JP3395169B2 - 防振機能を備えたズームレンズ - Google Patents

防振機能を備えたズームレンズ

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JP3395169B2
JP3395169B2 JP14972693A JP14972693A JP3395169B2 JP 3395169 B2 JP3395169 B2 JP 3395169B2 JP 14972693 A JP14972693 A JP 14972693A JP 14972693 A JP14972693 A JP 14972693A JP 3395169 B2 JP3395169 B2 JP 3395169B2
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zoom
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はズームレンズの防振方法
に関し、さらに詳細には写真用レンズ、特に望遠ズーム
レンズの防振方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、特開平第1−189621号公
報、特開平第1−191112号公報、および特開平第
1−191113号公報のように、2群以上のレンズ群
で構成されるズームレンズの任意のレンズ群で光軸を横
切って変位させて補正するズームレンズや、特開平第1
−284823号公報のように、ズーミング中固定され
た第1レンズ群中の一部のレンズ群で補正するズームレ
ンズが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の技術では、一眼レフ用に十分なバックフォ
ーカスを確保することができず、所望の大きなズーム比
を実現することができないため、35mm写真用の小型
で高性能な一眼レフ用レンズ、特に35mm写真用の望
遠レンズに対して不適当であるという不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、十
分なバックフォーカスおよび大きなズーム比を実現し
て、小型で高性能な防振機能を備えたズームレンズを提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、物体側より順に、正の屈折力を
有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レ
ンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3
と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折
力を有する第5レンズ群G5とを備え、広角端から望遠
端への変倍時には、前記第1レンズ群G1と前記第2レ
ンズ群G2との間隔は増大し、前記第2レンズ群G2と
前記第3レンズ群G3との間隔は線形または非線形に変
化し、前記第4レンズ群G4と前記第5レンズ群G5と
の間隔は減少するようにレンズ群が移動するズームレン
ズであって、前記第3レンズ群G3の焦点距離をf3とし、広角端に
おけるズームレンズ全系の焦点距離をfWとしたとき、 1<−f3/fW<2.5 の条件を満足し、 前記第2レンズ群G2を光軸とほぼ直
交する方向に移動させて防振するための変位手段1を備
えていることを特徴とする防振機能を備えたズームレン
ズを提供する。
【0005】本発明の好ましい態様によれば、前記第2
レンズ群G2はズーミング中固定であり、さらに好まし
くは、前記第1レンズ群G1の焦点距離をf1とし、前
記第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、広角端にお
けるズームレンズ全系の焦点距離をfWとし、望遠端に
おけるズームレンズ全系の焦点距離をfTとしたとき、 0.3<f1/(fW・fT)1/2 <1.5 0.3< |f2|/f1 <5 の条件を満足する。
【0006】また、本発明の別の局面によれば、物体側
より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負
の屈折力を有する第2レンズ群G2とを備え、広角端か
ら望遠端への変倍時には、前記第1レンズ群G1と前記
第2レンズ群G2との間隔は増大するようになったズー
ムレンズであって、前記第2レンズ群を光軸とほぼ直交
する方向に移動させて防振するための変位手段1を備え
ていることを特徴とする防振機能を備えたズームレンズ
が提供される。好ましくは、前記第2レンズ群G2は、
ズーミング中固定であり、さらに好ましくは、前記第1
レンズ群G1の焦点距離をf1とし、前記第2レンズ群
G2の焦点距離をf2とし、広角端におけるズームレン
ズ全系の焦点距離をfWとし、望遠端におけるズームレ
ンズ全系の焦点距離をfTとしたとき、 0.3<f1/(fW・fT)1/2 <1.5 0.3< |f2|/f1 <5 0.3< |f2|/fW <3 の条件を満足する。
【0007】
【作用】本発明は、特に35mm判写真用の望遠ズーム
レンズに適するように、物体側より順に、少なくとも正
の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有
する第2レンズ群G2とを備えたズームレンズを対象と
している。さらに特定すれば、基本的には、物体側より
順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈
折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する
第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群
G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備え
た5群構成からなるズームレンズを採用している。以下
に、このような5群構成タイプのズームレンズの特徴お
よび利点に着目し、その作用について説明する。
【0008】上述の5群構成という多群構成の特徴を充
分に生かすことにより、コンパクト(小型)で、結像性
能に優れ、且つ高倍率化にも適用することのできる望遠
ズームレンズを実現することができる。上述のような5
群構成を有するズームレンズには、全長を短縮すること
ができる利点があり、特に広角端において全長を短縮す
ることができる。また、多群構成であることから、レン
ズ群の動きかた(移動軌道)の自由度および収差補正の
自由度が多いため、ズーム比が大きくても優れた結像性
能を確保することができる。
【0009】特に本発明のズームレンズのように、広角
端において全長が短く、広角端から望遠端へのズーミン
グによる変倍時に全長が伸びるタイプのズームレンズで
は、4群アフォーカルタイプのような従来の望遠ズーム
レンズと比較して、広角端における全長およびズームレ
ンズ全体の重量を軽減することができる。また、広角端
において各レンズ群を通る光線の高さも小さくなるの
で、各レンズ群における収差の発生が小さくなり、特に
広角側の収差補正の際に有利となる。さらに、構成レン
ズ群数が多いため、屈折力配分の選択自由度が増し、一
眼レフ用に充分なバックフォーカスを容易に確保するこ
とができる。
【0010】一般的に、望遠ズームレンズでは、第1レ
ンズ群が最も大型のレンズ群で構成され、フォーカシン
グ時に物体側に繰り出されることが多い。このため、第
1レンズ群を光軸に直交する方向に変位させて防振のた
めの補正光学系にするのは、保持機構および駆動機構の
大型化を招くことになり好ましくない。同様の理由によ
り、本発明におけるズームレンズにおいても、第1レン
ズ群を防振補正光学系にするのは好ましくない。また、
第3レンズ群や第5レンズ群のように変倍時に光軸に沿
って大きく移動するレンズ群を防振補正光学系にする
と、レンズ群の機構が複雑になり易く好ましくない。そ
こで、本発明のズームレンズでは、レンズ系全体の機構
の簡素化のために、防振を行うための変位手段1を第2
レンズ群に設けた。第2レンズ群はズーミング中固定と
するのが好ましい。また、防振のために光軸を横切って
第2レンズ群が変位する際に入射する不用な光線を遮蔽
するために、開口絞りとは別に光軸上に固定のフレア絞
りを設けるのが好ましい。
【0011】さらに、本発明の上記構成において、以下
の条件式(1)乃至(3)を満足することが好ましい。 0.3<f1/(fW・fT)1/2 <1.5 (1) 0.3< |f2|/f1 <5 (2) 0.3< |f2|/fW <3 (3) ここで、 f1: 第1レンズ群G1の焦点距離 f2: 第2レンズ群G1の焦点距離 fW: 広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離 fT: 望遠端におけるズームレンズ全系の焦点距離
【0012】条件式(1)は、ズームレンズの広角端に
おける焦点距離fWと、ズームレンズの望遠端における
焦点距離fTと、第1レンズ群G1の焦点距離f1とに
関して、適切な範囲を定めたものである。条件式(1)
の上限値を上回ると、望遠端における全長が長くなりコ
ンパクトなズームレンズを実現することができなくなる
とともに、望遠端の周辺光量不足や特に第1レンズ群G
1のレンズ径の増大を招くので好ましくない。なお、よ
りコンパクトなズームレンズを実現するには、上限値を
1.3以下にするのが好ましい。
【0013】逆に、条件式(1)の下限値を下回ると、
第1レンズ群G1の焦点距離f1が小さくなり過ぎて望
遠端の球面収差が補正不足の傾向になり、ズーミングに
よる変倍時の像面湾曲の変動が著しく増大する。また、
第2レンズ群G2以降のレンズ系による望遠端での結像
倍率の大きさが過大となり、第1レンズ群G1で発生し
た軸上色収差が拡大されてしまい、良好な結像性能を確
保することができなくなってしまう。なお、さらに良好
な結像性能を確保するには、下限値を0.6以上にする
のが好ましい。
【0014】条件式(2)は第1レンズ群G1の焦点距
離f1と第2レンズ群G2の焦点距離f2とに基づき、
適切な屈折力の割合を定めた条件である。条件式(2)
の上限値を上回ると、望遠端での球面収差が正側に過大
となり易く、変倍時のコマ収差の変動が大きくなり、望
遠側の歪曲収差が負側に大きく移動する。また、広角端
で主光線より下側の光線に内向性のコマ収差が発生し、
良好な結像性能は得られない。なお、上限値を2以下に
すれば、さらに良好な結像性能を確保することができ
る。
【0015】逆に、条件式(2)の下限値を下回ると、
望遠端での球面収差が負側に過大となり易く、変倍時の
コマ収差の変動が大きくなり、望遠側の歪曲収差が正側
に大きく移動する。また、広角端で主光線より下側の光
線に外向性のコマ収差が発生し、良好な結像性能は得ら
れない。なお、下限値を0.5以上にすれば、さらに良
好な結像性能を確保することができる。
【0016】条件式(3)は、第2レンズ群G2の焦点
距離f2の大きさと、広角端でのズームレンズ全系の焦
点距離fWとの適切な割合を規定したものである。条件
式(3)の上限値を上回ると、第2レンズ群G2の焦点
距離f2が長くなり過ぎる。したがって、条件式の意味
を説明するために便宜的に第3レンズ群G3以降のレン
ズ群が一定の状態を維持するものと仮定して考えると、
広角端でのバックフォーカスの確保が困難になる。ま
た、ズーミングによる変倍時の像面湾曲の変動およびコ
マ収差の変動が大きくなり過ぎて不都合である。さらに
また、防振を行うための第2レンズ群G2の屈折力が小
さすぎる(焦点距離が長すぎる)と一定の防振性能を発
揮するための所望変位量(光軸と直交する)が大きくな
りすぎ、その結果機構の大型化や複雑化を招き易く不都
合である。
【0017】逆に、条件式(3)の下限値を下回ると、
第2レンズ群G2の焦点距離f2が短くなり過ぎる。し
たがって、条件式の意味を説明するために便宜的に第3
レンズ群G3以降のレンズ群が一定の状態を維持するも
のと仮定して考えると、広角端における全長が長くな
り、第5レンズ群G5のレンズ径が大きくなるため不都
合である。また、防振補正レンズ群である第2レンズ群
G2の屈折力が大きすぎる(焦点距離が短かすぎる)と
一定の防振性能を発揮するための所望変位量(光軸と直
交する)が小さくなりすぎ、その結果所望の変位量の制
御が困難になり不都合である。
【0018】さらに良好な性能を確保するためには、条
件式(1)乃至(3)に加えて、以下の条件式(4)お
よび(5)を満たすことが好ましい。 ΔS/|f2| <0.1 (4) 0.2< R21/f2 <20 (5) ここで、 f2 : 第2レンズ群G2の焦点距離 ΔS : 第2レンズ群G2の防振時における最大変位
量の大きさ R21: 第2レンズ群G2の最も物体側の面の曲率半
【0019】条件式(4)は、第2レンズ群G2の防振
時における最大変位量の大きさ(光軸と直交する)ΔS
と第2レンズ群G2の焦点距離f2の大きさとの比の適
切な範囲を規定するものである。条件式(4)の上限値
を上回ると、第2レンズ群G2の最大変位量が大きくな
りすぎ、その結果防振時の収差変動も大きくなり不都合
である。特に、像面上の周辺位置におけるメリディオナ
ル方向の最良像面とサジタル方向の最良像面との光軸方
向の差が広がり不都合である。
【0020】条件式(5)の上限値を上回ると、望遠端
での球面収差が正側に過大となり易く、広角端において
主光線より下側の光線に内向性のコマ収差が発生し不都
合である。また、防振時に良好な結像性能を得ることも
できない。逆に、条件式(5)の下限値を下回ると、望
遠端での歪曲収差が正側に過大となり易く、広角端にお
いて主光線より下側の光線に外向性のコマ収差が発生し
不都合である。また、防振時に良好な結像性能を得るこ
ともできない。
【0021】実際に第2レンズ群G2を構成する際に
は、前述の諸条件に加え、以下の条件式(6)および
(7)を満たすのが好ましい。 1.52 < N- (6) 0.1< f2- /f2 <0.7 (7) ここで、 N- : 第2レンズ群G2の最も物体側の凹レンズの
屈折率 f2- : 第2レンズ群G2の最も物体側の凹レンズの
焦点距離
【0022】条件式(6)の下限値を下回ると、望遠端
での歪曲収差が正側に過大となり易く、変倍時の諸収差
の変動、特に歪曲収差の変動が大きくなり不都合であ
り。また、ペッツバール和も正側に変移し易くなり不都
合である。一方、条件式(7)の上限値を上回ると、望
遠端での球面収差が負側に過大となり易く、広角端にお
いて主光線より下側の光線に外向性のコマ収差が発生し
不都合である。また、防振時に良好な結像性能も得られ
ない。逆に、条件式(7)の下限値を下回ると、望遠端
での歪曲収差が負側に過大となり易く、広角端において
主光線より下側の光線に内向性のコマ収差が発生し不都
合である。さらに、変倍時の像面湾曲の変動が大きくな
り不都合である。また、防振時に良好な結像性能も得ら
れない。
【0023】さらに具体的には、第2レンズ群G2は、
物体側から順に、凹レンズと凸レンズとの貼合わせレン
ズからなるのが好ましく、前述の諸条件に加えて、以下
の条件式(8)乃至(10)を満たすのが好ましい。 N+<1.55 (8) −2<q<0 (9) Z/T<4 (10) ここで、 N+:凸レンズの屈折率 q:貼合わせレンズのシェイプファクタシェイプファクタqは、以下のように定義される。貼合
わせレンズの物体側の面の曲率半径をr1とし、貼合わ
せレンズの像側の面の曲率半径をr2としたとき、q=
(r2+r1)/(r2−r1) T:防振時における第2レンズ群G2の移動量の大きさ Z:第2レンズ群G2の移動量に対応する像の移動量の
大きさ なお、条件式(10)は微小な像変位量の制御が可能に
なるように、第2レンズ群G2の移動量の大きさと対応
する像の移動量の大きさとの適切な割合を規定するもの
である。さらに良好な結像性能のために、条件式(1
0)の上限値は2であるのが好ましい。
【0024】さらに、前述の諸条件に加えて、以下の条
件式(11)を満たすのが好ましい。 0.5 < f4/|f5| < 2 (11) ここで、 f4: 第4レンズ群G4の焦点距離 f5: 第5レンズ群G5の焦点距離 条件式(11)の上限値を上回ると、広角端における非
点隔差が大きくなり、広角端および望遠端において歪曲
収差が正側に大きく移動し、ペッツバール和が負側に変
移し易くなり不都合である。条件式(11)の下限値を
下回ると、広角端および望遠端において歪曲収差が負側
に甚大となって、コマ収差も大きく発生し不都合であ
る。
【0025】第3レンズ群G3は、正の屈折力を有する
レンズ群であっても負の屈折力を有するレンズ群であっ
ても良好な性能を得ることができる。しかしながら、よ
り良好な結像性能を確保するためには、第3レンズ群G
3が正の屈折力を有する場合、以下の条件式(12)を
満たすのが好ましい。 0.6 < f3/fW < 2 (12) ここで、 f3: 第3レンズ群G3の焦点距離 fW: 広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離
【0026】条件式(12)の上限値を上回ると、望遠
端で球面収差が正側に甚大となり、第4レンズ群G4以
降のレンズ群のレンズ径も大きくなって不都合である。
また、ペッツバール和も負側に変移し易くなり不都合で
ある。逆に、条件式(12)の下限値を下回ると、望遠
端で球面収差が負側に甚大となり、コマ収差も発生し不
都合である。また、広角端のバックフォーカスが短くな
りがちとなり不都合である。
【0027】一方、第3レンズ群G3が負の屈折力を有
する場合、より良好な結像性能を確保するためには、以
下の条件式(13)を満たすのが好ましい。 1 < |f3|/fW < 2.5 (13) 条件式(13)の上限値を上回ると、広角端のバックフ
ォーカスが短くなりがちとなり、変倍時に像面湾曲の変
動およびコマ収差の変動が大きくなり不都合である。逆
に、条件式(13)の下限値を下回ると、望遠端で球面
収差が正側に甚大となって、第4レンズ群G4以降のレ
ンズ群のレンズ径が大きくなって不都合である。
【0028】
【実施例】本発明による防振機能を備えたズームレンズ
は各実施例において、物体側より順に、正の屈折力を有
する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レン
ズ群G2と、正または負の屈折力を有する第3レンズ群
G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の
屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えている。本発
明によるズームレンズではさらに、広角端から望遠端へ
の変倍時には、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2と
の間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3
との間隔は線形または非線形に変化し、第4レンズ群G
4と第5レンズ群G5との間隔は減少するようになって
おり、第2レンズ群G2を光軸とほぼ直交する方向に移
動させて防振するための変位手段1を備えている。
【0029】以下、本発明の各実施例を、添付図面に基
づいて説明する。 〔実施例1〕図1は、本発明の第1実施例にかかるズー
ムレンズの構成を示す図である。図示のズームレンズ
は、物体側より順に、物体側に凸面を向けた負メニスカ
スレンズと両凸レンズとの貼合わせレンズおよび両凸レ
ンズからなる第1レンズ群G1と、両凹レンズと物体側
に凸面を向けた正メニスカスレンズとの貼合わせレンズ
からなる第2レンズ群G2と、両凹レンズと両凸レンズ
との貼合わせレンズからなる第3レンズ群G3と、両凸
レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズとの
貼合わせレンズおよび両凸レンズと物体側に凹面を向け
た負メニスカスレンズとの貼合わせレンズからなる第4
レンズ群G4と、両凸レンズと両凹レンズとの貼合わせ
レンズからなる第5レンズ群G5とから構成されてい
る。なお、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間
には、開口絞りSが設けられている。
【0030】図1は、広角端における各レンズ群の位置
関係を示しており、望遠端への変倍時には図中矢印で示
すズーム軌道に沿って光軸上を移動する。ただし、第2
レンズ群G2はズーミング中固定であり、変位手段であ
る防振機構1によって光軸とほぼ直交する方向に適宜移
動され、ズームレンズの振動に起因する像の揺れが補正
されるようになっている。次の表(1)に、本発明の実
施例1の諸元の値を掲げる。表(1)において、fは焦
点距離を、FNOはFナンバーを、2ωは画角を、Bfは
バックフォーカスを表す。さらに、左端の数字は物体側
からの各レンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率半径
を、dは各レンズ面間隔を、nは屈折率を示している。
【0031】
【表1】 f=76.5〜150 FNO=4.62〜5.63 2ω=32.56°〜15.96° (変倍における可変間隔) f 76.500 150.000 D0 ∞ ∞ d5 2.053 25.928 d8 4.134 20.131 d11 55.356 23.734 d17 30.166 21.916 Bf 41.518 65.393 (条件対応値) f1=137.3 f2=−151 fW=76.5 fT=150 R21=−142.978 f2- =−35.671 (1) f1/(fW・fT)1/2 =1.282 (2) |f2|/f1 =1.0998 (3) |f2|/fW =1.974 (4) ΔS/|f2| =0.003565 (5) R21/f2 =0.94687 (6) N- =1.54814 (7) f2- /f2 =0.2362 (8) N+ =1.62004 (9) q =−0.7255 (11)f4/|f5| =0.807 (13)|f3|/fW =1.536 (防振データ) 広角端 望遠端 第2レンズ群の光軸 直交方向の移動量(mm) 0.5383 0.4748 像の移動量(mm) −0.255 −0.35
【0032】図2および図3は、それぞれ広角端におけ
る諸収差図および望遠端における諸収差図である。各収
差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、Dは
d線(λ=587.6nm)をそれぞれ示している。ま
た、非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面
を示し、破線はメリディオナル像面を示している。各収
差図から明らかなように、本実施例では、諸収差が良好
に補正されていることがわかる。
【0033】〔実施例2〕図4は、本発明の第2実施例
にかかるズームレンズの構成を示す図である。図示のズ
ームレンズは、物体側より順に、物体側に凸面を向けた
負メニスカスレンズと両凸レンズとの貼合わせレンズお
よび両凸レンズからなる第1レンズ群G1と、両凹レン
ズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの貼合
わせレンズからなる第2レンズ群G2と、物体側に凸面
を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた負
メニスカスレンズとの貼合わせレンズからなる第3レン
ズ群G3と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレン
ズ、両凸レンズおよび両凸レンズと物体側に凹面を向け
た負メニスカスレンズとの貼合わせレンズからなる第4
レンズ群G4と、両凸レンズと両凹レンズとの貼合わせ
レンズからなる第5レンズ群G5とから構成されてい
る。なお、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間
には、開口絞りSが設けられている。
【0034】図4は、広角端における各レンズ群の位置
関係を示しており、望遠端への変倍時にはズーム軌道に
沿って光軸上を適宜移動する。ただし、第2レンズ群G
2はズーミング中固定であり、防振機構1によって光軸
とほぼ直交する方向に適宜移動され、ズームレンズの振
動に起因する像の揺れが補正されるようになっている。
実施例2のズームレンズは、上述した実施例1のズーム
レンズと同様な基本的構成を有するが、各レンズ群の屈
折力および形状等が異なっている。次の表(2)に、本
発明の実施例2の諸元の値を掲げる。表(2)におい
て、fは焦点距離を、FNOはFナンバーを、2ωは画角
を、Bfはバックフォーカスを表す。さらに、左端の数
字は物体側からの各レンズ面の順序を、rは各レンズ面
の曲率半径を、dは各レンズ面間隔を、nは屈折率を示
している。
【0035】
【表2】 f=100〜292 FNO=4.62〜5.69 2ω=23.32°〜8.18° (変倍における可変間隔) f 100.000 292.000 D0 ∞ ∞ d5 7.866 58.597 d8 9.124 12.282 d11 30.506 5.712 d18 29.499 0.406 Bf 38.720 89.452 (条件対応値) f1=120 f2=−167 fW=100 fT=292 R21=−1586.105 f2- =−29.979 (1) f1/(fW・fT)1/2 =0.69363 (2) |f2|/f1 =1.3917 (3) |f2|/fW =1.629293 (4) ΔS/|f2| =0.005161 (5) R21/f2 =9.498 (6) N- =1.75692 (7) f2- /f2 =0.17952 (8) N+ =1.80458 (9) q =−0.97137 (11)f4/|f5| =1.06834 (13)|f3|/fW =1.716 (防振データ) 広角端 望遠端 第2レンズ群の光軸 直交方向の移動量(mm) 0.47482 0.86183 像の移動量(mm) −0.255 −0.68136
【0036】図5および図6は、それぞれ広角端におけ
る諸収差図および望遠端における諸収差図である。各収
差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、Dは
d線(λ=587.6nm)をそれぞれ示している。ま
た、非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面
を示し、破線はメリディオナル像面を示している。各収
差図から明らかなように、本実施例では、諸収差が良好
に補正されていることがわかる。
【0037】〔実施例3〕図7は、本発明の第3実施例
にかかるズームレンズの構成を示す図である。図示のズ
ームレンズは、物体側より順に、物体側に凸面を向けた
負メニスカスレンズおよび両凸レンズからなる第1レン
ズ群G1と、両凹レンズと両凸レンズとの貼合わせレン
ズからなる第2レンズ群G2と、両凹レンズと両凸レン
ズとの貼合わせレンズからなる第3レンズ群G3と、両
凸レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと
の貼合わせレンズからなる第4レンズ群G4と、物体側
に凹面を向けた正メニスカスレンズおよび両凹レンズか
らなる第5レンズ群G5とから構成されている。第2レ
ンズ群G2と第3レンズ群G3との間には、開口絞りS
が設けられている。
【0038】図7は、広角端における各レンズ群の位置
関係を示しており、望遠端への変倍時には図中矢印で示
すズーム軌道に沿って光軸上を移動する。ただし、第2
レンズ群G2および第4レンズ群G4はズーミング中固
定であり、第2レンズ群G2は防振機構1によって光軸
とほぼ直交する方向に適宜移動され、ズームレンズの振
動に起因する像の揺れが補正されるようになっている。
実施例3のズームレンズは、上述した実施例1のズーム
レンズと同様な基本的構成を有するが、各レンズ群の屈
折力および形状等が異なっている。次の表(3)に、本
発明の実施例3の諸元の値を掲げる。表(3)におい
て、fは焦点距離を、FNOはFナンバーを、2ωは画角
を、Bfはバックフォーカスを表す。さらに、左端の数
字は物体側からの各レンズ面の順序を、rは各レンズ面
の曲率半径を、dは各レンズ面間隔を、nは屈折率を示
している。
【0039】
【表3】 f=83.2〜166 FNO=4.62〜5.84 2ω=28.92°〜14.28° (変倍における可変間隔) f 83.196 166.000 D0 ∞ ∞ d4 1.960 35.092 d7 25.240 10.840 d10 0.336 14.727 d13 20.313 5.922 Bf 40.139 54.530 (条件対応値) f1=97.233 f2=−56.696 fW=83.196 fT=166 R21=−48.680f2- =−24.3812 (1) f1/(fW・fT)1/2 =1.209 (2) |f2|/f1 =0.583 (3) |f2|/fW =0.6815 (4) ΔS/|f2| =0.002998 (5) R21/f2 =0.859 (6) N- =1.84042 (7) f2- /f2 =0.43003 (8) N+ =1.80518 (9) q =−0.1531 (11)f4/|f5| =1.6643 (12)f3/fW =1.108 (防振データ) 広角端 望遠端 第2レンズ群の光軸 直交方向の移動量(mm) 0.15 0.17 像の移動量(mm) −0.206 −0.297
【0040】図8および図9は、それぞれ広角端におけ
る諸収差図および望遠端における諸収差図である。各収
差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、Dは
d線(λ=587.6nm)をそれぞれ示している。ま
た、非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面
を示し、破線はメリディオナル像面を示している。各収
差図から明らかなように、本実施例では、諸収差が良好
に補正されていることがわかる。
【0041】なお、本実施例では、物体側より順に、正
の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する
第2レンズ群と、正または負の屈折力を有する第3レン
ズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、負の屈折
力を有する第5レンズ群とを備えた5群構成のズームレ
ンズを例にとって本発明を説明したが、物体側より順
に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を
有する第2レンズ群とを備えた一般の複数レンズ群より
なるズームレンズについても本発明を適用することがで
きることは明らかである。また、本実施例では、第2レ
ンズ群全体を変位手段である防振機構によって光軸と直
交する方向に移動させたが、第2レンズ群中の一部のレ
ンズ群またはレンズだけを移動させても本発明の作用効
果を奏することは明らかである。
【0042】
【効果】以上説明したように、本発明の防振機能を備え
たズームレンズでは、物体側より順に、正の屈折力を有
する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群
とを備えた5群構成ズームレンズにおいて、ズーミング
中固定の第2レンズ群を光軸とほぼ直交する方向に移動
させて防振するため、十分なバックフォーカスおよび大
きなズーム比を実現することができ、小型で高性能な防
振機能を備えたズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかるズームレンズの構
成を示す図である。
【図2】図1の第1実施例の広角端における諸収差図で
ある。
【図3】図1の第1実施例の望遠端における諸収差図で
ある。
【図4】本発明の第2実施例にかかるズームレンズの構
成を示す図である。
【図5】図4の第2実施例の広角端における諸収差図で
ある。
【図6】図4の第2実施例の望遠端における諸収差図で
ある。
【図7】本発明の第3実施例にかかるズームレンズの構
成を示す図である。
【図8】図7の第3実施例の広角端における諸収差図で
ある。
【図9】図7の第3実施例の望遠端における諸収差図で
ある。
【符号の説明】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 G3 第3レンズ群 G4 第4レンズ群 G5 第5レンズ群 1 変位手段(防振機構) S 開口絞り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 9/00 - 17/08 G02B 21/02 - 21/04 G02B 25/00 - 25/04

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側より順に、正の屈折力を有する第
    1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、
    屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する
    第4レンズ群と、負の屈折力を有する第5レンズ群とを
    備え、広角端から望遠端への変倍時には、前記第1レン
    ズ群と前記第2レンズ群との間隔は増大し、前記第2レ
    ンズ群と前記第3レンズ群との間隔は線形または非線形
    に変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間
    隔は減少するようにレンズ群が移動するズームレンズで
    あって、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、広角端におけ
    るズームレンズ全系の焦点距離をfWとしたとき、 1<−f3/fW<2.5 の条件を満足し、 前記第2レンズ群を光軸とほぼ直交する方向に移動させ
    て防振するための変位手段を備えていることを特徴とす
    る防振機能を備えたズームレンズ。
  2. 【請求項2】 前記第2レンズ群は、ズーミング中固定
    であることを特徴とする請求項1に記載のズームレン
    ズ。
  3. 【請求項3】 前記第1レンズ群の焦点距離をf1と
    し、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、広角端に
    おけるズームレンズ全系の焦点距離をfWとし、望遠端
    におけるズームレンズ全系の焦点距離をfTとしたと
    き、 0.3<f1/(fW・fT)1/2<1.5 0.3<|f2|/f1<5 の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に
    記載のズームレンズ。
  4. 【請求項4】 前記第2レンズ群の焦点距離をf2と
    し、広角端におけるズームレンズ全系の焦点距離をfW
    としたとき、 0.3<|f2|/fW<3 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載のズームレンズ。
  5. 【請求項5】 前記第2レンズ群の焦点距離をf2と
    し、前記第2レンズ群の防振時における最大変位量の大
    きさをΔSとしたとき、 ΔS/|f2|<0.1 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれか1項に記載のズームレンズ。
  6. 【請求項6】 前記第2レンズ群の焦点距離をf2と
    し、前記第2レンズ群の最も物体側の面の曲率半径をR
    21としたとき、 0.2<R21/f2<20 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれか1項に記載のズームレンズ。
  7. 【請求項7】 前記第2レンズ群の防振時における移動
    量の大きさをTとし、該第2レンズ群の移動量に対応す
    る像の移動量の大きさをZとしたとき、 Z/T<4 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至6のい
    ずれか1項に記載のズームレンズ。
  8. 【請求項8】 前記第2レンズ群の焦点距離をf2と
    し、前記第2レンズ群の最も物体側の凹レンズの屈折率
    をN-とし、該凹レンズの焦点距離をf2-としたとき、 1.52<N- 0.1<f2-/f2<0.7 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至7のい
    ずれか1項に記載のズームレンズ。
  9. 【請求項9】 前記第2レンズ群は、物体側から順に、
    凹レンズと凸レンズとの貼合わせレンズからなり、該凸
    レンズの屈折率をN+ し、前記貼合わせレンズのシェ
    イプファクタをqとしたとき、 N+<1.55 −2<q<0 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至8のい
    ずれか1項に記載のズームレンズ。
  10. 【請求項10】 前記第2レンズ群が防振のために光軸
    とほぼ直交する方向に移動する際に不用な光線を遮蔽す
    るための固定のフレア絞りを光軸上に備えていることを
    特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のズー
    ムレンズ。
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