JP3397423B2 - 座標入力装置及び方法 - Google Patents

座標入力装置及び方法

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JP3397423B2 JP00155794A JP155794A JP3397423B2 JP 3397423 B2 JP3397423 B2 JP 3397423B2 JP 00155794 A JP00155794 A JP 00155794A JP 155794 A JP155794 A JP 155794A JP 3397423 B2 JP3397423 B2 JP 3397423B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば振動伝達板上の
振動伝達時間から指示座標を検出する座標入力装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より振動伝達板に圧電素子等を内蔵
した振動ペンにより振動伝達板振動を入力し、振動伝達
板に設けた複数のセンサにより前述入力された振動を検
出して、入力点の座標を算出する座標入力装置が知られ
ている。
【0003】これらは波の音速が一定であるということ
を利用して入力点の位置を算出するものであるが、利用
する振動伝達板を伝播する波の種類は、表面波を利用し
たもや、縦波を利用したもの、あるいは板波を利用した
ものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では以下のような問題が生じていた。
【0005】つまり音速が一定であることを利用して、
波が到達するまでの到達時間と音速の積により例えば入
力ペンとセンサ間の距離を算出して入力点の位置を算出
することを基本原理としているので、音速が一定である
こと、つまり取り扱う振動のモードは単一であることが
必要となる。従って純粋に単一な振動モードを発生させ
る、または純粋に単一な振動モードを取り出して処理を
実行する等が求められるが、技術的に容易でなく、しか
も安価に構成することが困難であり、入力装置を例えば
ペン入力コンピュータ等携帯性を要求される装置に組込
む場合等、前述の目的を達成するたの手段の大きさ、重
量等が大きな障害となっていた。
【0006】更に具体的に述べると、例えば特開昭63
−30924号公報に示されるように、振動検出センサ
で出力される信号は縦波、板波(ラム波)等が重畳した
信号であり、単一な振動モードを抽出できないことを示
すものであり、他の振動モードの影響を除去するために
音速の最も速い振動モードを用いて検出波の先頭部分を
信号処理している。
【0007】このように音速の異なる波のレベル比が無
視出来なくなると、音速の異なる波が重畳し(特にペン
−センサ間距離(伝播距離)が小さくなる場合、特に顕
著に起こる)、その結果検出信号波形が歪むので、音速
の遅いモードの波(この場合例えば板波)を利用してシ
ステムを構成することができない。つまりS/N等を考
慮すれば信号レベルの大きな例えば板波を用いるのが好
ましいにもかかわらず、この実施例の場合、座標を算出
するのに原理上利用することができない。
【0008】また、板波を用いた場合には、例えばJJ
AP,vol.30(1991)pp.68−70に記
載されるように、板波の基本対称モード(0次対称モー
ド)と基本非対称モード(0次非対称モード)が検出さ
れ、センサ感度、及びセンサの配置によってそのレベル
比が大きく左右されることが示されている。つまり板波
の対称モードと非対称モードでは音速が異なるので、前
述の問題に鑑みセンサの感度を考慮して板波非対称モー
ドを効率良く検出し、他のモードの影響を極力小さくす
る方法が開示されている。
【0009】しかしながらその場合であっても、対称モ
ードの信号レベルは非対称モードの信号レベルの1〜2
%に達していることが実験的に確かめられている。
【0010】その他板波には高次の振動モードが対称モ
ード,非対称モードそれぞれに存在することが知られて
いるが、従来の板波を利用した装置では次数の高い振動
モードが発生しないような条件、例えば振動の周波数、
板の厚み等が設定されている。しかしながら、先に述べ
たように、基本非対称モードの板波のレベルに比べて基
本対称モードのレベルを十分小さくし、両者の波の干渉
による検出信号波形の歪みを極力防止し、目的に対して
十分な精度で測定することができるようにすることはで
きても、例えば基本非対称モードのみを検出し、全く基
本対称モードを検出しないように構成することには限界
がある(先に述べたように基本対称波の振幅は基本非対
称波のレベルの数%)。
【0011】一方、超音波を用いた座標入力装置は、入
力ペンで発生した振動を入力面である伝播体に入射し、
伝播体に入射された振動をセンサで検出(伝播体に取り
付けた素子を駆動して、ペンでその振動を検出する方式
の場合も同様)するものであり、当然のことながらセン
サで検出される信号のレベルは、座標を入力する際のペ
ンの筆圧,ペンの傾き、及びセンサまでの波の到達遅延
時間に依存する。入力ペンの筆圧,ペンの傾きは、発生
した振動を伝播体にどの程度入射することができるか、
つまり入射効率を意味するものである。到達遅延時間は
伝播体中を振動が伝播して行く際の振動減衰を現すパラ
メータとしてとらえることもでき、伝播遅延時間が大き
くなるとともに、センサで出力される振動はエキスポー
ネンシャル的に減衰していく。
【0012】このように考えると、座標入力装置として
このシステムを用いた場合、その使い勝手、操作性を考
慮すると、軽い筆圧でも、またペンを任意に傾けた場合
であっても、座標を精度良く入力することができるよう
に検出信号のレベルマージンを十分に設定する必要があ
る。
【0013】しかしながら前述の技術的な背景と、この
ような製品仕様として要求される性能を照らし合わせる
と以下の様な課題が発生する。
【0014】センサが本来は必要としないモードの波を
検出した場合、具体的に板波を用いた装置で説明すれ
ば、不必要なモードである対称モードの板波が検出され
た場合、基本対称モードの板波(以後S0波)の音速は
基本非対称モードの板波(以後A0波)の音速に比べて
速く、センサで出力される信号はS0波,A0波の順と
なり、本来検出すべき非対称モードの板波のレベルマー
ジンが限定されることになる。すなわち、図10を用い
て具体的に説明すると以下のようになる。
【0015】図10はセンサの検出レベルが最大となる
状態(例えばペンが伝播体に対して垂直、かつ筆圧が最
も大きくなっている状態)のA0波,S0波の検出レベ
ルをペン−センサ間距離(=波の伝播距離)に対して模
式的に示したものである。距離が短いときにはA0波,
S0波共に検出されるレベルが大きいことを示し、S0
波の影響を受けることなく必要とするA0波を検出、信
号処理を行うために、例えばコンパレートレベルを値A
に設定して目的とする処理が実行できるようにしている
ことを示す。つまり、A0波及びS0波のレベルが最大
となる場合を想定して、どんな状況においても不必要な
振動モードであるS0波の影響を受けず、誤検出しない
様にコンパレートレベルが設定されていることを示す。
しかしながら、このような設定状態でペン−センサ間距
離が大きくなるとA0波の検出レベルが低下(もちろん
S0波の検出レベルも低下する)し、設定されたコンパ
レートレベル(A)よりも小さくなる。この結果、信号
が検出できなくなるという問題が生じる。このことは本
構成を座標入力装置に応用した場合、装置の座標入力有
効エリアの大きさが限定される(大きな装置を構成でき
ない)ということを意味する。
【0016】今の説明はある固定条件下(ペンが伝播体
に対して垂直、かつ筆圧が最も大きくなっている状態)
で考えたが、当然のことながら座標入力装置として用い
るのであるから、ペンとセンサ間の距離が短い場合であ
っても筆圧、ペン傾き等に応じて検出されるレベルは変
化する。つまり軽い筆圧で座標を入力しようとした場
合、検出すべき振動モードであるA0波の検出レベルが
低下する。従って先に述べた不要とする振動モードであ
るS0波を検出しないようにコンパレートレベルを設定
した場合、筆圧が低下することによってA0波の検出レ
ベルがこの値以下になると座標を検出できなくなる。つ
まり筆圧がある一定以上にならないと座標を算出できな
いことを示すものであり、座標入力装置としての操作性
を考慮すれば、軽い筆圧でも重い筆圧でも座標を入力す
ることが要求される。
【0017】またレベルを左右するこの他の要因とし
て、ペンの筆圧、傾きの他、量産時におけるペン,セン
サ等の性能差(例えばセンサの感度)、つまり固体間の
バラツキがあげられ、これらの要因は装置の性能差(例
えば座標を入力しやすい製品、入力しにくい製品)を生
み出し、製品の歩留りを低下させることになる。
【0018】以上をまとめると、技術的に単一の振動モ
ードを検出することは困難であること、入力面上を伝播
する振動はエキスポーネンシャル的に減衰すること、座
標入力装置を目的としているので入力面に入射される振
動エネルギーは、ペンの筆圧、傾きに依存していて一定
とはならないこと、量産時には固体間のバラツキが存在
すること等により、座標入力装置の装置の入力面の大き
さが制限されたり、入力時の操作性が低下するという問
題が生じていた。
【0019】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、精度良く座標を算出すると共に、操作時のペンの筆
圧、傾き等による検出信号レベルの変化にも十分対応で
き、その結果操作性の良い座標入力装置を提供すること
ができ、しかも装置の大型化が容易である座標入力装置
を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の座標入力装置は次のような構成から成る。す
なわち、振動源より振動伝達板に入力された振動を検出
し、検出された振動に基づいて前記振動源の位置の座標
を算出してそれを入力座標とする座標入力装置であっ
て、前記振動伝達板に伝達する振動を検知して信号を出
力する検知手段と、前記検知手段により出力される信号
と互いに異なる複数の閾値とを比較し、前記信号が前記
閾値を越える部分のうち、より大きな閾値に対する部分
をゲート信号として生成するゲート信号生成手段と、前
記ゲート信号期間中に、前記検知手段により出力された
信号に基づいて前記振動源からの振動伝達時間を計測す
る計測手段と、該計測手段により計測される振動伝達時
間に基づいて、前記振動源の位置の座標を算出する算出
手段とを備える。
【0021】
【作用】上記構成により、複数の閾値と信号とを比較
し、信号がより大きな閾値を越えた部分をゲート信号と
して、そのゲート信号期間中に振動伝達時間を測定す
る。そのため、本来検出の対象としていない振動による
誤検出を防止することができるようにした。
【0022】
【第1実施例】以下、添付図面に従って本発明の係わる
実施例を詳細に説明する。
【0023】図3は本実施例に於ける座標入力装置の全
体構成を示している。図中、1は装置全体を制御すると
共に、座標位置を算出する演算制御回路である。2は振
動子駆動回路であって、振動ペン3に内蔵されている振
動子4を振動させるものであり、ペン先5を介して発生
した振動を振動伝達板8に入力する。振動伝達板8はア
クリルやガラス板等、透明部材からなり、振動ペン3に
よる座標入力は、この振動伝達板8上の座標入力有効エ
リア(以下有効エリア、図中実線で示す符号Aの領域)
をタッチすることで行う。また振動ペン3で入力された
振動が振動伝達板8の端面で反射し、振動が中央部に戻
るのを防止(減少)するための防振材7が、振動伝達板
8の外周に設けられている。図示されるように振動伝達
板8の周辺部には圧電素子等、機械的振動を電気信号に
変換する振動センサ6a〜6dが固定されている。振動
センサ6からの信号は不図示の増幅回路で増幅された
後、信号波形検出回路9に送られ、信号処理を行いその
結果を演算制御回路1に出力し、座標を算出する。な
お、信号検出回路9,演算制御回路1については、その
詳細を別途後述することとする。11は液晶表示器等の
ドット単位の表示が可能なディスプレイであり、振動伝
達板の背後に配置している。そしてディスプレイ駆動回
路10の駆動により振動ペン3によりなぞられた位置に
ドットを表示し、それを振動伝達板8(透明部材からな
る)を透かしてみることが可能になっている。
【0024】振動ペン3に内蔵された振動子4は、振動
子駆動回路2によって駆動される。振動子4の駆動信号
は演算制御回路1から低レベルのパルス信号として供給
され振動子駆動回路2によって所定のゲインで増幅され
た後、振動子4に印加される。
【0025】電気的な駆動信号は振動子4によって機械
的な超音波振動に変換され、ペン先5を介して振動伝達
板8に伝達される。
【0026】ここで振動子4の振動周波数はガラスなど
の振動伝達板8に板波を発生することが出来る値に選択
される。また、この振動子4の振動周波数をペン先5を
含んだ共振周波数とすることで効率の良い振動変換が可
能となる。
【0027】上記のようにして振動伝達板8に伝えられ
る弾性波は板波であり、表面波等に比べて振動伝達板の
表面の傷,障害物等の影響を受けにくいという利点を有
する。
【0028】<演算制御回路の説明>上述した構成に於
いて、演算制御回路1は所定周期毎(例えば、5mse
c毎)に振動子駆動回路2振動ペン3内の振動子4を駆
動させる信号を出力すると共に、その内部タイマ(カウ
ンタで構成されている)による計時を開始させる。そし
て、振動ペン3より発生した振動は振動センサ6a〜6
d迄の距離に応じて遅延して到達する。
【0029】信号波形検出回路9は各振動センサ6a〜
6dからの信号を検出して、後述する波形検出処理によ
り各振動センサへの振動到達タイミングを示す信号を生
成するが、演算制御回路1は各センサ毎に有効な信号を
識別,抽出して、この信号を入力し、各々の振動センサ
6a〜6dまでの振動到達時間の検出、そして振動ペン
の座標位置を算出する。
【0030】また演算制御回路1は、この算出された振
動ペン3の位置情報を元にディスプレイ駆動回路10を
駆動して、ディスプレイ11による表示を制御したり、
あるいはシリアル,パラレル通信によって外部機器に座
標出力を行う(不図示)。
【0031】図4は実施例の演算制御回路の概略構成を
示すブロック図で、各構成要素及びその動作概略を以下
に説明する。
【0032】図中、31は演算制御回路1及び本座標入
力装置全体を制御するマイクロコンピュータであり、内
部カウンタ、操作手順を記憶したROM、そして計算等
に使用するRAM、音波の伝播速度等を記憶する不揮発
メモリ等によって構成されている。
【0033】33は基準クロックを計時するタイマ(例
えばカウンタなどにより構成されている)であって、振
動子駆動回路2に振動ペン3内の振動子4の駆動を開始
させるためのスタート信号を入力すると、その計時を開
始する。これによって、計時開始をセンサによる振動検
出の同期が取られ、センサ6a〜6dにより振動が検出
されるまでの遅延時間がそれぞれ測定できることになる
が、図4は説明を簡単にするために1個のセンサについ
てのみ(センサ6aについてのみ)図示されており、セ
ンサ1個について順を追って説明する。
【0034】信号波形検出回路9より出力されるセンサ
6aよりの振動到達タイミング信号は、本実施例の場
合、設定されている2個の閾値によりそれぞれ出力され
る。つまり、第1の閾値レベルで出力される到達タイミ
ング信号と、第1の閾値レベルよりも高いレベルに設定
されている第2の閾値レベルで出力される到達タイミン
グ信号とがそれぞれ出力され、検出信号入力ポート35
を介してラッチ回路34aにそれぞれ入力される。ラッ
チ回路34aは、センサよりのタイミング信号を受信す
ると、その時のタイマ33の計時値をラッチする。
【0035】振動到達タイミング信号は、センサが検出
する信号レベルと前述した閾値の設定レベルの関係で出
力されるが、判定回路36は設定レベルがより低い第1
の閾値レベルによって振動到達タイミング信号が得られ
ているのか、又は第1の閾値レベル及び第2の閾値レベ
ルの両方から振動到達タイミング信号が得られているの
かを判断し、マイクロコンピュータ31にその旨の信号
を出力する。
【0036】マイクロコンピュータ31がこの判定回路
36からの信号を受信すると、その信号に応じて各セン
サ毎に有効な振動到達時間をラッチ回路より抽出し、所
定の計算を行なって振動伝達板8上の振動ペン3の座標
位置を算出する。ここでいう有効な振動到達時間とは、
各センサ毎に第1の閾値レベル、第2の閾値レベルより
それぞれ振動到達時間が出力される場合があり、それら
2個の振動到達時間のどちらか一方、つまり計算を行う
のに必要な振動到達時間を意味し、そうすることの効
果、又は判定手段については後述する。
【0037】この様にして得られた座標位置情報は、I
/Oポート37を介してディスプレイ駆動回路10に出
力することにより、例えばディスプレイ11の対応する
位置にドット等を表示することができる。あるいはI/
Oポート37を介しインタフェース回路に、座標位置情
報を出力することによって、外部機器に座標値を出力す
ることができる。
【0038】<振動伝搬時間検出の説明(図5,図6)
>以下、振動センサ3までの振動到達時間を計測する原
理について説明する。本実施例においては信号を検出、
処理を行うための閾値が第1の閾値レベル、及びそれよ
りもレベルの高い第2の閾値レベルで設定されている
が、ここでは説明を簡単にするために、設定されている
第1の閾値レベルでの信号処理についてまず説明をする
ことにする。
【0039】図5は、信号波形検出回路9に入力される
検出波形と、それに基づく振動伝達時間の計測処理を説
明するための図である。なお以下、振動センサ6aの場
合について説明するが、その他の振動センサ6b,6
c,6dについても全く同じである。
【0040】振動センサ6aへの振動伝達時間の計測
は、振動子駆動回路2へのスタート信号の出力と同時に
開始することは既に説明した。この時、振動子駆動回路
2から振動子4へは駆動信号41が印加されている。こ
の信号41によって、振動ペン3から振動伝達板8に伝
達された超音波振動は、振動センサ6aまでの距離に応
じた時間をかけて進行した後、振動センサ6aで検出さ
れる。図示の42で示す信号は振動センサ6aが検出し
た信号波形を示している。
【0041】この実施例で用いられている振動は前述の
とおり板波であるため、検出波形のエンベロープ421
の伝播する速度(群速度Vg)と位相422の伝播する
速度(位相速度Vp)が異なる。従って、振動伝達板8
内での伝播距離に対して検出波形のエンベロープ421
と位相422の関係は振動伝達中に、その伝達距離に応
じて変化する。本実施例では、この群速度Vgに基づく
位相遅延時間Tpから、振動ペン3と振動センサ6a間
の距離を検出している。
【0042】図6は振動検出回路9のブロック図であ
り、図5とあわせて群遅延時間Tg、位相遅延時間Tp
を検出するための手段について説明する。
【0043】振動センサ6aの出力信号42は、前置増
幅回路51により所定のレベルまで増幅された後、帯域
通過フィルタ511により検出信号の余分な周波数成分
が除かれ、信号44を得る。この信号のエンベロープに
着目すると、その波形が伝播する音速は群速度Vgであ
り、ある特定の波形上の点、例えばエンベロープのピー
クやエンベロープの変曲点を検出すると、群速度Vgに
関わる遅延時間tgが得られる。そこで前置き増幅回路
51で増幅され、帯域通過フィルタ511を通過した信
号は、例えば、絶対値回路及び、低域通過フィルタ等に
より構成されるエンベロープ検出回路52に入力され、
検出信号のエンベロープのみが取り出される。群速度V
gに関わる群遅延時間tgを検出するためには、先に述
べたようにエンベロープのピーク、もしくは変曲点等を
検出すれば良いが、本実施例の場合、エンベロープの変
曲点を検出している。そこでエンベロープ検出回路52
で出力された信号45はエンベロープ変曲点検出回路に
入力され、エンベロープの2回微分波形43を得る。こ
の微分波形信号43は後述するゲート信号46との比較
結果より、マルチバイブレータ等から構成されたtg信
号検出回路54によって所定波形のエンベロープ遅延時
間検出信号であるtg信号49(信号波形43の立ち下
がりゼロクロスを検出)が形成され、演算制御回路1に
入力される。
【0044】一方、位相速度Vpに関わる位相遅延時間
tpについて説明すると、生成された信号45に対して
あらかじめ設定した閾値レベル(今説明を簡略化するた
めに一方の閾値レベルで説明しており、この場合は第1
の閾値レベルに相当)441を超える部分の信号46を
ゲート信号発生回路56が形成する。ゲート信号発生回
路56はマルチバイブレータ等で構成されており、ゲー
ト信号46を開くと共に、演算制御回路1にゲート信号
46が生成されたことを知らしめる。57は位相遅延時
間tpを検出するためのゼロクロスコンパレータであ
り、ゲート信号46の開いている間の位相信号44の最
初の立ち上がりのゼロクロス点を検出し、位相遅延時間
tpの信号47が演算制御回路1に供給されることにな
る。
【0045】尚、以上説明した回路は第1の閾値レベル
に対するものであったが、第2の閾値レベルに対しても
同様の動作をする回路が設けられている。また振動セン
サ1個に対する説明であったが、他の振動センサにも同
じ回路が設けられていてもかまわないし、アナログスイ
ッチ等を用いてセンサを時分割で選択し、回路の共有化
を行ってもいことは言うまでもない。
【0046】さて本実施例では先に述べたようにセンサ
で検出した信号を処理するために、設定レベルの異なる
閾値が2つ設けられているが、それぞれの閾値で先に説
明した信号の処理が行われている。
【0047】ここで図1,図2を用いて、前述のように
計測された遅延時間の中で有効な遅延時間を抽出する手
段について述べる。
【0048】図1(A)は、ペン−センサ間距離が比較
的小さく、または筆圧が十分であって、検出信号レベル
が最大となっている状態を模式的に示し、図1(B)
は、逆にペン−センサ間距離が比較的大きく、または筆
圧が比較的軽い状態であって、検出信号レベルが最小
(座標算出可能な状態の最小レベル)となっている状態
を模式的に示すものである。図1(A)において、設定
されている第2の閾値レベルβは、不必要なモードであ
る板波対称波(S0波)の影響を受け、誤検出すること
が無いレベルに設定されている。しかしこの閾値レベル
βは、状態が図1(B)に示すように検出信号レベルが
小さくなれば座標を算出できないことを示す。このこと
は座標入力装置の操作性,信頼性を低下させるばかりで
なく、装置の大きさをも限定することはすでに発明が解
決しようとする課題の項で説明した。
【0049】そこで本実施例では図1(A),(B)に
示すように、閾値が2個設定されている。より低い値に
設定されている第1の閾値レベルαは、図1(B)の状
態で、必要としている板波非対称モードの信号を先に述
べた方法で処理し、群遅延時間tg,位相遅延時間tp
を出力するが、より高い値に設定されている第2の閾値
レベルβによる信号処理は、検出信号レベルが小さいの
で処理されることなく、群遅延時間tg、位相遅延時間
tpを出力しない。従って演算制御回路1は、第1の閾
値レベルのみによりゲート信号が得られたことを情報と
して得、第1の閾値レベルより得られた遅延時間tg,
tpを用いてペン−センサ間距離を算出する。
【0050】このように閾値レベルが設定された状態で
検出信号レベルが大きくなった状態、つまり図1(A)
の状態を考えてみる。検出信号レベルが大きいので、第
1の閾値レベルα、および第2の閾値レベルβの両者か
ら、群遅延時間tg、位相遅延時間tpが得られる状態
となっている。この状態ではそれぞれの閾値レベルに対
してゲート信号が生成されているので、演算制御回路1
はまず第2の閾値レベルβによる群遅延時間tgが出力
されたかどうかを判定し、第2の閾値レベルβによる群
遅延時間tgが出力された場合には、有効な遅延時間は
第2の閾値レベルβより得られた群遅延時間tg,位相
遅延時間tpであると判断してペン−センサ間距離を算
出し、座標を出力する。また第2の閾値レベルβによる
群遅延時間tgが出力されなかった場合には、有効な遅
延時間は第1の閾値レベルαより得られた群遅延時間t
g、位相遅延時間tpであると判断してペン−センサ間
距離を算出し、座標を出力する。このような処理をフロ
ーチャートで具体的に示すと図2のようになる。
【0051】図2は演算制御回路1により実行される手
順を示すものである。図2には、これらの説明の他に、
ゲート信号が両者の閾値レベルに対してともに生成され
なかった場合についても示してあり、この場合は座標が
入力されていないと判断して処理を終了する。また図示
はされてないが、ゲート信号が1つ生成された場合であ
っても同様の理由により群遅延時間tgが得られなかっ
た場合には、やはり座標が入力されていないと判断して
処理を終了する。
【0052】さてこのように、第2の閾値レベルによる
群遅延時間tgの出力状態を判定する理由について図1
(C)を用いて説明する。図1(C)は、検出信号レベ
ルが、中間的な状態、つまり図1(A)の状態と図1
(B)の中間状態を示し、第2の閾値レベルβよりも検
出信号のピークが少しだけ大きくなったことを示すもの
である。従って第2の閾値レベルβによりゲート信号が
生成され、位相遅延時間tpが出力される。しかしなが
ら、このような状態では、ゲート信号は検出信号波形の
ピーク付近に、しかもゲートが開いている時間が短いの
で、群遅延時間tgの検出点であるエンベロープの変曲
点(信号波形43の立ち下がりゼロクロス)を検出でき
ず、群遅延時間tgが出力されない。このような状態で
は、第1の閾値レベルαにより得られた遅延時間tg,
tpを有効な遅延時間と判定して、ペン−センサ間距離
を算出するようになっている。
【0053】またこのことから明らかなように、第2の
閾値レベルβにより群遅延時間tg,位相遅延時間tp
を生成することができる最小の検出信号レベルにおい
て、その時の不必要な振動モードのレベルが第1の閾値
レベルαを超えることがないように、第1の閾値レベル
αは設定されている。
【0054】<振動ペンとセンサ間の距離算出の説明>
このようにして得られた群遅延時間tgと位相遅延時間
tpとから振動ペンと各センサまでの距離をそれぞれ算
出する方法について説明する。図7は本実施例により得
られる群遅延時間tg,位相遅延時間tpとペンセンサ
間距離Lの関係をそれぞれ模式的に示したものである。
本実施例では検出波として板波を用いているので群遅延
時間tgは線形性が良いとは言えない。従って振動ペン
3及び振動センサ6aの間の距離Lを(1)式に示され
るように群遅延時間tgと群速度Vpの積として求めた
場合、精度良く距離Lを求めることができない。
【0055】 L=Vg・tg (1) そこで、より高精度な座標決定をするために、線形性の
優れる位相遅延時間tpに基づき(2)式により演算処
理を行なう。
【0056】 L=Vp・tp+n・λp (2) となる。ここでλpは弾性波の波長、nは整数であるつ
まり(2)式右辺第1項は、図7に於てL0の距離を示
すものであり、求めたい距離Lと距離L0の差は図から
明らかなように波長の整数倍となっている。従って整数
nを求めることによって精度良くペン−センサ間距離L
を正確に求めることができる。そこで、前述の(1)式
と(2)式から上記の整数nは、(3)式により求める
ことができる。
【0057】 n=[(Vg・tg−Vp・tp)/λp+1/N] (3) ここで、Nは“0”以外の実数であり、適当な値を用い
る。例えば、N=2とすれば群遅延時間tgの線形特性
が良くなくても、その誤差が±1/2波長以内であれ
ば、nを正確に決定することができる。上記のようにし
て求めたnを(2)式に代入することで、振動ペン3及
び振動センサ6a間の距離を精度良く測定することがで
きる。この式は振動センサ6aの一つに関するものであ
るが、尚じ式により他の3つの振動センサ6b〜6dと
振動ペン3の距離も同様にして得ることができる。
【0058】<回路遅延時間補正の説明>前記ラッチ回
路によってラッチされた振動伝達時間は、回路遅延時間
et及び位相オフセット時間toffを含んでいる。こ
れらにより生じる誤差は、振動ペン3から振動伝達板
8、振動センサ6a〜6dへと行なわれる振動伝達の際
に必ず同じ量が含まれる。
【0059】そこで、例えば図8の原点Oの位置から、
例えば振動センサ6aまでの距離をR1(=sqrt
{(X/2)2 +(Y/2)2 })とし、原点Oにて振
動ペン3で入力を行い実測された原点Oからセンサ6a
までの実測の振動伝達時間をtgz’,tpz’、また
原点Oからセンサまでの真の伝達時間をtgz,tpz
とすれば、これらの回路遅延時間et及び位相オフセッ
トtoffに関して、 tgz'=tgz+et (4) tpz'=tpz+et+toff (5) の関係がある。
【0060】一方、任意の入力点P点の実測値tg’t
p’は同様に、 tg'=tg+et (6) tp'=tp+et+toff (7) となる。この(4)(6),(5)(7)両者の差を求
めると、 tg'-tgz'=(tg+et)-(tgz+et)=tg-tgz (8) tp'-tpz'=(tp'+et+toff)-(tpz+et+toff)=tp-tpz (9) となり各伝達時間に含まれる回路遅延時間et及び位相
オフセットtoffが除去され、原点Oの位置から入力
点Pの間にセンサ6a位置を起点とする距離に応じた真
の伝達遅延時間の差を求めることができ、前記(2)
(3)式を用いればその距離差を求めることができる。
【0061】振動センサ6aから原点Oまでの距離は予
め不意発性メモリ等に記憶してあり既知であるので、振
動ペン3と振動センサ6a間の距離を決定できる。他の
センサ6b〜6dについても同様に求めることができ
る。
【0062】上記、原点Oにおける実測値tgz’及び
tpz’は出荷時に不揮発性メモリに記憶され、
(2),(3)式の計算の前に(8),(9)式が実行
され精度の高い測定ができる。
【0063】<座標位置算出の説明(図8)>次に実際
に振動ペン3による振動伝達板8上の座標位置検出の原
理を説明する。
【0064】今、図8に示されるように、振動伝達板8
上の4隅に4つの振動センサ6a〜6dを設けると、先
に説明した原理に基づいて、振動ペン3の位置Pから各
々の振動センサ6a〜6dの位置までの直線距離da〜
ddを求めることができる。更に演算制御回路1でこの
直線距離da〜ddに基づき、振動ペン3の位置Pの座
標(x,y)を3平方の定理から次式のようにして求め
ることができる。
【0065】 x=(da+db)・(da−db)/2X (10) y=(da+dc)・(da−dc)/2y (11) ここでX、Yはそれぞれ振動センサ6a,6b間の距
離、振動センサ6c,6d間の距離であり、以上のよう
にして振動ペン3の位置座標をリアルタイムで検出する
ことができる。
【0066】また、上記計算では3つのセンサまでの距
離情報を用いて計算しているが、本実施例では4個のセ
ンサが設置されおり、残りのセンサ1個の距離情報を用
いて出力座標の他紙からしさの検証に用いている。もち
ろん、例えば最もペン−センサ間距離Lが大きくなった
センサの距離情報(距離Lが大きくなるので検出信号レ
ベルが低下しノイズの影響を受ける確立が大きくなる)
を用いず残りのセンサ3個で座標を検出しても良い。ま
た本実施例では4個のセンサを配置し、3個のセンサで
座標を算出しているが、幾何学的には2個以上のセンサ
で座標算出が可能であり、製品スペックに応じてセンサ
の個数が設定されることは言うまでもない。
【0067】以上のように構成される座標入力装置は、
閾値レベルを互いに異なる値で2つ用意しておき、両閾
値でゲート信号を生成することにより、本来検出すべき
振動モードと異なる不必要な振動モードがセンサで検出
される場合でも、その不必要な振動モードの影響を除去
することができるので、精度良く座標を算出すると共
に、操作時のペンの筆圧、傾き等による検出信号レベル
の変化にも十分対応でき、その結果操作性の良い座標入
力装置を提供することができる。その一方、微弱な振動
に対しても不必要な振動と取り違えることなく検出する
ことができるため、すなわち、十分なレベルマージンを
設定することができるので、装置の大型化を容易にする
ことができる優れた効果も得られる。
【0068】
【第2実施例】先に説明したように本願は余分な振動モ
ード除去することを目的としてるが、第1の実施例のよ
うに、検出すべき振動モードの検出レベルと、必要のな
い振動モードの検出レベルとが大きくかけ離れている場
合には、2つの閾値レベルを設定することで座標入力装
置としての操作性,信頼性を十分満足させることが出来
る。しかし、振動モードの違いによるレベル差が小さく
なってくると、十分な操作性、信頼性が得られなくなる
場合が発生する。また装置が大形化した場合等、振動の
減衰を考慮すれば、とり得る信号レベルの範囲が大きく
なるので、上記と同様の問題が発生する。そこでこのよ
うな場合には、設定する閾値レベルの数を増すことで課
題を解決する。
【0069】例えば、閾値レベルを3個にして実施した
場合の例について説明すれば、有効な遅延時間の決定、
及び閾値レベルの設定値は、第1の実施例と同様の考え
方で設定される。つまり、第1実施例における2つの閾
値レベルα,βにさらに付け加える第3の閾値レベルγ
は、どんな状態でも不必要な振動モードを検出しないよ
うに設定される。また、第2の閾値レベルβは、第3の
閾値レベルγにより群遅延時間tg,位相遅延時間tp
の両者を得ることのできる最小の検出信号レベル時に出
力される不必要な振動のレベルが超えることのないよう
に設定される。また、第1の閾値レベルαは、第2の閾
値レベルβにより群遅延時間tg,位相遅延時間tpの
両者を得ることのできる最小の検出信号レベル時に出力
される不必要な振動のレベルが超えることのないように
設定されている。これは、図11に示したとおりであ
る。また、ゲート信号が何個生成されているか判断し、
その情報と各閾値で出力されている群遅延時間情報とで
有効な遅延時間を判定、抽出する。
【0070】このように座標入力装置の仕様(サイズ、
入力有効筆圧、ペン傾き、等検出レベルに関わる事項、
及び扱う振動のモード、センサ特性等)に基づき、必要
な数だけ異なるレベルの閾値を設定し、それぞれの閾値
レベルで前述の方法より測定された遅延時間の有効性、
妥当性を評価し、その結果を基に座標を算出すること
で、本願の目的とする不必要な振動モードを除去し、操
作性、信頼性に優れた座標入力装置を構成することがで
きる。
【0071】
【第3実施例】第1の実施例において、有効遅延時間抽
出の他の実施例を示す。
【0072】今、第1のより低い閾値レベルαのみによ
りゲート信号が得られ、群遅延時間tg、位相遅延時間
tpが得られている場合には、この群遅延時間tg、お
よび位相遅延時間tpを用いてペン−センサ間距離を算
出して、それに基づき座標を算出することは先に述べ
た。従って、第1の閾値レベルα、第2の閾値レベルβ
の両方よりゲート信号が得られ、それぞれ群遅延時間t
g、位相遅延時間tpが得られている場合に、どちらが
有効な遅延時間であるか、その判定手段に関して別の実
施例について説明する。
【0073】第1の実施例においては、群遅延時間tg
の検出をエンベロープの最初の変曲点(図5の信号43
の立ち下がりゼロクロス点)としていたが、ここではエ
ンベロープの変曲点と定義する。この場合にはエンベロ
ープピーク後の変曲点をも検出してしまうため、先に述
べた実施例において、第2の閾値レベルでゲート信号が
得られると、必ず何らかの群遅延時間tgを出力するこ
とになり、第1実施例では有効な群遅延時間を抽出する
ことができなくなる。
【0074】そこで、検出された群遅延時間tgを用い
て幾何学的な計算を行い、その有効性を判定する。式
(1),(2),(3)を用いてペン−センサ間距離L
を各センサ毎に計算する。そして式(10),(11)
を用いて座標を算出する。ここで更に次のような計算を
実行するが、具体的に図9を用いて説明する。図9にお
いて、ペン−センサ間距離da,db,dcが正しく距
離計算された場合には、座標値Pが得られる。
【0075】しかしながら、例えばペン−センサ間距離
dcが群遅延時間tgの誤検出のために図中実線の距離
から破線の距離dc*を誤算出したと仮定する。この場
合出力される座標はP*となる。この座標値P*(x,
y’)から逆にペン−センサ間距離を逆算することがで
きるはずであり、この逆算したペン−センサ間距離と波
の遅延時間に基づき計算されるペン−センサ間距離を比
較することにより、群遅延時間tgが誤検出されている
かどうか判定することができる。
【0076】群遅延時間tgが誤検出されている場合に
は、第2の閾値レベルβによる群遅延時間を用いず、第
1の閾値レベルによる群遅延時間を用いて座標を算出す
る。このような計算を繰返し実行し、全てのセンサに対
して、逆算したペン−センサ間距離と波の遅延時間に基
づき計算されるペン−センサ間距離が等しくなったとき
に座標値を出力するようにすることで、不必要な振動モ
ードの波の影響を除去し、精度良く、しかも操作性に優
れ、信頼性のある座標入力装置を提供することができる
ようになった。
【0077】
【第4実施例】先の実施例の説明では板波を用い、その
群速度Vgに関わる群遅延時間tgと位相速度Vpに関
わる位相遅延時間tpをそれぞれ閾値で計測していた。
しかしながら、第1の実施例に示す両者の遅延時間より
距離を算出する方式に比べて精度は低下するが、製品に
よってはそこまでの精度を要求しない仕様もありうる
し、このような場合には、先に述べたように(1)式の
みを用いてもペン−センサ間距離を求めることができ
る。やはりその場合でも不必要な振動モードは除去しな
ければならない。
【0078】この場合、複数の閾値レベルに対して各々
群遅延時間を計測し、それらの群遅延時間の中から有効
な遅延時間を各センサに対して1個だけ抽出して座標計
算を行う。ここで有効な群遅延時間の抽出方法は、第3
の実施例中に記載されている方法(距離Lを得る手段が
(1)式による群遅延時間だけであっても、第3の実施
例に示した判定方法の考え方は有効)を用いれば良い。
また上記の説明は板波について行ったが、もちろん板波
について限定されるものではなく、例えば表面波等であ
ってもかまわないことは言うまでもない。
【0079】
【第5実施例】先に述べたように複数の閾値を設定し、
それに対して、ゲート信号が発生したか、そして各々の
ゲート信号と検出信号とを比較して遅延時間tg,tp
が得られているかを判断して有効な遅延時間tg,tp
を決定していた。
【0080】しかしながらその判定にはゲート信号の情
報を得なくても、各々の閾値レベルで生成される遅延時
間tg,tpだけを用いて有効な遅延時間を算出できる
ことは明らかであり、そのように構成しても良いことは
言うまでもない。
【0081】以上に述べてきた設定されている閾値レベ
ルに、さらにエンベロープ421の2階微分信号43
(図5参照)に対してやはり複数の閾値レベルを設定し
て群遅延時間tgを検出するためのゲート信号を生成し
てやれば、遅延時間の情報成しでも、ゲート信号が生成
されたかどうかという情報のみで、有効な遅延時間を抽
出できる。つまり2階微分信号43によりゲート信号が
生成されれば、必ず群遅延時間tgが得られるので、有
効な遅延時間とはより高い閾値レベルで得られた群遅延
時間となる。
【0082】尚、本発明は、複数の機器から構成される
システムに適用しても、1つの機器から成る装置に適用
しても良い。また、本発明はシステム或は装置にプログ
ラムを供給することによって達成される場合にも適用で
きることは言うまでもない。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る座標入
力装置は、精度良く座標を算出すると共に、操作時のペ
ンの筆圧、傾き等による検出信号レベルの変化にも十分
対応できて操作性がよく、また十分なレベルマージンを
設定することができるので、装置の大型化を容易にでき
るという効果が得られる。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を最も良く現す振動検出の状態を説明す
る図である。
【図2】有効な遅延時間を抽出するフローチャートであ
る。
【図3】座標入力装置のブロック構成図である。
【図4】実施例に於る演算制御回路の内部構成図であ
る。
【図5】信号処理のタイムチャートである。
【図6】信号検出回路のブロック図である。
【図7】ペン−センサ間距離と遅延時間の関係を示す図
である。
【図8】座標系入力装置の座標系を示す図である。
【図9】第3の実施例を説明する図である。
【図10】従来の課題を解決するための補足図である。
【図11】第2実施例における閾値設定を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 演算制御回路 2 振動子駆動回路 3 振動入力ペン 4 振動子 5 ペン先 6a〜6d 振動センサ 7 防振材 8 振動伝達板 9 信号波形検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 時岡 正樹 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 佐藤 肇 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 吉村 雄一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−160523(JP,A) 特開 昭63−156224(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 3/03 G06K 11/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動源より振動伝達板に入力された振動
    を検出し、検出された振動に基づいて前記振動源の位置
    の座標を算出してそれを入力座標とする座標入力装置で
    あって、 前記振動伝達板に伝達された振動を検知して信号を出力
    する検知手段と、 前記検知手段により出力される信号と互いに異なる複数
    の閾値とを比較し、前記信号が前記閾値を越える部分の
    うち、より大きな閾値に対する部分をゲート信号として
    生成するゲート信号生成手段と、 前記ゲート信号期間中に、前記検知手段により出力され
    た信号に基づいて前記振動源からの振動伝達時間を計測
    する計測手段と、 前記計測手段により計測される振動伝達時間に基づい
    て、前記振動源の位置の座標を算出する算出手段とを備
    えることを特徴とする座標入力装置。
  2. 【請求項2】 前記算出手段により算出される位置の座
    標より前記伝達距離を逆算し、該距離と、前記計測手段
    により計測された振動伝達時間より求められる振動伝達
    距離とを比較して、前記算出手段により算出された位置
    の座標が正しいことを判定する判定手段と、該判定手段
    による判定結果に基づいて前記座標を新たに算出する手
    段とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の座標
    入力装置。
  3. 【請求項3】 振動源より振動伝達板に入力された振動
    を検出し、検出された振動に基づいて前記振動源の位置
    の座標を算出してそれを入力座標とする座標入力方法で
    あって、 前記振動伝達板に伝達された振動を検知して信号を出力
    する検知工程と、 前記検知工程により出力される信号と互いに異なる複数
    の閾値とを比較し、前記信号が前記閾値を越える部分の
    うち、より大きな閾値に対する部分をゲート信号として
    生成するゲート信号生成工程と、 前記ゲート信号期間中に、前記検知工程により出力され
    た信号に基づいて前記振動源からの振動伝達時間を計測
    する計測工程と、 前記計測工程により計測される振動伝達時間に基づい
    て、前記振動源の位置の座標を算出する算出工程とを備
    えることを特徴とする座標入力方法。
  4. 【請求項4】 前記算出工程により算出される位置の座
    標より前記伝達距離を逆算し、該距離と、前記計測工程
    により計測された振動伝達時間より求められる振動伝達
    距離とを比較して、前記算出工程により算出された位置
    の座標が正しいことを判定する判定工程と、該判定工程
    による判定結果に基づいて前記座標を新たに算出する工
    程とを更に備えることを特徴とする請求項3記載の座標
    入力方法。
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