JP3397628B2 - プリント装置 - Google Patents

プリント装置

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JP3397628B2
JP3397628B2 JP10164997A JP10164997A JP3397628B2 JP 3397628 B2 JP3397628 B2 JP 3397628B2 JP 10164997 A JP10164997 A JP 10164997A JP 10164997 A JP10164997 A JP 10164997A JP 3397628 B2 JP3397628 B2 JP 3397628B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント装置、例
えばインク等の液体を吐出口から吐出させ、この吐出液
滴を紙や布、不織布、バックプリント紙などのプリント
媒体に付着させてプリントを行うプリント装置に関し、
例えば捺染装置のように、長時間、あるいは大きな幅の
プリント媒体に連続的にプリントを行うインクジェット
プリント装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリント装置は、ランニ
ングコストが低く、静粛でかつ高速プリントを行うこと
ができる点から、プリンタ,ファクシミリ,複写機など
のプリント部として多く用いられており、そのプリント
方式はプリントヘッドに形成した複数のインク吐出口か
らプリントデータ信号に基づいてインクを吐出し、それ
をプリント媒体に付着させてプリントを行うものであ
る。
【0003】一般的に、インクジェットプリント装置に
用いられるインクは、温度により粘度が変化する。イン
ク粘度が変化すると、プリント動作時のインク吐出量が
変化し、プリント媒体に付着するインクのドット径が変
化する。このドット径の変化は、インク粘度の変化が小
さければ人間の目には認識されないため、実質的には問
題にならないが、インク粘度の変化が大きい場合には濃
度の変化として認識され、所望のプリント濃度を得るこ
とができないという問題がある。また、同一のプリント
媒体上で、場所によりドット径が変化した場合、人間の
目にはいわゆる濃度むらとして認識されるという問題が
ある。このため、インクの温度をある程度の範囲(人間
の目で濃度変化が認識できない範囲)で制御すること
は、プリント品質の安定化と簡易的な温度制御によるコ
ストダウンを両立させる上で望ましいことである。
【0004】インクの温度制御方法は、実質的にはプリ
ントヘッドの温度制御として行われる。プリントヘッド
の温度変化の要因としては、装置周辺の環境温度の変化
も考えられるが、インクジェットプリント装置は一般に
常温(20〜25℃程度)で使用されることが多く、環
境温度は比較的安定している。むしろ、プリントヘッド
の温度変化の要因の多くは、プリントヘッド駆動時の発
熱による昇温である。例えば、シリアルプリンタの場
合、1走査でのプリント開始時とプリント終了時とでは
プリントヘッドに蓄積される熱量が異なるため、プリン
ト開始部近傍とプリント終了部近傍とではドット径が異
なる。
【0005】一般に、A4サイズ幅に対応したプリンタ
など用いるプリント媒体のプリント幅が比較的狭いプリ
ンタや、プリント速度の比較的遅いプリンタにおいて
は、プリントヘッドにヒータおよび温度検出センサを設
け、プリントヘッド内の温度検出センサの信号に基づい
て前記ヒータの駆動の制御によるプリントヘッドの温度
の適正化を行う程度で、プリント開始部近傍とプリント
終了部近傍とでのドット径のばらつきを人間の目では認
識できない程度に抑えることができる。
【0006】しかしながら、プリント幅が広いプリンタ
やプリント速度の速いプリンタにおいては、プリント開
始部近傍とプリント終了部近傍とでのドット径のばらつ
きはさらに大きくなるので、このような制御方法のみで
は、ドット径のばらつきが濃度むらとして人間の目に認
識されるようになり、プリント品位を低下させるという
問題がある。
【0007】このような問題の改善策として、特定の液
体をプリントヘッドに接触させることでプリントヘッド
を所定の適正温度範囲内に制御する方法がある。
【0008】さらに、具体的な構成例としては、タンク
などの液体貯留部に貯留されている水などの液体をチュ
ーブなどを液体循環経路としてポンプにより循環させ、
この液体循環経路の途中に設けた液体通路でプリントヘ
ッドに接触させ、再び前記液体を液体貯留部に戻すとい
う構成が考えられる。このような構成では、液体貯留部
に貯留された液体をポンプにより給送し、再び液体貯留
部に戻すようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】一般に、インクジェッ
トヘッドを長期間使用すると、インクの発泡不良、イン
クの焦げによる液路内の目詰まり、さらにはヒータの破
損などの理由により、インク吐出が不能になることがあ
る。そしてヘッドの機能回復処理によってもインク吐出
が不能であり、プリントに使用を来すようであれば、イ
ンクジェットヘッドを装置本体から取り出して、新しい
インクジェットヘッドを本体に装着するという交換作業
が行われる。
【0010】上記のような構成において、インクジェッ
トヘッドを交換するには、前記液体通路と前記液体循環
経路との接続を解除する必要が生じる。しかしながら、
前記液体循環経路内には液体が充填されているので、前
記液体通路の接続を解除すれば前記液体が漏れる恐れが
あることは当然であり、液体が漏れればプリント媒体に
付着し、プリント画像品位を低下させる恐れがある。ま
た、装置本体内への飛散あるいは流出を考慮して、思わ
ぬ不都合の発生を未然に防止する特別な手段、例えば電
気基板への付着を防止する手段を付加する必要も生じ
る。
【0011】本発明の目的は、上記課題を解決し、イン
クジェットヘッドの交換時に、液漏れを有効に防止する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の第
1の形態は、プリント装置本体に着脱可能で、温度調整
を行うための液体が接して流れることができるように液
体通路を有するプリントヘッドを用いてプリントを行う
プリント装置において、前記液体を貯留する液体貯留部
と、前記液体を前記液体貯留部より前記液体通路に給送
する往路連結路と、前記液体を前記液体通路より前記液
体貯留部に還流する復路連結路と、前記往路連結路と前
記液体通路との連通を解除可能に接続する往路側接続部
と、前記復路連結路と前記液体通路との連通を解除可能
に接続する復路側接続部と、前記液体貯留部、前記往路
連結路、前記液体通路および前記復路連結路の間で前記
液体を循環させることが可能な循環手段と、を具備する
とともに、当該循環の経路の途中、前記液体貯留部に
貯留される前記液体の液面より高い位置に設けられ、前
記経路の内部を大気連通可能とする開閉手段と、 前記往
路側接続部および前記復路側接続部の前記連通の解除を
伴う前記プリントヘッドの取り外しに際し、前記開閉手
段により大気連通を行わせてから当該取り外しのための
操作を許容する制御手段と、を具え、 前記循環手段は前
記復路連結路の途中に設けられたポンプを有し、前記制
御手段は前記ポンプを運転しているときに前記開閉手段
により大気連通を行わせ、前記循環経路内から前記液体
を吸引することを特徴とする。
【0013】かかる構成によれば、液体貯留部内に貯留
される液体の液面より高い位置に設けた開閉手段により
液体循環系路を大気と連通させること、液体通路及び
液体循環経路から液体を効率よく除去することが可能と
なり、プリントヘッド交換の際に、往路連結側接続部及
び復路連結路側接続部と、液体通路往路側及び復路側接
続部との接続を解除しても、液体が漏れることがない。
また、ポンプを運転しているときに大気連通を行わせる
ことで、液体の回収も速やかに行われるものとなる。
【0014】また、本発明の第2の形態は、プリント装
置本体に着脱可能で、温度調整を行うための液体が接し
て流れることができるように液体通路を有するプリント
ヘッドを複数用いてプリントを行うプリント装置におい
て、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体を前記
液体貯留部より前記液体通路に向けて給送する往路連結
路と、該往路連結路に接続され前記複数のプリントヘッ
ドがそれぞれ有する前記液体通路に前記液体を分配する
ための往路マニフォルドと、該往路マニフォルドと前記
複数の前記液体通路とをそれぞれ連絡する複数の往路副
連結路と、前記複数の往路副連結路と前記複数の液体通
路との連通をそれぞれ解除可能に接続する複数の往路側
接続部と、前記複数の液体通路に接続されて前記液体を
集合するための復路マニフォルドと、該復路マニフォル
ドと前記複数の前記液体通路とをそれぞれ連絡する複数
の復路副連結路と、前記複数の復路副連結路と前記複数
の液体通路との連通をそれぞれ解除可能に接続する複数
の復路側接続部と、前記復路マニフォルドと前記液体貯
留部とを連絡する復路連結路と、前記液体貯留部、前記
往路連結路、前記往路マニフォルド、前記複数の往路復
連結路、前記複数の液体通路、前記複数の復路副連結
路、前記復路マニフォルドおよび前記復路連結路の間で
前記液体を循環させることが可能な循環手段と、を具備
し、前記循環の経路の途中の、前記液体貯留部に貯留さ
れる前記液体の液面より高い位置に設けられ、前記経路
の内部を大気連通可能とする開閉手段と、 前記往路側接
続部および前記復路側接続部の前記連通の解除を伴う前
記プリントヘッドの取り外しに際し、前記開閉手段によ
り大気連通を行わせてから当該取り外しのための操作を
許容する制御手段と、を具えるとともに、前記複数の液
体通路が前記液体貯留部内に貯留される前記液体の液面
よりも上方に配され前記往路マニフォルドおよび前
記復路マニフォルドのいずれか一方前記液体貯留部内
に貯留される前記液体の液面よりも上方に配置され、他
前記液体貯留部内に貯留される前記液体の液面より
も下方に配置されてなることを特徴とする。
【0015】この構成によれば、マニフォルドを用いて
複数個のプリントヘッドに前記液体を供給する装置にお
いても、液体貯留部内の貯留液体の液面に対して、往路
マニフォルドと復路マニフォルドとの一方を上方へ、他
方を下方へ配置するとともに、液体貯留部内に貯留され
る液体の液面より高い位置に設けた開閉手段により液体
循環系路を大気と連通させることで、複数個の液体通路
および液体循環経路から液体を時間差なく除去すること
が可能となり、上記と同様に、インクジェットヘッド交
換の際に、前記往路側および復路側接続部の接続状態を
解除しても、液体が漏れることがない。
【0016】なお、第1の形態において、前記循環手段
は前記復路連結路の途中に設けられたポンプを有し、前
記制御手段は前記ポンプを運転しているときに前記開閉
手段により大気連通を行わせ、前記循環経路内から前記
液体を吸引させるものとすることができる。ここで、ポ
ンプは渦流ポンプとすることができる。
【0017】また、前記復路連結路の途中に、前記液体
通路と前記ポンプとの間に逆流防止手段を設けることが
でき、この逆流防止手段は電磁弁または逆止弁とするこ
とができる。
【0018】以上において、前記開閉手段は電磁弁とす
ることができる。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】さらに、以上において、前記プリントヘッ
ドは、吐出口からインクを吐出することによりプリント
を行うインクジェットヘッドの形態を有するものとする
ことができ、このインクジェットヘッドとしては前記イ
ンクを吐出するためのエネルギとしてインクに膜沸騰を
生じさせる熱エネルギを発生する発熱素子を有するもの
とすることができる。
【0023】また、プリント装置の形態としては、プリ
ント媒体としての布帛に対して捺染を行う装置とするこ
とができる。
【0024】なお、本明細書において「プリント」と
は、文字,図形等有意の情報を形成する場合のみなら
ず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚しうるよ
うに顕在化したものであるか否かを問わず、プリント媒
体上に液体を付与することによって広く画像,模様,パ
ターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も言
うものとする。
【0025】また、「プリント媒体」とは、一般的な記
録装置で用いられている紙のみならず、広く布,プラス
チックフィルム,金属板等、ヘッドによって吐出される
インクを受容可能なものも言うものとする。
【0026】さらに「インク」とは、上記「プリント」
の定義と同様広く解釈されるべきもので、プリント媒体
上に付与されることによって画像,模様,パターン等の
形成、またはプリント媒体の加工に供されうる液体を言
うものとする。
【0027】
【発明の実施形態】以下、図面を参照して本発明を詳細
に説明する。
【0028】(第1例)図1および図2は、本発明の一
実施形態に係るインクジェット捺染装置を示す図であ
り、図1は当該装置本体の主要断面図、図2は同じく斜
視図である。
【0029】図1および図2に示すインクジェット捺染
装置は、布帛などのプリント媒体Aに画像等をプリント
するプリンタ部100、プリント媒体Aを所定量だけ間
欠的に搬送する搬送部200、ロール状の連続するプリ
ント媒体Aを巻き出すための巻き出し部300、プリン
ト後のプリント媒体Aを巻き取りができる状態まで乾燥
する乾燥部400、乾燥後のプリント媒体Aを巻き取る
ための巻き取り部500の各部から構成される。
【0030】プリント媒体Aは、巻き出しローラ310
の回転に伴って巻き出され、中間ローラ320および3
30を介して送給され、プリンタ部100に対向する位
置に設けられた搬送部200により水平方向に搬送され
る。
【0031】搬送部200は、プリント媒体Aの搬送経
路上にあって、プリンタ部100よりも上流側に設けた
搬送ローラ210と、プリンタ部100よりも下流側に
設けたベルト駆動ローラ220とを有し、これらローラ
間にエンドレス状の搬送ベルト230を巻き回すととも
に、一対のプラテンローラ240によりプリント媒体A
の被プリント面となる範囲において搬送ベルト230を
平坦に規制し、適正な張力で展張するよう構成されてい
る。搬送ベルト230外周面には粘着層が設けられてお
り、プリント媒体Aを貼り付けて搬送し、プリンタ部1
00に対向する位置まで導き、プリンタ部100によっ
てプリントが行われる。その後、送りローラ520によ
りプリント媒体Aは搬送ベルト230より剥がされ、ヒ
ータなどにより構成された乾燥部400で乾燥され、中
間ローラ530,540を介して巻き取りローラ510
によって巻き取られる。
【0032】図2においてプリンタ部100には、上述
したプリント媒体Aの搬送方向に直交した主走査方向
に、一対の平行な走査レール101,102が設けられ
ており、走査レール101,102上にはボールベアリ
ング1110を介して、プリントヘッド1000を搭載
したヘッドキャリッジ1100が摺動可能に支持されて
いる。なお、ヘッドキャリッジ1100は、不図示の駆
動ベルトを介してプリンタ部100のフレームに固定さ
れた不図示の駆動モータにより駆動される。ヘッドキャ
リッジ1100は、走査レール101,102上を図中
矢印P1およびP2方向に往復動し、プリントヘッド1
000により、連続するプリント媒体Aに対してプリン
ト動作を行う。
【0033】さらに、詳説すれば、画像データに対し、
搬送部上流側のプリントヘッド1000と下流側のプリ
ントヘッド1000とに50%ずつデータを振り分け、
両ヘッドによって全体の画像データをプリントする。す
なわち、上流側のプリントヘッド1000で50%の画
像データをプリントし、プリント媒体Aが間欠送りされ
ることによって、下流側のプリントヘッド1000によ
り残りの50%の画像データをプリントし、上流側およ
び下流側のプリントヘッド1000それぞれで形成する
プリント画像を重ね合わせている。
【0034】図3はプリントヘッド1000およびこれ
に冷却液Fが接して流れるように取付けられた液体通路
であるところの液管1040の内部構造を示す斜視図で
ある。
【0035】プリントヘッド1000は、微細なインク
の吐出口1001、インク路1002、このインク路1
002に供給するインクを一時的に貯留した液室100
3、インク路1002の一部に設けられる電気熱変換素
子1004、およびこの電気熱変換素子1004に電力
を供給するための電極配線1005等を備えている。こ
のような熱エネルギを利用してインクに気泡を生じさ
せ、該気泡の生成に伴ってインクを吐出させる方式のプ
リントヘッドは、インク吐出口を高密度に配列すること
ができるために高解像度のプリントを行うことに適した
ものである。また、プリントヘッドのコンパクト化も容
易であり、かつ最近の半導体分野における技術の進歩と
信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長
所を十二分に活用でき、高密度実装化が容易で、製造コ
ストも低廉である等の利点を有している。
【0036】プリントヘッド1000には、インク供給
装置2000(図2参照)から色や濃度の異なるインク
をプリントヘッド1000内部の液室1003に送り込
むためのそれぞれのインク供給経路と、良好なインク吐
出状態を得るためにプリントヘッド1000を適正な温
度に制御するべく冷却液Fを流通させる液管1040が
取り付けられている。
【0037】図2に示すように、インク供給装置200
0は、使用するインク色に対応して例えば8個のインク
タンク2100a〜2100hを有し、各インクタンク
ごとの供給ポンプにより、プリンタ部100内に這い回
されたインク給送チューブを介して、それぞれ対応する
プリントヘッド1000に各インクを供給する。このイ
ンク供給系においては、プリント時には毛細管現象によ
り、プリントヘッド1000からの吐出に応じてインク
供給が行われる。
【0038】なお、各インクは、例えば、同じ色でも濃
いインクと淡いインクのように実質的に色調の異なるも
のは、別のインクとしてそれぞれのインクタンクに貯留
されている。本例では、上述したように、1色のインク
に対し上下流の2個のプリントヘッドを対応させてい
る。従って、ヘッドキャリッジ1100には、プリント
ヘッドが8色×2個/色=16個搭載されている。すな
わち、上流側のプリントヘッド1000と、それに対応
する下流側位置のプリントヘッド1000には、同じ色
のインクを供給することになる。
【0039】回復動作部3000は、プリントヘッド1
000が確実な吐出安定性を得るための回復動作等を行
うものであり、インクの粘度増加を防止するためにプリ
ントヘッド1000の吐出口面を覆うキャッピング部3
100のほか、プリントヘッド1000の吐出口表面に
付着するインク滴等を払拭するための不図示のワイピン
グ部、プリントヘッド1000の内に発生する増粘イン
クを除去するためのインク吐出を受けるための不図示の
予備吐出部、洗浄液を供給する不図示の洗浄液タンク
部、その廃液を吸引および吐出する不図示のポンプ部、
および該ポンプ部より吐出された廃液を受容し排出する
不図示の排出部等を具える。
【0040】図1に示す冷却液循環装置4000は、冷
却液貯留タンク4100内の冷却液Fを所望の温度に制
御して、冷却液給送ポンプ4200によりプリントヘッ
ド1000に取付けられた液管1040に給送し、再び
冷却液貯留タンク4100に還流させる装置である。
【0041】図4において、冷却液貯留タンク4100
内には、不図示の冷却器、ヒータ、温度センサが設けら
れており、冷却器は、冷却液貯留タンク4100外に設
けられた不図示の圧縮機、凝縮器、キャピラリチューブ
を介してHFC−134aなどの冷媒が循環されるよう
に構成されている。また、冷却液貯留タンク4100に
は、水もしくは専用の冷却液Fが一定量貯留されてい
る。
【0042】冷却液貯留タンク4100は、大気連通穴
4101により大気と連通しており、冷却液貯留タンク
4100の底面には、タンク出口側接続口4112が設
けられている。タンク出口側接続口4112には、負圧
が作用してもつぶれないスプリングホースなどの第1往
路メインチューブ1051aが連結され、第1往路メイ
ンチューブ1051aは、T型ジョイント1057、ス
トレーナ1059、第2往路メインチューブ1051b
を介して往路マニフォルド1056と連結されている。
そして、往路マニフォルド1056には、16本の往路
サブチューブ1052(1052−1F,1052−1
R,・・・,1052−8R)が連結され、それぞれ往
路側コネクタ1053を介してプリントヘッド1000
(1000−1F,1000−1R,・・・,1000
−8R)の液管1040の往路側接続部1040aに連
結されている。また、16個の液管1040の復路側1
040bにはそれぞれ復路側コネクタ1063を介して
復路サブチューブ1062(1062−1F,1062
−1R,・・・,1062−8R)が連結されている。
【0043】また、往路サブチューブ1052および復
路サブチューブ1062と、液管1040とは、往路側
コネクタ1053と液管1040の往路側接続部104
0aおよび復路側コネクタ1063と液管1040の復
路側接続部1040bにおいて、それぞれ接続および解
除が可能であり、消耗部材であるプリントヘッド100
0を交換する場合には、これらの接続を解除してプリン
トヘッド1000を交換することができる。
【0044】なお、液管1040内およびその近傍に充
填される冷却液Fは、後述するように冷却液貯留タンク
4100内に回収可能であるが、第1往路メインチュー
ブ1051aの少なくとも一部、第2往路メインチュー
ブ1051b、液管1040、T型ジョイント105
7、ストレーナ1059および往路マニフォルド105
6は、冷却液Fを回収したときに冷却液貯留タンク41
00内に貯留される冷却液Fの液面よりも高い位置に配
されている。
【0045】また、T型ジョイント1057の側路に
は、ノーマルクローズタイプの電磁弁である大気開放電
磁弁1058が設けられており、その通電に応じて第1
往路メインチューブ1051aおよび第2往路メインチ
ューブ1051bが大気と連通する。
【0046】復路サブチューブ1062の他端部は復路
マニフォルド1066に連結されている。復路マニフォ
ルド1066は、冷却液Fが冷却液循環経路内に充填さ
れているときに冷却液貯留タンク4100内に貯留され
ている冷却液Fの液面よりも低い位置に配されており、
復路メインチューブ1061、流量センサ1067、お
よびノーマルオープンタイプの電磁弁である逆流防止電
磁弁1068を介して、渦流ポンプなど脈動の生じない
冷却液給送ポンプ4200の吸込側と連結されている。
そして、冷却液給送ポンプ4200の吐出口は、冷却液
貯留タンク4100の側面に設けられたタンク入口側接
続部4111に接続されている。
【0047】また、冷却液貯留タンク4100の底面に
はタンクバイパス接続部4113が設けられており、冷
却液給送ポンプ4200のバイパス用吸込口とバイパス
チューブ1070を介して連通している。
【0048】図5はかかる冷却液循環系を含めた制御系
の構成例を示すブロック図である。ここで、800は当
該制御系の主制御部をなすCPUであり、図6〜図9に
示す処理手順等に従って各部を制御する。803はCP
U800が実行する処理手順に対応したプログラムその
他の固定データを格納したROM、805はプリントデ
ータを展開する領域や所要の作業用領域を有するRAM
である。
【0049】811は冷却液貯留タンク4100内に設
けられたヒータ、813は圧縮機、815はファン、8
21、823、825、827、829、831および
833はそれぞれヒータ811、圧縮機813、ファン
815、ポンプ4200、電磁弁1058、電磁弁10
68およびプリントヘッド1000を駆動するためのド
ライバである。840はプリント動作を実行するための
ホスト装置、850はプリントヘッドを図2のP1,P
2方向に往復走査させるための機構を含む主走査系、8
60はプリント媒体Aを搬送するための機構を含む副走
査系である。また、870は冷却液貯留タンク4100
内に設けられた温度センサである。
【0050】次に、冷却液貯留タンク4100内に貯留
されている冷却液Fの温度制御方法について説明する。
【0051】図6はかかる制御手順の一例を示すもの
で、本例では、室温25℃、冷却液Fの設定温度Tを
(25±0.5)℃とする。
【0052】まず、冷却動作開始を指示する信号をCP
U800が受信すると、温度センサ870は冷却液Fの
温度をCPU800に報知する(ステップS1)。ここ
で冷却液Fの温度が設定温度の下限24.5℃より低け
れば、ヒータ駆動回路821を介してヒータ811を駆
動し(ステップS3)、冷却後Fの温度が設定温度の下
限24.5℃になった段階でヒータ811の駆動は停止
される。また、冷却液Fの温度が設定温度の下限24.
5℃より高ければ、ヒータ駆動回路821はヒータ81
1を駆動しない(ステップS5)。
【0053】冷却液Fの温度が設定温度の上限25.5
℃よりも高ければ、温度センサ870がCPU800に
報知し、圧縮機813および空冷用ファン815作動さ
せる(ステップS7)。気化したHFC−134aは圧
縮機により高温高圧にされ、冷媒経路内を給送される。
高温高圧にされた気化したHFC−134aは、沸点が
高く、液化しやすくなっており、凝縮器で不図示の強制
空冷用ファンにより空冷されて液化する。液化したHF
C−134aはキャピラリチューブで減圧され、冷却器
に給送される。冷却器に給送された液化したHFC−1
34aは低圧であるので、沸点が低く、気化しやすくな
っており、冷却器に接している冷却液Fより熱を奪い、
再び気化し、圧縮機に還流される。このような冷媒の循
環により、熱を奪われた冷却液Fは、その温度が低下す
る。
【0054】冷却液Fの温度が設定温度の上限25.5
℃よりも低ければ、温度センサがCPU800に報知
し、圧縮機813および強制空冷用ファン815を停止
させる(ステップS5)。これにより圧縮機813は冷
媒の給送を停止し、強制空冷用ファン815は凝縮器内
の冷媒の温度を低下させない。そのため、冷却器内の冷
媒は気化したままであり、冷却器に接している冷却液F
より熱を奪えないので、冷却液Fの温度は低下しない。
冷却動作中は、このような温度制御を繰り返す。
【0055】次に、このように温度制御された冷却液F
を循環させることにより行うプリントヘッド1000の
温度制御方法について説明する。
【0056】図7はその制御手順の一例を示すもので、
CPU800が冷却液給送ポンプ4200の運転開始を
指示する信号を送信すると(ステップS11)、冷却液
給送ポンプ4200は運転を始め、冷却液貯留タンク4
100内に貯留された設定温度Tの冷却液Fを吸い込み
始める。冷却液貯留タンク4100内に貯留された冷却
液Fは、第1往路メインチューブ1051a、T型ジョ
イント1057、ストレーナ1059、第2往路メイン
チューブ1051b、往路マニフォルド1056、およ
び往路サブチューブ1052を介して、プリントヘッド
1000の液管1040に給送され、復路サブチューブ
1062、復路マニフォルド1066、復路メインチュ
ーブ1061、流量センサ1067、および逆流防止電
磁弁1068を介して、冷却液給送ポンプ4200の吸
込口に入る。冷却液給送ポンプ4200内に入った冷却
液Fは、冷却液給送ポンプ4200の吐出口より、冷却
液貯留タンク4100の側面に設けられたタンク入口側
接続口4111を介して冷却液貯留タンク4200内に
吐出される。
【0057】冷却液給送ポンプ4200の運転開始を指
示する信号を送信した後、CPU800は流量センサ1
067からの信号を受信し(ステップS13)、流量が
所定時間内でほぼ所定値であれば(ステップS15)、
冷却液循環経路内に冷却液Fが充填されていると判断す
る。
【0058】本例では、液管1040を通過する冷却液
Fの流量を600ml/minとするが、前述の通り液
管1040は16本に分岐しており、流量センサ106
7を通過する流量は、600ml/min×16=9.
61/minであるので、9.61/minを流量セン
サ1067が検知する流量の所定値とする。
【0059】また、冷却液循環経路内の冷却液Fの充填
率と流量センサ1067が検知する流量との関係は次の
通りである。
【0060】冷却液循環経路内に冷却液Fを充填する動
作が行われていなければ、流量センサ1067を通過す
る冷却液Fの量は少なく、ほとんどが気体であり、流量
センサ1067が検知する流量は実質的に“0”であ
る。充填率が上がるにしたがって、流量センサ1067
が検知する流量は徐々に増加する。そして、流量センサ
1067を通過する冷却液Fの中に空気(泡)があると
いうような状態にまで充填率が上がれば、泡が通過する
ときの速度が高いため、流量センサ1067は一旦所定
値の流量を検出するが、その直後に所定値よりも大きな
流量を検知するようになる。ついで、さらに充填率が増
えれば、冷却液F中の泡の比率が減るので、流量センサ
1067が検知する流量は減少する。そして、充填率が
ほぼ100%になれば、流量センサ1067が検知する
流量は所定値となり、このときには冷却液F内には泡が
ほとんどないので、流量センサ1067が検知する流量
は、この所定値でほぼ安定する。従って、流量センサ1
067が検知する流量が、ある一定時間内でほぼ所定値
で安定していれば、冷却液循環経路内に冷却液Fがほぼ
充填されていると判断できる。
【0061】冷却液循環経路内に冷却液Fがほぼ充填さ
れているとCPU800が判断すれば、CPU800は
プリントヘッド1000がプリント動作可能であること
をホスト840に報知する(ステップS17)。そして
ホスト840よりプリント開始の信号が送られ、画像デ
ータが転送されると、プリントヘッド1000は駆動を
開始する。
【0062】液管1040に給送された冷却液Fは、プ
リントヘッド1000の熱を奪い、復路サブチューブ1
062、復路マニフォルド1066、復路メインチュー
ブ1061、流量センサ1067、および逆流防止電磁
弁1068を介して冷却液給送ポンプ4200の吸込口
に入る。冷却液給送ポンプ4200内に入った冷却液F
は、冷却液給送ポンプ4200の吐出口より、冷却液貯
留タンク4100の側面に設けられたタンク入口側接続
口4111を介して冷却液貯留タンク4200内に吐出
される。そして、前述のような温度制御により、設定温
度Tに温度制御され、再び冷却液給送ポンプ4200に
より吸い込まれるという動作を繰り返す。
【0063】また、冷却液給送ポンプ4200には、本
例では脈動のない渦流ポンプなどのポンプを用いている
ので、液管1040を通過する冷却液Fは常に流量が一
定であり、プリントヘッド1000を精度良く温度制御
できる。
【0064】また、第1往路メインチューブ1051
a、T型ジョイント1057、ストレーナ1059、第
2往路メインチューブ1051b、往路マニフォルド1
056、往路サブチューブ1052、液管1040、お
よび復路サブチューブ1062に流れている冷却液Fの
圧力は負圧であるので、これら冷却液循環経路のいずれ
か、あるいはその接続部などに経年変化による材料の劣
化や不測の事態等により大気とのリークが発生しても、
冷却液Fの漏れは発生せず、直下にあるプリント媒体A
への冷却液Fの付着によるプリント画像の汚染を防止で
きる。
【0065】次に、プリントヘッド1000の交換作業
の手順について説明する。
【0066】プリントヘッド1000の交換が必要にな
った場合などに、操作者がプリントヘッド交換用のモー
ドをキースイッチなどにより指示すると、CPU800
は、以下に説明するような冷却液Fを冷却液貯留タンク
4100内に回収するための動作を行う。
【0067】[冷却液回収モード]図8に示す冷却液回
収モードにおいて、CPU800は、まず冷却液給送ポ
ンプ4200の運転を指示する(ステップS21)。そ
してCPU800は流量センサ1067からの信号を受
信し(ステップS23)、流量が所定時間内でほぼ所定
値であれば、冷却液循環経路内に冷却液Fが充填されて
いると判断する。ここで、冷却液循環経路内に冷却液F
が充填されていることを確認する理由は、大気開放電磁
弁1058を開放したときに、冷却液循環経路内に十分
な負圧を確実に発生させるためである。なお、大気開放
用の弁としては電磁弁1058以外にもエアオペレート
タイプの制御弁その他種々の開閉手段を使用可能である
が、本例のように電磁弁を用いれば、開閉動作を電気信
号のオン/オフのみで行える。
【0068】ステップS23において流量センサ106
7が検知した流量が所定時間内でほぼ所定値であると判
断されれば、CPU800は、主走査系850の不図示
の駆動モータを駆動し、図2に示すヘッドキャリッジ1
100をホームポジションである図2に示す回復動作部
3000の上に移動させる(ステップS25)。図2に
示すヘッドキャリッジ1100がホームポジションに移
動したことを確認した後、CPU800は大気開放電磁
弁1058に通電を指示し、弁を開放させる(ステップ
S27)。
【0069】前述のように、冷却液循環経路内には冷却
液Fが充填されているので、大気開放電磁弁1058の
開口部とタンク出口側接続口4112との間のT型ジョ
イント1057、ストレーナ1059および第1往路メ
インチューブ1051aに充填されている冷却液Fは、
大気開放電磁弁1058が開口して大気と連通すること
で生じる水頭差による負圧により、冷却液貯留タンク4
100内に回収され、往路メインチューブ1051a内
で液面が低下し、冷却液貯留タンク4100内に貯留さ
れる冷却液Fの液面高さで釣り合う。
【0070】また、大気開放電磁弁1058の開口部と
タンク入口側接続口4111との間の第2往路メインチ
ューブ1051b、往路マニフォルド1056、往路サ
ブチューブ1052、液管1040、および復路サブチ
ューブ1062内に充填されている冷却液Fは、同様
に、大気開放電磁弁1058が開口して大気と連通する
ことで生じる水頭差による負圧により、復路マニフォル
ド1066、復路メインチューブ1061、流量センサ
1067、逆流防止電磁弁1068および冷却液給送ポ
ンプ4200を介して液貯留タンク4100内に回収さ
れ、復路サブチューブ1062内で液面が低下し、冷却
液貯留タンク4100内に貯留される冷却液Fの液面高
さで釣り合う。
【0071】本例のように、液管1040、大気開放電
磁弁1058、および往路マニフォルド1056を、冷
却液循環経路内に充填されている冷却液Fが冷却液貯留
タンク4100内に回収されたときに当該冷却液貯留タ
ンク4100内に貯留される冷却液Fの液面よりも高い
位置に配し、大気開放電磁弁1058により循環系内を
大気と連通させることにより、液管1040内に存在し
ていた冷却液Fをほぼ除去することができ、プリントヘ
ッド1000の交換作業などの際に、往路側コネクタ1
053と液管1040の往路側接続部1040a、およ
び復路側コネクタ1063と液管1040の復路側接続
部1040bを解除したときに、その接続解除動作の順
序に関わらず、液管1040の往路側接続部1040a
および復路側接続部1040bから冷却液Fが溢れるこ
とがない。
【0072】これに対し、仮に大気開放電磁弁1058
がないとした場合には、冷却液Fが充填された状態で、
往路側コネクタ1053と液管1040の往路側接続部
1040aおよび復路側コネクタ1063と液管104
0の復路側接続部1040bを同時に解除すると、瞬間
的に冷却液Fはこの部分で分離し、液管1040内に冷
却液Fが残存することになる。すると、プリントヘッド
1000を交換するときにプリントヘッド1000を傾
けると、液管1040の往路側接続部1040aおよび
復路側接続部1040bから冷却液Fが溢れ、装置内に
漏出・滴下する恐れがある。
【0073】また、本例では、冷却液給送ポンプ420
0を運転しているときに大気開放電磁弁1058を開口
させるので、さらに冷却液給送ポンプ4200の吸引能
力に相当する分だけ冷却液Fを冷却液貯留タンク410
0内に回収することになり、復路サブチューブ1062
内での液面は、冷却液貯留タンク4100内に貯留され
る冷却液Fの液面よりも低くなる。
【0074】これらのような動作によって、第1往路メ
インチューブ1051a、T型ジョイント1057、ス
トレーナ1059、第2往路メインチューブ1051
b、往路マニフォルド1056、往路サブチューブ10
52、液管1040、および復路サブチューブ1062
内に充填されていた冷却液Fを回収するのに十分な所定
時間経過後に(ステップS29)、CPU800は逆流
防止電磁弁1068の通電を指示する信号を送信して弁
を閉塞させ(ステップS31)、ついで冷却液給送ポン
プ4200の運転を停止させ(ステップS33)、冷却
液回収モードを終了する。また、その終了に伴ってプリ
ントヘッドを交換する準備が整ったことを操作者に報知
するようにしてもよい。
【0075】これに対し、仮に逆流防止電磁弁1068
を閉じないで冷却液給送ポンプ4200の運転を停止さ
せると、次のような問題が発生する。前述のように、復
路サブチューブ1062内での液面は、冷却液貯留タン
ク4100内に貯留される冷却液Fの液面よりも低くな
っているので、水頭差により冷却液Fが逆流する。この
とき、復路サブチューブ1062内に冷却液Fが全く残
存していなければ問題はないが、所々に冷却液Fが残存
していると、この散在している冷却液Fの間には外気と
連通していない空気が存在するので、冷却液Fが逆流す
ることによりこの外気と連通していない空気が押され、
それに伴い所々に残存している冷却液Fも押されて液管
1040内に逆流する。その結果、プリントヘッド10
00の交換作業時に冷却液Fの漏れが発生しやすくな
り、装置内部に飛散流出する恐れがある。
【0076】また、大気開放電磁弁1058を開口させ
たときに冷却液給送ポンプ4200の運転を停止してい
れば、復路サブチューブ1062内の冷却液Fの液面高
さと冷却液貯留タンク4100内に貯留される冷却液F
の液面高さとが釣り合うので、上述のような冷却液Fの
逆流現象は生じない。しかしながら、液管1040およ
び復路サブチューブ1062内から冷却液Fを除去する
動作をより早く行うためには、本例のように冷却液給送
ポンプ4200の運転中に大気開放電磁弁1058を開
口させた方が好ましく、そのために本例では前述のよう
な冷却液Fの逆流を防止するための手段としての電磁弁
1068を設けて適切にその駆動を行う。
【0077】もっとも、この逆流防止手段は電磁弁以外
の形態、例えば逆止弁の形態としても良い。逆止弁を用
いる場合には、電気的な接続等が不要となるので、その
分構成が簡単になる。
【0078】[プリントヘッド交換作業]プリントヘッ
ド1000の交換作業は、オペレータが手操作にて行う
ことができる。この際、上述のように、プリントヘッド
1000を外す前に冷却液Fを回収できるので、プリン
トヘッド1000を本体から外すときに往路側コネクタ
1053と液管1040の往路側接続部1040aの接
続状態、および復路側コネクタ1063と復路側接続部
1040bとの接続状態をそれぞれ解除しても、往路側
コネクタ1053および復路側コネクタ1063から冷
却液Fが滴下ないし流出したり、液管1040の往路側
接続部1040aおよび復路側接続部1040bから冷
却液Fが溢れることがなく、装置内に冷却液Fが滴下な
いし漏出することがない。
【0079】使用済みのプリントヘッド1000を外し
た後、オペレータは、新しいプリントヘッド1000を
本体に装着し、往路側コネクタ1053と液管1040
の往路側接続部1040a、および復路コネクタ106
3と復路側接続部1040bとをそれぞれ接続すること
ができる。
【0080】[冷却液充填モード]ヘッド交換作業が終
った状態では、冷却液循環経路内に空気が存在してお
り、前述のようなプリントヘッド1000の温度制御動
作を行うためには、この冷却液循環経路内に冷却液Fを
充填して冷却液循環経路内から空気を除去することが強
く望ましい。
【0081】以下に、冷却液Fの充填動作について説明
する。
【0082】オペレータの指示またはホスト840から
の指示により、CPU800は大気開放電磁弁1058
を閉じる信号を送り、冷却液循環経路内を実質的に密閉
する(ステップS41)。ついで、CPU800が冷却
液給送ポンプ4200の運転開始を指示する信号を送信
すると、冷却液給送ポンプ4200は運転を始め(ステ
ップS43)、バイパスチューブ1070より冷却液貯
留タンク4100内に貯留された冷却液Fを吸い込む。
【0083】また、冷却液貯留タンク4100内に貯留
された冷却液Fは、往路メインチューブ1051、往路
マニフォルド1056、往路サブチューブ1052、プ
リントヘッド1000の液管1040、復路サブチュー
ブ1062、復路マニフォルド1066を介して、冷却
液給送ポンプ4200の吸込口からも入るが、初期にお
いては空気の比率が多い。しかしながら、バイパスチュ
ーブ1070から冷却液Fを吸い込んでいるので、バイ
パスチューブ1070により冷却液貯留タンク4100
と冷却液給送ポンプ4200とを連結させない構成に比
較して、ポンプ室内は冷却液Fの比率が高くなり、ポン
プ能力を低下させない。バイパスチューブ1070を流
れる冷却液Fの流量が多いほど、ポンプ室内の空気の比
率が減るためポンプ能力は向上するが、それに反して液
管1040に給送する流量が少なくなるので、冷却液F
の充填時間の短縮と液管1040を流れる流量の確保と
を両立できるようにバイパスチューブ1070や他のチ
ューブの内径や長さを設定するのが望ましい。
【0084】このように、冷却液給送ポンプ4200の
吐出口より、冷却液貯留タンク4100の側面に設けら
れたタンク入口側接続口4111を介して冷却液Fが吐
出されるという動作を所定時間継続することにより(ス
テップS45)、前述の冷却液循環経路内に冷却液Fが
充填されるが、冷却液給送ポンプ4200の運転開始直
後においては、タンク入口側接続口4111からは空気
が吐出される。また、冷却液貯留タンク4100内に貯
留されている冷却液Fの液面高さをタンク入口側接続口
4111よりも高い位置まで貯留しておけば、タンク入
口側接続口4111より吐出された空気は冷却液貯留タ
ンク4100内に貯留された冷却液F中に吐出され、気
泡となる。気泡は一般に冷却液Fよりも軽いため、貯留
されている冷却液F中を上昇し、液面より大気に放出さ
れ、前述の循環経路内より除去される。
【0085】循環経路中の空気の比率は、冷却液給送ポ
ンプ4200運転時間経過とともに減っていき、所定時
間後に循環経路中から完全に除去される。この時間は、
往路メインチューブ1051、往路マニフオルド105
6、往路サブチューブ1052、復路サブチューブ10
62、および復路マニフォルド1066の内径およびび
長さ、液管1040の形状、冷却液給送ポンプ4200
の能力などにより異なるが、同じ装置であればほぼ一定
である。従って、この所定時間は、実験に基づいて得ら
れた時間に、ある程度余裕を持たせて設定すれば良い。
【0086】所定時間経過後、CPU800は、ホスト
840またはオペレータに(この場合には、例えばアラ
ームなどを介して)、冷却液Fが循環経路内に充填され
たことを報知する(ステップS47)。
【0087】また、冷却液循環経路内への冷却液Fの充
填が終了すると、冷却液貯留タンク4100内に貯留さ
れている冷却液Fの液面高さは充填前よりも低下する
が、このときの液面高さをタンク入口側接続口4111
よりも高い位置に設定しておくことにより、タンク入口
側接続口4111より吐出された冷却液Fは冷却液貯留
タンク4100内に貯留された冷却液F中に吐出され、
冷却液Fの液面を乱すことがない。
【0088】また、タンク入口側接続口4111を冷却
液貯留タンク4100の側面に設けることにより、タン
ク入口側接続口4111から吐出される空気および冷却
液Fをタンク出口側接続口4112より吸い込む可能性
をより低減できる。
【0089】本例は、本発明の一実施形態として、イン
クジェット捺染装置を例にとって説明したが、インクジ
ェットプリント装置であれば、いかなるプリント媒体に
プリントを行うものであっても効果があることは勿論で
ある。すなわち、プリント媒体Aとしては、布帛に限ら
ず紙等であっても良く、インクについてもプリント媒体
に応じてそれぞれ適したものを使用できる。
【0090】以上第1の実施形態で説明したように、冷
却液貯留タンク4100に貯留される冷却液の液面より
高い位置に大気開放電磁弁1058および往路マニフォ
ルド1056を設ける一方、冷却液貯留タンク4100
内に貯留した冷却液Fの液面よりも低い位置に復路マニ
フォルド1066を配し、適宜のタイミングで循環経路
内の大気開放を行うことにより、全ての往路サブチュー
ブ1052、液管1040、および復路サブチューブ1
062より冷却液Fを効率よく除去することが可能であ
る。
【0091】(両マニフォルドの配設位置)ここで、冷
却液分配部材である往路マニフォルド1056および冷
却液集合部材である復路マニフォルド1066の配設位
置に着目して本発明を考察する。
【0092】図10に示すように、冷却液貯留タンク4
100内に貯留した冷却液Fの液面よりも高い位置に往
路マニフォルド1056および復路マニフォルド106
6の双方を配設した場合には、次に示すような問題が発
生する可能性がある。
【0093】大気開放電磁弁1058を開口させると、
大気開放電磁弁1058の開口部とタンク出口側接続口
4112との間のT型ジョイント1057、ストレーナ
1059および第1往路メインチューブ1051aに充
填されている冷却液Fは、大気開放電磁弁1058が開
口して大気と連通することにより生じる水頭差に起因し
た負圧により、冷却液貯留タンク4100内に回収され
る。
【0094】また、大気開放電磁弁1058の開口部と
タンク入口側接続口4111との間の、第2往路メイン
チューブ1051b、往路マニフォルド1056、往路
サブチューブ1052、液管1040および復路サブチ
ューブ1062内に充填されている冷却液Fは、同様
に、大気開放電磁弁1058が開口し、大気と連通する
ことにより生じる水頭差による負圧により、復路マニフ
ォルド1066、復路メインチューブ1061、流量セ
ンサ1067、逆流防止電磁弁1068、および冷却液
給送ポンプ4200を介して冷却液貯留タンク4100
内に回収される。
【0095】このとき、往路マニフォルド1056に連
通している16本の往路サブチューブ152−1F〜1
052−8R、そのそれぞれに連結している16本の液
管1040−1F〜1040−8R、さらにそのそれぞ
れに連結している16本(図5では簡略化のため3本)
の復路サブチューブ1062−1F〜1062−8R内
の冷却水Fは、徐々に冷却液貯留タンク4100内に回
収されるが、冷却液Fには表面張力があるため、それぞ
れの系統に充填されている冷却液Fが回収され終わるに
は、次のような理由により、若干の時間差が生じる。
【0096】大気開放電磁弁1058を開口させると、
第2往路メインチューブ1051b内の冷却液Fは、水
頭差により液面が低下し始める。液面が往路マニフォル
ド1056の高さまで低下した後、往路マニフォルド1
056内は第2往路メインチューブ1051bとの接続
部分から大気と連通する。冷却液Fには表面張力がある
ため、当該接続部分に最も近い往路サブチューブ105
2−1Fとの接続口、ついでその次に近い往路サブチュ
ーブ1052−1Rとの接続口、・・・のように順番に
大気と連通して行き、最後に最も遠い往路サブチューブ
1052−8Rとの接続口が大気と連通することにな
る。また、16本のそれぞれの往路サブチューブ106
2に充填されている冷却液Fは、それぞれ大気と連通す
るやいなや、往路サブチューブ1052、液管1040
および復路サブチューブ1062を経て冷却液貯留タン
ク4100に回収される。
【0097】このとき、それぞれの管路抵抗が同じであ
れば、復路サブチューブ1062−1Fの接続口近傍が
最初に大気と連通し、連通部が拡大し始め、復路メイン
チューブ1061との接続口近傍も大気と連通する。そ
して、復路マニフォルド1066内の液面は低下し始め
るが、前述のように冷却液Fには表面張力があるため、
復路サブチューブ1062−1Rとの接続口近傍、・・
・、復路サブチューブ1062−8Fとの接続口近傍、
というように徐々に連通部が広がって行き、最後に復路
サブチューブ1062−8Rも大気と連通する。
【0098】このとき、例えば、復路サブチューブ10
62−8Rとの接続口近傍が大気と連通する前に、往路
サブチューブ1052−8R内、液管1040−8R、
および復路サブチューブ1062−8R内に充填されて
いる冷却液Fが冷却液貯留タンク4100に回収され終
わらずに残っていれば、冷却液貯留タンク4100内に
貯留されている冷却液Fの液面との水頭差が得られなく
なり、この残存した冷却液Fは、液管1040−8Rさ
らには往路サブチューブ1062−8R内に残留したま
まとなり、往路側コネクタ1053と液管1040の往
路側接続口1040aとの接続、および復路側コネクタ
1063と液管1040の復路側接続口1040bとの
接続を解除したときに、往路サブチューブ1062−8
Rおよび復路サブチューブ1062−8Rより冷却液F
が漏れ、またプリントヘッド1000−8Rを外すとき
にこれが傾けば、液管1040−8Rからも冷却液Fが
漏れることになるのである。
【0099】もっとも、このような時間差が生じないよ
うにそれぞれのマニフォルドとサブチューブとの接続部
等の構成、配置等が定められているのであれば、図10
のような位置に往路マニフォルド1056および復路マ
ニフォルド1066を冷却液貯留タンク4100内に貯
留した冷却液Fの液面よりも高い位置に配することも可
能である。
【0100】しかしながら、上例のように、復路マニフ
ォルド1066を冷却液貯留タンク4100内に貯留し
た冷却液Fの液面よりも低い位置に配することにより、
冷却液Fの液面よりも低い位置に配されたマニフォルド
には大気が連通しないため、適切な水頭差を確実に得る
ことができ、全ての往路サブチューブ1052、液管1
040、復路サブチューブ1062より冷却液Fを除去
できるとともに、上述のような時間差が生じないように
するための設計上の制約を受けることもない。
【0101】また、この観点からすれば、往路マニフォ
ルド1056と復路マニフォルド1066との位置関係
を逆にすることもできる。
【0102】すなわち、上例においては、往路マニフォ
ルド1056を冷却液貯留タンク4100内に貯留した
冷却液Fの液面よりも高い位置に配し、復路マニフォル
ド1066を冷却液貯留タンク4100内に貯留した冷
却液Fの液面よりも低い位置に配しているが、図11に
示すように、往路マニフォルド1056を冷却液貯留タ
ンク4100内に貯留した冷却液Fの液面よりも低い位
置に配し、復路マニフォルド1066を冷却液貯留タン
ク4100内に貯留した冷却液Fの液面よりも高い位置
に配し、大気開放電磁弁1058及びT型ジョイント1
057を復路メインチューブ1061の途中の冷却液貯
留タンク4100内に貯留した冷却液Fの液面よりも高
い位置に設けても、同様の効果がある。
【0103】(その他)次に、本発明をインクジェット
捺染装置に適用する場合において、その捺染記録の工程
全体を説明する。上述のような実施形態を適用したイン
クジェット記録装置を用いて、インクジェット印捺工程
を経た後、布帛を乾燥(自然乾燥を含む)させる。そし
て、引き続き布帛繊維上の染料を拡散させ、かつ繊維へ
の染料を反応定着させる工程を施す。この工程により、
充分な発色性と染料の固着による堅牢性を得ることがで
きる。
【0104】この拡散、反応定着工程は従来公知の方法
でよく、例えば、スチーミング法が挙げられる。なお、
この場合、印捺工程の前に、予め布帛にアルカリ処理を
施してもよい。
【0105】その後、後処理工程において、未反応の染
料の除去および前処理に用いた物質の除去が行われる。
最後に、欠陥補正、アイロン仕上げ等の整理仕上げ工程
を経て記録が完成する。
【0106】特に、インクジェット捺染用布帛として
は、(1)インクを十分な濃度に発色させ得ること、
(2)インクの染着率が高いこと、(3)インクが布帛
上で速やかに乾燥すること、(4)布帛上での不規則な
インクの滲みの発生が少ないこと、(5)装置内での搬
送性に優れていること、等の性能が要求される。これら
の要求性能を満足させるために、本発明において、必要
に応じて布帛に対し、あらかじめ前処理を施しておくこ
とができる。例えば、特開昭62−53492号公報に
おいてはインク受容層を有する布帛類が開示され、ま
た、特公平3−46589号公報においては還元防止剤
やアルカリ性物質を含有させた布帛の提案がなされてい
る。このような前処理の例としては、布帛に、アルカリ
性物質、水溶性高分子、合成高分子、水溶性金属塩、尿
素およびチオ尿素から選ばれる物質を含有させる処理を
挙げることができる。
【0107】アルカリ性物質としては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、
モノ,ジ,トリエタノールアミン等のアミン類、炭酸ナ
トリウム,炭酸カリウム,重炭酸ナトリウム等の炭酸も
しくは重炭酸アルカリ金属塩等が挙げられる。さらに酢
酸カルシウム、酢酸バリウム等の有機酸金属塩やアンモ
ニアおよびアンモニア化合物等がある。また、スチーミ
ングおよび乾熱下でアルカリ物質となるトリクロロ酢酸
ナトリウム等も用い得る。特に好ましいアルカリ性物質
としては、反応性染料の染色に用いられる炭酸ナトリウ
ムおよび重炭酸ナトリウムがある。
【0108】水溶性高分子としては、トウモロコシ,小
麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース,メ
チルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセル
ロース系物質、アルギン酸ナトリウム,アラビアゴム,
ローカスイトビーンガム,トラガントガム,グアガム,
タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン,カゼイン等の蛋
白質物質、タンニン系物質,リグニン系物質等の天然水
溶性高分子が挙げられる。
【0109】また、合成高分子としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール系化合物,ポリエチレンオキサイド系
化合物,アクリル酸系水溶性高分子,無水マレイン酸系
水溶性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系
高分子やセルロース系高分子が好ましい。
【0110】水溶性金属塩としては、例えば、アルカリ
金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型
的なイオン結晶を作るものであって、pH4〜10であ
る化合物が挙げられる。かかる化合物の代表的な例とし
ては、例えば、アルカリ金属では、NaCl,Na2
4 ,KClおよびCH3 COONa等が挙げられ、ま
た、アルカリ土類金属としては、CaCl2 およびMg
Cl2 等が挙げられる。中でもNa,KおよびCaの塩
類が好ましい。
【0111】前処理において上記物質等を布帛に含有さ
せる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬
法、パッド法、コーティング法、スプレー法などを挙げ
ることができる。
【0112】さらに、インクジェット捺染用布帛に付与
される捺染インクは、布帛上に付与した状態では単に付
着しているに過ぎないので、引き続き繊維への染料等イ
ンク中の色素の定着工程を施すのが好ましい。このよう
な定着工程は、従来公知の方法でよく、例えば、スチー
ミング法、HTスチーミング法、サーモフィックス法、
あらかじめアルカリ処理した布帛を用いない場合は、ア
ルカリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム
法、アルカリショック法、アルカリコールドフィックス
法等が挙げられる。また、定着工程は、染料によって反
応過程を含むものと含まないものとがあり、後者の例と
しては繊維に含浸させて物理的に離脱しないようなもの
がある。また、インクとしては所要の色素を有するもの
であれば適宜のものを用いることができ、染料に限られ
ず顔料を含むものでもよい。
【0113】さらに未反応の染料の除去および前処理に
用いた物質の除去は、上記反応定着工程の後に従来公知
の方法に準じ、洗浄により行うことができる。なお、こ
の洗浄の際に従来のフィックス処理を併用することが好
ましい。
【0114】以上述べた後処理工程が施されたプリント
物は、その後所望の大きさに切り離され、切り離された
片は、縫着,接着,溶着等、最終的な加工品を得るため
の工程が施され、ワンピース,ドレス,ネクタイ,水着
等の衣類や布団カバー,ソファカバー,ハンカチ,カー
テン等が得られる。布帛を縫製等により加工して衣類や
その他の日用品とする方法は、従来より公知の技術であ
る。
【0115】なお、プリント用媒体としては、布帛,壁
布,刺しゅうに用いられる糸、壁紙、紙、OHP用フィ
ルム、アルマイト等の板状物その他インクジェット技術
を用いて所定の液体を付与可能な種々のものが挙げら
れ、布帛とは、素材,織り方,編み方を問わず、あらゆ
る織物,不織布およびその他の布地を含む。
【0116】本発明は、上述したインクジェットプリン
ト方式に限らず種々のプリント方式を採用できるが、イ
ンクジェットプリント方式を採用する場合には、その中
でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギ
として熱エネルギを発生する手段を備え、前記熱エネル
ギによりインクの状態変化を生起させる方式、すなわち
キヤノン株式会社が提唱するバブルジェット方式のプリ
ントヘッド、プリント装置を用いることで優れた効果を
もたらすものである。かかる方式によればプリントの高
密度化,高精細化が達成できるからである。
【0117】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、プリント情報に対応していて核沸騰を越え
る急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を
印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発
生せしめ、プリントヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状
の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細
書,同第4345262号明細書に記載されているよう
なものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率
に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記
載されている条件を採用すると、さらに優れたプリント
を行うことができる。
【0118】プリントヘッドの構成としては、上述の各
明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変
換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第
4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれ
るものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、
共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を
開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギ
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基いた構成と
しても本発明の効果は有効である。すなわち、プリント
ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によ
ればプリントを確実に効率よく行うことができるように
なるからである。
【0119】加えて、プリントヘッドは、プリント装置
の形態に対応して構成できるのは勿論であり、所謂ライ
ンプリンタ形態のものに対してはプリント媒体の幅に対
応した範囲にわたって吐出口を配列したものとすればよ
い。また、上例のようなシリアルタイプのプリントヘッ
ドとしては、装置本体に固定されたプリントヘッド、あ
るいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的
な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換
自在のチップタイプのプリントヘッド、あるいはプリン
トヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカー
トリッジタイプのプリントヘッドを用いた場合にも本発
明は有効である。
【0120】また、本発明のプリント装置の構成とし
て、プリントヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段
等を付加することは本発明の効果を一層安定できるの
で、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
プリントヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれと
は別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を
行う予備加熱手段、プリントとは別の吐出を行なう予備
吐出手段を挙げることができる。
【0121】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用プ
リント信号付与時にインクが液状をなすものを用いても
よい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形
状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せ
しめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸
発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化
するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギ
のプリント信号に応じた付与によってインクが液化し、
液状インクが吐出されるものや、プリント用媒体に到達
する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エ
ネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使
用する場合も本発明は適用可能である。このような場合
のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特
開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔
質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持
された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形
態としてもよい。本発明においては、上述した各インク
に対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行
するものである。
【0122】さらに加えて、本発明の形態としては、コ
ンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用い
られるものの他、リーダ等と組合せた複写装置の形態を
採るもの等であってもよい。
【0123】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、プリントヘッドの温度調整を行うためにプリ
ントヘッドに接して液体が移送されるように構成された
液体循環系にあって、プリントヘッドに設けられて循
環経路の一部をなす1以上の液体通路への液体の往路連
結路側接続部および復路連結路側接続部と、前記液体通
路側接続部との接続を解除するときまでに、それら液体
通路、往路連結路および復路連結路より確実に液体を回
収することで、当該解除時に液体が漏れることを防止で
きるため、プリントヘッドの交換時等において液体を漏
出させることがなく、またプリント媒体を汚損する恐れ
もなく、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット捺染
装置の概略構成例を示す側面図である。
【図2】図1の装置の斜視図である。
【図3】図1の装置で用いられるプリントヘッドの内部
構成例を示す斜視図である。
【図4】図1の装置における冷却液の循環系の構成およ
び冷却液の回収の動作を説明するための模式図である。
【図5】図1の装置の制御系の構成例を示すブロック図
である。
【図6】図5の制御系による冷却液温度制御手順の一例
を示すフローチャートである。
【図7】図5の制御系による冷却液循環モードでの制御
手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図5の制御系による冷却液回収モードでの制御
手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図5の制御系による冷却液充填モードでの制御
手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】冷却液の回収が不完全となりうる冷却液循環
系の構成を説明するための模式図である。
【図11】冷却液循環系の他の構成例を説明するための
模式図である。
【符号の説明】
1000 プリントヘッド 1040 液管 1040a 液管1040の往路側接続口 1040b 液管1040の復路側接続口 1051 往路メインチューブ 1052 往路サブチューブ 1053 往路側コネクタ 1056 往路マニフォルド 1058 大気開放電磁弁 1062 復路サブチューブ 1063 復路側コネクタ 1066 復路マニフォルド 1068 逆流防止電磁弁 4100 冷却液貯留タンク 4200 冷却液給送ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/01 B41J 2/175 B41J 29/377 D06P 5/00 111

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリント装置本体に着脱可能で、温度調
    整を行うための液体が接して流れることができるように
    液体通路を有するプリントヘッドを用いてプリントを行
    うプリント装置において、 前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体を前記液体
    貯留部より前記液体通路に給送する往路連結路と、前記
    液体を前記液体通路より前記液体貯留部に還流する復路
    連結路と、前記往路連結路と前記液体通路との連通を解
    除可能に接続する往路側接続部と、前記復路連結路と前
    記液体通路との連通を解除可能に接続する復路側接続部
    と、前記液体貯留部、前記往路連結路、前記液体通路お
    よび前記復路連結路の間で前記液体を循環させることが
    可能な循環手段と、を具備するとともに、 当該循環の経路の途中、前記液体貯留部に貯留される
    前記液体の液面より高い位置に設けられ、前記経路の内
    部を大気連通可能とする開閉手段と、 前記往路側接続部および前記復路側接続部の前記連通の
    解除を伴う前記プリントヘッドの取り外しに際し、前記
    開閉手段により大気連通を行わせてから当該取り外しの
    ための操作を許容する制御手段と、を具え、 前記循環手段は前記復路連結路の途中に設けられたポン
    プを有し、前記制御手段は前記ポンプを運転していると
    きに前記開閉手段により大気連通を行わせ、前記循環経
    路内から前記液体を吸引する ことを特徴とするプリント
    装置。
  2. 【請求項2】 前記ポンプは渦流ポンプであることを特
    徴とする請求項に記載のプリント装置。
  3. 【請求項3】 前記復路連結路の途中に、前記液体通路
    と前記ポンプとの間に逆流防止手段を設けたことを特徴
    とする請求項1または2に記載のプリント装置。
  4. 【請求項4】 前記逆流防止手段は電磁弁であることを
    特徴とする請求項に記載のプリント装置。
  5. 【請求項5】 前記逆流防止手段は逆止弁であることを
    特徴とする請求項に記載のプリント装置。
  6. 【請求項6】 プリント装置本体に着脱可能で、温度調
    整を行うための液体が接して流れることができるように
    液体通路を有するプリントヘッドを複数用いてプリント
    を行うプリント装置において、 前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体を前記液体
    貯留部より前記液体通路に向けて給送する往路連結路
    と、該往路連結路に接続され前記複数のプリントヘッド
    がそれぞれ有する前記液体通路に前記液体を分配するた
    めの往路マニフォルドと、該往路マニフォルドと前記複
    数の前記液体通路とをそれぞれ連絡する複数の往路副連
    結路と、前記複数の往路副連結路と前記複数の液体通路
    との連通をそれぞれ解除可能に接続する複数の往路側接
    続部と、前記複数の液体通路に接続されて前記液体を集
    合するための復路マニフォルドと、該復路マニフォルド
    と前記複数の前記液体通路とをそれぞれ連絡する複数の
    復路副連結路と、前記複数の復路副連結路と前記複数の
    液体通路との連通をそれぞれ解除可能に接続する複数の
    復路側接続部と、前記復路マニフォルドと前記液体貯留
    部とを連絡する復路連結路と、前記液体貯留部、前記往
    路連結路、前記往路マニフォルド、前記複数の往路復連
    結路、前記複数の液体通路、前記複数の復路副連結路、
    前記復路マニフォルドおよび前記復路連結路の間で前記
    液体を循環させることが可能な循環手段と、を具備し、前記循環の経路の途中の、前記液体貯留部に貯留される
    前記液体の液面より高い位置に設けられ、前記経路の内
    部を大気連通可能とする開閉手段と、 前記往路側接続部および前記復路側接続部の前記連通の
    解除を伴う前記プリントヘッドの取り外しに際し、前記
    開閉手段により大気連通を行わせてから当該取り外しの
    ための操作を許容する制御手段と、 を具えるとともに、 前記複数の液体通路が前記液体貯留部内に貯留される前
    記液体の液面よりも上方に配され前記往路マニフォ
    ルドおよび前記復路マニフォルドのいずれか一方前記
    液体貯留部内に貯留される前記液体の液面よりも上方に
    配置され、他方前記液体貯留部内に貯留される前記液
    体の液面よりも下方に配置されてなることを特徴とする
    プリント装置。
  7. 【請求項7】 前記開閉手段は電磁弁であることを特徴
    とする請求項1ないし6のいずれかに記載のプリント装
    置。
  8. 【請求項8】 前記プリントヘッドは、吐出口からイン
    クを吐出することによりプリントを行うインクジェット
    ヘッドの形態を有することを特徴とする請求項1ないし
    のいずれかに記載のプリント装置。
  9. 【請求項9】 プリント媒体としての布帛に対して捺染
    を行うことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに
    記載のプリント装置。
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