JP3407700B2 - トロイダル型無段変速機の変速比調整方法 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の変速比調整方法

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JP3407700B2
JP3407700B2 JP24717999A JP24717999A JP3407700B2 JP 3407700 B2 JP3407700 B2 JP 3407700B2 JP 24717999 A JP24717999 A JP 24717999A JP 24717999 A JP24717999 A JP 24717999A JP 3407700 B2 JP3407700 B2 JP 3407700B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに採用さ
れるトロイダル型無段変速機の変速比調整方法の改良に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から車両用の変速機として、トロイ
ダル型の無段変速機が知られており、このような無段変
速機の変速制御装置としては、例えば、本願出願人が提
案した特開平11−13850号公報に開示されるなど
が知られている。
【0003】これは、入出力ディスクに挟持、押圧され
るパワーローラの傾転角(≒実変速比)を、パワーロー
ラを支持するトラニオンに設けたプリセスカム、フィー
ドバックリンク及び変速リンクを介して変速制御弁にフ
ィードバックしている。
【0004】また、変速リンクの一端には、ステップモ
ータなどのアクチュエータを連結し、ステップモータが
変速指令に応じて変速制御弁を駆動すると、トラニオン
を支持する油圧シリンダが作動して、パワーローラが傾
転する。そして、上記フィードバック機構が変速制御弁
を駆動して、ステップモータの指令値である目標変速比
へ向けて、実変速比が一致するまで変速が行われる。
【0005】また、上記のようなトロイダル型無段変速
機では、トラニオンの傾転角が、予め設定した最大値ま
たは最小値を超えないように規制するストッパを設けて
いるが、トラニオンが所定の傾転角範囲を超えようとす
ると、ストッパに衝突してトラニオンに損傷を与える恐
れがある。
【0006】そこで、本願出願人が提案した特開平5−
26317号公報のように、パワーローラの傾転角をフ
ィードバックするプリセスカムに、衝突防止用の斜面を
設けたものが知られている。
【0007】これは、図9に示すように、パワーローラ
を支持する端部にはプリセスカム2が配設され、フィー
ドバックリンク54の係合部材と摺接するプリセスカム
2のカム面には、通常変速制御域で用いる低いフィード
バックゲインに応じた緩やかな傾斜角度の通常制御用斜
面20の両側に、通常変速制御域よりも高いフィードバ
ックゲインを付与するため、急角度の傾斜に設定された
衝突防止用斜面21、21が形成される。
【0008】そして、通常制御用斜面20と衝突防止用
斜面21、21との境界は、変速比が大となるLo側に
は凹状の屈曲部23が形成され、また、変速比が小とな
るHi側には凸状の屈曲部22が形成される。
【0009】通常の変速制御では、これら屈曲部22、
23の間で変速を行い、これら屈曲部に対応した所定の
最Lo(最大)変速比から最Hi(最小)変速比の間
で、実変速比に応じたフィードバックを行う。
【0010】一方、パワーローラの傾転角が、屈曲部2
2、23に対応した最Loまたは最Hi変速比を超えよ
うとすると、衝突防止用斜面21に入ってフィードバッ
クゲインが急増し、トラニオンがストッパと衝突する以
前に、パワーローラの過大な傾転を抑制することができ
るのである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来例
のトロイダル型無段変速機を組み立てる際には、プリセ
スカム2のカム面に形成した衝突防止用斜面21の開始
位置の加工精度のバラツキや、トラニオンとプリセスカ
ム2の回転方向の組み付け精度のバラツキなどにより、
図9に示したカム面のうち、フィードバックゲインが増
大した衝突防止用斜面21を、通常の変速制御で使用す
るものがある。
【0012】ここで、組み立て時には、パワーローラの
傾転角、すなわち、実際の変速比と、変速機構を駆動す
るステップモータのステップ数との関係が、図10に示
すように、予め設定したノミナル値(設計値)へ近づく
ように調整する必要があるが、変速制御の初期状態であ
る停車時や発進時には、変速比が最Lo位置に設定され
るため、この初期状態で各トロイダル型無段変速機のバ
ラツキを抑制するのが望ましく、したがって、この最L
o位置でステップモータのステップ数と、パワーローラ
の傾転角(実変速比)の調整を行うことになる。
【0013】加工精度や組み付け精度のバラツキによっ
て、通常の変速制御で用いる領域に衝突防止用斜面21
を含んでいると、図10に示すように、ステップモータ
の最Lo指令位置では、パワーローラの傾転角(≒変速
比)がプリセスカム2の衝突防止用斜面21に入ってし
まうため、フィードバックゲインのゲインの高い領域で
調整することになる。
【0014】傾転角θに対するフィードバックゲインが
高い衝突防止領域(傾転角θが衝突防止用斜面21の範
囲)において、図10に示すように、ノミナル値を挟ん
だバラツキ上限と下限に対して、傾転角θを予め設定し
た調整範囲内に調整する場合、フィードバックゲインが
低い通常変速制御領域(傾転角θが通常制御用斜面20
の範囲内)よりも大きな調整量が必要になる。
【0015】これは、フィードバックゲインが高い領域
では、微少な傾転角変化でも大きなバルブ変位を発生す
るため、大きな調整量を必要とし、これは、図中衝突防
止領域においては、ステップモータのステップ数の変化
に対する傾転角θの変化が通常変速制御領域よりも小さ
いことからも解る。
【0016】しかしながら、上記従来のトロイダル型無
段変速機の変速比調整方法にあっては、ステップモータ
のステップ数が最Lo指令位置で傾転角θの調整を行う
ため、フィードバックゲインの低い通常変速制御領域に
おいては、ステップモータのステップ数に対する傾転角
θのバラツキが大きくなってしまい、変速制御の精度が
低下するという問題があった。
【0017】例えば、調整前のステップモータのステッ
プ数とパワーローラの傾転角の関係が、図10に示した
ように、上記衝突防止用斜面21の開始位置のバラツキ
や、プリセスカム2の回転方向のバラツキ、プリセスカ
ム2の高さ方向の寸法精度のバラツキなど、加工精度や
組み付け精度のバラツキの上限値と下限値が、ノミナル
値を挟んで設定されている。
【0018】なお、この図10において、傾転角θの大
側が変速比のHi側(小側)で、傾転角θの小側が変速
比のLo側(大側)である。
【0019】変速比の調整(傾転角θの調整、以下同
様)を行うステップ数が最Lo指令位置において、この
最Lo指令位置に対応する傾転角θは、バラツキ上限で
は最Lo傾転角よりもHi側の通常変速制御領域にあ
り、バラツキ下限では最Lo傾転角よりも更にLo側の
衝突防止領域に入っている。
【0020】ここで、変速比の調整は、ステップ数が最
Lo指令位置のときに、傾転角θが最Loを中心とした
所定の調整範囲(最Lo変速比の許容誤差範囲)となる
ように、変速制御弁を調整することで行われる。
【0021】この変速制御弁の調整は、図10におい
て、傾転角θとステップ数の特性をステップ数方向(横
軸方向)に平行移動し、最Lo指令位置における傾転角
θを調整範囲内に入れることである。
【0022】調整範囲の最大値を最Lo傾転角+β、最
小値を最Lo傾転角−βとすると、バラツキ上限のもの
は、調整範囲の最大値へ入れるための調整量は図中aと
なり、調整範囲の最小値へ入れるためには調整量bとな
る。
【0023】また、ノミナルのものは、調整範囲の最大
値へ設定するためには、調整量dとなり、調整範囲の最
小値へ設定するためには調整量cとなり、同様に、バラ
ツキ下限のものは、調整範囲の最大値へ入れるために調
整量はfとなり、調整範囲の最小値へ入れるためには調
整量eとなる。
【0024】上記調整量a〜fによって、ステップ数の
最Lo指令位置で各特性を調整した結果は、図11のよ
うになり、最Lo指令位置では所定の調整範囲に調整し
たのにもかかわらず、通常の変速制御領域である図中A
のステップ数では、傾転角θが最小(変速比は最大)と
なるバラツキ上限+調整量bと、傾転角θが最大となる
ノミナル+調整量dとの間には、調整範囲よりもはるか
に大きなバラツキYが生じて、調整前よりも通常変速制
御領域における傾転角θのバラツキが拡大して、プリセ
スカム2による傾転角のフィードバックの精度が低下し
てしまい、変速制御が困難となる場合があった。
【0025】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、トロイダル型無段変速機の組み付け精度や
加工精度のバラツキに起因する変速比のバラツキを抑制
し、変速制御の精度を確保することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、入出力デ
ィスクに挟持されて傾転自在なパワーローラを回転自在
に支持するとともに、軸まわりに回動可能かつ軸方向へ
変位可能なローラ支持部材と、前記ローラ支持部材を軸
方向へ駆動する油圧シリンダへの油圧を制御する変速制
御弁と、車両の運転状態に応じた目標値に基づいて前記
変速制御弁を駆動するアクチュエータと、前記ローラ支
持部材に配設されて軸回りに回動可能なプリセスカム
と、前記プリセスカムに形成されて、通常の変速制御で
使用する第1のカム面と、この第1カム面の少なくとも
一方の端部で、ローラ支持部材の回転角または実際の変
速比が予め設定した限界値または限界値近傍の値を超え
た領域で、前記第1カム面に比して急傾斜で形成された
第2のカム面と、このプリセスカムの第1または第2の
カム面に当接して揺動自在なフィードバックリンクを介
して前記変速制御弁へローラ支持部材の実際の回転角を
伝達するフィードバック手段とを備えたトロイダル型無
段変速機の変速比を調整する際に、前記フィードバック
リンクが第1カム面と摺接可能な変速比を、前記アクチ
ュエータに指令する調整用目標値として設定してから、
実際の変速比が予め設定した範囲となるように前記フィ
ードバック手段を調整する。
【0027】そして、前記調整用目標値は、フィードバ
ックリンクが第1カム面と摺接可能な変速比のうち、第
1のカム面と第2のカム面が切り替わる最大変速比近傍
に設定される。
【0028】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記調整用目標値は、第1のカム面と第2のカム
面が切り替わる最大変速比から、予め設定した量だけ変
速比の小側に設定される。
【0029】
【発明の効果】したがって、第1または第2の発明は、
変速比を調整する前のアクチュエータの指令値または駆
動量と変速比(≒ローラ支持部材の回転角で、パワーロ
ーラの傾転角という)の関係は、第1カム面の端部に形
成された第2カム面の開始位置のバラツキや、プリセス
カムの回転方向の組み付け精度のバラツキ、プリセスカ
ムの高さ方向の寸法精度のバラツキなどを含んでいるた
め、アクチュエータに指令する目標値を、第1のカム面
と第2のカム面が切り替わる最大変速比または最小変速
比に設定すると、上記バラツキによってフィードバック
リンクが第2カム面と摺接する場合があり、このまま変
速比の調整を行うと、最大変速比または最小変速比で
は、予め設定した範囲に収まるものの、通常の変速制御
範囲では、実際に設定される変速比のバラツキが、予め
設定した範囲よりもはるかに大きくなってしまう場合が
あるが、アクチュエータに指令する調整用の目標値を、
最大変速比近傍または最大変速比から予め設定した量だ
け変速比の小側とすることにより、通常変速制御範囲の
全域で変速比のバラツキが大幅に変動するのを抑制で
き、変速制御の精度を確保することが可能となり、アク
チュエータへの指令値に対するフィードバック量が過大
になるのを防いで、トルクシフトの補償等を精度よく行
うことができ、さらに、変速比の制御精度は、変速比の
大側の方が、発進時の動力性能等に与える影響が大き
く、また、レーシングセレクト(Nレンジでエンジン回
転を上げてからDレンジへ切り換える急発進)やエンジ
ンストールなどでは、変速比が最Lo(最大変速比)を
超えて、トラニオンがストッパに衝突するのを防ぐ必要
があるため、変速比の調整を最大変速比側で行うように
したため、発進時の動力性能を確保しながら、大側の変
速比で発生しやすいトラニオンとストッパの衝突を回避
して、変速制御の精度とトロイダル型無段変速機の耐久
性を確保することができる。
【0030】
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0032】図1〜図5において、入出力ディスク5、
6の対向面にはパワーローラ3、3が狭持され、パワー
ローラ3はトラニオン4(ローラ支持部材)に軸支され
ており、トラニオン4の下部に設けた軸部4Aは油圧シ
リンダ1に連結されて軸方向(図中Z軸方向)へ駆動さ
れるとともに、軸まわりで回動自在に支持されて、パワ
ーローラ3の傾転角(≒変速比、以下同様)を連続的に
変更する。
【0033】パワーローラ3を支持する複数のトラニオ
ン4のうちの一つの軸部4Aには、前進用のプリセスカ
ム2と後進用のプリセスカム2Rを一体的に配設し、前
進用の変速制御弁7と後進用の変速制御弁7Rを平行し
て配置したものである。
【0034】トラニオンの軸部4Aの下端には、軸方向
変位及び軸まわり変位(傾転角)を前進用フィードバッ
クリンク54と後進用フィードバックリンク154へそ
れぞれ伝達するためのプリセスカム2、2Rが一体的に
形成されて、このプリセスカム2に形成された傾斜面
が、フィードバックリンク54、154に設けた係合部
材55a、155aを案内する。
【0035】なお、前進用のプリセスカム2には、前記
従来例と同様に、通常の変速制御で用いるフィードバッ
クゲインの低い(カム面の傾斜が小)通常制御用斜面2
0(第1カム面)と、この通常制御用斜面20の両側に
は、屈曲部22、23を介してフィードバックゲインの
高い(カム面の傾斜が大)衝突防止用斜面21、21
(第2カム面)が形成され、トラニオン4がストッパ1
0、11(図1参照)に衝突するのを抑制する。
【0036】ここで、ストッパ10は、トラニオン4の
回転角(=パワーローラ3の傾転角θ)が通常変速制御
領域よりも、さらにLo側になったときにトラニオン4
を係止する一方、ストッパ11は、トラニオン4の回転
角が通常変速制御領域よりも、さらにHi側になったと
きにトラニオン4を係止する。
【0037】そして、上記屈曲部22は、通常変速制御
で使用する変速比のHi側の限界値、すなわち、最Hi
変速比に対応する一方、屈曲部23は、通常変速制御で
使用する変速比のLo側の限界値、つまり、最Lo変速
比に対応する。
【0038】フィードバックリンク54は、一端でプリ
セスカム2と係合する一方、他端で変速リンク9と係合
する、図中X軸方向に延設されたアーム55と、同じく
Z軸方向に延設されたアーム56を筒状部材57により
一体的に結合したL字状の部材で形成され、アーム55
の端部にプリセスカム2と係合する係合部材55aを突
設する一方、アーム56の下端には変速リンク9の係合
部90と係合するボール58が固設される。なお、係合
部90はX−Y平面内でほぼコの字状に形成され、内周
でボール58と摺接する。
【0039】そして、フィードバックリンク54は、筒
状部材57の内周に挿通された揺動軸60で、Y軸回り
に揺動自在に支持されて、他端に設けたボール58を図
中X軸方向へ変位させる。
【0040】このボール58は、車両の前進時に油圧シ
リンダ1への作動油の吸排を行う変速制御弁7と、ステ
ップモータ50とを連結する変速リンク9の一端に形成
された係合部90に係合する。
【0041】一方、変速リンク9の他端には、減速機構
51を介してアクチュエータとしてのステップモータ5
0により軸方向へ駆動されるスライダ52に突設したピ
ン52aと係合する係合部91が形成される。
【0042】さらに、変速リンク9の途中の所定の位置
では、連結部材53のピン53aを介して変速制御弁7
の内周を摺動するスプール8のロッド80が連結され
る。
【0043】図1、図3、図4に示すように、ロッド8
0の端部に設けたネジ部80aが、連結部材53に形成
したネジ穴に螺合するとともに反対側へ貫通し、この貫
通したネジ部80aに螺合したロックナット53cによ
って、ロッド80と連結部材53が結合され、連結部材
53から突設したピン53aを介して変速リンク9とロ
ッド80が揺動可能に連結される。
【0044】なお、連結部材53を貫通したネジ部80
aの端面には、図1、図3に示すように、レンチと係合
可能な孔部80bが形成され、変速比の調整(傾転角θ
の調整、以下同様)時にはロックナット53cを緩めて
から、この孔部80bへレンチを差し込んで回転させる
ことにより、ネジ部80aを介して連結部材53に螺合
したロッド80及びスプール8が軸方向へ変位し、スプ
ール8と連結部材53の相対位置関係を変更することで
調整が行われる。孔部80bは、例えば、6角穴などで
形成される。
【0045】さらに、連結部材53と変速制御弁7を収
装するバルブボディ70との間には、変速リンク9の係
合部90、91とボール58やピン53aとのガタ、あ
るいはフィードバックリンク54のガタを排除してフィ
ードバック制御を正確に行うため、連結部材53と平行
してスプリング81が配設される。
【0046】図4において、パワーローラ3がLo側へ
傾転すると、トラニオンの軸部4Aに取り付けられたプ
リセスカム2も図中Lo側へ回動して係合部材55aを
下降させる一方、プリセスカム2がHi側へ回動すると
係合部材55aを上昇させ、他端のボール58と連結し
た変速リンク9はパワーローラ3の傾転に応じて図中L
oまたはHi側へ駆動される。
【0047】したがって、ステップモータ50が図示し
ないコントローラからの目標変速比に応じてスライダ5
2を伸縮駆動すると、変速リンク9の一端の変位に応じ
てスプール8が移動し、変速制御弁7の供給圧ポート1
7Pをポート17Hまたはポート17Lに連通させて、
油圧シリンダ1のHi側またはLo側の油室に圧油を供
給してトラニオン4を軸方向へ駆動する。
【0048】パワーローラ3はトラニオンの軸方向変位
に応じて傾転して変速比を変更し、この傾転運動はトラ
ニオン4の軸部4A、プリセスカム2、フィードバック
リンク54を介して変速リンク9の他端に伝達され、目
標変速比と実際の変速比が一致すると、スプール8はポ
ート17H、17L及び供給圧ポート17Pを封止する
中立位置に復帰する。
【0049】このとき、パワーローラ3の傾転角が、通
常の変速制御で使用する最Lo変速比から最Hi変速比
の間にあれば、フィードバックリンク54はプリセスカ
ム2の通常制御用斜面20と摺接して、低いフィードバ
ックゲインで変速リンク9を駆動する一方、最Lo変速
比または最Hi変速比を超えたときには、フィードバッ
クリンク54が衝突防止用斜面21と摺接して、高いフ
ィードバックゲインで変速リンク9を駆動して、油圧シ
リンダ1へ供給する油圧の立ち上がりを高めて、トラニ
オン4がストッパ10、11に衝突するのを防止する。
【0050】一方、後進用の後進用のフィードバックリ
ンク154は、揺動軸60を介して一端を後進用変速制
御弁7Rのスプール8Rに連結し、他端に設けた係合部
材155aによって後進用プリセスカム2Rと摺接し
て、後進時ではプリセスカム2R、フィードバックリン
ク154及び変速制御弁7Rによって前進時と同様に油
圧の制御が行われる。
【0051】次に、組立後の変速比の調整は、トロイダ
ル型無段変速機を運転しながら、変速制御弁7のスプー
ル8と変速リンク9を連結部材53で行われる。
【0052】トロイダル型無段変速機を運転した状態
で、ステップモータ50のステップ数を最Lo指令位置
からHi側へ向けて予め設定したステップ数α(例え
ば、10ステップなど)まで送った後に、図6に示すよ
うに、傾転角θ(または実変速比)が予め設定した最L
o+αからのバラツキを測定する。
【0053】ここで、変速比の調整を行うステップ数最
Lo+α指令位置は、αステップだけ最Lo指令位置よ
りも変速比のHi側(傾転角θの大側)で、図6に示す
ように、バラツキ下限が通常変速制御領域となる値であ
り、かつ、変速比のLo側に設定する。
【0054】そして、傾転角θのバラツキが、最Lo+
αを中心として予め設定した調整範囲±β以内となるよ
うに、スプール8と連結部材53の相対位置関係を修正
する。
【0055】すなわち、スプール8のロッド80を連結
部材53に締結しているロックナット53cを緩めてか
ら、ネジ部80aの端面に形成された孔部80bへレン
チなどを係合させて、連結部材53内周のネジ穴に螺合
したロッド80を回転させることで、連結部材53とス
プール8の相対位置関係を変更し、ステップ数が最Lo
+α指令位置における傾転角を調整する。
【0056】そして、ネジ部80aを傾転角θのずれに
応じて回転させた後には、再びロックナット53cを締
結して、調整作業を終了する。
【0057】ここで、調整前のステップモータのステッ
プ数とパワーローラの傾転角θの関係が、図6に示した
ように、上記衝突防止用斜面21の開始位置のバラツキ
や、プリセスカム2の回転方向のバラツキ、プリセスカ
ム2の高さ方向の寸法精度のバラツキなどの加工精度や
組み付け精度のバラツキの上限値と下限値が、ノミナル
値(設計値)を挟んで設定されている。
【0058】なお、この図6において、傾転角θの大側
が変速比のHi側(小側)で、傾転角θの小側が変速比
のLo側(大側)である。
【0059】傾転角θ(≒変速比)の調整を行うステッ
プ数が最Lo+α指令位置において、このステップ数に
対応する傾転角θは、バラツキ上限では最Lo+α傾転
角よりもHi側の通常変速制御領域にあり、バラツキ下
限においても最Lo+α傾転角よりも若干Hi側の通常
変速制御領域に入っている。
【0060】ここで、変速比の調整は、ステップ数が最
Lo+α指令位置のときに、傾転角θが最Lo+αを中
心とした所定の調整範囲±β(最Lo+α傾転角の許容
誤差範囲)となるように、上記したように変速リンク9
の連結部材53を調整することで行われる。
【0061】この連結部材53の調整は、図6におい
て、スプール8と連結部材53の相対位置関係を修正し
て、傾転角θとステップ数の特性をステップ数方向(横
軸方向)に平行移動し、最Lo+α指令位置における傾
転角を調整範囲±β内に入れることである。
【0062】調整範囲の最大値を最Lo+α傾転角+
β、最小値を最Lo+α傾転角−βとすると、バラツキ
上限のものは、調整範囲の最大値へ入れるための調整量
は図中aとなり、調整範囲の最小値へ入れるためには調
整量bとなる。
【0063】また、ノミナルのものは、調整範囲の最大
値へ設定するためには、調整量dとなり、調整範囲の最
小値へ設定するためには調整量cとなり、同様に、バラ
ツキ下限のものは、調整範囲の最大値へ入れるために調
整量はfとなり、調整範囲の最小値へ入れるためには調
整量eとなる。
【0064】上記調整量a〜fによって、ステップ数の
最Lo+α指令位置で各特性を調整した結果は、図7の
ようになり、傾転角θの調整を最Lo指令位置よりもα
ステップだけ変速比のHi側(傾転角θは大側)で、バ
ラツキ下限が通常変速制御領域となる値としたため、調
整位置である最Lo+α指令位置よりもさらにHi側
の、通常変速制御領域である図中Aのステップ数では、
傾転角θが最小(変速比は最大)となるバラツキ下限+
調整量eと、傾転角θが最大となるバラツキ上限+調整
量aとの差(すなわち、傾転角のバラツキ)は図7に示
すXとなって、調整範囲である最Lo+α指令位置±β
に近似したものとなり、通常変速制御領域における傾転
角のバラツキXを、前記従来例に比して大幅に低減する
ことができる。
【0065】すなわち、前記従来例のように最Lo指令
位置で傾転角の調整を行った場合では、図11に示した
ように、通常変速制御領域となる値での傾転角のバラツ
キYが、調整範囲よりもはるかに大きなものとなってし
まうのに対し、本発明によれば、通常変速制御領域の任
意のステップ数において、傾転角のバラツキXは、ほぼ
調整範囲と同等となって、変速制御の精度を確保でき
る。
【0066】また、調整位置である最Lo+α指令位置
よりも、変速比のLo側の最Lo指令位置においても、
最Lo傾転角のバラツキは、図7のように調整範囲と同
等に維持することができ、通常変速制御領域の全域で傾
転角のバラツキが大幅に変動するのを抑制でき、変速制
御の精度を確保することが可能となり、ステップモータ
50への指令ステップ数に対するフィードバック量が過
大になるのを防いで、トルクシフトの補償等を精度よく
行うことができるのである。
【0067】さらに、変速比の制御精度は、変速比のL
o側の方が、発進時の動力性能等に与える影響が大き
く、また、レーシングセレクト(Nレンジでエンジン回
転を上げてからDレンジへ切り換える急発進)やエンジ
ンストールなどでは、変速比が最Loを超えて、トラニ
オン4がストッパ10に衝突するのを防ぐ必要がある。
【0068】このため、変速比の調整をLo側で行うよ
うにしたため、発進時の動力性能を確保しながら、Lo
側で発生しやすいトラニオン4とストッパ10の衝突を
回避して、変速制御の精度とトロイダル型無段変速機の
耐久性を確保することができるのである。
【0069】ここで、上記図1、図4に示した、前進側
と後進側のフィードバックリンク554、154及び変
速リンク9による変速比調整の一例を、以下に示す。
【0070】まず、トロイダル型無段変速機の変速比を
検出するため、トラニオン4の回転角、換言すれば、パ
ワーローラ3の傾転角θを検出する回転角センサを配置
する。なお、回転角センサは、例えば、図示しないケー
シングのプラグを取り外し、トラニオン4の上端と結合
したロッド等の回転角を測定するセンサで構成される。
【0071】次に、入力軸を原動機に連結して、所定の
回転数N1で駆動するとともに、変速制御弁7への供給
圧が所定値P1となるように油圧制御装置(例えば、デ
ューティソレノイド)を駆動する。
【0072】図示しないマニュアル弁をDレンジにセッ
トしてから、図1に示した、ステップモータ50を所定
の最Lo指令位置へ駆動する。このとき、ステップモー
タ50は、図示しないストッパなどによって最Lo位置
を超えないように係止される。
【0073】そして、この最Lo指令位置から、Hi側
へ向けて所定のステップ数αだけ駆動する。
【0074】この状態で、傾転角θが図6に示したよう
に、最Lo+αに対応した値を挟んで、±βの範囲とな
るように、変速リンク9の連結部材53を、上記したよ
うに調整する。
【0075】連結部材53での調整後に、回転角センサ
の出力をリセットしてから、ステップモータ50をLo
側に所定のステップ数γだけ駆動する。ただし、γ<α
で、後進用の変速比に応じたステップ数である。
【0076】次に、マニュアル弁をRレンジに切り換え
てから、後進用の傾転角θとなるように、図1、図4に
示した後進用フィードバックリンク154とスプール8
Rの相対位置関係を調整して、前進側及び後進側の変速
比の調整を終了する。
【0077】なお、上記実施形態において、変速リンク
9を介してステップモータ50、変速制御弁7及びフィ
ードバックリンク54を連結した一例を示したが、本願
出願人が提案した特開平7−293654号公報などに
開示されるように、変速リンク9を廃止してもよい。
【0078】これは、図8に示すように、ラックアンド
ピニオン101を介してステップモータ50に駆動され
るスプール108と、このスプール108の外周とバル
ブボディ170の内周で摺動自在なスリーブ109を設
け、プリセスカム2に摺接するフィードバックリンク5
4’でスリーブ109を駆動するようにしたものであ
る。
【0079】この場合では、揺動自在なフィードバック
リンク54の端部に螺合したネジ153が、スプリング
181に抗してスリーブ109を駆動するもので、ネジ
153をフィードバックリンク54’に固定するロック
ナット153cを緩めることで、上記と同様に通常変速
制御領域に設けた調整位置で、スリーブ109と、スプ
ール108の相対位置関係を修正することで、パワーロ
ーラ3の傾転角を調整することができる。
【0080】また、上記実施形態に示したトロイダル型
無段変速機を、変速比無限大無段変速機に適用した場合
でも、上記と同様の調整により、変速制御の精度を確保
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、トロイダル型無段
変速機無段変速機の変速制御装置の概略構成図。
【図2】同じくバルブボディ70の要部底面図。
【図3】同じくバルブボディ70の要部側面図。
【図4】変速制御機構の斜視概念図。
【図5】同じくトラニオンとプリセスカムの関係を示す
概念図。
【図6】変速比調整前の傾転角θとステップ数の関係を
示すグラフ。
【図7】変速比調整後の傾転角θとステップ数の関係を
示すグラフ。
【図8】他の実施形態を示す変速制御弁の断面図。
【図9】従来例を示し、プリセスカムの展開図。
【図10】同じく従来例を示し、変速比調整前の傾転角
θとステップ数の関係を示すグラフ。
【図11】同じく従来例を示し、変速比調整後の傾転角
θとステップ数の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 油圧シリンダ 2 プリセスカム 3 パワーローラ 4 トラニオン 4A 軸部 5 入力ディスク 6 出力ディスク 7 変速制御弁 8 スプール 9 変速リンク 10、11 ストッパ 17P 供給圧ポート 20 通常制御用斜面 21 衝突防止用斜面 50 ステップモータ 53 連結部材 53a ピン 53c ロックナット 54 フィードバックリンク 80 ロッド部 80a ネジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48 F16H 15/00 - 15/56

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入出力ディスクに挟持されて傾転自在なパ
    ワーローラを回転自在に支持するとともに、軸まわりに
    回動可能かつ軸方向へ変位可能なローラ支持部材と、 前記ローラ支持部材を軸方向へ駆動する油圧シリンダへ
    の油圧を制御する変速制御弁と、 車両の運転状態に応じた目標値に基づいて前記変速制御
    弁を駆動するアクチュエータと、 前記ローラ支持部材に配設されて軸回りに回動可能なプ
    リセスカムと、 前記プリセスカムに形成されて、通常の変速制御で使用
    する第1のカム面と、 この第1カム面の少なくとも一方の端部で、ローラ支持
    部材の回転角または実際の変速比が予め設定した限界値
    または限界値近傍の値を超えた領域で、前記第1カム面
    に比して急傾斜で形成された第2のカム面と、 このプリセスカムの第1または第2のカム面に当接して
    揺動自在なフィードバックリンクを介して前記変速制御
    弁へローラ支持部材の実際の回転角を伝達するフィード
    バック手段とを備えたトロイダル型無段変速機の変速比
    を調整する際に、 前記フィードバックリンクが第1カム面と摺接可能な変
    速比を、フィードバックリンクが第1カム面と摺接可能
    な変速比のうち、第1のカム面と第2のカム面が切り替
    わる最大変速比近傍に設定した調整用目標値に設定し、
    前記アクチュエータに指令してから、実際の変速比が予
    め設定した範囲となるように前記フィードバック手段を
    調整することを特徴とするトロイダル型無段変速機の変
    速比調整方法。
  2. 【請求項2】前記調整用目標値は、第1のカム面と第2
    のカム面が切り替わる最大変速比から、予め設定した量
    だけ変速比の小側に設定されたことを特徴とする請求項
    1に記載のトロイダル型無段変速機の変速比調整方法。
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