JP3384064B2 - 車両の旋回状態判定装置 - Google Patents

車両の旋回状態判定装置

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JP3384064B2
JP3384064B2 JP31197393A JP31197393A JP3384064B2 JP 3384064 B2 JP3384064 B2 JP 3384064B2 JP 31197393 A JP31197393 A JP 31197393A JP 31197393 A JP31197393 A JP 31197393A JP 3384064 B2 JP3384064 B2 JP 3384064B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪速度に基づいて車
両の旋回状態を判定する旋回状態判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、滑り易い路面での制動時の車
輪ロックを防止して、制動安定性を確保しながら制動距
離を短縮するアンチロックブレーキ装置(ABS)やト
ラクションコントロール装置(TRC)等において、車
両の旋回時には直進時とは異なる制御を行う必要がある
ことから、車両旋回状態を判定する必要があった。そし
て、4輪の車輪速度情報から車両の旋回状態を判定する
方法が、従来から種々発案されている。
【0003】例えば、左右2輪の速度差が所定値以上の
ときに旋回状態であると判定(特開平1−20482号
公報)したり、対角輪の速度差が所定値以上のときに旋
回状態であると判定(特開平1−20482号公報)す
るものが知られている。これらは基本的に、車両の旋回
状態に応じて内外輪に速度差が生じる現象を捉えて判定
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
左右で車輪との摩擦係数が異なる走行路(以下スプリッ
ト路という)においては、たとえ車両が直進走行あるい
は制動している状態であっても左右輪に速度差が発生し
てしまい、旋回状態だと誤判定してしまう場合がある。
この点を図6を参照してさらに説明する。
【0005】図6(a)〜(c)はそれぞれ、車両が左
右で車輪との摩擦係数が同じ走行路(以下均一路とい
う)を直進走行状態から左への旋回状態に移行していく
場合のものであり、(a)は車輪速度VFL,VFR,VRL
を、(b)は左右輪の速度差VFR−VFLを、(c)は前
後輪の速度差VFL−VRLを示す。なお、図中FLは左前
輪を、FRは右前輪を、RLは左後輪をそれぞれ示して
いる。そして、各車輪FL,FR,RLに対応する車輪
速度をVFL,VFR,VRLと表している。
【0006】一方、図6(d)〜(f)はそれぞれ、車
両が直進制動時に均一路(この場合は左右とも高い摩擦
係数(以下μと記す)を有する路面である)からスプリ
ット路へ移行していく場合のものであり、(d)は車輪
速度VFL,VFR,VRLを、(e)は左右輪の速度差VFR
−VFLを、(f)は前後輪の速度差VFL−VRLを示す。
【0007】図6の(b)と(e)を比較すると判るよ
うに、車両が均一路において直進走行状態から旋回状態
へ移行していく場合の左右輪速度差VFR−VFLの変化
は、車両が直進制動時に均一路からスプリット路へ移行
していく場合の左右輪の速度差VFR−VFLの変化とほぼ
同じ傾向を示す。そのため、左右の速度差だけでは上記
の両者の区別がつかず、誤判定してしまう可能性が高
い。
【0008】このように、例えば直進走行状態であるに
も関わらず旋回状態だと誤判定してしまうと、例えばA
BS制御において、直進状態と旋回状態とで制御を変え
ている場合等には、不適当な制御を実行してしまうこと
となり、走行安定性を阻害してしまい、安全性の面でも
好ましくない。
【0009】また、上記スプリット路に関する問題とは
別に、例えば実際には車両が旋回中であっても、左右一
方の側の車輪だけが突起に乗り上げたりくぼみに乗り下
げたりする場合、特に旋回中の外側輪が段差に突入する
と、一時的に内外輪差がなくなったり、逆転したりして
正確な旋回判定の妨げとなってしまう。このような場合
の誤判定も、上記同様、ABS制御等において不適当な
制御を実行してしまうこととなり、走行安定性や安全性
を阻害してしまうそこで本発明は、車両の旋回状態を正
確に判断することのできる旋回状態判定装置を提供し、
ひいては、その旋回状態判定装置により得られた旋回状
態であるか否かの情報を用いたABS制御やTRC制御
等の制御性を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
なされた請求項1記載の車両の旋回状態判定装置は、図
1(a)の基本構成図に例示するように、左前輪と右前
輪と左後輪と右後輪との各車輪速度を検出する車輪速度
検出手段M1と、該車輪速度検出手段M1によって検出
された各車輪速度に基づき、左右2輪の速度差を算出す
る左右輪速度差算出手段M2と、上記車輪速度検出手段
M1によって検出された各車輪速度に基づき、左右いず
れか同じ側の前後2輪の速度差を算出する前後輪速度差
算出手段M3と、上記左右輪速度差算出手段M2により
算出された左右2輪の速度差と、上記前後輪速度差検出
手段M3により算出された左右いずれか同じ側の前後2
輪の速度差とに基づいて、車両が旋回状態であるか否か
を判定する旋回状態判定手段M4と、を備えたことを特
徴とする。
【0011】なお、上記旋回状態判定手段M4は、例え
ば上記左右2輪の速度差が所定の設定値以上であり、か
つ上記左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差が所定の
設定値以上である場合に、車両が旋回状態であると判定
するように構成されている。また、請求項2に記載の車
両の旋回状態判定装置は、図1(b)の基本構成図に例
示するように、左前輪と右前輪と左後輪と右後輪との各
車輪速度を検出する車輪速度検出手段M1と、該車輪速
度検出手段M1によって検出された各車輪速度に基づ
き、左右2輪の速度差を算出する左右輪速度差算出手段
M2と、上記車輪速度検出手段M1によって検出された
各車輪速度に基づき、左右いずれか同じ側の前後2輪の
速度差を算出する前後輪速度差算出手段M3と、上記左
右輪速度差検出手段M2により算出された左右2輪の速
度差の積分量を算出する積分量算出手段M5と、該積分
量算出手段M5により算出された左右2輪の速度差積分
量と、上記前後輪速度差検出手段M3により算出された
左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差とに基づいて、
車両が旋回状態であるか否かを判定する旋回状態判定手
段M6と、を備えたことを特徴とする。
【0012】なお、この場合の旋回状態判定手段M6
は、例えば上記左右2輪の速度差の積分量の変化率が所
定の設定値以上であり、かつ上記左右いずれか同じ側の
前後2輪の速度差が所定の設定値以上である場合に、旋
回状態であると判定するように構成されている。
【0013】
【作用】上記構成を有する請求項1記載の車両の旋回状
態判定装置によれば、車輪速度検出手段M1が左前輪と
右前輪と左後輪と右後輪との各車輪速度を検出し、車輪
速度検出手段M1によって検出された各車輪速度に基づ
き、左右輪速度差算出手段M2が左右2輪の速度差を算
出する。そして、車輪速度検出手段M1によって検出さ
れた各車輪速度に基づき、前後輪速度差算出手段M3が
左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差を算出する。
【0014】旋回状態判定手段M4は、左右輪速度差算
出手段M2により算出された左右2輪の速度差と、前後
輪速度差検出手段M3により算出された左右いずれか同
じ側の前後2輪の速度差とに基づいて、車両が旋回状態
であるか否かを判定する。この判定は、例えば請求項2
に記載するように、左右2輪の速度差が所定値以上であ
り、かつ左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差が所定
値以上である場合に、車両が旋回状態であると判定する
ことが考えられる。
【0015】従って、例えば上述した左右一方の側の車
輪が高μ路を走行し、他方の側の車輪が低μ路を走行す
るような「スプリット路」の場合は、車両が直進走行あ
るいは制動している状態でも、左右輪に速度差が発生し
てしまうのであるが、図6(f)に示すように左右いず
れか同じ側の前後2輪の速度差(図6(f)の場合は左
側の前後輪の速度VFL−VRL)はほとんど生じない。そ
のため、旋回状態であるとは判定せず、従来のような誤
判定は起こらない。一方、旋回状態の場合は前後輪の旋
回軌跡が違うために、図6(c)に示すように一定の速
度差が発生する。そのため、例えば左右2輪の速度差が
所定値以上であり、かつ左右いずれか同じ側の前後2輪
の速度差が所定値以上である場合には、必ず車両が旋回
状態であるので、正確に旋回判定ができるのである。
【0016】また、従来は、実際には車両が旋回中であ
っても、旋回中の外側輪が段差に突入すると、一時的に
内外輪差がなくなったり逆転したりして正確な旋回判定
の妨げとなってしまうことを述べた。これに対して請求
項2に記載の車両の旋回状態判定装置によれば、請求項
1と同様に左右2輪の速度差及び左右いずれか同じ側の
前後2輪の速度差を算出し、さらに積分量算出手段M5
が、その算出された左右2輪の速度差の積分量を算出す
る。そして、旋回状態判定手段M6は、積分量算出手段
M5により算出された左右2輪の速度差積分量と、前後
輪速度差検出手段M3により算出された左右いずれか同
じ側の前後2輪の速度差とに基づいて、車両が旋回状態
であるか否かを判定する。この判定は、例えば、左右2
輪の速度差積分量の変化率が所定値以上であり、かつ
右いずれか同じ側の前後2輪の速度差が所定値以上であ
る場合に、車両が旋回状態であると判定することが考え
られる。
【0017】このように、左右2輪の速度差に対しては
連続監視として積分量を用いることにより、上述した旋
回中の外側輪が段差に突入した場合に一時的に内外輪差
がなくなったり逆転したりしても、そのような一次的な
車輪への外乱を吸収して正確な旋回判定を行うことがで
きるのである。
【0018】なお、左右だけでなく左右いずれか同じ側
前後2輪の速度差の積分量も算出し、左右2輪の速度
差積分量と左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差積分
量とに基づいて、車両が旋回状態であるか否かを判定す
るようにしてもよい。但し、この場合、左右と前後とで
は積分量を算出する意味合いは異なる。すなわち、左右
の場合は、例えば上述したように旋回中の外側輪が段差
に突入した場合等に生じ、主に路面状態に起因した、一
次的ではあるが比較的大きな車輪への外乱を吸収するの
が主な目的である。一方、前後の場合は、基本的に一般
的な検出データ処理上の微小外乱あるいは路面上の微小
凹凸による外乱を吸収するのが主な目的である。そのた
め、段差等の外乱に関しては請求項2に記載したように
左右2輪の速度差積分量だけを採用しても十分である。
但し、同じ側の前後輪であっても前輪だけあるいは後輪
だけ段差に突入し他方は突入しない場合も可能性として
はあるので、左右及び前後共に速度差積分量を採用すれ
ば、旋回判定はより確実にはなる。
【0019】
【実施例】以下本発明の車両の旋回状態判定装置の実施
例について説明する。図2は、本実施例の旋回状態判定
装置を備えたアンチスキッド制御装置を、前輪操舵・前
輪駆動の四輪車に適用した例を示すブロック図である。
【0020】図2において、ブレーキペダル20は、真
空ブースタ21を介してマスタシリンダ28に連結され
ている。従って、ブレーキペダル20を踏み込むことに
よりマスタシリンダ28に油圧が発生し、この油圧は、
各車輪(左前輪FL,右前輪FR,左後輪RL,右後輪
RR)に設けられたホイールシリンダ31,32,3
3,34に供給され、ブレーキ力を発生する。
【0021】マスタシリンダ28は互いに同じ圧力のブ
レーキ油圧を発生する二つの圧力室(図示せず)を有し
ており、各圧力室にはそれぞれ供給管40,50が接続
されている。供給管40は、連通管41,42に分岐し
ている。一方の連通管41は、電磁弁60aを介して、
ホイールシリンダ31に連通するブレーキ管43と接続
されている。同様に、他方の連通管42は、電磁弁60
cを介して、ホイールシリンダ34に連通するブレーキ
管44と接続されている。
【0022】供給管50も供給管40と同様な接続関係
にあり、連通管51,52に分岐している。連通管51
は、電磁弁60bを介して、ホイールシリンダ32に連
通するブレーキ管53と接続されている。同様に、連通
管52は、電磁弁60dを介して、ホイールシリンダ3
3に連通するブレーキ管54と接続されている。
【0023】またホイールシリンダ33,34に接続さ
れるブレーキ管54,44中には公知のプロポーショニ
ングバルブ(PV)59,49が設置されている。この
プロポーショニングバルブ59,49は、後輪RL,R
Rに供給されるブレーキ油圧を制御して前後の各車輪F
L〜RRの制動力分配を理想に近づけるものである。
【0024】各車輪FL〜RRには、電磁ピックアップ
式の車輪速度センサ71,72,73,74が設置さ
れ、電子制御回路ECUにその速度信号が入力される。
電子制御回路ECUは、入力された各車輪FL〜RRの
車輪速度VFL〜VRRに基づいて各ホイールシリンダ31
〜34のブレーキ油圧を制御すべく、電磁弁60a〜6
0dに対して駆動信号を出力する。
【0025】電磁弁60a,60c,60b,60d
は、3ポート3位置型の電磁弁で、図2のA位置におい
ては、連通管41,42,51,52とブレーキ管4
3,44,53,54とをそれぞれ連通する。また、B
位置においては、連通管41,42,51,52、ブレ
ーキ管43,44,53,54、及び枝管47,48,
57,58間を全て遮断する。また、C位置において
は、ブレーキ管43,44,53,54と、枝管47,
48,57,58とをそれぞれ連通する。
【0026】枝管47,48は共に排出管81に接続さ
れ、枝管57,58は共に排出管91に接続される。こ
れら排出管81,91は、それぞれリザーバ93a,9
3bに接続されている。リザーバ93a,93bは、各
電磁弁60a〜60dがC位置のとき、各ホイールシリ
ンダ31〜34から排出されるブレーキ液を一時的に蓄
えるものである。このため電磁弁60a〜60dでは、
A位置においてはホイールシリンダ31〜34のブレー
キ油圧を増圧し、B位置においてはそのブレーキ油圧を
保持し、C位置においてはそのブレーキ油圧を減圧する
ことができる。
【0027】ポンプ99a,99bは、リザーバ93
a,93bに蓄積されたブレーキ液を汲み上げてマスタ
シリンダ28側に還流させる。また、チェック弁97
a,98a,97b,98bはリザーバ93a,93b
から汲み上げられたブレーキ液が再びリザーバ93a,
93b側に逆流するのを防ぐためのものである。
【0028】次に、本実施例における車両旋回状態判定
処理について、図3のフローチャートを参照して説明す
る。なお、図3は、本車両旋回状態判定処理を含むアン
チスキッド制御のメインルーチンを表すフローチャート
である。まずステップ110にて車輪速度センサ71〜
74からの速度信号をそれぞれ入力する。そして、ステ
ップ120では、それらの速度信号に基づき、各車輪F
L,FR,RL,RRの車輪速度VFL,VFR,VRL,V
RRを算出し、続くステップ130で、左右輪の速度差D
VLR及び前後輪の速度差DVFRを算出する。本実施
例では、左右輪速度差DVLRとして左右の前輪FL,
FRの速度差VFL−VFRを採用し、前後輪の速度差DV
FRとして左の前後輪FL,RLの速度差VFL−VRLを
採用している。
【0029】そして、ステップ140で上記左右輪速度
差DVLR及び前後輪速度差DVFRそれぞれの積分量
IDVLR,IDVFRを算出し、ステップ150で
は、各積分量の変化率RIDVLR,RIDVFRを算
出する。続くステップ160,170においては、各変
化率RIDVLR,RIDVFRがそれぞれ所定の設定
値以上であるか否かを判断する。
【0030】ステップ160,170で共に肯定判断の
場合、すなわち左右輪速度差積分量の変化率RIDVL
R及び前後輪速度差積分量の変化率RIDVFRが共に
設定値以上の場合には、ステップ180へ進んで車両が
旋回状態であると判定する。そして、ステップ190に
おいて後述するABS制御のモードを旋回モードにセッ
トしてステップ220へ移行する。
【0031】一方、ステップ160,170のいずれか
で否定判断、すなわちいずれかの変化率RIDVLR,
RIDVFRが設定値未満である場合には、ステップ2
00へ進んで車両が非旋回状態であると判定する。そし
て、ステップ210において後述するABS制御のモー
ドを通常モードにセットしてステップ220へ移行す
る。
【0032】ステップ220では、そのセットされたモ
ード(この場合は通常モード又は旋回モード)に応じた
所定のABS制御を行い、その後ステップ110へ戻
る。この車両旋回状態判定処理による結果を図4,5を
参照して説明する。図4(a)〜(e)は、車両が均一
路を直進走行状態から左への旋回状態に移行していく場
合のものであり、(a)は車輪速度VFL,VFR,VRL
を、(b)は左右輪速度差DVLRを、(c)は左右輪
速度差積分量IDVLRを、(d)は前後輪速度差DV
FRを、(e)は前後輪速度差積分量IDVFRをそれ
ぞれ示す。
【0033】一方、図4(f)〜(j)は、車両が直進
制動時に均一路からスプリット路へ移行していく場合の
ものであり、(f)〜(j)はそれぞれ、車輪速度VF
L,VFR,VRL、左右輪速度差DVLR、左右輪速度差
積分量IDVLR、前後輪速度差DVFR、前後輪速度
差積分量IDVFRを示す。
【0034】図4の(c)と(h)を比較すると判るよ
うに、車両が均一路において直進走行状態から旋回状態
へ移行していく場合の左右輪速度差積分量IDVLRの
変化は、車両が直進制動時に均一路からスプリット路へ
移行していく場合の左右輪速度差積分量IDVLRの変
化とほぼ同じ傾向を示す。そのため、上記図3のフロー
チャートにおけるステップ160の判断だけでは、両積
分量の変化率も同じようにあるため、両者の区別がつか
ず、誤判定してしまう可能性が高い。しかし、図4
(i)に示すように前後輪速度差DVFRはほとんどな
く、その積分量IDVFRの傾きも小さいものとなる、
従って、ステップ170の判断において変化率は設定値
以上とはならず、ステップ200へ移行して非旋回状態
であると判定するのである。従って、従来のような誤判
定は起こらない。
【0035】一方、(a)〜(e)に示す旋回状態の場
合は、前後輪の旋回軌跡が違うために、(d)に示すよ
うに一定の速度差DVFRが発生する。そのため、
(c)に示す左右輪速度差積分量IDVLRはもちろん
のこと、前後輪速度差積分量IDVFRもその傾きが大
きいものとなる。従って、ステップ160,170の判
断において変化率が設定値以上となってステップ190
へ移行し、旋回状態であると判定するのである。このよ
うに、誤判定することなく正確に旋回判定ができるので
ある。
【0036】また、従来は、実際には車両が旋回中であ
っても左右一方の側だけが突起に乗り上げたりくぼみに
乗り下げたりする場合(すなわち段差に突入する場
合)、特に旋回中の外側輪が段差に突入すると、一時的
に内外輪差がなくなったり逆転したりして正確な旋回判
定の妨げとなっていた。これに対しても、本実施例の旋
回状態判定処理によれば、左右あるいは前後の速度差D
VLR,DVFRをそのまま判定に使用するのではな
く、連続監視のためにその積分量IDVLR,IDVF
Rを用いることにより、正確な旋回判定を行える。以下
その具体例を図5を参照して説明する。
【0037】図5(a)〜(c)は、車両が均一路を左
に一定旋回している際に右側の車輪が段差に突入する場
合のものであり、(a)〜(c)はそれぞれ、左右前輪
の車輪速度VFL,VFR、左右輪速度差DVLR、左右輪
速度差積分量IDVLRを示す。時刻t1〜t4の間が
段差等による影響が出ている範囲であり、t1までは左
の車輪速度VFLよりも右の車輪速度VFRの方が大きく、
左右輪速度差DVLRは一定である。
【0038】しかし、t1の時点より、右側の車輪速度
VFRが落ち始め、t2ではその差は零となり、t3では
逆転して左の車輪速度VFLの方が大きくなっている。そ
のため、単に速度差DVLRを監視しているだけでは、
正確な旋回判定ができなくなってくる場合も生じる。
【0039】それに対して、本実施例の場合は、図5
(c)のように左右輪速度差積分量IDVLRを算出
し、その変化率RIDVLR(図5には図示せず)を見
ることによって旋回判定を行っている(図3のステップ
160)。段差路面を走行中は、車輪は一瞬浮いて瞬時
にロックに向かうが、すぐさま路面に接地して車輪速度
が復帰する(図5中の時刻t4参照)ため、車輪速度が
落ち込んでから復帰するまでの時間(t1〜t4)は短
い。従って、左右輪速度差積分量IDVLRの変化率R
IDVLRの算出に際し、その時間(t1〜t4)より
も大きい範囲を用いれば、一次的な車輪への外乱を吸収
して正確な旋回判定を行うことができるのである。
【0040】なお、本実施例では、図3に示したよう
に、左右だけでなく前後輪速度差積分量IDVFRも算
出して旋回状態の判定に用いている。この場合、左右と
前後とでは積分量を算出する意味合いは多少異なる。す
なわち、左右の場合は、例えば旋回中の外側輪が段差に
突入した場合等のように、主に路面状態の大きな変化に
起因した、一次的ではあるが比較的大きな車輪への外乱
を吸収するのが主な目的である。一方、前後の場合は、
基本的に一般的な検出データ処理上の微小外乱あるいは
路面上の微小凹凸による外乱を吸収するのが主な目的で
ある。但し、同じ側の前後輪であっても前輪だけあるい
は後輪だけ段差に突入し他方は突入しない場合も可能性
としてはあるので、左右及び前後共に速度差積分量を採
用すれば、判定精度はより確実にはなる。
【0041】以上説明したように、本実施例の旋回状態
判定装置によれば、車両の旋回状態を正確に判断するこ
とができる。従って、その旋回状態判定装置により得ら
れた旋回状態であるか否かの情報を用いたABS制御に
おいては、例えば直進走行時と旋回走行時とでその制御
内容を変えている場合等に、通常モードで制御するべき
ところを旋回モードで制御してしまうといった不適当な
制御を実行してしまうことがなく、より制御性を向上さ
せる。その結果として走行安定性や安全性の向上にも寄
与することとなる。なお、ABS制御に限らず、TRC
制御等、他の走行制御においても同様の効果を発揮す
る。また、走行制御に限らず、旋回状態判定結果をその
制御モードの切換に用いているような各種制御において
も同様な効果を発揮する。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両の旋
回状態判定装置は、車両の旋回状態を正確に判断するこ
とができる。従って、その旋回状態判定装置により得ら
れた旋回状態であるか否かの情報を用いたABS制御
等、旋回状態判定結果に応じて例えば直進走行時と旋回
走行時とでその制御内容を変えている場合等においても
不適当な制御を実行してしまうことがなく、より制御性
を向上させ、結果として走行安定性や安全性の向上にも
寄与することとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施例の旋回状態判定装置を備えたアンチ
スキッド制御装置を示すブロック図である。
【図3】 本車両旋回状態判定処理を含むアンチスキッ
ド制御のメインルーチンを表すフローチャートである。
【図4】 (a)〜(e)は車両が均一路を直進走行状
態から左への旋回状態に移行していく場合のタイムチャ
ート、(f)〜(j)は車両が直進制動時に均一路から
スプリット路へ移行していく場合のタイムチャートであ
る。
【図5】 (a)〜(c)は、車両が均一路を左に一定
旋回している際に右側の車輪が段差に突入する場合のタ
イムチャートである。
【図6】 従来技術を説明するためのタイムチャートで
ある。
【符号の説明】
71〜74…車輪速度センサ、 ECU…電子
制御回路、FL…左前輪、 FR…右前輪、 RL…左
後輪、 RR…右後輪、DVFR…前後輪速度差、
DVLR…左右輪速度差、IDVFR…前後輪
速度差積分量、 IDVLR…左右輪速度差積分量、M
1…車輪速度検出手段、 M2…左右速
度差算出手段、M3…前後速度差検出手段、
M3…前後速度差算出手段、M4,M6…旋回状態
判定手段、 M5…積分量算出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津野 忠章 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−213174(JP,A) 特開 平5−116612(JP,A) 特開 平6−24318(JP,A) 特開 平1−204852(JP,A) 特開 平5−178181(JP,A) 特開 平4−118350(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/00;8/32 - 8/96

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左前輪と右前輪と左後輪と右後輪との各
    車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、 該車輪速度検出手段によって検出された各車輪速度に基
    づき、左右2輪の速度差を算出する左右輪速度差算出手
    段と、 上記車輪速度検出手段によって検出された各車輪速度に
    基づき、左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差を算出
    する前後輪速度差算出手段と、 上記左右輪速度差算出手段により算出された左右2輪の
    速度差と、上記前後輪速度差検出手段により算出された
    左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差とに基づいて、
    車両が旋回状態であるか否かを判定する旋回状態判定手
    段と、 を備えたことを特徴とする車両の旋回状態判定装置。
  2. 【請求項2】 左前輪と右前輪と左後輪と右後輪との各
    車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、 該車輪速度検出手段によって検出された各車輪速度に基
    づき、左右2輪の速度差を算出する左右輪速度差算出手
    段と、 上記車輪速度検出手段によって検出された各車輪速度に
    基づき、左右いずれか同じ側の前後2輪の速度差を算出
    する前後輪速度差算出手段と、 上記左右輪速度差検出手段により算出された左右2輪の
    速度差の積分量を算出する積分量算出手段と、 該積分量算出手段により算出された左右2輪の速度差積
    分量と、上記前後輪速度差検出手段により算出された
    右いずれか同じ側の前後2輪の速度差とに基づいて、車
    両が旋回状態であるか否かを判定する旋回状態判定手段
    と、 を備えたことを特徴とする車両の旋回状態判定装置。
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