JP3380667B2 - 新規生理活性物質pf1092a物質、pf1092b物質及びpf1092c物質,それらの製造法並びにそれらを有効成分とする避妊剤及び制癌剤 - Google Patents
新規生理活性物質pf1092a物質、pf1092b物質及びpf1092c物質,それらの製造法並びにそれらを有効成分とする避妊剤及び制癌剤Info
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Description
の癌に対する治療剤として有用な新規生理活性物質PF10
92A物質、PF1092B物質及びPF1092C物質又はそれらの
塩、並びにその製造法に関する。
り、内分泌器官で生合成される有効なゲスターゲンであ
る。コレステロールから生合成される各種のステロイド
ホルモンの中間体であり、おもな分泌源は黄体と胎盤で
ある。子宮や乳腺においては、エストロゲンの前処理に
よりプロゲステロン受容体が誘導され、プロゲステロン
は、排卵後現れる黄体から分泌され、子宮での受精卵着
床を可能にする。この作用からプロゲステロン−プロゲ
ステロン受容体結合の阻害物質は避妊剤として使用され
ている。
術、副腎摘出術等の外科的内分泌療法が19世紀終わり
頃より盛んに行われてきた。その後、エストロゲン、プ
ロゲステロン等の性ホルモンの構造、生理的機能及びそ
れらのレセプターの研究の進歩とともに、エストロゲン
拮抗剤であるタモキシフェン(Wiseman氏、タモ
キシフェン(Tamoxifen),ジョン・ウィレイ
・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)
出版,England 1994年)の発見により、乳
ガンの内分泌療法は大きく変貌し、外科的内分泌療法か
ら内科的内分泌療法へと移行していった。さらに、合成
ゲスターゲンであるMPA(Medroxyproge
steroneacetate)(飯野祐一等、乳癌の
臨床、第1巻、201〜213頁、1986年)が使用
されるようになり、 LH−RH(Luteinizi
ng hormone releasing horm
one)アゴニストやアロマターゼ阻害物質など作用機
作の異なる薬剤が開発され始めており、乳ガンに対する
内分泌療法は新たな展開を示しつつある。
ガンの治療薬を目的とした、プロゲステロン-プロゲス
テロン受容体の結合阻害物質としては、RU38486[キャ
ンサー・リサーチ(CancerRes.)、49巻、2851-2856
頁、1989年]、ZK98299, ZK112993[ジャーナル・オブ
・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュ
ラ・バイオロジー(J.Steroid Biochem. Molec. Bio
l.)、41巻、339-348頁、1992年]が開発されつつあ
る。しかし、副作用あるいは生産コスト等の問題があ
り、また、その効果は充分なものとは言えず、新たなプ
ロゲステロン-プロゲステロン受容体の結合阻害物質の
発見は、薬剤耐性乳ガンの増加とともに期待されてい
る。
待にこたえるべくプロゲステロンのプロゲステロン受容
体に対する結合を阻害する物質の探索を続けていたとこ
ろ、ペニシリウム属に属する1菌株の培養物中にプロゲ
ステロンのプロゲステロン受容体に対する結合を阻害す
る物質が生産されていることを見いだし、有効物質PF10
92A物質、PF1092B物質及びPF1092C物質を単離し、本発
明を完成させた。さらに本発明の目的は、新規生理活性
物質PF1092A物質、PF1092B物質及びPF1092C物質又はそ
れらの塩、並びにその製造法を提供することにある。
の物理化学的性状を有するPF1092A物質を提供するもの
であり、 (1) 色及び形状:無色針状結晶 (2) 分子式:C17H20O5 (3) マススペクトル (FD-MS): m/z 304 (M)+ (4) 比旋光度:[α]D 24= -10.86°(c 0.5, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax : 322(17,500) nm(ε)(メタノール中) (6) 赤外部吸収スペクトル KBr錠剤で測定したスペクトルを図1に示す。 (7) 1HNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図2に示す通りである。 δ(ppm):5.97(1H), 5.66(1H), 5.28(1H), 4.53(1H), 2.
83(1H),2.19(3H), 2.18(1H), 2.05(OH), 1.97(1H), 1.9
1(3H),1.15(3H), 1.10(3H) (8) 13CNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図3に示す通りである。 δ(ppm):171.8(s), 170.9(s), 149.3(s), 146.3(s), 14
0.4(s),128.7(d), 122.3(s), 107.7(d), 73.6(d), 68.2
(d), 40.2(d),37.8(s), 35.6(t), 21.0(q), 20.9(q), 1
2.7(q), 8.6(q) (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶で、水及
びヘキサンに不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 (11) シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)
によるRf値:ヘキサン-酢酸エチル(1:1)の展開溶
媒で0.25を示す。
の物理化学的性状を有するPF1092B物質を提供するもの
であり、 (1) 色及び形状:無色針状結晶 (2) 分子式:C17H20O5 (3) マススペクトル (FD-MS): m/z 304 (M)+ (4) 比旋光度:[α]D 24= -110.22°(c 0.5, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax : 320(15,100) nm(ε)(メタノール中) (6) 赤外部吸収スペクトル KBr錠剤で測定したスペクトルを図4に示す。 (7) 1HNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図5に示す通りである。 δ(ppm):5.95(1H), 5.57(1H), 5.46(1H), 4.05(1H), 2.
84(1H),2.18(1H), 2.15(3H), 1.97(OH), 1.91(3H), 1.8
3(1H),1.23(3H), 1.22(3H) (8) 13CNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図6に示す通りである。 δ(ppm):170.9(s), 170.2(s), 149.5(s), 146.7(s), 14
2.4(s),124.5(d), 122.4(s), 107.4(d), 72.5(d), 70.5
(d), 41.0(d),38.1(s), 35.8(t), 21.4(q), 21.2(q), 1
2.8(q), 8.6(q) (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶で、水及
びヘキサンに不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 (11) シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)
によるRf値:ヘキサン-酢酸エチル(1:1)の展開溶
媒で0.42を示す。
の物理化学的性状を有するPF1092C物質を提供するもの
であり、 (1) 色及び形状:無色針状結晶 (2) 分子式:C15H18O4 (3) マススペクトル (FD-MS): m/z 262 (M)+ (4) 比旋光度:[α]D 24= -96.36°(c 0.5, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax : 324(14,900) nm(ε)(メタノール中) (6) 赤外部吸収スペクトル KBr錠剤で測定したスペクトルを図7に示す。 (7) 1HNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図8に示す通りである。 δ(ppm):5.96(1H), 5.64(1H), 4.37(1H), 3.93(1H), 2.
83(1H),2.22(OH), 2.20(OH), 2.17(1H), 1.91(3H), 1.2
4(3H),1.20(3H) (8) 13CNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図9に示す通りである。 δ(ppm):171.0(s), 149.3(s), 146.7(s), 141.0(s), 12
9.1(d),122.1(s), 107.8(d), 72.4(d), 69.0(d), 40.3
(d), 37.9(s),35.8(t), 21.5(q), 13.0(q), 8.5(q) (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶で、水及
びヘキサンに不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 (11) シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)
によるRf値:ヘキサン-酢酸エチル(1:1)の展開溶
媒で0.20を示す。
活性物質PF1092物質生産菌を培養し、その培養物から生
理活性物質PF1092物質を採取する生理活性物質PF1092物
質の製造法にある。本発明に使用されるPF1092株は、19
91年に採集された土壌より分離された糸状菌である。
の培養で、直径30〜40mmのコロニーとなる。白
色、なわ状で、分生子をまばらに形成する。裏面はうす
茶色となる。麦芽エキス寒天培地上で生育良く、25
℃、7日間の培養で、直径40〜45mmに達する。白
色、なわ状で、分生子をわずかに形成し、うす茶色の抽
出液を生成する。裏面は淡黄土色となる。37℃の培養
では25℃の培養よりどの培地においても生育が良く、
分生子の形成も良好であった。 (2)形態学的特徴 分生子柄は気菌糸よりほぼ垂直に直立し、粗面、大きさ
30〜70x2.5〜3.5μmである。ペニシリは単
輪生となる。フィアライドは、針状、滑面からわずかに
粗面、分生子柄より4〜8本形成し、大きさは8〜10
x 2.5〜3.0μmである。分生子は球形〜亜球
形、両端がややくぼみ偏平状となり、滑面、大きさは
2.0〜2.5μmである。以上の菌学的性状より、本
菌株を、Penicillium属と同定した。尚、本
菌株は工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM
BP−5350として寄託 されている。PF1092
株は、他のカビに見られるようにその性状が変化し易
い。例えば、PF1092株の、又はこの株に由来する
突然変異株(自然発生又は誘発性)、形質接合体又は遺
伝子組換え体であっても、PF1092物質を生産する
ものは全て本発明に使用できる。
含有する培地で培養する。栄養源としては、従来カビの
培養に利用されている公知のものが使用できる。例え
ば、炭素源としては、グルコース、シュクロース、水
飴、デキストリン、澱粉、グリセロール、糖蜜、動・植
物油等を使用しうる。また、窒素源としては、大豆粉、
小麦胚芽、コーン・スティープ・リカー、綿実粕、肉エ
キス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸
ナトリウム、尿素等を使用しうる。その他必要に応じ、
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コ
バルト、塩素、燐酸、硫酸及びその他のイオンを生成す
ることができる無機塩類を添加することは有効である。
また、菌の発育を助け、PF1092物質の生産を促進するよ
うな有機及び無機物を適当に添加することができる。培
養法としては、好気的条件での培養法、特に米培地での
静置培養及び深部培養法が適している。培養に適当な温
度は15〜40℃であるが、多くの場合26〜37℃付近で培養
する。PF1092物質の生産は培地や培養条件により異なる
が、米培地での静置培養の場合通常10〜20日間で、また
振盪培養、タンク培養のいずれにおいても通常2〜10日
間でその蓄積が最高に達する。培養中のPF1092物質の蓄
積量が最高になった時に培養を停止し、培養液から目的
物質を単離精製する。
に当たっては、その性状を利用した通常の分離手段、例
えば、溶剤抽出法、イオン交換樹脂法、吸着又は分配カ
ラムクロマト法、ゲルろ過法、透析法、沈澱法等を単独
で又は適宜組み合わせて抽出精製することができる。例
えば、PF1092物質は、米培地での培養後、アセトン−水
又は酢酸エチル等で抽出される。PF1092物質を更に精製
するには、シリカゲル(ワコーゲル C-200、和光純薬工
業社製等)、アルミナ等の吸着剤やセファデックス LH-
20(ファルマシア社製)、トヨパールHW-40SF(株式会
社東ソー社製)等を用いるクロマトグラフィーを行うと
よい。以上のような方法により、あるいはこれらを適宜
組み合わせることにより、高純度のPF1092A物質, B物質
及びC物質が得られる。得られたPF1092A物質, B物質及
びC物質の物理化学的性状と化学構造は次の通りであ
る。
構造 (1) 色及び形状:無色針状結晶 (2) 分子式:C17H20O5 (3) マススペクトル (FD-MS): m/z 304 (M)+ (4) 比旋光度:[α]D 24= -10.86°(c 0.5, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax : 322(17,500) nm(ε)(メタノール中) (6) 赤外部吸収スペクトル KBr錠剤で測定したスペクトルを図1に示す。 (7) 1HNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図2に示す通りである。 δ(ppm):5.97(1H), 5.66(1H), 5.28(1H), 4.53(1H), 2.
83(1H),2.19(3H), 2.18(1H), 2.05(OH), 1.97(1H), 1.9
1(3H),1.15(3H), 1.10(3H) (8) 13CNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図3に示す通りである。 δ(ppm):171.8(s), 170.9(s), 149.3(s), 146.3(s), 14
0.4(s),128.7(d), 122.3(s), 107.7(d), 73.6(d), 68.2
(d), 40.2(d),37.8(s), 35.6(t), 21.0(q), 20.9(q), 1
2.7(q), 8.6(q) (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶で、水及
びヘキサンに不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 (11) シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)
によるRf値:ヘキサン-酢酸エチル(1:1)の展開溶
媒で0.25を示す。
り下記の化学構造と決定した。
構造 (1) 色及び形状:無色針状結晶 (2) 分子式:C17H20O5 (3) マススペクトル (FD-MS): m/z 304 (M)+ (4) 比旋光度:[α]D 24= -110.22°(c 0.5, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax : 320(15,100) nm(ε)(メタノール中) (6) 赤外部吸収スペクトル KBr錠剤で測定したスペクトルを図4に示す。 (7) 1HNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図5に示す通りである。 δ(ppm):5.95(1H), 5.57(1H), 5.46(1H), 4.05(1H), 2.
84(1H),2.18(1H), 2.15(3H), 1.97(OH), 1.91(3H), 1.8
3(1H),1.23(3H), 1.22(3H) (8) 13CNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図6に示す通りである。 δ(ppm):170.9(s), 170.2(s), 149.5(s), 146.7(s), 14
2.4(s),124.5(d), 122.4(s), 107.4(d), 72.5(d), 70.5
(d), 41.0(d),38.1(s), 35.8(t), 21.4(q), 21.2(q), 1
2.8(q), 8.6(q) (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶で、水及
びヘキサンに不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 (11) シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)
によるRf値:ヘキサン-酢酸エチル(1:1)の展開溶
媒で0.42を示す。
り下記の化学構造と決定した。
構造 (1) 色及び形状:無色針状結晶 (2) 分子式:C15H18O4 (3) マススペクトル (FD-MS): m/z 262 (M)+ (4) 比旋光度:[α]D 24= -96.36°(c 0.5, CHCl3) (5) 紫外部吸収スペクトル λmax : 324(14,900) nm(ε)(メタノール中) (6) 赤外部吸収スペクトル KBr錠剤で測定したスペクトルを図7に示す。 (7) 1HNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図8に示す通りである。 δ(ppm):5.96(1H), 5.64(1H), 4.37(1H), 3.93(1H), 2.
83(1H),2.22(OH), 2.20(OH), 2.17(1H), 1.91(3H), 1.2
4(3H),1.20(3H) (8) 13CNMRスペクトル:重クロロホルム溶液中
で測定したスペクトルは図9に示す通りである。 δ(ppm):171.0(s), 149.3(s), 146.7(s), 141.0(s), 12
9.1(d),122.1(s), 107.8(d), 72.4(d), 69.0(d), 40.3
(d), 37.9(s),35.8(t), 21.5(q), 13.0(q), 8.5(q) (9) 溶解性:クロロホルム、アセトン、酢酸エチ
ル、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶で、水及
びヘキサンに不溶である。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 (11) シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)
によるRf値:ヘキサン-酢酸エチル(1:1)の展開溶
媒で0.20を示す。
り下記の化学構造と決定した。
特にナトリウム塩の如きアルカリ金属塩、カルシウム塩
の如きアルカリ土類金属塩があり、また製薬学的に許容
できる無機酸あるいは有機酸との酸付加塩等がある。
1092C物質又はそれらの塩は後記の如く、避妊剤あるい
は制癌剤として期待されるものである。医薬品として使
用する場合の製剤化及び投与方法は従来公知の種々の方
法が適用できる。本発明に係わる薬剤組成物は、PF1092
A物質, PF1092B物質及びPF1092C物質又はそれらの塩を
有効成分としてこれに常用される無機又は有機の担体を
加えて、固体、半固体又は液体の形で、経口投与剤のほ
か、外用剤等の非経口投与剤に製剤化する。
剤、顆粒剤、軟・硬カプセル剤、散剤、細粒剤、粉剤、
乳濁剤、懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤、エレキシル
剤等が挙げられる。非経口投与のための製剤としては、
注射剤、点滴剤、輸液、軟膏、ローション、トニック、
スプレー、懸濁剤、油剤、乳剤、坐剤等が挙げられる。
本発明の有効成分を製剤化するには、常法にしたがえば
よく、界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、
安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張剤その他常用される佐薬
を適宜使用する。
の種類、治療ないし予防対象疾病の種類、投与方法、患
者の年齢、患者の症状、処理時間等により相違するが、
静脈投与の場合は成人ひとり当り1日に有効成分を0.01
〜1000 mg/kg、好ましくは0.1〜100 mg/kg投与し、筋肉
投与の場合は同じく0.01〜1000 mg/kg、好ましくは0.1
〜100 mg/kg投与し、経口投与の場合も同じく0.5〜2000
mg/kg、好ましくは1〜1000 mg/kgの範囲内で投与す
る。
の性状が本発明によって明らかにされたので、それらの
性状にもとずきPF1092物質の製造法を種々考案すること
ができる。従って本発明は実施例に限定されるものでは
なく、実施例の修飾手段は勿論、本発明によって明らか
にされたPF1092物質の性状にもとずいて公知の手段を施
してPF1092物質を生産、濃縮、抽出、精製する方法をす
べて包括する。
プトン 0.5%、小麦胚芽 0.6%、酵母エキス 0.3%、大
豆粕 0.2%、炭酸カルシウム 0.2%の組成からなる培地
(殺菌前pHは 7.0)を用いた。また生産培地として、十
分に水を吸収させた米に0.3 %大豆粕を加えた培地を用
いた。前記の種培地(20 ml)を分注した100 ml容三角
フラスコを120℃で15分間殺菌し、これにPenicillium s
p. PF1092株(FERM BP-5350)の斜面寒天培養の1白金
耳を接種し、25℃で3日間振盪培養して種培養とした。
次いで、前記の生産培地(100 g)を分注した500 ml容
三角フラスコを120℃で15分間殺菌し、これに前記種培
養(5 ml)を接種して、よく撹拌後、28℃で 10日間静
置培養した。
より活性成分を抽出し、酢酸エチル層を濃縮乾固し油状
物質 15.3 gを得た。この油状物をシリカゲル(和光純
薬工業社製、Wakogel C-200)カラム(400 g)の上部に
載せ、クロロホルムで洗浄したのち、クロロホルム-メ
タノール(100:1〜100:3)を展開溶媒とするクロマトグ
ラフィーを行い、活性画分を濃縮乾固することにより粗
粉末4.6gを得た。次いで、この粗粉末をシリカゲル(和
光純薬工業社製、Wakogel C-200)カラム(150 g)の上
部に載せ、ヘキサン-酢酸エチル(8:1〜5:1)で洗浄し
たのち、ヘキサン-酢酸エチル(4:1〜3:1)を展開溶媒
としてPF1092B物質を溶出し、濃縮乾固することによりP
F1092B物質を含む粗粉末を282 mgを得た。さらに、ヘキ
サン-酢酸エチル(2:1〜1:1)を展開溶媒としてPF1092A
物質及びPF1092C物質を溶出し、濃縮乾固することによ
りPF1092A物質及びPF1092C物質を含む粗粉末を763 mg得
た。次に、PF1092B物質を含む粉末をクロロホルム−メ
タノール(1:1)を展開溶媒とするセファデックス LH-2
0(700 ml、ファルマシア社製)カラムクロマトグラフ
ィーで精製し、PF1092B物質を含む画分を濃縮乾固し、
無色粉末としてPF1092B物質を157.0 mg得た。更に、PF1
092B物質の無色粉末をクロロホルム-メタノールの混合
液に溶解し、静置することにより、PF1092B物質を無色
針状結晶として49.1 mg得た。一方、シリカゲルカラム
クロマトのヘキサン-酢酸エチル(2:1〜1:1)を展開溶
媒として得られたPF1092A物質及びPF1092C物質を含む粗
粉末をクロロホルム−メタノール(1:1)を展開溶媒と
するセファデックス LH-20(700 ml)カラムクロマトグ
ラフィーで精製し、PF1092A物質を無色粉末として298 m
g、さらに、PF1092C物質を無色粉末として159 mg得た。
次に、PF1092A物質の無色粉末をクロロホルム-メタノー
ルの混合液に溶解し、静置することにより、PF1092A物
質を無色針状結晶として60.0 mg得た。更に、PF1092C物
質の無色粉末を酢酸エチルに溶解し、静置することによ
り、PF1092C物質を無色針状結晶として 30.1 mg得た。
本物質は前記の物理化学的性状を有する。
プロゲステロン受容体結合活性についてはH.Kondoらの
方法[ジャーナル・オブ・アンチバイオチクス(J. Anti
biotics)、43巻、1533-1542頁、 1990年]に従い、次
のようにして測定した:豚の子宮細胞を5mMリン酸緩衝
液中においてポリトロンホモジナイザーにて粉砕した
後、この溶液を遠心分離(100,000 x g、30分間)処理し
て上清を分離した。この上清をプロゲステロン受容体を
含む細胞質画分液とした。
のリガンドである3H−プロゲステロン溶液(3.84
TBq/mmol,18.5kBq/ml)40μl)
細胞質画分溶液(2−3mg蛋白/ml)50μl及び
PF1092A物質、PF1092B物質及びPF10
92C物質を30μM、及びメドロキシプロゲステロン
アセテート(MPA)30μMを入れた試験管中で60
分間、4℃で反応後、0.5%活性炭溶液を100μl
添加した。10分間静置した後、遠心分離(2,000
xg、10分間)処理して得た上清の放射活性を、液体
シンチレーションカウンターによって測定した。被験薬
無添加での放射活性を細胞質画分に対する全結合量、M
PA添加での放射活性を非特異的結合量とし、以下の式
にて阻害率を算出した。 阻害率=[1−〔(被験薬添加時の全結合量−非特異的結合量)/(被験薬無 添加時の全結合量−非特異的結合量)〕] ×100 その結果、PF1092A物質及びPF1092B物質
は30μMで3H−プロゲステロンのプロゲステロン受
容体に対する結合を90%以上阻害した。また、本濃度
におけるPF1092C物質の阻害率は約70%であっ
た。以上の結果よりPF1092A物質、PF1092
B物質及びPF1092C物質はプロゲステロン受容体
に対して結合能を有する事が判明した。
PF1092C物質は、プロゲステロンのプロゲステロン受容
体に対する結合を阻害した。この性質に基づき本発明の
PF1092A物質、PF1092B物質及びPF1092C物質を避妊剤あ
るいは制癌剤、あるいはそれへの変換素材として用いる
ことができる。
ル
MHz 1H NMRスペクトル
MHz 13C NMRスペクトル
ル
MHz 1H NMRスペクトル
MHz 13C NMRスペクトル
ル
MHz 1H NMRスペクトル
MHz 13C NMRスペクトル
Claims (6)
- 【請求項1】 式(I) 【化1】 で表されるPF1092A物質又はその塩。
- 【請求項2】 式(II) 【化2】 で表されるPF1092B物質又はその塩。
- 【請求項3】 式(III) 【化3】 で表されるPF1092C物質又はその塩。
- 【請求項4】 ペニシリウム属(Penicillium属)に属
する、生理活性物質PF1092A物質、PF1092B物質及びPF10
92C物質生産菌を培養し、その培養物から生理活性物質P
F1092A物質、PF1092B物質及びPF1092C物質を採取するこ
とを特徴とする生理活性物質PF1092A物質、PF1092B物質
及びPF1092C物質又はそれらの塩の製造法。 - 【請求項5】 生理活性物質PF1092A物質、PF1092B物質
及びPF1092C物質又はそれらの塩の少なくとも1種を含
有してなる避妊剤。 - 【請求項6】 生理活性物質PF1092A物質、PF1092B物質
及びPF1092C物質又はそれらの塩の少なくとも1種を含
有してなる制癌剤。
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JP1707496A JP3380667B2 (ja) | 1995-01-17 | 1996-01-08 | 新規生理活性物質pf1092a物質、pf1092b物質及びpf1092c物質,それらの製造法並びにそれらを有効成分とする避妊剤及び制癌剤 |
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JP7-20860 | 1995-01-17 | ||
JP1707496A JP3380667B2 (ja) | 1995-01-17 | 1996-01-08 | 新規生理活性物質pf1092a物質、pf1092b物質及びpf1092c物質,それらの製造法並びにそれらを有効成分とする避妊剤及び制癌剤 |
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JPH08253467A JPH08253467A (ja) | 1996-10-01 |
JP3380667B2 true JP3380667B2 (ja) | 2003-02-24 |
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JP1707496A Expired - Fee Related JP3380667B2 (ja) | 1995-01-17 | 1996-01-08 | 新規生理活性物質pf1092a物質、pf1092b物質及びpf1092c物質,それらの製造法並びにそれらを有効成分とする避妊剤及び制癌剤 |
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---|---|---|---|---|
EP0885893A4 (en) | 1996-02-19 | 1999-05-26 | Meiji Seika Kaisha | NOVEL TETRAHYDRONAPHTHOFURANONE DERIVATIVES AND PREPARATION METHOD THEREOF |
-
1996
- 1996-01-08 JP JP1707496A patent/JP3380667B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Cancer Res.,Vol.49,No.11(1989),p.2851−2856 |
Phytochemistry,Vol.34,No.3(1993),p.859−860 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08253467A (ja) | 1996-10-01 |
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