JP3397481B2 - 配線の断線修正方法 - Google Patents

配線の断線修正方法

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JP3397481B2 JP32692094A JP32692094A JP3397481B2 JP 3397481 B2 JP3397481 B2 JP 3397481B2 JP 32692094 A JP32692094 A JP 32692094A JP 32692094 A JP32692094 A JP 32692094A JP 3397481 B2 JP3397481 B2 JP 3397481B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置や半導体
集積回路の基板等に設けられた配線の断線修正方法並び
に液晶表示装置に用いられるTFT基板及びその配線の
断線修正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術としては、特開平2−1983
8号公報において集積回路や表示装置の基板上の配線パ
ターンの断線部分の修正方法が知られている。即ち、こ
の従来技術には、配線パターンを有するガラス基板にお
いて、該配線パターンの断線欠陥個所に、比較的高温に
おいてのみ導電性物質が析出し得る組成物(金属の硝酸
塩、例えば硝酸マンガン、更にはルテニウム等の有機金
属化合物)を塗布し、上記断線欠陥の近傍にレーザ光を
照射して導電性物質(低抵抗二酸化マンガン、低抵抗酸
化ルテニウム)を析出させて配線パターンを修正するこ
とが記載されている。
【0003】また従来技術としては、特開昭59−17
7358号公報においてフォトマスクの白点欠陥を修正
する方法が知られている。即ち、この従来技術には、不
活性ガス雰囲気中においてフォトマスクの白点欠陥個所
にCr,Moの金属を含む有機金属溶液の液滴を付着さ
せ、この付着個所にレーザ光を照射してCr,Moの金
属薄膜を堆積させて白点欠陥を修正することが記載され
ている。
【0004】また従来技術としては、特開平2−101
188号公報においてプリント基板の断線したCu回路
パターンを修正する方法が知られている。即ち、この従
来技術には、プリント基板の断線したCu回路パターン
の端部をナイフにより基板に対して斜めにカット成形
し、この端部を含む被めっき部分にめっき液を供給し、
該めっき液にレーザ光を照射してめっきすることが記載
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】液晶表示装置や半導体
集積回路素子に代表される回路基板上に設けられた回路
配線は、通常ホトレジストの塗布−露光−現像−エッチ
ング−レジストの剥離と言った一連のプロセスによって
製造されるため、このプロセス中で発生する異物等に起
因して配線の断線不良が発生していた。一方、前記回路
配線は、表示性能や集積度の向上に伴って微細になって
きている。
【0006】しかしながら、上記何れの従来技術におい
ても、実際の製品として使用できるように、回路とほぼ
同様な機能、同様な抵抗値で、且つ高信頼度で微細な配
線の断線個所を接続しようとする課題については、充分
考慮されていなかった。
【0007】本発明の目的は、上記課題を解決すべく、
微細な配線の断線又は半断線個所を、配線とほぼ同程度
の抵抗で、しかも高信頼度で接続して、実際の製品とし
て使用できるようにした配線の断線修正方法を提供する
ことにある。
【0008】また本発明の他の目的は、TFT(薄膜ト
ランジスタ)基板における少なくとも上部配線の断線又
は半断線について上部配線とほぼ同程度の抵抗で、しか
も高信頼度で接続してTFT(薄膜トランジスタ)の製
品として使用できるようにしたTFT基板及びその配線
修正方法を提供することにある。
【0009】また本発明の他の目的は、TFT(薄膜ト
ランジスタ)基板において保護膜が被覆された後、少な
くとも上部配線の断線又は半断線について上部配線とほ
ぼ同程度の抵抗で、しかも高信頼度で接続してTFT
(薄膜トランジスタ)の製品として使用できるようにし
たTFT基板の配線修正方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、配線が断線又は半断線した断線又は半断
線個所に金属錯体を含む溶液または塗膜を供給し、この
供給された断線又は半断線個所にレ−ザ光を照射して前
記金属錯体の熱分解反応により金属薄膜を前記断線又は
半断線された配線の端部を覆って該端部の間に連続して
析出させて前記配線の間を接続することを特徴とする配
線の断線修正方法である。
【0011】また本発明は、配線が断線又は半断線した
断線又は半断線個所に金属錯体を含む溶液または塗膜を
供給し、この供給された断線又は半断線個所にレ−ザ光
を照射して前記金属錯体の熱分解反応により金属薄膜
を、前記断線又は半断線された配線の端部を覆って該端
部の間に前記金属薄膜と前記端部との間の接触抵抗が3
00Ω以下にして連続して析出させて前記配線の間を接
続することを特徴とする配線の断線修正方法である。ま
た本発明は、前記配線の断線修正方法において、前記金
属薄膜の膜厚を、前記配線の膜厚より薄くしたことを特
徴とする。
【0012】また本発明は、断線又は半断線個所におい
て断線又は半断線した対向する各配線の端部の表面を不
活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気で処理して汚染物質
若しくは酸化物を除去する除去工程と、該除去工程で除
去された各配線の端部を含めて断線又は半断線個所に金
属錯体を含む溶液または塗膜を供給し、この供給された
断線又は半断線個所にレ−ザ光を照射して前記金属錯体
の熱分解反応により金属薄膜を前記断線又は半断線され
た配線の端部を覆って該端部の間に連続して析出させて
前記配線の間を接続する配線接続工程とを有することを
特徴とする配線の断線修正方法である。
【0013】また本発明は、断線又は半断線個所におい
て断線又は半断線した対向する各配線の端部の表面に対
して傾斜面を形成する傾斜面形成工程と、該傾斜面形成
工程で形成された傾斜面を有する各配線の端部を含めて
断線又は半断線個所に金属錯体を含む溶液または塗膜を
供給し、この供給された断線個所にレ−ザ光を照射して
前記金属錯体の熱分解反応により金属薄膜を、前記端部
の傾斜面を覆って該端部の間に連続して析出させて前記
配線の間を接続する配線接続工程とを有することを特徴
とする配線の断線修正方法である。
【0014】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線の断線又は半断線個所を検出する断線
個所検出工程と、該断線個所検出工程で検出された少な
くとも上部配線の断線又は半断線個所に金属錯体を含む
溶液または塗膜を供給し、この供給された断線又は半断
線個所にレ−ザ光を照射して前記金属錯体の熱分解反応
により金属薄膜を前記断線又は半断線された上部配線の
端部を覆って該端部の間に連続して析出させて前記上部
配線の間を接続する上部配線接続工程とを有することを
特徴とするTFT基板の配線修正方法である。
【0015】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線の断線又は半断線個所を検出する断線
個所検出工程と、該断線個所検出工程で検出された少な
くとも上部配線の断線又は半断線個所に金属錯体を含む
溶液または塗膜を、隣接する画素電極と離間するように
供給し、この供給された断線又は半断線個所にレ−ザ光
を照射して前記金属錯体の熱分解反応により金属薄膜
を、前記断線又は半断線された上部配線の端部を覆って
該端部の間に連続して析出させて、隣接する画素電極と
離間させた状態で前記上部配線の間を接続する上部配線
接続工程とを有することを特徴とするTFT基板の配線
修正方法である。
【0016】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線の断線又は半断線個所を検出する断線
個所検出工程と、該断線個所検出工程で検出された少な
くとも上部配線の断線又は半断線個所に金属錯体を含む
溶液または塗膜を供給し、この供給された断線又は半断
線個所にレ−ザ光を照射して前記金属錯体の熱分解反応
により金属薄膜を、前記断線又は半断線された上部配線
の端部を覆って該端部の間に前記金属薄膜と前記端部と
の間の接触抵抗が300Ω以下にして連続して析出させ
て前記上部配線の間を接続する上部配線接続工程とを有
することを特徴とするTFT基板の配線修正方法であ
る。
【0017】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線の断線又は半断線個所を検出する断線
個所検出工程と、該断線個所検出工程で検出された少な
くとも上部配線の断線又は半断線個所において断線した
対向する各上部配線の端部の表面に対して傾斜面を形成
する傾斜面形成工程と、該傾斜面形成工程で形成された
傾斜面を有する各上部配線の端部を含めて断線又は半断
線個所に金属錯体を含む溶液または塗膜を供給し、この
供給された断線又は半断線個所にレ−ザ光を照射して前
記金属錯体の熱分解反応により前記上部配線の厚さより
薄い金属薄膜を、前記断線された上部配線の端部を覆っ
て該端部の間に連続して析出させて前記上部配線の間を
接続する上部配線接続工程とを有することを特徴とする
TFT基板の配線修正方法である。
【0018】また本発明は、前記TFT基板の配線修正
方法において、前記上部配線接続工程における金属薄膜
を、Al配線で形成された上部配線に対して低抵抗接続
可能なPdまたはAuまたは白金を主成分とすることを
特徴とする。また本発明は、前記TFT基板の配線修正
方法において、前記金属錯体を溶液または塗膜が、少な
くともパラジウム錯体(例えば、トリフルオロ酢酸パラ
ジウム(Pd(CF3COO)2)、又はペンタフルオロ
プロピオン酸パラジウム(Pd(CF3CF2CO
O)2)を主成分とすることを特徴とする。
【0019】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線(上層配線)の断線又は半断線個所を
検出する断線個所検出工程と、該断線個所検出工程で検
出された少なくとも上部配線の断線又は半断線個所にC
VDガスを供給し、この供給された断線又は半断線個所
に集束されたエネルギビームを照射して金属薄膜を前記
断線又は半断線された上部配線の端部を覆って該端部の
間に連続して析出させて前記上部配線の間を接続する上
部配線接続工程とを有することを特徴とするTFT基板
の配線修正方法である。
【0020】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線(上層配線)の断線又は半断線個所を
検出する断線個所検出工程と、該断線個所検出工程で検
出された少なくとも上部配線の断線又は半断線個所にC
VDガスを供給し、この供給された断線又は半断線個所
に集束されたエネルギビームを照射して金属薄膜を前記
断線又は半断線された上部配線の端部を覆って該端部の
間に連続して隣接した画素電極と離間させて析出させて
前記上部配線の間を接続する上部配線接続工程とを有す
ることを特徴とするTFT基板の配線修正方法である。
【0021】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線(上層配線)の断線又は半断線個所を
検出する断線個所検出工程と、該断線個所検出工程で検
出された少なくとも上部配線の断線又は半断線個所に被
覆された保護膜に対してエネルギービームを照射して該
断線又は半断線個所における上部配線の端部を露出させ
る穿孔工程と、該穿孔工程で保護膜に穿孔された断線又
は半断線個所に金属錯体を含む溶液または塗膜を供給
し、この供給された断線又は半断線個所にレ−ザ光を照
射して前記金属錯体の熱分解反応により金属薄膜を前記
断線又は半断線された上部配線の端部を覆って該端部の
間に連続して析出させて前記上部配線の間を接続する上
部配線接続工程とを有することを特徴とするTFT基板
の配線修正方法である。
【0022】本発明は、TFT基板に形成された少なく
とも上部配線の断線又は半断線個所を検出する断線個所
検出工程と、該断線個所検出工程で検出された少なくと
も上部配線の断線又は半断線個所に被覆された保護膜に
対してエネルギービームを照射して該断線又は半断線個
所における上部配線の端部を露出させる穿孔工程と、該
穿孔工程で保護膜に穿孔された断線又は半断線個所に金
属錯体を含む溶液または塗膜を、隣接する画素電極と離
間するように供給し、この供給された断線又は半断線個
所にレ−ザ光を照射して前記金属錯体の熱分解反応によ
り金属薄膜を、前記断線又は半断線された上部配線の端
部を覆って該端部の間に連続して析出させて、隣接する
画素電極と離間させた状態で前記上部配線の間を接続す
る上部配線接続工程とを有することを特徴とするTFT
基板の配線修正方法である。
【0023】また本発明は、TFT基板に形成された少
なくとも上部配線の断線又は半断線個所を検出する断線
個所検出工程と、該断線個所検出工程で検出された少な
くとも上部配線の断線又は半断線個所に被覆された保護
膜に対してエネルギービームを照射して該断線又は半断
線個所における上部配線の端部を露出させる穿孔工程
と、該穿孔工程で保護膜に穿孔された断線又は半断線個
所に金属錯体を含む溶液または塗膜を供給し、この供給
された断線又は半断線個所にレ−ザ光を照射して前記金
属錯体の熱分解反応により金属薄膜を前記断線又は半断
線された上部配線の端部を覆って該端部の間に連続して
析出させて前記上部配線の間を接続する上部配線接続工
程と、該上部配線接続工程によって接続された金属薄膜
の上に保護膜を被覆する保護膜被覆工程とを有すること
を特徴とするTFT基板の配線修正方法である。
【0024】また本発明は、TFT基板に形成された上
部配線(上層配線)の断線又は半断線個所を、断線又は
半断線された上部配線(ドレイン配線)の端部を覆って
該端部の間に連続して析出された金属薄膜で前記上部配
線(ドレイン配線)の間を接続して構成したことを特徴
とするTFT基板である。また本発明は、TFT基板に
形成されたAlの上部配線(上層配線)の断線又は半断
線個所を、断線又は半断線された上部配線(ドレイン配
線)の端部を覆って該端部の間に連続して析出された低
抵抗接続可能なPdまたはAuまたは白金を主成分とす
る金属薄膜で前記上部配線(ドレイン配線)の間を接続
して構成したことを特徴とするTFT基板である。また
本発明は、TFT基板に形成されたAlの上部配線(上
層配線)の断線又は半断線個所を、断線又は半断線され
た上部配線の端部を覆って該端部の間に連続して析出さ
れ、隣接した画素電極と離間した金属薄膜で前記上部配
線の間を接続して構成したことを特徴とするTFT基板
である。また本発明は、TFT基板に形成されたAlの
上部配線(上層配線)の断線又は半断線個所を、断線又
は半断線された上部配線の端部を覆って該端部の間に連
続して析出され、前記上部配線の幅の4倍より狭くして
隣接した画素電極と離間した金属薄膜で前記上部配線の
間を接続して構成したことを特徴とするTFT基板であ
る。また本発明は、TFT基板に形成されたAlの上部
配線(上層配線)の断線又は半断線個所を、断線又は半
断線された上部配線の端部を覆って該端部の間に連続し
て析出された金属薄膜で前記上部配線の間を該金属薄膜
と前記端部との間の接触抵抗が300Ω以下にして接続
して構成したことを特徴とするTFT基板である。
【0025】また本発明は、TFT基板に形成された上
部配線(上層配線)の断線又は半断線個所を、断線又は
半断線された上部配線の傾斜面を有する端部を覆って該
端部の間に連続して析出された前記上部配線の厚さより
薄い金属薄膜で前記上部配線の間を接続して構成したこ
とを特徴とするTFT基板である。
【0026】また本発明は、TFT基板に形成された上
部配線(上層配線)の断線又は半断線個所を、断線又は
半断線された上部配線の端部を覆って該端部の間に連続
して析出された金属薄膜で前記上部配線の間を接続して
構成し、該金属薄膜の上を保護膜で被覆したことを特徴
とするTFT基板である。
【0027】また本発明は、前記TFT基板を備えた液
晶表示装置である。
【0028】
【作用】上記構成により、例えば、液晶表示装置に用い
られるTFT(薄膜トランジスタ)基板を製造する際、
特に成膜プロセス、エッチングプロセスなどにおいて異
物などの付着によって発生した上部配線(上層配線)の
断線又は半断線個所を、隣接した画素電極に影響を及ぼ
すことなく、正常な上部配線とほぼ等しい抵抗でもって
金属薄膜で接続して修正することを簡便に、確実に実行
することができる。その結果、TFT基板を廃棄するこ
となく、歩留まりを著しく向上させることができる。
【0029】特に、TFT基板において、下部配線(ゲ
ート配線)は、ガラス基板上に最初に形成した膜をエッ
チングによりパターンを形成する関係で、下部配線の断
線又は半断線について修復するのも容易である。しか
し、TFT基板において、上部配線(上層配線)につい
ては、画素電極、薄膜トランジスタ、ソース電極も形成
され、ほぼ完成された状態であるため、上部配線の断線
又は半断線については、隣接した画素電極に影響を及ぼ
すことなく、しかも液晶表示装置として画素の明るさに
差が生じないように、正常な上部配線の抵抗値から著し
く増加させないで、高信頼度で上部配線の断線又は半断
線を接続する必要がある。しかも、TFT基板は、非常
に大きなものである。本発明は、このような非常に大き
なTFT基板において、特に上部配線(上層配線)の断
線又は半断線について修正を簡便に、且つ高信頼度で可
能にしたものである。
【0030】また本発明は、例えばトリフルオロ酢酸パ
ラジウム錯体若しくはペンタフルオロプロピオン酸パラ
ジウム錯体などの金属錯体をアセトニトリル、トルエ
ン、アルコールなどの有機溶媒に溶かし込んだ有機溶媒
溶液を微量、断線又は半断線個所に局所的に供給し、こ
れにレーザ光を照射して熱分解反応によって析出させた
Pdなどの金属薄膜の膜厚Hm は、供給された有機溶媒
溶液の厚さHl に対して約1/k(k=Hm/Hl)のよ
うに非常に薄くなる。このkは、有機溶媒溶液に含まれ
るPdなどの金属の割合で決まってくる。また有機溶媒
溶液を断線又は半断線個所に局所的に供給した際の広が
りは、有機溶媒溶液の粘性で決まってくる。そこで、本
願発明は、有機溶媒溶液の粘性を高めて有機溶媒溶液を
断線又は半断線個所に局所的に供給した際の広がりを減
少させるか、或いは有機溶媒溶液に含まれるPdなどの
金属の割合を増大させて供給された有機溶媒溶液の厚さ
Hlに対するPdなどの金属薄膜の膜厚Hmの減少を小さ
くして例えば上部配線膜厚と同程度若しくはそれ以上の
膜厚にするか、或いは断線又は半断線した個所の上部配
線の端部に近似テーパ形状を施すかによって熱分解反応
によって析出させたPdなどの金属薄膜の破断若しくは
破断に近い状態、即ち、抵抗値が100kΩ以上から数
MΩになることをなくして接触抵抗を含めて上部配線の
終端抵抗を目標である約0.1kΩ〜1kΩ(最大約1
kΩ)を実現することができる。
【0031】即ち、本発明は、TFT基板における上部
配線の断線又は半断線個所に金属錯体を含む溶液または
塗膜を供給し、該供給された金属錯体を含む溶液または
塗膜にレーザ光を照射して熱分解反応によって金属薄膜
を析出させて配線間を接続する際、上部配線に隣接した
画素電極および薄膜トランジスタと接触することなく、
しかも破断若しくは破断に近い状態にすることなく、接
触抵抗を小さくして高信頼度で接続することができる。
【0032】また高密度プリント基板においても、断線
又は半断線個所に隣接した他の配線パターンが存在し、
しかも配線パターンの厚さが1.0μmに近いものがあ
り、更に接触抵抗も含めてできるだけ配線パターンの抵
抗値に近ずける必要がある。そのため、本発明は、高密
度プリント基板における配線パターンの断線又は半断線
の修正においても、有益である。
【0033】
【実施例】本発明に係わる配線の断線修正方法並びにT
FT(Thin Film Transistor)基板及びその配線修正方
法の実施例を図面を用いて具体的に説明する。
【0034】まず、TFT基板2について、図2を参照
して説明する。28はガラス基板である。21はガラス
基板28上に形成されたゲート配線である。このゲート
配線21は、スパッタリングによりAl薄膜が形成さ
れ、ホトリソ及びエッチングによりパターンニングされ
るが、この時異物付着等によって断線または半断線が生
じるが、ガラス基板28上であるため、この断線または
半断線は容易に修正することは可能である。次に、この
ゲート配線21上をゲート絶縁膜(Al23)25で被
覆される。そして、ガラス基板28の上及びゲート絶縁
膜25の上をCVD(Chemical Vapor Deposition)に
よってゲート絶縁膜(SiN)26で被覆される。この
ゲート絶縁膜26上に画素電極24が形成される。更に
ゲート絶縁膜26上のTFT部に半導体膜(a−Si)
23が形成される。このTFT部の半導体膜23と画素
電極24とが、ソース電極(Al/Cr)22で接続さ
れる。更にTFT部の半導体膜23と接続されたドレイ
ン配線(上部配線(上層配線)、データ配線)(Al/
Cr)20がゲート配線21とクロスするように形成さ
れる。このドレイン配線(上部配線(上層配線)、デー
タ配線)20は、膜厚Ht が0.2〜0.3μmで、幅
Wが約10μmであり、スパッタリングによりAl/C
r薄膜が形成され、ホトリソ及びエッチングによりパタ
ーンニングされるため、この時異物付着等によって断線
30または半断線31が生じる。そしてドレイン配線2
0は、約20μmの間隔で隣接して画素電極24を配設
している。このTFT部は、CVDによって保護膜(S
iN)27が形成される。更にこの保護膜27上にポリ
イミドの配向膜が形成されている。そしてこのTFT基
板の上に液晶及びカラーフィルタと組み合わされて液晶
表示装置が構成される。
【0035】本発明は、TFT基板2には図2に示す構
成と異なる種類のものがあり、その場合特に配線の内、
積み重ねられた上部配線(上層配線)(図2に示す構成
の場合は、ドレイン配線20に相当する。)20に生じ
た断線30及び半断線31を修正することが有益であ
る。それは積み重ねられるとTFT基板の最終製品に近
づくからである。まず、TFT基板2において、上部配
線(上層配線)(ドレイン配線:データ配線)20が保
護膜27で被覆される前に、上部配線(ドレイン配線)
20において発生した断線30または半断線31の修正
について説明する。
【0036】即ち、図1は、金属錯体溶液または塗膜を
用いて、TFT基板の上部配線(上層配線)における断
線又は半断線個所を接続する装置構成を示す概略図であ
る。1は、TFT基板2を保持してX−Y軸及びθ(回
転)軸方向に移動できるように構成されたステージであ
る。2はTFT基板である。4は、先端径を1μm〜2
μmに絞り込んだマイクロシリンジまたはキャピラリを
有する金属錯体供給部で、トリフルオロ酢酸パラジウム
錯体若しくはペンタフルオロプロピオン酸パラジウム錯
体などの金属錯体をアセトニトリル、トルエン、アルコ
ールなどの有機溶媒に溶かし込んだ微量(約1×10~
12リットル)の有機溶媒溶液32を、TFT基板2上の
上部配線20の断線又は半断線個所に供給するものであ
る。上記金属錯体供給部4は、上記金属錯体を含む微量
の塗膜をTFT基板2上の上部配線20の断線又は半断
線個所に供給するものであってもよい。上記金属錯体供
給部4は、微量の有機溶媒溶液32を、TFT基板2上
の上部配線20の断線又は半断線個所に正確に位置決め
して供給するために、先端位置をレーザ光の照射光軸に
対して調整制御できるように微動ステージ4a上に設置
されている。5はYAGレーザ光源で、上部配線の断線
個所の端部を加工するYAGレーザ光を出射するもので
ある。6はアルゴンレーザ光源で、上部配線20の断線
又は半断線個所に供給された有機溶媒溶液32に照射し
て熱分解反応により金属薄膜を析出させるレーザ光を出
射するものである。7は上部配線20の断線又は半断線
個所に不活性ガスまたは還元性ガスを供給するノズル7
aを有する不活性ガスまたは還元性ガス供給部である。
8はTFT基板2の表面を観察するための光源である。
9は、レーザ光を集光させるための集光レンズである。
10は可変開口絞りで、上部配線20の断線又は半断線
個所に応じてTFT基板2の表面に投影されるレーザ光
の光束を調整するものである。11はTVカメラで、T
FT基板2の表面、TFT基板2の表面に投影されるレ
ーザ光の光束及び金属錯体供給部の先端を観察するため
に画像を取り込むものである。12は、TVカメラ11
で撮像された画像を表示するTVモニタである。13
は、キーボードやマウスやディスクや通信手段等で構成
された入力手段であリ、TFT基板における上部配線2
0の断線又は半断線個所の位置データおよびTFT基板
における上部配線20の設計データ(基準パターンデー
タ)等が入力される。特に、TVモニタ12に表示され
る上部配線20の断線又は半断線の大きさに応じて金属
錯体供給部4から供給される溶液または塗膜の量を変更
する場合には、入力手段13を用いて入力する。14は
制御装置で、入力手段13で入力されるデータ(情報)
及びTVカメラ11から得られる画像情報に基づいて、
ステージ1、金属錯体供給部4、微動ステージ4a、Y
AGレーザ光源5、アルゴンレーザ光源6及び不活性ガ
スまたは還元性ガス供給部7等を制御するものである。
【0037】図示していないが、上部配線20とゲート
配線21との間または上部配線20において導通試験、
導通検査、場合によっては目視検査によって上部配線2
0の断線30又は半断線31の個所を検出し、その概略
座標(画素位置)データおよび断線の種類のデータをデ
ィスク等に記憶させる。このディスクを上記入力手段1
3で入力することによって、制御装置14によって制御
されてステージ1が移動されて、上部配線20の断線3
0又は半断線31の個所がほぼレーザ光照射光軸の位置
に位置決めされる。更に、TVカメラ11で撮像される
画像信号に基づいて制御装置14は、ステージ1を微動
させて上部配線20の断線30又は半断線31の個所を
正確に位置決めする。また照射されるレーザ光束の調整
を可変開口絞り10で行う。これをTVカメラ11で撮
像される可変開口絞り10の画像及びTFT基板の表面
の画像とに基づいて制御装置14が自動的に可変開口絞
り10を制御してもよい。
【0038】次に修正方法について説明する。
【0039】先ず、図3に示すように、上記のように正
確に位置決めされたTFT基板2における上部配線20
の断線30又は半断線31の個所の近傍に、不活性ガス
または還元性ガス供給部7に設けたノズル7aから窒素
ガスまたはアルゴンガス等の不活性ガスあるいは水素ガ
ス等の還元性ガスを所定量供給しながら、断線30又は
半断線31の上部配線(Al配線)20の各端部35
に、YAGレーザ光源5から出射されたYAGレーザ光
40を、集光レンズ9により集光YAGレーザ光34と
して例えば上部配線20の幅より細く集光してガルバノ
ミラー(図示せず)の回転またはテーブル1の移動によ
って走査して照射し、断線30又は半断線31の上部配
線(Al配線)20の各端部35の一部を飛散・除去す
ることによって、図3(a)(b)に示す状態から図3
(c)(d)に示す状態へと各端部35を近似テーパ形
状(角部に丸みを付けた形状)36に加工する。YAG
レーザ光源5から出射されるYAGレーザ光40の出力
や照射時間等を制御装置14によって制御することによ
って前記所望の近似テーパ形状を得ることができる。こ
の近似テーパ形状は、図8(c)(d)に示すように、
析出されたPd等の金属薄膜が破断(断切れ)若しくは
破断に近い状態をなくすためであり、上側の角部に丸み
が付いた形状に形成されても良いことは明らかである。
なお、レーザ光による近似テーパ形状の加工は、あくま
でも熱加工であるため、0.2μm〜0.3μmの膜厚
Ht を有する薄膜上部配線(Al配線)20の端部35
の上側の角部に丸みが付いた形状に加工することは可能
である。しかし、この近似テーパ形状36を厳密に加工
するには、例えば液体金属イオン源から発した高輝度イ
オンを静電光学系で集束させて必要に応じて偏向電極で
偏向走査してスパッタリング加工又はドライエッチング
加工若しくはアシストドライエッチング加工を用いれば
良い。集束イオンビームを一括投影して加工する場合に
は、可変マスキング技術が必要になる。即ち、断線30
又は半断線31の上部配線(Al配線)20の各端部3
5において近似テーパ形状36に加工するのは、YAG
レーザ光以外で、物理的手段や化学的手段等を用いても
良い。
【0040】しかる後、正確に位置決めされたTFT基
板2における上部配線20の断線30又は半断線31の
個所(近似テーパ形状36に加工された端部35を含め
て)(Al配線、配線幅:10μm、配線の厚み:0.
2〜0.3μm、断線部分の長さ:約10〜20μm)
に、例えばトリフルオロ酢酸パラジウム(Pd(CF3
COO)2)錯体をアセトニトリル溶液に溶かし込んだ
金属錯体溶液32を、先端径を1μm〜2μmに絞り込
んだマイクロシリンジまたはキャピラリを有する金属錯
体供給部4より図4(a)(b)に示すように所定量
(微量)だけ供給(塗布)する(図6に示すように、金
属錯体溶液32は、Pd膜と上部配線(Alパターン)
との間において接触長さtが2μmになるように供給す
ることが良い。)。この供給量(塗布量)は、金属錯体
溶液32の濃度、塗布条件、断線の大きさ等によって手
動または入力手段13からの入力情報若しくはTVカメ
ラ11からの画像情報に基づく制御装置14からの指令
で調整または制御するが、本実施例では、トリフルオロ
酢酸パラジウム錯体20〜30wt%を含むアセトニト
リル溶液(金属錯体溶液、有機溶媒溶液)32を約1×
10~12リットルだけ近似テーパ形状36の端部35を
含めて断線30の個所に供給(塗布)した。この時、金
属錯体溶液32の塗膜を自然乾燥または50℃程度の温
度で0.5〜1時間のプレアニール処理(ベーキング処
理)を行なって皮膜状態にした後、段差計を用いて測定
したところ、金属錯体溶液(有機溶媒溶液)32の塗膜
の厚さHlは約1.0〜1.5μmであった。この金属
錯体溶液(有機溶媒溶液)32の広がりRは、隣接した
画素電極24に対して余裕をもって接触しない大きさで
ある40μm以下にすることができる。なお、TFT基
板2における上部配線20の断線30又は半断線31の
個所の近傍には、図2に示すように画素電極24が存在
し、配線幅が10μm、断線部分の長さが約10〜20
μmであるため、金属錯体溶液32の塗布量および塗布
の位置決め量を含めて±5μm以下のバラツキにするこ
とが必要である。従って、制御装置14による金属錯体
供給部4から1回に供給される塗布量の制御および上部
配線20の断線30又は半断線31の個所に対する金属
錯体供給部4の先端の位置決めの制御が重要である。ま
た後で詳述するが、本発明においては、金属錯体供給部
4から供給(塗布)する金属錯体溶液(有機溶媒溶液)
32に含有するPd等の薄膜金属の含有率(供給された
金属錯体溶液(有機溶媒溶液)の厚さHl に対するレー
ザ光を照射して熱分解反応によって析出させたPdなど
の金属薄膜の膜厚Hm の比率k=Hm/Hlを決定す
る。)と金属錯体溶液32の粘性(供給された金属錯体
溶液(有機溶媒溶液)の広がりRに対する金属錯体溶液
の厚さHl を決定する。)とが重要である。
【0041】次に正確に位置決めされたTFT基板2に
おける上部配線20の断線30又は半断線31の個所
(金属錯体溶液(有機溶媒溶液)32の塗膜上)に、ア
ルゴンレーザ光源6より出射されたアルゴンレーザ光4
1を、集光アルゴンレーザ光37として集光レンズ9で
集光し、ガルバノミラー(図示せず)の回転またはテー
ブル1の移動によって走査して照射し、図4(c)
(d)に示すように、熱分解反応によって約0.08〜
0.15μmの膜厚Hm を有するPdなどの薄膜金属3
8を、断線30又は半断線31の個所において上部配線
20の端部35を覆ってこの端部35の間に連続して析
出させて上部配線20の間を電気的に接続する。この
時、投影される集光レーザ光束の調整制御は、可変絞り
開口10を手動又は制御装置14によって行う。アルゴ
ンレーザ光の出力は金属錯体溶液32の塗布量、照射面
積などを考慮して決めるが、本実施例では、アルゴンレ
ーザ光源6より照射したアルゴンレーザ光41を40倍
の集光レンズ(対物レンズ)9を用いて縮小投影し、断
線部分に塗布した金属錯体溶液または塗膜32に数〜数
10秒間連続照射した。アルゴンレーザ光の照射強度
は、基板表面上で約1×104w/cm2である。尚、ア
ルゴンレーザ光は、パルス照射であっても連続照射の場
合と同程度のレーザ光エネルギーを有すれば何ら問題な
い。なお、金属錯体溶液または塗膜32から容易に金属
の析出をもたらすのであれば、アルゴンレーザ光以外の
レーザ光源あるいは熱源であっても構わない。図4
(c)(d)に示すように、アルゴンレーザ光37を照
射した部分の金属錯体溶液または塗膜32は加熱され、
溶媒であるアセトニトリル溶液が蒸発すると共に、金属
錯体の熱分解反応によって、Pdなどの金属薄膜38が
析出する。この時析出した金属薄膜38の厚さHm はア
ルゴンレーザ光37を照射する前の金属錯体塗膜32の
厚さHl と比較して約1/k(k=約10〜5)に減少
し、上部配線(Al配線)20の厚さHt よりも薄くな
る(約0.1μm)場合が存在するが、金属薄膜38と
接する上部配線(Al配線)20の断線部分30の端部
35はテーパ形状36に加工されているため、図4
(c)に拡大図で示すように、析出した金属薄膜38
は、破断若しくは破断に近い状態が生じることなく上部
配線20の断線部30の端部35を十分に被覆している
ことは言うまでもない。このようにして上部配線(Al
配線)の断線部分30に金属薄膜38を形成したとき、
上部配線20の両端の電気抵抗は上部配線20と金属薄
膜38との接触抵抗を含めて約100Ω以下(20〜5
0Ω程度)であって、断線部分30が低抵抗のPdなど
の金属薄膜38で結線されていることを確認した。
【0042】即ち、図4(c)に拡大して示すように、
断線30又は半断線31の個所における上部配線20の
端部35は近似テーパ形状36に形成されているので、
Pdなどの金属薄膜38には、破断若しくは破断に近い
状態が生じることなく、接触抵抗を図6に示すように3
0〜20Ωのように非常に低抵抗で接続することができ
る。図6からわかるようにPd膜38と上部配線(Al
パターン)20の端部35との間に平面で接触長さtを
0.7μm以上にすれば接触抵抗を約100Ω以下にす
ることができる。いずれにしても、金属薄膜38の膜厚
Hm が約0.08〜0.15μmのように、上部配線
(Alパターン)20の厚さHt =約0.2〜0.3μ
mに対して1/2以下でも金属薄膜38に破断若しくは
破断に近い状態がなければ、接触抵抗を約100Ω以下
にして接続することができる。図5には、断線個所をは
さんでL=0.5mmの間の抵抗測定個所における抵抗
(Pd膜の抵抗)(Ω)と、上記アルゴンレーザ(波長
514nm)の照射エネルギ(kW/cm2)との関係
を示す。●印は接触抵抗を含まず、○印は接触抵抗を含
んだ抵抗を示す。この図5から明らかなように、照射エ
ネルギが約10kW/cm2以上になると抵抗値が約1
00Ω以下になる。なお、接触抵抗として約20Ωを有
する。このようにして、上部配線20の端から端までの
目標抵抗である概略0.1kΩ〜1kΩ(最大約1k
Ω)を十分満足させて断線30または半断線31を上部
配線(Alパターン)20の厚さHt よりも薄いPdな
どの金属薄膜38で、隣接した画素電極24と離間させ
て確実に高信頼度で接続することができる。
【0043】本実施例で述べたトリフルオロ酢酸パラジ
ウム錯体(Pd(CF3COO)2)は、フッ素原子を含
むカルボン酸を配位子としており、分子間力が小さいた
めにアモルファス状の均一な膜になり易く、また有機成
分が少ないので析出した膜は緻密で、低抵抗の膜になり
易く、断線又は半断線した上部配線を低抵抗で接続する
ことができる。また、トリフルオロ酢酸パラジウム錯体
は、アセトニトリル、トルエン、アルコールなどの有機
溶媒に溶かして微量をマイクロシリンジまたはキャピラ
リを有する金属錯体供給部4より供給(塗布)すること
ができる。
【0044】次に、比較のために断線30又は半断線3
1の個所において上部配線20の端部35に近似テーパ
形状の加工を施さない場合について説明する。即ち、有
機溶媒溶液32を、例えば先端径を1μm〜2μmに絞
り込んだマイクロシリンジまたはキャピラリを有する金
属錯体供給部4から微量(約1×10~12リットル)供
給しやすくするため、有機溶媒を70〜80wt%にし
て粘性を非常に低くし、且つ金属の含有量も低くして
(例えばトリフルオロ酢酸パラジウム錯体20〜30w
t%を含むアセトニトリル溶液)、上記マイクロシリン
ジまたはキャピラリにより断線30又は半断線31の個
所に供給した場合、図8(a)(b)に示すように、有
機溶媒溶液32の広がりRはその厚さHl の約10倍程
度以上となる。ところが、例えばTFT基板において
は、図2に示すように、幅が約10μmで、厚さが0.
2〜0.3μmの上部配線(Al配線)20に隣接して
画素電極24が約20μm離間して存在する。従って、
上記有機溶媒溶液32が広がっても画素電極24および
薄膜トランジスタ23から離すためには、有機溶媒溶液
32の広がりRを約40μm以下にする必要がある。こ
のように、有機溶媒溶液32の広がりRを約40μm以
下にすると厚さHl が約1μm程度になる。そして、こ
の有機溶媒溶液32に対して幅が40μm以下で長さが
約40μmの領域にアルゴンレーザ光を照射して熱分解
反応によって析出されたパラジウム等の金属薄膜33は
図8(c)(d)に示すように形成され、上層配線20
の0.2μm〜0.3μmの膜厚Ht に対して上記金属
薄膜33の膜厚Hm が0.1μm程度と非常に薄くな
り、図8(c)の断面拡大図に示すようにドレイン線2
0の断線したエッジ部分において金属薄膜33が破断若
しくは破断に近い状態になり、即ち、抵抗値が100k
Ω以上から数MΩとほぼ破断若しくは破断に近い状態に
なることが確認された。即ち、上部配線(Al配線)2
0とPdなどの金属薄膜33との境界部分を顕微鏡を用
いて詳細に観察すると、この部分においてはPdなどの
金属薄膜33の厚さが極めて薄いか若しくは金属薄膜の
析出が十分に行われておらず、破断若しくは破断に近い
状態であることが判明した。
【0045】しかし、前記実施例に示すように、断線3
0又は半断線31の個所において上部配線20の端部3
5に近似テーパ形状36を形成することによって、集束
されたアルゴンレーザ光37が塗膜された金属錯体溶液
(有機溶媒溶液)32に一様な強度で照射されて熱分解
反応により一様な厚さの金属薄膜38が析出され、図6
に示すように接触抵抗が約20Ω〜30Ωで上部配線の
間を接続することができる。即ち、図8(c)に示すよ
うな破断若しくは破断に近い状態をみることができなか
った。
【0046】次に、アルゴンレーザ光を照射しない部分
の金属錯体塗布膜32も、伝熱によって多少広がって加
熱されるが、金属錯体の熱分解反応までは進まず、その
部分の金属錯体塗布膜は非導通状態を保持する。しか
し、前記熱分解反応まで進まない部分はたとえ室温程度
の温度であっても、長期間の間に金属錯体の分解→金属
析出の反応が除々に進行して隣接する画素電極24に接
触することがありえるので、必要に応じてこの部分を除
去する。除去には、金属錯体の溶液である前述のアセト
ニトリル、トルエン、アルコールなどの溶媒で十分であ
る。
【0047】また、前記析出されたPdなどの金属薄膜
38は、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で観察した結
果、Pdなどの金属の連続膜であって、金属粒子の集合
体でなく、図5に示すように断線30又は半断線31の
個所を低抵抗で接続可能である。
【0048】次に断線30又は半断線31の個所をPd
などの金属薄膜38で接続して修正した後、図4(e)
に示すように、少なくとも上部配線20の部分も含めて
TFT部分について、CVDプロセスによって保護膜
(SiN)27を形成する。これによって、断線30又
は半断線31した上部配線20について、修正されたT
FT基板2を得ることができる。
【0049】本実施例では、金属錯体としてトリフルオ
ロ酢酸パラジウム(Pd(CF3COO)2)の錯体の場
合について述べたが、ペンタフルオロピオン酸パラジウ
ム(Pd(CF3CF2COO)2)の錯体など、フッ素
原子を含むカルボン酸のパラジウム錯体を用いても同様
の結果が得られた。また、本発明では配線材料としてア
ルミニウム配線の場合について述べたが、クロムやモリ
ブデンなどの他の金属配線の場合でも同様の効果が得ら
れることは言うまでもない。
【0050】次に断線30又は半断線31した個所にお
いて上部配線20の端部35に近似テーパ形状36を形
成しないで、図8に示すように金属薄膜33を破断若し
くは破断に近い状態を防ぎ、しかも近接して配置された
画素電極24に接触させない方法について説明する。即
ち、金属錯体供給部4から供給(塗布)される金属錯体
溶液(有機溶媒溶液)32の粘性を高めて、金属錯体溶
液32の広がりR(40μm以下)に対する金属錯体溶
液(有機溶媒溶液)32の厚さHl を大きくする(2μ
m〜3μm)ことによって、減少割合kが5〜10であ
っても、断線30又は半断線31した個所に析出される
Pdなどの金属薄膜38の厚さHm を上部配線20の厚
さHt =0.2〜0.3μmと同程度もしくはこの厚さ
以上に厚くすることができる。また金属錯体供給部4か
ら供給(塗布)される金属錯体溶液(有機溶媒溶液)3
2に含まれるPdなどの金属の含有量を高めることによ
り、減少割合kを2〜3に小さくすることができる。そ
の結果、金属錯体溶液(有機溶媒溶液)32の広がりR
(40μm以下)に対する金属錯体溶液(有機溶媒溶
液)32の厚さHl が約1μmのように小さくても、減
少割合kを2〜3にすることができたことにより、断線
30又は半断線31した個所に析出されるPdなどの金
属薄膜38の厚さHm を上部配線20の厚さHt =0.
2〜0.3μmと同程度もしくはこの厚さ以上に厚くす
ることができる。このように断線30又は半断線31し
た個所に析出されるPdなどの金属薄膜38の厚さHm
を上部配線20の厚さHt =0.2〜0.3μmと同程
度もしくはこの厚さ以上に厚くすることができれば、図
8(c)に示すように、金属薄膜が破断若しくは破断に
近い状態を防止して、図6に示すように接触抵抗を20
Ω〜30Ωと小さくして上部配線20の断線または半断
線した個所を接続することができる。
【0051】ただし、上記のように、マイクロシリンジ
またはキャピラリを有する金属錯体供給部4から粘性を
高めた金属錯体溶液(有機溶媒溶液)32、またはPd
などの金属の含有量を高めた金属錯体溶液(有機溶媒溶
液)32を微量(約1×10~12リットル)供給(塗
布)する必要がある。即ち、マイクロシリンジまたはキ
ャピラリを有する金属錯体供給部4から、トリフルオロ
酢酸パラジウム錯体などの金属錯体(50〜70wt
%)をアセトニトリル、トルエン、アルコールなどの有
機溶媒(30〜50wt%)に溶かし込んで微量(約1
×10~12リットル)供給(塗布)できればよい。その
ために、図1に示すように、例えば、キャピラリの周囲
に電源46に接続された電磁コイル42を備え、該電磁
コイル42に流す電流を供給部制御装置45で電源46
を介して制御することにより磁気力によって粘性または
金属の含有量を高めた金属錯体溶液(有機溶媒溶液)3
2を微量供給することができる。またキャピラリの内部
に接地された内部電極44を備え、先端近傍に電源46
に接続された引出し電極43を備え、前記内部電極44
と引出し電極43との間に電圧を引加してこの電圧を供
給部制御装置45で電源46を介して制御することによ
って、電荷力によって粘性または金属の含有量を高めた
金属錯体溶液(有機溶媒溶液)32を微量供給すること
ができる。なお、供給部制御装置45は制御装置14と
接続され、制御装置14からの指令に基づいて金属錯体
供給部4から供給される金属錯体溶液(有機溶媒溶液)
32の微量等を制御するものである。
【0052】この他、微量(約1×10~12リットル)
の金属錯体溶液(有機溶媒溶液)32を供給する方法と
しては、極細の針、あるいは棒状のスティック(先端径
φが約10μm)の先端に金属錯体溶液を付着させ、そ
れを修正したい配線の断線部に転写する方法がある。金
属錯体溶液の粘度や付着させる量を調整することで上記
マイクロリッジ若しくはキャピラリを用いた場合と同程
度の溶液を供給することが可能となる。(註:極細の針
として電子顕微鏡の中で使用するようなマイクロプロー
ブ(タングステン製 最小先端径φが約0.1μm)が
適用できる。文献:畑村洋太郎、立体視の出来る電子顕
微鏡下のマイクロマニュピレーション、日本ロボット学
会誌 8巻4号(1990)P.110〜P.113) 以上説明したように、図2に示すようにガラス基板28
上への下部配線(ゲート配線)21及び下部電極(ゲー
ト電極)21の形成、絶縁膜25、26及び半導体膜2
3からなる薄膜トランジスタ部(TFT部)の形成、画
素電極24の形成、上部配線(ドレイン配線:データ配
線)20及び上部電極(ソース電極22、ドレイン電極
20)の形成を行った後、配線の電気的な導通検査を、
例えば電気テスタやカーブトレーサなどを用いて行う。
この時、通常の配線抵抗に比較して異常に高い数値を示
したとき、顕微鏡若しくはパターン検査機等でその異常
部を確認し、その部分に前記した方法で金属薄膜38を
形成し、断線部30または半断線部31を接続する。し
かる後、再度配線の電気的な導通検査を行って、所望の
配線抵抗を示したTFT基板2を次の工程、即ちTFT
素子上への保護膜(例えばSiN膜)27を形成するC
VDプロセスに投入する。これによって断線または半断
線のないTFT基板2を得ることができる。
【0053】しかしながら、保護膜27を形成以前に、
配線の導通検査を行うことの不都合、例えばTFT素子
の表面での汚染による特性劣化などを避けるために、保
護膜27を形成後に配線の導通検査を行う場合もある。
このような場合、配線の修正は次のようにして行われ
る。即ち、TFT基板2においてTFT部及び上部配線
20の上に保護膜(SiN)27をCVDプロセスで被
覆した後、上部配線20に生じていた断線30または半
断線31を修正する方法について図7を参照して説明す
る。前記保護膜(SiN)27を被覆していない前に修
正する場合と同様に、図示していないが、上部配線(ド
レイン配線)20と下部配線(ゲート配線)21との間
または上部配線(ドレイン配線)20において導通試
験、導通検査、場合によっては目視検査によって上部配
線20の断線30又は半断線31の個所を検出し、その
概略座標(画素位置)データおよび断線の種類のデータ
をディスク等に記憶させる。このディスクを上記入力手
段13で入力することによって、制御装置14によって
制御されてステージ1が移動されて、上部配線20の断
線30又は半断線31の個所がほぼレーザ光照射光軸の
位置に位置決めされる。更に、TVカメラ11で撮像さ
れる画像信号に基づいて制御装置14は、ステージ1を
微動させて上部配線20の断線30又は半断線31の個
所を正確に位置決めする。また照射されるレーザ光束の
調整を可変開口絞り10で行う。これをTVカメラ11
で撮像される可変開口絞り10の画像及びTFT基板の
表面の画像とに基づいて制御装置14が自動的に可変開
口絞り10を制御してもよい。
【0054】次に図7(a)(b)に示すように、正確
に位置決めされたTFT基板2における上部配線20の
断線30又は半断線31の個所の近傍に、ミラー49を
切り替えて、エキシマレーザ光源48から出射されたエ
キシマレーザ光(波長248nmまたは193nm)5
0を集光レンズ9により集光エキシマレーザ光束51と
して例えば上部配線の幅より細く集光してガルバノミラ
ー(図示せず)の回転またはテーブル1の移動によって
走査して(開口を一括投影する場合には走査する必要は
ない。)照射し、約0.6μm程度の厚さを有するSi
N保護膜27を部分的に除去して凹部52を形成する。
除去する領域(凹部)52は、前記可変開口絞り10ま
たは走査量によって制限し、上部配線20の幅が約10
μmで、上部配線20のスペースが約20μmとすれ
ば、約20μm程度の幅で配線の断線端部35が十分に
露出する長さの領域を除去することが望ましい。このと
き、照射したエキシマレーザ光束51によって配線自身
にダメージが生じないように、エキシマレーザの照射条
件を調整する。発明者等の実験によれば、膜厚約1μm
のSiN膜除去に対して出力が0.1〜10J/c
2、パルス幅が数10〜数100nsのエキシマレー
ザ光を1〜数10回繰り返して照射することで上部配線
を残してその上のSiN保護膜だけを昇華させて除去す
ることができる。但し、実際のSiN保護膜の厚さは、
約0.6μm程度につき、エキシマレーザ光の照射条件
を下げることが必要である。(この後、上部配線の断線
30又は半断線31の端部に図4と同様に近似テーパ形
状に形成しても良い。) 次に、図4と同様に、金属錯体供給部4から供給(塗
布)される金属錯体溶液(有機溶媒溶液)53に含まれ
るPdなどの金属の含有量を高めて凹部52からはみ出
さない程度の微量(約0.6×10~12リットル=約6
00μm3)を、図7(c)(d)に示すように、凹部
52に供給する。このとき金属錯体溶液32の塗膜を自
然乾燥または50℃程度の温度で0.5〜1時間のプレ
アニール処理(ベーキング処理)を行って皮膜状にす
る。即ち、皮膜状の金属錯体溶液53が凹部52からは
み出さないため、Pdなどの金属薄膜54が析出されて
も隣接した画素電極24が保護膜(SiN)27で被覆
されていなくても、画素電極24に影響を及ぼすことは
ない。
【0055】次に正確に位置決めされたTFT基板2に
おける凹部52に埋め込まれた皮膜状の金属錯体溶液5
3に、アルゴンレーザ光源6より出射されたアルゴンレ
ーザ光41を、集光アルゴンレーザ光37として集光レ
ンズ9で集光し、ガルバノミラー(図示せず)の回転ま
たはテーブル1の移動によって走査して照射し、図7
(e)(f)に示すように、熱分解反応によって約0.
2〜0.3μmの膜厚Hm を有するPdなどの金属薄膜
54を、断線30又は半断線31の個所において上部配
線20の端部35を2μm以上の長さ覆ってこの端部3
5の間に連続して析出させて上部配線20の間を電気的
に接続する。このとき、投影される集光レーザ光束の調
整制御は、可変絞り開口10を手動又は制御装置14に
よって行う。アルゴンレーザ光の出力は、金属錯体溶液
53の塗布量、照射面積などを考慮して決めるが、本実
施例では、アルゴンレーザ光源6より照射したアルゴン
レーザ光41を40倍の集光レンズ9を用いて縮小投影
し、金属錯体溶液53に数〜数10秒間連続照射した。
アルゴンレーザ光の照射強度は、基板表面上で約1×1
4w/cm2である。なお、金属錯体溶液53から容易
に金属の析出をもたらすのであれば、アルゴンレーザ光
以外のレーザ光源あるいは熱源であっても構わない。特
に、本実施例の場合、析出される金属薄膜54の膜厚H
m を約0.2〜0.3μmのように、上部配線20の厚
さHt =0.2〜0.3μmと同程度以上にしたことに
より、この金属薄膜54が破断若しくは破断に近い状態
が生じることなく、接触抵抗を図6に示すように約20
Ω〜30Ωの低抵抗で接続することができる。
【0056】この後、修正部を含む配線の導通検査を行
い、所望の配線抵抗であることを確認した後、ポリイミ
ド等の有機材料をSiN膜を除去した部分に注入してべ
ーキングをして硬化させ、SiN膜27の表面を平坦化
を行ってから液晶封入プロセスに移す。なお、SiN膜
を除去するためのエキシマレーザは、YAGレーザ(波
長266nm)を用いても良い。またSiN膜を除去す
るために、液体金属イオン源等の高輝度イオン源から照
射された集束イオンビームを照射して行うこともでき
る。
【0057】また、前記実施例においては、金属錯体溶
液からレーザ光を照射してPdなどの金属薄膜を熱分解
反応によって析出させたが、断線30又は半断線31の
個所にCVD材料ガス(Cr(CO)6,W(CO)6
Ni(CO)4といった金属カルボニル、MoF6,WF
6といったハロゲン化合物、Al(CH33,Cd(C
32といったアルキル化合物)を、前記実施例におけ
る不活性ガスまたは還元性ガス供給部7と同様にノズル
から供給し、集束されたレーザ光を走査照射してAl等
の金属薄膜を析出させて断線又は半断線した上部配線を
接続することができる。所望の膜厚は、集束したレーザ
光の照射時間、即ち照射された集束レーザ光のエネルギ
若しくはドーズ量を制御することに得ることができる。
【0058】なお、上記実施例は、TFT基板2の上層
配線(上部配線)20における断線又は半断線個所の修
正について説明したが、プリント基板又は多層配線基板
における配線パターンにおいて、断線又は半断線した個
所の修正に適用することができる。しかし、プリント基
板又は多層配線基板においては、配線パターンの幅が約
10μm以下及び配線パターンの間のスペース(間隔)
も約20μm以下と高密度となり、しかも厚さが0.3
μm〜1.0μmと上部配線よりも厚くなるので、レー
ザ光を照射して金属錯体溶液32から熱分解反応によっ
て配線パターンから大幅に飛び出して析出された余分の
金属薄膜を除去することが必要となる場合が考えられ
る。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、液晶表示装置に用いら
れているTFT基板やプリント基板や多層薄膜基板等に
おいて、配線の断線又は半断線部分に供給された微量の
金属錯体溶液に対してレーザ光を照射して熱分解反応に
よって金属薄膜を析出させて、周囲に影響を及ぼすこと
無く、低抵抗で、かつ高信頼度で配線の断線又は半断線
部分を接続させることができる効果を奏する。
【0060】また本発明によれば、特に液晶表示装置に
用いられているTFT基板において、信号配線の断線ま
たは半断線を、隣接して存在する画素電極に影響を及ぼ
すことなく、しかも表示の明るさに変動が見受けられな
いように低抵抗で、しかも高信頼度で接続修正して、信
号配線の断線による線欠陥なる致命欠陥を無くしてTF
T基板として商品価値を生み出すことができる効果を奏
する。即ち、本発明によれば、TFT基板の歩留まりを
向上させて、省資源を図ると共に製品コストを低減する
ことができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配線の断線を修正する装置の一実
施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るTFT基板における一つのTFT
部を示す平面図とTFT部についての拡大断面を示す拡
大断面図である。
【図3】本発明に係るTFT基板における断線個所の配
線の端部に近似テーパ形状を形成するプロセスを示し、
(a)は配線の端部に近似テーパ形状を形成する前の断
線個所の断面図、(b)はその平面図、(c)は配線の
端部に近似テーパ形状を形成した後の断線個所の断面
図、(d)はその平面図である。
【図4】本発明に係るTFT基板において断線個所を金
属薄膜によって接続するプロセスを示し、(a)は断線
個所に金属錯体溶液を供給した状態における断面図、
(b)はその平面図、(c)は断線個所に金属薄膜を析
出させた状態を示す断面図、(d)はその平面図、
(e)はこの上に保護膜を被覆させた状態における断面
図である。
【図5】本発明に係るアルゴンレーザ光の照射エネルギ
(kw/cm2)と接続したPd膜の抵抗値(Ω)との
関係を示した図である。
【図6】本発明に係るPd膜とAlパターンとの接触長
さt(μm)と接触抵抗値(Ω)との関係を示した図で
ある。
【図7】本発明に係るTFT基板において保護膜を被覆
した後で断線個所を金属薄膜によって接続するプロセス
を示し、(a)は断線個所の保護膜に凹部を形成する状
態における断面図、(b)はその平面図、(c)は断線
個所の凹部に金属錯体溶液を供給した状態における断面
図、(d)はその平面図、(e)は断線個所の凹部に金
属薄膜を析出させた状態を示す断面図、(f)はその平
面図である。
【図8】本発明に係るTFT基板において断線個所を金
属薄膜によって接続する際、金属薄膜が破断若しくはこ
れに近い状態になることを説明するための図であり、
(a)は断線個所に金属錯体溶液を供給した状態におけ
る断面図、(b)はその平面図、(c)は断線個所に金
属薄膜を析出させた際、破断状態を示す断面図、(d)
はその平面図である。
【符号の説明】
1…ステージ、2…TFT基板、4…金属錯体供給部、
4a…微動ステージ 5…YAGレーザ光源、6…アルゴンレーザ光源 7…不活性ガスまたは還元性ガス供給部、8…光源、9
…集光レンズ 10…可変開口絞り、11…TVカメラ、12…TVモ
ニタ、13…入力手段 14…制御装置、20…上部配線(上部配線、データ配
線) 21…ゲート配線、22…ソース電極、23…半導体
膜、24…画素電極 27…保護膜、28…ガラス基板、30…断線、31…
半断線 35…配線の端部、36…近似テーパ形状 32、53…有機溶媒溶液(金属錯体溶液) 38、54…Pdなどの金属薄膜、52…保護膜が除去
された凹部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−53638(JP,A) 特開 平5−88191(JP,A) 特開 平2−101188(JP,A) 特開 平2−19838(JP,A) 特開 昭59−177358(JP,A) 特開 平1−247578(JP,A) 特開 昭60−81704(JP,A) 特開 平5−127191(JP,A) 特開 平5−66416(JP,A) 特開 平5−299020(JP,A) 特開 平6−29175(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1343 G02F 1/136

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保護膜が被覆されていない状態にある配線
    における断線又は半断線した個所に配線の端部も含めて
    フッ素原子を含むカルボン酸パラジウムである金属錯体
    を含む溶液または塗膜を微量供給し、この微量供給され
    た溶液または塗膜にレーザ光を照射して前記金属錯体の
    熱分解反応によりPdを主成分とする金属薄膜を前記断
    線又は半断線した個所に配線の端部を覆わせて析出させ
    て前記断線又は半断線した個所を接続する配線接続工程
    と、 該配線接続工程の後、前記金属薄膜を含む前記配線を保
    護膜で被覆する保護膜被覆工程とを有することを特徴と
    する配線の断線修正方法。
  2. 【請求項2】前記配線接続工程において、前記金属薄膜
    と前記端部との間の接触抵抗を300Ω以下にすること
    を特徴とする請求項1記載の配線の断線修正方法。
  3. 【請求項3】前記配線接続工程において、前記金属薄膜
    の膜厚を、前記配線の膜厚より薄くしたことを特徴とす
    る請求項1又は2記載の配線の断線修正方法。
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