JP3391155B2 - 多孔体の製造方法 - Google Patents

多孔体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,触媒等の担体,炭化水
素等の吸着材,酵素等の固定担体,機能物質等の合成場
として使用可能なメソ孔を有する多孔体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来技術】従来,触媒等の担体,炭化水素等の吸着
材,酵素等の固定担体,機能物質等の合成場として,シ
リカゲル,活性炭及びゼオライト等の無定型あるいは結
晶性の多孔体が広く用いられてきた。そして,特にゼオ
ライト等の結晶性多孔体は,均一な大きさの細孔が多数
存在するために,以下に説明する『選択的触媒反応』
や,『選択的吸着分離機能』等の『形状選択性』という
優れた性質を有する。
【0003】まず上記『選択的触媒反応』を説明する。
即ち,上記結晶性多孔体を担体,合成場として用いた場
合,上記細孔の径より小さいサイズの反応分子のみを選
択的に反応させることができる。あるいは細孔の径より
小さいサイズの反応生成物のみを生成させることができ
る。これにより,目的とする反応分子だけを反応させた
り,反応生成物だけを生成させたりすることができる。
【0004】次に上記『選択的吸着分離機能』を説明す
る。即ち,上記結晶性多孔体にガスを吸着,脱離する,
もしくはガスの固定を行う場合,上記細孔の径に対する
ガス分子の大小に応じて,混合気体中の特定のガスのみ
を吸着,脱離あるいは固定することができる。なお,こ
れらの選択的吸着分離機能は,細孔の径の大きさが均一
であり,結晶性が優れており,かつ不純物が少ない結晶
性多孔体ほど性能が向上する。
【0005】しかし,上記従来の結晶性多孔体には以下
のような問題点がある。例えば,トリメチルベンゼン,
ナフタレン等の比較的大きな分子が関与する,触媒反応
の担体,上述の分子を吸着,分離するための吸着材とし
て上記結晶性多孔体を用いることは難しい。これは,上
記ゼオライト等の結晶性多孔体の細孔の径が最も大きい
もので1.3nmと小さすぎるためである。
【0006】また,比較的小さい分子の関与する反応で
あっても,場合によっては,上記同様,触媒反応等の担
体として使用することが難しい。上記の例としては,反
応ガスが高速で多孔体を通過する,排気ガス浄化触媒反
応が挙げられる。即ち,従来の結晶性多孔体は細孔径が
小さいため,反応分子が細孔内部の活性点まで到達する
のに時間がかかり,触媒の活性が充分発揮されないうち
に,多孔体の外を通過してしまう。
【0007】そこで近年,上記問題点を解決するため
に,大きな細孔径をもったメソ多孔体が提案された。こ
のメソ多孔体は,ケイ酸塩よりなる三次元構造体によっ
て構成され,直径1.5〜10nmの均一な細孔を有し
ている。上記メソ多孔体を製造する方法としては,層状
のケイ酸塩,あるいは水ガラス,テトラエチルオルトシ
リケート,シリカ等の非層状のケイ酸塩を出発原料と
し,このケイ酸塩に界面活性剤を接触させる方法があ
る。
【0008】以下に上記出発原料として,層状ケイ酸塩
を用いた場合の,メソ多孔体の製造方法について示す。
まず,カネマイト等の層状ケイ酸塩を界面活性剤の溶解
した水溶液中で加熱する。この工程により,界面活性剤
が層状ケイ酸塩内に導入され,層間で界面活性剤はミセ
ルを形成する。更に,層状ケイ酸塩を構成するケイ酸塩
シートが界面活性剤の周囲で折れ曲がり,部分的に結合
する。このため,上記ケイ酸塩は三次元構造を形成す
る。よって,三次元構造のケイ酸塩と界面活性剤との複
合体を得ることができる。
【0009】次に,上記複合体を,上記水溶液から分離
し,洗浄及び乾燥する。最後に,上記複合体を焼成する
焼成工程を行う。これにより,上記複合体内部の界面活
性剤が除去され,細孔を形成することができ,メソ多孔
体を得ることができる。以上により得られたメソ多孔体
は,出発原料である層状ケイ酸塩を構成する各ケイ酸塩
シートが折れ曲がり,互いに部分的に結合することによ
り形成された三次元構造によって構成され,直径1.5
〜10nmの均一な細孔を有している。
【0010】次に,出発原料として,非層状のケイ酸塩
を用いた場合の,メソ多孔体の製造方法について説明す
る。まず,水ガラスあるいはテトラエチルオルトシリケ
ート等の非層状のケイ酸塩を,あるいは無定型のシリカ
等を,界面活性剤が溶解している水溶液中で加熱する。
これにより,棒状(ミセル状)の界面活性剤の周囲にケ
イ酸塩が集合すると共に,該ケイ酸塩が重合して三次元
構造を形成する。これにより,上述の方法と同様,三次
元構造体であるケイ酸塩と界面活性剤との複合体を得る
ことができる。
【0011】次に,上記複合体を,上記水溶液から分離
し,洗浄及び乾燥する。最後に,上記複合体中の界面活
性剤を除去し,細孔を形成する工程を行う。以上によ
り,メソ多孔体を得ることができる。以上により得られ
たメソ多孔体は,ケイ酸塩よりなる三次元構造体によっ
て構成され,直径1.5〜10nmの均一な細孔を有し
ている。
【0012】上記いずれの方法においても,ケイ酸塩等
よりなる出発原料を,界面活性剤の溶解している水溶液
中で加熱することにより複合体を形成させる工程を有し
ている。また,これらの方法において,上記水溶液のp
Hを変化させる操作は行なわれていない。
【0013】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来方法
で製造したメソ多孔体は,以下に説明する問題点を有す
る。即ち,上記メソ多孔体は結晶性が低く,細孔の径の
大きさにばらつきがある。このため,上述した『形状選
択性』が不良である。
【0014】また,上記メソ多孔体は耐熱性が十分でな
い。このため,例えば,石油のクラッキング触媒や,自
動車の排気ガス浄化触媒の担体として使用することがで
きない。また,上述した焼成工程の際に,結晶構造や細
孔が壊れてしまうおそれがある。また,上記メソ多孔体
は不純物を多く含んでいる。このため,相対的にメソ多
孔体の比率が減少し機能が低下する。また,上記不純物
の多くは不定型のシリカゲルよりなるため,メソ多孔体
の結晶性がますます低下する。
【0015】本発明は,かかる問題点に鑑み,結晶性と
耐熱性に優れ,かつ不純物を含有していない多孔体の製
造方法を提供しようとするものである。
【0016】
【課題の解決手段】本発明は,ケイ素を含有する物質を
界面活性剤が溶解した水溶液中に分散させ,該分散液の
pHを10以上とする第一工程と,上記分散液のpHを
10未満かつ温度を50℃以上とすることにより,ケイ
素の酸化物と界面活性剤との複合体を形成する第二工程
と,上記複合体より界面活性剤を除去する第三工程とよ
りなり, 上記ケイ素を含有する物質は,層状ケイ酸塩,
水ガラス,又は無定型ケイ酸ナトリウムであることを特
徴とする多孔体の製造方法にある。
【0017】本発明において最も注目すべきことは,第
一工程において,上記分散液のpHを10以上に保持
し,第二工程においては,上記分散液のpHを10未満
に保持することにある。なお,上記第一工程とは,界面
活性剤が溶解した水溶液中にケイ素を含有する物質を分
散させることである。上記分散液が平衡状態となり,分
散液中の界面活性剤の濃度が一定となるまで分散液を熟
成することが好ましい。従って,上記第二工程は第一工
程において分散液中の界面活性剤の濃度が一定となった
後に行うことが好ましい。
【0018】上記界面活性剤は,第一工程及び第二工程
において,後述するごとく,ケイ素の酸化物よりなる三
次元構造体を形成する作用を有する。上記第一工程にお
けるケイ素を含有する物質とは,多孔体の構成物である
ケイ素の酸化物に対し,ケイ素を供給するための出発原
料である。
【0019】上記ケイ素を含む物質としてはケイ酸塩
等のケイ素の化合物等が挙げられる。また,上記ケイ素
を含有する物質と共に,ケイ素及び酸素以外の元素を含
む物質を上記水溶液中に分散させることもできる。ある
いは,上記ケイ素を含む物質として,ケイ素と,ケイ素
及び酸素以外の元素との複合物質を用いることもでき
る。これらの物質を用いた場合,得られる多孔体は,ケ
イ素と,上記ケイ素と酸素以外の元素との複合酸化物に
より,構成されることとなる。なお,上記ケイ素及び酸
素以外の元素としては,アルミニウム,マグネシウム等
の金属が挙げられる。
【0020】更に,上記ケイ素を含有する物質として,
ケイ酸塩を用いることができる。これらケイ酸塩を用い
る場合には,低い温度で反応できるため第一工程及び第
二工程での分散液の温度をより低くすることができる。
上記ケイ酸塩としては,層状ケイ酸塩を使用することが
できる。又は,粉末ケイ酸ソーダ水ガラス使用する
ことができる。
【0021】更に,上記層状ケイ酸塩としては,例えば
カネマイト(NaHSi2 5 ・3H2 O),ジケイ酸
ナトリウム結晶(Na2 Si2 5 ),マカタイト(N
2Si4 9 ・5H2 O),アイラアイト(Na2
8 17・xH2 O),マガディアイト(Na2 Si14
29・xH2 O),ケニヤアイト(Na2 Si2041
xH2 O)等のグループより選ばれる少なくとも一種を
使用することができる。これら,層状ケイ酸塩を用いる
場合には,層同士が部分的に結合するので三次元構造体
が得られるため,第一工程及び第二工程の時間を短縮化
できる。
【0022】上述の層状ケイ酸塩の中でも,カネマイ
ト,ジケイ酸ナトリウム結晶,マカタイトが,曲折しや
すいSiO4 単層からなる構造を有しているので,第一
工程での時間をより短縮化できるという点より好まし
い。また,上記層状ケイ酸塩におけるSiの一部を,A
l等のSi以外の元素で置換した層状ケイ酸塩を使用す
ることもできる。
【0023】また,上記層状ケイ酸塩以外のケイ酸塩と
しては,水ガラス無定型ケイ酸ナトリウムより選ばれ
る少なくとも一種を使用することができる。
【0024】
【0025】上述の各種ケイ素を含有する物質を使用し
た場合,複合体は以下に示すごとく形成される。まず,
ケイ素を含有する物質として層状ケイ酸塩を用いた場
合,上記第一工程において,層状ケイ酸塩の各層の間
に,界面活性剤が入り込む。これにより界面活性剤が層
状ケイ酸塩中に導入された複合体が形成される。この
時,隣接する層状ケイ酸塩の層は互いに結合していな
い。
【0026】その後,第二工程において,分散液のpH
を10未満とする。これにより,上記複合体中の隣接す
る層の表面に存在するシラノール基(−O−H)の脱水
縮合が生じ,各層が互いに部分的に結合する。これによ
り,ケイ酸塩よりなる三次元構造体(ハニカム構造体)
を形成し,よって,三次元構造体の内部(ハニカム構造
体の空孔部)に界面活性剤の存在する縮合体を形成す
る。
【0027】その後,第三工程において,上記縮合体よ
り上記界面活性剤は除去され,その部分が空孔(細孔)
となる。これにより,多数の細孔を有し,シリカ骨格よ
りなる三次元構造体(ハニカム構造体)を得ることがで
きる。
【0028】次に,ケイ素を含有する物質として層状ケ
イ酸塩以外の物質を用いた場合,上記第一工程におい
て,界面活性剤が水溶液中でミセル(棒状)を形成し,
しかもこのミセルが規則正しく配列する。そして,上記
配列した界面活性剤の周囲に,上記ケイ素を含有する物
質が集合する。
【0029】その後,第二工程において,上記分散液の
pHを10未満かつ温度を50℃以上とする。これによ
り,上記ケイ素を含有する物質がOH基を有するケイ素
の酸化物に変化する。次に,上記OH基が縮合すること
により,ケイ素の酸化物が重合する。上記ケイ素の酸化
物の重合は界面活性剤の周囲で生じるため,上記ケイ素
の酸化物の重合物は全体として三次元構造体(ハニカム
構造体)となる。更に,上記重合物は中(ハニカム構造
体の空孔部)に,上記界面活性剤の存在する複合体であ
る。
【0030】その後,第三工程において,上記複合体よ
り界面活性剤は除去され,その部分が空孔(細孔)とな
る。これにより,多数の細孔を有し,ケイ素の酸化物,
あるいはケイ素とケイ素以外の元素とからなる複合酸化
物よりなる三次元構造体(ハニカム構造体)を得ること
ができる。
【0031】更に,上記ケイ素を含有する物質として,
二層以上の構造を有する層状ケイ酸塩を用いた場合,以
下のごとく各層の折れ曲がりを可能とすることができ
る。即ち,上記界面活性剤の水溶液に層状ケイ酸塩を分
散させると共に熟成を行うが,この際,上記水溶液をア
ルカリ性に保持する。これにより,上記層状ケイ酸塩の
Si−O結合が緩み,層が折れ曲がる。この折れ曲がり
に伴い,各層の間に界面活性剤が導入され,上記のごと
く,上記層状ケイ酸塩が三次元構造体(ハニカム構造
体)を形成することができる。
【0032】なお,上記三次元構造体を形成した層状ケ
イ酸塩を水溶液より取り出し,洗浄もしくは,pHを1
0未満にした水溶液に分散することにより,層状ケイ酸
塩のSi−O結合を強固とすることもできる。
【0033】次に,上記界面活性剤としては,例えばア
ルキルトリメチルアンモニウム,ジメチルジアルキルア
ンモニウム,アルキルアンモニウム,ベンジルトリメチ
ルアンモニウム等の,末端にアンモニウム基を有する物
質を使用することができる。あるいは,末端にスルホン
基(−O−SO3 −),カルボキシル基(−COO
−),リン酸基(−O−PO3 −)等を有する化合物の
グループより選ばれる少なくとも一種を使用することが
できる。
【0034】次に,上記第一工程は,例えば界面活性剤
の希薄水溶液中にケイ素を含有する物質を分散させるこ
とにより行うことが好ましい。この場合の界面活性剤の
希薄水溶液の濃度は,0.05〜1M(mol/リット
ル,以下同様)であることが好ましい。上記濃度が0.
05Mよりも薄い場合には,上述の界面活性剤の上記作
用が不十分となるおそれがある。また,ケイ素を含有す
る物質として層状ケイ酸塩を用いた場合には,層状ケイ
酸塩の層間の拡幅が不十分となり,界面活性剤/三次元
ケイ酸塩複合体が得られず,多孔体の細孔と結晶構造と
を構成するために必要な三次元構造体が十分形成されな
いおそれがある。
【0035】一方,1Mよりも濃い場合には,界面活性
剤の一部が未反応のまま水溶液中に残留し,無駄になる
おそれがある。例えば,層状ケイ酸塩では,層状ケイ酸
塩に対する界面活性剤イオンの入り込む部分は大略決ま
っているため,必要とされるイオンの量に上限があるた
めである。
【0036】また,ケイ素を含有する物質の分散量は,
濃度0.1Mの界面活性剤水溶液1000mリットルに
対して,10〜200gが好ましい。ケイ素を含有する
物質が10g未満の場合には,上述と同様に界面活性剤
の一部が無駄になるおそれがある。また,水溶液のpH
が低いため,水酸化ナトリウム等の添加量が増大し,材
料コストの増加を招くおそれがある。
【0037】一方,200gよりも多い場合には,水溶
液のpHが上昇し,ケイ素を含有する物質の溶解量が増
大してしまうおそれがある。この場合には,水溶液より
取出し可能なケイ素の酸化物と界面活性剤との複合体の
分量が減少し,収率が低下するおそれがある。なお,上
記第一工程において,分散液の熟成は界面活性剤の濃度
が一定になるまで行うことが好ましい。
【0038】また,上記第一工程において,ケイ素を含
有する物質と界面活性剤を含有する水溶液(分散液)を
加熱することは,界面活性剤の上記作用(例えば,層状
ケイ酸塩中への界面活性剤の導入)が促進されるため好
ましい。そして,上記水溶液の加熱温度は40℃〜10
0℃であることが好ましい。
【0039】上記温度が40℃未満の場合には,界面活
性剤の上記作用を呈する速度が遅く,第一工程の時間が
長くなるおそれがある。また,上記水溶液を100℃よ
り高く加熱するには,オートクレーブ等の特殊な設備が
必要であるため,設備コスト等が高くなるおそれがあ
る。
【0040】なお,層状ケイ酸塩以外のケイ酸塩を用い
た場合には,上記加熱によりケイ酸塩の集合体の一部が
重合し,界面活性剤/三次元ケイ素酸化物複合体が一部
形成されることがあるため,上記加熱はより好ましい。
【0041】上記第一工程において,上記分散液のpH
が10未満に低下した場合には,後述するごとく界面活
性剤の上記作用が低下し,結晶性の低い多孔体しか得ら
れないおそれがある。なお,上記分散液のpHは,11
〜12.5に保持することが一層好ましい。上記範囲に
分散液のpHを保持することにより,界面活性剤の上記
作用が最も向上する。また,後述するケイ素を含有する
物質の,分散液への溶解を最小限に食い止めることがで
きる。
【0042】また,上記pHの調整に当たっては,例え
ば1規定の水酸化ナトリウム水溶液を適宜添加すること
によって行う。また層状ケイ酸塩として,カネマイト5
0g,界面活性剤としてアルキルトリメチルアンモニウ
ムの0.1M水溶液に分散させた場合には,そのままで
水溶液のpHが11.5となる。この場合には,特に水
溶液に対して,操作を加える必要がない。
【0043】次に,上記第一工程の後に行う第二工程に
おいては,水溶液のpHを10未満かつ温度を50℃以
上に保持する。上記第二工程により,界面活性剤と三次
元構造体のケイ素の酸化物よりなる複合体を得ることが
できる。そして,上記第二工程における分散液の熟成
は,分散液のpHを調整し,pHが安定するまで行うこ
とが好ましい。
【0044】即ち,後述するシラノール基の脱水縮合は
中性領域,しかも高温において,最も早く進行する。従
って,上記分散液のpHを10未満に下げ,かつ温度を
50℃以上とすることにより,複合体内に脱水縮合によ
る強固な三次元構造体が形成される。これにより,耐熱
性に優れた多孔体を得ることができる。
【0045】なお,上記第二工程は,例えば2規定塩酸
水溶液を適宜添加することによって行う。また,上記第
二工程において分散液のpHは,6〜8.5の範囲に保
持することが一層好ましい。上記pHが6未満である場
合には,界面活性剤と水素イオンとの置換が発生する。
この場合には,三次元構造体を形成する前に,層間ある
いは空隙が縮まり,細孔が崩壊するおそれがある。
【0046】また,上記第二工程における分散液の温度
を50℃以上に保持することにより,上記シラノール基
の脱水縮合を一層促進することができる。なお,温度を
50℃以上に保持する場合には,3時間以上保持するこ
とが好ましい。3時間よりも短い場合には,シラノール
基の脱水縮合反応が完了せず,十分安定した三次元構造
体が得られないおそれがある。
【0047】分散液より上記複合体を濾過,乾燥する。
その後,上記第三工程を行う。上記第三工程において,
上記複合体より界面活性剤を除去する。上記界面活性剤
の除去する方法としては,例えば,上記複合体を焼成す
る焼成法,あるいはイオン交換を利用するイオン交換法
が挙げられる。
【0048】上記焼成法においては,上記複合体中の界
面活性剤が,燃焼により分解除去される。そして,上記
焼成における焼成温度は500℃〜1000℃であるこ
とが好ましい。焼成温度が500℃未満の場合には,界
面活性剤の燃焼が不十分となり,カーボン等が残留した
多孔体が得られるおそれがある。一方,焼成温度が10
00℃を越える場合には,多孔体の結晶構造を構成する
三次元構造体が崩れ,多孔体の結晶性等が不良となるお
それがある。
【0049】上記イオン交換法においては,上記複合体
中の界面活性剤を水素イオンによりイオン交換すること
により,上記界面活性剤を複合体中より除去する。な
お,上記界面活性剤が除去されたことにより生じる空孔
(細孔)中には水素イオンが残存するが,水素イオンの
イオン半径は,0.1nm以下で,メソ多孔体の細孔径
(1.5〜10nm)に対し十分小さい。このため,上
記水素イオンによる細孔の閉塞という問題は生じない。
【0050】なお,上記イオン交換法の具体例として
は,酸性液体中に上記複合体を浸漬する方法が挙げられ
る。例えば,エタノールに塩酸を添加した液体中に,上
記複合体を浸漬することにより,該複合体中の界面活性
剤と塩酸より放出された水素イオンとがイオン交換され
る。なお,上記第三工程で焼成を行うと,ケイ酸塩はケ
イ素の酸化物に変化して,ケイ素の酸化物からなる多孔
体が得られる。また,上記第三工程でイオン交換を行う
と,ケイ酸塩はそのままの状態を維持してケイ酸塩から
なる多孔体が得られる。
【0051】次に,上記第一工程と第二工程との間に,
上記水溶液中の水溶成分を除去する水溶成分除去工程を
行うことが好ましい。即ち,上記第一工程においては,
ケイ素を含有する物質の水溶成分の一部が溶解し,ケイ
酸イオンとなっている。
【0052】上記ケイ酸イオンは水溶液のpHが中性付
近となると,不定形シリカゲルとなって析出する性質を
有する。上記シリカゲルは均一な細孔を持たず,また結
晶性の低い物質である。このため,上記シリカゲルが複
合体中に混入すると,多孔体全体の結晶性が低下するお
それがある。それ故,このようなシリカゲル等を生成す
る水溶成分を除去するのである。
【0053】上記水溶成分除去工程は例えば以下のよう
に行う。即ち,第一工程の終了後,上記水溶液より,固
形分(原料が層状ケイ酸塩の場合には,界面活性剤と上
記ケイ酸塩との複合体,原料が層状ケイ酸塩以外のケイ
素を有する物質の場合には,界面活性剤とケイ素を含有
する物質の集合体との複合体)を分離する。分離した固
形分を蒸留水に再び分散し,分散液とする。その後,上
記分散液に対して,上述したごとく,分散液のpHを1
0未満とし,第二工程を行う。なお,上記固形分の分離
は,例えば,濾過,遠心分離により行うことができる。
【0054】なお,上述の第二工程及び水溶成分除去工
程を共に行うことによって一層優れた多孔体を得ること
ができる。そして,上記製造方法によって製造された多
孔体は,例えば,排気ガス浄化触媒担体,プラスチック
の油化触媒担体,石油精製触媒担体,メタンガス吸蔵
材,各種溶剤回収用吸収材,キャニスター用吸着材,調
湿材として使用することができる。
【0055】
【作用及び効果】本発明の多孔体の製造方法は,上述の
第一工程〜第三工程よりなる。上記第一工程において,
分散液のpHを10以上とし,第二工程においては,分
散液のpHを10未満かつ温度を50℃以上とする。
【0056】上記第一工程及び第二工程においては,以
下の機構により上述した複合体が得られる。まず,ケイ
素を含有する物質として層状ケイ酸塩を用いた場合,上
記第一工程で,層状ケイ酸塩の層同士の間に,界面活性
剤が入り込む。これにより界面活性剤が層状ケイ酸塩中
に導入された複合体が形成される。その後,第二工程に
おいて,上記複合体中のシラノール基の脱水縮合が生
じ,層同士が部分的に結合する。これにより,ケイ酸塩
よりなる三次元構造体が形成され,更に該三次元構造体
と界面活性剤とよりなる複合体が形成される。
【0057】上記ケイ素を含有する物質として層状ケイ
酸塩以外の物質を用いた場合,上記第一工程で,配列し
た界面活性剤の周囲に上記ケイ素を含有する物質が集合
する。その後,第二工程において,上記ケイ素を含有す
る物質より,OH基を有するケイ素の酸化物が形成され
る。更に上記OH基が縮合してケイ素の酸化物同士が重
合する。ケイ素の酸化物の重合物より,三次元構造体
(ハニカム構造体)が形成され,更に上記重合物中(ハ
ニカム構造体の空孔部)に界面活性剤が存在する複合体
が形成される。
【0058】その後,第三工程において上記複合体より
界面活性剤は除去され,界面活性剤が除去された部分が
空孔(細孔)となる。以上により,多数の細孔を有し,
ケイ素を含む酸化物の骨格よりなる三次元構造体(ハニ
カム構造体)を得ることができる。そして,上記三次元
構造体が最終的な多孔体の結晶構造を構成する。
【0059】従って,上記界面活性剤の作用が不十分で
ある場合には,層状ケイ酸塩の各層の間が充分拡幅され
ない。あるいは,ミセル状の界面活性剤の規則的な集合
体が形成されにくくなる。以上により,三次元構造体の
形成がうまくいかない。この場合に得られた多孔体は,
結晶性が低い。また,特に三次元構造体の形成が不十分
な部分は,最終的に多孔体となった場合,非晶質とな
る。
【0060】そして,上記第一工程における界面活性剤
の作用は,分散液のpHが上がるほど活発になる。即
ち,原料のケイ素を含有する物質が層状ケイ酸塩の場
合,該層状ケイ酸塩の各層の間への置換は,相手が水素
イオンであっても発生する。よって,分散液中に水素イ
オンが多い場合には,界面活性剤イオンとのイオン交換
よりも,水素イオンとのイオン交換のほうが多く発生す
る。この場合,界面活性剤が層状ケイ酸塩内に入り込み
難くなるため,層状ケイ酸塩の層間の拡幅が発生し難く
なる。従って,三次元構造体の形成が起こりにくくな
る。
【0061】また,ケイ素を含有する物質が層状ケイ酸
塩以外の物質である場合,分散液中に水素イオンが多い
場合には,界面活性剤が棒状のミセルを形成し難くな
る。そのため,ケイ素を含有する物質はランダムに分散
し,三次元構造体の形成が起こり難くなる。
【0062】また,上記第二工程においては,上記分散
液はpHが10未満かつ温度が50℃以上とする。ケイ
素を含有する物質として層状ケイ酸塩を用いた場合,第
一工程で得られた上記複合体は,上述したごとく,イオ
ン交換によって導入された界面活性剤の近傍で,シート
状のシリケートが折れ曲がり,該シリケートがシラノー
ル基の脱水縮合により部分的に結合した構造を有してい
る。
【0063】これにより,三次元構造体が複合体内に形
成され,該三次元構造体が熱的に安定な多孔体の結晶構
造を構成する。上記ケイ素を含有する物質として層状ケ
イ酸塩以外の物質を用いた場合においても,上記同様,
シラノール基の脱水縮合により,三次元構造体が形成さ
れる。
【0064】そして,上記脱水縮合は水溶液が中性領域
に近いほど,また温度が上昇するほど活発となる。その
ため,第二工程において,分散液のpHを10未満かつ
温度を50℃以上とすることにより,上記複合体中の三
次元構造体は,より強固となる。
【0065】また,分散液のpHを10未満とすること
により,第一工程中に界面活性剤/三次元ケイ素酸化物
複合体中に侵入したナトリウムイオン等の金属イオン
を,分散液中の水素イオンと置換することができる。上
記複合体に金属イオンが含有されている場合には,加熱
により複合体中のケイ素原子,酸素原子が移動しやすく
なる。この場合には,複合体及び該複合体より界面活性
剤を除去することによって得られた多孔体の耐熱性が低
下するおそれがある。従って,上述のごとく水素イオン
で金属イオンを置換することにより,耐熱性に一層優れ
た多孔体を得ることができる。
【0066】以上により,上述のごとき第一工程及び第
二工程を経ることにより,優れた結晶性を有する多孔体
を得ることができ,更に多孔質内における,非晶質の不
純物も減少する。更に,上述のごとき工程を経ることに
より,熱的に安定した三次元構造体を形成するこができ
る。従って,多孔体の結晶構造が全体として強くなり,
その耐熱性も一層向上する。
【0067】なお,上記分散液のpHと温度を調整する
ことにより,上記シラノール基の脱水縮合が促進され,
三次元構造体の形成が迅速となる。従って,上記複合体
の形成速度が向上し,より短時間で多孔体を製造するこ
とができる。
【0068】従って本発明によれば,結晶性と耐熱性に
優れ,かつ不純物を含有していない多孔体の製造方法を
提供することができる。
【0069】
【実施例】
実施例1 本例は,表1,図1及び図2に示すごとく,第一工程に
よって界面活性剤イオンの導入された層状ケイ酸塩,即
ち界面活性剤/三次元シリケート複合体の結晶性及び成
分等について,試料及び比較例を用いて説明するもので
ある。
【0070】まず,試料及び比較例となる複合体の製造
方法について説明する。始めに,層状ケイ酸塩であるカ
ネマイトを準備した。即ち,粉末ケイ酸ソーダ(SiO
2 /Na2 O=2.00)を温度700℃において,6
時間焼成し,δ−Na2 Si2 5 の結晶を得た。上記
δ−Na2 Si2 5 50gを蒸留水に分散させ分散液
となし,これを3時間攪拌した。その後,上記分散液よ
り生成した湿潤カネマイトを,濾過により回収した。
【0071】次に,上記湿潤カネマイトを界面活性剤で
あるヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドの
濃度0.1M水溶液1000mリットルに分散させ,分
散液とした。上記分散液を温度70℃で,3時間攪拌し
ながら加熱し,第一工程を行った。そして,上記第一工
程の間は分散液のpHを後述するごとく一定の値に保持
した。なお,pHの調整には,必要に応じて1規定水酸
化ナトリウム水溶液及び2規定の塩酸水溶液を滴下する
ことにより行った。
【0072】次に,上記分散液を室温まで冷却した。次
に,水溶成分除去工程を行った。即ち,上記分散液中に
生成した複合体を濾過により分離した。次に,第二工程
を行った。即ち,上記複合体を1000mリットルのイ
オン交換水に分散させ,分散液とした。そして,上記分
散液のpHは2規定の塩酸水溶液を滴下することによ
り,8.5に調整した。その後,上記分散液より複合体
を再び濾過した。その後,上記複合体を繰り返し,イオ
ン交換水を使用して洗浄した。その後,複合体を風乾
し,各試料及び比較例とした。
【0073】次に各試料及び比較例について説明する。
試料F1は上述の第一工程において,分散液のpHを1
2.3に保持した場合に得られた複合体,以下試料F2
及び試料F3は,pHが11.5及び10,また比較例
CF1及び比較例CF2はpHが8.5及び7の場合に
得られた複合体である。そして,試料及び比較例の結晶
性の評価は,図1及び図2に示すごとく粉末X線回折と
29SiMASNMR(Si固体核磁気共鳴)を測定する
ことにより行った。また,表1に示すごとく各試料及び
比較例の成分分析も行った。
【0074】まず,上記粉末X線回折の測定にあたって
は,理学RAD−B装置を用い,CuKα線をX線源と
して,2度(2θ)/分で各試料をスキャンした。な
お,スリット幅は,1度−0.3mm−1度である。そ
の結果を図1に示す。なお同図において,横軸は上記ス
キャンにおける回折角度,縦軸は回折強度である。ま
た,回折ピークをはっきりと示すために,試料F1〜F
3については強度を4倍に拡大した線図を挿入した〔図
1において,試料No.の後に(×4)を挿入したも
の〕。また,各回折ピークの頂点に付した数値は各結晶
面のミラー指数である。
【0075】図1より,本発明にかかる試料F1〜F3
はいずれも結晶の六方構造に基づく回折パターンが明確
に観察された。一方,比較例CF1,CF2はいずれも
なだらかでピークを持たない回折パターンしか得られな
かった。これは,比較例CF1,CF2が非晶質である
ことを示している。よって,第一工程において水溶液の
pHを10以上に保持したことが,層状ケイ酸塩の結晶
性の形成を促進したことが判った。
【0076】次に,上記29SiMASNMRの測定に当
たっては,Bruker製MSL−300WBを用い,
回転数4KHz,パルス間隔90秒で測定した。その結
果を図2に示す。なお同図において,横軸はケミカルシ
フト,縦軸はシグナル強度である。
【0077】各試料F1〜F3及び比較例CF1,CF
2については,二つのピークが認められる。左側のピー
クQ3 は,縮合していないSiO4 四面体〔OSi(O
Si≡)3 〕に帰属され,カネマイトはQ3 のみを示
す。右側のピークQ4 はケイ酸の縮合により生成したQ
4 [Si(OSi≡)4 ]に帰属されるSiO4 四面体
のピーク強度を示す。
【0078】同図より知られるごとく,試料F1,F2
は,右側のピークQ3 が大きかった。また,試料F3は
左右のピークがほぼ等しかった。一方,比較例CF1,
CF2は,左側のピークQ4 が大きかった。この結果,
第一工程において,水溶液のpHを10以上に保持する
ことにより,層間の結合(縮合)部分(Q4 ピーク)を
三次元骨格を形成するに必要な最小限の部分にとどめ,
界面活性剤の置換により十分拡幅され,焼成後に細孔と
なる部分(Q3 ピーク)を多く形成させるという効果が
得られた。
【0079】また,表1に試料F1〜F3及び比較例C
F1,CF2の成分分析の結果等を示す。上記分析は試
料F1〜F3及び比較例CF1,CF2の含有した炭
素,水素,窒素の重量%,また試料F1〜F3及び比較
例CF1,CF2を温度960℃において燃焼し,残留
した灰分の重量%を測定した。また,上記成分の重量比
から界面活性剤(主として,炭素,水素,窒素からな
る。)と三次元構造体を形成したSiO2 とのモル比,
即ちイオン交換率を計算した。
【0080】同表より,試料F1〜F3と比較例CF
1,CF2のイオン交換率は,試料F1〜F3のほう
が,いずれも比較例CF1,CF2よりも大きいことが
判った。これと上述の結晶性に関した測定結果より,イ
オン交換率の低い場合には,複合体が非晶質であること
が判った。
【0081】
【表1】
【0082】実施例2 本例は,図3及び図4に示すごとく,多孔体の結晶性に
ついて,第二工程における加熱の有無による違いを説明
するものである。まず,試料4について説明する。
【0083】実施例1における試料F1の複合体5gを
100mリットルの水に分散させ,分散液とした。上記
分散液を温度80℃で3時間加熱した。その後,上記分
散液より複合体を取り出し乾燥した。上記乾燥の終了し
た複合体を,空気中において温度550℃で6時間焼成
した。これにより得られた多孔体が試料F4である。ま
た,比較例CT3は,実施例1における試料F1をその
まま乾燥し,上記と同様に焼成し,得られた多孔体であ
る。
【0084】上記試料T4及び比較例C3について,粉
末X線回折と−196℃における窒素吸着/脱離等温線
の測定を行った。上記粉末X線回折については,実施例
1と同様の要領にて行い,その結果を図3に示す。同図
より知れるごとく,本発明にかかる試料T4は結晶の六
方構造に基づく回折パターンが明確に観察された。一
方,比較例C3はなだらかで,ピークを持たない回折パ
ターンしか得られなかった。これは,比較例C3が非晶
質であることを示す。よって,第二工程で水溶液を加熱
することにより,結晶性に優れた多孔体を得ることがで
きることが判った。
【0085】次に,上記窒素ガスの上記窒素吸着/脱離
等温線について,真空ライン装置を用いた容量法により
測定し,その結果を図4に示す。そして,同図におい
て,縦軸は窒素ガスの吸着量〔STP,即ち標準状態
(25℃,1気圧)に換算した,単位多孔体(g)に対
する窒素ガスの吸着体積(cc)〕,横軸は相対蒸気圧
(P/P0 )である。ここに,Pは,窒素の蒸気圧,P
0 は−196℃における窒素の飽和蒸気圧である。
【0086】同図より知れるごとく,試料T4の窒素吸
着/脱離等温線はP/P0 =0.3における立ち上がり
が急激であり,それ以外ではなだらかであった。これ
は,P/P0 =0.3における,試料T4の細孔への窒
素ガスによる毛管凝縮現象を示しており,該試料の結晶
性及び細孔の径の均一性が優れていることを示す。
【0087】一方,比較例C3の吸着/脱離等温線は試
料T4に比べて,勾配が大きい。よって,比較例C3の
結晶性及び細孔の径の均一性は試料T4よりも劣ってい
た。この結果,本発明にかかる加熱処理工程を導入した
ことで,結晶性と細孔の径の均一性に優れた多孔体を得
ることができることが判った。
【0088】実施例3 本例は,図5及び図6に示すごとく,多孔体の結晶性に
ついて,第二工程の有無による違いを説明するものであ
る。まず,本例の試料T5について説明する。実施例1
における試料F1の複合体5gを100mリットルの水
に分散させた分散液を,温度80℃で3時間加熱した。
その後,上記分散液より複合体を取り出し乾燥した。上
記乾燥の終了した複合体を実施例2と同様に焼成し,多
孔体とした。また,比較例CT4は,実施例1における
試料F1の製造工程より第二工程を省略した以外は同様
の工程により得られ,その後,得られた複合体を上記同
様に焼成し,多孔体とした。
【0089】そして,試料T5及び比較例CT4につい
て,粉末X線回折と窒素吸着等温線の測定を行った。上
記粉末X線回折の測定については,実施例1と同様の要
領で行い,その結果を図5に示す。同図より知れるごと
く,本発明にかかる試料T5は結晶の六方構造に基づく
回折パターンが明確に観察された。一方,比較例CT4
はなだらかで,ピークを持たない回折パターンしか得ら
れなかった。よって,比較例が非晶質であることが判っ
た。
【0090】次に,上記窒素吸着等温線の測定について
は,実施例2と同様の要領で行い,その結果を図6に示
す。同図より知れるごとく,試料T5の吸着等温線はP
/P0 =0.3における立ち上がりが急激で,それ以外
での吸着等温線はなだらかであった。よって,試料T5
は結晶性及び細孔の径の均一性に優れていることが判っ
た。
【0091】一方,比較例C4の吸着等温線は試料T5
に比べて,勾配が大きかった。よって,比較例C4の結
晶性及び細孔の径の均一性は試料T5よりも劣っている
ことが判った。この結果,第二工程を導入したことで,
結晶性と細孔の径の均一性に優れた多孔体を得ることが
できることが判った。
【0092】実施例4 本例は,図7及び図8に示すごとく,第二工程時の温度
条件の違いによる,複合体及び多孔体の結晶性の違いに
ついて説明するものである。ます,本例にかかる試料及
び比較例について説明する。本例の試料F6及びF7は
試料F1の複合体の分散液のpHを8.5に調整した
後,温度70℃で3時間及び48時間加熱した。比較例
CF5は試料F1の第二工程を省略した試料である。比
較例CF6は試料F1の複合体の分散液のpHを8.5
に調整した後,温度25℃で3時間放置した。
【0093】そして,試料F6,F7及び比較例CF
5,CF6について,実施例1と同様の粉末X線回折の
測定を行い,その結果を図7に示した。なお,同図の縦
軸において示されたスケールは5000cpsの大きさ
を表している。なお,cpsとはcount per
secondを省略したもので,1秒間のX線のカウン
ト数である。
【0094】同図より知れるごとく,試料F6,F7及
び比較例CF6は結晶の六方構造に基づく回折パターン
が観察された。比較例CF5については,六方構造とは
異なる回折ピークが観察された。
【0095】次に,上記試料F6,F7及び比較例CF
5,CF6をイオン交換水によって4回洗浄し,温度9
00℃,6時間の焼成により多孔体とした。上記多孔体
の結晶性についても,同様に粉末X線回折の測定を行っ
た。その結果を図8に示す。なお,試料F6,F7より
作成された多孔体を試料T7,T8,比較例CF5,C
F6より作成された多孔体を比較例CT8,CT9とし
た。
【0096】同図より知れるごとく,試料T7及びT8
は結晶の六方構造に基づく回折パターンが明確に観察さ
れた。一方,比較例CT8及びCT9はなだらかでピー
クを持たない回折パターンしか得られず,層状及び非晶
質であることが判った。
【0097】上述の結果より,本発明にかかる第二工程
を行ったことによって,複合体の三次元構造体の形成が
進行した。そして,上記複合体を焼成したことによっ
て,結晶性に優れた多孔体を得ることができることが判
った。
【0098】実施例5 本例は,図9,図10に示すごとく,実施例1とは異な
る製造方法によって製造された多孔体の結晶性について
評価するものである。上記製造方法について説明する。
まず始めに,カネマイトを準備した。即ち,粉末ケイ酸
ソーダ(SiO2 /Na2 O=2.00)を温度700
℃において6時間,電気炉で焼成し,δ−Na2 Si2
5 の結晶を得た。上記δ−Na2 Si2 5 の400
0gをヘンシェルミキサで粉砕し,粉末状とした。上記
粉末を40リットルのイオン交換水に分散させ,3時間
攪拌した。その後,フィルタープレスを用いて上記分散
液より,生成した湿潤カネマイトを濾過した。
【0099】以上により得られた湿潤カネマイトを20
00gのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ドの水溶液60リットルに分散させ,分散液とした。な
お上記分散液のpHは12.3である。次に,上記分散
液を容積80リットルの特性反応容器にいれ,70℃で
加熱した。加熱開始より,2時間経過したところで,2
規定塩酸水溶液を添加し,分散液のpHを8.5まで低
下させた。その後,70℃で5時間加熱した。加熱終了
後は室温で12時間放置し,冷却した。
【0100】次に,フィルタープレスを用い,冷却され
た分散液より固形物を濾過した。上記固形物を60リッ
トルの水に分散し,攪拌した。その後,フィルタープレ
スで再び濾過した。なお,上記固形物に対した分散及び
濾過は合計4回繰り返す。その後,固形物を熱風乾燥器
において,二日間乾燥した。
【0101】次に,乾燥の終了した上記固形物を脱脂炉
に投入し,窒素雰囲気の下で脱脂処理を行った。上記脱
脂処理は,脱脂炉の温度を20℃/時間で450℃まで
昇温し,その後450℃に3時間保持したことにより行
った。最後に脱脂処理の終了した固形物を電気炉を用
い,温度550℃で6時間焼成した。これにより,本例
にかかる多孔体を得た。
【0102】次に上記製造方法による多孔体について,
実施例1と同様の粉末X線回折及び実施例2と同様の窒
素吸着/脱離等温線を測定し,多孔体の結晶性について
評価した。
【0103】なお,上記粉末X線回折を図9に,窒素吸
着/脱離等温線を図10に示す。図9より,本例の多孔
体は結晶の六方構造に基づく回折パターンが明確に観察
された。また,図10より,本例の多孔体の吸着/脱離
等温線はP/P0 =0.3における立ち上がりが急激
で,それ以外での吸着等温線はなだらかで変化が少なか
った。よって,本例の多孔体は,他の実施例と同様に結
晶性及び細孔の径の均一性に優れていることが判った。
【0104】実施例6 本例は,図11に示すごとく,ケイ素を含有した物質と
して層状ではないケイ酸塩を原料に用いた多孔体につい
て評価するものである。まず,無定型のケイ酸ソーダ
(日本化学工業:粉末ケイ酸ソーダ,SiO2 /Na2
O=2.00)50g,あるいは25gを,0.1Mの
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液
1000mリットルに分散させた。また,その分散液の
pHは12.0であった。
【0105】上記分散液を,70℃で3時間攪拌しなが
ら加熱した。その後,2規定の塩酸水溶液を滴下したこ
とにより分散液のpHを8.5に調整した。更に,70
℃で3時間加熱し,室温まで冷却した。冷却された分散
液より固形生成物を濾過し,1000mリットルのイオ
ン交換水に分散させた後,約5分間攪拌し,再び濾過を
行った。その後,上記分散と濾過の操作を5回繰り返し
た。最後に生成物を濾過により取り出し,乾燥した。乾
燥後,550℃で焼成し,2種類の粉末試料を得た。
【0106】以上により,得られた2種類の試料におい
て,実施例1と同様の要領による,粉末X線回折の回折
強度の測定を行った図11に示すごとく,上記2種類の
試料は,いずれもほぼ同じ粉末X線回折強度のパターン
を示した。上記パターンにおいては,六方構造を示す4
本の回折ピークが明瞭に観察され,上記試料において,
結晶性の高いハニカム構造が形成されていることが確認
された。
【0107】なお,上記2種類の試料を900℃まで加
熱した場合においても,上記4本の回折ピークが保持さ
れ,これらの試料が高い耐熱性を示すことが判った。ま
た,50gのケイ酸ソーダを用いることにより,得られ
た試料の,窒素吸着から求めたBET表面積(一点法)
は1443m2 /gと高い価を示した。以上により,本
例における試料が結晶性,耐熱性が高く,高い表面積を
有するという優れた性質を有することが判った。
【0108】実施例7 本例は,図12〜図15に示すごとく,イオン交換法に
より,複合体中の界面活性剤を除去することにより製造
された多孔体とその性質について説明するものである。
まず,上記複合体は,実施例5と同様の方法により得ら
れたものである。1gの複合体を,3.6gの36%塩
酸水溶液と150mリットルのエタノールとの混合液に
分散させた。その後,上記分散液を攪拌しつつ,50℃
で6時間加熱した。その後,上記分散液より固形性生物
を濾過により回収した。
【0109】上記固形生成物を,再び,3.8gの36
%塩酸水溶液と150mリットルのエタノールとの混合
液に分散させ,攪拌しつつ50℃,6時間で加熱した。
その後,上記混合液より固形生成物を濾過により回収し
た。上記固形生成物を,更にもう一度,3.8gの36
%塩酸水溶液と150mリットルのエタノールとの混合
液に分散させ,攪拌しつつ50℃で6時間,加熱した。
その後,上記混合液より固形生成物を濾過により回収し
た。以上により得られた固形生成物が,イオン交換によ
り得られた多孔体である。
【0110】上記多孔体に対し,粉末X線回折の回折強
度,窒素吸着等温線,29SiMASNMRを測定し,そ
の結果を図12〜図14に示した。なお,上記測定は実
施例1及び実施例2に示された要領により行った。
【0111】図12に示すごとく,上記粉末X線回折の
回折強度は,六方構造に帰属される4本の回折ピークを
示し,イオン交換法によって,規則的な六方構造を有す
る多孔体を生成することができることが確認できた。そ
して,上記イオン交換法により,複合体の内部から界面
活性剤が除去され,細孔が形成されたことが確認され
た。
【0112】図13に示すごとく,相対蒸気圧(P/P
0 )=0.35付近における,上記窒素吸着等温線の立
ち上がりは,焼成法による多孔体のそれ(図10参照)
より急である。これにより,イオン交換法により製造し
た多孔体は,細孔径がより狭い範囲に分布している,即
ち細孔径がより均一であることが確認された。
【0113】なお,上記窒素吸着等温線において,BE
T法により計算した比表面積は,900m2 /gとな
り,焼成法により界面活性剤を除去した多孔体と,ほぼ
同じ値となった。これにより,イオン交換法により界面
活性剤を除去することにより製造された多孔体は,焼成
法による多孔体より,細孔径が均一であることが判っ
た。
【0114】図14に示すごとく,29SiMASNMR
においては,Q3 及びQ4 のピークがほぼ同じ強さで観
察された。これにより,界面活性剤を除去する前の複合
体のQ3 /Q4 比と同じであることから,複合体中のシ
リケート構造がイオン交換法で界面活性剤を除去した後
も保持されていることが判った。
【0115】ところで,図15に,実施例5に示す複合
体を元に,焼成法により界面活性剤を除去することによ
り得られた多孔体の,29SiMASNMRを測定した結
果を示した。同図より知れるごとく,焼成法による多孔
体のQ3 のピークは弱く,Q4 のピークがより支配的で
あった。これは,イオン交換法による多孔体の表面に
は,焼成法による多孔体と比べ,より多くのシラノール
基が存在していることを示している。
【0116】シラノール基がより多く存在する多孔体に
おいては,その細孔内が,より親水的となり,水等の親
水性物質をより吸着しやすくなる。また,OH基と相互
作用しやすい物質を吸着しやすくなる。更に,上記シラ
ノール基を介することにより,有機化合物が無機化合物
を結合させることが可能となる。このため,イオン交換
法により得られた多孔体は,親水性の機能性化合物を細
孔内に固定することができる。従って,選択的形状性等
の機能を増幅させたり,新たな機能を発現させたりする
ことが可能である。
【0117】実施例8 本例は,図16,図17及び表2に示すごとく界面活性
剤として各種のアルキルトリメチルアンモニウムを用
い,得られた多孔体の性質について説明するものであ
る。上記アルキルトリメチルアンモニウムとしては,一
般式〔Cn 2n+1+ (CH3 3 〕ブロマイド(n=
8,10,あるいは12)と,一般式〔Cn 2n+1+
(CH3 3 〕クロライド(n=14,16あるいは1
8)を使用した。ここにnは,各アルキルトリメチルア
ンモニウムにおけるアルキル基の炭素数を示し,nが大
きいほど,アルキル鎖長が長くなる。
【0118】まず,実施例5と同様にして湿潤カネマイ
トを準備する。乾燥重量で50gに相当する上記湿潤カ
ネマイトを,0.1モルのアルキルトリメチルアンモニ
ウムを1リットルの水に溶解させた水溶液に分散させ
た。この時,分散液のpHは11.5〜12.5の範囲
にあった。上記分散液を70℃で3時間,攪拌しながら
加熱した。その後,分散液のpHを,2規定塩酸水溶液
を滴下することにより,8.5に調整した。更に,70
℃で3時間加熱して,室温まで冷却した。
【0119】冷却後,上記分散液より固形生成物を濾過
し,1リットルのイオン交換水に再び分散させ,5分間
攪拌する。その後,再び固形生成物を濾過により取り出
す。以上の濾過,分散及び攪拌の工程を計5回繰返した
後,上記固形生成物を取り出し,乾燥させた。最後に上
記固形系生物を電気炉で550℃,6時間焼成し,6種
類の多孔体を得た。
【0120】以上,6種の多孔体において,粉末X線回
折の回折強度,窒素吸着等温線を実施例1及び実施例2
と同様の方法により測定し,図16,図17に示した。
また,結晶面(100)におけるX線回折強度より計算
された多孔体の格子定数,更に窒素吸着等温線より求め
られた多孔体の細孔直径,BET表面積及び細孔容積を
表2に示した。
【0121】図16より知れるごとく,粉末X線回折に
おいて,いずれの多孔体においても,六方構造を示す回
折ピークが観察された。なお,同図において,n=8,
n=10,n=12の回折ピークをはっきりと示すため
に,これらについては,2倍に拡大した線図を記した。
また,図16,図17より導出された表2に示すごと
く,多孔体の格子定数は,アルキルトリメチルアンモニ
ウムのアルキル鎖長が長くなるに従い,大きくなった。
【0122】更に,細孔直径及び細孔直径もアルキル鎖
長が長くなるに従い,大きくなった。これにより,アル
キルトチメチルアンモニウムのアルキル鎖長を変化させ
ることにより,多孔体の細孔を制御することが可能であ
ることが確認された。
【0123】また,BET表面積とアルキル鎖長との関
係により,n=8を除くとBET表面積は,アルキル鎖
長に依存しないことが判った。
【0124】
【表2】
【0125】実施例9 本例は,本発明にかかる多孔体の水熱安定性について,
図18,図19に示すごとく比較試料と共に説明する。
本発明にかかる試料は,実施例6でケイ酸ソーダを50
g用いて作製した試料と同様の方法にて形成された多孔
体である。比較試料は,以下のごとく形成する。まず,
水ガラス3号,54g,水187.2g,97%硫酸
2.5g,ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド33.5gを混合し,反応液を調整した。この反応
液のpHは11.4であった。
【0126】上記反応液をテフロン(登録商標)製のオ
ートクレープ容器に入れ,110℃で7日間加熱した。
加熱後の反応液のpHは11.8であり,加熱中にpH
が10以下に下がっていないことが確認された。上記反
応液における固形生成物を,濾過により回収し,300
mリットルのイオン交換水にて5回洗浄した。上記固形
生成物を乾燥した後,550℃,6時間,空気中という
条件で焼成し,比較試料とした。
【0127】次に,上記水熱安定性の試験方法について
説明する。上記試料及び比較試料,各0.7gを,それ
ぞれ300mリットルビーカーに入れ,イオン交換水1
50mリットルを加えた。これを攪拌しながら,12時
間煮沸した。上記煮沸後,各試料及び比較試料を濾過に
より取り出し,乾燥させた。
【0128】上記水熱安定性試験における試験前後にお
ける,試料及び比較試料の粉末X線回折の回折強度及び
BET表面積の変化を,図18及び図19,表3に示し
た。本発明にかかる試料のBET表面積は,試験前後に
おいて1%の減少に留まった。これに対し,比較試料に
おいては,56%もBET表面積が減少した。
【0129】また,X線回折強度においても,本発明に
かかる試料が殆ど変化しなかったのに対し,比較試料に
おいては,回折強度におけるピークの殆どが消失した。
以上により,本発明にかかる多孔体は,水熱安定性に優
れ,煮沸等の水熱処理の前後で,その結晶構造,細孔構
造が殆ど変化しないことが判った。
【0130】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,各試料及び比較例の粉末X
線回折の回折強度を示す線図。
【図2】実施例1における,各試料及び比較例の29Si
の核磁気共鳴スペクトルを示す線図。
【図3】実施例2における,各試料及び比較例の粉末X
線回折の回折強度を示す線図。
【図4】実施例2における,各試料及び比較例の窒素吸
着/脱離等温線を示す線図。
【図5】実施例3における,各試料及び比較例の粉末X
線回折の回折強度を示す線図。
【図6】実施例3における,各試料及び比較例の窒素吸
着等温線を示す線図。
【図7】実施例4における,各試料及び比較例の粉末X
線回折の回折強度を示す線図。
【図8】実施例4における,各試料及び比較例の粉末X
線回折の回折強度を示す線図。
【図9】実施例5における,多孔体の粉末X線回折の回
折強度を示す線図。
【図10】実施例5における,多孔体の窒素吸着/脱離
等温線を示す線図。
【図11】実施例6における,多孔体の粉末X線の回折
強度を示す線図。
【図12】実施例7における,イオン交換法による多孔
体の粉末X線回折の回折強度を示す線図。
【図13】実施例7における,イオン交換法による多孔
体の窒素吸着等温線を示す線図。
【図14】実施例7における,イオン交換法による多孔
体の29Siの核磁気共鳴スペクトルを示す線図。
【図15】実施例7における,焼成法による多孔体の29
Siの核磁気共鳴スペクトルを示す線図。
【図16】実施例8における,各試料の粉末X線回折の
回折強度を示す線図。
【図17】実施例8における,各試料の窒素吸着等温線
を示す線図。
【図18】実施例9における,試料の水熱試験前後にお
ける粉末X線回折の回折強度を示す線図。
【図19】実施例9における,比較試料の水熱試験前後
における粉末X線回折の回折強度を示す線図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−210227(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/00 - 38/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ素を含有する物質を界面活性剤が溶
    解した水溶液中に分散させ,該分散液のpHを10以上
    とする第一工程と, 上記分散液のpHを10未満かつ温度を50℃以上とす
    ることにより,ケイ素の酸化物と界面活性剤との複合体
    を形成する第二工程と, 上記複合体より界面活性剤を除去する第三工程とよりな
    り, 上記ケイ素を含有する物質は,層状ケイ酸塩,水ガラ
    ス,又は無定型ケイ酸ナトリウムである ことを特徴とす
    る多孔体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記第一工程と上記
    第二工程との間に,上記分散液中の水溶成分を除去する
    工程を付加することを特徴とする多孔体の製造方法。
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