JP3404022B2 - レーダのパルス圧縮装置 - Google Patents

レーダのパルス圧縮装置

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JP3404022B2 JP2001010550A JP2001010550A JP3404022B2 JP 3404022 B2 JP3404022 B2 JP 3404022B2 JP 2001010550 A JP2001010550 A JP 2001010550A JP 2001010550 A JP2001010550 A JP 2001010550A JP 3404022 B2 JP3404022 B2 JP 3404022B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーダのデジタ
ルパルス圧縮装置に関し、特に大気乱流を測定するウィ
ンド・プロファイラ等の気象レーダにおいて、離散値を
とる符号系列により離散的にパルス内位相変調を行い、
受信時に符号系列の相関処理により符号パルス圧縮を行
うレーダのパルス圧縮装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】符号パルス圧縮の原理については、例え
ば「改訂 レーダ技術」:吉田孝監修、(財)電子情報
通信学会編、の11.2.2章に示されている。図10
は、この方式のパルス圧縮装置を用いたレーダの構成を
示すブロック図である。図において、1は送受信空中
線、2は送受信装置、3はA/D変換器、4は符号パル
ス圧縮器である。5はディレータップ、6はパルス圧縮
符号、7は乗算器、8は加算器、9はコヒーレント積分
回路である。10は複素FFT(Fast Fouri
er Transform)回路、11は絶対値算出回
路である。このうち、4乃至11の回路はソフトウェア
で実現することも可能である。また、21はアナログI
(Inphase)ビデオ、22はアナログQ(Qua
drature)ビデオ、23はデジタルIビデオ、2
4はデジタルQビデオ、25はパルス圧縮Iビデオ、2
6はパルス圧縮Qビデオ、27はコヒーレント積分後の
Iビデオ、28はコヒーレント積分後のQビデオ、29
は複素スペクトル、30はパワースペクトルの各信号で
ある。
【0003】また、パルス圧縮符号としては、バーカ符
号、m系列による2値符号等の他に、目標の速度が比較
的遅い気象レーダ等では、例えば、“Complementary se
quences with high sidelobe suppression factors for
ST/MST radar applications”:Spano,E. and O.Ghebr
ebrhan、IEEE Transactions on Geoscience and Remote
Sensing Vol.34 317-329,1996に記載されているコンプ
リメンタリ符号や、“Sequences of complementary cod
es for the optimum decoding of truncated ranges an
d high sidelobe suppression factors for ST/MST rad
ar systems”:Spano,E. and O.Ghebrebrhan、IEEE Tra
nsactions on Geoscience and Remote Sensing Vol.34
330-345,1996に記載されたコンプリメンタリ符号をさら
に拡張してブラインドレンジでのサイドローブを生じな
い様な特殊な組合せの符号(以下、SPANO符号と呼
ぶ)等が用いられることが多い。
【0004】次に、パルス圧縮符号として4ビットのS
PANO符号を使用した例について動作を説明する。送
受信装置2で符号変調された送信信号は送受信空中線1
から空間に放射され、受信エコーとして送受信空中線1
から送受信装置2に入力される。4ビットのSPANO
符号は、“1,−1,−1,−1”、“1,1,−1,
1”、“1,−1,1,1”、“−1,−1,−1,
1”、“1,1,−1,1”、“1,−1,−1,−
1”、“−1,−1,−1,1”、“1,−1,1,
1”であり、例えば“1”が位相0゜、“−1”が位相
180゜に相当する。送受信装置2では、パルスヒット
毎にこの符号を順に変化させるようにループを組んで位
相変調を行って送信し、受信時には符号の復調は行わな
い。送受信装置から出力されるアナログIビデオ21お
よびアナログQビデオ22は、各々A/D変換器3によ
りデジタルIビデオ23およびデジタルQビデオ24に
量子化される。これらのデジタルビデオは符号パルス圧
縮器4に入力されてパルス圧縮、コヒーレント積分され
た後、複素FFT回路10で複素数としてフーリエ変換
される。複素FFT回路10の出力である複素スペクト
ル29から、絶対値算出回路11においてパワースペク
トル30が計算される。
【0005】次に、符号パルス圧縮器4の内部の動作に
ついて、パルス圧縮符号として4ビットのSPANO符
号を例に説明する。入力されるデジタルIビデオ23、
デジタルQビデオ24は1レンジクロック毎にディレー
タップ5を順次転送され、その間に各乗算器7でパルス
圧縮符号6と乗算される。各乗算器7の出力は加算器8
により総和が計算され、パルス圧縮ビデオ25,26と
して出力される。ここで、パルス圧縮符号6は各ヒット
毎の変調符号との自己相関なので、変調順が“1,−
1,−1,−1”であれば、パルス圧縮符号h0〜h7
は逆順の“−1,−1,−1,1,0,0,0,0”と
なる(タップ数が8でパルス圧縮ビット数が4ビットの
場合の例)。パルス圧縮ビデオ25,26はコヒーレン
ト積分回路9に入力され、所定のパルスヒット数分、同
一レンジのデータ同士が加算される。例えば、4ビット
のSPANO符号の場合、1ループの数は8ヒットであ
るので、サイドローブの抑圧に必要なコヒーレント積分
回数は8の倍数でなければならない。図11に、4ビッ
トSPANO符号によるパルス圧縮の例を示す。ヒット
毎に符号を特定の組合せでループさせながら、各ヒット
のパルス圧縮結果を8ヒット分コヒーレント積分するこ
とにより、原理的にトランケーティッドレンジ(tru
ncated range:通常のパルス圧縮でブライ
ンドレンジに相当する部分)内でもレンジサイドローブ
が0となるパルス圧縮が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のレーダのパルス
圧縮装置は以上のように構成されているので、デジタル
Iビデオ23、デジタルQビデオ24にA/D変換時の
オフセットが有る場合、パルス圧縮符号特有のパターン
でオフセット成分が積み上がる。特に、近距離の観測性
能を重視してSPANO符号を用いた場合には、トラン
ケーティッドレンジにおいて、あたかもポイントターゲ
ットが存在するかのように積み上がり、複素FFT回路
10の複素スペクトル29に周波数方向のサイドローブ
が生じ、大気エコーの速度検出に悪影響を及ぼすという
問題があった。
【0007】また、大気乱流をターゲットとするウィン
ド・プロファイラなどのレーダでは、受信装置のノイズ
レベル以下の大気エコー成分を複素FFT等の信号処理
によって検出するが、この様なレーダでは、A/D変換
時のオフセットは通常ノイズレベル以下のため、事前に
オフセット成分を測定するために長時間の予備観測が必
要であった。また、A/D変換時のオフセットやノイズ
レベルは、送受信装置2やA/D変換器3の短期、長期
の安定度の影響により、常に一定ではなく変動するた
め、観測時の状況に応じたオフセット補正をすることが
困難であった。さらに、A/D変換時のオフセット以外
にも、送受信装置2の安定度の影響でノイズの直流成分
積み上がり、FFT処理の結果、周波数方向のサイドロ
ーブが生じ、大気エコーの速度検出に悪影響を及ぼすと
いう問題があった。
【0008】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、各種状況または条件に応じて有効
にA/D変換オフセット成分を除去するレーダのパルス
圧縮装置を得ることを目的とする。また、この発明はA
/D変換オフセット成分の除去と同時にノイズの直流成
分の除去やノイズ変動を軽減するレーダのパルス圧縮装
置を得ることを目的とする。さらに、この発明はA/D
変換オフセット成分やノイズを除去し、かつハードウェ
ア規模を簡素化したレーダのパルス圧縮装置を得ること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係るレーダの
パルス圧縮装置は、符号系列により位相変調を行うレー
ダの受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデ
オの変調符号をノイズ領域において復調するそれぞれの
第1の符号パルス圧縮器と、前記第1の符号パルス圧縮
器の各パルス圧縮ビデオ出力からそれぞれA/D変換オ
フセット量を算出するそれぞれのオフセット算出手段
と、前記A/D変換オフセット量の算出が完了する期間
前記デジタルIビデオおよび前記デジタルQビデオを遅
延させるそれぞれの遅延メモリと、遅延されたデジタル
IビデオおよびデジタルQビデオから前記A/D変換オ
フセット量をそれぞれ減算するそれぞれの減算器と、受
信領域において前記A/D変換オフセット量が減算され
たデジタルIビデオおよびデジタルQビデオの変調符号
を復調するそれぞれの第2の符号パルス圧縮器とを備え
たものである。
【0010】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、オフセット算出手段により算出されたA/D変換オ
フセット量から所定の過去の期間に渡るオフセット量平
均値を算出するそれぞれの平均値算出手段を備え、減算
器がデジタルIビデオおよびデジタルQビデオから前記
オフセット量平均値を減算するものである。
【0011】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、符号系列により位相変調を行うレーダの受信信号の
デジタルIビデオおよびデジタルQビデオからA/D変
換オフセット量を減算するそれぞれの減算器と、A/D
変換オフセット量を減算したデジタルIビデオおよびデ
ジタルQビデオの変調符号を復調するそれぞれの符号パ
ルス圧縮器と、ノイズ領域において前記符号パルス圧縮
器のパルス圧縮ビデオ出力から前記A/D変換オフセッ
ト量を算出するそれぞれのオフセット算出手段と、受信
領域からノイズ領域への変化点で前記符号パルス圧縮器
のディレータップに保持されている値をクリアし、かつ
前記オフセット算出手段の演算開始を指示するそれぞれ
のリセット手段とを備えたものである。
【0012】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、符号系列により位相変調を行うレーダの受信信号の
デジタルIビデオおよびデジタルQビデオから受信領域
において変調符号を復調するそれぞれの符号パルス圧縮
器と、前記符号パルス圧縮器の各パルス圧縮ビデオ出力
よりそれぞれの推定A/D変換オフセット量を算出する
それぞれのオフセット量推定手段と、前記推定A/D変
換オフセット量の算出が終了するまでの期間前記パルス
圧縮ビデオ出力の遅延を行うそれぞれの遅延メモリと、
遅延したパルス圧縮ビデオから前記推定A/D変換オフ
セット量を減算するそれぞれの減算器とを備えたもので
ある。
【0013】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、符号系列により位相変調を行うレーダの受信信号の
デジタルIビデオおよびデジタルQビデオからノイズ領
域において変調符号を復調するそれぞれの第1の符号パ
ルス圧縮器と、受信領域において前記デジタルIビデオ
およびデジタルQビデオの変調符号を復調するそれぞれ
の第2の符号パルス圧縮器と、前記ノイズ領域における
前記第1の符号パルス圧縮器の圧縮動作が完了するまで
の期間前記第2の符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビデオ
出力の遅延を行うそれぞれの遅延メモリと、前記第2の
符号パルス圧縮器の遅延されたパルス圧縮ビデオ出力か
ら前記第1の符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビデオ出力
を減算するそれぞれの減算器とを備えたものである。
【0014】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、第1の符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビデオ出力の
過去に渡る所定の期間の平均値を算出するそれぞれの平
均値算出手段を備え、各減算器が第2のパルス圧縮器の
パルス圧縮ビデオ出力から前記平均値をそれぞれ減算す
るものである。
【0015】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、符号系列により位相変調を行うレーダの受信信号の
デジタルIビデオおよびデジタルQビデオから変調符号
を復調するそれぞれの符号パルス圧縮器と、受信領域に
おいて前記符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビデオ出力の
遅延を行う遅延メモリと、前記受信領域から受信エコー
が検出されない遠距離のノイズ領域への変化点で前記符
号パルス圧縮器のディレータップに保持されている値を
クリアするそれぞれのリセットする手段と、前記受信領
域における前記パルス圧縮ビデオ出力から前記ノイズ領
域における前記遅延メモリのパルス圧縮ビデオ出力を減
算するそれぞれの減算器とを備えたものである。
【0016】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、符号系列により位相変調を行うレーダの受信信号の
デジタルIビデオおよびデジタルQビデオをノイズ領域
で観測して予め算出した各所定のA/D変換オフセット
量を格納したそれぞれのオフセット格納手段と、前記デ
ジタルIビデオおよびデジタルQビデオから前記各所定
のA/D変換オフセット量を減算するそれぞれの減算器
と、前記所定のA/D変換オフセット量が除去されたデ
ジタルIビデオおよびデジタルQビデオの変調符号を復
調するそれぞれの符号パルス圧縮器とを備えたものであ
る。
【0017】この発明に係るレーダのパルス圧縮装置
は、符号系列により位相変調を行うレーダの受信信号の
デジタルIビデオおよびデジタルQビデオの変調符号を
復調するそれぞれの符号パルス圧縮器と、前記デジタル
IビデオおよびデジタルQビデオをノイズ領域で予め観
測して得た各所定のノイズ成分を格納したそれぞれのノ
イズ格納手段と、前記符号パルス圧縮器の各パルス圧縮
ビデオ出力から前記各所定のノイズ成分を減算するそれ
ぞれの減算器とを備えたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1に係る
レーダのパルス圧縮装置を示すブロック図である。図に
おいて、23はデジタルIビデオ、24はデジタルQビ
デオである。31は受信エコーの含まれない遠距離のノ
イズ領域においてデジタルIビデオ23、デジタルQビ
デオ24の変調符号を復調する第1の符号パルス圧縮
器、32はそのパルス圧縮ビデオ出力からA/D変換オ
フセット量を算出するオフセット算出部(オフセット算
出手段)である。33はオフセット量算出が完了するま
でデジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24のそれ
ぞれの遅延を行う遅延メモリである。34は遅延された
デジタルIビデオ、デジタルQビデオからA/D変換オ
フセット量を減算する減算器である。35は受信領域に
おいてA/D変換オフセット量の減算後のデジタルIビ
デオ、デジタルQビデオの変調符号を復調する第2の符
号パルス圧縮器である。10は複素FFT回路、11は
絶対値算出回路である。以上の構成は、ソフトウェアで
実現することも可能である。また、29は複素スペクト
ル、30はパワースペクトルである。なお、図におい
て、第1および第2の符号パルス圧縮器31、35の内
部は、前述の図10の符号パルス圧縮器4と同一構成で
あり、パルス圧縮ビット数が最大8ビットの例を示した
が、必要に応じてビット数を増加しても良いものとす
る。
【0019】次に動作について説明する。パルス圧縮符
号として4ビットのSPANO符号を例に説明する。A
/D変換されて得られたデジタルIビデオ23、デジタ
ルQビデオ24はそれぞれの第1の符号パルス圧縮器3
1に入力される。第1の符号パルス圧縮器31は、入力
に受信エコーの含まれない遠距離のノイズ領域に達する
まで動作を開始せず、それまでは第1の符号パルス圧縮
器31内の各ディレータップにはデータ0が保持されて
いる。入力データがノイズ領域に達したとき、第1の符
号パルス圧縮器31が動作を開始する。このとき、入力
されるデジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24に
A/D変換オフセット量が含まれると、その出力は図1
2に示すように、第1および第3出力が、オフセット量
の4倍に比例した値となる。この例では4ビットのSP
ANO符号を示しているが、第1の符号パルス圧縮器3
1の出力は、トランケーティッドレンジに相当する出力
数分の間(トランケーティッドレンジの長さは使用する
パルス圧縮ビット数に依存する)、使用するパルス圧縮
符号特有の出力パターンを示す。オフセット算出部32
では、使用しているパルス圧縮符号6と第1の符号パル
ス圧縮器31のパルス圧縮ビデオ出力から、A/D変換
オフセット量を算出する。図12の例では第1および第
3の出力が各々4,−4であるので、オフセット量は+
1と算出される。
【0020】一方、遅延メモリ33に印加されたデジタ
ルIビデオ23、デジタルQビデオ24は上記のA/D
変換オフセット量の算出が完了するまでの期間待たさ
れ、その後減算器34に与えられ、A/D変換オフセッ
ト量を減算しオフセット補正が行われる。オフセット補
正後のデジタルIビデオ、デジタルQビデオは第2の符
号パルス圧縮器35に入力され、変調符号を復調するた
めの受信エコーのパルス圧縮が行われる。第2の符号パ
ルス圧縮器35では、入力データからオフセット成分が
除去されているため、図11に示すように、入力エコー
に対して理論上サイドローブが出現することなく、受信
エコーのパルス圧縮が行われる。パルス圧縮後、I、Q
データを複素データとしてFFTを行い、その出力であ
る複素スペクトル29の絶対値を算出することにより、
A/D変換オフセット成分が除去されたパワースペクト
ル30が得られる。この様に、FFT演算前にA/Dオ
フセット成分が除去されているので、FFT後にオフセ
ット分が0ドップラとして積み上がり、周波数方向にサ
イドローブが出ることもなく、ドップラ速度成分を持つ
エコーがトランケーティッドレンジ内においても正常に
検出できる。
【0021】以上のように、実施の形態1によれば、入
力したデジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24か
らトランケーティッドレンジ相当の領域をパルス圧縮
し、その結果からA/D変換オフセット量を算出してデ
ジタルIビデオ、デジタルQビデオからこの算出A/D
変換オフセット量を減算した後、パルス圧縮を行うよう
にしたので、オフセット成分測定のための長時間の予備
観測を必要とせず、送受信装置の安定度の影響を即座に
補償してオフセット成分を除去する効果が得られる。
【0022】実施の形態2.図2は、この発明の実施の
形態2に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図
であり、図において、オフセット算出部32と減算器3
4の間に平均値算出部36が設けられている点以外は図
1と同じ構成であり、相当部分は同一符号を付し、その
説明は省略する。
【0023】次に、動作について説明する。入力データ
からパルス圧縮積分のループ単位毎にA/D変換オフセ
ット量を算出するまでの動作は、実施の形態1と同様で
ある。オフセット算出部32からループ単位毎に得られ
るA/D変換オフセット量は、平均値算出部(平均値算
出手段)36に与えられ、数秒から数分程度の過去の期
間に渡るオフセット量の平均値を算出する。減算器34
は、遅延されたデジタルIビデオ、デジタルQビデオか
らこのA/D変換オフセット量の平均値を減算してオフ
セット補正を行う。オフセット補正以後の動作も実施の
形態1と同様である。
【0024】大気乱流をターゲットとするウィンド・プ
ロファイラなどのレーダでは、通常A/D変換オフセッ
ト量は送受信装置のノイズレベル以下である。そのた
め、送受信装置のノイズが短時間のうちに変動すると、
オフセット値推定に誤差が生じる。この影響を受けにく
くするため、実施の形態2では、実施の形態1に若干の
変更を加え、オフセット算出結果を適切な過去までの幅
で平均化するようにしたものである。
【0025】実施の形態2によれば、実施の形態1の構
成に加え、算出されたA/D変換オフセット量からさら
に過去に渡る所定の期間でオフセット量平均値を算出す
る手段を設けたので、A/D変換オフセット以外の送受
信装置ノイズの短期変動の影響を軽減して、オフセット
成分を除去する効果が得られる。
【0026】実施の形態3.図3はこの発明の実施の形
態3に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図で
ある。図において、34は符号系列により位相変調を行
うレーダの受信信号のデジタルIビデオ23、デジタル
Qビデオ24を入力し、A/D変換オフセット量を減算
してオフセット補正を行う減算器、40はオフセット補
正後のデジタルIビデオ、デジタルQビデオの変調符号
を復調する符号パルス圧縮器で、図1における第1の符
号パルス圧縮器31と第2の符号パルス圧縮器35を兼
ねたものである。32はノイズ領域でのパルス圧縮ビデ
オからA/D変換オフセット量を算出するオフセット算
出部(オフセット算出手段)である。41は受信領域か
らノイズ領域の変化点で符号パルス圧縮器40内の各デ
ィレータップに保持されている値を0にクリアするため
のリセット信号であり、またオフセット算出部32の演
算開始を指示する信号として機能する。10は複素FF
T回路、11は絶対値算出回路である。以上の構成は、
ソフトウェアで実現することも可能である。また、29
は複素スペクトル、30はパワースペクトルである。
【0027】次に、動作について説明する。符号パルス
圧縮器40では、受信データを順次パルス圧縮していく
が、受信データがノイズ領域(受信エコーが検出されな
い遠距離領域)の開始点に達すると、リセット信号41
が符号パルス圧縮器40に入力される。符号パルス圧縮
器40内の各ディレータップは、リセット信号41を受
けて0にクリアされる。したがって、リセット信号41
の次のレンジクロックでは、符号パルス圧縮器40の出
力は、トランケーティッドレンジである第1レンジの出
力からエコー成分が除去されたような値となる。これ
は、ノイズのみを入力として動作が開始された状態と同
様、使用しているパルス圧縮符号の特徴を表す出力とな
る。オフセット算出部32では、このリセット後の符号
パルス圧縮器40の出力から、A/D変換オフセット量
を算出する。算出されたA/D変換オフセット量は減算
器34に入力され、次のループ単位におけるパルス圧縮
前に、入力されるデジタルIビデオ23、デジタルQビ
デオ24からオフセット成分を除去する。
【0028】実施の形態3によれば、入力したデジタル
Iビデオ23、デジタルQビデオ24の遠距離の受信エ
コーが検出されないノイズ領域でパルス圧縮器40内の
ディレータップをリセットするようにし、リセット後の
パルス圧縮ビデオ出力にトランケーティッドレンジにお
けるパルス圧縮ビデオ出力を再現するようにしたこと
で、必要な受信領域(距離)以遠に、A/D変換オフセ
ット量の算出に必要なノイズ測定領域を設けるべくパル
ス繰り返し間隔(PRI)を延長し、これにより実施の
形態1と同じ効果が得られ、かつ符号パルス圧縮器の数
を減らせる効果が得られる。
【0029】実施の形態4.図4はこの発明の実施の形
態4に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図で
ある。図において、40は符号系列により位相変調を行
うレーダの受信信号のデジタルIビデオ23、デジタル
Qビデオ24を入力し、受信領域においてデジタルIビ
デオ23、デジタルQビデオ24の変調符号を復調する
符号パルス圧縮器である。37は符号パルス圧縮器40
の出力であるパルス圧縮ビデオよりA/D変換オフセッ
ト量を推定するオフセット量推定部(オフセット量推定
手段)である。33はA/D変換オフセット量の推定が
終了するまでの期間データを保持するためパルス圧縮ビ
デオを遅延させる遅延メモリである。34はパルス圧縮
ビデオから推定A/D変換オフセット量を減算しオフセ
ット補正を行う減算器である。10は複素FFT回路、
11は絶対値算出回路である。以上の構成は、ソフトウ
ェアで実現することも可能である。また、29は複素ス
ペクトル、30はパワースペクトルである。
【0030】次に、動作について説明する。符号パルス
圧縮器40のパルス圧縮ビデオ出力には、実施の形態1
乃至実施の形態3での符号パルス圧縮器35または40
の出力とは異なり、A/D変換オフセット成分と受信エ
コーの両方が含まれている。パルス圧縮符号として例え
ば4ビットのSPANO符号を用いた場合、図12で説
明したように、オフセット成分はレンジ1とレンジ3に
逆符号で現れる。したがって、トランケーティッドレン
ジ1乃至4でのパルス圧縮ビデオ出力からA/D変換オ
フセット成分を推定することは容易である。また、A/
D変換オフセット成分と受信エコーの両方が符号パルス
圧縮器40に入力されても、符号パルス圧縮回路40の
線形性により、パルス圧縮ビデオ出力からオフセットに
よる成分を除去することで、入力にオフセットがない場
合と同一の結果が得られる。
【0031】オフセット量推定部37では、符号パルス
圧縮器40のパルス圧縮ビデオ出力からトランケーティ
ッドレンジでの値を用いてパルス圧縮後のA/D変換オ
フセット量を推定する。一方、遅延メモリ33はA/D
変換オフセット量の推定が終了するまでの期間データを
保持し、減算器34に加える。したがって、減算器34
では、受信エコーのパルス圧縮結果から、オフセット量
推定部37の出力であるA/D変換オフセット量のみが
入力されたと想定した場合のパルス圧縮ビデオ出力分が
除去される。以後の動作は他の実施の形態と同様である
ので、説明を省略する。
【0032】実施の形態1乃至実施の形態3では、ノイ
ズ領域において符号パルス圧縮器の初期の出力からA/
D変換オフセット量を算出し、受信エコーのパルス圧縮
前にA/D変換オフセット量を除去するようにしている
が、この実施の形態4ではパルス送信直後のトランケー
ティッドレンジのパルス圧縮ビデオ出力から直接A/D
変換オフセットによるパルス圧縮ビデオ出力を推定し、
その分を受信エコーの符号パルス圧縮器40の出力から
差し引くようにしたものである。
【0033】実施の形態4によれば、トランケーティッ
ドレンジ内に現れるパルス圧縮ビデオの特徴からA/D
変換オフセット量を推定するオフセット量推定部37を
設けたので、実施の形態1に比べてパルス圧縮ビデオか
らA/D変換オフセットを除去する簡易的な構成を提供
できる効果が得られる。
【0034】実施の形態5.図5は、この発明の実施の
形態5に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図
である。図において、31はノイズ領域においてデジタ
ルIビデオ23、デジタルQビデオ24のそれぞれの変
調符号を復調する第1の符号パルス圧縮器である。35
は受信領域においてデジタルIビデオ23、デジタルQ
ビデオ24の各変調符号を復調するための第2の符号パ
ルス圧縮器である。33はノイズ領域における第1のパ
ルス圧縮器31の圧縮動作が完了するまでの期間第2の
符号パルス圧縮器35のパルス圧縮ビデオ出力の遅延を
行う遅延メモリである。34は第2の符号パルス圧縮器
35の遅延されたパルス圧縮ビデオ出力から第1の符号
パルス圧縮器31のパルス圧縮ビデオ出力を減算するた
めの減算器である。10は複素FFT回路、11は絶対
値算出回路である。以上の構成は、ソフトウェアで実現
することも可能である。また、29は複素スペクトル、
30はパワースペクトルである。
【0035】次に、動作について説明する。デジタルI
ビデオ23、デジタルQビデオ24は第1の符号パルス
圧縮器31に入力されるが、この第1の符号パルス圧縮
器31は、図1で説明した動作と同様、入力に受信エコ
ーの含まれない遠距離のノイズ領域に達するまで動作を
開始せず、それまでは第1の符号パルス圧縮器31内の
各ディレータップにはデータ0が保持されている。入力
データがノイズ領域に達したとき、第1の符号パルス圧
縮器31が動作を開始する。図1の場合の第1の符号パ
ルス圧縮器31はトランケーティッドレンジ相当分のみ
の処理を行ったが、この実施の形態5では、受信領域の
レンジ数と同等以上のレンジ数分を、ノイズ領域で処理
を行う。一方、デジタルIビデオ23、デジタルQビデ
オ24は第2の符号パルス圧縮器35により受信エコー
のパルス圧縮処理が行われ、第1の符号パルス圧縮器3
1のパルス圧縮ビデオ出力が得られるまで遅延メモリ3
3で出力結果が保持される。その後、第1の符号パルス
圧縮器31のパルス圧縮ビデオ出力と第2の符号パルス
圧縮器35のパルス圧縮ビデオ出力が減算器34に与え
られ、A/D変換オフセット成分を含むノイズ成分が除
去される。以後の動作は、他の実施形態と同一であるの
で、その説明を省略する。
【0036】通常A/D変換オフセット成分を除去して
も、送受信装置のドリフト等によりノイズ成分には直流
成分が含まれ、その結果、FFT後のパワースペクトル
30において、ドップラ0成分が完全に除去されること
は希である。しかし、上述のように、デジタルIビデオ
23、デジタルQビデオ24のパルス圧縮後の出力から
ノイズ領域におけるパルス圧縮ビデオ出力を減算するこ
とにより、オフセット成分と同時にノイズの直流成分を
除去できる。
【0037】実施の形態5によれば、入力したデジタル
Iビデオ23、デジタルQビデオ24をノイズ領域でパ
ルス圧縮し、その結果を受信領域でのパルス圧縮結果か
ら減算するようにしたので、オフセット成分測定のため
の長時間の予備観測なしに、送受信装置の安定度の影響
を即座に補償して、オフセット成分と同時にノイズの直
流成分を除去する効果が得られる。
【0038】実施の形態6.図6はこの発明の実施の形
態6に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図で
ある。図において、このパルス圧縮装置は、第1の符号
パルス圧縮器31と減算器34の間に平均値算出部(平
均値算出手段)36を設けた点以外は図5の構成と同じ
であり、相当部分には同一符号を付し、その説明は省略
する。
【0039】次に、動作について説明する。入力データ
からノイズ領域におけるパルス圧縮を行うまでの動作は
実施の形態5と同様である。第1の符号パルス圧縮器3
1のループ単位毎に得られるノイズ領域のパルス圧縮ビ
デオ出力は平均値算出部36に加えられ、数秒乃至数分
程度の過去に渡る期間におけるパルス圧縮ビデオの平均
値が算出される。次に、減算器34において、第2の符
号パルス圧縮器35の受信領域のパルス圧縮ビデオ出力
を遅延させた成分からこの平均値成分を減算し、送受信
装置のノイズ成分を除去する。ノイズ成分除去以後の動
作は他の実施の形態と同様であるので、説明を省略す
る。
【0040】実施の形態6によれば、実施の形態5のレ
ーダのパルス圧縮装置に対し、ノイズ領域のパルス圧縮
ビデオから、過去に渡る所定の期間のノイズ領域におけ
るパルス圧縮結果の平均値を算出する手段を追加したも
ので、送受信装置ノイズの短期変動の影響を軽減して、
A/D変換オフセット成分と同時にノイズの直流成分を
も除去する効果が得られる。
【0041】実施の形態7.図7はこの発明の実施の形
態7に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図で
ある。図において、40は符号系列により位相変調を行
うレーダの受信信号のデジタルIビデオ23、デジタル
Qビデオ24の変調符号を復調する符号パルス圧縮器で
あり、図5における第1の符号パルス圧縮器31、第2
の符号パルス圧縮器35を兼ねるものである。33は受
信領域での符号パルス圧縮器40のパルス圧縮ビデオ出
力の遅延を行う遅延メモリである。41は受信領域から
受信エコーが検出されない遠距離のノイズ領域への変化
点で符号パルス圧縮器40をリセットするリセット信号
である。34は受信領域のパルス圧縮ビデオ出力からノ
イズ領域のパルス圧縮ビデオ出力を減算する減算器であ
る。10は複素FFT回路、11は絶対値算出回路であ
る。以上の構成は、ソフトウェアで実現することも可能
である。また、29は複素スペクトル、30はパワース
ペクトルである。
【0042】次に、動作について説明する。デジタルI
ビデオ23、デジタルQビデオ24が入力されると、符
号パルス圧縮器40は、受信データを順次パルス圧縮し
ていく。受信データは受信エコーが検出されない遠距離
のノイズ領域の開始点に達すると、リセット信号41が
符号パルス圧縮器40に入力され、各ディレータップに
保持されている値は、リセット信号41を受けて0にク
リアされる。したがって、リセット信号41の次のレン
ジクロックでは、符号パルス圧縮器40のパルス圧縮ビ
デオ出力は、トランケーティッドレンジである第1レン
ジの出力からエコー成分が除去されたような値となる。
すなわち、ノイズのみを入力として動作が開始された状
態と同様なパルス圧縮ビデオ出力が得られる。この出力
を減算器34に入力し、受信領域の符号パルス圧縮器4
0の遅延されたパルス圧縮ビデオ出力から減算すること
により、A/D変換オフセット成分だけでなく、送受信
装置のノイズの直流成分を除去する。ノイズ成分除去以
降の動作は他の実施の形態と同様であるので、説明を省
略する。ここでは、リセット信号41のパルス繰り返し
間隔(PRI)の設定、すなわちノイズ領域の長さは、
実施の形態3の場合と異なり、受信領域の長さと同等も
しくはそれ以上とし、これにより、トランケーティッド
レンジに現れるA/D変換オフセット成分だけでなく、
送受信装置のノイズの直流成分も検出する。
【0043】実施の形態7によれば、必要な受信領域以
遠に、A/D変換オフセット量およびノイズの算出に必
要なノイズ測定領域を設けるようにリセット信号41の
PRIを選び、ノイズ領域で遅延回路33のディレータ
ップをリセットし、リセット後のパルス圧縮ビデオ出力
にトランケーティッドレンジでの挙動を含むノイズのみ
でのパルス圧縮ビデオ出力を再現させ、これを受信領域
でのパルス圧縮結果から減算するようにしたので、実施
の形態5と同様の効果が得られると共に、これにより符
号パルス圧縮器の数を削減できる効果がある。
【0044】実施の形態8.図8はこの発明の実施の形
態8に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図で
ある。図において、38はノイズ領域で予備観測して予
め算出した所定のA/D変換オフセット量を格納したオ
フセットレジスタ(オフセット格納手段)である。34
は符号系列により位相変調を行うレーダの受信信号のデ
ジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24から所定の
A/D変換オフセット量を減算する減算器である。40
は減算器34の出力のデジタルIビデオ、デジタルQビ
デオの変調符号を復調する符号パルス圧縮器である。1
0は複素FFT回路、11は絶対値算出回路である。以
上の構成は、ソフトウェアで実現することも可能であ
る。また、29は複素スペクトル、30はパワースペク
トルである。
【0045】次に、動作について説明する。入力される
デジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24は、減算
器34に入力される。また減算器34にはオフセットレ
ジスタ38に予め算出したA/D変換オフセット量が入
力され、デジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24
のそれぞれから減算される。このA/D変換オフセット
量は、予備観測等によりノイズ領域で観測して予め得ら
れたものである。その後、減算器34においてA/D変
換オフセット量が除去されたデジタルIビデオ、デジタ
ルQビデオは符号パルス圧縮器40においてパルス圧縮
される。以降の処理は他の実施の形態と同様であるの
で、説明を省略する。このように構成することにより、
小さいハードウェア規模でA/D変換オフセットを簡易
的に除去することができる。
【0046】実施の形態8によれば、予め予備観測等に
よりノイズ領域で得られたA/D変換オフセット量をデ
ジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24から減算し
た後、パルス圧縮を行うようにしたので、送受信装置お
よびA/D変換器の安定度が良い場合には、小さいハー
ドウェア規模でA/D変換オフセットを簡易的に除去す
る構成にできる効果が得られる。
【0047】実施の形態9.図9はこの発明の実施の形
態9に係るレーダのパルス圧縮装置を示すブロック図で
ある。図において、40は符号系列により位相変調を行
うレーダの受信信号のデジタルIビデオ23、デジタル
Qビデオ24から変調符号を復調する符号パルス圧縮器
である。39はノイズ領域で観測して予め得たノイズ成
分を格納したノイズメモリ(ノイズ格納手段)である。
34は符号パルス圧縮器40の出力からノイズメモリ3
9の所定のノイズ成分を減算する減算器である。
【0048】次に、動作について説明する。入力された
デジタルIビデオ23、デジタルQビデオ24は、符号
パルス圧縮器40によりパルス圧縮され、減算器34に
印加される。減算器34において、符号パルス圧縮器4
0のパルス圧縮ビデオ出力からノイズメモリ39に格納
されているノイズ成分のみのパルス圧縮ビデオを減算す
る。ここで、ノイズメモリ39に格納されたノイズ成分
は、予備観測等によりノイズ領域において予め測定して
得たもので、トランケーティッドレンジでの挙動を含む
ノイズ領域におけるパルス圧縮ビデオである。以降の処
理は、他の実施の形態と同様であるので、説明を省略す
る。このように構成することにより、小さいハードウェ
ア規模でA/D変換オフセットとノイズの直流成分を簡
易的に除去することができる効果が得られる。
【0049】実施の形態9によれば、実施の形態8の場
合と同様に、送受信装置およびA/D変換器の安定度が
良い場合には、予備観測等によりA/D変換オフセット
を含むノイズ成分を予め測定して格納しておき、その値
を用いることにより、小さいハードウェア規模でA/D
変換オフセットとノイズの直流成分を除去する効果が得
られる。
【0050】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、符号
系列により位相変調を行うレーダの受信信号のデジタル
IビデオおよびデジタルQビデオの変調符号をノイズ領
域において復調するそれぞれの第1の符号パルス圧縮器
と、第1の符号パルス圧縮器の各パルス圧縮ビデオ出力
からそれぞれA/D変換オフセット量を算出するそれぞ
れのオフセット算出手段と、このA/D変換オフセット
量の算出が完了する期間デジタルIビデオおよびデジタ
ルQビデオを遅延させるそれぞれの遅延メモリと、遅延
されたデジタルIビデオおよびデジタルQビデオからA
/D変換オフセット量をそれぞれ減算するそれぞれの減
算器と、受信領域においてA/D変換オフセット量が減
算されたデジタルIビデオおよびデジタルQビデオの変
調符号を復調するそれぞれの第2の符号パルス圧縮器と
を備えるように構成したので、オフセット成分測定のた
めの長時間の予備観測なしに、送受信装置の安定度の影
響を即座に補償してA/D変換オフセット成分を除去で
きる効果がある。
【0051】この発明によれば、オフセット算出手段に
より算出されたA/D変換オフセット量から所定の過去
の期間に渡るオフセット量平均値を算出するそれぞれの
平均値算出手段を備え、減算器がデジタルIビデオおよ
びデジタルQビデオから前記オフセット量平均値を減算
するように構成したので、A/D変換オフセット以外の
送受信器ノイズの短期変動の影響を軽減して、オフセッ
ト成分を除去できるレーダのパルス圧縮装置を得られる
効果がある。
【0052】この発明によれば、符号系列により位相変
調を行うレーダの受信信号のデジタルIビデオおよびデ
ジタルQビデオからA/D変換オフセット量を減算する
それぞれの減算器と、A/D変換オフセット量を減算し
たデジタルIビデオおよびデジタルQビデオの変調符号
を復調するそれぞれの符号パルス圧縮器と、ノイズ領域
において符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビデオ出力から
前記A/D変換オフセット量を算出するそれぞれのオフ
セット算出手段と、受信領域からノイズ領域への変化点
で符号パルス圧縮器のディレータップに保持されている
値をクリアし、かつオフセット算出手段の演算開始を指
示するそれぞれのリセット手段とを備えるように構成し
たので、オフセット成分測定のための長時間の予備観測
なしに、送受信装置の安定度の影響を即座に補償してA
/D変換オフセット成分を除去でき、ハードウェア規模
も縮小できる効果がある。
【0053】この発明によれば、符号系列により位相変
調を行うレーダの受信信号のデジタルIビデオおよびデ
ジタルQビデオから受信領域において変調符号を復調す
るそれぞれの符号パルス圧縮器と、符号パルス圧縮器の
各パルス圧縮ビデオ出力よりそれぞれの推定A/D変換
オフセット量を算出するそれぞれのオフセット量推定手
段と、推定A/D変換オフセット量の算出が終了するま
での期間パルス圧縮ビデオ出力の遅延を行うそれぞれの
遅延メモリと、遅延したパルス圧縮ビデオから推定A/
D変換オフセット量を減算するそれぞれの減算器とを備
えるように構成したので、A/D変換オフセットを簡易
的にパルス圧縮ビデオから除去できる効果がある。
【0054】この発明によれば、符号系列により位相変
調を行うレーダの受信信号のデジタルIビデオおよびデ
ジタルQビデオからノイズ領域において変調符号を復調
するそれぞれの第1の符号パルス圧縮器と、受信領域に
おいて前記デジタルIビデオおよびデジタルQビデオの
変調符号を復調するそれぞれの第2の符号パルス圧縮器
と、ノイズ領域における第1の符号パルス圧縮器の圧縮
動作が完了するまでの期間第2の符号パルス圧縮器のパ
ルス圧縮ビデオ出力の遅延を行うそれぞれの遅延メモリ
と、第2の符号パルス圧縮器の遅延されたパルス圧縮ビ
デオ出力から第1の符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビデ
オ出力を減算するそれぞれの減算器とを備えるように構
成したので、オフセット成分測定のための長時間の予備
観測なしに、送受信装置の安定度の影響を即座に補償し
てオフセット成分と同時にノイズの直流成分を除去でき
る効果がある。
【0055】この発明によれば、第1の符号パルス圧縮
器のパルス圧縮ビデオ出力の過去に渡る所定の期間の平
均値を算出するそれぞれの平均値算出手段を備え、各減
算器が第2のパルス圧縮器のパルス圧縮ビデオ出力から
前記平均値をそれぞれ減算するように構成したので、送
受信装置ノイズの短期変動の影響を軽減して、オフセッ
ト成分と同時にノイズの直流成分を除去できる効果があ
る。
【0056】この発明によれば、符号系列により位相変
調を行うレーダの受信信号のデジタルIビデオおよびデ
ジタルQビデオから変調符号を復調するそれぞれの符号
パルス圧縮器と、受信領域において符号パルス圧縮器の
パルス圧縮ビデオ出力の遅延を行う遅延メモリと、受信
領域から受信エコーが検出されない遠距離のノイズ領域
への変化点で符号パルス圧縮器のディレータップに保持
されている値をクリアするそれぞれのリセットする手段
と、受信領域における前記パルス圧縮ビデオ出力からノ
イズ領域における遅延メモリのパルス圧縮ビデオ出力を
減算するそれぞれの減算器とを備えるように構成したの
で、ハードウェア規模を簡略化して、オフセット成分測
定のための長時間の予備観測なしに、送受信装置の安定
度の影響を即座に補償してオフセット成分と同時にノイ
ズの直流成分を除去できる効果がある。
【0057】この発明によれば、符号系列により位相変
調を行うレーダの受信信号のデジタルIビデオおよびデ
ジタルQビデオをノイズ領域で観測して予め算出した各
所定のA/D変換オフセット量を格納したそれぞれのオ
フセット格納手段と、デジタルIビデオおよびデジタル
Qビデオから各所定のA/D変換オフセット量を減算す
るそれぞれの減算器と、所定のA/D変換オフセット量
が除去されたデジタルIビデオおよびデジタルQビデオ
の変調符号を復調するそれぞれの符号パルス圧縮器とを
備えるように構成したので、送受信装置およびA/D変
換器の安定度が良い場合に、小さいハードウェア規模で
A/D変換オフセット量を簡易的に除去できる効果があ
る。
【0058】この発明によれば、符号系列により位相変
調を行うレーダの受信信号のデジタルIビデオおよびデ
ジタルQビデオの変調符号を復調するそれぞれの符号パ
ルス圧縮器と、デジタルIビデオおよびデジタルQビデ
オをノイズ領域で予め観測して得た各所定のノイズ成分
を格納したそれぞれのノイズ格納手段と、前記符号パル
ス圧縮器の各パルス圧縮ビデオ出力から前記各所定のノ
イズ成分を減算するそれぞれの減算器とを備えるように
構成したので、送受信装置の安定度が良い場合に、小さ
いハードウェア規模でA/D変換オフセットおよびノイ
ズの直流成分を簡易的にパルス圧縮ビデオから除去でき
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態2によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態3によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態4によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態5によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態6によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態7によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態8によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】 この発明の実施の形態9によるレーダのパル
ス圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】 従来の符号パルス圧縮を用いたレーダの構
成を示すブロック図である。
【図11】 4ビットSPANO符号を用いたレーダの
パルス圧縮装置の動作を説明するための説明図である。
【図12】 4ビットSPANO符号を用いたレーダの
パルス圧縮装置におけるA/D変換オフセットの影響を
説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 送信空中線、2 送受信装置、3 A/D変換器、
4,40 符号パルス圧縮器、5 ディレータップ、6
パルス圧縮符号、7 乗算器、8 加算器、9 コヒ
ーレント積分回路、10 複素FFT回路、11 絶対
値算出回路、21 アナログIビデオ、22 アナログ
Qビデオ、23 デジタルIビデオ、24 デジタルQ
ビデオ、25 パルス圧縮Iビデオ、26 パルス圧縮
Qビデオ、27 コヒーレント積分後のIビデオ、28
コヒーレント積分後のQビデオ、29 複素スペクト
ル、30 パワースペクトル、31 第1の符号パルス
圧縮器、32 オフセット算出部、33 遅延メモリ、
34 減算器、35 第2の符号パルス圧縮器、36
平均値算出部、37 オフセット量推定部、38オフセ
ットレジスタ、39 ノイズメモリ、40 符号パルス
圧縮器、41 リセット信号。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95 H03M 1/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 符号系列により位相変調を行うレーダの
    受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデオの
    変調符号をノイズ領域において復調するそれぞれの第1
    の符号パルス圧縮器と、 前記第1の符号パルス圧縮器の各パルス圧縮ビデオ出力
    からそれぞれA/D変換オフセット量を算出するそれぞ
    れのオフセット算出手段と、 前記A/D変換オフセット量の算出が完了する期間前記
    デジタルIビデオおよび前記デジタルQビデオを遅延さ
    せるそれぞれの遅延メモリと、 遅延されたデジタルIビデオおよびデジタルQビデオか
    ら前記A/D変換オフセット量をそれぞれ減算するそれ
    ぞれの減算器と、 受信領域において前記A/D変換オフセット量が減算さ
    れたデジタルIビデオおよびデジタルQビデオの変調符
    号を復調するそれぞれの第2の符号パルス圧縮器とを備
    えたことを特徴とするレーダのパルス圧縮装置。
  2. 【請求項2】 オフセット算出手段により算出されたA
    /D変換オフセット量から所定の過去の期間に渡るオフ
    セット量平均値を算出するそれぞれの平均値算出手段を
    備え、減算器がデジタルIビデオおよびデジタルQビデ
    オから前記オフセット量平均値を減算することを特徴と
    する請求項1記載のレーダのパルス圧縮装置。
  3. 【請求項3】 符号系列により位相変調を行うレーダの
    受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデオか
    らA/D変換オフセット量を減算するそれぞれの減算器
    と、 A/D変換オフセット量を減算したデジタルIビデオお
    よびデジタルQビデオの変調符号を復調するそれぞれの
    符号パルス圧縮器と、 ノイズ領域において前記符号パルス圧縮器のパルス圧縮
    ビデオ出力から前記A/D変換オフセット量を算出する
    それぞれのオフセット算出手段と、 受信領域からノイズ領域への変化点で前記符号パルス圧
    縮器のディレータップに保持されている値をクリアし、
    かつ前記オフセット算出手段の演算開始を指示するそれ
    ぞれのリセット手段とを備えたことを特徴とするレーダ
    のパルス圧縮装置。
  4. 【請求項4】 符号系列により位相変調を行うレーダの
    受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデオか
    ら受信領域において変調符号を復調するそれぞれの符号
    パルス圧縮器と、 前記符号パルス圧縮器の各パルス圧縮ビデオ出力よりそ
    れぞれの推定A/D変換オフセット量を算出するそれぞ
    れのオフセット量推定手段と、 前記推定A/D変換オフセット量の算出が終了するまで
    の期間前記パルス圧縮ビデオ出力の遅延を行うそれぞれ
    の遅延メモリと、 遅延したパルス圧縮ビデオから前記推定A/D変換オフ
    セット量を減算するそれぞれの減算器とを備えたことを
    特徴とするレーダのパルス圧縮装置。
  5. 【請求項5】 符号系列により位相変調を行うレーダの
    受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデオか
    らノイズ領域において変調符号を復調するそれぞれの第
    1の符号パルス圧縮器と、 受信領域において前記デジタルIビデオおよびデジタル
    Qビデオの変調符号を復調するそれぞれの第2の符号パ
    ルス圧縮器と、 前記ノイズ領域における前記第1の符号パルス圧縮器の
    圧縮動作が完了するまでの期間前記第2の符号パルス圧
    縮器のパルス圧縮ビデオ出力の遅延を行うそれぞれの遅
    延メモリと、 前記第2の符号パルス圧縮器の遅延されたパルス圧縮ビ
    デオ出力から前記第1の符号パルス圧縮器のパルス圧縮
    ビデオ出力を減算するそれぞれの減算器とを備えたこと
    を特徴とするレーダのパルス圧縮装置。
  6. 【請求項6】 第1の符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビ
    デオ出力の過去に渡る所定の期間の平均値を算出するそ
    れぞれの平均値算出手段を備え、各減算器が第2のパル
    ス圧縮器のパルス圧縮ビデオ出力から前記平均値をそれ
    ぞれ減算することを特徴とする請求項5記載のレーダの
    パルス圧縮装置。
  7. 【請求項7】 符号系列により位相変調を行うレーダの
    受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデオか
    ら変調符号を復調するそれぞれの符号パルス圧縮器と、 受信領域において前記符号パルス圧縮器のパルス圧縮ビ
    デオ出力の遅延を行う遅延メモリと、 前記受信領域から受信エコーが検出されない遠距離のノ
    イズ領域への変化点で前記符号パルス圧縮器のディレー
    タップに保持されている値をクリアするそれぞれのリセ
    ットする手段と、 前記受信領域における前記パルス圧縮ビデオ出力から前
    記ノイズ領域における前記遅延メモリのパルス圧縮ビデ
    オ出力を減算するそれぞれの減算器とを備えたことを特
    徴とするレーダのパルス圧縮装置。
  8. 【請求項8】 符号系列により位相変調を行うレーダの
    受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデオを
    ノイズ領域で観測して予め算出した各所定のA/D変換
    オフセット量を格納したそれぞれのオフセット格納手段
    と、 前記デジタルIビデオおよびデジタルQビデオから前記
    各所定のA/D変換オフセット量を減算するそれぞれの
    減算器と、 前記所定のA/D変換オフセット量が除去されたデジタ
    ルIビデオおよびデジタルQビデオの変調符号を復調す
    るそれぞれの符号パルス圧縮器とを備えたことを特徴と
    するレーダのパルス圧縮装置。
  9. 【請求項9】 符号系列により位相変調を行うレーダの
    受信信号のデジタルIビデオおよびデジタルQビデオの
    変調符号を復調するそれぞれの符号パルス圧縮器と、 前記デジタルIビデオおよびデジタルQビデオをノイズ
    領域で予め観測して得た各所定のノイズ成分を格納した
    それぞれのノイズ格納手段と、 前記符号パルス圧縮器の各パルス圧縮ビデオ出力から前
    記各所定のノイズ成分を減算するそれぞれの減算器とを
    備えたことを特徴とするレーダのパルス圧縮装置。
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