JP3380408B2 - 電縫鋼管用鋼の製造方法 - Google Patents

電縫鋼管用鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明方法は、電縫鋼管用鋼
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年生産される石油・天然ガス中には、
硫化水素を含む場合が非常に多く、さらに海水、淡水な
どの水が共存する場合には、鋼表面で起こる腐食に基づ
く減肉だけではなく、腐食によって鋼表面で発生した水
素が鋼中に侵入することによって破壊を起こすことがあ
り、問題となっている。この破壊は、高張力鋼に古くか
ら認められる硫化物応力割れとは異なり、外部からの付
加応力がなくとも発生が認められる。この破壊は、環境
中から侵入した水素が、母材中に存在する圧延方向に長
く伸びたMnSなどのA系硫化物系介在物と地鉄との境
界に集積してガス化し、そのガス圧によつて発生するも
ので、前記MnSなどのA系硫化物系介在物が鋭い切り
欠きとなり、これを割れの核として板面平行割れれに成
長し、この板面平行割れが板厚方向に連結されるもので
ある。この種の割れを以下「水素膨れ割れ」と呼ぶ。
【0003】こうした水素膨れ割れに対する抵抗の高い
鋼については、従来から様々な研究がなされ、種々の鋼
が提案されている。それらは、例えば特公昭57−17
065号公報あるいは特公昭57−16184号公報な
どにその代表例がみられるごとく、CuやCo添加によ
る割れ防止、極低S化によるMnSの減少、Caあるい
は希土類元素などの添加によるSの固定などを利用する
ものであって、これらの技術によって現在までにかなり
厳しい環境にまで耐え得る鋼が開発されている。
【0004】ところで、電縫鋼管はホットコイルなどの
鋼板を成形して電縫溶接するものであって、言うまでも
なく、鋼板との決定的な相違は溶接部および溶接熱影響
部が存在することである。この電縫溶接郎では、MnS
などの硫化物系介在物が存在しない場合でも水素膨れ割
れを生じることがあり、しかも電縫溶接部の場合には板
面垂直割れ型の水素膨れ割れであることが母材部と異な
っており、母材の板面平行型水素膨れ割れと同等か、あ
るいはそれ以上に重大な欠陥である。しかも、この割れ
は従来の水素膨れ割れに対する対策鋼を使用した電縫鋼
管であっても発生し、上述のような技術では防止できな
い。
【0005】一方において、近年石油・天然ガスが産出
される地域はアラスカ、ロシア、北極海といった極寒地
まで広がっており、こうした地域で使用されるラインパ
イプには母材および電縫溶接部の両方において低温靱性
が優れていることが要求される。このとき、産出流体に
硫化水素を含む場合には低温靱性とともに耐サワー性も
必要であることは言うまでもない。
【0006】電縫鋼管においては、溶接部の靱性が母材
に比べて低下するため、電縫溶接部も企めて靱性の優れ
た電縫鋼管についても従来から様々な研究がなされ、種
々の方法および鋼管が提案されている。それらは、例え
ば特開昭54−136512号公報等にその代表例が見
られるごとく、熱廷工程の仕上温度および巻取温度の管
理による素材の靱性向上、造管後冷却速度の制限による
結晶粒度の制御、固溶Nの減少、NbあるいはVによる
結晶粒の微細化などを利用するものであって、これらの
技術によって現在までに靱性のかなり優れた電縫鋼管が
開発されている。しかしながら、これらの電縫鋼管は、
通常の環境で使用されるものであって、硫化水素や水を
含んだいわゆるサワー環境で使用することを考慮したも
のではない。また、耐サワー電縫鋼管の電縫溶接郎の電
縫衝合部において籾性が母材に比べて著しく劣る場合が
ある。この場合、上述の各種技術をもってしても改善さ
れない。
【0007】このような電縫鋼管の電縫溶接部の水素膨
れ割れおよび靱性低下の原因は、電縫衝合部およびその
両側の熱影響部に存在する板状のCaO、Al2 3
主戌分とする酸化物系介在物であり、母材中に予め存在
した球状に近いこの酸化物系介在物が電縫溶接時の熱影
響によって鋼の融点近くにまで加熱された上、スクイズ
ロールによって両側から加圧されるために、板状に変形
して生成したものである。そこで、特公昭63―164
61号公報では、従来より主に脱酸を目的として添加さ
れてきたAlを極力減少させ、Tiを脱酸元素として使用
することによって、電縫溶接時に変形しやすい介在物の
生成を防止した母材および電縫溶接部の耐サワー性と靱
性に優れた電縫鋼管用鋼を提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】今後、石油・天然ガス
資源の枯渇が懸念され、その産出地域の環境はさらに厳
しくなり、また産出流体の硫化水素合有量も多くなるこ
とが予想される。こうした状況で使用されるラインパイ
プには、母材および電縫溶接部の両方において、これま
で以上の低温靱性、耐サワー性が要求されるようになる
が、これまでの技術では十分ではないことが判明した。
しかして本発明者等は先にTi:0.010〜0.2
%、C:0.01〜0.35%、Si:0.02〜0.
5%、Mn:0.1〜2.0%、Ca:0.0005〜
0.02%を含有し、Al:0.005%以下、P:
0.015%以下、S:0.008%以下に制限し、あ
るいは更に(a)Cu:0.2〜0.6%、Ni:0.
1〜1.0%、Cr:0.2〜3.0%の1種または2
種以上、または(b)Mo:0.1〜1.0%、Nb:
0.01〜0.15%、V:0.01〜0.15%の1
種または2種以上の(a)、(b)何れか一方または双
方を含有し、残りFe及び不可避的不純物からなる鋼を
精錬するに際して、転炉で精錬出鋼した溶鋼を真空脱ガ
ス及び/またはMn、Siによる脱酸を施し溶鋼中の酸
素を250ppm以下とし、次いでTi:10〜70
%、残りFe、Mn、Siのうち1種または2種以上及
び不可避的不純物からなる合金を添加した溶鋼を連続鋳
造する電縫鋼管用鋼の製造方法を開発したが、このよう
な電縫鋼管用鋼の製造方法においては、鋳造時にボイリ
ングが発生して鋳造が不安定になることがある課題が明
らかになった。本発明方法は、このような課題を有利に
解決するためなされたものであり、鋳造を安定化すると
ともに、より一層鋼中介在物の少ない電縫鋼管用鋼の製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明方法の特徴とする
ところは、Ti:0.010〜0.2%、C:0.01
〜0.35%、Si:0.02〜0.5%、Mn:0.
1〜2.0%を含有し、Al:0.005%以下、P:
0.015%以下、S:0.008%以下、残りFe及
び不可避的不純物からなる鋼を精錬し、次いで出鋼した
溶鋼を真空脱ガス及び/またはMn、Siによる脱酸を
施し溶鋼中の酸素を250ppm以下とし、次いでT
i:10〜70%、残りFe、Mn、Siのうち1種ま
たは2種以上及び不可避的不純物からなる合金を溶鋼に
添加し、鋼中Ti:0.01〜0.2%とし、次いで鋼
中Al:0.007%以下添加した後、連続鋳造するこ
とを特徴とする電縫鋼管用鋼の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】最初に、各成分の範囲を上記のご
とく限定した理由を以下に述べる。Cは鋼の強度を最も
安定して向上させる基本的な元素であるため、強度確保
のためには0.01%以上含有させることが必要である
が、0.35%を超えると鋼の靱性に対しては好ましく
ない影響があるので、その範囲を0.01〜0.35%
とする。
【0011】Siは強度を向上させる元素であるので
0.02%以上合有すベきであるが、靱性確保のために
は上限の合有量を0.5%とすべきである。Mnは強度
上必要な元素であるので0.1%以上含有すべきである
が、溶接性および靱性確保のためには上限の含有量を
2.0%とすべきである。
【0012】TiはAlに代えて脱酸に使用する主要な
元素であり、チタン酸化物を主成分とする複合介在物は
電縫溶接時に著しく変形しにくいが、0.01%未満で
はチタン酸化物はCaO、SiO2 、MnOと複合した
介在物を生成する。この介在物はCaOとAl2 3
主成分とする酸化物系介在物と同様に変形しやすく、電
縫溶接時の熱影響によって鋼の融点近くにまで加熱され
た上、スクイズロールによって両側から加圧され、板状
に変形して電縫鋼管の電縫溶接部の水素膨れ割れおよび
靱性低下を招く。一方、Tiがく0.2%を超えると靱
性を低下させるため、Tiは0.01〜0.20%とす
べきである。
【0013】AlはCaおよびOと結合して変形しやす
い介在物を生成するためにCa添加時には0.005%
以下に制限することが好ましいが、通常は介在物中をチ
タン酸化物主体とするために0.007%以下に制限す
るべきであり、少ない程好ましい。Pは母材の水素膨れ
割れを伝播しやすくさせる元素であるので、0.015
%以下とすべきである。SはMnと結合して母材部の水
素誘起割れの超点となるMnSを作るので、母材部の耐
サワー性確保のためには0.008%以下に抑えなけれ
ばならない。
【0014】以上が基本成分系であるが、本発明では、
これらの他にそれぞれの用途に応じて、(a)Ca、
(b)Cu、Ni、Crの1種以上、(c) Mo、N
b、Vの1種以上の(a)、(b)、(c) の何れか、
または3者中2者の組み合わせ、あるいは3者を含有さ
せることができる。まず、Caは鋼中のSをCaSとし
て固定してMnSの生成を防止することによって母材の
耐サワー性向上に非常に有効な元素であり、母材の耐サ
ワー性の確保のために0.0005%以上含有すること
が必要であるが、0.02%を超えるとCaS−CaO
を主成分とする大型介在物を形成するので、上限の含有
量は0.0 2%とすべきである。次に、Cu、Ni、
及びCrは、何れも母材の耐食性向上と鋼中への水素侵
入量減少の効果を有する。Cuは0.20%未滴では効
果がなく、0.60%を超えると熱間加工性に悪影響を
及ぼすので、0.20〜0.60%の範囲に限定する。
Niは0.1%未滴では効果がなく、1.0%を超える
と硫化物応力腐食害割れを誘発するおそれがあるので、
0.1〜1.0%の範囲に限定する。Crは0.20%
未滴では効果がなく、3.0%を超えると鋼の靱性を低
下させるので、0.20〜3.0%の範囲に限定する。
【0015】さらに、Mo、NbおよびVは、何れも鋼
の強度を向上させる元素であって、Moは0.10%以
上、NbおよびVは0.01%以上含有させることによ
って同等の強度向上効果を示すが、Moは1.0%、N
bおよびVは0.15%を超えて添加すると靱性を低下
させるおそれがあるため、Moは0.10〜1.0 %、N
bおよびVはそれぞれ0.01〜0.15%の範囲に限
定する。
【0016】上述の各合金成分は、それぞれ単独に、あ
るいは併用しても、上記の制眼範囲内において本発明が
目的とする効果に何等支障を与えるものではない。不純
物のうちN量は0.010%を超えると溶接性に問題を
生じるので好ましくないものであって、0.010%以
下であれば鋼の材質に著しい影響を及ぼさないが、歪み
時効の影響や円周溶接部の靱性なども考慮すると少ない
程よい。
【0017】一方、O量はCaの大部分が酸化物となら
ずにSの固定に有効に利用されるためには0.010%
以下で少ない程よい。Tiで脱酸した鋼はチタン酸化物
を含む介在物を含有する。このチタン酸化物が主成分で
ある介在物は電縫溶接時に著しく変形しにくく、電縫鋼
管の電縫溶接部の超音波探傷検査(UST)欠陥、水素
膨れ割れおよび靱性低下を防止することが可能である。
【0018】本発明者らは、チタン酸化物を主成分とす
る組成の種々の大きさの介在物を分散させた鋼を実験室
的に溶製、鋳造し、通常の方法で圧延を行って11mm
厚の鋼板とし、通常の工程によって電縫鋼管とした。こ
れらの電縫鋼管の電縫溶接部のUSTによる介在物欠陥
の評価およびこれらの電縫管の電縫溶接部を含んで厚さ
9mm、幅20mm長さ100mmの試験片を採取し、
耐サワー性の評価に供した。また、母材からも同様な寸
法、形状、採取方法の試験片を採取して耐サワー性の評
価試験に供した。耐サワー性の評価試験としては、上記
の試験片をH2Sを飽和させた5%NaCl水溶液に
0.5%CH3 COOHを添加した溶液(温度25℃、
pH2.8〜3.8)中に98時間浸漬して割れを測定
した。割れの発生の有無は、電縫溶接部を含む試験片で
は試験片の断面について超音波探傷し、その後の断面の
検鏡観察によって判定した。
【0019】こうして観察したUST欠陥部および割れ
部の介在物厚み、幅、長さから変形を受ける前の鋳片内
の介在物の大きさを算出した結果、UST欠陥部および
割れ部の介在物は何れも200μmより大きいことが判
った。欠陥が発生しなかった部分を切断して鋼中の介在
物の大きさを測定したが、これには200μm以下の介
在物が検出された。以上のことより、UST欠陥や割れ
を発生させないためには介在物の大きさを200μm以
下とすることが必要であることが推測されたため、20
0μm以下のチタン酸化物を主成分とする組成の介在物
のみを分散させた鋼を実験室的に溶製、鋳造し、通常の
方法で圧延を行って鋼板とし、通常の工程によって電縫
鋼管とした。これらの電縫管の電縫溶接部のUST欠陥
部および耐サワー性の評価試験を行い、超音波探傷して
割れの発生を検査したところ、UST欠陥部および割れ
は発生していなかった。従って、チタン酸化物が主成分
の粒径が200μm以下の酸化物系介在物を鋼中に含有
せしめることが有効である。
【0020】しかしながら、通常の製造方法で製造した
場合には、チタン酸化物が主成分で粒径が200μm以
下の酸化物系介在物のみを鋼中に含有せしめることは困
難である。そこで、本発明者らは、種々の実験検討を行
った結果、脱酸時の過飽和度を小さくすると生成する介
在物の個数および介在物径が小さくなることが判明し
た。過飽和度はTiと酸素の積で決まるので、過飽和度
を小さくする方法としては、脱酸合金中のTi含有量を
低くすることと脱酸時の溶鋼中の酸素を低くすることが
有効である。脱酸合金中のTi含有量が高い場合には溶
鋼中に添加した脱酸合金の周囲にTi濃度の高い部分が
生成して過飽和度が高くなるので、Ti含有量の低い説
酸合金を使用する。
【0021】さらに、酸素濃度と合金中Ti含有量を変化
させた実験検討を行い、酸素濃度および合金中Ti含有
量が低くなるに従って介在物径は小さくなり、酸素を2
50ppm以下とし、かつTi含有量が70%以下の合
金で脱酸することで、最大でも200μmの介在物とな
ることを見出した。Ti含有量か高くなると介在物径が
大きくなるとともに脱酸時にチタン酸化物の割合の高い
介在物が生成し、これが溶鋼中に残存して混在する。T
i濃度が低すぎると合金量が多くなりすぎ、溶鋼温度の
低下が起こって溶鋼の凝固や鋳造が困難になったり、添
加に時間がかかり、生産性に障害を与える。Ti含有量
が高い場合には少量ずつ添加すると部分的に過飽和度の
高い部分が少なくなり有効である。
【0022】また、TiをFeやSiとMnとの合金と
することでTiの活量を下げるとともに部分的に濃度の高
い領域を減少させるため、過飽和度が―層減少し、徴小
な介在物の生成を促進する。以下、本発明の製造方法に
ついてさらに詳細に説明する。まず、転炉で目標とする
0.01〜0.35%のCを含む溶鋼を溶製する。その
際、溶鋼中のCが目標とするC濃度よりも高い場合に
は、出鋼後に真空脱ガス装置等による脱炭処理を行って
所定のC濃度まで低減し、また目標とするC濃度よりも
低い場合には、出鋼後にCを添加して所定のC濃度とす
る。また、溶鋼を出鋼する際、必要に応じてFe−Mn
を投入してもよい。
【0023】次に、出鋼した溶鋼をMn、Siおよび/
または真空脱ガス処理による予備脱酸を行って溶鋼中の
酸素を250ppm以下とする。Alは低い方がよいの
で、Fe−MnやFe−Siを添加してMn、Siによ
り脱酸を行う。Mn、Siの添加量は脱酸時に添加する
Ti合金中に含まれるSiやMnによって増加する量を
考慮して添加する。また、MnやSiは脱酸力が弱いの
で、製品によっては目標範囲内では溶鋼中の酸素を25
0ppm以下にすることが困難な場合があるので、その
際には真空脱ガス処理により真空脱酸を行って酸素を下
げる。このとき、必要があればC源を溶鋼中に添加して
もよい。
【0024】溶鋼中の酸素が250ppmより高くなる
と、Ti合金を多量に添加することが必要になり、後述
するように脱酸時の過飽和度が大きくなりすぎてTi添
加時に高融点で粗大なチタン酸化物が多数生成し、さら
にこれらが凝集して大きな介在物となる。このようにし
て溶鋼中の酸素を250ppm以下に調整した溶鋼に、
化学組成がTi:10〜70重量%の成分と残部はF
e、Mn、Siのうち1種または2種以上および不可避
的不純物とからなる合金を添加して、Tiを溶鋼成分と
して0.01〜0.2%含有させる。さらに、他の成分
を調整するのに必要な合金を添加して所定の成分とす
る。
【0025】このようにTiを0.01〜0.2%含有
すると、Ti脱酸においては、鋼中の溶存酸素が低下せ
ず、鋳造中にCOガスが発生してボイリングを起こして
鋳造不可能になることがある。特に、鋼中C:0.1%
以上の高濃度C鋼においては顕著である。このようなこ
とからAl添加により鋼中酸素を低下してから、Tiを
添加するとAl添加時に粗大なアルミナ(Al系酸化
物)が大量に発生し、Tiを添加しても反応しないの
で、そのまま残り欠陥の原因となる。しかして、前記の
ごとく真空脱ガス処理等により鋼中酸素を250ppm
以下にした溶鋼中へTiを0.01〜0.2%添加し、
次いでAl添加することによって、すでにTi添加によ
り鋼中酸素が脱酸され低下しているので、0.007%
以下と少量のAl添加で溶存酸素もさげることができ、
鋳造時のボイリング発生もほとんどなく安定した鋳造が
できる。しかもAl添加時の過飽和度が低くなるため粗
大な介在物(アルミナ)の生成がほとんどなくなり、品
質を向上することができるものである。
【0026】また、1回目のTi添加により鋼中Ti量
を0.02%以下にして鋼中酸素量を約150ppmに
脱酸した後、さらに2回目Ti添加で鋼中Ti0.01
〜0.2%にして脱酸し、次いでAlを0.007%以
下添加することによって、一層介在物の生成を減少させ
ることができる。即ち、上記1回目のTi添加において
は、低融点介在物が確実にTi濃度になるごとく0.0
2%以下添加する。このように1回目のTi添加による
脱酸時に生成した低融点介在物は浮上し易く、粗大な介
在物が生成しても真空脱ガス処理等において容易に浮上
し、除去することができる。次いで、2回目Ti添加に
おいては、1回目Ti添加で鋼中酸素が低下しており、
粗大な介在物はほとんど生成せず、また、Ti添加歩留
りも安定する。このよな2回目のTi添加による脱酸に
よって鋼中酸素が低下しており、少量Al添加で過飽和
度が大きくならず、生成するAl系介在物もほとんどな
く、粗大介在物も生成しない。Al添加量は、0.00
7%以下で介在物はチタン酸化物を主成分とする、変形
しにくい介在物となるので欠陥とはならず、0.001
%以上あれば鋼中酸素量が20ppm以下となり、CO
ガスの発生はほとんどなく安定した鋳造も可能となる。
【0027】更に、1回目のTi添加量を0.015%
以下にして低融点介在物を生成させ生成介在物を浮上し
易くし、次いで2回目にTiを0.015〜0.05%
とAl0.003〜0.007%を添加した後、Tiを
0.2%以下まで添加することによっても上記同様に介
在物の少ない、しかも安定した鋳造が可能になる。この
ような処理は、例えば真空脱ガ処理時に数分間隔で添加
することによって、確実に鋼中介在物を減少するととも
に、鋳造に好適な脱酸を施すことができる。
【0028】このようにして溶製した溶鋼中にはチタン
酸化物が主成分で最大でも200μmの介在物のみを含
有し、この溶鋼は通常と同じ方法でタンディッシュを通
して連続鋳造機で鋳造することが可能である。さらに、
この鋳片を通常と同じ方法で熱間圧延、あるいは熟間圧
延直後の制御冷却工程、さらには圧延材を焼準、焼戻し
あるいは焼入れ、焼戻しする等、通常の鋼材に使用され
る製造工程を適用して鋼板にした後、通常の工程によっ
て電縫鋼管とする。さらに、この電謎鋼管の一部または
全体に焼率、焼戻しあるいは焼入れ、焼戻しする工程を
適用してもよい。何れの工程を適用または併用するか
は、硬度、靱性などの特性確保の必要に応じて決定すれ
ばよい。
【0029】
【実施例】次に、本発明方法の実施例を比較例とともに
挙げる。表1、表2(表1のつづき)は本発明および比
較する従来法の鋼の製造方法例である。270トン転炉
で溶製した溶鋼のMn、Si等を調整した後、真空脱ガ
ス処理に際して表示のごとくTi(脱酸合金)、Alの
添加とともに、電縫鋼管用鋼としての選択金属元素を添
加して、厚み245mm、幅1000mmの鋳片に連続
鋳造した。鋳造した鋳片の一部を採取して断面を調査
し、介在物の組成、大きさ、形状を調べた。その結果を
表3、表4に示す。本発明によるものは、鋳片内にチタ
ン酸化物を主体とする組成で、かつ200μm以下の大
きさの球形の介在物が検出されており、Al2 3 、C
aOを主成分とする介在物は検出されなかった。さらに
鋳造した鋳片を常法により10.4mm厚の鋼板に熱間
圧延した後、通常の工程によって外径165mmの電縫
鋼管とした。この鋼管を超音波探傷して欠陥を検出し
た。本発明によるものは、電縫溶接部、母材とも不良率
が比較例と比べて大きく減少していた。その結果を表3
に示す。比較例の1〜3は本発明とと同じ方法を適用し
たものであるが、本発明の限定範囲を越えたものであ
り、4〜6は従来法である。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】(表1のつづき)
【0032】
【表3】(表2のつづき)
【0033】注1:転炉で溶製後の溶鋼を真空脱ガス処
理(0.8トール)時に以下のごとく脱酸金属を添加し
た。Aは、Ti量として、鋼中Ti量を添加5分処理後
に鋼中Alをそれぞれ表に示す量を添加した。Bは、T
i量として、0.02%以下0.008%添加5分処理
後、鋼中Ti量として表に示す量になるごとく添加5分
処理後、Alを表示のごとく添加した。Cは、Ti量と
して、0.015%以下0.008%5分処理後、更に
Ti量として、表に示す量になるごとく添加5分処理
後、Alを表示のごとく添加した。 注2:最大介在物径は、鋳造後の鋳片内の最大介在物
径。 注3:鋳片内介在物量は、比較例1を1としたときの
値。
【0034】
【発明の効果】本発明方法によれば、鋼中介在物を著し
く軽減して、品質を向上することができる。また、連続
鋳造においては安定した鋳造ができる等の優れた効果が
得られるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/14 C22C 38/14 38/58 38/58 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti:0.010〜0.2%、C:0.
    01〜0.35%、Si:0.02〜0.5%、Mn:
    0.1〜2.0%を含有し、Al:0.005%以下、
    P:0.015%以下、S:0.008%以下、残りF
    e及び不可避的不純物からなる鋼を精錬し、次いで出鋼
    した溶鋼を真空脱ガス及び/またはMn、Siによる脱
    酸を施し溶鋼中の酸素を250ppm以下とし、次いで
    Ti:10〜70%、残りFe、Mn、Siのうち1種
    または2種以上及び不可避的不純物からなる合金を溶鋼
    に添加し、鋼中Ti:0.01〜0.2%とし、次いで
    鋼中Al:0.007%以下添加した後、連続鋳造する
    ことを特徴とする電縫鋼管用鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 Ca:0.0005〜0.02%含有せ
    しめたことを特徴とする請求項1に記載の電縫鋼管用鋼
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 Cu:0.2〜0.6%、Ni:0.1
    〜1.0%、Cr:0.2〜3.0%の1種または2種
    以上含有せしめたことを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の電縫鋼管用鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 Mo:0.1〜1.0%、Nb:0.0
    1〜0.15%、V:0.01〜0.15%の1種また
    は2種以上含有せしめたことを特徴とする請求項1また
    は請求項2または請求項3に記載の電縫鋼管用鋼の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 鋼中Ti:0.02%以下添加後、更に
    鋼中Ti:0.01〜0.2%に添加調整し、次いで鋼
    中Al:0.007%以下添加した後、連続鋳造するこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3
    または請求項4に記載の電縫鋼管用鋼の製造方法。
  6. 【請求項6】 鋼中Ti:0.015%以下添加後、更
    に鋼中Ti:0.015超〜0.05%、Al:0.0
    07%以下に添加調整し、次いで鋼中Ti:0.015
    〜0.2%に添加調整後、連続鋳造することを特徴とす
    る請求項1または請求項2または請求項3または請求項
    4に記載の電縫鋼管用鋼の製造方法。
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