JP3411307B2 - 組み換えアビポックスウイルス、該ウイルスを感染させた細胞の培養及び該ウイルスから誘導されるワクチン - Google Patents

組み換えアビポックスウイルス、該ウイルスを感染させた細胞の培養及び該ウイルスから誘導されるワクチン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アビポックスウイルス
から、特に一般的にフォールポックス(Fowlpox) と呼ば
れるフォールバリオラ(fowl variola)の原因となるウイ
ルスから誘導される組み換えウイルスに関する。本発明
は、また、細胞培養によるこれらのウイルスの製造方
法、ワクチンの製造のためのこれらのウイルスの使用
法、並びにこれらのウイルスを含有するワクチンに関す
る。本発明は、さらに、この組み換えウイルスをゲノム
に挿入するためのトランスファー配列、並びに該配列を
有するプラスミドにも関する。
【従来の技術】フォールバリオラの原因となるウイル
ス、又はフォールポックスウイルス(FPV)は、ポッ
クスウイルス科のアビポックス属に属する。フォールポ
ックスウイルスは、ポックスウイルスに典型的な性質を
有する。これらは、そのゲノムが約300kbの線状の
二本鎖DNAであり、その一本鎖末端が共有結合してい
る大きなウイルスである。約20kbのゲノム、特に末
端逆方向反復塩基配列(TIR)(Campbell et al., 1
989; Tomley et al.,1988)がシーケンスされている。末
端逆方向反復塩基配列は、ゲノムの各末端に逆の配向で
存在する。ワクシニアウイルス又はワクシニアは、外来
タンパク質を発現することのできる生きた組み換えウイ
ルスとして開発された最初の痘疹であった。特に、多く
の外来抗原の発現により、種々の疾病に対する予防接種
を得ることが可能となった。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】ワクチンの製造の目的
のための異種タンパク質の発現のためのベクターとして
のフォールポックスウイルスの使用、即ち、そのゲノム
の非コード遺伝子間(intergenic)領域内に異種タンパク
質をコードするDNA 配列が挿入された組み換えウイルス
の使用は、ヨーロッパ特許出願第0,314,569 号に提案さ
れてきた。この領域は転写解読枠(ORF)ORF7 とORF9の間
に位置する32ヌクレオチドの短い配列であり、非本質的
挿入部位に遺伝学的に配列される。そのような短い遺伝
子間領域中では、その遺伝子からの転写シグナルを分離
し、結果としてこの遺伝子を不活性化する突然変異を導
く危険性が高い。実際には、ORF9のプロモーターとORF7
の3'コード配列の間に起こりうるオーバーラップを避け
るために55ヌクレオチドに延ばされなければならなかっ
たので、この32ヌクレオチドは、本質的領域であると考
えられる。ORF7をORF9から分離する領域の場合には、天
然配列への挿入は、さらに、不安定であり(Spehner et
al.,1990) 、それは変更を加えられなければならない。
さらに、提案されている短い遺伝子間領域に変更を加え
る方法は、一般化できない。さらに、外来DNA のチミジ
ンキナーゼ遺伝子への挿入により特徴づけられる組み換
えフォールポックスウイルス及び他の組み換えフォール
ポックスウイルスの構築が、国際特許出願WO88/02022で
提案されてきた。この挿入は、ウイルスの感染の弱毒化
を起こすことのできる遺伝子の突然変異を起こす。これ
には、菌の過剰の弱毒化が起こる危険性、及び組み換え
ウイルスから誘導されるワクチンの免疫原性が減少する
危険性がある。さらに、組み換えフォールポックスウイ
ルスの、異種タンパク質の発現のためのベクターとして
の使用は、ヨーロッパ特許出願第0,353,851 号にも提案
されている。外来遺伝子のウイルスゲノムへの挿入は、
末端逆方向反復塩基配列(TIR)の中に位置する転写解読
枠(ORF) の中で行われる。一つ又はそれ以上の外来遺伝
子の転写解読枠への挿入は、機能の知られていない遺伝
子の突然変異を起こす危険を伴う。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、一つ又はそれ
以上の外来遺伝子のウイルスゲノムへの挿入のための他
の領域であって、前記挿入領域における不利益を有しな
い領域を提供する。これに関連して、本発明はアビポッ
クスウイルスの弱毒化された株から誘導された組み換え
アビポックスウイルスであって、そのゲノムの非本質的
部分にアビポックスウイルスに対して異種のタンパク質
の全部又は一部をコードする少なくとも一つのDNA 配
列、並びに前記組み換えアビポックスウイルスを感染さ
せた細胞内で該タンパク質を発現することを保証しうる
エレメントを含むウイルスであって、該ゲノムの非本質
的部分がアビポックスウイルスの非コード領域の発現シ
グナルを含む二つの転写解読枠(ORF) の間に位置する非
コード遺伝子間領域を含むことを特徴とする組み換えア
ビポックスウイルスに関する。アビポックスウイルスゲ
ノムの非本質的部分は、ウイルスの生体外及び生体内で
の成長を含む機能に影響を与えることなく修飾されても
よい。ゲノムの非コード遺伝子間領域、即ち二つのORF
の間に位置し、それらの発現シグナルを含むものが、非
本質的部分として選択される。本発明による遺伝子間領
域は大きく、挿入がそれらの各遺伝子の転写シグナルを
分離する危険が最小限になるように、そしてそれらを変
更する必要がないように大きい。さらに、これらの遺伝
子間領域の配列は非コードであり、従って、ORF 内の突
然変異の危険がない。大きな領域とは、60ヌクレオチド
より大きい配列を有する領域を意味するものと理解され
る。一般に、100 ヌクレオチドより大きい配列を有する
領域が選択される。好ましくは、200 ヌクレオチドより
大きい配列を有する領域が選択される。特に好ましい方
法において、400 ヌクレオチドより大きい配列を有する
領域が選択される。
【0004】さらに、一般的には、少なくとも一つのDN
A 配列がクローン化されており、アビポックスウイルス
の二つのTIR 領域の一つの中に位置している遺伝子間領
域が選択される。通常、少なくとも一つのDNA 配列が、
アビポックスウイルスの二つのTIR 領域の少なくとも一
方にクローン化される。好ましくは、少なくとも一つの
DNA 配列が、ウイルスの二つのTIR 領域にクローン化さ
れる。さらに好ましくは、β1領域と命名される遺伝子
間領域及び/又はβ2領域と命名される遺伝子間領域が
選択され;ヌクレオチド開始位置をTIR の中に存在する
BamH1 制限部位とすると、β1領域と命名される遺伝子
間領域は、ヌクレオチド1675と2165の間に位置し、β2
領域と命名される遺伝子間領域は、ヌクレオチド2672と
3605の間に位置する。ここにおいて遺伝子間領域を位置
決めするのに選択されるこのBamH1 制限部位は、Tomley
et al.,1988により出版された配列の最初のヌクレオチ
ドである。本発明によるこれらの領域は、また、下記の
ように定義してもよい: β1 領域と命名される遺伝子間
領域は、転写解読枠ORF1及びORF2の間に位置し、転写解
読枠ORF1は、ATG のヌクレオチドA であるヌクレオチド
416 と終始コドンの第三のヌクレオチドであるヌクレオ
チド1674の間に位置し、転写解読枠ORF2がATG のヌクレ
オチドA であるヌクレオチド2166と終始コドンの第三ヌ
クレオチドであるヌクレオチド2671の間に位置し、ただ
し、ヌクレオチド開始位置をTIR の中のBamH1 制限部位
とし、そしてβ2領域と命名される遺伝子間領域は、転
写解読枠ORF2とORF3の間に位置し、転写解読枠ORF2はAT
G のヌクレオチドA であるヌクレオチド2166と終始コド
ンの第三ヌクレオチドであるヌクレオチド2671の間に位
置し、そして転写解読枠ORF3は終始コドンの第三ヌクレ
オチドであるヌクレオチド3606とATG のヌクレオチドA
であるヌクレオチド4055の間に位置し、ただし、ヌクレ
オチド開始位置をTIR の中のBamH1 制限部位とする。特
に好ましい方法においては、β1 領域の中の、ヌクレオ
チド1775とヌクレオチド2065の間に位置する部分が選択
され、そしてβ2 領域の中の、ヌクレオチド2772とヌク
レオチド3505の間に位置する部分が選択される。良好な
結果は、β1 領域内に位置するB1挿入部位と命名される
ヌクレオチド1842のレベルで、β2 領域内に位置するB2
挿入部位と命名されるヌクレオチド3062のレベルで、ク
ローン化することにより得られた。
【0005】良好な結果は、少なくとも一つのDNA 配列
をアビポックスウイルスの二つのTIR 領域の一方の中の
β2 領域にクローン化する場合に得られる。良好な結果
は、DNA 配列が二つのTIR の各々の中のβ1 領域にクロ
ーン化される場合にも得られる。このことにより、異種
のDNA 配列のコピーを1ゲノム当たり二つ得ることが可
能となるので、本発明の別の効果を構成する。弱毒化さ
れたアビポックスウイルス株から誘導された組み換えア
ビポックスウイルスとは、弱毒化され、そのゲノムが発
現シグナルを伴う異種の配列を含む、アビポックス属に
属するウイルスを意味するものと理解される。ウイルス
としては、一般に、アビポックス属のウイルス、例えば
フォールポックス(Fowlpox) 、ピジョンポックス(Pigeo
npox) 又はカナリーポックス(Canarypox) が使用され
る。通常、フォールポックスがウイルスとして使用され
る。好ましくはチキンバリオラウイルス又はフォールポ
ックスのワクシナル株、例えばSOLVAY社によりPOXINEの
商標で生産され販売されているワクチン、又はSOLVAY社
によりCHICK-N-POX、POULVAC CHICKN-POX、CHICK-N-POX
TC、POULVAC CHICK-N-POX TC、POULVAC POXINEの商標
で市販されているワクチンがフォールポックスウイルス
として使用される。特に好ましい方法においては、SOLV
AYにより、CHICK-N-POX 、POULVAC CHICK-N-POX 、CHIC
K-N-POX TC、POULVAC CHICK-N-POX TC、POULVAC POXINE
及びPOULVAC P の商標で市販されているワクチン (CNP
と略す) がフォールポックスウイルスとして使用され
る。弱毒化は、胚(embryo)について連続する継代によ
り、又はウイルスを培養細胞に適用した場合には細胞培
養物の継代により得られる。前記組み換えウイルスを感
染させた細胞内の異種タンパク質をコードする遺伝子の
発現を保証することのできるエレメントは、ウイルスに
より認識される、特にプロモーター及びターミネータ
ー、当業者に知られるエレメント、例えばMoss,1990 に
特に記載されたものを意味するものと理解される。一般
的にポックスプロモーターが使用される。通常、ワクチ
ン又はフォールポックスプロモーターが使用される。好
ましくは、Venkatesan et al.,1981,Cochran et al.,19
85及びBertholet et al.,1985 に記載されているように
ワクシニアからのプロモーターP11 及びプロモーターP
7.5が使用される。
【0006】アビポックスウイルスに対して異種のタン
パク質の全部又は一部をコードするDNA 配列の少なくと
も一つとは、ゲノム又はcDNA コピー又は合成DNA から
抽出され、発現シグナルを伴い、その配列がアビポック
スに対して外来のタンパク質の全て又は一部をコードす
る任意のDNA 断片を意味するものと理解されるべきであ
る。図1〜図15は、本発明をより良く理解するために
準備された。図1は、Mackett et al.,1984 から引用し
た組み換えアビポックスの構成を表す。フォールポック
スウイルス(FPV) に感染(I: 感染) した細胞がトランス
ファーウイルスによりトランスフェクション(T: トラン
スフェクション) される。このプラスミド(P) は隣接の
異種遺伝子(g) の発現を可能にするように配向されてお
り、ウイルスDNA 配列のいずれかの側にフランキングさ
れているプロモーター(Pr)を有する。同種組み換え(hom
ologous recombination)(R) は、細胞(C) の細胞質内
で、遺伝子をフランキングする配列とウイルスゲノムに
存在する配列の間に起こる。これは、ウイルスゲノムへ
の異種遺伝子の挿入という結果をもたらす。このゲノム
はパッケージされてもよく、組み換えウイルス粒子(VR)
を製造してもよい。N は細胞(C) の核を表す。図2は、
四角形で表される右のTIR(TIR-R)及び左のTIR(TIR-L)と
線で表される固有の配列を有するフォールポックスゲノ
ムの末端を図式的に表す。破線はゲノムの中央領域を表
す。TIR-L のEcoR1 制限断片は6.2kb であるのに対し、
TIR-Rのものは9.0kb である。この概略的な表示はこれ
らの二つの断片が共通の配列及び固有の配列を有するこ
とを示す。TIR の中のEcoR1 の下流に位置するBamH1 部
位が示されている。図3は、いくつかの固有の部位及び
ORF の位置のためのプラスミドpTIRB1(PTIRB1)の制限地
図を表す。固有のBamH1 部位が異種の遺伝子のクローン
化に使用される。 ori(ORI): Escherichia coli(E. coli) 内のプラスミド
の複製の開始点;Ap:アンピシリン耐性のための遺伝子;O
RF1-ORF6: フォールポックス転写解読枠。
【0007】図4は図3と同様であるが、プラスミドpT
IRB2(PTIRB2)についての図を表す。図5はプラスミドp1
1LAC(P11LAC)の制限地図を表す。このプラスミドはワク
シニアプロモーターP11 の制御の下でE.coli LacZ 遺伝
子を有する。P11:ワクシニアプロモーターP11;LACZ: β
−ガラクトシダーゼコード遺伝子;ori:E.coli 内の複製
開始点;strand +: ファージM13 内にパッケージされた
ストランド;AP:アンピシリン耐性のための遺伝子。図6
はLacZ遺伝子のTIR へのトランスファーのためのベクタ
ーの例を表す。このベクターはpTIRB1P75Lac(PTIRB1P75
LAC)である。カセットp7.5-LacZ は右回りの方向でpTIR
B1のBamH1 部位にクローン化される。p7.5: ワクシニア
プロモーターP7.5。図7はCNP ゲノム内のLacZ遺伝子
(影をつけた四角形により表す) の挿入の模式図を表
す。カセットP7.5-LacZ 及びP11-LacZのカセットは末端
領域(TIR) に各々の配向で挿入される。右のTIR 領域は
表されていない。矢印は四角形で表される遺伝子の転写
の方向を示す。寸法は正確でない。図8はIBDVからのセ
グメントA を表し、プライマーの位置及び逆転写により
並びにEdgar 株からのセグメントA のRNA の増幅により
得られる種々の断片の位置を表す。 A: ORFの形成 p:断片A の増幅を行うために使用される“プライマー"
>,<:セグメントAのコード配列に対する“プライマ
ー”の配向。 fgt PCR: セグメントA のRNA の増幅により発生する断
片 pb: 塩基対 図9〜図13は、Edgar 株からのセグメントAのRNA に
対応する増幅したDNAのヌクレオチド配列及びORF 1,2
及び3 のアミノ酸への翻訳を示す。プライマー0,1,
1b,2,3,4,5及び6:逆転写により、及び増幅
により、Edgar株からのセグメントAに対応するDNA 断
片を発生させるのに使用されるプライマー。
【0008】図14は、逆転写及び増幅により得られる
断片を用いてのEdgar 株からのセグメントAに対応する
DNA セグメントの再構築のための概略図を表す。*:特
定部位の突然変異誘発。図15は、プラスミドpTIR75E1
LAC(PTIR75E1LAC)の制限地図を表す。太い線で表される
プラスミドの部分はFPV ゲノムに関して相同である配列
に対応する。ori(ORI):E.coli 内のプラスミドの複製の
開始点;Ap:アンピシリン耐性のための遺伝子;P7.5:ワク
シニアプロモーターP7.5;ORF1-IBDV:Edger株からのセグ
メントA のORF1;P11: ワクシニアプロモーターP11;LAC
Z: β−ガラクトシダーゼコード遺伝子;pb:塩基対;ORF1
〜ORF6: フォールポックスの転写解読枠。図16及び
図17は、FPV/IBDV組み換え体において発現するIBDVの
ELISA 試験による特徴化を示す。特徴化は下記のように
行われる。細胞懸濁液50μl 及びこれらの懸濁液の二倍
の一連の希釈液をウェルに沈澱させる。第二の抗IBDV抗
体(モノクローナル抗VP3 又は抗VP2)のインキュベーシ
ョンの後、シグナルをアルカリホスファターゼに結合し
たビオチン+ストレプトアビジンで標識したマウス抗Ig
G システムを用いて増幅した。図16は、抗VP3 モノク
ローナル抗体を用いた検出に対応する。図17は抗VP2
モノクローナル抗体を用いた検出に対応する。これらの
図において、x軸は細胞抽出物の2倍の一連の希釈を対
数単位で示し、y軸は690nm 及び405nm で測定した吸収
率を示す。図18及び図19は、FPV/IBDV組み換え体で
発現したIBDVタンパク質のウェスタンブロット分析を示
す。この特性指摘は、下記のように行われる。細胞懸濁
液を3000g の遠心分離にかけ、得られた上清液を185,00
0gの超遠心分離にかけ、二つの遠心分離から得られたペ
レットを溜めて、PBS 緩衝液(Phosphate BufferedSalin
e, Gibco)に再懸濁する。
【0009】FPV/IBDV組み換え体に対するタンパク質20
〜40μg 、及びIBDV感染細胞( 陽対照)5μg を各ウェル
のSDS アクリルアミドゲル上に沈積させる。膜に移した
後、IBDVタンパク質を全てのIBDVタンパク質を認識する
ポリクローナル血清を用いて検出するか (図18) 、又は
抗VP3 モノクローナル抗体を用いて検出する (図19)。
シグナルの増幅は、ビオチン及びストレプトアビジン−
アルカリ性ホスファターゼ結合体で標識した抗IgG シス
テムを用いて行われる。PM: 分子量マーカータンパク
質。本発明を実施するために用いられる方法は、図1に
概略的に示される(Mackettet al.,1984による変法) 。
アビポックス又はフォールポックスを感染させた細胞
は、トランスファープラスミドでトランスフェクション
される。このプラスミドは、ウイルスのDNA 配列のいず
れかの側にフランキングされた隣の異種遺伝子の発現を
可能にするように正確に配向されたプロモーターを有す
る。同種の組み換えは、細胞の細胞質内で、遺伝子をフ
ランキングする配列とウイルスゲノムに存在する配列の
間に起こる。これにより、異種の遺伝子のウイルスゲノ
ムへの挿入が行われる。このゲノムはパッケージされて
もよく、組み換えウイルス粒子を製造してもよい。この
ポックスによる細胞の感染及びそれに続くプラスミドか
らのトランスファーによる挿入の技術はワクシニアにつ
いて開発され、組み換えポックスウイルス(Mackett et
al.,1985) の構築のための多くの研究室で一般的に使用
されている。本発明による方法は通常下記の段階を含
む。スクリーニング可能なトランスファープラスミドを
構築することからなる第一工程、異種抗原をコードする
遺伝子をトランスファープラスミドにクローン化するこ
とからなる第二工程、組み換えアビポックスウイルスを
構築することからなる第三工程、及び組み換えウイルス
を用いて予防接種試験を行うことからなる第四工程、好
ましくは、下記の工程を含む方法:
【0010】a. スクリーニングを可能にするトランス
ファープラスミドの構築 −TIR-含有断片をクローン化すること −TIR へのクローン化部位の挿入 −ワクシニアプロモーターP11 及びP7.5のクローン化 −LacZ遺伝子を有するカセットの構築及びP11 又はP7.5
の下流へのそのクローン化 −P11LacZ 又はP7.5LacZエレメントのTIR-トランスファ
ープラスミドへのクローン化 b. 組み換えCNP ウイルスの構築 (予めの試験を行うた
めのLacZ遺伝子) −CNP ウイルス及びトランスファープラスミドによるQT
35細胞のトランスフェクション −スクリーニング及びその後のLacZ遺伝子の発現の性質
による組み換え体の精製 −組み換え体のゲノムの分析及びLacZの発現 c. 予防接種試験 ヒヨコの組み換えウイルスによる予防接種及びLacZ組み
換えウイルスにより与えられるフォールバリオラに対す
る保護 d. 異種抗原 (異種タンパク質) をコードする遺伝子の
トランスファープラスミドへのクローン化 P11 又はP7.5の下流の異種抗原をコードする遺伝子のク
ローン化 P11-抗原及びP7.5-LacZ 又はP7.5- 抗原及びP11-LacZの
カセットのプラスミドTIR へのクローン化。 e. 組み換えCNP ウイルスの構築 QT35細胞のCNP ウイルス及びトランスファープラスミド
によるトランスフェクション LacZ遺伝子の発現の性質による組み換えウイルスのスク
リーニング及び続いての精製 細胞培養物内での抗原の発現の分析及び組み換えウイル
スのゲノムの分析
【0011】f. 予防接種 組み換えCNP ウイルスによる予防接種 異種抗原の発現の性質によりCNP に与えられる保護のレ
ベルの評価 本発明はさらに、異種DNA を上記のようにアビポックス
ウイルスのゲノムに、特にB1又はB2部位に挿入すること
を可能にするトランスファー配列にも関する。本発明は
また、該配列を有するプラスミドにも関する。トランス
ファープラスミドは、アビポックスにより認識されるプ
ロモーターの影響下にあり、B1部位又はB2部位のいずれ
かに位置する配列によりいずれかの側にフランキングす
る異種遺伝子を含むプラスミドを意味するものと理解さ
れる。FPV に対して相同であり、異種遺伝子をフランキ
ングするこれらの配列の長さは、異種遺伝子の左及び右
での組み換えを可能にするように充分長いべきである。
一般的に、少なくとも1kbの配列が選ばれる。良好な結
果は、上流に約1850ヌクレオチド及び下流に4321ヌクレ
オチドの配列をフランキングするB1、及び上流に約3070
及び下流に3100ヌクレオチドのB2について得られる。ト
ランスファープラスミドは、組み換えアビポックスウイ
ルスの単離方法及びアビポックスウイルスで前もって感
染されたウズラの細胞QT35のトランスフェクションの方
法において、役割を担う。本発明は、さらに、弱毒化さ
れたアビポックスウイルス株から誘導される組み換えア
ビポックスウイルスにより感染されており、そのゲノム
の非本質的部分に少なくとも、アビポックスウイルスに
ついて異種のタンパク質の全部又は一部をコードする少
なくとも一つのDNA 配列、並びに該組み換えウイルスで
感染させた細胞内のタンパク質の発現を確保することが
できるエレメントを含み、非本質的部分が二つのORF
の間に位置し、それらの発現シグナルを含むアビポック
スウイルスの非コード遺伝子間領域を含む、原核細胞の
培養にも関する。好ましくは、家禽の細胞の培養物が用
いられる。良好な結果は、ウズラの細胞の培養により得
られる。優れた結果は、ウズラの細胞QT35,Cho(1981)に
より記載されたものにより得られる。
【0012】本発明による組み換えアビポックスウイル
スは、異種のタンパク質の全部又は一部を発現すること
ができるベクターとして開発された。従って、本発明
は、特に抗原のような異種タンパク質の全部又は一部を
発現することのできるベクターとしての本発明のウイル
スの使用にも関する。本発明はさらに、弱毒化されたア
ビポックスウイルス株から誘導され、そのゲノムの非本
質的部分にアビポックスウイルスについて異種のタンパ
ク質の全部又は一部をコードする少なくとも一つのDNA
配列、並びに組み換えウイルスで感染させた細胞内のこ
のタンパク質を発現することを保証できるエレメントを
含み、ゲノムの非本質的部分が、二つのORF の間に位置
しその発現シグナルを含むアビポックスウイルスの非コ
ード遺伝子間領域を含む組み換えウイルスを含むワクチ
ンにも関する。異種タンパク質は、アビポックスウイル
スについて外来の全てのタンパク質又はタンパク質の部
分、又は天然の又は変性されたタンパク質を意味するも
のと理解される。一般的に、このタンパク質は、病原性
生物に対してワクチンを開発することを可能にする抗原
でありうる。通常、抗原は特に家禽、ウイルス、バクテ
リア、クラミジア、マイコプラズマ、原生動物、菌及び
虫に感染性の因子のタンパク質である。それらは特にAd
enoviridae, 例えばアプラスチックアネミア(AA)、及び
卵ドロップシンドローム(EDS) の原因となるウイルス、
Birnaviridae, 例えば感染性粘液嚢障害ウイルス(IBD
V)、Coronaviridae,例えば感染性気管支炎ウイルス(IB
V)、Herpesviridae,例えばMarek's 障害ウイルス(MDV)
及び感染性咽頭気管炎(ILTV)の原因となるウイルス、Or
thomyxoviridae, 例えばインフルエンザの原因となるウ
イルス、Paramyxoviridae,例えばニューキャッスル病(N
DV) の原因となるウイルス、Picornaviridae、例えばen
cephalomyelitisu(AE)の原因となるウイルス、腱鞘炎の
原因となるReoviridaeRetrovirus、例えばリンパ性白
血症(LL)、チキンアネミア(CAV) の原因となるウイル
ス。それらは特にクラミジア、例えばChlamydia psitta
ciである。それらは特にマイコプラズマ、例えばMycopl
asma gallisepticum及びM. synoviae である。
【0013】それらは特に、下記のバクテリアである:
Escherichia coli,Haemophilus、例えば鼻感冒の原因と
なるH.paragallinarumPasteurella 、例えばコレラの
原因となるP.multocida Salmonella、例えばチフスの
原因となるS.gallinarium S.pullorum: 例えばボツリ
ヌス中毒の原因となる毒素を生産するC.botulinum 、皮
膚病の原因となるC.perfringens 及びC.septicumC.co
linum,Campilobacterjejuni,Streptococcus aureus.
れらは特に胞子虫病の原因となるEimeria 及びクリプト
スポロジオシスの原因となるCryptosporidiosis bailey
i である。それらは特に条虫及び線虫、例えばAscaridi
a galli である。これらは特に菌、例えばAspergillus
fumigatus である。好ましい抗原は、粘液嚢障害ウイル
ス(IBDV)、感染性気管支炎ウイルス(IBV)、鶏貧血の原
因となるウイルス(CAV) 、胞子虫病の原因となる原虫類
Eimeria 、ニューキャッスル病ウイルス(NDV) 及びMare
k's 病ウイルス(MDV) のものである。特に好ましい抗原
は、粘液嚢障害ウイルス(IBDV)、感染性気管支炎ウイル
ス(IBV) 、鶏貧血の原因となるウイルス(CAV) 、及び胞
子虫病の原因となる原虫類Eimeria のものである。良好
な結果は、下記の条件下で得られる。IBDVについては、
ポリタンパク質及びポリタンパク質の一部を含む転写解
読枠の全部又は一部。そのようなタンパク質は、特にVP
2 、VP3 及びVP4 である。全ての組み合わせ又はそれら
の変形も含まれる。これらの変形は、例えば開裂部位の
挿入からなる。IBV については、抗原E2。Eimeria につ
いては、天然表面抗原TA4 及びタンパク質分解部位が変
形されている表面抗原TA4 。CAV については、タンパク
質P50 優れた結果は、IBDV、図9図〜図13に示されるような
アミノ酸1〜493 、及びそれに続くアミノ酸1010〜1012
を含み、タンパク質VP2 が含まれるポリタンパク質の一
部である異種タンパク質により得られる。
【0014】DNA 配列は、完全なタンパク質をコードし
ていてもよく、またはタンパク質の断片をコードしてい
てもよく、そして、適当な免疫応答を動物に誘導しう
る。抗原以外の他の分子、例えば成長因子及び免疫調節
剤、例えばインターロイキンも考慮に入れられうる。本
発明は、in vivo で、in poultryに、動物の代謝におい
て役割を担うファクター、例えば成長ホルモン又は成長
ホルモン誘導ファクターを生産することをも目的とす
る。本発明は、さらに細胞培養においてin vitroで又は
動物内でin vivo でのタンパク質又はペプチドの製造に
関する。これは、導入される異種のタンパク質に依存し
て、特に、酵素、栄養成分、又はヒト又は動物の健康の
分野においてヒト又は獣医学的使用のための薬剤生成物
としても適している。さらに、いくつかの異種の遺伝子
を含む複数の組み換えウイルスを、いくつかの遺伝子を
同じゲノムに、同じ部位に、又は異なる領域又は部位に
クローン化することにより製造することもできる。多価
の生成物を異なる組み換えウイルスを合わせることによ
り製造することもできる。本発明によるアビポックスウ
イルスに対する目的動物は、鳥、特に家禽である。組み
換えウイルスを、家禽以外の種に使用することもでき
る。本発明によるワクチンは、当業者に知られている種
々の形態で投与しうる。通常、ワクチンは食物又は飲み
水に入れて経口的に、鼻孔間投与により、皮下注射によ
り、エアロゾルにより、筋肉内注射により、又はいわゆ
る羽ウェブ法による羽の貫通により投与される。好まし
くは、ワクチンはいわゆる羽ウェブ法による羽メンブラ
ンのパーシングにより、筋肉内注射により、又は皮下注
射により投与される。本発明によるワクチンは、当業者
に知られた方法により製剤化される。通常、ワクチン組
成物は、ワクチンの投与方法に適した安定剤を含む。フ
リーズドライ型で保存することもできる。本発明を下記
の実施例により説明する。
【0015】
【実施例】
実施例1:CNP ウイルス及びそのDNA の精製 フォールポックスウイルスとして、Solvay社によりPOUL
VAC CHICK-N-POX 、CHICK-N-POX 、CHICK-N-POX TC、CH
ICK-N-POX TC、POULVAC CHICK-N-POX TCの商標で市販さ
れているワクチン株(CNP) が弱毒化生ワクチンとして使
用される。最初の株は、卵により何回か継代した野性株
から得、これをCEF (チキンエンブリオフィブロブラス
ト)について2代、そしてウズラの細胞系QT35について
5代の継代により、Cho(1981) に記載されたように、in
vitroの細胞に適合させた。ウズラの細胞系QT35は、こ
れを単離して分配するDr.Moscovici(6816 Northwest 18
thAvenue, Gainesville, Florida 32605,合衆国) から
得られる。CNP はその培養液が、E199(Gibco,500ml),F1
2(Gibco,500ml),LAH(Gibco, ラクトアルブミン加水分解
物,25ml)、FCS(Gibco,ウシ胎児血清,25ml)及びフルクト
ース(200g/l の溶液として5ml)からなる細胞系QT35につ
いて培養し;38 ℃,3%CO2で培養する。通常の感染多重度
(moi) は、細胞当たり0.01ウイルスであり、細胞は80%
の集密度である。ウイルスの株を下記のように精製し
た: CNP フォールポックスウイルスを感染させ、PBS リ
ン酸緩衝液(Phosphate Buffered Saline,Gibco) 中で処
理した細胞を、6000g で遠心分離にかける (15分間) 。
ペレットをTris(pH9, 1mM)に再懸濁し、トリプシン化し
(最終密度 0.25mg/mlのトリプシン;Gibco) 、ソニケー
トする。この材料を36% (重量/容量) スクロース層に
沈積し、30,000g で45分間の遠心分離にかけた。ペレッ
トを1mM のTris,pH9.0中で処理する。最後に、ウイルス
を40,000g で30分間遠心分離にかける。ペレットを崩壊
緩衝液:10mM のTris-HCl,pH8.0,10mM のEDTA、1%のSDS
(ドデシル硫酸ナトリウム)、500 μg/mlのプロテナーゼ
K(ベーリンガー) 、0.1mg/mlのRNase(ベーリンガー) 中
で処理し、37℃で2時間インキュベートする。フェノー
ル抽出DNA をエタノールで沈澱させる。20μg のDNA の
割合で、40 150cm2 フラスコ感染から精製した。
【0016】実施例2:CNP のEcoR1 ゲノムライブラリ
ーとBamH1 ゲノムライブラリーの構築 使用する遺伝子技術は、Maniatis et al.,1982に記載さ
れている。制限酵素、ポリメラーゼ, リガーゼ及びホス
ファターゼはPharmacia,Boehringer及びBiolabs 社によ
り提供される。合成DNA は、Eurogentec社により提供さ
れた。ウイルスDNA のEcoR1 又はBamH1 制限断片を、Me
ssing(1983) に記載されたようにベクターpUC18 内に連
結し、バクテリアE.coli MC1061(Pharmacia 社により市
販されているara D139(ara, leu)7697, lacX74, galU,
galK, hsdR, strAに導入した。二つのゲノムライブラリ
ーをグリセロール中、形質転換細胞の二種の懸濁液の形
で−70℃で貯蔵する。24%のプラスミドが挿入を含む。
17のBamH1 断片及び45EcoR1 断片はその大きさ及びそれ
らのBg12又はHinF1 による制限モードにより区別する。
フォールポックスゲノムの大きさは300kb に近い(Coupa
r et al.,1990)。従って、単離された断片は総ゲノムに
対して25% のBamH1 及び70% のE.coliである。
【0017】実施例3:TIR を有する断片のクローン化 末端逆方向反復塩基配列(TIR) は、ポックスゲノムの末
端に逆の配向で存在する二つの同一の配列である。フォ
ールポックスの株HPのゲノムの一端の17kbより多い配列
は出版されている(Campbell et al.,1989 及びTomley e
t al.,1988) 。約10kbの繰り返し配列と7.0kb のその隣
接配列を含む。TIR のEcoR1 断片のクローン化を行う。
繰り返し配列はEcoR1 部位を含む。図2に示すように、
二つのE.coR1断片をクローン化する。各々はTIR 部分と
固有の隣接配列を有する。固有の配列は、TIR に最も近
EcoR1 により範囲を定められる。これらの二つの断片
は繰り返し部分に位置する配列と相補的なオリゴヌクレ
オチドを用いて単離した。第一の断片は6.2kb の大きさ
であり、便宜上TIR-L と記す。第二の配列は9.0kb の大
きさであり、便宜上TIR-R と記す。CNP のTIR-LEcoR1
断片の配列は出版されたものと同一である。TIR と、TI
R-L 及びTIR-R 配列の比較から推論される固有の配列の
結合は、ヌクレオチド4007、ヌクレオチドナンバー1と
して取り上げられるTomley et al.(1988) により出版さ
れた配列のBamH1 部位に位置する。該結合はこの著者に
よりORF3と称する転写解読枠に位置する。
【0018】実施例4:TIR 内のBamH1 部位の特定部位
の突然変異誘発による製造 転写解読枠(ORF) はTIR のヌクレオチド配列の分析から
推論される。特にORF1はヌクレオチド416 と1674の間に
位置し、ORF2は2166と2671の間に位置し、最後にORF3は
ヌクレオチド3606と4055の間に位置し、相補的な鎖にコ
ードされる。TIR のBamH1 部位の第一のヌクレオチドG
は、ヌクレオチドNo.1として取り上げられる。これらの
ORF は二つの大きな非コード領域遺伝子間配列, 即ち、
ORF1とORF2の間の領域β1, ORF2及びORF3の間の領域β
2 の範囲を定める。これらは挿入領域として選択される
二つの遺伝子間領域である。特有のクローン化部位は、
特定部位の突然変異誘発(BioRad 突然変異キット)によ
りβ1 及びβ2 に挿入される。BamH1 部位は、他の制限
部位であるBcl1及びBgl2と共用可能なので、クローン化
部位として選択された。クローン化部位の位置は、それ
らの各遺伝子からの転写シグナルが分割される危険性を
さけるために各遺伝子間領域のほぼ真ん中に選択され
る。即ち、 −β1 領域内では: B1部位はヌクレオチド1842の位置の
配列5'GATC3'であり、これは5'へのG の挿入及び3'への
C の挿入によりBamH1 GGATCCに転換され、 −β2 領域内では: 部位B2はヌクレオチド3062の位置の
配列5'GGATT3' であり、第二のT のCCへの突然変異によ
BamH1 GGATCCに転換される。 TIR-L 断片を有するプラスミド内には、二つのBamH1 部
位がある (実施例3)。一方の部位はベクターpUC18 から
誘導される。第二の部位はTIR から誘導され、クローン
化のために選択されるEcoR1 部位の71ヌクレオチド下流
に位置する(Campbell et al.,1989;図2)。これらの二
つのBamH1 部位は、BamH1 制限及びそれに続くklenowポ
リメラーゼを用いた充填及び連結により、TIR-L を有す
るプラスミドから消失させた。これにより得られたプラ
スミドはpTIR1 である。B1内にBamH1 部位を生じさせる
ために、pTIR1 の0.9kbHindII 断片をStratagene社によ
り市販されているベクターpBSPlus にクローン化した。
突然変異誘発プライマーは下記のものであった:5' TTTC
GAAAGACTTTGGATCCGTAGTATAATATTATA3'。下線のヌクレオ
チド、即ちGGATCCはBamH1 により認識される配列であ
る。B2内のBamH1 部位を生じさせるために、pTIR1 の1.
7kb のXbaI断片をpBSPlusにクローン化した。プライマ
ーは下記のものであった:5'TATATCACGGGATCCAAAAGGTTAT
TAGTAGTC3'。下線のヌクレオチド、即ちGGATCCはBamH1
により認識される配列である。各突然変異体断片のpTIR
1 への再挿入は、連結の結果である。B1について: pTIR
1 のHind3-Scal(1491bp)+突然変異後のpBSPlus のScal
-Aat2 (485bp) +pTIR1 のAat2-EcoR1(4220bp)+pTIR1
のEcoR1-Hind3(2635bp)B2について: pTIR1 のXho1- Spl
1(8512bp) +突然変異後のpBSPlus のSpl1-Xho1(318b
p)これらの二つの連結は、ベクターpTIRB1及びpTIRB2を
生じさせた。それらの制限地図を図3及び図4に示す。
プラスミドpTIRBID をプラスミドpTIR1 からその2657-b
p EcoR1-Hpa1断片の除去により生じさせた。
【0019】実施例5:ワクシニアプロモーターP11 及
びP7.5 P11 及びP7.5は公知のワクシニアプロモーターである。
P11 はウイルス感染の後期の相の間に転写されるタンパ
ク質P11 をコードする遺伝子のプロモーターである。P
7.5は初期及び後期相の間の両方で転写されるタンパク
質P7.5をコードする遺伝子のプロモーターである。固有のBgl2及びBcl1部位を有するベクターの構築 固有のBgl2、Bcl1及びBamH1 部位を含む二つのクローン
化ベクターを、BamH1と両立可能なカセットの連続的な
クローニングを可能にするように構築した。Bg12及びBc
l1部位の配列を、pBSPlus のBamH1 部位に下記の合成DN
A をクローン化することにより導入した:
【0020】
【化1】
【0021】ベクターはpBSLK1及びpBSLK2である。リン
カーは下記の配列を有する。 pBSLK1...Aval/Sma1-BamH1-Bcl1-Bgl2-Xba1 pBSLK2...Aval/Sma1-Bgl2-Bcl1-BamH1-Xba1プロモーターP7.5のクローン化 プラスミドpGS20 の143bp の長さのBcl1-BamH1断片は、
P7.5プロモーター配列(Mackett et al, 1984) を含む。
該配列を下記に示す(Venkatesan et al.,1981;Cochran
et al.,1985)。後期及び初期プロモーターに下線を付し
た。最後のBamH1 塩基は遺伝子のイニシエーターATG か
ら10bpである。
【0022】
【化2】
【0023】Bcl1-BamH1断片をプラスミドpBSLK1及びpB
SLK2のBcl1及びBamH1 部位にクローン化し、プラスミド
p1P75 及びp2P75 を各々生じさせる。Bcl1消化を行うた
めに、pBSLK1及びpBSLK2はATCC(Amerian Type Culture
Collection) からATCC 47013の参照番号で得られるJM11
0 株から抽出する。プロモーターP11 のクローン化 プロモーターP11 の配列をBertholet et al.,1985 から
のシーケンスデータを用いて合成DNA の形でクローン化
した。Hanggi et al.,(1986)はmRNAの第一のヌクレオチ
ドの30ヌクレオチド断片上流がプロモーターを含むこと
を示した。合成DNA はその末端にBg12部位及びBamH1 部
位を有する40-mer断片である。このDNA を、p1P11 を生
じさせるためにpBSLK1にクローン化し、p2P11 を生じさ
せるためにpBSLK2にクローン化した。続いて、p2P11 の
Bg12-BamH1断片をpACYC184のXho2-BamH1部位にクローン
化した。pACYC184はChang 及びCohen(1978) に記載され
たベクターである。Xho2(GGATCT)及びBg12(AGATCT)の間
の連結はBg12を復活させる。P11 を有する合成DNA の配
列は下記のものである:
【0024】
【化3】
【0025】実施例6BamH1 制限部位と両立可能なLa
cZ遺伝子含有カセットの構築 LacZ遺伝子の発現は組み換えウイルスのスクリーニング
を可能にする。LacZ遺伝子を有するBg12-BamH1カセット
を特定部位の突然変異誘発により構築した。このカセッ
トを、二つの同種の配列であるLacZの一方とLacZαの他
方との間の組み換えを避けるために、LacZα断片及びこ
れから切り出されたプラスミドpBSPlus(ストラタジン(s
tratagene)にクローン化した。このプラスミドはpBSMut
LacZ1 である。突然変異後のLacZ遺伝子の末端の配列を
下記に示す。数は天然タンパク質のアミノ酸の数に対応
する。
【0026】
【化4】
【0027】実施例7:プロモーターP7.5又はP11 の後ろ
のLacZ遺伝子のクローン化 LacZ,Bg12-BamH1,pBSMutLacZ1 のカセットを、各々p75L
ac及びp11Lacを生じさせるために、p2P75 及びp2P11 の
Bg12-BamH1部位にクローン化した。LacZ遺伝子の発現
は、これをプロモーターP7.5又はP11 の後ろに位置させ
たときに、E.coli内において得られる。形質転換体コロ
ニーは、βガラクトシダーゼの作用下で青色の着色を生
じるX-Gal(染色性物質:5−ブロモ−4 −クロロ−3 −イ
ンドリル−β−D −ガラクトピラノシド) を含む培地上
で青い色を示す。この試験は遺伝子が機能性であること
を証明する。Bg12-Hind3断片の形のP11LacカセットもpA
CYC184のXho2及びHind3 部位にクローン化され、これに
よりpACP11Lac が生じた。p11Lacの地図を図5に示す。実施例8:プラスミドpTIRB1及びpTIRB2へのカセットP75L
ac及びP11Lacのクローン化 p11Lac( 又はpACP11Lac)のBg12-BamH1断片及びp75Lacの
Bg12-BamH1断片はカセット' プロモーターP7.5又はP11
及びそれに続くLacZ遺伝子'(実施例7)を有する。これ
らの断片を、pTIRB1及びpTIRB2 (実施例4)のBamH1 部位
へ、二つの可能な配向で、スクリーニングのためのLacZ
フェノタイプを用いてクローン化した。八つの可能な組
み換え体のうち六つのプラスミドを単離した。これらの
番号付を下記に示す。`+' 配向は、ORF1からORF2、又は
ORF2からORF3方向でLacZ遺伝子の転写が起こることを示
し、`-' 配向はその逆の配向に相当する。プラスミドの
名称において、`P75LacZ' 及び`P11Lac'はこれらのカセ
ットが`+' 配向であることを示し、`LacP75'及び`LacP1
1'はこれらのカセットが`-' 配向であることを示す。例
として、プラスミドpTIRB1P75Lacの地図を図6に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例9トランスファー及びスクリーニ
ングの最適化及びCNP-LacZ組み換え体ウイルスの単離 組み換え体CNP ウイルスの構築のための方法を図1に示
す。トランスファー方法を下記に示す: 日数D=1,フラスコ25cm2 当たり2.5 ×106 QT35細胞
を5ml の増殖培地 (実施例1に記載した組成)に接種す
る。 日数D=2,下記のトランスファーを行う。ウイルス :1mlバイアルのフリーズドライCNP ワクチン
を、滅菌Milli Q 水3mlで再び水和し、−70℃で貯蔵す
る。このウイルスストックを溶解し、1分間穏やかに音
波処理を施す。その後、標識した培地E119-F12で希釈す
る。これは、実施例1に記載した培地E119の、LAH 又は
血清又はフルクトースがないものに相当する。これによ
り、培地2ml 中の細胞当たり0.05ウイルスの感染の多重
度を達成する。その後、培地をウイルス懸濁液で置き換
え、培地を38℃で2時間培養する。 プラスミド :プラスミド20μg を水400 μl 及び1.25M
のCaCl2100μl 、2 ×BBS 緩衝液(BE3S 緩衝塩)(50mM
のBES(Sigma),280mMのNaCl、1.5mM のNa2HPO4;PH7.0)を
滴下し、混合物を25℃で15〜30分間培養する。その後、
1ml のプラスミド製剤を培地を除去した後の細胞に添加
する。その後、混合物を38℃で30分間培養する。5 %FC
S 及び15mMのHepes(Sigma)pH7.2 を補充したLAH を含ま
ない培地4ml をする。混合物を再び38℃で4時間培養す
る。その後、培地を5ml の標識した増殖培地E199で置き
換える。 日数D=0,実施例1に記載したウイルス細胞を収穫す
る。スクリーニングは、ペトリ皿上の" プラークアッセ
ー(plaque assay)" 試験により検出されるβ−ガラクト
シダーゼの生成に基づく。6cm のペトリ皿上で操作を下
記のように行う。 日数D=1,2.5 ×106 の細胞を5ml の増殖培地に接種
する。 日数D=2,この培養物に1:10及び1:100 に希釈したウ
イルス1ml を感染させ、混合物を38℃で4 時間培養し、
その後、4ml の増殖培地( 実施例1に記載した組成物)
を添加する。 日数D=3,培地を2%のアガロース [参照: 水に溶解し
たプラークアガロース(FMC)]1容量及び下記の混合物1
容量からなるアガロース層5mlに置き換える:9mlの2 ×
199 培地(Gibco) 、0.5ml のLAH(Gibco)0.5ml 及び0.1m
l のHepes(pH7.2,15mMファイナル) 及びFCS 1.0ml 。溶
融したアガロース及び混合物を混合前に38℃に維持す
る。アガロースを室温で30分でゲル化し、その後38℃で
培養する。 日数D=6,0.3mg/mlのXGal(5- ブロモ−4−クロロ−
3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド,ベーリ
ンガー)を含む PBS(Gibco) 中の1%のアガロース2ml
を用いて培養物を積層する。X-Gal はDMSO( ジメチルス
ルホキシド,Fluka) 中に30mg/ml で溶解する。 日数D=7,青色のプラークの数及び無色のプラークの
数に対する比を測定する。その後、5個のプラークをパ
スツールピペットを用いて個々に除去する。ウイルス細
胞を−70℃で500 μl の増殖培地に貯蔵する。各プラス
ミドに対する組み換え体の頻度を下記の表に示す。組み
換え体ウイルスの表示は、後にトランスファープラスミ
ドの番号を付けた‘V’とする(実施例8に定義したよ
うに)。組み換え率 (%) は0.1%〜0.5%の範囲であり、
ポックスウイルスの文献データに対応する。組み換え体
ゲノムの表示を概略的に図7に示す。
【0030】
【表2】
【0031】実施例10:CNP/LacZ組み換え体ウイルスの
精製 クローンを、ペトリ皿上の青いプラークの連続的精製に
より得る (実施例9 に記載したように) 。原則として、
全てのプラークが青い場合、全てのウイルスがLacZ遺伝
子を発現し、野性種のウイルスで汚染されていない。こ
の均一性を達成するために、三又は四代の継代が要求さ
れる。例として、継代中の青いプラークの比率の変動を
示す。
【0032】
【表3】
【0033】ポックスウイルスの典型的な構造、特に犬
の骨の形を有する内部構造は、組み換え体ウイルスV8に
感染したQT35細胞の断面の電子顕微鏡写真上で明確に確
認しうる。実施例11: 大量の各々の組み換え体の製造 六つの組み換え体を三つの連続的継代により増幅する。
第二の継代の力価は1ml 当たり4×105 〜 1.1×107 TC
ID50 (組織培養感染投与) の範囲である。V10のみが10
4 より小さい力価を有する。他の組み換え体であって、
力価が通常105〜107 であるものは、実際に野性株と同
様の多重度である。実施例12: TIR に挿入されるLacZ遺伝子の安定性の "プ
ラークアッセー" 分析 ウイルスゲノムへ挿入されたLacZ遺伝子は、生じる組み
換え体の型に依存して安定又は不安定である (これは、
Shuman et al.,1989に明確に述べられている)。従っ
て、二つの組み換え体が挿入のいずれかの側に存在する
場合は、挿入されたLacZ遺伝子は安定である。他方、単
純な組み換えは、完全なトランスファープラスミドの挿
入、従って、LacZ遺伝子の挿入につながる。このウイル
スは青いプラークを与える。しかしながら、ウイルスゲ
ノムは直接の配向において相同な配列を有し、組み換え
体は挿入のロス及び青くないプラークの出現を来す。さ
らに、ポックスウイルスにおいてTIR 配列の変化は、ウ
イルス感染及び複製サイクルの間の他のTIR にトランス
ファーされうる。二重の組み換えはLacZをTIR-L に挿入
しうる。このウイルスのプラークは青くなる。下記の感
染の間に、この組み換え体TIR-L と野性株のTIR-R の間
の組み換えにより、TIR-L/LacZ,TIR-L/LacZ-TIR-R/LacZ
とWT (野性) ウイルスの混合集団を生じる。他方、他の
組み換え体は、TIR-R/LacZである最後の可能なタイプを
生じうる。従って、青いプラークは三つのタイプのウイ
ルスを含みうる。即ち、LacZ遺伝子を失ったウイルス、
LacZ遺伝子のシングルコピーを有するウイルス、LacZ遺
伝子の二つのコピーを有するウイルスである。ウイルス
製剤の同質性は、いくつかの連続した液体培地中の感染
の後、" プラークアッセー" を用いて試験される (実施
例9)。ウイルスV3、V4、V5、V8、V9及びV10 は、下記の
割合で青いプラークを生じる。
【0034】
【表4】
【0035】結果として、組み換えウイルスV8及びV9の
製剤は同質である。組み換え体V8は第六代まで安定であ
る。他方、製剤V3、V4及びV5は同質ではない。それらは
5 〜20%の野性種ウイルスの比率で含む。この比率はV1
0 ではさらに高い。実施例13: サザンブロット法によりCNP/LacZゲノムの分
ウイルス製剤の均質性を、サザンブロッティングにより
試験する(Maniatis etal.,1982)。組み換え体ウイルス
及び非組み換え体ウイルスのゲノムの制限断片は、それ
らのサイズに基づいて区別される。ウイルスDNA の製造
方法を下記に示す: 日数D=1:増殖培地5ml を含む25cm2 のフラスコに2
×106QT35 細胞を接種する。 日数D=2:細胞を0.01の感染多重度で感染する。 日数D=5:細胞をスクレーパー(Costar)を用いて引き
離す。該混合物を6000g で10分の遠心分離にかける。10
mMTris-HCl,pH8.0,10mM EDTA, 0.1%のSDS,0.1mg/ml RNa
se,0.1mg/ml プロテイナーゼK からなる崩壊緩衝液500
μl を遠心分離ペレットに添加する。細胞をエッペンド
ルフ管(Eppendorf tube)に移す。その後、得られた懸濁
液を50℃で1時間攪拌し、培養する。その後、得られた
懸濁液を攪拌し、50℃で1時間培養する。その後、水
相をフェノールクロロホルムで3回抽出する。DNA を0.
3Mの酢酸ナトリウム及び2容量のエタノールを用い、−
20℃で15分間で沈澱させる。混合物を18,300g で10分間
の遠心分離にかける。遠心分離のペレットを500 μl の
水に懸濁する。サザンブロット法のためには、DNA懸濁
液の合計は 5μl 程度で充分である。
【0036】B1部位について ゲノムをEcoR1 で切断する。プローブはEcoR1 で切断さ
れたプラスミドpTIRB1LacP75である。このプローブは組
み換え体及び親のTIR-L 及びTIR-R 断片を区別する。断
片の大きさは野性株が9.3 及び6.2kb,V3が7.4,5.1(
重) 及び4.4 、V8が7.4,4.9 及び4.4kb であり、最後に
Vpについては10.4、7.3 及び2.0kb(二重)である。ウイ
ルスV8及びV9は各TIR の一方にLacZ遺伝子の二つのコピ
ーを獲得し、親の型のTIR 断片を含まない。他方、ウイ
ルスV3も同様である。LacZ遺伝子のコピーは各TIR にク
ローン化されうるので、挿入部位B1はウイルスの生長に
必須でないという結論に達しうる。さらに、LacZ遺伝子
は約3kb の大きさである場合、これらの二重の組み換え
体の単離により、CNP ウイルスのゲノム当たり6kb が挿
入されうることが証明される。 B2部位について サザンブロットは組み換え体TIR-L 及びTIR-R 断片の存
在を示すが、V4、V5及びV10 の製剤における親断片の存
在をも示す。従って、これらの三つの製剤は同質ではな
い。
【0037】実施例14: B1挿入部位における二重の組み
換え体を単離する別法 TIR における組み換え体の開発は、野性株のTIR 及び組
み換え体TIR を有するウイルスの子孫における安定な二
重組み換え体の出現を予告する。ウイルスのプラークは
ペトリ皿 "プラークアッセー" を用いて、新しい“プラ
ークアッセー"により又は96ウェル微小滴定プレート上
で、青い、プラークから再単離される。各々の新しいプ
ラークのゲノムはサザンブロット法又はPCR のいずれか
により分析されうる。これらの異なる可能性も開発され
た。サザンブロット法は、第3代のV3に対し、 "プラー
クアッセー" から得られた10の異なる青いプラークのウ
イルスゲノムについて行われ、これは10のプラークにつ
いて、一つの製剤が同質であり、各TIR 内に挿入された
LacZ挿入を含むことを示す。微小滴定については、希釈
はウェル当たり0又は1のウイルスプラークがあるよう
に行う。この最適な希釈は予めの滴定により評価され
る。良好な結果は、微小滴定皿 (ウェル当たり200 μl,
プレート当たり20ml) に、ペトリ皿 "プラークアッセ
ー" から1ml とって得られるウイルスの懸濁液50μl を
感染させることにより得られる。プラークが明らかに見
える場合に、プラークを含むウェルが記録される。凍結
及び溶解後、ウェル当たり100 μl の培地を処理する。
PCR については、DNA の合計は下記の条件下で急速に抽
出される: 混合物を10,000g で10分間の遠心分離にか
け、ペレットを崩壊緩衝液200 μl 内で処理する(10mM
のTris-HCl,pH8.0,10mM EDTA,0.1%SDS) 内で処理し、RN
ase(0.1mg/ml) 及びプロテイナーゼK(0.1mg/ml) を補充
し、これにより得られた混合物を50℃で1時間インキュ
ベートする。その後、水相をフェノール/クロロホルム
で3回抽出する。この水相からエタノールでDNA を沈澱
させる。得られたペレットを50μlの水で処理する。
この懸濁液をPCR 当たり10μl 使用する。使用されるPC
R 条件はPerkin Elmerにより推奨されるものである(Gen
eAmp DNA Amplification Reagent Kit)。増幅された断
片をアガロースゲルで分析する。プライマー5168及び51
69は、B1挿入部位のいずれかの側、即ち、各々該部位の
下流側及び上流側でハイブリッド化する。それらの配列
を下記に示す。
【0038】
【表5】 220bp 断片を野性種のTIR 上、及びLacZ遺伝子を含む組
み換えTIR のための3kb より多い断片上で増幅する。La
cZ遺伝子の検出のために、第二の増幅はB1部位の下流に
位置するプライマー5168及びLacZ遺伝子の内側に位置す
るプライマー3254を使用する。674bp 断片を増幅する。
従って、プライマーの賢明な選択により、組み換えTIR
及び非組み換えTIR を区別することが可能になる。ウイ
ルスの懸濁液は、WT (野性種) 断片が増幅されない場合
に、均質な二重の組み換え体であると考えられる。対照
は、WTウイルスのゲノムであり、プラスミドpTIRB1及び
pTIRB1Lac である。
【0039】
【表6】
【0040】実施例15:CNP/LacZ 組み換えウイルスによ
る組織培養中のLacZ遺伝子の発現 β−ガラクトシダーゼ( β−gal)活性を、基質としてo
−ニトロフェニル−β−D −ガラトピラノシド(ONPG)を
用いて測定する。酵素はONPGをガラクトースと黄色であ
り、量が420nm における吸収により測定されるo −ニト
ロフェノールに転化する。この吸収を "1 β−gal 単位
=生産されたONP 1 μmol /3×106 細胞/抽出物の28
℃における60分間の培養" という規則による目盛り定め
曲線を用いてβ−gal 単位に変換する。この" β−gal"
試験は、表面積25cm2 のフラスコについて、下記のよう
に実施される。感染初期相及び後期相はポックスウイル
ス内で区別される。最も短いのは初期相である;それは
約6時間続く。それは、ゲノムの複製時に終了する。後
期相は複製時に開始し、ウイルス粒子の放出を伴う感染
サイクルの終了時、即ち3日後に終了する。初期相の間
のLacZの充分な発現のためには、複製の抑制剤であるシ
トシンβ−D −アラビノフラノシド(AraC)を用いて初期
相が人工的に延長される。a.細胞 日数D =1 に、3 ×106 QT35細胞をフラスコ当たり,5ml
の増殖培地中に接種する。 日数D =2 に、細胞を、細胞当たり3ウイルスの感染多
重度で感染する。混合物は38℃で1時間培養される。そ
の後、ウイルスの接種物をピペットを用いて除去する。
40μg/mlのAraC(Sigma) を追加して、又は追加せずに、
フラスコ当たり5ml の維持培地を添加する。培地を38℃
で16時間培養する。 b.日数D =3 における収穫 細胞をフラスコからかきとる。培地は6,000gで10分間の
遠心分離にかける。遠心分離ペレットを500 μl のPBS
中に再懸濁する。この懸濁液を混合し、1.4ml のエッペ
ンドルフ管中に移す。その後、細胞を50μl のCHCl3
び5 μl の10%SDS の添加により溶解させる。細胞懸濁
液を短期間混合する。その後、この懸濁液を9000g で5
分間遠心分離にかける。 c.酵素反応 25のサンプルについてONPG基質を下記のように製造す
る。ONPG(Sigma)27.7mg、及び1ml の0.1M MgSO4及び1ml
の2 −メルカプトエタノール(Merck) からなる希釈液5
0μl であり、緩衝液(0.1M のNaHPO490ml,pH7.0,0.1M M
gSO4,1ml のメルカプトエタノール) の最終容量を100ml
とする。1.95mlのONPG溶液及び細胞懸濁液50μl を混
合し、混合物を28℃で1時間培養する。1MのNa2CO3 2
mlをこの懸濁液に添加し、この懸濁液の420nm における
吸収を測定する。組み換えウイルスのβ−gal 活性を比
較し、結果をβ−gal 単位として下記に示す。
【0041】
【表7】
【0042】感染(V3 、V4及びV5) の初期相及び後期相
の間のワクシニアプロモーターP7.5機能; プロモーター
P11 は後期活性のみを有する(V8 及びV9);ワクシニア内
ではプロモーターP11 はプロモーターP7.5より強い。従
って、時期の調整並びに二つのプロモーターの相対的な
強さは、CNP ウイルス内で、B1のB2のいずれに挿入され
るか、LacZ配向のものか否かを保つ。実施例16: CNP/LacZ組み換えウイルスによるヒヨコの予
防接種。フォールバリオラに対する保護。β−gal に対
する免疫応答 CNP/LacZ組み換え体の予防接種力を試験する。選択され
た二つの基準はフォールバリオラに対する及びβ−ガラ
クトシダーゼに対する免疫応答である。 羽の貫通による投与 組み換え体ウイルスV4及びV8の懸濁液又はワクチンCNP
菌の懸濁液を、1日齢の特定の病原体フリー(SPF) のヒ
ヨコに、羽膜の貫通(いわゆる“ウィングウェブ(wing
web)法"(WW) により注射する。試験を、V4又はV8で、又
はCNP で予防接種した28〜30のヒヨコの三つのグループ
について、そして陰対照としての15の非予防接種ヒヨコ
の群について行った。各予防接種したヒヨコは、一羽当
たり5×105TCID(Tissue Culture Infections Dose)50/
mlのウイルスの懸濁液10μl を受けた。これは、一羽当
たり5 ×103TCID50に等しい。29日目に、ヒヨコに病原
性のウイルス (Aphis,USA から得られるフォールポック
スチャレンジウイルス株(Fowl Pox Challenge Virus st
rain))を接触させた。障害がないかどうかが10日後に評
価され、これにより、予防接種したヒヨコの全てがフォ
ールバリオラに対して保護されることが示される。他
方、非予防接種ヒヨコの半分が障害を有していた。直接
ELISA によるβ−ガラクトシダーゼに対する抗体滴定の
分析は、V4ウイルスで予防接種した29のヒヨコのうち21
(72 %)、並びにV8ウイルスで予防接種した28のヒヨコ
のうち20(71 %) が、セロコンバーション(seroconvers
ion)、即ちセロポジティブ(seropositive)を示すことを
示す。ELISA 滴定は100 より大きい光学濃度を与える最
終希釈であり、これらのヒヨコの血清中の平均の抗β−
ガラクトシダーゼELISA 力価は1:800 である。b.筋肉内注射及び皮下注射による投与 第一日に、1 日齢のヒヨコをウイルスV8の104.4TCID50
の筋肉内投与(1M,27ヒヨコ) により又は皮下経路(SC,34
羽) により予防接種した。それらを27日後に感染させ
た。それらはフォールバリオラに対して保護される(100
%) 。β−ガラクトシダーゼに対するセロコンバーショ
ンは、IMルートで予防接種した27のヒヨコのうち24(88
%) 、並びにSC経路で予防接種した34のヒヨコのうち27
(79 %) が、β−ガラクトシダーゼに対してセロコンバ
ーションであることを示す。結論として、免疫化の結果
は、下記のことを示す。 −それらのゲノムのTIR 領域中のLacZ遺伝子を含む組み
換え体ウイルスがそれらの免疫原性を保持すること。 −P7.5及びP11 プロモーターが動物内で機能すること −ここにおいてCNP 組み換え体により発現される異種タ
ンパク質として考えられるβ−ガラクトシダーゼに対し
て、抗体応答が誘導されること −筋肉内(IM)、皮下(SC)及び羽膜貫通(WW)経路がフォー
ルバリオラに対する保護及びβ−ガラクトシダーゼに対
するセロコンバーションの割合( %) の両者において同
等であること
【0043】実施例17: フォールブロンキチスウイルス
のグリコールタンパク質をコードする遺伝子のトランス
ファーベクターへの挿入 感染性のフォールブロンキチス(IBV) の原因であるウイ
ルスはコロナウイルスである。このウイルスの最も重要
な表面抗原は、二つのサブユニットS1及びS2からなるタ
ンパク質E2である(Cavanagh, 1983, Cavanagh et al.,
1988) 。多くのセロタイプ、例えばM41 と称されるMass
achusetts,及びDutch セロタイプ、特にD1466 及びD274
(Kusters et al., 1987)が存在する。IBV のE2タンパク
質を発現する組み換え体CNP ワクチンは、感染性のフォ
ールブロンキチス(IBV) の原因となるウイルスに対する
有力なワクチンが得られるように開発されている。セロ
タイプM41 のタンパク質E2に対する遺伝子、並びにセロ
タイプD1466,D207及びD274のE2遺伝子の大きな断片は、
University of Utrecht (NL)のDr.Kustersにより得られ
た。セロタイプM41 のE2遺伝子のBamH1 カセットは、特
定部位の突然変異誘発により構築された。株D1466 の完
全な遺伝子及び完全なハイブリッド遺伝子D207/D274
を、断片から、またBamH1 と両立可能なカセット上で、
構築した。これらの三つのカセットをプロモーターP7.5
の下流にクローン化した。これにより、三つのプラスミ
ドp74M41、p75D1466及びp75D207 を発生させる。カセッ
トP7.5-E2 をトランスファーベクターpTIRB1のBamH1 部
位にクローン化し、カセットP11Lacをその後、E2の下
流,BamH1部位にクローン化する。これらのトランスファ
ープラスミドはpTIRB1P75M41Lac,pTIRB1P75D1466Lac 及
びpTIRB1P75D207Lacである。組み換え体ウイルスをトラ
ンスファーにより構築し、実施例9、10及び11に記
載したように精製した。ゲノムを実施例13に記載した
ようにサザンブロット法により分析した。E2抗原の発
現を、下記の免疫技術により検出した:特定の抗体を用
いるELISA 、ウェスタンブロット法、又は免疫蛍光法。
組み換え体ウイルスの株を製造する。家禽を、これらの
組み換え体の投与により予防接種する。ワクチンの有効
性を、感染性ブロンキチスのための慣用方法を用いて病
原性ウイルスにより感染した後、ウイルスに対する抗体
のレベルの評価により評価する。
【0044】実施例18:Eimeria遺伝子のトランスファー
プラスミドへの挿入、CNP/TA4 組み換え体の構築 Eimeria 遺伝子は、コクシジオシスの原因となる家禽の
寄生虫を含む。表面抗原は、特にE.tenella, E.necatri
x, E.maxima 種について記載した(ヨーロッパ特許出願
0,164,176 及び0,231,537)。コクシジオシスに対する有
効な組み換え体ワクチンが開発されている。TA4 又はA4
で表されるE.tenella 抗原は、ジスルフィド橋により連
結された二つのサブユニット17kd及び 8kdからなる25kd
タンパク質である。遺伝子をゲノムライブラリーから、
またmRNAから単離した。遺伝子の完全な記載は、上記の
特許出願において公告されている。TA4 遺伝子のBamH1
カセットをサブクローニングにより構築した。プラスミ
ドpTA406は、TA4 のコード配列を含む。プラスミドpTA4
10は、二つのサブユニットを分離するタンパク質分解配
列における変形を含むTA4 遺伝子を有する。天然の配列
Arg-Arg-Leu をArg-Glu-Lys-Arg(Kieny et al., 1988に
記載) により、特定部位の突然変異誘発により置き換え
た。これらの二つのBamH1 カセットを、TA4遺伝子をP7.
5の対照の下に置く配向で、プラスミドp1P7.5のプロモ
ーターP7.5の下流でクローン化した。カセットP7.5-TA4
06及びP7.5-TA410を、トランスファーベクターpTIRB1D
のBamH1 部位にクローン化する。その後、カセットP11-
Lac をTA4 遺伝子の下流のBamH1 部位にクローン化す
る。トランスファープラスミドはpTIRTA406Lac及びpTIR
TA410Lacである。実施例9、10及び11に記載したよ
うに、トランスファーにより組み換えウイルスを得た。
青いプラークが得られる。TA406 遺伝子を有する組み換
え体はV20 であり、TA410 遺伝子を有する組み換え体は
V21 である。二重の組み換え体V21 ウイルス、即ち、各
TIR にTA410 及びLacZのコピーを有するものを、各微小
滴定板上で精製し、そのゲノムを実施例14に記載したよ
うにPCR により分析する。使用したプライマー及び増幅
した断片の大きさを下記の表に挙げる。プライマー1871
はLacZ遺伝子と相補的である。
【0045】
【表8】
【0046】TA4 抗原の発現を、下記の免疫学的技術:
特定の抗体を用いてのELISA,ウェスタンブロット法又は
免疫蛍光法により検出する。組み換え体ウイルスの株を
製造する。家禽をこれらの組み換え体の投与により予防
接種する。ワクチンの有効性は、ウイルスのEimeria
用いて、血清、増加重量の割合及びクリニカルサインの
分析を含むコクシジオシスのための慣用方法により評価
する。
【0047】実施例19: トランスファーベクターへの感
染性バーサル病ウイルスのポリプロピレン遺伝子の挿入 感染性バーサル病ウイルスの誘因剤は、Birnaviridae属
のウイルスである。該ウイルスは、IBDV(Infectious Bu
rsal Disease Virus) と呼ばれ、高度に接触伝染性の障
害を起こす (感染性バーサル病) 、これは若いトリに起
こり、ファブリシウス(Fabricius) の粘液嚢のリンパ球
細胞の破壊により特徴づけられる。ウイルスは、セグメ
ントの二重鎖DNA であってセグメントA と呼ばれるもの
( 約3,400 塩基対;bp)及びセグメントB(約2,900bp)から
なるゲノムを有する。ウイルス粒子はエンベロープがな
く、直径約60nmのアイコサヘドラル型である。四つのウ
イルスタンパク質は明らかに同定された:90K(K: キロダ
ルトン) の分子量(MW)を有するVP1 、37K 〜40K の分子
量を有するVP2 、32K 〜35K の分子量を有するVP3、及
び24K 〜29K の分子量を有するVP4 である(Dobos 1979,
Fahey et al.,1985) 。VP2 は分子量41K 〜54K の分子
量を有するプリカーサーVPX から誘導される。セグメン
トB はおそらくウイルスポリメラーゼであるVP1 をコー
ドする。セグメントA は他の三つのタンパク質をコード
する。これらのタンパク質は、タンパク質分解開裂によ
り、分子量MWが約110KであるセグメントA の大きな転写
解読枠に対応する約110Kの分子量のプリカーサーから発
生する。タンパク質VP4 はこのタンパク質分解開裂に関
与する(Jagadish et al.,1988)。タンパク質VP2 及びVP
3 はウイルスキャプシドを構成する。VP2 はウイルスを
中和する抗体の合成を誘導することのできる抗原決定基
を含む(Becht et al.,1988;Fahey et al.,1989)。感染
性バーサル病に対する組み換え体フォールポックスワク
チンが開発される。
【0048】この開発の段階は下記の通りである。 1. 選択されたIBDV株、即ちEDGAR 株の遺伝材料の単
離。EDGAR ウイルス株は、合衆国農業省(USDA, APHIS 6
505 Belcrest Road, Hyattsville, MD 20782, 合衆国)
から得ることができる。 2. セグメントA に対応するcDNAのヌクレオチド配列の
合成、クローン化及び決定。 3. cDNA、並びにフォールポックスを感染させた動物細
胞内でのこの遺伝材料の発現のために要求される配列、
及び組み換え体フォールポックスウイルスのスクリーニ
ングを可能にする配列の実施例4に記載されたトランス
ファープラスミドpTIRB1への挿入。 4. 組み換え体ウイルスの単離及び精製 5. 組み換え体ウイルスの遺伝的分析。 6. これらの組み換え体ウイルスにより行われるIBDV遺
伝子の細胞培養中のin vitroにおける発現の分析 7. 組み換え体ウイルスによるヒヨコの予防接種及び感
染性バーサル病に対する保護の分析
【0049】段階1 EDGAR 株のウィルスRNA はウィルスに感染したトリの粘
液嚢から単離した。ウィルスに感染して7日後に採取さ
れた粘液嚢約40gをTNE 緩衝液(TNE:10mM のTris-HC
l,100mMのNaCl, 1mM のEDTA,pH8)40ml 中で粉砕した。
粉砕した生成物を17,000g の遠心分離にかけ、得られた
水相を予め形成した40%のスクロース及び60%のスクロ
ース (重量/容量%,TNE緩衝液) を含む2 相からなるス
クロース密度勾配に沈積する。勾配を134,000gで2 時間
30分間の遠心分離にかける。スクロース勾配の40〜60%
の界面相を収穫した。これは部分的に精製されたウイル
スを含む。この相5ml を10mMのTris-HCl、100mM のNaCl
及び0.5%のSDS 、10mMのEDTA、2mg/mlのプロテイナーゼ
K,pH7.5 を含む緩衝液5ml に添加する。混合物を37℃で
1時間培養する。その後、水相をフェノール/クロロホ
ルムで抽出する。水相の核酸を0.8MのLiClの存在下エタ
ノールで沈澱させ、500 μl の水中で処理する。 段階2 セグメントA に対応するcDNAの合成及び増幅を"GENEAMP
RNA PCR KIT, PERKINELMER CETUS" に記載した方法に
より、合成オリゴヌクレオチド又はプライマーを用いて
行った。これはセグメントA の配列に相補的であり、逆
転写酵素による第一のDNA 鎖の合成のためのプライマー
である。これらの合成オリゴヌクレオチドの選択を他の
IBDV株:Australian strain 002-73(Hudson et al.,198
6) 、German strain CU-1(Spies et al.,1989) 及びイ
ギリスの株52/70(Bayliss et al.,1990)の公告されたセ
グメントA の配列の分析により決定した。プライマーの
配列及びEDGAR 株のそれらのセグメントA に対する位置
を図8及び図9〜図13に示す。IBDV株のための公告さ
れた配列の分析は、タンパク質VP2 、VP4 及びVP3 をコ
ードするさらに大きな転写解読枠ORF1に加えて、他の二
つの転写解読枠がセグメントA の同じコード鎖上に存在
することを示す。それらのうちの一つであるORF2は、OR
F1のATG の34bp上流で開始し、後者とオーバーラップ
し、435bp の長さを有する。他のORF3はORF2の32bp上流
で開始し、長さが31bpである。これらのORFのウイルス
の生物学における可能な役割は、現在のところ定まって
いない。四つの二重鎖cDNA断片は、プライマーの組によ
り除去され、各々0-1b(585bp)、 1-2(1129bp) 、3-4(6
70bp)、5-6(1301bp) であり、セグメントA のスパンニ
ングORF1及びORF2( 図8参照)が生じる。これらの断片
はプラスミドpBSPlus 又はpBSLK1にクローン化され、こ
れにより、六つのプラスミドが構築された (図8及び図
14参照)。
【0050】
【表9】
【0051】これらのプラスミドのIBDV断片のヌクレオ
チド配列を決定し、EDGAR 株のセグメントA の配列を再
構成するように並べた。これをPCR で増幅した( 図9参
照)。他のIBDV株の公告された配列に基づいて定められ
たプライマーの使用により置き換えられたEDGAR 株のオ
リジナル配列は、それらの外側に位置するプライマーを
用いるこれらの領域の増幅生成物からも決定された。得
られたクローンからのセグメントA の再構成を図14に
概略的に表す。段階は下記のとおりである。1.pEDGAR12の構築 pBS1A2(EcoR1+T4 DNAポリメラーゼ,Sac1) +pBS1B(Sph1+T4 DNAポリメラーゼ,Sac1)2.pEDGAR12上の特定部位の突然変異誘発によるpEDGARM1
2 の構築 a.IBDV配列の上流に位置するpEDGAR12のSph1部位の切断
【0052】
【化5】
【0053】3.pACEDGARM12 の構築 pEDGARM12 のBc11-Sph1 断片のpACYC184のBcl1-Sph1
位への挿入4.pEDGAR34i に対する特定部位の突然変異誘発によるpE
DGARM34iの構築 Nsi1 部位によるSph1部位の置換
【0054】
【化6】
【0055】5.pEDGAR45の構築 pBS3A(Hinc2 Pst1) +pEDGAR34i のHinc2-Pst1断片6.pACEDGAR14の構築 pACEDGARM12(Sph1+T4 DNAポリメラーゼ,BamH1) +pEDGARM34i(Nsi1 +T4 DNAポリメラーゼ,BamH1)7.pACEDGAR15の構築 pACEDGAR14(BamH1+T4 DNAポリメラーゼ,Sal1)+pEDGAR
45(Pvu2-Sal1)8.pACEDGAR1 の構築 pACEDGAR15(Sph1 EcoRV)+pBS3B(Sph1Pvu2) このプラスミドはBcl1-BamH1断片上のセグメントA のOR
F1の完全な配列を含む。9.pBSIBDV0の特定部位の突然変異誘発によるpBSIBDV0b
の構築 ORF1及びORF2の開始を有するpBSIBDBV0 へのORF3の導入
【0056】
【化7】
【0057】10.pACEDGAR2及びpACEDGAR3 の構築 プラスミドpACEDGAR2 及びpACEDGAR3 を、プラスミドpA
CEDGAR1 のBcl1-Rsr2領域を各々プラスミドpBSIBDBV0
及びpBSIBDV0b のBcl1-Rsr2 断片で置き換えることによ
り得た。従って、三つのプラスミドpACEDGAR1,pACEDGAR
2 及びpACEDGAR3 は、各々EDGAR 株のセグメントA のOR
F1、ORF1-ORF2 及びORF1-ORF2-ORF3をBcl1-BamH1断片で
単離するのを可能にする。該ORF のATG 部位上のこれら
の三つのプラスミドの配列を下記に示す。
【0058】
【化8】
【0059】段階3 その後、これらのBcl1-BamH1断片をプラスミドp2P75 の
BamH1 部位へクローン化し、これによりプラスミドp75E
DGAR1 、p75EDGAR2 及びp75EDGAR3 が生じ、プロモータ
ーP7.5の制御の下でセグメントA のコード配列を配置さ
せる。これらのコード配列はプロモーターP11 の制御下
でも配置された。プラスミドp11EDGAR1 、p11EDGAR2 及
びp11EDGAR3 を生じさせるように、プロモーターP11を
有するプラスミドpACP11のBcl1-BamH1断片がプラスミド
pACEDGAR1 、pACEDGAR2 及びpACEDGAR3 のBamH1 部位に
挿入された。Bcl1-BamH1カセット,P75-EDGAR又はP11-ED
GAR をこれらの異なるプラスミドから単離し、プラスミ
ドpTIRB1のBamH1 部位に挿入した。これによりプラスミ
ドpTIR75EDGAR1、pTIR75EDGAR2、pTIR75EDGAR3、pTIR11
EDGAR1、pTIR11EDGAR2及びpTIR11EDGAR3が生成した。保
存されたプラスミドpTIRB1内のBcl1-BamH1カセットの配
向は、プロモーターP7.5及びP11 から開始された転写の
方向が、プラスミドpTIRB1内に存在するORF1及びORF2の
ものとと一致するようになるものである。P11-LACZカセ
ットを有するプラスミドpACP11LAC のBgl2-BamH1断片
を、各々プラスミドpTIR75E1LAC 及びpTIR75E2LAC を生
成するようにプラスミドpTIR75EDGAR1及びpTIR75EDGAR2
BamH1 部位に挿入した。これらのプラスミド内のP11-
LACZの配向は、LACZ遺伝子の転写の方向がORF1及びORF2
のものと一致するようなものである。同様の方法におい
て、プラスミドpTIR11E1LAC 、pTIR11E2LAC 及びpTIR11
E3LAC が、プラスミドp75LACのBg12-BamH1断片の形で単
離されたp75-LACZカセットのプラスミドpTIR11EDGAR1、
pTIR11EDGAR2及びpTIR11EDGAR3のBamH1 部位への挿入に
より生じた。最後に、プラスミドpTIR11VP2LACを、プラ
スミドp11EDGAR1 のXho1(T4 DNA ポリメラーゼで処理)-
Bg12断片を、プラスミドpTIR11E1LAC のPpuM1(T4- DNA
ポリメラーゼで処理)-Bg12部位に挿入することにより生
じさせた。トランスファープラスミドpTIR11VP2LACは、
プロモーターP11 の制御下でタンパク質VP2 の完全な配
列並びにタンパク質VP4 のアミノ末端部分の完全な配列
を含む。構成の性質により、最後の三つのアミノ酸(As
p、Leu 及びGlu;VP3 のカルボキシ末端部分) 並びにポ
リタンパク質の翻訳の終始コドン(TGA) を相中で融合す
る。従って、異種のタンパク質が、アミノ酸1 〜493 、
及び続いてタンパク質VP2 が含まれるアミノ酸1010〜10
12を含むポリタンパク質の一部に対応することが、図9
に示されうる。実施例により、プラスミドpTIR75E1LAC
が図15に示される。工程4及び工程5 EDGAR 株のORF が挿入されたものである組み換え体フォ
ールポックスウイルスを、実施例9,10,11,12,13 及び14
に記載された方法により単離し、精製し、同定した。組
み換え体ウイルスの表示を下記に示す。 V11 =P7.5E1、V12 =P7.5E2、V14 =P11E1 、V15 =P1
1E2 、V17 =P11VP2、V16 =P11E3 PCR により、二重の組み換え体TIR を選択するのに使用
されたプライマーは、野性のTIR とLacZ、E1、E2、E3又
はVP2 を含むTIR とを区別する。プライマーの組合せ及
び増幅された断片の大きさを下記の表に示す。
【0060】
【表10】 段階6 QT35細胞内の組み換え体ウイルスのIBDV抗原の発現を比
較した。IBDV株Cu-1に対して提起された使用した抗体
は、Institut fur virologie, Justus-Liebig-Universi
tat, Giessen, Germany のH.Muller教授により提供され
た。それらを下記に示す: 1.Cu-1株に対して高度に免疫化されたウサギのポリクロ
ーナル血清(No.B22)。 2.天然又は非天然型のタンパク質VP3 を認識する抗VP3
マウスモノクローナル抗体(No.I/A10) 3.タンパク質VP2 のコンフォーメショナルエピトープを
認識する抗VP-2マウスモノクローナル抗体(No.B1):B1抗
体はウイルス株Cu-1を天然化することのできる抗体であ
る。 a.感染の実験条件 日数D=1 に、2.5 ×106 のQT35細胞を、フラスコ25cm2
当たり、5ml の増殖培地( 実施例1 に記載された組成
物) に接種する。八つのフラスコを製造する。日数D=2
に、細胞に、細胞当たり0.01ウイルスの感染多重度で、
各組み換え体ウイルス,V11,V12,V14,V15,V16,V17,V8(陰
対照) 及びIBDV (ブルシン(bursine)株2,陽対照) を感
染させた。日数D=5 に、感染した細胞を収穫し、そして
凍結後に融解する[lacuna]培地に入れた。
【0061】b. サンドイッチタイプのELISA による発
現生成物の分析 ELISA 試験を、第一の抗体としてポリクローナル抗体B2
2 、第二の抗体として抗VP3 モノクローナル抗体(No.I/
A10)又は抗VP2 中和モノクローナル抗体(No.B1) を用い
て行う。ELISA 曲線を抗VP3 について図16に、抗VP2
について図17に挙げる。これらの分析の結果は下記の
ことを示す。 1.図16: タンパク質VP3 は、少なくともポリタンパク
質(ORF1,VP2-VP4-VP3タンパク質) をコードする配列を
含む全ての組み換え体(V11,V12,V14,V15及びV16)で発現
するが、組み換え体V17 ではVP2 及びVP4 のアミノ末端
部をコードする領域のみを含むので発現せず、組み換え
体V8ではIBDV配列を含まないので発現しない。タンパク
質VP3 の発現レベルは、組み換え体V14,V15 及びV16 内
でよりも組み換え体V11 及びV12 内での方が低い。これ
は、種々の組み換え体内に存在するプロモーターの強さ
とおそらく相互に関連する: プロモーターp7.5 (組み換
え体V11 及びV12)の活性は、プロモーターp11(V14 、V1
5 及びV16)のものより強くない(実施例15参照) 。下記
の種々の組み換え体に導入されるセグメントA の解読枠
の関数としてのVP3 の発現レベルには差は見られなかっ
た: 組み換え体V11 及びV14 のためのORF1、組み換え体
V12 及びV15 のためのORF1+ORF2、並びに組み換え体V1
6 のためのORF1+ORF2+ORF3。 2.図17: タンパク質VP2 はIBDV配列を含まないV8を除
く全ての組み換え体において発現する。組み換え体V17
の発現レベルが最も高い: この場合、IVDBウイルスによ
り感染した細胞内で発現するタンパク質VP2 のものに近
い。種々の組み換え体に存在するプロモーターの強さと
タンパク質VP2 の発現レベルの間に相関が再び認められ
た。一方、これらの結果は、株Cu-1に対する抗体B1の中
和により認識されるタンパク質VP2 のエピトープは、Am
erican strain Edgar のタンパク質VP2 にも存在する。
他方、タンパク質VP2 のオリジナルコンフォメーション
が、全ての組み換え体において少なくともこの領域に保
たれる。
【0062】c.ウェスタンブロット法によるエクスプレ
シドン(expressidon) 生成物の分析 一方において、種々の組み換え体により生産されるタン
パク質のウェスタンブロット分析が、IBDVタンパク質の
全てを認識するポリクローナル血清(B22) を用いて行わ
れ、他方において、抗VP3 モノクローナル抗体(I/A10)
を用いて行われる。図18に示された結果は、IBDVを感
染させた細胞の抽出物において、ポリクローナ血清が、
VP2(-40kd)、VP3(-32kd)、及びVP4(-28kd)に対応する実
質的に三つのタンパク質を認識することを示す。約46kd
のタンパク質も見られ、これもVP2プリカーサーを構成
する(VPX-48-49kd) 。少なくともポリタンパク質をコー
ドする配列(ORF1,VP2-VP3-VP4)を含有する全ての組み換
え体(V11,V12,V14,V15及びV16)について、VP3 、VP4 及
びおそらくVPX に対応する分子量(MW)を有するタンパク
質が、抗IBDVポリクローナル血清により検出される (図
18) 。組み換え体V17 について、分子量が融合タンパ
ク質VP2 +VP4 のアミノ末端領域(-52kd) のものに近い
唯一のタンパク質が検出される。抗VP3 モノクローナル
抗体 (図19) は、IBDVを感染した細胞及びポリタンパ
ク質を発現する全ての組み換え体において、本質的に二
つのタンパク質,VP3及びおそらくVP3 の分解生成物を認
識する。融合タンパク質VP2-VP4 を発現する組み換え体
V17 においてはIBDVタンパク質は認識されない。これら
の全ての結果は、ポリタンパク質(ORF1)をコードする解
読枠が追加の解読枠ORF2(組み換え体V12 及びV15)又は
ORF2及びORF3(組み換え体V16)の存在に関わらず、全て
の組み換え体において翻訳されることを示す。プリカー
サーポリタンパク質の開裂は、VP2 の場合には不完全で
あると思われるが正確に行われ、プリカーサーVPX の完
全な成熟が、細胞の表面へのIBDVウイルス粒子の転移の
間又は後に起こるであろうと提案する。(Muller et a
l.,1982)
【0063】段階7 組み換え体FPV/IBDVの予防接種能を試験した。 a.V11 のセロコンバージョン 組み換え体FPV/IBDVを用いた第一の予防接種キャンペー
ンにより、β−ガラクトシダーゼに対するセロコンバー
ジョンと、IBDVウイルスに対するセロコンバージョン
を、三つの異なる投与経路、即ち筋肉内投与(IM)、皮下
投与(SC)及び羽のパーシング(WW 又はウィングウェブ)
による投与について比較した。一日齢のヒヨコを、三つ
の投与経路、即ちIM,SC,又はWWを用いて104.4 V11 組み
換え体ウイルスにより予防接種した。それらを11日後に
安楽死させた。直接ELISA 分析による血清の分析は、筋
肉内経路により予防接種したヒヨコの2/14(14%) 、皮下
経路により予防接種した3/6(50%)、及び羽のトランスパ
ーチングにより予防接種したヒヨコの8/15(53%) がβ−
ガラクトシダーゼに対する抗体を有するのに対し、筋肉
内投与により予防接種したヒヨコの5/14(36 %)、皮下投
与により予防接種したヒヨコの1/6(17%)、及び羽の貫通
により予防接種したヒヨコの1/15(7%)がIBDVに対する抗
体を有していることを示す。結果として、IBDVタンパク
質が予防接種したものにおける組み換え体FPV/IBDV11に
より発現し、それらは数種のヒヨコにおける抗体応答を
誘導する。三つの投与経路のうち、筋肉内投与は、他の
二つより高い応答を引き起こす。
【0064】b. V11、V15 及びV16 による初期の保護 一日齢のヒヨコに、筋肉内投与により、104.4 のV8( 陰
対照) 、V11 、V15 、又はV16 ウイルスの投与を行い、
10日後に100LD50(致死量の100 倍) のウイルス849VB を
眼経路により投与した。849VB 株は、Van Den Berg et
al.,1991により記載されている。20日後にヒヨコを安楽
死させた。粘液嚢の重量と総重量の比を100 倍したもの
を保護指数とする。V8で予防接種したがIBDVは感染させ
なかった対照群において、この比は0.57(10 羽のヒヨコ
の平均) である。感染させたV8群において、この比は0.
11(9羽のヒヨコ) になる。V11,V15 及びV16 で予防接種
したヒヨコにおいて、これらの比は各々0.11(20羽のヒ
ヨコ),0.12(18 羽のヒヨコ) 及び0.12(18 羽のヒヨコ)
である。この理論に基づくと、組み換え体V11 、V15 及
びV16 によるIBDVウイルスに対する初期保護は得られな
い。
【0065】c. V11,V15及びV16 による後期保護。 前記で述べたように、V8、V11 、V15 及びV16 により予
防接種したヒヨコを、注射42日後にIBDVを感染させた。
感染前に集めた血清を、β−ガラクトシダーゼ及びIBDV
に対する抗体応答を評価するためにELISA 法により分析
した。抗−β−ガラクトシダーゼ応答は、全ての予防接
種ヒヨコ、即ち合計70羽のヒヨコにおいて100 %のセロ
コンバージョンが見られることを示す。滴定は、1:200
〜1:51,200の範囲である。LacZ遺伝子がP7.5の制御下に
あるV11 により得られる力価と、LacZ遺伝子がプロモー
ターP11 の制御下にあるV8、V15 及びV16 により得られ
る力価の間に、顕著な差はなかった。V8で予防接種した
10羽のヒヨコにおける抗IBDV応答はゼロであり、V11 、
V15及びV16 による予防接種した全てのヒヨコにおいて
陽性である。詳細には、V11で予防接種した20羽のヒヨ
コにおいて応答の力価は1:800 から1:51,200、平均1:6,
400 であった。これらは、V15 で予防接種した20羽のヒ
ヨコについて1:6,400〜1:102,400 、平均1:25,600であ
る。それらは、V16 で予防接種した20羽のヒヨコについ
て1:6,400 〜1:204,800 、平均1:25,600である。抗体レ
ベルはV15 又はV16 で予防接種したものはV11 で予防接
種したものより実質的に高い。培養細胞に適合させたワ
クチン株PBG68 のセロニュートラリゼーションは、陰対
照としてのV11 について1:10である; V15 について20の
うち4 の血清及びV16について20のうち1 の血清は、1:2
0のセロニュートラリゼーション力価を有する。従っ
て、この力価は低く、いくつかの動物のみに見られる。
比 (粘液嚢の重量/総重量) の100 倍の値は、未感染の
V8対照群(10 羽) において平均0.66である。感染した群
V8においては0.1 になる(生き残り1羽) 。三つの群V1
1(ヒヨコ3羽)、V15(ヒヨコ11羽) 及びV16(ヒヨコ8
羽)については各々0.1 、0.11、0.11となる。粘液嚢の
萎縮に対する保護はない。感染に続いての4日間の致死
率は対照群についてはほぼ総数であった(10羽中9
羽)。V11 群において、20羽のうち3 羽が生き残り、V1
5 で予防接種される20のうち11羽のヒヨコが生き残り、
V16 で予防接種される20羽のうち8 羽が生き残った。従
って、V15 又はV16 で予防接種した動物では50%の保護
率が観察された。
【0066】d.V14 、V15 及びV17 による保護 3週齢の家禽4群を、0.2ml の組み換え体ウイルスV8(
陰対照) 、0.2ml のV14 、V15 又はV17 に感染させる。
トリ1羽当たりのウイルスの量は106.4TCID50であっ
た。投与経路は筋肉内である。21日後、血清を各動物か
ら集め、抗IBDV抗体の力価を評価する。IBDVの致死量の
100 倍をV14 、V15 、及びV17 の動物及びV8( 即ち組み
換え体ウイルスV8を受けた家禽の群) の動物の一部に注
射する。11日後、即ち予防接種から32日後に、V8群の対
照動物及び感染に対し生き残った動物を安楽死させ、比
(粘液嚢の重量/家禽の重量) の100 倍の値を調べる。
結果を下記に示す。 −致死率: 感染に負けた家禽動物の数を下記のように誘
導しうる: V8について:12 の家禽動物/14(85%) 、V14
について:21/24(87%) 、V15 について:17/25(68%) 及び
V17 について:0/25(0 %) 。言い換えれば、組み換え体
V17 で予防接種化された全ての家禽は感染に耐えた。こ
の群の保護は総合的である。さらに、該家禽は疾病の臨
床的兆候を少しも示さない。組み換え体V15 で得られる
32% の保護は、前述の実施例において得られる50%の保
護に近い。 −ELISA:ウイルスに対して計算される平均力価は:V8 に
ついて1:100 未満の力価であり、陰性と考えられ、V14
について1:12800(1:6400〜1:51200)の力価: V15につい
て1:6400の力価 (1:800 〜1:25600)、V17 については三
つの家禽動物(1:800、1:6400及び1:51200)以外は1:100
未満の力価である。従って、組み換え体FPV/IBDVのポリ
タンパク質の発現により引き起こされるIBDVに対する抗
体応答は非常に高い。反対に、完全なウイルスに対する
応答は、V17 により引き起こされ、低い。
【0067】−セロニュートラリゼーション: PBG68 に
対するセロニュートラリゼーション力価は、V8,V14及び
V15 については1:10より小さく、陰性と考えられ、V17
については家禽動物20のうち5が1:20より大きい力価を
有し、言い換えれば、詳細には、1:20( 二つ) 、1:40、
1:80及び1:320 の力価を有する。従って、セロニュート
ラリゼーションは、V17 で予防接種した家禽の血清にお
いてのみ観察された。 −粘液嚢: 比 (粘液嚢の重量/総重量) の100 倍の値の
平均値を下記に示す: 感染しないV8については0.68( ±
0.13) の比、感染したV8については0.09( ±0.01) の
比、V14 については0.10( ±0.02) 、V15 については0.
13( ±0.04) 、V17については0.34( ±0.23) 。従っ
て、Fabricius の粘液嚢の部分的な保護は、群V17 にお
いてのみ観察された。実際、24のうち8 の家禽動物は、
非感染対照群のものと同様の割合を有する。他の16は、
感染した対照群より高い割合を有する。結論 これらの予防接種キャンペーンの主な結論は下記のもの
である:IBDVポリタンパク質を発現する組み換え体は、
家禽にウイルスに対する高い力価の強いELISA 応答を引
き起こす。ポリタンパク質のVP2 部分を発現する組み換
え体は、家禽を致死から完全に保護し、粘液嚢の萎縮か
ら部分的に保護する。
【0068】
【表11】 参考文献 Bayliss C.D.,Spies U.,Shaw K.,Peters R.W.,Papageor
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【0070】
【表13】
【図面の簡単な説明】
【図1】組み換えアビポックスの構成を示す模式図であ
る。
【図2】フォールポックスゲノムの末端を表す模式図で
ある。
【図3】プラスミドpTIRB1の制限地図を表す図である。
【図4】プラスミドpTIRB2の制限地図を表す図である。
【図5】プラスミドp11LACの制限地図を表す図である。
【図6】プラスミドpTIRB1P75Lacの制限地図を表す図で
ある。
【図7】CNP ゲノム内のLacZ遺伝子の挿入を示す模式図
である。
【図8】IBDVからのセグメントA を示す図である。
【図9】セグメントA のRNA に対応する増幅したDNA の
塩基配列を示す図である。
【図10】セグメントA のRNA に対応する増幅したDNA
の塩基配列を示す図である。
【図11】セグメントA のRNA に対応する増幅したDNA
の塩基配列を示す図である。
【図12】セグメントA のRNA に対応する増幅したDNA
の塩基配列を示す図である。
【図13】セグメントA のRNA に対応する増幅したDNA
の塩基配列を示す図である。
【図14】逆転写及び増幅により得られる断片を用いて
のEdgar 株からのセグメントA に対応するDNA セグメン
トの再構築の模式図である。
【図15】プラスミドpTIRB1P75E1LACの制限地図を表す
図である。
【図16】抗VP3 についてのELISA 曲線を示すグラフで
ある。
【図17】抗VP2 についてのELISA 曲線を示すグラフで
ある。
【図18】IBDVタンパク質のウェスタンブロット分析の
結果を示す図である。
【図19】IBDVタンパク質のウェスタンブロット分析の
結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カテリーヌ ド ヴァンネマエーケル ベルギー べー1700 ディルベーク ケ ルクヴェーグストラート 69セ (72)発明者 ダニエル マラルム ベルギー べー1650 ベールス ザヴェ ールストラート 20 (56)参考文献 特開 平2−430(JP,A) J.gen.Virol.,Vol. 69,P.1025−1040(1988) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 7/00 A61K 39/275 C12N 5/10 C12N 15/09 BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲノムの非本質的部分にアビポックスウ
    イルスに対して異種のタンパク質の全部または一部をコ
    ードするDNA配列を少なくとも1つ含み、前記異種タン
    パク質は非哺乳動物病原体の抗原からなる群より選ばれ
    るものであって、同時に、前記組換え体ウイルスに感染
    した細胞内部で前記タンパク質の発現を保証することの
    できるエレメントを含む組換えアビポックスウイルスで
    あって、前記ゲノムの前記非本質的部分が、60ヌクレ
    オチドよりも長い配列を有し、遺伝子発現シグナルを含
    む2つのオープンリーディングフレーム(ORF)の間に
    位置する非コード遺伝子間領域で構成されており、前記
    遺伝子間領域がウイルスのTIR(末端逆方向反復配列)
    領域のORF1とORF2の間に位置するβ1と呼ばれる領域、
    および、TIR領域のORF2とORF3の間に位置するβ2と呼
    ばれる領域から選ばれることを特徴とする、組換えアビ
    ポックスウイルス。
  2. 【請求項2】 鶏痘ウイルスの弱毒株に由来することを
    特徴とする請求項1に記載のウイルス。
  3. 【請求項3】 少なくとも1つのDNA配列がウイルスの
    2つのTIR領域にクローン化されていることを特徴とす
    る、請求項1記載のウイルス。
  4. 【請求項4】 遺伝子間領域が、ヌクレオチド開始位置
    をTIRの中に位置するBamHI制限酵素部位として、ヌクレ
    オチド1675番と2165番の間に位置するβ1と称する以下
    の配列領域であること特徴とする、請求項1記載のウイ
    ルス。
  5. 【請求項5】 遺伝子間領域が、ヌクレオチド開始位置
    をTIRの中に位置するBamHI制限酵素部位として、ヌクレ
    オチド2672番と3605番の間に位置するβ2と称する以下
    の配列領域であること特徴とする、請求項1記載のウイ
    ルス。
  6. 【請求項6】 2つのTIRの各々の内部にある以下の配列
    を有するβ1領域にDNA配列がクローニングされている
    ことを特徴とする請求項3記載のウイルス。
  7. 【請求項7】 異種タンパク質が感染性ファブリキウス
    嚢障害ウイルス(IBDV)、感染性気管支炎ウイルス(IB
    V)、チキンアネミアの原因となるウイルス(CAV)、コク
    シジウム症の原因である原虫類Eimera属、ニューカッス
    ル病ウイルス(NDV)およびマレック病ウイルス(MDV)の抗
    原から選ばれることを特徴とする、請求項1記載のウイ
    ルス。
  8. 【請求項8】 異種タンパク質が感染性気管支炎ウイル
    ス(IBV)、チキンアネミアの原因となるウイルス(CAV)、
    原虫類Eimera属の抗原から選ばれることを特徴とする、
    請求項7記載のウイルス。
  9. 【請求項9】異種タンパク質がIBDVのポリタンパク質お
    よびポリタンパク質の一部、IBVのE2抗原、Eimera属の
    表面抗原TA4およびCAVのP50タンパク質を含むオープン
    リーディングフレームの全部または一部から選ばれるこ
    とを特徴とする、請求項8に記載のウイルス。
  10. 【請求項10】 異種タンパク質が、以下の配列のアミ
    ノ酸1010〜1012番が後につながったアミノ酸1〜493番
    を含むポリタンパク質の一部であることを特徴とする、
    請求項9記載のウイルス。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の組換えアビポックスウ
    イルスに感染した真核細胞培養物。
  12. 【請求項12】 細胞が家禽細胞である、請求項11記
    載の細胞培養物。
  13. 【請求項13】 異種のタンパク質が感染性バーサル病
    ウイルスのポリタンパク質である請求項1記載のアビポ
    ックスウイルスを含む、感染性バーサル病ウイルスに対
    するワクチン。
  14. 【請求項14】 請求項1記載のアビポックスウイルス
    のゲノムの全部または一部を構成するヌクレオチドであ
    って、ビポックスウイルスに対して異種のタンパク質の
    全部または一部をコードするヌクレオチド、および前記
    タンパク質の発現を保証しえるヌクレオチド、を含むベ
    クター。
  15. 【請求項15】 異種タンパク質の全部または一部をコ
    ードする異種DNAおよび前記異種DNAの両側にアビポック
    スウイルスのゲノムの一部を含むDNA分子であって、ア
    ビポックスウイルスのTIR領域のORF1とORF2の間に位置
    するβ1と呼ばれる領域、および、TIR領域のORF2とORF
    3の間に位置するβ2と呼ばれる領域から選ばれる領域
    に相同組換えによって挿入され得る前記DNA分子。
  16. 【請求項16】 請求項15記載のDNA分子を有するプ
    ラスミド。
  17. 【請求項17】 請求項1記載のアビポックスウイルス
    のゲノム配列を有する核酸分子を含むベクター。
  18. 【請求項18】 異種タンパク質がトリ病原体由来であ
    ることを特徴とする、請求項1記載のアビポックスウイ
    ルス。
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