JP3409772B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3409772B2
JP3409772B2 JP2000118459A JP2000118459A JP3409772B2 JP 3409772 B2 JP3409772 B2 JP 3409772B2 JP 2000118459 A JP2000118459 A JP 2000118459A JP 2000118459 A JP2000118459 A JP 2000118459A JP 3409772 B2 JP3409772 B2 JP 3409772B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザービームの走
査によって像担持体上に潜像を形成する画像形成装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザービームにより像担持体上
に静電潜像を形成し、電子写真プロセスにより紙上に高
速に印刷を行なう画像形成装置が、コンピュータ、ファ
クシミリ、多機能複写機等の出力装置として広く用いら
れてきた。そして、近年、出力速度の向上がより一層望
まれ、その改良が進んでいる。
【0003】例えば回転多面鏡型偏向装置を用いた画像
形成装置では、その鏡面の小面の1つにつき1本のレー
ザービームを偏向させて1本の走査線を描くので、単位
時間当りの走査数を増加させるには、回転多面鏡の小面
の数が一定の場合、その回転数が大きくなる。逆に回転
数が一定の場合には、回転多面鏡の面数が増加する。回
転多面鏡の回転数を増加させるには、気体または液体の
動圧または静圧を利用した軸受が必要となるが、これら
の軸受は高価で取扱が難しく一般的なレーザービームプ
リンタに用いることは困難であった。逆に多面鏡の面数
を増加させると、偏向角が小さくなるので、偏向装置以
降の光路長が長くなる。また結像光学系に入射するレー
ザービームのコリメート径が光路長に比例して大きくな
り、レンズや回転多面鏡の大きさも大きくなる。特に、
高い解像度が要求される場合は、走査線の数が増えるた
め、より大きい回転数と、長い光路長が必要となる。こ
のことは、偏向装置に回転多面鏡以外のものを用いる場
合でも同様の現象であり、走査周波数の増大と、偏向装
置以降の光路長の増加をもたらす。そのため一度の走査
で、複数のレーザービームを用いて複数の走査線を書き
込む(いわゆるマルチビーム)露光方法が開発されてい
る。
【0004】複数のレーザービームを得るためには、複
数のガスレーザー(例えば、He−Ne)発振器を光源
として用いたり、1つの発振器のレーザービームを音響
光学変調器(AOM)などで時分割的に複数に振り分け
たりする方法も開発されたが、より簡潔で装置が小型に
なる方法として、例えば特開昭54−7328に示すよ
うに、1つの素子上に複数のレーザービーム射出用発光
部を集積した、半導体レーザーアレイが光源として用い
られるようになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】半導体レーザーアレイ
を用いた画像形成装置について以下説明する。画像形成
装置は、1つの基板上に集積されたレーザーアレイを光
源として用いており、各発光部のビーム放射点は半導体
の素子基板の端面にある。複数のレーザービームは共通
のコリメータレンズによって各々略一定の直径を持つレ
ーザービームにコリメートされ、回転多面鏡(偏向装
置)の1つの小面に入射する。ここで小面の回転に伴っ
て、レーザービームは偏向され、結像レンズを経由して
スポットに集束され、像担持体を露光して静電潜像が形
成される。形成された静電潜像は、電子写真プロセスに
従って、現像され紙の上に転写され、最後に定着が行な
われる。また、特開昭54−158251に示されてい
るように、像担持体上で同時に走査する走査線の間隔を
小さくするため、レーザーアレイの発光部は走査面に対
してある角度を持って配置されている。
【0006】他方、このような半導体レーザーアレイを
用いた画像形成装置に対し、従来から高速かつ高解像度
の走査を行なうことができる画像形成装置が求められて
いる。しかしながら従来の画像形成装置では、高速かつ
高解像度の走査を十分実現することができないのが実情
である。
【0007】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、高速かつ高解像度のレーザービーム走査を
行なうことができるとともに、コンパクトな画像形成装
置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴は、
表面に静電潜像が形成される像担持体と、この像担持体
の表面を帯電させる帯電器と、帯電した前記像担持体の
表面に対して複数のレーザービームを走査するレーザー
ビーム走査装置と、レーザービームが走査された前記像
担持体の表面に現像剤を付着させる現像器とを備え、前
記レーザービーム走査装置は素子基板上にレーザービー
ムの発光部が複数形成された半導体レーザーアレイと、
前記発光部からのレーザービームを前記像担持体の表面
へ偏向させる偏向装置とを有し、前記発光部は前記半導
体レーザーアレイ表面に2次元状に配置されるととも
に、各発光部は個別にその点灯および光量が制御可能で
あることを特徴とする画像形成装置である。
【0009】本発明の第2の特徴は、素子基板上にレー
ザービームの発光部が複数形成された半導体レーザーア
レイと、前記発光部からのレーザービームを偏向させる
偏向装置とを有し、前記発光部は前記半導体アレイ表面
に2次元状に配置されるとともに、各発光部は個別にそ
の点灯および光量が制御可能となっていることを特徴と
するレーザービーム走査装置である。
【0010】本発明の第3の特徴は、表面に静電潜像が
形成される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させ
る帯電器と、帯電した前記像担持体の表面に対して複数
のレーザービームを走査するレーザービーム走査装置
と、レーザービームが走査された前記像担持体の表面に
現像剤を付着させる現像器とを備え、前記レーザービー
ム走査装置は素子基板上にレーザービームの発光部が形
成された半導体レーザーと、前記発光部からのレーザー
ビームを前記像担持体の表面へ偏向させる偏向装置とを
有し、前記発光部は前記素子基板面に対し略垂直な光軸
を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0011】本発明の第4の特徴は、素子基板上にレー
ザービームの発光部が形成された半導体レーザーと、前
記発光部からのレーザービームを偏向させる偏向装置と
を有し、前記発光部は前記素子基板面に対し略垂直な光
軸を有することを特徴とするレーザービーム走査装置で
ある。
【0012】本発明の第5の特徴は、表面に静電潜像が
形成される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させ
る帯電器と、帯電した像担持体の表面に対して複数のレ
ーザービームを走査するレーザービーム走査装置と、レ
ーザービームが走査された像担持体の表面に現像剤を付
着させる現像器とを備え、前記レーザービーム走査装置
は複数のレーザービームを射出する半導体レーザーアレ
イと、前記複数のレーザービームの各々を平行化するコ
リメータレンズと、前記コリメーターレンズで平行化さ
れた複数のレーザービームの方向を周期的に偏向する偏
向装置と、前記偏向装置によって偏向されたレーザービ
ームを前記像担持体上に結像させる走査レンズとを有
し、前記偏向装置は1つの反射面を有する回転鏡である
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0013】本発明の第6の特徴は、複数のレーザービ
ームを射出する半導体レーザーアレイと、前記複数のレ
ーザービームの各々を平行化するコリメータレンズと、
前記コリメーターレンズで平行化された複数のレーザー
ビームの方向を周期的に偏向する偏向装置と、前記偏向
装置によって偏向されたレーザービームを像担持体上に
結像させる走査レンズとを有し、前記偏向装置は1つの
反射面を有する回転鏡であることを特徴とするレーザー
ビーム走査装置である。
【0014】本発明の第7の特徴は、表面に静電潜像が
形成される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させ
る帯電器と、帯電した像担持体の表面に対して複数のレ
ーザービームを走査するレーザービーム走査装置と、レ
ーザービームが走査された像担持体の表面に現像剤を付
着させる現像器とを備え、前記レーザービーム走査装置
はレーザービームを射出する発光部を複数有する半導体
レーザーアレイと、前記複数のレーザービームの各々を
平行化するコリメータレンズと、前記コリメーターレン
ズでコリメートされた複数のレーザービームの方向を周
期的に偏向する偏向装置と、前記偏向装置によって偏向
されたレーザービームを前記像担持体上に結像させる走
査レンズとを有し、前記コリメータレンズの焦点距離を
fc、前記半導体レーザーアレイ上の複数の発光部のう
ち、相互の距離の最も遠い2つの発光部の間隔をδma
xとすると、 fc/δmax > 25 であることを特徴とする画像形成装置である。
【0015】本発明の第8の特徴は、レーザービームを
射出する発光部を複数有する半導体レーザーアレイと、
前記複数のレーザービームの各々を平行化するコリメー
タレンズと、前記コリメータレンズでコリメートされた
複数のレーザービームの方向を周期的に偏向する偏向装
置と、前記偏向装置によって偏向されたレーザービーム
を前記像担持体上に結像させる走査レンズとを備え、前
記コリメータレンズの焦点位置をfc、前記半導体レー
ザーアレイ上の複数の発光部のうち、相互の距離の最も
遠い2つの発光部の間隔をδmaxとすると、 fc/δmax >25 であることを特徴とするレーザービーム走査装置であ
る。
【0016】本発明の第9の特徴は、表面に静電潜像が
形成される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させ
る帯電器と、帯電した像担持体の表面に対して複数のレ
ーザービームを走査するレーザービーム走査装置と、レ
ーザービームが走査された像担持体の表面に現像剤を付
着させる現像器とを備え、前記レーザービーム走査装置
はレーザービームを射出する複数個の発光部が素子基板
上に設けられた半導体レーザーアレイと、前記発光部か
ら射出されるレーザービームを偏向する偏向装置とを有
し、前記半導体レーザーアレイから射出されるレーザー
ビームの中心軸は、前記素子基板面に対して略垂直であ
り、前記半導体レーザーアレイと前記偏向装置との間の
光路上において、複数のレーザービームの断面の少なく
とも一部が重なり合う位置に開口絞りを設け、前記開口
絞りを通過した後の複数のレーザービームのうち、パワ
ーが最大であるレーザービームについて、そのパワーを
1としたときに、その他のレーザービームのパワーが各
々0.9以上となることを特徴とする画像形成装置であ
る。
【0017】本発明の第10の特徴は、レーザービーム
を射出する複数個の発光部が素子基板上に設けられた半
導体レーザーアレイと、前記発光部から射出されるレー
ザービームを偏向する偏向装置とを有し、前記半導体レ
ーザーアレイから射出されるレーザービームの中心軸
は、前記素子基板面に対して略垂直であり、前記半導体
レーザーアレイと前記偏向装置との間の光路において、
複数のレーザービームの断面の少なくとも一部が重なり
合う位置に開口絞りを設け、前記開口絞りを通過した後
の複数のレーザービームのうち、パワーが最大であるレ
ーザービームについて、そのパワーを1としたときに、
その他のレーザービームのパワーが各々0.9以上とな
ることを特徴とするレーザービーム走査装置である。
【0018】本発明の第11の特徴は、表面に静電潜像
が形成される像担持体と、この像担持体の表面を帯電さ
せる帯電器と、帯電した像担持体の表面に対して複数の
レーザービームを走査するレーザービーム走査装置と、
レーザービームが走査された像担持体の表面に現像剤を
付着させる現像器とを備え、前記レーザービーム走査装
置はレーザービームを射出する複数個の発光部を有する
半導体レーザーアレイと、前記発光部から射出されたレ
ーザービームを平行ビーム化するためのコリメータレン
ズと、レーザービームを偏向する偏向装置を有し、前記
半導体レーザーアレイと前記偏向装置との間の光路上に
開口絞りが設けられ、前記コリメータレンズの焦点距離
をf、前記コリメータレンズの前記偏向装置側の焦点と
前記開口絞りとの間隔をs、前記コリメータレンズの光
軸から最も離れた位置に配置された発光部と前記光軸と
の間隔をt、前記開口絞りの直径をD、前記平行ビーム
の直径をdとするとき、
【数1】 なる条件を満足することを特徴とする画像形成装置であ
る。
【0019】本発明の第12の特徴は、表面に静電潜像
が形成される像担持体と、この像担持体の表面を帯電さ
せる帯電器と、帯電した像担持体の表面に対して複数の
レーザービームを走査するレーザービーム走査装置と、
レーザービームが走査された像担持体の表面に現像剤を
付着させる現像器とを備え、前記レーザービーム走査装
置はレーザービームを射出する複数個の発光部を有する
半導体レーザーアレイと、前記発光部から射出されたレ
ーザービームを平行ビーム化するためのコリメータレン
ズと、レーザービームを偏向する偏向装置とを有し、前
記半導体レーザーアレイと前記偏向装置との間の光路上
に開口絞りが設けられ、前記コリメータレンズの焦点距
離をf、前記コリメータレンズの前記偏向装置側の焦点
と前記開口絞りとの間隔をs、前記コリメータレンズの
光軸から最も離れた位置に配置された発光部と前記光軸
との間隔をt、前記開口絞りの直径をD、前記平行ビー
ムの直径をdとするとき、
【数2】 なる条件を満足することを特徴とする画像形成装置であ
る。
【0020】本発明の第13の特徴は、レーザービーム
を射出する複数個の発光部を有する半導体レーザーアレ
イと、前記発光部から射出されたレーザービームを平行
ビーム化するためのコリメータレンズと、レーザービー
ムを偏向する偏向装置とを有し、前記半導体レーザーア
レイと前記偏向装置との間の光路上に開口絞りが設けら
れ、前記コリメータレンズの焦点距離をf、前記コリメ
ータレンズの前記偏向装置側の焦点と前記開口絞りとの
間隔をs、前記コリメータレンズの光軸から最も離れた
位置に配置された発光部と前記光軸との間隔をt、前記
開口絞りの直径をD、前記平行ビームの直径をdとする
とき、
【数3】 なる条件を満足することを特徴とするレーザービーム走
査装置である。
【0021】本発明の第14の特徴は、レーザービーム
を射出する複数個の発光部を有する半導体レーザーアレ
イと、前記発光部から射出されたレーザービームを平行
ビーム化するためのコリメータレンズと、レーザービー
ムを偏向する偏向装置とを有し、前記半導体レーザーア
レイと前記偏向装置との間の光路上に開口絞りが設けら
れ、前記コリメータレンズの焦点距離をf、前記コリメ
ータレンズの前記偏向装置側の焦点と前記開口絞りとの
間隔をs、前記コリメータレンズの光軸から最も離れた
位置に配置された発光部と前記光軸との間隔をt、前記
開口絞りの直径をD、前記平行ビームの直径をdとする
とき、
【数4】 なる条件を満足することを特徴とするレーザービーム走
査装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】§1 画像形成装置の第1の実施
1−1 背景技術との対比 本実施例をより良く理解するため、はじめに背景技術に
ついて述べる。
【0023】画像形成装置に用いられている一般的な半
導体レーザーアレイを図7に示す。図7に示すように、
レーザービームを射出する半導体レーザーアレイ1にお
いては、レーザービームの光軸を含み接合面に平行な面
と、同じく光軸を含み接合面に垂直な面では、ビームの
拡がり角が大きく異なっていた。図7において、接合面
に平行な面での拡がり角θpは通常のレーザーダイオー
ドの場合、半値全角で約10度になる。ところが接合面
に垂直な面では拡がり角θtは回析の影響を受け、半値
全角で約30度と大きくなる。さらにこの拡がり角θ
t、θpの大きさや、その比(すなわち楕円の長径、短
径の比)を自由に設定することも難しい。また、これに
ともないビームウエストの位置も平行面と垂直面ではδ
だけ異なる。この値を一般に「非点隔差」と呼ぶ。
【0024】この非点隔差のためコリメータレンズを出
たビームは、厳密には走査面とその直交する方向のどち
らかあるいは両方とも平行にはならない。そのため、像
担持体上に正確にスポットを結像することが出来ず、収
差を持っていた。従来のレーザービームプリンタでは、
結像レンズの焦点距離も長く、スポット径も大きいた
め、さほど問題にはならなかったが、近年、高解像度の
プリンタへの要求が高まるにつれて、この収差が問題と
なってきた。これに対する一つの解決方法として、垂直
面内、水平面内に異なるパワーをレンズの組合せなどで
構成したいわゆるアナモフィックレンズを用いて、非点
隔差の補正を行なうビーム整形光学系が提案されてい
る。しかし、この様なビーム整形光学系は機器のコスト
ダウン、及び小型化に好ましくなく、複数のレーザービ
ームを走査する場合には適用は難しい。
【0025】また半導体レーザーアレイ1の端面からレ
ーザービームが放射されるため、レーザービームの発光
部は必然的に1次元の直線上の配列とならざるをえず、
より多く複数のレーザービームを得ようとする場合、線
状にレーザービームが配列されるため、光学系の有効径
が大きくなるという問題があった。
【0026】さらに、この拡がり角自体の値の大きさの
ため、必然的にこれをコリメートするコリメータレンズ
の焦点距離は数mm前後と小さくなる。半導体レーザー
アレイとコリメータレンズの距離が僅かで(例えば数十
μm)も変動すると、得られるコリメート光(平行ビー
ム)が平行ではなくなり、結像光学系への入射時のビー
ム径も変動し、像担持体上での結像スポットサイズが変
化してしまう。従って半導体レーザーとコリメータレン
ズの調整許容範囲が非常に小さくなり、生産性が悪いと
いう問題点があった。また、初期的には正確に調整して
あっても、使用時の光学系周辺の温度上昇や経年による
部材の変形のためコリメータレンズの位置が狂い、やは
り、結像スポット径が変動してしまい、画像品質が劣化
するという問題があった。
【0027】さらに、複数の平行な光軸を持つレーザー
ビームがこのコリメータレンズに入射すると、その光軸
は大きな角度をもってひろがっていってしまう。いま簡
単のために、レーザービームの数が2本で、コリメータ
レンズ、結像レンズがいずれも凸の単レンズであるレー
ザ走査光学系を考える。図8はこの光学系の光路上の断
面図を示したもので、半導体レーザーアレイ1を間隔d
で射出した2本のレーザービームは、焦点距離fcのコ
リメータレンズ2で平行になる。ここで半導体レーザー
アレイ1はコリメータレンズ2の物体側焦点におかれて
いるので、2本のレーザービームは像側焦点Fで交差す
る。このほぼ平行な2本のレーザービームを像面11に
結像させるため、焦点距離fiの結像レンズ4をその物
体側焦点が前記のコリメータレンズ2の像側焦点Fに一
致するように置く。なお、偏向装置の鏡面は光学的には
パワーを持たないのでここでは省略してある。例えば像
面11で100μm(ここでスポット径、ビーム径は、
ビームの断面の強度分布がガウス分布として、ピーク強
度に対して1/eのパワーとなる直径と定義する)の
スポット6に結像させる場合、fiを200mmとすれ
ば結像レンズへの入射ビーム径(すなわちコリメート
径)Wcは約2mmである。このビーム径を得るために
は、コリメータレンズ2の焦点距離fcは約3mmとな
る。図8で明らかなように像面でのスポットの間隔d′
はfcとfiの比にdを掛けたものである。現在の半導
体レーザーアレイでは、お互いの干渉を避けるため、そ
の発光部の間隔は100μm以下にするのは難しい。従
って、今の例では、像面上でのスポット間隔d′は、
【数5】 となってしまう。
【0028】また、回転多面鏡の各小面の倒れ角度の差
を補正するいわゆる倒れ補正光学系を有する場合、各レ
ンズとコリメータレンズとの相対距離によって、各レー
ザービームの光軸がなす角度はさらに大きくなってしま
うことがある。そのためさらにレンズを追加したり、例
えば特開昭58−211735に示されるように、プリ
ズムを入れるなどしてレーザービームの光軸の相互の角
度の補正を行なう構造が提案されていた。しかしこれら
の構造は、光学系の構成をより複雑にし、高価で調整も
難しくなる。なお、図8においては、簡単のため倒れ補
正レンズは省略してある。
【0029】次に、図9に従来の像担持体上での走査線
に対するスポット位置の関係をしめす。この例ではスポ
ットは4か所、すなわち4本のレーザービームで書込み
を行なっている。上記に述べたように、レーザー走査光
学系では拡大光学系となり、半導体レーザーアレイ上で
のスポット間隔は像担持体上では図中のd′のように拡
大され、通常、走査線9の間隔Pよりかなり大きくな
る。例えば解像度300dpi(dot par inch、1イン
チ[=25.4mm]当りのドット数)の場合、P=2
5.4/300=84.7μmであるが、スポット間隔
は前記のように6.7mmという値になってしまう。そ
のためスポット6の中心を結んだ線12と走査線9のな
す角度αは、この場合では、
【数6】 と非常に小さなものとなる。半導体レーザーアレイ1上
での発光部を結んだ線(すなわち接合面の端面)も走査
面に対してαだけ傾けて取り付ける必要があり、αが小
さくなるに従い、極めて微妙な調整が必要であった。
【0030】また、一般に半導体レーザーから射出され
るレーザービームの偏光は直線偏光であり、レーザービ
ームの偏光面の方向は半導体レーザーアレイの接合面の
傾きによって一意にきまってしまう。ところが一般に反
射面での反射率はその鏡面への入射角度によってP偏光
とS偏光によって反射率が異なる。図10に金属ミラー
のP偏光、S偏光の各々の反射率Rp、Rsを示す。回
転多面鏡の回転に伴いその鏡面への入射角が変化するの
で、図10に示すようにP偏光とS偏光の合成として表
わされるレーザービームの光量も変動してしまう。特に
回転多面鏡での偏向角を大きくとる場合に問題となる。
これを避けるため特開昭58−42025に示すように
偏光面を回転多面鏡の回転軸に対して45゜傾ける方法
も提案されているが、前述のように、端面発光型の半導
体レーザーアレイ1では走査線間隔の制約から、この傾
き角度が決まってしまうため、この方法を用いることは
できない。この場合は、1/4λ板等を用いて偏光面を
回転させなくてはならない、という問題点があった。
【0031】さらに、半導体レーザーアレイ1を射出し
た各レーザービームは同一のコリメータレンズ2に入射
する。このとき、図8に示すように各レーザービームの
コリメート径Wcはレーザービームの拡がり角θと半導
体レーザーアレイ1からコリメータレンズ2までの距離
fcで決まるが、レンズまでの距離は各レーザービーム
とも同一であるので、レーザービームの拡がり角θのみ
で決まる。ところが従来の端面発光型半導体レーザーア
レイ1ではこの拡がり角は各発光部毎にばらつくため、
各レーザービームのコリメート径Wcもばらつきをも
つ。従って、このコリメートされたレーザービームを結
像させたスポットサイズもばらついてしまう。通常ごく
普通に使用されているレーザービームを1本しか用いな
い(シングルビームの)レーザー走査光学系では図11
に示すように、コリメータレンズ2の前後どちらかに絞
り13をいれて、コリメート径Wcを調整するようなビ
ーム整形を行なうことが出来るが、図8のように複数の
レーザービームが重なって入射する場合には絞りをコリ
メータレンズの焦点位置にしかおくことはできない。
【0032】一般に半導体レーザーアレイにおいては、
レーザー発振は光共振器を流れる電流が一定値を超えな
ければ生じない。この電流値を「しきい値電流」と呼ぶ
が、従来の半導体レーザーアレイでは「しきい値電流」
が数10mAもあり、その熱によってレーザービームの
特性、特に発振波長のシフトが生ずるため、半導体レー
ザーアレイからの放熱が問題となっていた。特に、複数
のビームを射出する半導体レーザーアレイでは、発光部
の数だけ熱源があり、多数の発光部を集積する際の障害
となっていた。
【0033】1−2 本発明の構成 本発明の一実施例を以下に説明する。図2は本発明の画
像形成装置の全体を示す図である。転写材51上に印刷
結果を得るプロセスはいわゆる電子写真プロセスによっ
ている。像担持体5としては、半導体レーザーを光源に
用いた電子写真プリンタでは長波長側に増感した有機感
光体(OPC)が多く用いられる。この像担持体5はま
ず、帯電器52で一定の表面電位に帯電されたのち、レ
ーザービーム走査装置53によって光書込すなわち露光
が行なわれる。このレーザービーム走査装置53から画
像情報に従って光強度が各々独立に変調された複数のレ
ーザービーム54が像担持体5を軸方向に走査し、露光
部のみに表面電位を打ち消す電荷を発生させ、その部分
の表面電位の絶対値は小さくなる。結果として像担持体
5上には画像に応じた表面電位の分布、すなわち静電潜
像が形成される。静電潜像は現像器55によって表面電
位に応じて選択的に現像剤を付着させることにより現像
される。この現像剤は転写器56によって転写材51
(通常は紙)に転写される。転写材51上の現像剤は、
定着器57によって熱圧力定着され排出される。
【0034】図1は本発明の画像形成装置に用いるレー
ザービーム走査装置53の概観図である。図2に示した
レーザービーム走査装置53ではレーザービーム54は
折り曲げられて下方に射出する場合を想定していたが、
ここでは説明のため単純化して描いてある。
【0035】図1において、半導体レーザーアレイ21
は複数の発光部21aが2次元状に素子基板22(図
3)上に配置されており、コリメータレンズ2によって
所定のビーム直径を持つレーザービームにコリメート
(平行化)される。発光部21aは制御装置60によっ
て個別にその点灯および光量が制御される。このレーザ
ービームは回転多面鏡3の1つの小面に入射し、その回
転に伴って、各々偏向される。結像レンズ4を通過した
レーザービームは像担持体5上でスポット6に結像す
る。図1において、倒れ補正レンズは簡単のため省略し
てある。
【0036】この様な特性を持つ半導体レーザーアレイ
21としては、いわゆる面発光型半導体レーザーアレイ
を用いるのが好ましい。さらにより望ましくは、II−VI
族化合物半導体を埋め込んだ発光部を有する面発光半導
体レーザーアレイが用いられる。図3はこの面発光型半
導体レーザーアレイ21の発光部21aのうちの1つの
断面図である。図3において、1つの光共振器が素子基
板22上に2次元的に配置された1つの発光部に対応し
ている。
【0037】図3においてGaAs基板22の上に、組
成の違う2種のAlGaAs層を数10層積層した半導
体多層膜反射層23が形成され、その上にそれぞれAl
GaAsからなるクラッド層24、活性層25、クラッ
ド層26、コンタクト層27が積層され、最後にSiO
誘電体多層膜反射層28が形成されている。またGa
As基板22の裏面全体及び、表面の誘電体多層反射層
のまわりに窓状の電極29、30が形成されており全体
が光共振器を構成している。
【0038】活性層25で発生した光は基板22面と垂
直方向に、上下の反射層27、23の間を往復し発振す
るので、そのレーザービーム31の光軸は基板22面に
対してほぼ垂直となる。光共振器の回りには埋め込み層
32としてII−VI族の化合物半導体が埋め込まれてい
る。II−VI族の化合物半導体としては、II族元素として
Zn、Cd、Hg、VI族元素としてO、S、Se、Te
を2〜4元素組み合わせ、また、その化合物の格子定数
を前記のクラッド層24、活性層25、クラッド層26
からなる半導体層の格子定数に合わせるのが望ましい。
このII−VI族の化合物半導体は電気抵抗が非常に大きい
ため、電流を光共振器のなかに効率的に閉じこめる。ま
た、埋め込み層32は光共振器を構成しているAlGa
As半導体層とは屈折率に差があるため、光共振器の内
部で素子基板22面に垂直もしくはそれに近い角度で進
む光はこの埋め込み層32との界面で全反射し効率的に
閉じこめられる。
【0039】このため、このような半導体レーザーアレ
イ21を用いれば、従来の半導体レーザーアレイに比べ
て大変小さい電流でレーザー発振が始まる。すなわち、
しきい値電流が低い。よって、複数の発光部21aをア
レイ化して1つの素子基板22上に集積しても、素子基
板22での損失熱量が少なくより多くの光パワーもしく
は発光部 21aの数を得ることが出来る。
【0040】また、面発光半導体レーザーアレイ21
は、レーザービームの射出部(発光部)21aの断面積
(ニア・フィールド・パターン)が、従来の端面発光型
の半導体レーザーに比べて比較的大きくとれるため、レ
ーザービームの拡がり角は小さくなる。この拡がり角の
大きさは射出窓の面積で決まるが、その面積はエッチン
グ等で正確に制御できるため、拡がり角も一定にするこ
とができる。さらに、レーザービームの拡がり角の縦横
すなわち楕円断面ビームの長径と短径の比もこの射出窓
の形状で随意に設定できる。例えば、完全な円形窓にす
れば、等方的な拡がり角を持つ円形断面のレーザービー
ムが得られる。従って、光軸方向の断面によるビームの
非点隔差も少ない。
【0041】ところが、通常のレーザービームプリンタ
ーでは、像担持体上でのレーザービームの結像スポット
の形状は走査方向に短軸が一致するような楕円状とする
事が多い。これは、走査方向には点灯時間だけスポット
が移動し像が長く伸びるので、これを補正するためであ
る。そのためには結像光学系に入射するレーザービーム
の断面形状は、逆に走査方向に長軸をもつ楕円であるこ
とが望ましい。上記で述べたように、面発光の半導体レ
ーザーアレイ21では射出ビームの楕円比を自由に制御
できるので、特別な光学系を用いなくとも、走査面に長
軸を有し、適切な長軸と短軸の比を持つような断面をも
つレーザービームを結像光学系に入射させることができ
る。
【0042】また、この面発光半導体レーザーアレイ2
1は上述のように各発光部21aからのレーザービーム
の拡がり角を均一にできる。よって、コリメータレンズ
もしくは結像光学系への入射ビーム径を各レーザービー
ムともほぼ一定に管理でき、結果として像担持体上での
結像スポットサイズも一定にできる。
【0043】面発光半導体レーザーアレイ21では共振
器の素子基板22面内での断面積が大きくなると、0次
モードだけではなく、高次のモードの発振が始まり、結
像したスポットの光量分布もいくつものピークを持ち、
像担持体5上に静電潜像を作るのには甚だ好ましくな
い。そこで、複数の小さな光共振器を近接して並べ、位
相同期して発振させることにより、0次モードで発振す
る面積の大きな発光部21aを得ることが出来る。
【0044】この位相同期型面発光半導体レーザーアレ
イ21の1つの発光部21aの一部断面図を図4に示
す。ここでは複数の光共振器が非常に狭い間隔で隣接し
ており、埋め込み層32の下部は活性層25に達してい
ない。このため、埋め込み層32下方のクラッド層26
を介して隣接する光共振器から漏れる光が互いに影響
し、同位相で発振する。このため、この隣接する複数の
光共振器があたかも1つの光共振器のように動作する。
このように各光共振器の射出光の波面が揃うので、面状
のレーザー放射源として作用し、その発光部の見かけ上
の面積は大きくなるため、レーザービームの拡がり角は
非常に小さく、半値全角で2度以下にすることも可能で
ある。
【0045】このように位相同期を行なう面発光半導体
レーザーアレイ21では、レーザービームの拡がり角が
従来の半導体レーザーに比べて小さくなるが、これを従
来の実施例と対比して説明する。例えばレーザービーム
の拡がり角を半値全角で2度とし、先の例と同じく直径
2mmのビーム径で結像光学系に入射させるとするとコ
リメータレンズの焦点距離fcは約35mmになる。こ
のようにコリメータレンズ2の焦点距離fcを長くする
ことができるので、半導体レーザーアレイ21に対する
コリメータレンズ2の距離の調整余裕が増加する。ま
た、像担持体上でのレーザービームの結像スポット間隔
d′は、半導体レーザーアレイ21を射出するレーザー
ビームの間隔をdとすると、
【数7】 となり、走査線間隔も従来例と同じ84.7μmとする
と、走査面に対するスポットを結んだ線の角度αは
【数8】 となり、従来の半導体レーザーアレイを使った場合に比
べてはるかに大きく取れる((3)式参照)。このた
め、半導体レーザーアレイ21の光軸方向回りの取付調
整も容易に行なうことができるとともに、各部品の加工
公差によってはこの角度αの調整を行なわずに組み立て
ることもできる。また、各結像スポットやそこに至るま
でのレーザービームが互いに接近しているので、光学系
の有効径も小さくてすむことがこの図からも明らかであ
る。 さらにレーザービームの拡がり角を極端に小さく
することにより、半導体レーザーアレイ21から回転多
面鏡3に至りさらに結像レンズ4にいたる距離の間に、
レーザービームの大きさはあまり広がらず、結像レンズ
4の入射面においても、所要の結像スポット径を得るの
に十分な小ささにできる。すなわち、通常のレーザー走
査光学系のような所要のコリメート径にレーザービーム
をコリメート(平行化)するコリメータレンズが不要と
なる。但し、回転多面鏡3の偏向角に応じて光路長が変
化し、結像レンズ4に入射するレーザービームの大きさ
も変化して行くので、それを補正する光学系が必要にな
る。しかも、そのような光学的機能は結像レンズ4にも
たせることは容易であるので、全体の光学系の構成要素
は少なくなる。
【0046】また、面発光形の半導体レーザーアレイ2
1においては、発光部21aが互いに干渉しない距離さ
えおけば、どこにでも発光部21aを置くことが可能な
ため、素子基板22上に2次元状に発光部21aを配列
できる。いま、先に図8で示した従来の実施例と同様に
4本のレーザービームで走査を行なう露光系を考える。
図5(a)で示すように4本のレーザービームを配列す
ると、図5(b)のように一直線に並べる場合に比べて
レーザービーム相互の角度もしくは距離を小さくでき、
光学系の大きさをそれにあわせて小さくできる。
【0047】上記の例はレーザービームが4本の場合を
示したが、レーザービームの数が更に増えた場合、像担
持体5上でのスポット6の位置が最も近接するよう、半
導体レーザーアレイ21上の発光部21aの配置を自由
に選べるので、効果はより大きくなる。一例としてレー
ザービーム数が8本のときの走査線9に対する結像スポ
ット6の配置例を図5(c)に示す。
【0048】なお、以上の結像スポットの相対位置の関
係は、必ずしも半導体レーザーアレイ21上での発光部
21aの配置と相似形ではない。例えば、既に触れたよ
うな回転多面鏡3の倒れ補正光学系等のように、走査方
向とその直交方向で光学的特性が異なる光学要素がレー
ザービームの途中にはいった場合、各レーザービーム相
互のなす角度や距離は、走査方向とその直交方向で異な
ることもある。しかし、そのような場合でも従来の端面
発光半導体レーザーアレイでは、一直線に並ぶ発光部は
像担持体上で一直線上の結像スポット列にしかなり得な
い。これに対して本発明においては、上に述べたような
発光部21aを素子基板22上に2次元的に配列できる
効果は同様に発揮される。
【0049】面発光形の半導体レーザーアレイ21にお
いても一般的に、射出レーザービームは直線偏光にな
る。その方向は共振器の素子基板22面内の平面形状に
よって決まり、おおむねは平面形状の長手方向に偏光面
が一致する。例えば楕円状の共振器形状にすればその長
軸方向が偏光面になる。前述のように位相同期型の半導
体レーザーアレイ21においては1つの発光部は複数例
えば4つの位相同期して発振する光共振器から構成され
ている。このとき射出レーザービームの断面形状は各光
共振器から射出されたレーザービームの合成された形状
となるため、個々の光共振器の並べ方によって射出ビー
ムの断面形状を自由に設定できる。この場合も偏光面の
向きは個々の共振器の平面形状で決まるので、例えば合
成された楕円のレーザービームを得る場合でもその長軸
と偏光面の方向を独立に設定できる。
【0050】図6(a)はこの様子を模式的に示したも
ので、半導体レーザーアレイ上の1つの発光部42をビ
ーム射出側からみた平面図である。図6(a)に示すよ
うに、4つの位相同期して発振している楕円状断面の光
共振器41が1つの発光部42を構成しており、個々の
光共振器41から射出されるレーザービームの偏光面4
3は、図6(a)では45度傾いているが、合成して得
られる楕円状のレーザービームの長軸は上下方向にな
る。また図6(b)に示すように、個々の光共振器41
から射出されるレーザービームの偏光面43の方向を互
いに異なる角度で配置すると、その合成された射出レー
ザービームは近似的に円偏光になる。
【0051】先にも述べたように通常のレーザービーム
プリンターでは、像担持体上でのレーザービームの結像
スポット6の形状は走査方向に短軸が一致するような楕
円状とする事が多い。そこで前述の様に各光共振器から
のレーザービームの偏光面の向きを合成楕円レーザービ
ーム断面の長軸方向に対して45度傾け、合成した射出
ビームの長軸を走査方向に一致させるように半導体レー
ザーアレイ21を設ければ、各光共振器からのレーザー
ビームの偏光面はビーム走査面とは45度傾くことにな
る。その結果、回転多面鏡3の回転軸に対しても偏光面
は45度傾いており、図11に示したような回転多面鏡
への入射角による反射率の差を受けにくい。このこと
は、ほぼ円偏光である楕円断面のレーザービームでも同
様である。なお、光学系の構成によっては、半導体レー
ザーアレイ 21から射出するレーザービームの短軸を
走査方向に一致させる場合もあるが、全く同様の効果を
発揮する。
【0052】以上に説明した実施例は、本発明の一実施
例に過ぎない。例えば偏向装置として回転多面鏡3では
なく、ガルバノミラーやホログラムディスクを用いても
同様の効果を有する。また、コリメータレンズ、倒れ補
正レンズ、結像レンズの有無、構成や相対位置関係が変
わっても本発明の効果は同じく発揮される。
【0053】また、本発明の画像形成装置の応用範囲
は、プリンタ、複写機等の印刷装置のみならず、ファク
シミリ、ディスプレイにても全く同様な効果を有する。
【0054】1−3 効果 以上に述べたように本発明の画像形成装置においては、
半導体レーザーアレイを用いて複数レーザービームで走
査する露光方法をとることにより、高速かつ高解像度な
走査装置を低い走査周波数と短い光路長で得ることがで
き、装置の小型化、低価格化が可能となる。 さらに、
前記半導体レーザーアレイに面発光半導体レーザーアレ
イを用いることにより、 レーザービームの拡がり角が小さくなり、コリメー
タレンズと半導体レーザーアレイの距離を大きく取れる
ため、コリメータレンズの光軸方向の調整余裕が増し、
生産性が上がると同時に、経年劣化や使用時の温度変動
の影響を受けずに一定のスポット径で、露光が可能とな
り、画像品質が向上する。
【0055】 発光部をアレイ状に並べた場合には、
各々の発光部からのビームの拡がり角のばらつきが少な
いため、その結像スポット径のばらつきも少なくなると
同時に、そのビーム間の角度や、結像スポットの間隔も
小さくできる。このため光学系の構成が簡素になり、か
つ各レンズや偏向器の有効面積を小さくすることが可能
となり、装置の低価格化に寄与する。
【0056】 面発光半導体レーザーアレイでは2次
元状に発光部を配置することが可能なため、より一層、
各レンズや偏向器の有効面積を小さくすることが可能と
なる。
【0057】 結像スポットの間隔が走査線間隔に比
べて大きくないので、半導体レーザーアレイの光軸回り
の取付角度の許容誤差が大きく取れ、容易に調整できる
とともに、走査線間隔のばらつきも少なくなり、画像品
質が向上する。
【0058】 面発光半導体レーザーアレイでは、そ
の特性上、非点隔差が少なく、ビーム断面の楕円形状
(長軸と短軸の比)を自由に設定できるため、通常これ
らの補正に必要な光学系を用いずとも正確なビーム整形
が可能となる。
【0059】 さらに面発光半導体レーザーアレイに
II−VI族の化合物半導体を埋め込み層として用いること
により、低しきい値電流でのレーザー発振が可能とな
り、素子の発熱によるレーザーの特性への影響が軽減で
き、より多くの発光部の集積が可能になる。
【0060】 次に面発光半導体レーザーとして複数
の光共振器が位相同期して発光する位相同期型の面発光
半導体レーザーアレイを用いることにより、一層射出ビ
ームの拡がり角を小さくでき、場合によってはコリメー
タレンズを省略することが可能となり、光学系の構成を
一層簡素化できる。
【0061】 また、偏光面を自由に設定できる複数
の光共振器で1つの発光部を構成することができるの
で、楕円断面の合成レーザービームを用いる場合に、各
レーザービームの偏光面の方向を合成レーザービーム断
面の長軸方向とは独立にかつ任意に制御でき、回転多面
鏡への入射角の違いから生ずる反射率の差による、レー
ザービームの走査方向の位置による光量変動を最小限に
とどめることが容易に実現できる。
【0062】§2 画像形成装置の第2の実施例 2−1 背景技術との対比 本実施例をより良く理解するため、はじめに背景技術に
ついて述べる。
【0063】従来の画像形成装置の光路断面図を図17
に示す。図17は画像形成装置の像担持体の走査面と垂
直でかつレーザービームの光軸を含む光路断面図であ
る。画像形成装置の回転多面鏡の小面8に対して光軸が
折返されて描かれている。図17において、半導体レー
ザー101から放射されたレーザービームは拡がり角θ
で放射される。このビームは焦点距離fcのコリメータ
レンズ102によってほぼ平行なビームに整形される。
倒れ補正レンズ107によって各ビームは回転多面鏡の
小面108の上に一旦集束する。回転多面鏡で偏向され
たビームは2つめの倒れ補正レンズ107′を出たビー
ムは再び平行なビームとなり、焦点距離fiの結像レン
ズ104によって、像担持体上にスポット106を結
ぶ。走査面と平行な面内では、倒れ補正レンズ107,
107′は光学的パワーを持たないため、その面内では
ビームは平行なままである。すなわち、前記回転多面鏡
の小面108上にはビームは線像として結像する。
【0064】しかし、従来用いられてきた半導体レーザ
ー101からのレーザービームは図18の概念図に示す
ように、光軸を含み接合面に平行な面と、同じく光軸を
含み接合面に垂直な面では、ビームの拡がり角が大きく
異なっていた。接合面に平行な面での拡がり角θpは通
常の半導体レーザーの場合、半値全角で約10度にな
る。ところが接合面に垂直な面では拡がり角θtは回析
の影響を受け、半値全角で約30度と大きくなる。さら
にこの拡がり角θt、θpの大きさや、その比(すなわ
ち楕円の長径、短径の比)を自由に設定することも難し
い。また、これにともないビームウエストの位置も平行
面と垂直面ではdだけ異なる。この値を一般に「非点隔
差」と呼ぶ。
【0065】この非点隔差のためコリメータレンズを出
たビームは、厳密には走査面とその直交する方向のどち
らかあるいは両方とも平行にはならない。そのため、像
担持体上に正確にスポットを結像することが出来ず、収
差を持っていた。
【0066】従来の画像形成装置では、結像レンズの焦
点距離も長く、スポット径も大きいため、さほど問題に
はならなかったが、近年、高解像度のプリンタへの要求
が高まるにつれて、この収差が問題となってきた。これ
に対する一つの解決方法として、垂直面内、水平面内に
異なるパワーをレンズの組合せなどで構成したいわゆる
アナモフィックレンズを用いて、非点隔差の補正を行な
うビーム整形光学系が提案されている。しかし、この様
なビーム整形光学系は機器のコストダウン、及び小型化
に好ましくない。
【0067】次に、ビームの拡がり角が大きいことによ
って生ずる問題を先の図17を用いて説明する。いま、
例えば像面111で100μm(ここでスポット径、ビ
ーム径は、ビームの断面の強度分布がガウス分布とし
て、ピーク強度に対して1/e のパワーとなる直径
と定義する)のスポット106に結像させる場合、fi
を200mmとすれば結像レンズへの入射ビーム径(す
なわちコリメート径)Wcは約2mmである。倒れ補正
レンズ107,107′は多面鏡の小面108に対して
対称であり、レンズ107′の射出ビーム径とレンズ1
07の入射ビーム径は等しい。このビーム径を得るため
には、コリメータレンズ102の焦点距離fcは約3m
mとなる。
【0068】このようにコリメータレンズ102の焦点
距離が短いため、正確に平行なビームを得るためには、
半導体レーザーに対するコリメータレンズの光軸方向の
位置の誤差は極めて小さく調整する必要があった。ま
た、上記のビームの拡がり角θt、θpも半導体のプロ
セス上の要因により大きくばらつくことがあり、結果と
して平行化されたビームの径もばらつきを生ずるという
問題があり、コリメータ102の後ろにスリットもしく
は開口絞りを設け、ビーム径を絞るようなビーム整形を
行なう必要があった。さらに、初期的には正確に調整し
てあっても、使用時の光学系周辺の温度上昇や経年によ
る部材の変形のためコリメータレンズ102の位置が狂
い、やはり、結像スポット径が変動してしまい、画像品
質が劣化するという問題があった。
【0069】また、一般に半導体レーザーの偏光は直線
偏光であり、レーザービームの偏光面の方向は半導体レ
ーザーの接合面の傾きによって一意にきまってしまう。
ところが一般に反射面での反射率はその鏡面への入射角
度によってP偏光とS偏光によって反射率が異なる。図
19に金属ミラーのP偏光、S偏光の各々の反射率R
p、Rsを示す。
【0070】回転多面鏡の回転に伴いその鏡面への入射
角が変化するので、図19に示すようにP偏光とS偏光
の合成として表わされるレーザービームの光量も変動し
てしまう。特に回転多面鏡での偏向角を大きくとる場合
に問題となる。これを避けるため特開昭58−4202
5に示すように偏光面を回転多面鏡の回転軸に対して4
5゜傾ける方法も提案されているが、ビームの楕円断面
の長軸の方向も決まってしまうため、この方法を用いる
ことはできないか、もしくは1/4λ板等を用いて偏光
面を回転させなくてはならない、という問題点があっ
た。
【0071】また、一般に半導体レーザーにおいては、
レーザー発振は光共振器を流れる電流が一定値を超えな
ければ生じない。この電流値を「しきい値電流」と呼ぶ
が、従来の半導体レーザーでは数10mAもあり、その
熱によってレーザーの特性、特に発振波長のシフトが生
ずるため、素子の放熱が問題となっていた。
【0072】2−2 本発明の構成 本発明の一実施例を以下に説明する。図13は本発明に
おける画像形成装置を示す図である。転写材151上に
印刷結果を得るプロセスはいわゆる電子写真プロセスに
よっている。像担持体105としては、半導体レーザー
を光源に用いて電子写真プリンタでは長波長側に増感し
た有機感光体(OPC)が多く用いられる。この像担持
体105は、帯電器152で一定の表面電位に帯電され
たのち、レーザービーム走査装置153によって光書込
すなわち露光が行なわれる。このレーザービーム走査装
置153から画像情報に従って光強度が変調されたレー
ザービーム154が像担持体105を軸方向に走査し、
露光部のみに表面電位を打ち消す電荷を発生させ、その
部分の表面電位の絶対値は小さくなる。結果として像担
持体上には画像に応じた表面電位の分布、すなわち静電
潜像が形成される。静電潜像は現像器155によって表
面電位に応じて選択的に現像剤を付着させることにより
現像される。この現像剤は転写器156によって転写材
151(通常は紙)に転写される。転写材151上の現
像剤は、定着器157によって熱圧力定着され排出され
る。
【0073】次に図12によりレーザービーム走査装置
について説明する。図13に示したレーザービーム走査
装置153ではレーザービーム154は折り曲げられて
下方に射出する場合を想定していたが、ここでは説明の
ため単純化して描いてある。図12において半導体レー
ザー121は、接合面に対して垂直な方向にレーザービ
ームを発光部121aから射出する。発光部121aの
点灯および光量は制御装置160により制御される。こ
のビームはコリメータ102によって所定のビーム直径
を持つレーザービームにコリメートされる。このレーザ
ービームは回転多面鏡103の1小面に入射し、その回
転に伴って偏向される。結像レンズ104を通過したビ
ームは像担持体105上でスポット106に結像する。
この様な特性を持つ半導体レーザーとしては、いわゆる
平面発光型の半導体レーザーを用いるのが好ましい。さ
らにより望ましいのは発光部121aの周囲にII−VI族
化合物半導体を埋め込んだ面発光型の半導体レーザーを
用いることが好ましい。図14はこの面発光型半導体レ
ーザーの発光部121aの断面図であって、1つの光共
振器が1つの発光部を構成している場合を示している。
図14においてGaAs基板122の上にまず組成の違
う2種のAlGaAs層を数10層積層したクラッド層
124、活性層125、クラッド層126、コンタクト
層127が積層され、最後にSiO誘導体多層膜反射
層128が形成されている。またGaAs基板122の
裏面全体及び、表面の誘電体多層膜反射層のまわりに窓
状の電極129、130が形成されており全体が光共振
器を構成している。活性層125で発生した光は基板1
22面と垂直方向に、上下の反射層127、123の間
を往復し発振するので、そのレーザービーム131の光
軸は基板面に対してほぼ垂直となる。
【0074】光共振器の回りには埋め込み層132とし
てII−VI族の化合物半導体が埋め込まれている。II−VI
族の化合物半導体としては、II族元素としてZn、C
d、Hg、VI族元素としてO、S、Se、Teを2〜4
元素組み合わせ、また、その化合物の格子定数を前記の
クラッド層 124、活性層125、クラッド層126
からなる半導体層の格子定数に合わせるのが望ましい。
このII−VI族の化合物半導体は電気抵抗が非常に大きい
ため、電流を光共振器のなかに効率的に閉じこめると同
時に、光共振器を構成しているAlGaAs半導体層と
は屈折率に差があるため、光共振器の内部で素子の基板
面に垂直もしくはそれに近い角度で進む光はこの埋め込
み層132との界面で全反射し効率的に閉じこめられ
る。このため、このような半導体レーザーを用いれば、
従来の半導体レーザーに比べて大変小さい電流でレーザ
ー発振が始まる。すなわち、しきい値電流が低く、素子
基板での損失熱量が少ない。
【0075】また、面発光半導体レーザーでは、レーザ
ービームの射出部の断面積(ニア・フィールド・パター
ン)が、従来の端面発光型の半導体レーザーに比べて比
較的大きくとれるため、レーザービームの拡がり角は小
さくなる。この拡がり角の大きさは射出窓の面積で決ま
るが、その面積はエッチング等で正確に制御できるた
め、拡がり角も一定にすることができる。さらに、レー
ザービームの拡がり角の縦横すなわち楕円断面ビームの
長径と短径の比もこの射出窓の形状で随意に設定でき
る。例えば、完全な円形窓にすれば、等方的な拡がり角
を持つ円形断面のレーザービームが得られる。従って、
光軸方向の断面によるビームの非点隔差も少ない。
【0076】ところで、通常のレーザービームプリンタ
ーでは、像担持体上でのレーザービームの結像スポット
の形状は走査方向に短軸が一致するような楕円状とする
事が多い。これは、走査方向に点灯時間だけスポットが
移動し像が長く伸びるので、これを補正するためであ
る。そのためには結像光学系に入射するレーザービーム
の断面形状は、逆に走査方向に長軸をもつ楕円であるこ
とが望ましい。本実施例の場合、面発光の半導体レーザ
ー121では射出ビームの楕円比を自由に制御できるの
で、特別な光学系を用いなくとも、走査面に長軸を有
し、適切な長軸と短軸の比を持つような断面をもつレー
ザービームを結像光学系に入射させることができる。
【0077】面発光半導体レーザー121では光共振器
の素子基板122面内での断面積が大きくなると、0次
モードだけではなく、高次のモードの発振が始まり、結
像したスポットの光量分布もいくつものピークを持ち、
像担持体 105上に静電潜像を作るのには甚だ好まし
くない。そこで、複数の小さな光共振器を近接して並
べ、位相同期して発振させることにより、0次モードで
発振する、面積の大きな発光部121aを得ることが出
来る。
【0078】以下にこの位相同期型の面発光半導体レー
ザー121の1つの発光部121aの一部断面図を図1
5に示す。ここでは複数の光共振器が非常に狭い間隔で
隣接しており、埋め込み層132の下部は活性層125
に達していない。このため埋め込み層132下方のクラ
ッド層126を介して隣接する光共振器から漏れる光が
互いに影響し、同位相で発振する。このためこの隣接す
る複数の光共振器があたかも1つの光共振器のように動
作する。このように各光共振器の射出光の波面が揃うの
で、面状のレーザー放射源として作用し、その発光部1
21aの見かけ上の面積は大きくなるため、レーザービ
ームの拡がり角は非常に小さく、半値全角で2度以下に
することも可能である。
【0079】従って位相同期型発光半導体レーザーで
は、レーザービームの拡がり角が従来の半導体レーザー
に比べて小さくなるが、これを従来の実施例と比較して
説明する。例えばレーザービームの拡がり角を半値全角
で2度とし、従来の実施例と同じく直径2mmのビーム
径で結像光学系に入射させるとするとコリメータレンズ
102の焦点距離fcは約35mmになる。このように
コリメータレンズ102の焦点距離fcが長くすること
ができるので、半導体レーザー121に対するコリメー
タレンズ102の距離の調整余裕が増す。
【0080】さらにレーザービームの拡がり角を極端に
小さくした場合、半導体レーザーから回転多面鏡103
に至りさらに結像レンズ104にいたる距離の間に、レ
ーザービームの大きさはあまり広がらず、結像レンズ1
04の入射面においても、所要の結像スポット径を得る
のに十分な小ささにできる。すなわち通常のレーザー走
査光学系のような所要のコリメート径に、レーザービー
ムをコリメート(平行化)するコリメータレンズが不要
となる。但し、回転多面鏡103の偏向角に応じて光路
長が変化し、結像レンズ104に入射するレーザービー
ムの大きさも変化して行くので、それを補正する光学系
が必要になる。しかし、そのような光学的機能は結像レ
ンズにもたせることは容易であるので、全体の光学系の
構成要素は少なくなる。
【0081】面発光形の半導体レーザーにおいても一般
的に、射出ビームは直線偏光になる。その方向は共振器
の素子基板面内の平面形状によって決まり、おおむねは
平面形状の長手方向に偏光面が一致する。例えば楕円状
の共振器形状にすればその長軸方向が偏光面になる。前
述のように位相同期型の半導体レーザーの発光部は、複
数例えば4つの位相同期して発振する光共振器から構成
されている。このとき射出ビームの断面形状はその合成
された形状となるため、個々の光共振器の並べ方によっ
て合成射出ビームの断面形状を自由に設定できる。この
場合も各レーザービームの偏光面の向きは個々の共振器
の平面形状で決まるので、例えば合成された楕円のレー
ザービームを得る場合でもその長軸と偏光面の方向を独
立に設定できる。
【0082】図16(a)はこの様子を模式的に示した
もので半導体レーザーの発光部142をビーム射出側か
らみた平面図である。4つの位相同期して発振している
楕円状断面の光共振器141が1つの発光部142を構
成しており、個々の共振器141から射出されるレーザ
ービームの偏光面143は図では45度傾いているが、
合成して得られる楕円状のレーザービームは長軸は上下
方向になる。また図16(b)に示すように、個々の光
共振器141の偏光面143の方向を互いに異なる角度
で配置すると、その合成された射出ビームは近似的に円
偏光になる。
【0083】先にも述べたように通常のレーザービーム
プリンターでは、像担持体上でのレーザービームの結像
スポットの形状は走査方向に短軸が一致するような楕円
状とする事が多い。そこで前述の様にレーザービームの
偏光面の向きを合成楕円ビーム断面の長軸方向と45度
傾けた場合、合成射出ビームの長軸を走査方向に一致さ
せるように半導体レーザーを配置すれば、その偏光面は
ビーム走査面とは45度傾く。その結果、回転多面鏡1
03の回転軸に対しても偏光面は45度傾いており、図
19に示したような回転多面鏡103への入射角による
反射率の差を受けにくい。このことは前記の円偏光であ
る楕円断面のレーザービームでも同様である。なお、光
学系の構成によっては、半導体レーザーを射出するレー
ザービームの短軸を走査方向に一致させる場合もある
が、全く同様の効果を発揮する。
【0084】以上に説明した実施例は、本発明の一実施
例に過ぎず、例えば偏向器として回転多面鏡ではなく、
ガルバノミラーやホログラムディスクを用いても同様の
効果を有する。また、コリメータレンズ、倒れ補正レン
ズ、結像レンズの有無、構成や、相対位置関係が変わっ
ても本発明の効果は同じく発揮される。
【0085】また、本発明の画像形成装置の応用範囲
は、プリンタ、複写機等の印刷装置のみならず、ファク
シミリ、ディスプレイにても全く同様な効果を有するこ
とは言うまでもない。
【0086】2−3 効果 以上に述べたように本発明の画像形成装置においては、
半導体レーザーに面発光半導体レーザーを用いることに
より、 レーザービームの拡がり角が小さくなり、コリメー
タレンズと半導体レーザーの距離を大きく取れるため、
コリメータレンズの光軸方向の調整余裕が増し、生産性
が上がると同時に、経年劣化や使用時の温度変動の影響
を受けずに一定のスポット径で、露光が可能となり、画
像品質が向上する。
【0087】 面発光半導体レーザーでは、その特性
上、非点隔差が少なく、ビーム断面の楕円形状(長軸と
短軸の比)を自由に設定できるため、通常これらの補正
に必要な光学系を用いずとも正確なビーム整形が可能と
なる。
【0088】 さらに面発光半導体レーザーにII−VI
族の化合物半導体を埋め込み層として用いることによ
り、低しきい値電流でのレーザ発振が可能となり、素子
の消費電流の低減が可能となり、素子の発熱によるレー
ザーの特性への影響が軽減できる。
【0089】 次に面発光半導体レーザーとして複数
の光共振器が位相同期して発光する位相同期型の面発光
半導体レーザーを用いることにより、一層射出ビームの
拡がり角を小さくでき、場合によってはコリメータレン
ズを省略することが可能となり、光学系の構成を一層簡
素化できる。
【0090】 また、偏光面を自由に設定できる複数
の光共振器で1つの発光部を構成するため、楕円断面の
レーザービームを用いる場合に、レーザービームの偏光
面の方向をビーム断面の長軸方向とは独立にかつ任意に
制御でき、回転多面鏡への入射角の違いから生ずる反射
率の差による、レーザービームの走査方向の位置による
光量変動を最小限にとどめることが容易に実現できる。
【0091】§3 画像形成装置の第3の実施例 3−1 背景技術との対比 本実施例をより良く理解するため、はじめに背景技術に
ついて述べる。
【0092】従来の画像形成装置の光路断面図を図27
に示す。図27は画像形成装置の像担持体の走査面と垂
直で光軸を含む面、すなわち副走査面内における光路断
面図である。また、回転多面鏡の反射面208に対して
光軸を折り返して描いてある。図27において、半導体
レーザー201から放射されたレーザービームは拡がり
角θで放射される。このビームは焦点距離fcのコリメ
ータレンズ202によってほぼ平行なビームに整形さ
れ、倒れ補正レンズ207によって各ビームは回転多面
鏡の反射面208の上に一旦集束する。回転多面鏡20
8で偏向されたビームは、2つめの倒れ補正レンズ20
7′を出た後再び平行なビームとなり、焦点距離fiの
走査レンズ204によって、像担持体211上にスポッ
ト206を結ぶ。走査面と平行な面内では、倒れ補正レ
ンズ207,207′は光学的パワーを持たないため、
その面内ではビームは平行なままである。すなわち、回
転多面鏡の反射面208上にはビームは線像として結像
する。
【0093】次にこの倒れ補正レンズ207,207′
の働きを説明する。回転多面鏡の各反射面208の相互
の回転軸に対する傾きはどのように精密に加工しても、
角度にして数十秒の誤差ををもち、従ってこの面に反射
されたビームの結像位置は、「光学てこ」の原理で像担
持体の表面では副走査方向にずれを生じ、走査線ピッチ
に対して、無視できない大きさとなる。そこで特開昭4
8−49315に示されるように、各反射面と像担持体
211表面(結像面)を光学的な共役位置とするよう
な、倒れ補正レンズ207′が設けられる。この倒れ補
正レンズ207′は一般に、副走査面内でのみ光学的パ
ワーを有するシリンドリカルレンズやトーリックレンズ
で構成される。いま反射面が傾いた場合でも、そのビー
ムは結像面では必ず同一の位置に結像する。
【0094】図28は従来用いられてきたいわゆる端面
発光型の半導体レーザーの概念図である。図28に示す
ように、光軸を含み接合面に平行な面と、同じく光軸を
含み接合面に垂直な面では、ビームの拡がり角が大きく
異なっている。接合面に平行な面での拡がり角θpは通
常のレーザーダイオードの場合、半値全角で約10度に
なる。ところが接合面に垂直な面では拡がり角θtは回
折の影響を受け、半値全角で約30度と大きくなる。
【0095】しかし、このように接合面とその直交方向
で放射されるレーザービームの拡がり角が異なる場合、
これをそのままコリメータレンズ202で平行化(すな
わちコリメート)すると、平行になったレーザービーム
の断面も大きく潰れた楕円状になってしまう。そしてこ
の長径と短径の比が著しく違う平行ビームを走査レンズ
204で像担持体211上に結像させると、その結像ス
ポットは平行ビームとは逆の長径と短径の比を持つ楕円
状になる。
【0096】一方、特開昭52−119331に示され
るように、像面すなわち像担持体上では、結像スポット
は、走査方向にやや短い短軸を有するような楕円とする
ことが望ましい。これは、レーザーが一定時間のパルス
で点灯するので、その間の移動距離を補正するため、副
走査方向に比べ、走査方向のスポット径を小さくする必
要があるからである。
【0097】このため、前記のように拡がり角の比が著
しく異なるビームを所望の長径と短径の比を持つスポッ
トに結像させるのには、走査方向とその直交方向で光学
的特性の違う、すなわちアナモフィックな光学系を半導
体レーザー201から像担持体211までの経路中のど
こかに持たねばならなかった。
【0098】そこで、前記の倒れ補正光学系にこの特性
を持たせてしまう方法が、最も広く用いられている。図
27において倒れ補正レンズ207,207′は副走査
方向にアフォーカルであるので、反射面からの2つのレ
ンズへの距離が異なる構成にすれば、副走査方向にだけ
作用するビームエキスパンダーとなる。
【0099】しかし、このような倒れ補正光学系は、一
般に長尺のシリンドリカルレンズやトーリックレンズな
どで構成され、製作が困難かあるいは製作費の高い光学
部品となる。また、回転多面鏡より手前にある倒れ補正
レンズ207の光軸調整は精度を要し、この種の画像形
成装置の生産性と信頼性の向上を阻む要因の1つであっ
た。
【0100】すでに述べたように、この倒れ補正レンズ
が必要となるような、副走査面内のレーザービームの角
度誤差を生ずる主な原因は、回転多面鏡の各反射面の相
互間の角度加工精度に起因し、回転多面鏡の回転軸の動
的な振れはあまり大きな問題ではない。そこで、回転多
面鏡ではなく、ただ1つの鏡面を回転させれば、この問
題の大きな要因が取り除かれ、通常の画像形成装置に対
しては、倒れ補正レンズは不要となる。
【0101】また、このような回転鏡では反射面が1つ
しかないため、その加工が容易で、回転部分の慣性モー
メントが小さいため、回転時の振動に対しても有利であ
る。
【0102】このような、回転単面鏡のアイデアは古く
から存在するが、1回転当り1走査しかできないため、
多面鏡に比べ著しく走査速度が低下し、いわゆるレーザ
ービームプリンターに使用するには不十分なものであっ
た。
【0103】いま、走査線のピッチを300dpi(1
インチ[=25.4mm]あたり300ドットすなわ
ち、走査線の数が300)で、用紙の大きさがA4であ
って、これを長手方向に給紙し、1分当り10枚の印字
を行なうのに相当する画像形成を行なう場合、6面の回
転多面鏡を用いればその回転数は約7000rpm(1
分当りの回転数)となる。一般に、ボールベアリングを
用いた回転多面鏡の回転数の上限は現在の技術では、約
12000〜14000rpmであると言われ、仮に1
2000rpmで回転する1枚の反射鏡を用いたとして
も、1分当りの印字枚数は3枚弱になってしまう。
【0104】また、倒れ補正レンズ207,207′を
取り除いてしまうと、既に述べたように、半導体レーザ
ーから放射される拡がり角の楕円比の大きいレーザービ
ームを像担持体上で所要の楕円比をもつスポットに結像
させるアナモフィックなビームエクスパンダーとしての
機能も失われてしまう。
【0105】3−2 本発明の構成 図21は本発明による画像形成装置を示す図である。転
写材251上に印刷結果を得るプロセスは、いわゆる電
子写真プリンタの場合長波長側に増感した有機感光体
(OPC)が多く用いられる。この像担持体205はま
ず、帯電器252で一定の表面電位に帯電されたのち、
レーザービーム走査装置253によって光書込すなわち
露光が行なわれる。このレーザービーム走査装置253
から画像情報に従って光強度が各々独立に変調された複
数のレーザービーム254が像担持体205を軸方向に
走査し、露光部のみに表面電位を打ち消す電荷を発生さ
射射出出せ、その部分の表面電位の絶対値は小さくな
る。結果として、像担持体205上には画像に応じた表
面電位の分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜
像は現像器255によって表面電位に応じて選択的に現
像剤を付着させることにより現像される。この現像剤は
転写器 256によって転写材251(通常は紙)に転
写される。転写材251は、定着器257によって熱圧
力定着され排出される。
【0106】図20は本発明によるレーザービーム走査
光学装置の概観図である。図21に示したレーザービー
ム走査装置253ではレーザービーム254は折り曲げ
られて下方に射出する場合を想定していたが、図20で
は説明のため単純化して描いてある。本発明のように複
数のレーザービームで走査を行なう方式は「マルチビー
ム」レーザー走査方式とも呼ばれる。ここで半導体レー
ザーアレイ221の複数の発光部221aから射出した
複数のレーザービームは、コリメータレンズ202によ
って所定のビーム直径を持つレーザービームにコリメー
ト(平行化)される。このレーザービームはただ1つの
反射面を持つ回転鏡218に入射し、その回転に伴っ
て、各々偏向される。走査レンズ204を通過したレー
ザービームは像担持体205上でスポット206に結像
する。発光部 221aは個別に、制御装置260によ
りその点灯および光量が制御される。
【0107】走査レンズ204の機能は大きく分けて2
つある。1つはいわゆる「fθ機能」であって、回転鏡
218の等角速度の走査を像担持体205上での等線速
の走査に変換する働きを有する。もう1つは、像面湾曲
の補正機能であり、走査角度によって結像点が光軸方向
に前後に移動し、像面が平面になるよう補正する働きを
持つ。
【0108】ところで、コリメータレンズ202および
走査レンズ204は、いずれも光軸を含むすべての面内
において等方的な光学的特性を有している。すなわち、
光軸を含むすべての面内において、コリメータレンズ2
02および走査レンズ204は、各々の焦点距離および
曲率が同一となっており、アナモファックでないレンズ
となっている。
【0109】レーザービームの本数は本実施例では4本
であるので、回転鏡218の回転数が同じであれば、レ
ーザービームが1本の場合に比べて、4倍の走査速度を
得ることができる。先の従来例で示したような現在得ら
れる最高の回転数の回転鏡を使用したとすると、A4用
紙換算で1分当り10枚強の印字速度が得られ、現状の
パーソナルユース向けのレーザービームプリンター用に
は十分な走査速度を有する。さらにレーザービームの本
数を増やして行けば、一般的な業務用途にも対応が可能
である。
【0110】半導体レーザーアレイ221の各発光部2
21aは各々の走査線に書き込むべき画像データに基づ
いて独立に制御され、変調されたレーザービームを放射
する。このため図では示されていないが、画像データの
記憶部から半導体レーザーアレイ221にはパラレルに
データが転送される。
【0111】後で述べるように、走査線間隔を所定の値
とするため、各ビームの結像スポットの走査方向の位置
が異なる。このため、各レーザービームの変調のタイミ
ングはその位置のずれ量に応じて遅延させる機能が備え
られている。
【0112】図22は、本発明のマルチビームレーザー
走査方式に於て、いま簡単のために、レーザービームの
数が2本でコリメータレンズ、走査レンズがいずれも凸
の単レンズであるレーザービーム走査光学系を考える。
半導体レーザーアレイ221を間隔dで射出した2本の
レーザービームは、焦点距離fcのコリメータレンズ2
02で各々は平行なレーザービームになる。ここで半導
体レーザーアレイ221はコリメータレンズ202の物
体側焦点におかれているので、2本のレーザービームは
像側焦点Fで交差する。例えば像面211でスポット直
径d=100μm(ここでスポット直径、ビーム直
径は、ビームの断面の強度分布がガウス分布として、ピ
ーク強度に対して1/eのパワーとなる直径と定義
する)のスポット206に結像させる場合、fiを20
0mmとすれば走査レンズへの入射ビーム直径(すなわ
ちコリメート直径)Wcは下に示す式(5)で表わされ
る。
【0113】
【数9】 但しλはレーザーの波長で780nmである。一方、コ
リメータレンズ202の焦点距離fcは、半導体レーザ
ーアレイ221からの射出レーザービームの拡がり角θ
で決まり、下に示す式(6)で表わされる。
【0114】
【数10】 ここでθはビームの直径の定義と同時に1/eの全角
で定義する。
【0115】次に、コリメータレンズ202から偏向装
置の反射面208までは、走査装置の各要素の配置上、
一定の距離hが必要であるとし、さらにn本のレーザー
ビームが一直線上に並んで配列されているとすると、反
射面208上ではn本のレーザービームの反射される位
置のさしわたし距離qは、レーザービームの間隔をdと
すると、
【数11】 で表わされる。
【0116】半導体レーザーアレイに現在よく用いられ
る、素子の基板端面からレーザービームが放射される端
面発光型半導体レーザーを用いる場合について説明す
る。従来例の説明の中の図28で示すように、射出され
るレーザービームは、半導体レーザーアレイ201の基
板の垂直方向に回析の影響を受け、半値全角で約30度
前後の角度をもって広がって行く。このときコリメータ
レンズ202の焦点距離fcは約3mmになる。そこ
で、例えばレーザービームの本数nを4、コリメータレ
ンズ202から反射面208まで距離hを100とする
と、q=9.7mmとなる。このため反射面の大きさは
少なくともこの距離q分だけ多く必要となる。このよう
な場合でも、本発明では反射面は1つしかないため、回
転多面鏡の場合に比べ、反射面の大きさを大きくするこ
とはさほど問題ではない。
【0117】しかし、半導体レーザーアレイ221に
は、いわゆる面発光半導体レーザーを用いるのがより好
ましい。このような面発光半導体レーザーアレイ221
では、レーザービームの発光部221aの断面積が、従
来の端面発光型の半導体レーザーに比べて大きくとれる
ため、レーザービームの拡がり角は小さくなる。この拡
がり角の大きさは射出窓の面積で決まるが、その面積は
エッチング等で正確に制御できるため、拡がり角も一定
にすることができる。例えば、拡がり角が半値全角で8
度程度のレーザービームを得ることも十分可能である。
さらに、この様な面発光半導体レーザーでは電流及び光
を効率的にレーザーの光共振器の中に閉じこめることが
出来るので、1つの発光部当りの発熱を減少させると同
時に、複数の発光部が隣あった場合の相互の光学的、電
気的及び熱的干渉を少なくすることが出来る。よって発
光部の間隔も従来の半導体レーザーに比べ、小さくする
ことが出来る。
【0118】先の式(6)を用いて、射出ビームの拡が
り角が8度である面発光型の半導体レーザーを用いた場
合のコリメータレンズの焦点距離fcを求めると約8m
mとなる。また、半導体レーザーアレイ上での発光部の
間隔dは 50μm程度にはできるので、先の例と同様
に、ビーム数n=4で、コリメータレンズ202から反
射面208までの距離hを100mmとすると、反射面
上での4本のビームのさしわたし距離qは、先の式
(7)によれば約1.73mmとなり、ビームのコリメ
ート直径Wcに比べてさほど問題となる値ではない。
【0119】特に、より高解像度の画像を形成するため
に、例えば像担持体上でのスポット直径を50μmとす
る場合、先の式に従えばコリメート直径Wcは倍の約4
mm程度になる。従ってコリメータレンズの焦点距離f
cも倍になり、反射面上でのビームの反射位置の間隔q
もさらに半分になる。
【0120】このように、各ビームを追跡していくと、
光軸上のどの位置においても、各ビームのなす距離は、
コリメート直径に比べれば十分小さいため、複数のレー
ザービームを扱う光学系ではあっても、代表的な1つの
ビームについて光学設計をおこなえばよく、レーザー走
査光学系の設計が非常に容易になる。
【0121】また、コリメータレンズの焦点距離が従来
の端面発光型半導体レーザーを用いた場合に比べて大き
いため、半導体レーザーとコリメータレンズの光軸方向
の距離の誤差がより大きく許容される。
【0122】このようにマルチビーム走査方式に適し
た、面発光型の半導体レーザーアレイの中でも、さらに
より望ましいのは発光部の周囲にII−VI族化合物半導体
を埋め込んだ面発光型の半導体レーザーアレイである。
【0123】図23はこの面発光型半導体レーザーアレ
イ221の素子基板上に2次元的に配置された発光部2
21aのうちの1つの断面図である。図23においてG
aAs基板222の上にまず組成の違う2種のAlGa
As層を数10層積層した半導体多層反射層223を形
成し、その上にそれぞれAlGaAsからなるクラッド
層224、活性層225、クラッド層226、コンタク
ト層227を積層し、最後にSiO誘電体多層膜反射
層228が形成されている。またGaAs基板222の
裏面全体及び、表面の誘電体多層膜反射層のまわりに窓
状の電極 229,230が形成されており、全体が光
共振器を構成している。活性層で発生した光は基板面と
垂直方向に、上下の反射層227,223の間を往復し
発振するので、そのレーザービーム231の光軸は基板
面に対してほぼ垂直となる。
【0124】光共振器の回りには埋め込み層232とし
てII−VI族の化合物半導体が埋め込まれている。II−VI
族の元素としてO、S、Se、Teを2〜4元素組み合
わせ、また、その化合物の格子定数を前記のクラッド層
224、活性層225、クラッド層226からなる半導
体層の格子定数に合わせるのが望ましい。このII−VI族
の化合物半導体は電気抵抗が非常に大きいため、電流を
光共振器のなかに効率的に閉じこめると同時に、光共振
器を構成しているAlGaAs半導体層とは屈折率に差
があるため、光共振器の内部で素子の基板面に垂直もし
くはそれに近い角度で進む光はこの埋め込み層232と
の界面で全反射し効率的に閉じこめられる。このため、
このような半導体レーザーを用いれば、従来の半導体レ
ーザーに比べて大変小さい電流でレーザー発振が始ま
る。すなわち、しきい値電流が低く、素子基板での損失
熱量が少ない。図23においてGaAs基板222の上
にダイオードが形成されており、活性層225で発生し
た光は、反射層223と228の間を往復し発振し、2
つの反射層の中で僅かに反射率の小さい反射層228か
ら、レーザービーム231として素子の基板面に対して
垂直に射出する。
【0125】従来例の説明のところでも触れたように、
通常のレーザービームプリンターでは、像担持体上での
レーザービームの結像スポットの形状は走査方向に短軸
が一致するような楕円状とするため、走査レンズに入射
するレーザービームの断面形状は、逆に走査方向に長軸
をもつ楕円であることが望ましい。
【0126】しかし、本発明では倒れ補正光学系が存在
しないので、先にも述べたように、端面発光型の半導体
レーザーアレイを用いる場合は、適切な楕円形状のレー
ザービームを走査レンズに入射させるため、アナモフィ
ックな特性をもったコリメータレンズを用いて、レーザ
ービームの断面の楕円の長径と短径の比を整形する必要
がある。そのようなコリメータレンズを製作することは
さほど困難ではなく、本発明の利点を損ねるものではな
い。
【0127】ところが、面発光型の半導体レーザーアレ
イでは、射出レーザービームの断面の楕円比を自由に制
御できるので、特別な光学系を用いなくとも、走査面に
長軸を有し、適切な長軸と短軸の比を持つような断面を
もつレーザービームを走査レンズに入射させることがで
きる。すなわち、結像スポットの理想的な楕円比を得る
ためにも、面発光型の半導体レーザーアレイは最適であ
る。
【0128】また、面発光形の半導体レーザーにおいて
は、互いに干渉しない距離さえおけば、どこにでも発光
部を置くことが可能なため、素子上に2次元状に発光部
を配列できる。いま、4本のレーザービームで走査を行
なう露光系において、走査線と結像スポットの位置関係
を考える。ここでは1個の走査で互いに隣合う4本の走
査線を描くとする。図24(a)で示すよう結像スポッ
ト206を配列すると、図24(b)のように一直線に
並べる場合に比べてレーザービーム相互の角度もしくは
距離を小さくでき、偏向器の反射面の大きさや、他の光
学系の大きさをそれにあわせて小さくできる。
【0129】上記の例はレーザービームが4本の場合を
示したが、レーザービームの数が更に増えた場合、像担
持体上でのスポットの位置が最も近接するよう、半導体
レーザーアレイ上の発光部の配置を自由に選べるので、
効果はより大きくなる。一例としてレーザービーム数が
8本のときの走査線に対する結像スポットの配置例を図
24(c)に示す。すなわち、回転鏡の反射面の面数が
1つであっても、更にビーム数を増やして行くことによ
って、実用上十分な印字速度を得ることができる。
【0130】なお、この実施例においては、走査光学系
は走査方向、副走査方向と同一の光学的特性であるの
で、像担持体状での結像スポットの配置と、半導体レー
ザーアレイ上での発光部の配置は相似形となる。
【0131】次に図25の平面図を用いて本発明に用い
られる偏向装置について説明する。反射面215はただ
1つ設けられており、モーター216の回転部に取付け
られており、一定速度で回転する。従来の多面鏡では先
にも述べたように、各反射面の相互の傾き精度を維持す
るために、その加工方法や、構造に制約があった。一般
には、回転多面鏡はアルミ等の金属の一体削りだしの鏡
体の上にコーティングを施した物が多かった。しかし、
反射面が1つの場合は、製作方法は上記のような削り出
しに限らず、平面度の出し易いガラスの表面に金属反射
膜を蒸着したもの等を回転部分に貼りつけるだけで製作
でき、非常に安価にできる。
【0132】反射面215を含む回転部分は、従来の多
面鏡に比べて質量が小さく、回転時の振動などに関して
非常に有利である。なお、この回転部分は回転軸に関し
てダイナミックバランスをとるように設計、あるいは必
要によって追加工が施されている。
【0133】また、反射面215の中央が回転軸Aに一
致するように設計されている。そして、反射面215上
の回転軸A近傍にレーザービーム217を入射させる
と、反射面 215が回転しても、レーザービーム21
7は反射面215上のほぼ一点にとどまるので、反射面
の大きさは従来の回転多面鏡に比べて非常に小さくて済
む。
【0134】さらに、反射面が1面しかない場合、ビー
ムを偏向できる角度は多面鏡の場合に比べて飛躍的に広
がる。例えば、図26に示すように6面鏡の場合、レー
ザービーム217のコリメート直径Wcを0であるとし
たとき、反射面の大きさにかかわらず走査角αの限界は
120度である。一方、走査光学系の設計においては有
効走査角は大きい場合で90度程度あり、これに反射面
への入射レーザービームのコリメート直径Wcや、ビー
ムの走査開始位置の検出のための検出器を設置する位置
の余裕を取るためには、前記の6面鏡では偏向装置の走
査角が不足し、走査レンズの有効走査角が狭められてし
まう。
【0135】これに対して反射面が1面の場合は上記の
ように反射面上に回転軸を位置させるか、反射面の大き
さが無限大の場合、理論的には360度になる。従っ
て、走査角の大きな走査レンズを使用することができ、
走査光学系全体を小さく設計できる。
【0136】また、反射面が1面の場合、実際の走査に
使用される期間は1回転の時間の10%前後になり、他
の時間は走査には寄与しない。その期間にレーザーが放
射されると、反射面の背面などにレーザービームが照射
され、意図しない反射光が像担持体上に結像する恐れが
あるので、不要な期間はレーザーを作動させない回路が
設けられている。
【0137】あるいは、このような走査に使用されない
時間を用いて、逆にレーザーを点灯させ、その光量を検
出し、所定の光量になるよう、レーザーの駆動電流を設
定することができる。この電流制御のためのレーザーの
点灯時に、さきに述べたように、不要な反射によりレー
ザービームが像担持体に到達するのを防ぐため、偏向装
置の周辺部材の角度を適切に設計したり、反射防止の表
面処理を行なうことが望ましい。
【0138】以上に説明した実施例は、本発明の一実施
例に過ぎず、コリメータレンズ、走査レンズの構成や、
相対位置関係が変わっても本発明の効果は同じく発揮さ
れる。また、回転鏡の構造、製造方法もプラスチックの
射出成形など、他の方法でも同様の効果を発揮すること
は明らかである。さらに、回転鏡は一定速度で一方向に
回転する形式のものだけではなく、回転振動を行なうい
わゆるガルバノミラーであっても本発明の効果は同様に
発揮される。
【0139】あるいは、先の実施例で示した面発光型レ
ーザーの素子の構造は、実現可能な1つの例示であっ
て、射出ビームの拡がり角や発光部の間隔などの特性が
同等な構造であれば、他の構造であっても全く同等の効
果を発揮する。 さらに、本発明の画像形成装置の応用
範囲は、プリンタ、複写機等の印刷装置のみならず、フ
ァクシミリ、ディスプレイにおいても全く同様な効果を
有することは言うまでもない。
【0140】3−3 効果 以上に述べたように本発明の画像形成装置においては、
ただ1つの平面の反射面を有する回転鏡を偏向器として
使用することにより、偏向器の回転部分が小型、軽量と
なり、製作が容易であるばかりでなく、動的な振動特性
も改善される。また、倒れ補正光学系を省略し、また特
にアナモフィックな光学系を用いないことで、非常に簡
素な構成で、組立調整の容易な走査光学系が実現でき
る。さらに、マルチビーム方式とすることにより、従来
と同様の走査速度を維持できる。
【0141】本発明によれば、特に面発光型の半導体レ
ーザーアレイを用いた場合、コリメータレンズと走査レ
ンズ以外に新たな付加的な光学系を追加することなく、
反射面の大きさを小さくできると同時に、像面での結像
スポットの楕円比を自由に設定できる。
【0142】§4 画像形成装置の第4の実施例 4−1 背景技術との対比 本実施例をより良く理解するため、はじめに背景技術に
ついて述べる。
【0143】従来の画像形成装置の光路断面図を図33
に示す。
【0144】図33において、半導体レーザー301か
ら放射されたレーザービームは拡がり角θで放射され
る。このビームは焦点距離fcのコリメータレンズ30
2によってほぼ平行なビームに整形され、倒れ補正レン
ズ307によって各ビームは回転多面鏡の反射面308
の上に一旦集束する。回転多面鏡で偏向されたビームは
2つめの倒れ補正レンズ307′を出たビームは再び平
行なビームとなり、焦点距離fiの走査レンズ304に
よって、像担持体上にスポットを結ぶ。走査面と平行な
面内では、倒れ補正レンズ307,307′は光学的パ
ワーを持たないため、その面内ではビームは平行なまま
である。すなわち、前記回転多面鏡の反射面8上にはビ
ームは線像として結像する。
【0145】次にこの倒れ補正レンズ307,307′
の働きを説明する。回転多面鏡の各反射面308の相互
の回転軸に対する傾きはどのように精密に加工しても、
角度にして数十秒の誤差をもち、従ってこの面に反射さ
れたビームの結像位置は、「光学てこ」の原理で拡大さ
れ、像担持体の表面では、走査線ピッチに対して無視で
きない大きさとなる。そこで特開昭48−49315に
示されるように、各反射面と像担持体表面(結像面)を
光学的な共役位置とするような、倒れ補正レンズ30
7′が設けられる。この倒れ補正レンズ307′は一般
に、副走査面内でのみ光学的パワーを有するシリンドリ
カルレンズやトーリックレンズで構成される。例えば反
射面が図33の308′に示したように傾いた場合で
も、そのビームは結像面では必ず同一の位置に結像す
る。
【0146】ところが近年、コンピューターの利用技術
の向上とともに、画像形成装置の出力速度の向上がより
一層望まれ、その改良が進んでいる。しかし、例えば回
転多面鏡を用いた偏向装置では、その鏡面の小面の1つ
につき1本のレーザービームを偏向させ1本の走査線を
描くので、単位時間当りの走査数を増加させるには、回
転多面鏡の小面の数を一定である場合には、その回転数
が大きくなり、逆に回転数が一定の場合には、回転多面
鏡の面数が増加する。回転多面鏡の回転数を増加させる
には、気体または液体の動圧または静圧を利用した軸受
が必須となるが、これらの軸受は効果で取扱が難しく一
般的なレーザービームプリンタに用いることは困難であ
った。逆に多面鏡の面数を増加させると偏向角が小さく
なるので、偏向器以降の光路長が長くなると同時に結像
光学系に入射するレーザービームのコリメート直径もそ
れに比例して大きくなり、レンズや回転多面鏡の大きさ
も大きくなる。特に、高い解像度も同時に要求される場
合は走査線の数も増えるため、より大きい回転数と、長
い光路長が必要となる。このことは、偏向装置に回転多
面鏡以外のものを用いる場合でも同様で、走査周波数の
増大と、偏向装置以降の光路長の増加をもたらす。その
ため一度の走査で、複数のレーザービームを用いて複数
の走査線を書き込む(いわゆるマルチビーム)露光方法
が開発された。
【0147】複数のレーザービームを得るためには、複
数のガスレーザー(例えば、He−Ne)発振器を光源
として用いたり、1つの発振器のレーザービームを音響
光学変調器(AOM)などで時分割的に複数に振り分け
たりする方法も開発されたが、より簡潔で装置が小型に
なる方法として、例えば特開昭54−7328に開示さ
れているように、1つの素子上に複数の発光部を集積し
た半導体レーザーアレイが光源として用いる方法(マル
チビームレーザー走査方法)が提案されている。
【0148】しかし、このように複数の平行な光軸を持
つレーザービームがコリメータレンズに入射すると、そ
の光軸は相互に多きな角度をもってひろがっていってし
まい、偏向装置の反射面や光学系を構成するレンズの大
きさが、1本のレーザービームを用いて走査する場合に
比べて、非常に大きなものとなってしまうという問題点
を有していた。
【0149】図34は、マルチビームレーザー走査方法
において、半導体レーザーアレイから像担持体までの光
路断面図を示す。いま簡単のために、レーザービームの
数が2本でコリメータレンズ、走査レンズがいずれも凸
の単レンズであるレーザービーム走査光学系を考える。
半導体レーザーアレイ321を間隔δで射出した2本の
レーザービームは、焦点距離fcのコリメータレンズ3
02で各々は平行なレーザービームになる。ここで半導
体レーザーアレイ321はコリメータレンズ2の物体側
焦点におかれているので、2本のレーザービームは像側
焦点Fで交差する。例えば像面311でスポット直径d
=100 μm(ここでスポット直径、ビーム直径は、
ビームの断面の強度分布がガウス分布として、ピーク強
度に対して1/eのパワーとなる直径と定義する)
のスポット 306に結像させる場合、fiを200m
mとすれば走査レンズへの入射ビーム直径(すなわちコ
リメート直径)Wcは下に示す式(8)で表わされる。
【0150】
【数12】 但しλはレーザーの波長で780nmである。よってこ
の例においてはコリメート直径Wcは約2mmとなる。
従来用いられてきたいわゆる端面発光型のレーザーダ
イオードは図35の概念図に示すように、光軸を含み接
合面に平行な面と、同じく光軸を含み接合面に垂直な面
では、ビームの拡がり角が大きく異なっていた。接合面
に平行な面での拡がり角θpは通常の半導体レーザーの
場合、半値全角で約10度になる。ところが接合面に垂
直な面では拡がり面θtは回析の影響を受け、半値全角
で約30度と大きくなる。さらにこの拡がり角θt、θ
pの大きさや、その比(すなわち楕円の長径、短径の
比)を自由に設定することも難しい。この放射ビームの
大部分を有効に利用するために半導体レーザーアレイと
コリメータレンズの結合効率を高く取った場合、前述の
ような2mmのコリメート直径を得るためには、コリメ
ータレンズ2の焦点距離fcは3mm程度となる。一
方、現在の半導体レーザーアレイでは、お互いの干渉を
避けるため、その発光部の間隔δは100μm以下にす
るのは難しい。
【0151】コリメータレンズ302の像側焦点Fから
偏向器の反射面308までは、走査装置の各要素の配置
上、一定の距離hが必要であり、また半導体レーザーア
レイ321上において、複数ある発光部のうち相互の距
離が最も遠い2つの発光部の間隔をδmaxとすると、
偏向器の反射面308上でのこの2つのビームの間隔q
【数13】 で表わされる。例えば、ビームの数が4本で、半導体レ
ーザーアレイ上で発光部が0.1mmおきに1列に並ん
でいるとき、δmaxは3×δ=0.3mmとなる。コ
リメータレンズ302の像側焦点Fから反射面308ま
で距離hを50mmとすると、q=5mmとなる。この
ため反射面の大きさは少なくともこの距離q分にレーザ
ービームコリメート直径を加えた分だけ必要となり、偏
向器の回転部分が大きくなり、軸受の負担も大きく、ま
た回転時のアンバランスの影響も受けやすくなる。式
(9)で明らかなようにfc/δmaxの値が小さくな
るに従って、qの値は大きくなってしまう。
【0152】次に、既に述べた倒れ補正レンズ307,
307′を走査光学系の中に加えた場合を考察する。倒
れ補正レンズはアナモフィックな光学要素であるので、
走査面と副走査面では光学的性質が異なる。既に述べた
ように、倒れ補正レンズでは走査面内では光学的パワー
を持たないので、前記の式(9)によって、走査面内で
最大距離をもつ2つのビームの反射面上での間隔qは求
められる。よって、副走査面内だけを新たに考慮すれば
よい。図36は倒れ補正レンズ307を含んだ副走査面
内の光路断面図であって、半導体レーザーアレイ321
から偏向器の反射面308までを示している。
【0153】先に説明した如く、副走査面内でみると、
各ビームについては、偏向器の反射面308上で線像と
なるが、反射面上でその線像が作られる位置は、副走査
方向にある距離qをもつ。ビーム偏向器の手前側の倒れ
補正レンズ307の焦点距離をft、コリメータレンズ
302の像側焦点Fから倒れ補正レンズ307までの距
離をt1、倒れ補正レンズ307から偏向器の反射面3
08までの距離をt2とし、その他の記号は先の図34
の場合と同一であるとすると、複数のレーザービームの
うち相互の距離の最も遠い2本が倒れ補正レンズ307
に入射するときの相互の距離q′、及び反射面308に
入射するときのビームの相互の距離qは、それぞれ下に
示す式(10)、式(11)で表わされる。
【0154】
【数14】 ここで、一般にはコリメートされたレーザービームを走
査面上でビームウエストをもたせるためにft=t2と
なる。
【0155】t1<ftのとき、2本のビームは像側で
は交差しない。よって、q>q′となり、t1が短くな
るにしたがってqは大きくなる。例えばt1=20m
m、ft=30mm、t2=30mmとして計算する
と、q′=2mm、q=3mmとなる。式(11)中に
はq′が含まれ、式(10)によれば先と同様にfc/
δmaxが大きいとq′も小さくなる。ここでt1+t
2=hであるので、走査面内では先の計算例と同じであ
る。すなわち、この例においては、副走査方向の方が、
両端のビームのなす距離が少なくなることがわかる。
【0156】さらに同様のことが走査レンズ4にこれら
の複数のレーザービームが入射するときのビーム相互の
距離についてもあてはまる。すなわち、先の倒れ補正レ
ンズへの入射位置を走査レンズの入射位置とみなせば式
(10)と同様である。コリメータレンズから走査レン
ズまでの距離は先の場合より大きいため、走査レンズの
大きさをさらに大きくとる必要が生ずる。
【0157】一般にレーザービーム走査光学系を構成す
る各光学要素の光学的パワーは、コリメータレンズが最
も大きい。つまり、焦点距離が最も短い。このことは、
半導体レーザーアレイから放射された複数のレーザービ
ームが、光学系を経由して像担持体に達するまでの間に
おいて、コリメータレンズを通過する際に各ビームのな
す角が最も大きく変化することを意味している。
【0158】この問題を避けるため、従来多くの光学的
な要素の追加により、反射面上で複数のレーザービーム
が反射される位置を近接させる方法が提案されてきた。
例えば特開昭56−69611では、コリメータレンズ
の後ろにアフォーカルな光学系をおいて、反射面上に各
ビームを集めている。しかし、このような光学系を新た
に付加することは、やはり、走査光学系の構造が複雑に
なり、コストや調整の容易さ、信頼性の面で好ましくな
い。
【0159】また、上に述べたように複数のレーザービ
ームが互いに異なる光路をたどる場合、それぞれのレー
ザービームについて、各収差や結像スポット大きさを所
期の値とするための設計を行なう必要があり、設計工数
が多くなり、画像形成装置の開発期間が長期に亘ると同
時に、複数のレーザービームの全てが走査範囲内の任意
の位置に於て、設計仕様を満たすような設計解を得るこ
とが困難になる。このことはより高度な設計が要求され
る解像度の高い、すなわち結像スポット直径の小さい画
像形成装置ではより一層大きな問題となる。
【0160】さらに、このような困難を経て設計された
レーザー走査光学系は、通常の1本のレーザービームを
用いたレーザービーム走査光学系に比べて、走査器の反
射面や各レンズの有効径が大きいだけでなく、その構成
も高度な(すなわちレンズの構成枚数が多く、レンズ位
置の調整も正確さが要求される)ものとなり、生産設備
の共通化が困難になる。
【0161】4−2 本発明の構成 図30は本発明の画像形成装置を示した図である。転写
材351上に印刷結果を得るプロセスはいわゆる電子写
真プロセスによっている。像担持体305としては、半
導体レーザーを光源に用いた電子写真プリンタでは、長
波長側に増感した有機感光体(OPC)が多く用いられ
る。この像担持体305はまず、帯電器352で一定の
表面電位に帯電されたのち、レーザービーム走査装置3
53によって光書込すなわち露光が行なわれる。このレ
ーザービーム走査装置353から画像情報に従って光強
度が各々独立に変調された複数のレーザービーム354
が像担持体305を軸方向に走査し、露光部のみに表面
電位を打ち消す電荷を発生させ、その部分の表面電位の
絶対値を小さくする。結果として像担持体上には画像に
応じた表面電位の分布、すなわち静電潜像が形成され
る。静電潜像は現像器355によって表面電位に応じて
選択的に現像剤を付着させることにより現像される。こ
の現像剤は転写器356によって転写材351(通常は
紙)に転写される。転写材351は、定着器357によ
って熱圧力定着され排出される。
【0162】図29は本発明のレーザービーム走査光学
系の概観図を示す。図30に示したレーザービーム走査
装置353ではレーザービーム354は折り曲げられて
下方に射出する場合を想定していたが、ここでは説明の
ため単純化して描いてある。ここでモノリシックの半導
体レーザーアレイ341の複数の発光部341aから射
出したレーザービームは、コリメータレンズ302によ
って所定のビーム直径を持つレーザービームにコリメー
ト(平行化)される。これらのレーザービームは回転多
面鏡303に入射し、その回転に伴って、各々偏向され
る。走査レンズ304を通過したレーザービームは像担
持体305上で所定の大きさを持つスポット306に結
像する。なお発光部341aは、制御装置360により
個別にその点灯および光量が制御される。
【0163】この様な特性を持つ半導体レーザーアレイ
には、いわゆる面発光半導体レーザーを用いるのが好ま
しい。さらにより望ましいのは発光部の周囲にII−VI族
化合物半導体を埋め込んだ面発光型の半導体レーザーア
レイである。
【0164】図31はこの面発光型半導体レーザーアレ
イの素子基板上に2次元的に配置された発光部のうちの
1つの断面図であって、GaAs基板322の上にまず
組成の違う2種のAlGaAs層を数10層積層した半
導体多層膜反射層322を形成し、その上にそれぞれA
lGaAsからなるクラッド層324、活性層325、
クラッド層326、コンタクト層327を積層し、最後
にSiO誘電体多層膜反射層328が形成されてい
る。またGaAs基板322の裏面全体及び、表面の誘
電体多層膜反射層のまわりに窓状の電極329,330
が形成されており全体が光共振器を構成している。活性
層で発生した光は基板面と垂直方向に、上下の反射層3
27,323の間を往復し発振するので、そのレーザー
ビーム331の光軸は基板面に対してほぼ垂直となる。
光共振器の回りには埋め込み層332としてII−VI族の
化合物半導体が埋め込まれている。II−VI族の化合物半
導体としては、II族元素としてZn、Cd、Hg、VI族
元素としてO、S、Se、Teを2〜4元素組み合わ
せ、また、その化合物の格子定数を前記のクラッド層3
24、活性層325、クラッド層326からなる半導体
層の格子定数に合わせるのが望ましい。このII−VI族の
化合物半導体は電気抵抗が非常に大きいため、電流を光
共振器のなかに効率的に閉じこめると同時に、光共振器
を構成しているAlGaAs半導体層とは屈折率に差が
あるため、光共振器の内部で素子の基板面に垂直もしく
はそれに近い角度で進む光はこの埋め込み層332との
界面で全反射し効率的に閉じこめられる。このため、こ
のような半導体レーザーを用いれば、従来の半導体レー
ザーに比べて大変小さい電流でレーザー発振が始まる。
すなわち、しきい値電流が低く、素子基板での損失熱量
が少ない。図31においてGaAs基板322の上にダ
イオードが形成されており、活性層325で発生した光
は、反射層323と328の間を往復し発振し、2つの
反射層の中で僅かに反射率の小さい反射層328から、
レーザービーム31として素子の基板面に対して垂直に
射出する。
【0165】このような面発光半導体レーザーでは、レ
ーザービームの射出部の断面積が、従来の端面発光型の
半導体レーザーに比べて大きくとれるため、レーザービ
ームの拡がり角は小さくなる。この拡がり角の大きさは
射出窓の面積で決まるが、その面積はエッチング等で正
確に制御できるため、拡がり角も一定にすることができ
る。例えば、拡がり角が半値全角で8度程度のレーザー
ビームを得ることも十分可能である。さらに、この様な
面発光半導体レーザーでは電流及び光を効率的にレーザ
ー共振器の中に閉じこめることが出来るので、1つの発
光部当りの発熱を減少させると同時に、複数の発光部が
隣あった場合の相互の光学的、電気的及び熱的干渉は従
来の端面発光型半導体レーザーアレイに比べて大幅に減
少する。よって発光部の間隔も従来の半導体レーザーに
比べ、小さくすることが可能であり、50μm程度の値
は実現可能である。
【0166】先の従来例の説明の中で示したと同様に、
ビーム直径2mmにコリメートされたビームを得るため
には、上記の面発光型の半導体レーザーを用いた場合の
コリメータレンズの焦点距離fcは約8mmとなる。ま
た、半導体レーザーアレイ341上での発光部の間隔δ
は50μm程度にできるので、ビームを4本直列に配置
した場合のδmaxは150μmである。従来の実施例
と同じ位置(コリメータレンズからの)に、偏向器の反
射面をおいた場合、反射面上でのビームの反射位置の間
隔qは1/5以下になる。ここで、fc/δmaxの値
は、先の従来例で示したものが、約10であったのに対
して、ここでは約53となっている。やはり先に示した
従来例と同様に、コリメータレンズから反射面までの距
離hを50mmとすると、反射面上での4本のビームの
さしわたし距離qは、先の式(9)によれば約0.94
mmとなり、ビームのコリメトー直径Wcに比べてさほ
ど問題となる値ではない。
【0167】特に、より高解像度の画像を形成するため
に、例えば像担持体上でのスポット直径dを50μmと
する場合、先の式に従えばコリメート直径Wcは倍の約
4mm程度になる。従ってコリメータレンズの焦点距離
fcも倍になり、反射面上でのビームの反射位置の間隔
qもさらに半分になる。
【0168】このように、各ビームを追跡していくと、
光軸上のどの位置においても、各レーザービームのなす
距離は、コリメート直径に比べてもさほど大きな値では
ないため、複数のレーザービームを扱う光学系ではあっ
ても、代表的な1つのビームについて光学設計をおこな
えばよく、レーザー走査系の設計が非常に容易になる。
結像スポットの精度を特に必要としない場合には、従前
の1本のレーザービームを用いたレーザービーム走査光
学系をそのまま転用することさえ可能である。
【0169】次に、面発光形の半導体レーザーにおいて
は、互いに干渉しない距離さえおけばどこにでも発光部
を置くことが可能なため、素子上に2次元状に発光部を
配列できる。素子基板上において間隔δで配置された発
光部から放射されたレーザービームは走査光学系の光学
倍率Mで拡大され、像面すなわち像担持体上で間隔δ′
のスポットに結像する。このMの値は概ね、コリメータ
レンズと走査レンズの焦点距離の比に等しい。
【0170】いま、4本のレーザービームで走査を行な
う露光系において、走査線と結像スポットの位置関係を
考える。ここでは1個の走査で互いに隣合う4本の走査
線を描くとする。ここで4つの結像スポット6のうち相
互に最も距離の大きいものをδ′maxとする。図32
(a)で示すよう結像スポットを配列すると、図32
(b)のように一直線に並べる場合に比べてδ′max
を小さくできる。像担持体上での結像スポットの配置
は、半導体レーザーアレイ上での発光部の配置に相似で
あるか、あるいは倒れ補正光学系がある場合などには、
副走査方向にさらにある倍率を掛けた写像関係にある。
よって、同じ光学系においてδ′maxが小さいという
ことは、δmaxも小さくなることを意味する。従っ
て、図32(b)の配置をとることで、先の式(9),
(10)もしくは式(11)においてqが小さくなり、
偏向装置の反射面の大きさをそれにあわせて小さくで
き、本発明の効果をより高めることができる。
【0171】上記の例はレーザービームが4本の場合を
示したが、レーザービームの数が更に増えた場合、像担
持体上でのスポットの位置が最も近接するよう、半導体
レーザーアレイ上の発光部の配置を自由に選べるので、
効果はより大きくなる。一例としてレーザービーム数が
8本のときの走査線に対する結像スポットの配置例を図
32(c)に示す。すなわち式(9)において、一直線
状に発光部を配置する場合はδmax=7×δである
が、図32(c)のように配置すれば実質的にδmax
=3×δとしてqの値を計算し、光学系の大きさを設計
すればよく、本発明の効果がより高められる。また、例
えば結像スポット306aと306eは走査方向に関し
て同じ位置にあるので、対応する発光部を同一のタイミ
ングで駆動できる。
【0172】面発光型半導体レーザーアレイを用いる
と、コリメータレンズの焦点距離が従来の端面発光型半
導体レーザーを用いた場合に比べて大きいため、半導体
レーザーとコリメータレンズの光軸方向の距離の誤差が
より大きく許容される。そのため、製造時の調整作業が
容易になるとともに、温度変動や、経年変化によるコリ
メータレンズの位置ずれの影響も受けにくくなる。
【0173】以上のように、本発明の画像形成装置によ
れば、半導体レーザーアレイから放射された複数のレー
ザービームをコリメータレンズで平行化し、ビーム偏向
器で偏向し、走査レンズを介して、像担持体上にスポッ
トを結像させ光書込を行なう。このときコリメータレン
ズの焦点距離fcは従来のものに比べて長く、かつ半導
体レーザーアレイ上の発光部の間隔δも小さい。特に面
発光型の半導体レーザーアレイを用いれば、射出するレ
ーザービームの拡がり角が小さいためコリメータレンズ
の焦点距離 fcは長くなり、また各発光部での発熱量
が少なく、相互の電気的、光学的干渉も少ないため、発
光部の間隔もより少なくできる。
【0174】また、倒れ補正レンズがない場合におい
て、1列に配置された各レーザービームの両端のビーム
の偏向器の反射面上での距離qは、前述の式(9)で表
わされる。
【0175】また倒れ補正レンズがある場合、副走査面
における両端のビームの倒れ補正レンズにおける距離
q′、及び偏向器の反射面上での距離qは、それぞれ式
(10)および式(11)で表わされる。式(9)およ
び式(10)においてq及びq′はfc/δmaxに反
比例することが分かる。また式(11)において、qは
q′に比例するので、やはりfc/δmaxに反比例す
る。この場合も走査面においては式(9)が適用でき
る。
【0176】すなわちこれら式(9)〜式(11)を見
直してみると、このfc/δmaxの逆数に光軸方向の
寸法に相当する値を掛けると、光軸直交方向のビーム間
の距離になることがわかる。一般に小型(ここではA4
程度の用紙に印字できるものとする)の画像形成装置に
おいては、光軸方向の光学要素間の間隔や焦点距離はお
おむね50mm前後の値をとる。この値をZとする。一
方、解像度から換算するとレーザービームのコリメート
直径は2 mm程度である。そこで、各レンズや反射面
でのビームの最大距離をコリメート直径と同じ程度にと
どめようとすると、δmax/fc×Zを2mm以下に
する事が望ましい。よって、fc/δmaxの値は25
以上が望ましい。
【0177】また、走査レンズにおいても同様に、走査
レンズに入射する複数のレーザービームの相互の距離の
最も遠いものの距離を上記のように2mm程度にする場
合、Zは100mm程度の値を考慮せねばならない。よ
って、上記の同じ計算を行なうとfc/δmaxは50
以上であることが望ましい。
【0178】このように、各レンズや反射面で複数のビ
ーム相互の距離の最大値が、レーザービームのコリメー
ト直径にくらべて同じ程度の数値であれば、1本のレー
ザービームを走査する光学系に比べて、各レンズや反射
面の大きさが著しく大きくなることはない。さらに、前
記のレーザービーム相互間の距離をコリメート直径にく
らべて小さくできるのであれば、複数のレーザービーム
を実質的に1つのレーザービームとして光学設計上取り
扱うことができる。
【0179】以上に説明した実施例は、本発明の一実施
例に過ぎず、例えば半導体レーザーは、射出ビームの拡
がり角が小さく、発光部の間隔が小さいものであれば同
等の効果を有する。また、コリメータレンズ、走査レン
ズの構成や、相対位置関係が変わっても本発明の効果は
同じく発揮される。また、偏向器の構造も回転多面鏡以
外にも、ガルバノミラーなどでも同一の効果を発揮する
ことは明らかである。
【0180】あるいは、先の実施例で述べた面発光型の
半導体レーザーアレイの構造は、コリメータレンズの焦
点距離に対して、発光部間の距離が先に示した所定の関
係を満たすものであれば、いかなるものであっても同様
の効果を得ることができる。
【0181】さらに、本発明の画像形成装置の応用範囲
は、プリンタ、複写機等の印刷装置のみならず、ファク
シミリ、ディスプレイにおいても全く同様な効果を有す
ることは言うまでもない。
【0182】4−3 効果 以上に述べたように本発明の画像形成装置においては、
複数のレーザービームを用いた露光方法をとりながら、
コリメータレンズの焦点距離と半導体レーザーアレイ発
光部の間隔をある条件を満たすような半導体レーザーア
レイを用いることにより、補助的な光学要素を付加する
ことなく、走査器の反射面の大きさや、各レンズの有効
径を小さくでき、走査光学系あるいは画像形成装置全体
の小型化、低価格化が可能となる。
【0183】また、複数のレーザービームがほぼ同一の
光路をとるため、1本のレーザービームを用いた走査光
学系と同様に設計ができるため設計工数が大幅に削減で
き開発期間が短縮されると同時に、生産設備が1本のレ
ーザービームを用いる走査光学系の場合と共通に利用で
き、非常に生産性が向上する。
【0184】さらに、複数のレーザービームが走査光学
系を構成する各光学系に入射する際に、そのいずれにお
いても、ビーム相互の距離が最も遠い2本に間隔がレー
ザービームのコリメート直径に比べて小さければ、従前
の1本のレーザービームを用いた走査光学系をそのまま
転用できる。つまり、1本のレーザービームを用いた画
像形成装置の走査光学系に一切変更を加えることなく、
レーザービームの本数を増加させるだけで、高速の画像
形成装置を製造することができ、製品の製造上の利益は
計り知れないものがある。
【0185】次にレーザービームの拡がり角が小さくな
ることにより、コリメータレンズと半導体レーザーアレ
イの距離を大きく取れるため、コリメータレンズの光軸
方向の調整余裕が増し、生産性が上がると同時に、経年
劣化や使用時の温度変動の影響を受けずに一定のスポッ
ト直径で、露光が可能となり、画像品質が向上する。
【0186】§5 画像形成装置の第5の実施例 5−1 背景技術の対比 本実施例をより良く理解するため、はじめに背景技術に
ついて述べる。
【0187】従来の画像形成装置の走査光学系は例えば
特開平3−248114号公報に開示されている(図4
1参照)。図41において光源は、射出されるビームの
中心軸が、素子基板面に対し概ね平行となる端面発光半
導体レーザーアレイ420が用いられ、コリメータレン
ズ402の物体側焦平面に配置されている。コリメータ
レンズ402の像側焦点位置には、開口絞り403が設
けられている。
【0188】しかしながら、前述したような従来技術で
は、端面発光半導体レーザーのビーム拡がり角や、各々
の発光部の間隔が大きいため、複数のビームの断面が重
なり合う位置は、コリメータレンズの像側焦点位置のご
く近傍に限られる。特に多数のビームが一列に配置され
るとき、その両端のビームの断面が重なり合う位置は、
さらに限られた範囲となる。従って、開口絞りを配置す
る位置も、そのわずかな範囲に限られてしまい、設計上
の自由度が小さいという問題点を有している。
【0189】また、一般に光学系では、レンズの保持枠
を開口絞りとして用いることもあり、そうすれば、別個
に開口絞りを設ける必要がない。ところが、前述した従
来技術では、コリメータレンズの位置では複数のビーム
の断面が重なり合わないため、コリメータレンズの保持
枠を開口絞りとして用いることができないという問題点
をも有している。
【0190】5−2 本発明の構成 図38は本発明の画像形成装置の構成図である。電子写
真式プリンターの画像形成プロセスについて以下に説明
する。帯電器451により像担持体407に一様な電荷
が与えられ、走査光学系452で像担持体407上を露
光走査することにより潜像を形成する。次に現像器 4
53で潜像上に現像剤を付着させて顕像化し、転写器4
54で顕像を構成する現像剤を紙等の転写材455上に
転写し、定着器456で現像剤を加熱溶融させて転写材
455上に定着させる。
【0191】図37は本発明の実施例を示す走査光学系
の構成図である。光源は、射出されるビームの中心軸
が、素子基板422面に対し概ね垂直となる面発光半導
体レーザーアレイ401である。面発光半導体レーザー
アレイ401の発光部401aから射出された複数のビ
ームは、コリメータレンズ402で平行化され、開口絞
り403を通過し、偏向装置である回転多面鏡404の
一つの偏向面405に入射する。回転多面鏡404の回
転に伴って反射ビームが偏向走査され、結像レンズ40
6を通過して、像担持体407上に結像される。
【0192】なお、発光部401aは、制御装置460
により個別にその点灯および光量が制御される。
【0193】ところで、一般に端面発光、面発光に関わ
らず、半導体レーザーからの出力ビームの拡がり角は、
発光部ごとにある程度ばらつきがあり、コリメータレン
ズ402で平行化されたビーム径もばらつく。しかしな
がら、複数のビームの断面が概ね重なり合う位置に開口
絞り403を設け、開口絞り403の径を平行ビーム径
とほぼ同等かあるいはそれより小さく設定すれば、開口
絞り403通過後の複数の平行ビーム径は均一になる。
その結果、像担持体407上に結像されるスポット径も
均一になり、安定した良好な印字品質が得られ、装置ご
との印字品質の差もないものとなる。ここで、ビーム拡
がり角およびその径とは、ビーム断面の強度分布のガウ
ス分布を成しているものとし、それぞれ中心強度の1/
2となる角度の全角、および中心強度の1/eとなる
位置を表す直径のことである。
【0194】開口絞りによりビーム径が均一化される効
果について説明する。レーザービームを開口絞りで絞る
と、波動光学としての性質である回折が起こる。開口絞
りの中心と入射ビームの中心が一致している場合、回折
を考慮した像担持体上の結像スポット直径dは、
【数15】 で表される。ここでkは定数、λはレーザービームの波
長、fは結像レンズの焦点距離、Dは開口絞りの直径で
ある。さらに、開口絞りへ入射するビームの直径dと開
口絞りの直径Dとの比を、裁断比T=d/Dとすると、
定数kは、
【数16】 により計算される(「レーザ&オプティクスガイドII」
日本メレスグリオ株式会社)。
【0195】一例として、開口絞りの直径Dを1とし、
入射ビームの直径dが1を中心に±20%のばらつきを
持っている場合、結像スポットの直径のばらつきは、+
5.9%〜−3.1%に抑えられる。このように、開口
絞りはビーム径のばらつきに対して、結像スポット径の
ばらつきを小さく抑える効果がある。
【0196】開口絞りを、光路上の複数のビームの断面
の少なくとも一部が重なり合う位置であって、しかも開
口絞りを通過した後の複数のビームのうち、パワーが最
大であるビームについて、そのパワーを1としたとき
に、その他全てのビームのパワーが各々0.9以上とな
る位置に配置すれば、通過後のビームのパワーのばらつ
きが10%以下に抑えられる。この程度のばらつきであ
ると、印字の濃度むらのない良好な印字品質が得られ
る。
【0197】ここで、図39に示すような系で、上記の
条件を満足する開口絞り403の位置について具体的に
説明する。ここで図39(a)は走査光学系の側面図。
図39(b)は開口絞り403の位置における断面図で
ある。面発光型半導体レーザーアレイ401は、その特
性上、拡がり角を10度以下で発光部の間隔を0.05
mm以下にすることが可能である。図39において、発
光部A410、発光部B411の間隔Δを0.05mm
とし、発光部A410を光学系の光軸412上に置く。
各々の発光部410、411から射出されたビームを、
それぞれビームA413、ビームB414とする。各々
の射出ビームの拡がり角θは共に10度であり、コリメ
ータレンズ402の焦点距離fcを10mm、コリメー
タレンズ402から回転多面鏡の偏向面405までの距
離hを100mmとする。この場合、ビームの直径dは
3.0mmとなる。開口絞り403の中心は光軸412
上にあり、その直径Dはビーム直径dと等しいものとす
る。
【0198】レーザービームの断面強度分布がガウス分
布をなしているとすると、断面強度Iは、
【数17】 で表される。ここで、Pはビーム全体のパワー、wはビ
ームの半径、xはビーム中心からの距離である。ビーム
A413が開口絞り403を通過した後のパワーは、上
式を、
【数18】 式(15)のように積分することにより求められ、その
値は通過前のパワーPの86.5%である。従って、ビ
ームB414については、開口絞り403通過後のパワ
ーは通過前のパワーに比して、 86.5×0.9=77.9(%) 以上でなければならない。次に、ビームB414が開口
絞り403を通過した後のパワーを求める。開口絞り4
03の面における、ビームB414の中心軸と光軸41
2との距離をtとすると、開口絞り403通過直前の断
面強度Iは円筒座標系を用いて、
【数19】 と表される。ここで、図39(b)に示すようにrは光
軸412から開口絞り403上の任意の点Aまでの距
離、φは光軸412とビームB414の中心軸414a
とが作る平面Bと、光軸412と点Aとを結んだ線との
なす角である。開口絞り3通過後のビームB14のパワ
ーは上式を
【数20】 で積分することで求められ、tとビーム直径dとの比が
0.200のとき、開口絞り403通過後のパワーは通
過前のパワーPに比して77.9%となり、先の値と同
じとなる。つまり、t/dが0.200以下となる位置
に開口絞り403を置けば、開口絞り403通過後のビ
ームA413、ビームB414のパワーの差は10%以
下となる。開口絞り403がコリメータレンズ402の
位置、あるいは回転多面鏡の偏向面405の位置に置か
れたとすると、tの距離はそれぞれ0.05mm、0.
45mmであり、t/dはそれぞれ0.017、0.1
5となり、いずれも0.200より小さい。従って、開
口絞り403はコリメータレンズ402と回転多面鏡の
偏向面405との間の任意の位置に置くことができ、設
計上の自由度を大きくとることができる。また、ビーム
を一列に配置し数を増加させたときでも、コリメータレ
ンズ402の位置に開口絞り403を設定することがで
きる。コリメータレンズ402の位置に開口絞り403
を配置することが可能なので、コリメータレンズ402
の保持枠を開口絞りとして用いればよく、別個に開口絞
りを設ける必要がないため、走査光学系の構成要素を削
減することができる。
【0199】なお、この実施例では、開口絞りをコリメ
ータレンズと回転多面鏡との間に設けたが、上記の条件
を満足させる位置ならば、面発光半導体レーザーアレイ
とコリメータレンズとの間に設けてもよい。また、光源
と回転多面鏡との間に設ける光学系は、ビームを平行化
させるためのコリメータレンズに限らなくてもよい。
【0200】図40は他の実施例を示す半導体レーザー
から回転多面鏡までの部分の構成図である。開口絞り4
03は、複数のビームの中心軸が光軸412と交差する
位置に設けられている。
【0201】このような構成によると、開口絞り403
の面では複数のビームの中心軸が完全に一致するため、
先の実施例と比較して、さらに結像スポット径の均一
性、および結像スポットのパワーの均一性が高くなる。
結像スポットのこれらの諸特性に関して、より高い特性
が要求される場合に、この構成を採用すればよい。な
お、この実施例でも、光源と回転多面鏡との間に設ける
光学系は、ビームを平行化させるためのコリメータレン
ズに限らなくてもよい。
【0202】5−3 効果 以上説明したように、本発明によれば、面発光半導体レ
ーザーアレイと偏向器との間の光路上の、複数のビーム
断面が概ね重なり合う位置に開口絞りを設けることによ
り、ビーム拡がり角がばらついても、結像スポット径を
均一にすることができ、安定した良好な印字品質が得ら
れるという効果を有する。また、半導体レーザーアレイ
と偏向器の間の光路上の、広い範囲の任意の位置に開口
絞りを設けることができ、あるいは、コリメータレンズ
の保持枠を開口絞りとして用いることも可能となり、設
計上の自由度も大きくなるという効果をも有する。
【0203】§6 画像形成装置の第6の実施例 6−1 背景技術との対比 本実施例をより良く理解するため、はじめに背景技術に
ついて述べる。
【0204】従来、半導体レーザーアレイを用いた画像
形成装置の走査光学系は、例えば特開平3−24811
4号公報に開示されており、図43のような構成であ
る。半導体レーザーアレイ501は、コリメータレンズ
502の物体側焦平面に配置されている。コリメータレ
ンズ502の像側焦点位置には、開口絞り503が設け
られている。
【0205】しかしながら、前述したような従来技術で
は、開口絞りを配置する位置が、コリメータレンズの像
側焦点位置のみに限られているので、設計上の自由度が
小さく、また、一般に光学系では、レンズの保持枠を開
口絞りとして用いることがあるが、従来技術ではそのよ
うな構成にすることもできないという問題点を有してい
る。
【0206】6−2 本発明の構成 図48は本発明による画像形成装置の構成図であり、そ
の画像形成プロセスについて説明する。帯電器551に
より像担持体507に一様な電荷が与えられ、走査光学
系552で像担持体507上を露光走査することにより
潜像を形成し、現像器553で潜像上に現像剤を付着さ
せて顕像化する。次に転写器554で顕像を構成する現
像剤を紙等の転写材555上に転写し、定着器556で
現像剤を加熱溶融させて転写材555上に定着させる。
【0207】図42は本発明の実施例を示す走査光学系
の構成図である。半導体レーザーアレイ501から射出
された複数のビームは、コリメータレンズ502で平行
化され、開口絞り503を通過し、偏向装置である回転
多面鏡504の一つの偏向面505に入射する。回転多
面鏡504の回転に伴って反射ビームが偏向走査され、
結像レンズ506を通過して、像担持体507上に結像
される。
【0208】図42および図49において、半導体レー
ザーアレイ501と偏向器504との間の光路上に開口
絞り503が設けられ、コリメータレンズ502の焦点
距離をf、コリメータレンズ502の偏向器504側の
焦点と開口絞り503との間隔をs、コリメータレンズ
502の光軸から最も離れた位置に配置された発光部と
光軸との間隔をt、開口絞り503の直径をD、平行ビ
ームの直径をdとすると、
【数21】 となっている。
【0209】また式(18)、(19)の代わりに、
【数22】 なる条件を満足していても良い。
【0210】一般に半導体レーザー501からの出力ビ
ームの拡がり角は、発光部ごとにある程度ばらつきがあ
り、コリメータレンズ502で平行化されたビーム径も
ばらつく。しかしながら、複数のビームの断面が概ね重
なり合う位置に開口絞り503を設け、開口絞り503
の径を平行ビーム径dとほぼ同等かあるいはそれより小
さく設定すれば、開口絞り503通過後の複数の平行ビ
ーム径dは均一になる。その結果、像担持体505上に
結像されるスポット径も均一となり、安定した良好な印
字品質が得られ、装置ごとの印字品質の差もないものと
なる。ここで、ビーム拡がり角およびその径とは、ビー
ム断面の強度分布がガウス分布を成しているものとし、
それぞれ中心強度の1/2となる角度の全角、および中
心強度の1/eとなる位置を表す直径のことであ
る。
【0211】開口絞り503によりビーム径が均一化さ
れる効果について説明する。レーザービームを開口絞り
503で絞ると、波動光学としての性質である回析が起
こる。開口絞り503の中心と入射ビームの中心が一致
している場合、回析を考慮した像担持体505上の結像
スポット直径dは、
【数23】 で表わされる。
【0212】ここでkは定数、λはレーザービームの波
長、fは結像レンズの焦点距離、Dは開口絞りの直
径である。さらに、開口絞りへ入射するビームの直径d
と開口絞りの直径Dとの比を、裁断比T=d/Dとする
と、定数kは、
【数24】 により計算される(「レーザ&オプティクスガイドII」
日本メレスグリオ株式会社)。
【0213】一例として、開口絞り503の直径Dを1
とし、入射ビームの直径dが1を中心に±20%のばら
つきを持っている場合、結像スポットの直径のばらつき
は、+5.9%〜−3.1%に抑えられる。このよう
に、開口絞り503はビーム径のばらつきに対して、結
像スポット径のばらつきを小さく抑える効果がある。
【0214】コリメータレンズ502により平行化され
たビーム断面の強度分布は、概ねガウス分布をなしてお
り、図44に示すように、平行ビームが開口絞り503
を通過するとビームの周辺部がけられるため、通過前に
比べて通過後のビームのパワーは低下する。図45のよ
うに、開口絞り503をコリメータレンズ502の偏向
器側焦点に配置すれば、開口絞り503を通過する複数
のビームの中心軸は全て一致するため、各々のビームに
ついて、開口絞り503を通過することによるパワーの
低下率は等しい。しかしながら、開口絞り503を配置
しうる位置が、コリメータレンズ502の偏向器側焦点
の位置のみに限られると、設計上の自由度は小さいもの
となってしまう。
【0215】図46に示すように、開口絞り503をコ
リメータレンズ502の偏向器側焦点からずれた位置に
配置すると、開口絞り503を通過する複数のビームの
中心軸はお互いにずれることになり、コリメータレンズ
の光軸510に沿ったビーム511aと、光軸510に
対して傾きを持ったビーム511bとでは、開口絞り5
03を通過する際のけられ方が異なる。その様子を示し
たものが図 47である。図47(a)はビーム511
aを、図47(b)はビーム511bを各々示してお
り、それぞれビームの断面強度分布が開口絞りによりけ
られる部分を斜線部で示してある。開口絞り503通過
後のパワーはビームごとに差があり、ビーム511bに
比べてビーム511aのパワーの方が大きい。その差が
ある程度以上大きくなると、印字したときに濃度むらと
なって現れてしまう。しかしながら、開口絞り通過後の
パワーにばらつきがあっても、ある程度の範囲内であれ
ば、実質的に良好な印字品質を得ることができる。従っ
て、その許容範囲に対応した、開口絞りを配置しうる許
容範囲も存在する。
【0216】式(18)に示す条件を満足させると、開
口絞り503通過後のビームのパワーのばらつきは20
%以下に抑えられる。ただし式(18)の条件は近似式
であり、式(19)の条件の範囲内で成立する。また、
式(20)の条件を満足させると、開口絞り503通過
後のビームのパワーのばらつきは5%以下に抑えられ
る。ただし式(20)の条件は近似式であり、式(2
1)の範囲内で成立する。
【0217】本発明人が行った実験によれば、画像形成
装置で文字や線のみの印字を行う場合には、結像スポッ
トのパワーのばらつきが約20%以下であると良好な印
字が得られ、それよりばらつきが大きいと印字品質が悪
化する。また、グラフィック出力などで中間調のパター
ンを印字したり、細かい網点などを印字する場合には、
結像スポットのパワーのばらつきが濃度むらとなって現
れやすく、良好な印字品質を得るためには、そのばらつ
きを約5%以下にする必要がある。従って、式(18)
の条件および式(19)の条件は文字や線のみの印字を
用途とする画像形成装置に適した条件であり、式(2
0)の条件および式(21)の条件は文字の印字に加
え、中間調や網点などの印字をも用途とする画像形成装
置に適した条件である。
【0218】上記の各条件によると、半導体レーザーア
レイ511と偏向装置504の間の光路上の、広い範囲
の任意の位置に開口絞り503を設けることができ、設
計上の自由度が大きくなる。あるいは、コリメータレン
ズ502の保持枠を開口絞りとして用いることも可能と
なり、そうすれば別個に開口絞りを設ける必要がなく、
走査光学系の構成要素を削減することができる。
【0219】次に一例として図49に示すような系で、
前記の各条件を満足する開口絞り503の位置について
具体的に計算する。半導体レーザーアレイ501とし
て、面発光半導体レーザーアレイを用いた場合を考え
る。面発光半導体レーザーとは、射出するビームの中心
軸が、素子基板面に対して概ね垂直となる半導体レーザ
ーである。面発光半導体レーザーアレイ501は、その
特性上、拡がり角を10度以下に、発光部の間隔を0.
05mm以下にすることが可能である。そこで、2個の
発光部からなる半導体レーザーアレイ501を考え、発
光部512a、発光部512bの間隔tを0.05mm
とし、発光部512aをコリメータレンズ502の光軸
510上に置く。なお、これら発光部512a,512
bの点灯および光量は、制御装置560により制御され
る(図42)。各々の発光部から射出されたビームを、
それぞれビーム511a、ビーム511bとする。各々
の射出ビームの拡がり角θを共に10度とし、コリメー
タレンズ502の焦点距離fを10mm、コリメータレ
ンズ502から回転多面鏡の偏向面505までの距離h
を50mmとする。この場合、ビームの直径dは3.0
mmとなる。開口絞り503の中心は光軸510上にあ
り、その直径Dはビーム直径dと等しいものとする。
【0220】D/d=1であるため、式(19)の条件
および式(21)の条件は共に満足される。式(18)
の条件によるとs≦58mmとなり、開口絞り503は
コリメータレンズ502と回転多面鏡の偏向面505と
の間の任意の位置に置くことができる。また、式(2
0)の条件によるとs≦28mmとなり、開口絞り50
3はコリメータレンズ502と、コリメータレンズ50
2の偏向面505側焦点から偏向面505側に28mm
の位置との間の任意の位置に置くことができる。また、
発光部を一列に配置し数を増加させ、tが増加したとき
でも、式(18)および式(19)の条件のもとにおい
ては、発光部が12個以内であれば、開口絞り503を
設定できる。また、式(20)および式(21)の条件
のもとにおいては、発光部が6個以内であれば、コリメ
ータレンズ502の位置に開口絞り503を設定するこ
とができる。コリメータレンズ502の位置に開口絞り
503を配置することが可能ならば、コリメータレンズ
502の保持枠を開口絞りとして用いることもでき、そ
うすれば別個に開口絞りを設ける必要がないため、走査
光学系の構成要素を削減することができる。
【0221】6−3 効果 以上説明したように、本発明によれば、半導体レーザー
アレイと偏向器との間の光路上に開口絞りが設けられ、
式(18)の条件および式(19)の条件を満足するこ
とにより、ビーム拡がり角がばらついても、結像スポッ
ト径を均一にすることができ、安定した良好な印字品質
が得られるという効果を有する。また、文字や線の印字
品質を良好に保ちつつ、半導体レーザーアレイと偏向器
の間の光路上の、広い範囲の任意の位置に開口絞りを設
けることができ、あるいは、コリメータレンズの保持枠
を開口絞りとして用いることも可能となり、設計上の自
由度も大きくなるという効果をも有する。
【0222】また、半導体レーザーアレイと偏向器との
間の光路上に開口絞りが設けられ、式(20)の条件お
よび式(21)の各条件を満足することにより、ビーム
拡がり角がばらついても、結像スポット径を均一にする
ことができ、安定した良好な印字品質が得られるという
効果を有する。また、文字の印字に加え、中間調や網点
などの印字品質をも良好に保ちつつ、半導体レーザーア
レイと偏向器の間の光路上の、広い範囲の任意の位置に
開口絞りを設けることができ、あるいは、コリメータレ
ンズの保持枠を開口絞りとして用いることも可能とな
り、設計上の自由度も大きくなるという効果をも有す
る。
【0223】<産業上の利用可能性>本発明による画像
形成装置は、電子写真プロセスにより紙上に高速で印刷
を施すことができる。このような画像形成装置は、コン
ピュータ、ファクシミリ、多機能複写機等の出力装置と
して広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像形成装置の第1の実施例を示
すレーザー走査光学系の概略図。
【図2】画像形成装置を示す側面図。
【図3】面発光型半導体レーザーアレイの光共振器の断
面図。
【図4】位相同期の面発光型半導体レーザーアレイの発
光部を示す斜視図。
【図5】走査線に対するスポット位置の関係を示す配置
図。
【図6】位相同期の面発光型半導体レーザーアレイの発
光部の光共振器の配置図。
【図7】一般的な端面発光型半導体レーザーアレイの概
念図。
【図8】一般的なレーザ走査光学系の光路断面図。
【図9】走査線に対するスポット位置の関係を示す配置
図。
【図10】一般的な金属ミラーのP偏向およびS偏向の
反射率を示す説明図。
【図11】レーザービームのコリメート径の調整方法を
示す概略図。
【図12】本発明による画像形成装置の第2の実施例を
示すレーザー走査光学系の概略図。
【図13】画像形成装置を示す側面図。
【図14】面発光型半導体レーザーの光共振器の断面
図。
【図15】位相同期の面発光型半導体レーザーアレイの
発光部を示す斜視図。
【図16】位相同期の面発光型半導体レーザーアレイの
発光部の光共振器の配置図。
【図17】一般的なレーザ走査光学系の走査線と直角方
向の光軸断面図。
【図18】一般的な半導体レーザーの概略図。
【図19】一般的な金属ミラーのP偏向およびS偏向の
反射率を示す説明図。
【図20】本発明による画像形成装置の第3の実施例を
示すレーザ走査光学系の概略図。
【図21】画像形成装置を示す側面図。
【図22】走査面内での光路断面図。
【図23】面発光型半導体レーザーの光共振器の断面
図。
【図24】走査線に対するスポット位置の関係を示す配
置図。
【図25】ビーム偏向装置の平面図。
【図26】一般的な回転多面鏡を用いたビーム偏向装置
の作動図。
【図27】一般的なレーザービーム走査光学系の光路断
面図。
【図28】一般的な端面発光型半導体レーザーの概略
図。
【図29】本発明による画像形成装置の第4の実施例を
示すレーザー走査光学系の概略図。
【図30】画像形成装置を示す側面図。
【図31】面発光型半導体レーザーの光共振器の断面
図。
【図32】走査線に対するスポット位置の関係を示す配
置図。
【図33】一般的なレーザービーム走査光学系の光路断
面図。
【図34】一般的なマルチビーム走査方式における光路
断面図。
【図35】一般的な端面発光型半導体レーザーの概略
図。
【図36】一般的な倒れ補正レンズを含む光路断面図。
【図37】本発明による画像形成装置の第5の実施例を
示すレーザー走査光学系の概略図。
【図38】画像形成装置を示す側面図。
【図39】走査光学系における光源付近の構成図。
【図40】他の実施例を示す走査光学系における光源付
近の構成図。
【図41】一般の走査光学系における光源付近の構成
図。
【図42】本発明による画像形成装置の第6の実施例を
示すレーザー走査光学系の概略図。
【図43】一般の走査光学系における光源付近の構成
図。
【図44】開口絞りによってビームがけられることを示
す説明図。
【図45】コリメータレンズの焦点位置に開口絞りを設
けた場合の光線図。
【図46】コリメータレンズの焦点位置からはずれた位
置に開口絞りを設けた場合の光線図。
【図47】ビーム断面強度分布がけられる様子を示す
図。
【図48】画像形成装置を示す側面図。
【図49】走査光学系における光源付近の構成図。
【符号の説明】
3 偏光装置 5 像坦持体 21 半導体レーザーアレイ 21a 発光部 22 素子基板 52 帯電器 53 レーザービーム走査装置 105 像坦持体 121 半導体レーザー 121a 発光部 122 素子基板 152 帯電器 153 レーザービーム走査装置 155 現像器 205 像坦持体 202 コリメータレンズ 204 走査レンズ 218 偏光装置 221 半導体レーザーアレイ 253 レーザービーム走査装置 255 現像器 302 コリメータレンズ 305 像坦持体 341 半導体レーザーアレイ 341a 発光部 353 レーザービーム走査装置 355 現像器 401 半導体レーザーアレイ 401a 発光部 404 偏光装置 407 像坦持体 422 素子基板 451 帯電器 453 現像器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04N 1/113 B41J 3/00 D 1/29 H04N 1/04 104A (31)優先権主張番号 特願平4−33413 (32)優先日 平成4年2月20日(1992.2.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−81044 (32)優先日 平成4年4月2日(1992.4.2) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−81045 (32)優先日 平成4年4月2日(1992.4.2) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−81047 (32)優先日 平成4年4月2日(1992.4.2) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−81048 (32)優先日 平成4年4月2日(1992.4.2) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 高 田 球 長野県諏訪市大和三丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−226220(JP,A) 特開 平2−54981(JP,A) 特開 平3−78281(JP,A) 特開 平3−248114(JP,A) 特開 昭64−44085(JP,A) 特開 昭63−17583(JP,A) 特開 昭54−66131(JP,A) 特開 昭61−56316(JP,A) 実開 昭61−53725(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 26/10 B41J 2/44

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に静電潜像形成される像担持体(5)
    と、この像担持体(5)の表面を帯電させる帯電器(5
    2)と、帯電した前記像担持体(5)の表面に対して複
    数のレーザービームを走査するレーザービーム走査装置
    (53)と、レーザービームが走査された前記像担持体
    (5)の表面に現像剤を付着させる現像器(55)とを
    備え、前記レーザービーム走査装置(53)は素子基板
    (22)上にレーザービームの発光部(21a)が複数
    形成された半導体レーザーアレイ(21)と、前記発光
    部(21a)からのレーザービームを前記像担持体
    (5)の表面へ偏向させる偏向装置(3)とを有し、前
    記発光部(21a)は前記半導体レーザーアレイ(2
    1)表面に2次元状に配置されるとともに、各発光部
    (21a)は個別にその点灯および光量が制御可能であ
    り、 半導体レーザーアレイの発光部は、素子基板面に対し略
    垂直な光軸を有し、 各発光部はレーザビームを射出する射出窓を有し、射出
    窓の形状は楕円断面ビームを形成するよう定められてい
    ることを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】半導体レーザーアレイの発光部(21a)
    は、素子基板(22)面上に配置された反射率の異なる
    一対の反射鏡(23,28)と、これら一対の反射鏡
    (23,28)の間に配置されるととも柱状のクラッド
    層(26)を含む多層の半導体層とを有する光共振器
    と、前記柱状のクラッド層(26)の周囲に埋め込まれ
    たII−VI族化合物半導体エピタキシャル層(32)とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】II−VI族化合物半導体エピタキシャル層
    (32)は、II族元素であるZn、Cd、Hgと、VI族
    元素であるO、S、Se、Teとを2元素、3元素また
    は4元素組み合わせた半導体エピタキシャル層であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】II−VI族化合物半導体エピタキシャル層
    (32)の格子定数が、半導体層(24,25,26)
    の格子定数と一致していることを特徴とする請求項2記
    載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】柱状に形成されたクラッド層(26)は半
    導体層に設けられた分離溝により形成され、II−VI族化
    合物半導体エピタキシャル層(32)は前記分離溝内に
    埋め込み形成されるとともに、多層の半導体層は前記分
    離溝下方に配置された活性層(25)を有し、これによ
    り各光共振器での光の位相が同期していることを特徴と
    する請求項2記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】半導体レーザーアレイ(21)の発光部
    (21a)からのレーザービームの拡がり角が半値全角
    で20度以内であることを特徴とする請求項1記載の画
    像形成装置。
  7. 【請求項7】半導体レーザーアレイ(21)の発光部
    (21a)から射出されるレーザービームが、平行化さ
    れることなく偏向装置に入射することを特徴とする請求
    項1記載の画像形成装置。
  8. 【請求項8】素子基板上にレーザービームの発光部(2
    1a)が複数形成された半導体レーザーアレイ(21)
    と、前記発光部(21a)からのレーザービームを偏向
    させる偏向装置(3)とを有し、前記発光部(21a)
    は前記半導体アレイ(21)表面に2次元状に配置され
    るとともに、各発光部(21a)は個別にその点灯およ
    び光量が制御可能となっており、 半導体レーザーアレイの発光部は、素子基板面に対し略
    垂直な光軸を有し、 各発光部はレーザビームを射出する射出窓を有し、射出
    窓の形状は楕円断面ビームを形成するよう定められてい
    ることを特徴とするレーザービーム走査装置。
  9. 【請求項9】表面に静電潜像が形成される像担持体(1
    05)と、この像担持体(105)の表面を帯電させる
    帯電器(152)と、帯電した前記像担持体(105)
    の表面に対してレーザービームを走査するレーザービー
    ム走査装置(153)と、レーザービームが走査された
    前記像担持体(105)の表面に現像剤を付着させる現
    像器(155)とを備え、前記レーザービーム走査装置
    (153)は素子基板(122)上にレーザービームの
    発光部(121a)が形成された半導体レーザー(12
    1)と、前記発光部(121a)からのレーザービーム
    を前記像担持体の表面へ偏向させる偏向装置(103)
    とを有し、前記発光部(121a)は前記素子基板(1
    22)面に対し略垂直な光軸を有し、発光部はレーザビ
    ームを射出する射出窓を有し、射出窓の形状は楕円断面
    ビームを形成するよう定められていることを特徴とする
    画像形成装置。
  10. 【請求項10】半導体レーザーの発光部(121a)
    は、素子基板(122)面上に配置された反射率の異な
    る一対の反射鏡(123,128)と、これら一対の反
    射鏡の間に配置されるととも柱状のクラッド層(12
    6)を含む多層の半導体層とを有する光共振器と、前記
    柱状のクラッド層(126)の周囲に埋め込まれたII−
    VI族化合物半導体エピタキシャル層(132)とを備え
    たことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】II−VI族化合物半導体エピタキシャル層
    (132)は、II族元素であるZn、Cd、Hgと、VI
    族元素であるO、S、Se、Teとを2元素、3元素ま
    たは4元素組み合わせた半導体エピタキシャル層である
    ことを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】II−VI族化合物半導体エピタキシャル層
    (132)の格子定数が、半導体層(124,125,
    126)の格子定数と一致していることを特徴とする請
    求項10記載の画像形成装置。
  13. 【請求項13】柱状に形成されたクラッド層(126)
    は半導体層に設けられた分離溝により形成され、II−VI
    族化合物半導体エピタキシャル層(132)は前記分離
    溝内に埋め込み形成されるとともに、多層の半導体層は
    前記分離溝下方に配置された活性層(125)を有し、
    これにより各光共振器での光の位相が同期していること
    を特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
  14. 【請求項14】半導体レーザー(121)の発光部(1
    21a)から射出されるレーザービームの拡がり角が半
    値全角で20度以内であることを特徴とする請求項9記
    載の画像形成装置。
  15. 【請求項15】半導体レーザー(121)の発光部(1
    21a)から射出されるレーザービームが、平行化され
    ることなく偏向装置(103)に入射することを特徴と
    する請求項9記載の画像形成装置。
  16. 【請求項16】素子基板(122)上にレーザービーム
    の発光部(121a)が形成された半導体レーザー(1
    21)と、前記発光部(121a)からのレーザービー
    ムを偏向させる偏向装置(103)とを有し、前記発光
    部(121a)は前記素子基板(122)面に対し略垂
    直な光軸を有し、発光部はレーザビームを射出する射出
    窓を有し、射出窓の形状は楕円断面ビームを形成するよ
    う定められていることを特徴とするレーザービーム走査
    装置。
  17. 【請求項17】表面に静電潜像が形成される像担持体
    (205)と、この像担持体の表面を帯電させる帯電器
    (252)と、帯電した像担持体の表面に対して複数の
    レーザービームを走査するレーザービーム走査装置(2
    53)と、レーザービームが走査された像担持体の表面
    に現像剤を付着させる現像器(255)とを備え、前記
    レーザービーム走査装置(253)は複数のレーザービ
    ームを射出する半導体レーザーアレイ(221)と、前
    記複数のレーザービームの各々を平行化するコリメータ
    レンズ(202)と、前記コリメーターレンズ(20
    2)で平行化された複数のレーザービームの方向を周期
    的に偏向する偏向装置(218)と、前記偏向装置(2
    18)によって偏向されたレーザービームを前記像担持
    体(205)上に結像させる走査レンズ(204)とを
    有し、前記偏向装置(218)は1つの反射面を有する
    回転鏡であり、 半導体レーザーアレイ(221)は、素子基板上に2次
    元状に配置された複数の発光部(221a)を有し、各
    発光部は、素子基板面に対し略垂直な光軸を有するよう
    なレーザービームを射出するとともに、前記各発光部
    (221a)は別個にその点灯及び光量を制御可能であ
    り、各発光部はレーザビームを射出する射出窓を有し、
    射出窓の形状は楕円断面ビームを形成するよう定められ
    ていることを特徴とする画像形成装置。
  18. 【請求項18】走査レンズ(204)及びコリメータレ
    ンズ(202)は、その光軸を含む全ての面内において
    等方的な光学的特性を有することを特徴とする請求項1
    7記載の画像形成装置。
  19. 【請求項19】回転鏡(218)の反射面は、回転鏡
    (218)の回転軸を幾何学的に含む形で置かれ、前記
    複数のレーザービームの内の少なくとも1つ、もしくは
    複数のビームの中心軸が、前記反射面上の前記回転軸位
    置近傍で前記反射面に反射され偏向されることを特徴と
    する請求項17記載の画像形成装置。
  20. 【請求項20】像担持体(205)上に走査レンズ(2
    04)によって結像される結像スポット(206)が、
    おおむね走査方向に短軸を有する楕円または長円であ
    り、かつ前記半導体レーザーアレイから射出されるレー
    ザービームの拡がり角の走査方向とその直交方向の比
    が、前記結像スポット(206)の長径と短径の比の逆
    数であることを特徴とする請求項17記載の画像形成装
    置。
  21. 【請求項21】複数のレーザービームを射出する半導体
    レーザーアレイ(221)と、前記複数のレーザービー
    ムの各々を平行化するコリメータレンズ(202)と、
    前記コリメーターレンズで平行化された複数のレーザー
    ビームの方向を周期的に偏向する偏向装置(218)
    と、前記偏向装置(218)によって偏向されたレーザ
    ービームを像担持体(205)上に結像させる走査レン
    ズ(204)とを有し、前記偏向装置(218)は1つ
    の反射面を有する回転鏡であり、半導体レーザーアレイ
    (221)は、素子基板上に2次元状に配置された複数
    の発光部(221a)を有し、各発光部は、素子基板面
    に対し略垂直な光軸を有するようなレーザビームを射出
    するとともに、前記各発光部(221a)は別個にその
    点灯および光量が制御可能であり、各発光部はレーザビ
    ームを射出する射出窓を有し、射出窓の形状は楕円断面
    ビームを形成するよう定められていることを特徴とする
    レーザービーム走査装置。
  22. 【請求項22】表面に静電潜像が形成される像担持体
    (305)と、この像担持体の表面を帯電させる帯電器
    (352)と、帯電した像担持体の表面に対して複数の
    レーザービームを走査するレーザービーム走査装置(3
    53)と、レーザービームが走査された像担持体(30
    5)の表面に現像剤を付着させる現像器(355)とを
    備え、前記レーザービーム走査装置(353)はレーザ
    ービームを射出する発光部(341a)を複数有する半
    導体レーザーアレイ(341)と、前記複数のレーザー
    ビームの各々を平行化するコリメータレンズ(302)
    と、前記コリメーターレンズ(302)でコリメートさ
    れた複数のレーザービームの方向を周期的に偏向する偏
    向装置(303)と、前記偏向装置(303)によって
    偏向されたレーザービームを前記像担持体(305)上
    に結像させる走査レンズ(304)とを有し、前記コリ
    メータレンズ(302)の焦点距離をfc、前記半導体
    レーザーアレイ(341)上の複数の発光部(341
    a)うち、相互の距離の最も遠い2つの発光部の間隔を
    δmaxとすると、 fc/δmax > 25 であり、半導体レーザーアレイ(341)の発光部(3
    41a)は、素子基板(322)上において2次元状に
    配列され、各発光部(341a)は前記素子基板面に対
    し略垂直な光軸を有するようなレーザービームを射出す
    るとともに、個別にその点灯及び光量が制御可能であ
    り、各発光部はレーザビームを射出する射出窓を有し、
    射出窓の形状は楕円断面ビームを形成するよう定められ
    ていることを特徴とする画像形成装置。
  23. 【請求項23】コリメータレンズ(302)の焦点距離
    をfc、半導体レーザーアレイ(341)上の複数の発
    光部(341a)のうち、相互の距離の最も遠い2つの
    発光部の間隔をδmaxとすると、 fc/δmax > 50 であることを特徴する請求項22記載の画像形成装置。
  24. 【請求項24】偏向装置(303)は、複数の鏡面が正
    多角柱状に配置された回転多面鏡であることを特徴する
    請求項22記載の画像形成装置。
  25. 【請求項25】回転多面鏡(303)の回転軸に対する
    各反射面の相互の倒れ角の差による走査線の副走査方向
    のずれを光学的に補正する倒れ補正光学系(307,3
    07′)が、半導体レーザーアレイ(341)から像担
    持体(305)にいたる光路上に設けられていることを
    特徴とする請求項24記載の画像形成装置。
  26. 【請求項26】レーザービームを射出する発光部(34
    1a)を複数有する半導体レーザーアレイ(341)
    と、前記複数のレーザービームの各々を平行化するコリ
    メータレンズ(302)と、前記コリメータレンズ(3
    02)でコリメートされた複数のレーザービームの方向
    を周期的に偏向する偏向装置(303)と、前記偏向装
    置(303)によって偏向されたレーザービームを前記
    像担持体(305)上に結像させる走査レンズ(30
    4)とを備え、前記コリメータレンズの焦点位置をf
    c、前記半導体レーザーアレイ上の複数の発光部のう
    ち、相互の距離の最も遠い2つの発光部の間隔をδma
    xとすると、 fc/δmax >25 であり、半導体レーザーアレイ(341)の発光部(3
    41a)は、素子基板(322)上において2次元状に
    配列され、各発光部(341a)は前記素子基板面に対
    し略垂直な光軸を有するようなレーザービームを射出す
    るとともに、個別にその点灯及び光量が制御可能であ
    り、各発光部はレーザビームを射出する射出窓を有し、
    射出窓の形状は楕円断面ビームを形成するよう定められ
    ていることを特徴とするレーザービーム走査装置。
  27. 【請求項27】前記レーザービーム走査装置によって、
    前記複数のレーザービームを前記像担持体上に結像させ
    てできるスポットの形状が、走査方向に短軸が一致する
    ような楕円であって、前記発光部から射出される前記楕
    円ビームの長軸方向が、前記スポットの短軸方向に一致
    することを特徴とする請求項1、17または22のいず
    れか記載の画像形成装置。
  28. 【請求項28】前記レーザービーム走査装置によって、
    前記レーザービームを前記像担持体上に結像させてでき
    るスポットの形状が、走査方向に短軸が一致するような
    楕円であって、前記発光部から射出される前記楕円ビー
    ムの長軸方向が、前記スポットの短軸方向に一致するこ
    とを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  29. 【請求項29】前記偏向部によって偏向された複数のレ
    ーザービームを被走査面上に結像させてできるスポット
    の形状が、走査方向に短軸が一致するような楕円であっ
    て、前記発光部から射出される前記楕円ビームの長軸方
    向が、前記スポットの短軸方向に一致することを特徴と
    する請求項8、21または26のいずれか記載のレーザ
    ービーム走査装置。
  30. 【請求項30】前記偏向部によって偏向されたレーザー
    ビームを被走査面上に結像させてできるスポットの形状
    が、走査方向に短軸が一致するような楕円であって、前
    記発光部から射出される前記楕円ビームの長軸方向が、
    前記スポットの短軸方向に一致することを特徴とする請
    求項16記載のレーザービーム走査装置。
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