードへの変換時間)の
ために約3msを要し、このため検出に要する全走査時
間としては約23msを要することになる。さらに、ベ
ースラインデータの温度によるドリフトおよびノイズ対
策のためにデータの補正処理を行うと、約10〜20m
sの処理時間が加算されるため、全走査時間は約33〜
43msに達する。 【0024】この走査速度では、通常のタッチ操作では
時間的にほとんど問題とはならないが、例えばペンを使
ったペンコンピューティングや、指でのネームサインで
は、タッチ操作はかなり高速であり、データ処理はタッ
チ操作に正確に追従することができなくなる。ペンコン
ピューティングに使用されるタブレットでは、タッチ座
標のサンプリング速度は5ms程度である。そこで、ペ
ンコンピューティング等に、超音波式タッチパネルを利
用する場合には、サンプリング速度に走査時間を合わせ
て5ms程度にする必要がある。 【0025】この発明の目的は、高速の走査が可能な超
音波式検出装置を提供することである。 【0026】 【0027】 【0028】 【0029】 【課題を解決するための手段】 【0030】課題Bを解決するため、この発明の超音波
式検出装置は、複数の異なる波長の超音波をパネルのX
方向およびY方向へ発振する発振手段と、前記発信手段
から発信される異なる超音波の波長を時分割で発信する
ための制御を行う発信制御手段と、前記発信された超音
波を受信する受信手段と、前記発信された超音波が伝搬
するパネル上に前記複数の異なる波長毎に対応する所定
の間隔で配置され、前記パネル上の検出面を通る所定の
波長の超音波を選択して反射させ、前記受信手段へと伝
搬させる反射アレイ対と、前記受信手段から受信された
所定の波長の超音波を基準レベルと比較することにより
該当する所定の波長の反射位置における物体のタッチの
有無を検出する手段と、を備えて構成されている。 【0031】 【0032】 【0033】 【作用】 【0034】課題Bを解決するためこの発明は、複数の
異なる波長の超音波を発振し、超音波の異なる波長毎に
異なる反射アレイ対により超音波をパネル上の異なる検
出面位置を通し受信手段へと伝搬させる。超音波の異な
る波長を検出面上の異なる検出位置に対応させて該受信
された波長の超音波から対応する検出位置のタッチの有
無を判断するので、サンプリング速度とは無関係に高分
解能を達成できる。 【0035】課題Cを解決するためこの発明は、選択さ
れたサンプリングデータから物体のタッチの有無を検出
して物体のタッチが検出された場合に、サンプリングデ
ータのデータ処理はタッチが検出された近傍のサンプリ
ングデータに制限されるから、サンプリングデータの処
理時間が減少し、このため走査時間の高速化が図れる。
また、この発明は、減算手段および比較手段をハードウ
エア構成しているからタッチの有無の判断が迅速にでき
るので走査時間の高速化が図れる。 【0036】 【0037】 【実施例】実 施 例 A 課題Aを解決する本発明の超音波式検出装置の一実施例
の概略構成について図1を参照して説明する。図1にお
いて、衝撃波発生器11から出力される超音波の衝撃波
は送信アンプ12を介してX軸スイッチ13およびY軸
スイッチ14に与えられる。X軸スイッチ13およびY
軸スイッチ14から出力される衝撃波は、図19に示さ
れるパネル1に備えられた発信子4に相当するX軸発信
子4aとY軸発信子4bにそれぞれ対応して入力され
る。X軸発信子4aとY軸発信子4bから出力された超
音波はパネル面を表面弾性波としてそれぞれX軸方向お
よびY軸方向に伝播し、図19に示されるパネル1の備
えられた受信子5に相当するX軸受信子5aおよびY軸
受信子5bによってそれぞれ受信される。X軸受信子5
aおよびY軸受信子5bによって受信された表面弾性波
は超音波電気信号に変換されてそれぞれ対応するX軸ス
イッチ15およびY軸スイッチ16に与えられ、該スイ
ッチ15、16を介した超音波信号は受信アンプ17に
入力される。X軸スイッチ13、15およびY軸スイッ
チ14、16はマイクロプロセッサ26により制御され
ており、X軸スイッチ13、15またはY軸スイッチ1
4、16のいずれか一方がオンし、他方はオフするよう
に制御される。 【0038】受信アンプ17によって増幅された超音波
信号は復調器18に送られ、ここで超音波信号がAM
(振幅変調)検波されて直流成分に変換される。復調器
18の出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器19
に与えられ、ここで時間経過に従って高速でサンプリン
グされる。A/D変換器19からのサンプリングデータ
はバッファ20を介してSRAM(スタティック・ラン
ダム・アクセス・メモリ)21に送られて記憶される。
マイクロプロセッサ26のCPU23は、A/D変換器
19のサンプリング動作が終了するとSRAM21に記
憶されたサンプリングデータをバッファ22を介して書
き込む。CPU23は、SRAM21に記憶されたサン
プリングデータを一定の周期毎にデジタルフィルタリン
グを行って自動修正し、この修正されたデータを新しい
ベースラインデータとしてSRAM21に記憶し、以後
このベースラインデータを基準としてパネル1上に物体
のタッチがあるか否かの判定の演算およびタッチ位置の
座標を求める演算を行う。CPU23はバッファ20、
22を制御してデータ流れの方向を調整する。マイクロ
プロセッサ26にはCPU23の他にCPU23の演算
の記憶に使用されるRAM24、演算用のプログラムが
記憶されるROM25が備えられている。CPU23に
よって判定されたタッチオン/タッチオフおよびタッチ
位置の座標データはインタフェース27を経てホストコ
ンピュータ28に送られる。 【0039】次に本発明に係る物体のタッチオンの有無
および位置座標の検出動作について簡単に説明する。ま
ず、検出動作に先だって、X軸方向およびY軸方向にそ
れぞれ衝撃波が出力され、X軸およびY軸にそれぞれ対
応する超音波のサンプリングデータがデジタルフィルタ
リングされて判定の基準となるベースラインデータとし
てSRAM21に記憶されているものとする。X軸スイ
ッチ13、15がオン(Y軸スイッチ14、16はオ
フ)した状態でX軸についての検出動作が行われる。即
ち、衝撃波発生器11から断続して衝撃波が出力され、
衝撃波に基づく超音波電気信号のA/D変換器19を介
したサンプリングデータが測定データとしてSRAM2
1に記憶される。またRAM24にはタッチオンの有無
を判断する基準となる基準レベル値がX軸およびY軸に
対してそれぞれ設定されている。CPU23はROM2
5に記憶された演算プログラムに従って測定データの検
出動作を行う。 【0040】図2のフローチャートは本一発明の検出動
作を示し、そのステップS1において超音波電気信号を
表す測定データの受信開始のサンプリング時間(以下、
開始値と称する)と受信終了のサンプリング時間(以
下、終了値と称する)がSRAM21から読み出されて
CPU23のレジスタに記憶される。ステップS2にお
いてRAM24に記憶されているX軸に係る基準レベル
値がCPU23に書き込まれる。次にステップS3に移
り、SRAM21に記憶されたベースラインデータと測
定サンプリングデータとがCPU23に読み出され、各
サンプリング時間にそれぞれ対応して測定サンプリング
データとベースラインデータとの間の差のデータが演算
されてCPU23のレジスタに記憶される。次にステッ
プS4に移り、図25に示すように、差分データのうち
最大差分データを求めそれがレジスタに記憶された基準
レベルAthを越えるかどうか判断する。基準レベルを
越えた場合は、そのサンプリング時間はXMとされてレ
ジスタに記憶され、次のステップS5に移る。Y軸スイ
ッチ14、16をオンに切り換えてY軸に対しても同様
にステップS1〜S4が実行され、Y軸の超音波に対し
てもその最大差分データがY軸の基準レベル値を越えて
いると判断された場合は、パネル1に物体のタッチあり
(タッチオン)と判断されてステップS6に移る。ステ
ップS6において、サンプリング時間XMに対応するX
軸の位置がタッチオンのX座標として特定され、同様に
Y座標も特定される。ステップS7においてCPU23
はホストコンピュータ28に対してタッチオンを示すデ
ータをその座標データと共に送出する。 【0041】ステップS4において最大差分データが基
準レベル値を越えていない場合にはタッチオンはなかっ
たとみなされ、ステップS5に移ることなく、X軸にお
いて次の測定サンプリングデータの検出動作が繰り返さ
れる。また、ステップS5においてY軸に関しての最大
差分データが基準レベル値を越えていない場合にもタッ
チオンは検出されなかったとしてステップS6に移るこ
となく検出動作が繰り返される。 【0042】以上の検出動作が行われるに先立って、一
定の周期毎にサンプリングを行うリアルタイムでベース
ラインデータの更新が行われる。ここで、本発明に適用
されるデジタルフィルタリングの原理について簡単に説
明する。ベースラインデータのドリフトを除くためには
新しく測定されたサンプリングデータをリアルタイムで
フィルタリングした値を使用する。一般に、アナログ回
路においては一次遅れ要素にステップ単位信号1を与え
た場合のt秒後の応答fは、 【数9】 f=1−exp(−t/τ) (1) により与えられる。t=nΔtの時の応答fn、t=
(n+1)Δtの時の応答fn+1とするとΔtを時定数
τに対して十分に小さくとると近似的に、 【数10】 fn+1=fn+(Δt/τ)(1−fn) (2) が成立する。ここで、τ=p・Δtと置くと、 【数11】 fn+1=fn+1/p・(1−fn) (3) となる。式(3)をデジタルフィルタリングに適用し、
入力信号はステップ信号とは限らないからgn+1とし、
t=(n+1)Δtにおける被フィルタリング値fn+1
は、t=nΔtにおける被フィルタリング値fnと、t
=(n+1)Δtにおける入力値gn+1から次式、 【数12】 fn+1=fn+1/p・(gn+1−fn) (4) により求められる。 【0043】本発明では、CPU23はSRAM21に
記憶された前回フィルタリングされたt=nΔtにおけ
るベースラインデータfnと、今回のA/D変換された
t=(n+1)Δtにおける測定サンプリングデータg
n+1とから今回デジタルフィルタリング演算されるベー
スラインデータfn+1を式(4)により計算する。ここ
でpは、サンプリング間隔Δtと時定数τとからp=τ
/Δtで得られる定数である。例えば、サンプリング間
隔Δt=30msec、時定数τ=30secとする
と、1/p=Δt/τ=1/1000となる。各サンプ
リング時間(座標に対応)にそれぞれ対応したデータ毎
に式(4)に従ってデジタルフィルタリング演算を行な
ってベースラインデータを更新し、更新されたサンプリ
ングデータを前回のベースラインデータと置き換える。
ベースラインデータ更新後、検出動作はこの最新のベー
スラインデータに基づいて行われる。このデジタルフィ
ルタリングを行うことにより変動の影響が緩和されるか
ら、測定サンプリングデータにノイズが乗った場合、ま
たは温度によるドリフトが生じた場合にもデジタルフィ
ルタリングされたベースラインデータはこれらの影響を
受けない。また、パネルにタッチした場合にも、時定数
τにより決定される一定の遅延時間内のタッチ時間では
ベースラインデータに影響を与えない。 【0044】しかし、パネルへのタッチが長時間継続し
た場合は、その測定サンプリングデータからデジタルフ
ィルタリングされたベースラインデータにタッチの影響
が表れて誤差が大きくなる不都合が生じる。この問題を
解決するためには、タッチが検出されてからタッチオフ
が検出されるまでの間は、タッチ位置近辺のベースライ
ンデータのデジタルフィルタリング、即ちベースライン
データの更新を一部のみ行わないように構成(プログラ
ム)しても良い。 【0045】次に、上述のベースラインデータの修正と
は別に測定サンプリングデータにノイズが乗り誤動作が
生じる場合、該測定サンプリングデータ自体からノイズ
を除去する必要がある。この問題を解決する本発明の一
実施例について、図3のフローチャートを参照して説明
する。図3に示すステップS11において超音波電気信
号を表す測定サンプリングデータの受信開始のサンプリ
ング時間(以下、開始値と称する)と受信終了のサンプ
リング時間(以下、終了値と称する)がSRAM21か
ら読み出されてCPU23のレジスタに記憶される。ス
テップS12においてRAM24に記憶されているX軸
に係る基準レベル値がCPU23に書き込まれる。次に
ステップ13に移り、SRAM21に記憶されたベース
ラインのサンプリングデータと測定サンプリングデータ
とがCPU23に読み出され、各サンプリング時間にそ
れぞれ対応して測定サンプリングデータとベースライン
データとの差のデータが演算されてCPU23のレジス
タに記憶される。 【0046】次にステップS14に移り、CPU23は
n番目の平滑化された差分データΔHnを求めるため
に、例えばレジスタに記憶されたn−2、n−1、n、
n+1、n+2番目の差分データΔAn-2、ΔAn-1、Δ
n、ΔAn+1、ΔAn+2を読み出し、平滑化式(5) 【数13】 ΔHn=(1/8)(ΔAn-2+2ΔAn-1 +2ΔAn+2ΔAn+1+ΔAn+2) (5) に従い、平滑化された差分データΔHnを算出し、レジ
スタに記憶する。以下、検出動作はこの平滑化処理され
た差分データΔHnに基づいて行われる。 【0047】次にステップS15に移り、図25に示す
ように、差分データのうち最大差分データを求めそれが
レジスタに記憶された基準レベルAthを越えるかどう
か判断する。基準レベルを越えた場合は、そのサンプリ
ング時間XMはレジスタに記憶され、次のステップS1
6に移る。Y軸スイッチ14、16をオンに切り換えて
Y軸に対しても同様にステップS11〜S15が実行さ
れ、Y軸の超音波に対してもその最大差分データがY軸
の基準レベル値を越えていると判断された場合は、パネ
ル1に物体のタッチあり(タッチオン)と判断されてス
テップS17に移る。ステップS17において、サンプ
リング時間XMに対応するX軸の位置がタッチオンのX
座標として特定され、同様にY座標も特定される。ステ
ップS18においてCPU23はホストコンピュータ2
8に対してタッチオンを示すデータをその座標データと
共に送出する。 【0048】ステップS15において最大差分データが
基準レベル値を越えていない場合にはタッチオンはなか
ったとみなされ、ステップS16に移ることなく、X軸
において次の測定サンプリングデータの検出動作が繰り
返される。また、ステップS16においてY軸に関して
の最大差分データが基準レベル値を越えていない場合に
もタッチオンは検出されなかったとしてステップS17
に移ることなく検出動作が繰り返される。 【0049】ステップS14における平滑化式は上記Δ
nの他に次のような式、 【数14】 ΔHn=(1/3)(ΔAn-1+ΔAn+ΔAn+1) (6) 【数15】 ΔHn=(1/4)(ΔAn-1+2ΔAn+ΔAn+1) (7) 【数16】 ΔHn=(1/5)(ΔAn-2+ΔAn-1 +ΔAn+ΔAn+1+ΔAn+2) (8) を用いても良い。平滑式は式(5)、(7)のように重
み付けを行っても良い。重み付けの程度は自由である
が、ΔAnに対する重みが大きい程、ΔAnの値と平滑化
データが近い値となる。また、平滑化のサンプリングデ
ータは(6)、(7)式のように3点だけでなく、多数
の点数の平滑を行っても良い。平滑式の中で、割算の箇
所については、割る値が2N(Nは整数)になるように
すれば、演算処理においてビットのシフトだけで割算が
可能となるので高速演算が可能である。例えば、(5)
式を使えば、割る数は8=23であるから、3ビットの
ビットシフトだけで割算が実現される。 【0050】上述のように、測定サンプリングデータの
全ての点について毎回平滑化処理を行なって測定サンプ
リングデータ自体を平滑化し、ノイズによる誤動作の発
生を防止することができる。ただし、全ての測定サンプ
リングデータを平滑化することは演算に時間がかかり動
作速度が遅くなる虞れがある。このとき、最初に平滑化
されていない差分データΔAnを使用してタッチの有無
の判定を行い、タッチ有りと判断したときのみ、そのタ
ッチ位置近傍の差分データ対してだけ平滑処理を行うこ
とにより高速で正確にタッチ位置を検出することもでき
る。 【0051】測定サンプリングデータに対し式(4)を
使用してデジタルフィルタリングを行ってベースライン
データを一定周期毎に更正するとともに、上記平滑化式
により測定サンプリングデータを逐次平滑化することが
できる。更正されたベースラインデータと平滑化された
測定サンプリングデータを使用して検出動作を行えば、
ドリフトおよびノイズによる誤動作を確実に防止でき
る。 【0052】実 施 例 B 課題Bを解決するための本発明の一実施例について説明
する。図4(A)は、本発明を構成するためのパネル3
1の一実施例である。このパネル31の一隅にはX方向
の弾性波を発生するための発信子32が設けられ、該一
隅と対角線上の隅には発信子32から発信されたX方向
の弾性波を受信するための受信子33が設けられてい
る。同様に、前記一隅にはY方向の弾性波を発生するた
めの発信子34が設けられ、該一隅と対角線上の隅には
発信子34から発信されたY方向の弾性波を受信するた
めの受信子35が設けられている。パネル31の表面の
4つの周辺部には複数の反射素子2からなる反射アレイ
36が形成されている。一方のX方向の周辺部におい
て、ひとつの隣り合う反射素子2、2の間隔(ピッチ)
は、他の隣り合う反射素子2、2の間隔と異なってい
る。そして、他方のX方向の周辺部における反射素子
2、2の間隔は、一方のX方向の周辺部における対向す
る各反射素子2、2の間隔と等しく配置され、X方向の
反射アレイ対を形成している。この反射アレイ対は、発
信子32から発信された弾性波が該当する反射アレイ対
の反射素子によってパネル31の検出面を直角に伝搬し
て受信子33により受信される角度に設けられている。
パネル31のY方向の周辺部においてもX方向の周辺部
と同様に配列された反射アレイ対が設けられている。X
方向の場合とY方向の場合では、全く同様に動作するの
で、以下では、X方向の場合のみ説明する。 【0053】例えば、X方向の発信子32から出力され
た超音波は図4(A)のように伝播する。超音波は、素
子間隔が伝播中の超音波の波長と一致したA点で反射素
子に対して反射して、図4(A)の反射アレイ対のB点
で受信子33の方向に進路を変える。B点における反射
素子2の間隔は、A点における反射素子2の間隔と等し
く構成されているので伝播している音波の波長と等し
い。従って、A点で反射された音波は、B点で再び反射
されて、図4(A)に示すように再びX軸方向に進路変
更し、同図のX方向の受信子33によって受信される。
図4(A)のA点で反射する音波は、実際にはA点のみ
に集中しているのではなく、同図(A)の音波伝播領域
Sの幅に渡って分布している。このような反射が行われ
るのは、反射素子が、グレーティングと呼ばれる周波数
選択性を有する弾性波の反射器として構成されているた
めである。即ち、反射素子の間隔が弾性波の波長の半分
の整数倍となる周波数では、反射される弾性波がすべて
同位相で加わるため、ブラッグの反射として知られる強
い反射が生じる周知の現象を利用している。 【0054】図4(B)は、X方向における検出面の左
端の座標をXL、右端の座標をXRとしそれぞれの座標で
の反射素子の間隔(ピッチ)をλXL、λXRとした場合
に、X方向検出面におけるX座標と反射素子の間隔の分
布の関係を概略して示す図である。反射素子のピッチ分
布は、必ずしも同図のように、素子位置Xと直線関係に
ある必要はない。図4(B)において、発信子32から
X座標に対して発信される波長λは、 【数17】 λ=(λXR−λXL)/(XR−XL)・(X−XL)+λXL =a・X+b (9) によって表される。例えばλ=0.6mmの音波を発生
させるには、ガラスでの音速を約3000m/secと
すると、f=3000(m/sec)/0.6(mm)
=5MHzの振動を発信子32で発生させる必要があ
る。ここで、X方向の発信子32から、波長λ=λXL
λXRの範囲の音波を発信し、受信子33により受信し
て、波長λに対する受信音波強度を測定すると、例えば
図5に示すようになる。同図で実線は、指でタッチして
いないときの受信音波強度分布でこれがベースラインと
なる。指でタッチしたときは、同図の点線で示すように
タッチしたX座標位置に対応する反射素子に等しい波長
λ=λXの音波が指に吸収されベースラインより低下す
る。正確にはベースラインから一番低下している点の波
長をλXとすれば良い。(9)式に、λ=λXを代入すれ
ば、 【数18】 X=(λX−b)/a (10) により、タッチしたX座標位置が計算される。 【0055】図6は、課題Bを解決するための一回路構
成図であり、図1と同一部分は同一符号を付して説明は
省略する。図6において、マイクロプロセッサ26は一
定の割合で増加する異なるデジタル値を時分割で順次、
D/A変換器41に出力する。D/A変換器41は入力
するデジタル値を対応するアナログ電圧値に順次変換
し、該電圧値vを電圧制御発振器(VCO)42に印加
する。電圧制御発信器42はこの電圧値vに対応した異
なる周波数の正弦波である衝撃波を順次、出力する。電
圧制御発信器42の代わりにいわゆるV/Fコンバータ
(電圧−周波数変換器)を使用しても良い。 【0056】前記電圧制御発信器42から出力された衝
撃波は、送信アンプ12を介してX軸スイッチ13およ
びY軸スイッチ14に与えられ、X軸スイッチ13を経
た信号は前記発信子32へ、またY軸スイッチ14を経
た信号は前記発信子34へそれぞれ与えられる。さらに
前記衝撃波は波形整形器43にも与えられ、ここで正弦
波が矩形波に整形されてカウンタ44に出力される。カ
ウンタ44は整形された矩形パルスのカウントを行い、
その計数値はマイクロプロセッサ26に出力される。波
形整形器43は特に備えなくても良い。カウンタ44を
使うことによって、電圧制御発信器42への入力電圧v
と出力周波数fの関係を知ることができ、また、電圧v
を電圧制御発信器42に印加したときに、リアルタイム
で周波数fを得ることができる。 【0057】発信子32、34を周波数fで駆動する
と、λ=c/f(但し、cはセンサ板、例えばガラス中
の音速)の波長λを持つ超音波が発生する。この超音波
は前述したように受信子33または35によって受信さ
れ、X軸スイッチ15またはY軸スイッチ16、受信ア
ンプ17、復調器18、A/D変換器19をそれぞれ経
てマイクロプロセッサ26に与えられ、サンプリングデ
ータとしてRAM24にセーブされる。RAM24は、
格納するデータ数が多い場合、マイクロプロセッサ26
の外部に設けることもある。 【0058】マイクロプロセッサ26は、D/A変換器
41をへて電圧制御発信器42への入力電圧vを制御し
て超音波の周波数(従って波長λ)を段階的に変え、図
5に示すようなタッチしていないときのサンプリングデ
ータを最初に求め、ベースラインデータとしてRAM2
4に記憶する。この時、カウンタ44をから一定時間T
毎に順次送られる計数値Kから周波数f=K/Tを計算
し、さらに式λ=c/fにより波長を求め、次に式(1
0)により座標を計算して順次RAM25に記憶する。
この結果、ベースラインデータと座標とが対応すること
になる。 【0059】ベースラインデータを求めた同じ周波数
(波長)範囲で、測定サンプリングデータを求め、パネ
ル1上に物体のタッチがあるか否かの判定の演算および
タッチ位置の座標を求める演算を行う。電圧制御発信器
42から段階的に衝撃波が出力され、衝撃波に基づく超
音波電気信号のA/D変換器19を介したサンプリング
データが周波数(波長)に対応した測定データとしてR
AM24に記憶される。なお、RAM24にはタッチオ
ンの有無を判断する基準となる基準レベル値がX軸およ
びY軸に対してそれぞれ設定されている。CPU23は
ROM25に記憶された演算プログラムに従って測定デ
ータの検出動作を行う。 【0060】図7のフローチャートは本一発明の検出動
作を示し、そのステップS31において超音波電気信号
を表す測定データの受信開始のサンプリング時間(以
下、開始値と称する)と受信終了のサンプリング時間
(以下、終了値と称する)がRAM24から読み出され
てCPU23のレジスタに記憶される。ステップS32
においてRAM24に記憶されているX軸に係る基準レ
ベル値がCPU23に書き込まれる。次にステップS3
3に移り、RAM24に記憶されたベースラインのサン
プリングデータと測定サンプリングデータとがCPU2
3に読み出され、各周波数(波長)にそれぞれ対応して
測定サンプリングデータとベースラインデータとの間の
差のデータが演算されてCPU23のレジスタに記憶さ
れる。次にステップS34に移り、図25に示すよう
に、差分データのうち最大差分データを求めそれがレジ
スタに記憶された基準レベルAthを越えるかどうか判
断する。基準レベルを越えた場合は、その周波数(波
長)はλXとされてレジスタに記憶され、次のステップ
S35に移る。Y軸スイッチ14、16をオンに切り換
えてY軸に対しても同様にステップS31〜S34が実
行され、Y軸の超音波に対してもその最大差分データが
Y軸の基準レベル値を越えていると判断された場合は、
パネル1に物体のタッチあり(タッチオン)と判断され
てステップS36に移る。ステップS36において、サ
ンプリング周波数(波長)λXに対応するX軸の位置が
タッチオンのX座標として特定され、同様にY座標も特
定される。ステップS37においてCPU23はホスト
コンピュータ28に対してタッチオンを示すデータをそ
の座標データと共に送出する。ステップS34において
最大差分データが基準レベル値を越えていない場合には
タッチオンはなかったとみなされ、ステップS35に移
ることなく、X軸において次の測定サンプリングデータ
の検出動作が繰り返される。また、ステップS35にお
いてY軸に関しての最大差分データが基準レベル値を越
えていない場合にもタッチオンは検出されなかったとし
てステップS36に移ることなく検出動作が繰り返され
る。 【0061】図5の受信超音波強度分布は、例えば、図
8に示すように、等間隔で離散的にA/D変換器19を
サンプリングすることによって求める。このサンプリン
グ速度は、マイクロプロセッサ26から時分割にD/A
変換器41を経て電圧制御発信器42へ与えられる電圧
vに関係するため、音速に直接影響されることなく自由
に調整することができる。従って、A/D変換器19
は、特に高速のものを使用する必要はない。測定サンプ
リングデータの分解能は原理的に電圧制御発信器42に
加える電圧vの分解能、従って、D/A変換器41の分
解能によって決定される。また、1点のサンプリングの
時間は必要なら長くとることができるので、復調器18
において行うAM検波は、平滑回路の時定数を充分長く
することができるので、AM検波出力(従ってA/D変
換入力)のリップルを充分除去することができ、高精度
の信号測定が可能である。 【0062】また、サンプリング速度を高速化すること
なく、タッチ検出の分解能を向上するためには曲線補完
法を利用することが考えられる。この方法は、実際にサ
ンプリングした点と点との間の最適なタッチ位置データ
を、その近辺の実際のサンプリング値を基に求めるもの
である。補間法には種々の方法があるが、例えば多項式
を使った1次補間法、2次補間法、3次補間法、‥‥等
がある。ここでは、一例として2次補間法を使った場合
について説明する。図9において、ΔAn-1、ΔAn、Δ
n+1、ΔAn+2は、t=tn-1、tn、tn+1、tn+2の時
点でサンプリングされたA/D変換値(ベースラインか
らの差分)である。サンプリングは等間隔で行われてい
るので、その間隔をhとし、次式のようにDn-1、Dn
n+1、k、k1を定義すると、 【数19】Dn-1=ΔAn−ΔAn-1n =ΔAn+1−ΔAnn+2=ΔAn+2−ΔAn-1 k=(t−tn)/h k1=k(1−k)/4 (11) ここで、tn’=(tn+tn+1)/2とすると、(1
1)式より、 【数20】 k =(tn’−tn)/h=(tn+1−tn)/2h k1=k(1−k)/4 となる。一方、tの時点を補間するベースラインからの
差分ΔA(t)の2次補間式は、 【数21】 ΔA(t)=ΔAn+kDn−k1(Dn+1−Dn-1) (12) により与えられる。従って、時点tn’における差分Δ
n’は(12)式により求められる。 【0063】この差分ΔAn’の値は、時点tnとtn+1
の中間時点tn’の値を補間法で求めるものであるが、
さらに(11)、(12)式によりtnとtn+1との間に
任意の数だけ求めることができる。なお、2次補間法に
よるデータ処理ついて説明したが、より高次の補間法を
行えば一層正確な値が計算されるが、計算に時間がかか
る。また、補完法によるデータ処理を全ての差分データ
について行うのは処理時間が膨大になり効率的でないた
め、補完前のデータにより予めタッチが検出され得られ
たタッチ位置(例えば最大差分値)について、その近傍
の差分データに補完法を適用すれば十分である。 【0064】2次補間法でタッチした位置を求めるに
は、例えば図11に示すように、サンプリングデータか
ら直接知られる最大の差分をΔAnとすると、ΔAn-1
ΔAn、ΔAn+1、ΔAn+2を(11)、(12)式に代
入してΔAn’を求め、さらにΔAn-2、ΔAn-1、Δ
n、ΔAn+1を(11)、(12)式に代入してtn-1
とtnとの中間時点の差分ΔAn-1’を求める。次に、Δ
n-1’、ΔAn、ΔAn’のうち最大となる値をタッチ
された位置とする。 【0065】実 施 例 C 課題Cに述べたように、超音波式検出装置ではデータの
点数が多い為、データ処理時間が長くなる結果、走査時
間が遅くなる。そこでサンプリング後のデータ処理を高
速にすると、走査速度は高速化する。例えば指の幅は1
0mmぐらいであるので、パネル1に指でタッチすると
サンプリングされたA/D変換値が、音波の吸収によっ
てベースラインの値から減少する部分は、せいぜい指の
幅の部分のみである。従って、分解能が0.3mmの場
合では、10/0.3=33点であるから、例えばタッ
チした位置の前後50点くらいに対してデータ処理を行
えば十分である。例えば課題Cの例と同じ条件で処理時
間を計算すると約0.5msとなり、X、Y座標を合わ
せると1.0msとなる。これにA/D変換器の駆動と
その他の処理時間が加算されて約4msになる。さら
に、ノイズに対する平滑化等を行っても約2〜3msが
加算されるだけで、走査時間は約6〜7msに収まるこ
とになる。この走査時間はタブレットの操作時間に十分
追従できる速度となる。なお、16ビットのマイクロプ
ロセッサ、高速クロックを使用すれば走査時間はさらに
速くなる。 【0066】図1に示される超音波式検出装置において
動作する図10のフローチャートは本一発明の実施例を
示し、そのステップS41において超音波電気信号を表
す測定データの受信開始のサンプリング時間(以下、開
始値と称する)と受信終了のサンプリング時間(以下、
終了値と称する)がSRAM21から読み出されてCP
U23のレジスタに記憶される。ステップS42におい
てRAM24に記憶されているX軸に係る基準レベル値
がCPU23に書き込まれる。次にステップS43に移
り、SRAM21に記憶されたサンプリングデータのう
ち選択されたもの、例えば1つまたは2つ間隔の測定サ
ンプリングデータと、該測定サンプリングデータと対応
するベースラインデータがCPU23に読み出され、両
データとの間の差分のデータが演算されてCPU23の
レジスタに記憶される。次にステップS44に移り、差
分データがレジスタに記憶された基準レベルAthを越
えたか否かが開始値から終了値までの各サンプリング時
間ごとに判断され、最初に基準レベルAthを越えたサ
ンプリング時間を第1の時間XLとし、基準レベルを越
えてから再び該基準レベル以下になる直前のサンプリン
グ時間を第2の時点XRとしてそれぞれレジスタに記憶
される。差分データが基準レベル値を越えている場合は
ステップS45に移り、Y軸スイッチ14、16をオン
に切り換えてY軸に対しても同様にステップS41〜S
44が実行され、Y軸の超音波に対してもその差分デー
タがY軸の基準レベル値を越えていると判断された場合
は、パネル1に物体のタッチあり(タッチオン)と判断
されてステップS46に移る。 【0067】ステップS46においてRAM24に記憶
されている領域設定用の設定定数Cが読み出されサンプ
リング時間XLからCを差し引いた値XL−Cが開始値と
され、サンプリング時間XRにCを加えた値XR+Cが終
了値とされてCPU23のレジスタに記憶される。ステ
ップS47において、開始値から終了値の間の各測定サ
ンプリングデータが選択されることなく全て読出され、
これと対応するベースラインデータとから各差分データ
が演算されてレジスタに記憶される。そして、各差分デ
ータから最大差分データを求め、そのサンプリング時間
はXMとされてレジスタに記憶され、次のステップS4
8に移る。Y軸に対しても同様にステップS46、S4
7が実行される。ステップS49において、サンプリン
グ時間XMに対応するX軸の位置がタッチオンのX座標
として特定され、同様にY座標も特定される。ステップ
S50においてCPU23はホストコンピュータ28に
対してタッチオンを示すデータをその座標データと共に
送出する。なお、サンプリング時間と座標は1対1に対
応しているから設定定数Cを10程度にすれば50点程
の差分データに対して詳細なデータ処理を行えば良い。 【0068】ステップS44において差分データが基準
レベル値を越えていない場合にはタッチオンはなかった
とみなされ、ステップS45に移ることなく、X軸にお
いて次の測定サンプリングデータの検出動作が繰り返さ
れる。また、ステップS45においてY軸に関しての差
分データが基準レベル値を越えていない場合にもタッチ
オンは検出されなかったとしてステップS46に移るこ
となく検出動作が繰り返される。 【0069】上記ステップS41〜S45では、サンプ
リングの時系列、 X0、X1、…、Xnに対してX0
1、…、と順次読出すのではなく、例えば、1つ間隔
でX0、X2、X4、…、と、あるいは、2つ間隔でX0
3、X6、…、と、所定の間隔を空けてデータを読出し
て上記判定動作を行い、XL、XRを求めている。データ
読出しの間隔を空けるとその分だけデータ処理時間を短
縮することができ、走査速度を上げることができる。X
L、XRが求められた後はその開始値から終了値までのデ
ータは間隔を空けることなくステップS46〜S50の
データ処理が行われる。 【0070】タッチ有無の判定をハードウェアで高速に
行い、タッチ有りの期間XL〜XRを先に知って、その後
に先に述べたようにそのXL〜XRの近傍のデータをマイ
クロプロセッサ26に取り込んでその部分のみ詳細にデ
ータ処理を行なっても良い。図11は、物体のパネルへ
のタッチの有無をハードウエアにより迅速に検出する回
路の実施例である。図11は、図1の回路に、ベースラ
イン格納用のSRAM51、引算器52、比較器53、
タイミング発生回路54を追加したものである。マイク
ロプロセッサ26は、SRAM51、比較器53、タイ
ミング発生回路54を制御し、タイミング発生回路54
はA/D変換器19、バッファ20、SPRAM21、
51及び引算器52の動作タイミングを制御する。図1
の復調器18でAM復調された信号は、A/D変換器1
9により例えば8ビットのデータPに変換され、SRA
M21に格納される。同時に、このデータPは引算器5
2の一端に入力され、バッファ22にも与えられる。一
方、ベースラインのサンプリングデータは予めSRAM
51に保存されており、マイクロプロセッサ26はA/
D変換された測定サンプリングデータPと同位置に相当
するベースラインのサンプリングデータQをSRAM5
1から出力して、引算器52の他端に入力する。する
と、引算器52は、2つの入力P、Qの差分ΔA=Q−
Pを比較器53の一方の入力端へ出力する。データPお
よびQが8ビットデータであれば、ΔAも8ビットデー
タとなるが、ボロー(桁借り)信号を出力しても良い。
比較器53の他方の入力端には、マイクロプロセッサ2
6からタッチオン/オフの基準値Athが入力される。
このAthもデジタル値で、例えばΔAが8ビットであ
るなら、Athも8ビットとなる。比較器53はこれら
2つの入力ΔA、Athの大きさを比較して、その大小
の判定信号を出力する。この信号はマイクロプロセッサ
26によって読みとられる。 【0071】図12は図11の回路を使用した走査のフ
ローを示し、そのステップS51においてX軸スイッチ
13、15がオン(Y軸スイッチ14、16はオフ)し
た状態でX軸についての検出動作が行われ、図11に示
した回路により測定データのサンプリングと同時に差分
ΔAが演算され、基準値Athと大小が比較され、その
結果がマイクロプロセッサ26に知らされる。差分が基
準値を越えた場合は、次の詳細なデータ処理が実行され
る。ステップS52においてRAM24に記憶されてい
る領域設定用の設定定数Cが読み出される。ステップS
53においてCPU23のレジスタに記憶されている最
初に基準レベルAthを越えたサンプリング時間X
Lと、基準レベルを越えてから再び該基準レベル以下に
なる直前のサンプリング時間XRと設定定数Cから、XL
からCを差し引いた値XL−Cが開始値とされ、XRにC
を加えた値XR+Cが終了値とされてCPU23のレジ
スタに記憶される。次にステップS54に移り、開始値
から終了値までのSRAM21、SRAM31に記憶さ
れた測定サンプリングデータとベースラインのサンプリ
ングデータとがCPU23に読み出され、各サンプリン
グ時間にそれぞれ対応して測定サンプリングデータとベ
ースラインデータとの間の差のデータが演算されてCP
U23のレジスタに記憶される。次にステップS55に
移り、差分データのうち最大差分データを求めてXM
して次のステップS56に移る。Y軸スイッチ14、1
6をオンに切り換えてY軸に対しても同様に差分が算出
され基準値と比較される。差分が基準値を越えた場合は
ついでステップS51〜S55が実行され、Y軸の超音
波に対してもその最大差分データが算出される。ステッ
プS57において、サンプリング時間XMに対応するX
軸の位置がタッチオンのX座標として特定され、同様に
Y座標も特定される。ステップS58においてCPU2
3はホストコンピュータ28に対してタッチオンを示す
データをその座標データと共に送出する。 【0072】ステップS51において差分データが基準
レベル値を越えていない場合にはタッチオンはなかった
とみなされ、ステップS52に移ることなく、X軸にお
いて次の測定サンプリングデータの検出動作が繰り返さ
れる。また、ステップS56においてY軸に関しての差
分データが基準レベル値を越えていない場合にもタッチ
オンは検出されなかったとしてステップS57に移るこ
となく検出動作が繰り返される。 【0073】図11の回路を使用しかつ図12のフロー
の手順とは別の手順によりタッチの検出を実施すること
もできる。即ち、A/D変換器19によるA/D変換値
をすべて予めSRAM21に格納し、A/D変換がすべ
て完了した後に、SRAM21から測定サンプリングデ
ータを、SRAM51からそのデータに対応するベース
ラインデータをそれぞれ出力させ、引算器52、比較器
53を介して、タッチ有無判定の基準値Athとの大小
の判定結果をマイクロプロセッサ26に取り込む。この
場合、SRAM21、51からのデータ出力は、例えば
時間X0から順に行うと良い。 【0074】図13〜図18は、防水、防滴のための完
全密閉構造を有する体積弾性波を利用した本発明の超音
波式検出装置の実施例を示している。体積弾性波のうち
剪断モードの音波は流体中に伝播しないことが知られて
いる。従って、粘度の低い例えば液状シリコンゴム等の
音波の吸収力がない材料を密閉構造の接着剤として使用
しても音波は比較的吸収されないので、タッチの検出が
可能である。 【0075】図13は、ベゼル10とガラスの検出パネ
ル1を液状シリコンゴム61で接着した構造を示してい
る。ベゼル10と検出パネル1の接着面は完全な防水、
防滴が可能な密閉構造が実現できるまで幅を広く取る。
液状シリコンゴムは、室温で硬化するので、接着後に液
がこぼれ落ちるおそれはない。反射アレイ3はベゼル1
0の内側であって検出パネル1の外周近傍の表面に設け
られる。シリコンゴム61は接着力が(例えば両面テー
プのように)強力でないので、剥離を防止するために、
検出パネル1の裏面にサポータ62を当てベゼル10に
ネジ止めにより固定する。サポータ62をベゼル10に
固定するにはネジ止めの外、例えば両面テープを使用し
ても良い。サポータ62は、多少スプリング(ばね)が
効くものを使用しても良い。サポータ62は補強のため
なので検出パネル1の適当な箇所に数箇所止めるだけで
良い。 【0076】図14は、液状シリコンゴム61によりベ
ゼル10を検出パネル1に固定する図13の構造と実質
的に同じであるが、組立て工程を容易にするためにベゼ
ル10とガラスの検出パネル1の間にスペーサ63を介
在した構造である。最初に検出パネル1にスペーサ63
を、例えばシリコンゴム61で接着し、その後ベゼル1
0とスペーサ63を両面テープ64で完全密閉に接着す
る。図13と同様に、シリコンゴム61による接着力は
弱いのでサポータ62を検出パネル1に当てベゼル10
にネジにより固定して補強する。図14において反射ア
レイ3は検出パネル1の外周近傍の裏面に設けられてい
るが、これは図13のように検出パネルの表面に設ける
とスペーサ63に加えてその分だけ横方向の空間を必要
とし検出面が減少するので、これを改善するためであ
る。反射アレイ3が防水、防滴構造により保護されるこ
とは図13と同様である。体積弾性波の方式においては
反射アレイ3と反対側の検出パネル1の表面をタッチ面
として使用することができる。 【0077】図15は、スペーサ63をベゼル10と検
出パネル1の間に介在させて液状シリコンゴム61によ
り固定する図14の構造と類似するが、図14の構造よ
りもさらに強固に構成したものである。2つのスペーサ
63を僅かに離間させてガラスの検出パネル1の表面に
予め両面テープ65で軽く止めてから、スペーサ63の
間に空いたスペースに液状シリコンゴム61を充填して
スペーサ63を検出パネル1に固定する。このとき使用
する両面テープ65は仮止めのためであるので僅かな幅
で差し支えなく、タッチの検出には支障はない。その
後、スペーサ63の上面とベゼル10の裏面とを図14
に示すような幅の広い両面テープ66で固定する。図1
4と同様に、反射アレイ3を検出パネル1の裏面に設け
ると共にサポータ62によりベゼル10を検出パネル1
に固定する。 【0078】図16は、図14のスペーサ62とベゼル
10との固定を両面テープ64より完全な防水構造であ
る振動溶着に代えた構造である。スペーサ67の材料と
してアクリルあるいはプラスチック等の振動溶着可能な
材料を使用し、同図に示すように、ベゼル10とスペー
サ67を振動溶着により溶着する。図16に示すように
振動溶着するときに予めバリ溜まり68を用意しておく
と振動溶着を行い易い。その他の構造は図14の場合と
同様である。 【0079】図17(A)は、ベゼル10と検出パネル
1にアクリルあるいはプラスチック等の振動溶着可能な
材料を使用する場合、ベゼル10と検出パネル1を直
接、振動溶着で溶着する構造である。反射アレイ3は検
出パネル1の外周部の裏面に設けられている。反射アレ
イ3を覆うようにベゼル10の先端部を突出させている
のは反射アレイ3が視界に入ることを避けるためであ
る。同図に示すように検出パネル1の表面の振動溶着部
69の位置を反射アレイ3の位置よりも検出パネル1の
外周部にすると、溶着部69による音波の反射の影響を
受けなくなる。通常、検出パネル1の四隅の振動溶着部
69の位置は図17(B)の点線で示すように稜線に沿
って設けるが、実線に示すように四隅に関しては折り曲
げた位置にするのが良い。これは図18に示すように発
信子4または受信子5と振動溶着部69との間隔は、発
信子4または受信子5から発せられる音波の衝撃波(バ
ースト)が振動溶着部69による反射波と共振して波動
を乱すのを避けるため一定以上の距離Lを保つためであ
る。 【0080】 【発明の効果】 【0081】 【0082】 【0083】この発明によれば、減算手段および比較手
段をハードウエア構成にすることによる高速データ処理
によってタッチした位置を検出し、タッチ位置の近傍の
みを詳細にデータ処理してタッチ座標を取得するので高
速走査を行うことが可能となり、タブレットに相当する
高速入力が可能となる。 【0084】
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の超音波式検出装置の概略全体構成図
である。 【図2】超音波式検出装置の検出動作を示すフローチャ
ートである。 【図3】超音波式検出装置の別の検出動作を示すフロー
チャートである。 【図4】この発明の超音波式検出装置の超音波が伝播さ
れるパネル面および検出動作の原理を示す図である。 【図5】受信された超音波信号の強度分布を波長の変化
として示す図である。 【図6】この発明の超音波式検出装置の概略全体構成図
である。 【図7】超音波式検出装置の検出動作の一実施例を示す
フローチャートである。 【図8】受信された超音波信号のサンプリングの一例を
示す図である。 【図9】補間法を説明する図である。 【図10】検出動作の一実施例を説明するフローチャー
トである。 【図11】この発明の超音波式検出装置の一実施例の要
部構成図である。 【図12】データ走査の一実施例を説明するフローチャ
ートである。 【図13】超音波式検出装置の防水構造を示す一実施例
の要部構成図である。 【図14】超音波式検出装置の防水構造を示す一実施例
の要部構成図である。 【図15】超音波式検出装置の防水構造を示す一実施例
の要部構成図である。 【図16】超音波式検出装置の防水構造を示す一実施例
の要部構成図である。 【図17】超音波式検出装置の防水構造を示す一実施例
の要部断面図および振動溶着位置を示す検出パネルの平
面図である。 【図18】超音波式検出装置の防水構造を示す一実施例
の要部構成図である。 【図19】超音波が伝播される超音波式検出装置のパネ
ル面を示す図である。 【図20】超音波を発信する発信子の取付け構造を示す
図である。 【図21】パネルを伝播して受信される超音波の受信信
号の状態を示す図である。 【図22】受信された超音波信号の電圧の時間経過を示
す図である。 【図23】受信された超音波信号のサンプリングを説明
する図。 【図24】サンプリングされた超音波信号を基準となる
ベースラインとして示す図である。 【図25】タッチオンのある測定サンプリングデータと
ベースラインとの差を示す図である。 【図26】超音波式検出装置に使用する液晶表示装置の
全体外観図である。 【図27】超音波検出装置の防水構造の従来例を示す要
部構成図である。 【図28】超音波検出装置の防水構造の従来例を示す要
部構成図である。 【図29】ノイズによる検出誤動作が生じる理由を説明
する図である。 【図30】ノイズによる検出誤動作が生じる別の理由を
説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 3/03 G06F 3/033 - 3/037

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数の異なる波長の超音波をパネルのX
    方向およびY方向へ発振する発振手段と、 前記発信手段から発信される異なる超音波の波長を時分
    割で発信するための制御を行う発信制御手段と、 前記発信された超音波を受信する受信手段と、 前記発信された超音波が伝搬するパネル上に前記複数の
    異なる波長毎に対応する所定の間隔で配置され、前記パ
    ネル上の検出面を通る所定の波長の超音波を選択して反
    射させ、前記受信手段へと伝搬させる反射アレイ対と、 前記受信手段から受信された所定の波長の超音波を基準
    レベルと比較することにより該当する所定の波長の反射
    位置における物体のタッチの有無を検出する手段と、 を備え、前記パネル上を伝搬する超音波を吸収する物体
    の有無または位置を検出する超音波式検出装置。
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