JP3402762B2 - 画像形成方法及び装飾アルミ板の製造方法 - Google Patents

画像形成方法及び装飾アルミ板の製造方法

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JP3402762B2
JP3402762B2 JP16209394A JP16209394A JP3402762B2 JP 3402762 B2 JP3402762 B2 JP 3402762B2 JP 16209394 A JP16209394 A JP 16209394A JP 16209394 A JP16209394 A JP 16209394A JP 3402762 B2 JP3402762 B2 JP 3402762B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金の板もしくは箔を有する被記録材、例え
ばネームプレート、表示板、建築用壁材、車両用パネル
や各種部品、食器、アルミ缶、室内装飾用パネルなどに
文字、図形パターン、画像等を記録する画像形成方法及
び装飾アルミ板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録による被記録材とし
ては、紙が主流であり、紙以外では、少なくとも一方の
面に特殊処理によりインク吸収性が付与された層が設け
られたプラスチックフィルム等に限定されていた。これ
は、インクジェット記録装置が事務用として主に用いら
れているため、情報媒体としての紙に記録されることが
多かったこと、更にはインク滴を飛翔させ、これを被記
録材に付着させるというインクジェット記録方式の性質
上、被記録材にインクの吸収性と定着性が要求されるこ
とによると考えられる。
【0003】このような状況下で、インクジェット記録
装置の高速化、高機能化に伴い、インクジェット記録の
紙やプラスチックフィルム等以外の素材からなる被記録
材への応用が注目されつつある。そのなかで、アルミニ
ウムまたはその合金等の金属素材へのインクジェット記
録は、印刷等に代わる金属素材へのより簡便な記録法を
提供できるだけではなく、金属素材からなる文字、模
様、絵などが施された記録物の用途の拡大をも促進する
ものと期待されている。
【0004】多種多様な分野や用途において利用されて
いる金属素材としてアルミニウムまたはその合金が挙げ
られる。なかでも、アルミニウムの表面に陽極酸化被
膜、いわゆるアルマイト被膜を形成し、アルミニウムの
耐食性、表面強度及び装飾性を向上させたものは、建
材、食器、電子機器のパネル等に、またこの被膜の良好
な熱放散性を利用した放熱板等に古くから利用されてい
る。特に、アルマイト被膜は染着性が良いことから、ア
ルマイト被膜を有する部材は、装飾された壁板材や戸扉
用の部材、あるいは美術的な装飾品自体としても利用さ
れている。更に、各種のパーソナルなネームプレートな
どとしての用途も広い。
【0005】アルマイト被膜(陽極酸化被膜)への着
色、あるいは記録方法としては、写真焼付け法が主流で
ある。この方法は、色毎に、レジストの塗布、露光、現
像、所定色の記録液(染料)への浸漬及びレジストの剥
離という一連の工程を繰り返して多色記録液によるカラ
ー画像を形成するものである。
【0006】陽極酸化被膜を形成したアルミニウムまた
はその合金からなる素材への記録に従来用いられている
写真焼付け法では、工程数が多く、繁雑でありまた時間
もかかるものであり、記録液の色数が増加すればする工
程数や処理時間が大きく増大する。従って、大量の素材
を処理には限界があった。
【0007】そこで、高速でのカラー記録が可能である
インクジェット記録法をこれに適用すれば、処理時間を
大幅に短縮して生産性を更に向上させることが可能とな
り、また写真焼付け法に必要なレジスト、現像液、洗浄
液等が不要となり、大幅なコストの低減化が図れる。さ
らに、使用後の現像液や洗浄液等の廃液による環境汚染
やその処理という問題も解決できる。
【0008】インクジェット記録のアルマイト被膜への
適用については、例えば、特開昭62−115074号
公報や特開平3−147883号公報に開示されてい
る。これらの公報に記載の方法では、従来のインクジェ
ット記録法がアルマイト被膜を有する板材に直接適用さ
れただけのものに過ぎない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来よく知られたイン
クジェット用染料をインクの成分として用いてインクジ
ェット記録を行なった場合、耐光性が悪く経時変化によ
り記録物が退色してしまったり、色調が変わってしまう
という欠点がある。
【0010】そこで耐光性のよい染料として従来よく知
られたアルマイト用染料をインクの成分としてインクジ
ェット記録を行なうことが考えられるがこの場合はアル
マイト被膜への十分な着色はできず、色調も悪いという
欠点がある。
【0011】一方、製缶用やロット番号の印刷用のイン
クジェット記録装置は実用化されているが、油性インク
を用いるものや、顔料系のインクを用いるものが多く、
高精細な画像を形成するために必要な小径のインク滴が
飛ばせなかったり、ノズルを高密度で配置すると、目詰
りし易く、適用できる分野が限定されており、より高精
細な画像を記録するには実用的とはいえない。また、こ
れらの用途でのインクジェット記録装置では、ノズルの
加工精度が充分でなく、数本/mm程度までしかノズル
密度を上げることができず、画像の高精度化が困難で、
装飾用への応用とした際の画像品位には問題があった。
従って、この分野でのインクジェット記録法をアルマイ
ト被膜の記録に適用することも実用的とは言えない。
【0012】本発明は、これらの問題に鑑みなされたも
ので、その目的とすることはアルミニウム陽極酸化被膜
(アルマイト被膜)にインクジェット記録方式を採用し
て、耐光性に優れ、色再現性が良好で高精細な画像及び
かかる画像性能を有する装飾アルミ板を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明によって達成される。
【0014】本発明は、アルミニウムまたはアルミニウ
ム合金からなる板もしくは箔の表面に形成された陽極酸
化被膜に対し、インクジェット記録方式により、インク
吐出口を備えた記録ヘッドから少なくとも1色以上のイ
ンク滴を付与する第1の工程と記録画像を形成した陽極
酸化被膜に多価金属塩溶液を付与する第2の工程を含む
ことを特徴とする画像形成方法であり、第1の工程に先
立って、陽極酸化被膜を脱水及び活性化処理する工程を
含み、インクジェット記録方式が、バブルジェット記録
方式であることを含む。
【0015】又、本発明は、アルミニウムまたはアルミ
ニウム合金からなる板もしくは箔の表面に形成された陽
極酸化被膜に対し、インクジェット記録方式により、イ
ンク吐出口を備えた記録ヘッドから少なくとも1色以上
のインク滴を付与する第1の工程と記録画像を形成した
陽極酸化被膜に多価金属塩溶液を付与する第2の工程を
含むことを特徴とする装飾アルミ板の製造方法であり、
第1の工程に先立って、陽極酸化被膜を脱水及び活性化
処理する工程を含み、インクジェット記録方式が、バブ
ルジェット記録方式であることを含む。
【0016】本発明における被記録材は、アルミニウム
またはその合金の板もしくは箔の表面に形成された陽極
酸化被膜を有する。なお、該被記録材はアルミニウムま
たはその合金以外の素材からなる部分、例えばクラード
材のような各種素材(基材)上にアルミニウムまたはそ
の合金の箔を積層した構成のものであっても良い。
【0017】本発明に用いるアルミニウムまたはその合
金としては、陽極酸化被膜の形成性が良いものであれば
特に制限なく利用でき、例えば、JIS−1050等の
純アルミニウム系の板材または箔、Mgを含有し合金等
のアルマイト用のアルミニウム合金からなる板材や箔等
が利用できる。
【0018】ソリ、バリ等の所望としない変形が発生し
ないようにしてプレス機等により所定の形状やサイズと
された素材のアルミニウムまたはその合金の板もしくは
箔の陽極酸化被膜が形成されて画像形成面となる面に
は、必要に応じて、記録の際における良好な画像形成の
ために、機械的方法あるいは化学的研磨等により、その
表面性を調節する処理を施すのは好ましい。
【0019】これは表面の粗さを調整することにより、
光沢状から白色状へとさまざまな表面状態のものを選択
でき、これらを選択することにより、金属らしさを強調
したり、より紙等の記録に近づけた画像とすることがで
きる。
【0020】この表面処理に用いる処理方法としては、
ショートブラストのようにビーズ状の研磨材を表面に吹
き付ける機械的加工方法やエッチング液を用いた化学的
方法等が利用できるが、被記録材をエッチング液に浸漬
した際のガス発生、粒界の存在によって外周に陵をとも
なった凹凸部を効果的に形成できる化学的研磨法が好ま
しい。
【0021】また、素材の陽極酸化被膜が形成される面
には、更に必要に応じて、一般的に行われている脱脂処
理、酸洗浄処理が施された後、例えば硫酸浴中での電解
陽極酸化法により陽極酸化被膜が形成され、水洗処理さ
れる。陽極酸化被膜の膜厚は、例えば5〜25μmとさ
れる。
【0022】図1にアルミニウムまたはその合金の陽極
酸化被膜の構造を模式的に示す。アルミニウムまたはそ
の合金からなる基部4の表面に形成された陽極酸化被膜
1は、多数のセル3から構成されており、各セルのほぼ
中心にはポア(微細孔)2が形成されている。このポア
2底部は基部4との境界部にある酸化被膜のバリアー層
5により構成される。
【0023】そこで、ポア2の径が大きいほど、染着
性、インク受容性が高くなり、またポア2が深いほどイ
ンク受容性が高くなるので、陽極酸化処理における電解
条件としては、このような状態のポアを形成できる条件
を選択して用いるのが好ましい。
【0024】より高温での、あるいはより高濃度の電解
液を用いた処理によってポア2の径や深さを拡大するこ
とができるが、バリアー層5の厚みが薄くなると素材自
体の耐食性の低下を引き起こすので、これらの要件を考
慮して電解条件を設定するとよい。
【0025】例えば、電解液組成として、硫酸の10〜
30%重量比溶液を準備し、陰極としてSUS板、陽極
に前記前処理を施し、陽極酸化処理前に脱脂処理、水洗
及びスマット除去処理を施したアルミニウム板をセット
して、浴温を約25℃にコントロールし、かつ良く攪拌
される電解槽にて、電流温度を60〜30mA/m
2で、必要膜厚を得るまで所定時間陽極酸化する。その
後、電解槽から取り出し、充分水洗し、乾燥後、保管す
る。
【0026】また、前記電解処理を2段階に分割して、
第1段で大型のポアが形成される条件を採用し、第2段
で小型のポアが形成される条件を採用して、バリアー層
を基部側に成長させて耐食性を上げる方法も有効であ
る。この場合、第2段の処理は第1段と同一浴内で行っ
ても良いし、第1段とは別の浴で行ってもよい。バリア
ー層を成長させるには、ホウ酸系の電解液を用いること
も有効である。
【0027】以上のようにアルミニウムまたはその合金
の板もしくは箔からなる部分の表面に陽極酸化被膜から
なる画像形成面を形成して得た被記録材は、必要に応じ
て保存された後、本発明の画像形成方法における第1の
工程で処理される。
【0028】なお、被記録材を保存する場合には、その
保存状態が画像形成操作に与える影響も大きいので初期
の目的に合うように保存状態を管理することが好まし
い。図1で説明したように、陽極酸化被膜はポアを有す
る多数のセルによって構成されており、このポアの存在
によりインクが被膜中に吸収され記録が可能となる。と
ころが、陽極酸化被膜を大気中などのような水(水蒸
気)と酸素を含む雰囲気中に放置しておくと、被膜に、
水及び酸素との反応により水酸化物が形成され、これが
ポア中にできるとポアが狭くなったり、封鎖されてしま
い、反応が進むと、被膜中のほとんどのポアが封鎖され
た状態となる。ポア容積の減少や封鎖は、インク受容性
(インク吸収性)を減少させ、ニジミや混色の発生によ
る画像品位の劣化が起き易くなるという問題を生じる。
従って、被記録材の保管にあたっては、水分や酸素を遮
断することが好ましい。被記録材の保管方法としては、
窒素ガスを流して窒素ガス雰囲気を形成できる容器内で
の保存や、シリカゲル等の防湿剤や脱酸素剤を入れて乾
燥空気の雰囲気を形成できる容器内での保存や、外気を
遮断することが好ましい。
【0029】本発明の画像形成方法においては第1の工
程に先立って、被記録材の画像形成面を構成している陽
極酸化被膜の脱水、活性化処理を施すことがインクの染
着性向上の点で好ましい。
【0030】この処理によって、アルミニウム陽極酸化
被膜は、その被膜形成時に外表部に形成されるベーマイ
ト(boehmite:AIO(OH))及びγ−Al
23 に吸着された水分が脱水縮合し、活性化ポイント
が形成され。この活性化ポイントは空気中の水分と反応
し、すぐに元の状態に戻ろうとするため、記録工程の直
前で行うことが重要である。この活性化ポイントが形成
されると、インク中に含まれる染料の反応基がこのポイ
ントで結合し、染着性が高まる。また、インク中の水分
も吸収され、インクの受容量も高まるという優れた作用
効果がある。
【0031】この工程には、加熱処理、電磁誘導処理ま
たは乾燥空気の吹き付け処理等が利用できる。乾燥空気
にはH2 、O3 等の活性ガスを混入されても良い。ま
た、コロナ放電により帯電処理する方法も利用できる。
【0032】具体的には、例えば、60℃に加熱した乾
燥空気を約20リットル/minで、20cm×5cm
の開口部を通してアルミニウム陽極酸化被膜に吹き付け
る。このアルミニウム陽極酸化被膜の形成されたアルミ
ニウム板は上記開口部を約30cm/minの速度で通
過させ、インクジェット記録部へ搬送される。また、外
気温やアルミニウム板が低温であると効果が充分発揮さ
れないため、前記搬送用のトレーにプレートヒート用加
熱ヒーターを設け、予備的に約60℃程度まで加熱を行
うことが好ましい。
【0033】この工程での処理が終了したところで、被
記録材にインクジェット記録(第1の工程)が行われ
る。第1の工程でのインクジェット記録には通常の紙な
どの被記録材に適用されている記録装置や記録方式が利
用できる。
【0034】インクは、所期の目的が達成できるもので
あれば特に制限されないが、陽極酸化被膜の染着性の良
い色材(染料)を用いたインクがより好ましい。すなわ
ち、アルミニウムまたはその合金の陽極酸化被膜では、
アルミニウムまたはその合金側を陽極として硫酸等の電
解液中で直流または交流での電解処理が行われて酸化被
膜が形成されるため、該被膜は、電解酸化反応における
脱水縮合過程でアルミニウムまたはその合金がその酸化
物に変化する際に生じる多種の中間生成物がなお含有さ
れた状態にある。この中間生成物は反応性に富んだもの
であり(例えばベーマイト)、このような中間生成物と
の反応性の高い染料を用いることで、染着性を向上させ
ることが可能となる。このような染料としては、例え
ば、アニオン性基の少なくとも一種を有する染料を挙げ
ることができ、特に、カルボキシル基及び/またはスル
ホン基を有する染料が好ましい。
【0035】インクのpHは酸性側より、アルカリ性側
にあることが好ましい。これは、被膜が陽極側で形成さ
れること及びアルカリ側で溶解され易いことなどによる
ものと考えられる。
【0036】更に、インクの溶剤成分としては、初期の
目的が達成できるものであれば制限されないが、紙等に
用いる従来のインクジェット記録用インクに利用されて
いるグリセリンや分子量の高いグリコール類等の不揮発
性溶剤は、例えば図2に示すように揮発性溶剤が蒸発し
た後に画像形成面に残される。
【0037】図2に不揮発性溶剤を含んだインクの蒸発
量を経時的に表わす線図を示す。図2は、60℃の乾燥
条件下でシャーレに入れたインクの蒸発量を示すもの
で、縦軸が蒸発量、横軸が時間を示す。まず、60℃に
おいてインクを入れると揮発性成分が蒸発し、その蒸発
速度に従って蒸発量が増加するが、揮発成分が完全に蒸
発し不揮発成分だけが残ると、インク量は変わらず一定
となる。これがセルに受容される量以上あると、まわり
のインク滴が相互に混じり合いブリードしてしまい、画
像品質が劣化してしまう恐れがある。
【0038】紙や布、あるいは画像形成面の下地が溶剤
の吸収性を有する構造の被記録材では、これらの不揮発
性溶剤が下地へ浸透するので表面層の画像を構成してい
る染料への影響はなく、あるいは無視できる程度に小さ
い。これに対して、アルミニウムまたはその合金の表面
に形成された陽極酸化被膜では、紙等を用いた場合にお
ける不揮発性溶剤の下地方向への浸透は起きないので、
これらが被膜中に残存して混色、ニジミ、ブリード等の
原因となる場合がある。水と染料のみで調製されたイン
クでは、装置内での気泡発生や記録に適した粘度がイン
クに得られない等の理由から、これらの不揮発性溶剤の
インクへの使用は、インクジェット記録装置を効果的に
作動させるために不可欠である。そこで、上述の不揮発
性溶剤による問題を防止する上では、不揮発性溶剤のイ
ンク中での含有量を、インク滴が画像形成面に着弾して
広がる領域内に存在するポアの総容積より小さい容積を
不揮発性溶剤が占めるように設定するのが好ましい。
【0039】陽極酸化被膜におけるインク吸収性は、ポ
アの容積によって規定されるので、本発明におけるイン
クジェット記録の際のインク中の染料の打ち込み量は、
画像形成面を構成している陽極酸化被膜の構造、特にポ
アの容積に応じて設定されるのが好ましい、例えば、図
1に示した構造の陽極酸化被膜のセル径が約400オン
グストローム、ポアの径が約100オングストローム、
ポアの深さが約10μmであり、400dpiの条件で
の記録の場合、一画素一辺は63μm程度となるので、
この中には約240万個のセルが存在し、ポア一つ当り
の内容積が約0.0008μm3 となるので、一画素あ
たりのポアの総容量は約1900μm3となる。このポ
アの総容量を一画素の面積で割った値が受容高さであ
り、0.46μmとなる。この場合のインク中の染料濃
度は受容高さによって規定される。単位インク滴当りの
容量(吐出量)が30ngである場合には、受容高さ
0.23μmは約3%の染料濃度になる。なお、着色
度、着色部の反射O.D.という観点から鮮明な画像を
得るには、受容高さは、0.2μm以上であることが好
ましく、陽極酸化被膜の形成に当って、この受容高さを
満足する膜厚、セル密度、ポアサイズが得られるように
電解条件を設定するのが望ましい。
【0040】以上の様な条件設定において、インク滴吐
出量が30ng、アルミニウム陽極酸化被膜の受容量が
0.46μmであるとき、インク中に含まれる不揮発性
成分の許容量は前記被膜受容量以下であることが重要で
ある。従って、6重量%以下の配合に抑えることによっ
て、画像ブリードが抑えられることが判明した。
【0041】これは、セル及びポアの形状と、陽極酸化
(アルマイト)被膜の膜厚によって決定される。つま
り、膜厚が20μmほどであれば、約倍の配合まで可能
であり、セル密度が高い場合、及び、ポアサイズが大き
い場合は、更に配合率を上げることが可能である。ただ
し、一般的アルマイトにおいて約10%が上限で、5%
以下で設定されることが望ましい。
【0042】また、不揮発性溶剤を完全に取り除くと、
インクジェットヘッドの目詰りや発一性が悪くなり、か
えって画像品位を劣化させる場合があり、前記範囲内で
最適な配合比とすることが重要である。
【0043】前記不揮発性成分は、染料の他、ジエチレ
ングリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレング
リコール、グリセリン及び尿素等で構成されるが、I/
J(インクジェット)適性に優れ、アルマイトへの印字
の悪影響がなければ、どの様な溶剤及び添加物であって
も良い。
【0044】さらに、前記揮発性成分は、バブルジェッ
ト記録においては、加熱によって発泡する溶剤であっ
て、水、イソプロピルアルコール、アセトンやアルコー
ル類であれば良く、I/J適性に優れ、アルマイトの印
字への悪影響がなければどの溶剤であっても良い。
【0045】この揮発性成分の蒸発速度は各溶剤の混合
状態、60℃のドライ環境で、1.0×10-5g/mm
2・sec〜1.0×10-7g/mm2・secの範囲で
あることが望ましい。この時のアルマイト表面に打ち込
まれたインク滴が完全に蒸発する速度は数秒から数十秒
の時間となり、1スキャンから数スキャン内にインク滴
が乾くことになり、ニジミやブリードがなく高品位画像
記録できることとなる。
【0046】インクジェット記録が終了したところで画
像形成面に形成された画像に対し、第2の工程である多
価金属塩溶液を付与する工程が行なわれる。
【0047】前記多価金属塩溶液はCu++、Ni++、A
+++等の多価金属陽イオンからなるが、これに限定す
るものではなく同様の効果が得られれば他の多価金属陽
イオンであってもよい。
【0048】また、前記陽イオンと結合する陰イオンに
はCl-、ClO3 -、CH3COO-などがあるが、もち
ろんこれに限定するものではない。
【0049】この多価金属塩溶液の塩濃度は0.05〜
50wt%、好ましくは0.2〜30%が望ましい。
【0050】溶液中の多価金属陽イオンは染料の反応
基、カルボキシル基やスルホン基と反応し、染料複合体
となる。染料は中間生成物との反応性が高いもの、特に
カルボキシル基やスルホン基等の反応基を有するものが
好ましいと前述したが、このような染料を用いること
で、多価金属陽イオンとも反応しやすくなり、染料複合
体も形成されやすい。この染料複合体が形成されること
で紫外線による染料分子の分解が抑えられ、経時変化に
よる退色、変色を抑えることができる。
【0051】次に、多価金属塩溶液を陽極酸化被膜の画
像形成面に付与する方法について述べる。
【0052】屋内用のインテリア等に利用する場合は、
陽極酸化被膜に噴霧機等で多価金属塩溶液を噴きつけれ
ばよいが、陽極酸化被膜を多価金属塩溶液で洗浄すると
より好ましい。
【0053】また屋外用で信頼性が要求されるものであ
れば、多価金属塩溶液を用いてポアの封孔処理を行なう
のが好ましい。
【0054】
【実施例】以下本発明を実施例に沿って更に詳細に説明
する。
【0055】実施例1 厚さ20μmのアルミニウム陽極酸化被膜の形成された
板厚0.5mmのアルミニウム板(上記した陽極酸化被
膜の脱水、活性化処理が施されたもの)にバブルジェッ
ト記録方法により、下記インク組成のインクを用いて画
像を形成した。
【0056】 C.I.ダイレクトブラック168 3重量% エチレングリコール 10重量% イソプロピルアルコール 5重量% 水 82重量%
【0057】次に画像が形成されたアルミニウム板をA
lCl3の10重量%の水溶液を用いて3分間洗浄し、
その後水を用いて5分間洗浄した。
【0058】そして、洗浄あり、洗浄なしのものについ
て、フェード・メーター(アトラスCi35)を用いて
50時間の耐光試験を行なった。
【0059】評価は反射濃度計(マクベスR−D91
5)を用いて、耐光試験前と耐光試験後の反射濃度を測
定して残存率(=耐光試験後の反射濃度/耐光試験前の
反射濃度)を比較した。
【0060】その結果を表1に示す。
【0061】多価金属塩溶液で洗浄することで耐光性が
向上することが判った。
【0062】
【表1】
【0063】実施例2 実施例1と同様にバブルジェット記録方法により、厚さ
20μmの陽極酸化被膜が形成された厚さ0.5mmの
アルミニウム板に実施例1と同様のインクを用いて画像
を形成した。
【0064】次に1重量%のA1Cl3水溶液を用いて
陽極酸化被膜のポアの封孔処理を行なったものと、処理
しなかったものを作成した。
【0065】評価は実施例1と同様にして行なった。
【0066】その結果を表2に示す。
【0067】多価金属塩溶液を用いて陽極酸化被膜の封
孔処理を行なうことで耐光性が更に向上することが判っ
た。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウムまたはそ
の合金の板もしくは箔の表面に形成された陽極酸化被膜
に対し、記録画像を形成後に多価金属塩溶液を付与する
ことで耐光性に優れた画像及び装飾アルミ板を形成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウムまたはその合金の陽極酸化被膜の
構造を示す模式図である。
【図2】インクジェット用インクにおける溶剤の蒸発状
態を示す線図である。
【符号の説明】
1 陽極酸化被膜 2 ポア 3 セル 4 アルミニウムまたはその合金からなる基部 5 バリアー層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23F 1/20 B41J 3/04 101Z C25D 11/18 302 29/00 G H (56)参考文献 特開 平3−147883(JP,A) 特開 平2−187383(JP,A) 特開 昭62−115074(JP,A) 特開 昭61−52392(JP,A) 特開 昭50−138907(JP,A) 特開 昭55−150396(JP,A) 特開 昭62−271779(JP,A) 特開 平7−101140(JP,A) 特開 平8−25792(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/00 B41J 2/01

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる板もしくは箔の表面に形成された陽極酸化被膜に対
    し、インクジェット記録方式により、インク吐出口を備
    えた記録ヘッドから少なくとも1色以上のインク滴を付
    与する第1の工程と記録画像を形成した陽極酸化被膜に
    多価金属塩溶液を付与する第2の工程を含むことを特徴
    とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 第1の工程に先立って、陽極酸化被膜を
    脱水及び活性化処理する工程を含む請求項1に記載の画
    像形成方法。
  3. 【請求項3】 インクジェット記録方式が、バブルジェ
    ット記録方式である請求項1に記載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる板もしくは箔の表面に形成された陽極酸化被膜に対
    し、インクジェット記録方式により、インク吐出口を備
    えた記録ヘッドから少なくとも1色以上のインク滴を付
    与する第1の工程と記録画像を形成した陽極酸化被膜に
    多価金属塩溶液を付与する第2の工程を含むことを特徴
    とする装飾アルミ板の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1の工程に先立って、陽極酸化被膜を
    脱水及び活性化処理する工程を含む請求項4に記載の装
    飾アルミ板の製造方法。
  6. 【請求項6】 インクジェット記録方式が、バブルジェ
    ット記録方式である請求項4に記載の装飾アルミ板の製
    造方法。
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