JP3376882B2 - 曲げ性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製法 - Google Patents

曲げ性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、曲げ加工を主体とし
た成形法によって製造される耐食性高強度部材(例えば
ドアガ−ドバ−やロッカ−インナ−レインフォ−スとい
った自動車の衝突安全を確保するための部品等)に好適
な、曲げ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法に関するものである。 【0002】 【従来技術とその課題】近年、自動車の安全及び軽量化
対策として「鋼板の高張力化」に関する技術の開発にし
のぎが削られているが、同時に自動車の更なる寿命延長
を求める声に応えるべく“使用する冷延鋼板”の防錆力
向上にも大きな努力が払われるようになってきた。特
に、最近では自動車の衝突安全に対する関心がひときわ
高まり、例えばロッカ−インナ−レインフォ−ス等とい
った“衝突安全のための補強部品”の高性能化指向も一
段と強まって、引張強さ780〜1180N/mm2級の高
張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を適用することが望まれ
るまでになっている。 【0003】ただ、生産面で比較的簡易な工程を採用で
きる析出強化策のみでは鋼板に引張強さ780N/mm2
以上の高強度を付与することは困難で、この場合には変
態強化を主体とした高強度化手法の適用が必要となる。
そこで、例えば特開昭55−125235号公報には、
「素材成分としてMoを添加すると共に、 “素材である冷
延鋼板の加熱処理温度から溶融亜鉛めっきを施すまでの
区間”及び“めっきの合金化処理を終えてから300℃
に至るまでの区間”の冷却速度がMn量,Mo量により決ま
る“臨界冷却速度”以上となるように制御してマルテン
サイトを多く残存させることで高強度を得る方法」が提
案されている。また、特開昭56−142821号公報
には、「素材のMnとCrの含有量を制御すると共に、 “素
材である冷延鋼板の加熱処理後のA1 変態点から溶融亜
鉛めっきを施すまでの区間”及び“めっきの合金化処理
を終えてからMs 変態点以下に至るまでの区間”を高い
冷却速度で急速冷却することでマルテンサイト量を多く
生成させ、 高強度を得る方法」が開示されている。 【0004】しかしながら、これらの方法によって得ら
れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は軟質なフェライトと硬
質なマルテンサイトの混在する不均一な組織となってお
り、主に曲げ加工主体の成形がなされるロッカ−インナ
−レインフォ−ス等といった補強部品の材料として必要
な加工特性、即ち“曲げ性”の点でユ−ザ−の要求レベ
ルを満足することができなかった。 【0005】一方、特開平4−173946号公報に
は、「素材成分としてNbを添加すると共に、 “素材であ
る冷延鋼板の加熱処理温度から650〜500℃までの
区間”を20℃/s以下の冷却速度で冷却し、 この徐冷と
Nbの作用とによってめっき浴温度以上でのベイナイトの
生成を抑制した後、 続く“めっき浴までの区間”と“め
っきの合金化処理を終えてからMs 変態点以下に至るま
での区間”を高い冷却速度で急速冷却してパ−ライトや
ベイナイトの生成量を抑えつつフェライト・ベイナイト
・マルテンサイトの均一微細な組織とすることで、 穴拡
げ性に優れた鋼板を得る方法」が提案されている。 【0006】しかし、この方法において重要な役割を担
うNbは炭化物を形成して強い析出強化を示す成分であ
り、そのため鋼板の降伏比(降伏強度と引張強度の比)
を上昇させて成形加工時の形状凍結性を阻害するので、
成形加工用材料の製造方法としては満足できるものでは
なかった。なお、Nb含有鋼板の降伏強度を下げるには
“マルテンサイトを多く含む不均一組織”とするのが有
効であるが、鋼板組織をこのような不均一組織にした場
合には十分な曲げ性が得られないことは前述した通りで
ある。 【0007】このようなことから、本発明が目的とした
のは、前述した従来技術の問題点を解決し、“780〜
1180N/mm2級の高強度”と“優れた曲げ性”を示す
高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の安定した製造方法を
提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行った結果、「素材鋼中にMoと
Vの適量添加を行って冷延鋼板製造すると共に、 この冷
延鋼板にめっき処理を施す際の熱履歴が特定のパタ−ン
をたどるように条件制御すると、 鋼板の組織が“ベイナ
イトとマルテンサイトが主体の組織”となり、 形状凍結
のために有利な70%以下の降伏比であって、 かつ曲げ
性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られ
る」との新しい知見を得ることができた。 【0009】本発明は上記知見事項等に基づいてなされ
たものであり、「C:0.07〜0.18%(以降、 成分割合を
表す%は重量%とする),Si: 0.3%以下, Mn:
1.8〜 2.7%, P:0.03%以下,S: 0.010%以
下, Al: 0.005〜0.08%, N:0.0080%以下,Mo:
0.03〜0.50%, V:0.01〜0.06%, Ti:0.04%以
下,N:0.0080%以下, Ca:0〜0.01% を含み残部が実質的にFe及び不可避不純物から成る鋼片
に熱間圧延及び冷間圧延を施してから合金化溶融亜鉛め
っきを施すに際して、 上記冷間圧延を施した鋼板を75
0〜930℃で5秒間以上加熱した後、 5〜30℃/sの
冷却速度で460〜530℃まで冷却し、 この460〜
530℃の温度域に10〜50秒間保持してから溶融亜
鉛めっきを施し、 更に480〜650℃の温度範囲で合
金化処理を施すことにより、 曲げ性に優れる高張力合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を安定製造できるようにした点」
に大きな特徴を有するものである。 【0010】 【作用】以下、本発明において素材鋼片の化学組成並び
にめっき処理条件を前記の如くに限定した理由を説明す
る。 (A) 素材鋼片の化学組成 :Cは鋼板に高張力を確保する上で重要な成分である
が、その含有量が0.07%未満では所望の高張力を得るこ
とができず、一方、0.18%を超えてCを含有させると鋼
板の靱性が低下する。従って、C含有量を0.07〜0.18%
と定めたが、より好ましくは0.08〜0.16%に調整するの
が良い。 【0011】Si:Siは溶融亜鉛めっきの合金化を抑制す
る好ましくない元素であるが、 0.3%までは含有が許容
されるので、Si含有量については 0.3%以下と定めた。
しかし、より好ましくは 0.1%以下に抑えるのが良い。 【0012】Mn:Mnは、オ−ステナイトの安定化作用を
通じて鋼板に硬質相を生成させ鋼板を高張力化するのに
必要な成分であるが、その含有量が 1.8%未満では必要
な高張力を得ることができず、一方、 2.7%を超えてMn
を含有させるとバンド組織が発達して鋼板の曲げ性が低
下する。従って、Mn含有量については 1.8〜 2.7%と定
めたが、より好ましい範囲は 2.1〜 2.7%である。 【0013】:Pは鋼板の靱性を劣化させる好ましく
ない元素であるが、0.03%までは含有が許容されるの
で、P含有量については0.03%以下と定めた。しかし、
より好ましくは 0.015%以下に規制するのが良い。 :SはMnSを形成して鋼板の曲げ性を劣化させる好ま
しくない元素であるので、その含有量を 0.010%以下と
定めたが、好ましくはS含有量を0.0050%以下とするの
が良く、更に好ましいのは0.0015%以下に抑えることで
ある。 【0014】Al:Alは鋼の脱酸のために添加される成分
であるが、その含有量が 0.005%未満では脱酸効果が不
十分であり、一方、0.08%を超えてAlを含有させてもそ
の効果が飽和するので経済的に不利となる。従って、Al
含有量は 0.005〜0.08%と定めた。 【0015】Ti:TiはTiNとして鋼中のNを固定しスラ
ブのひび割れを防止する効果を発揮する成分であるが、
0.04%を超えて含有させてもその効果が飽和する上、多
量に添加すると炭化物として鋼板中に析出する量が多く
なって降伏比を上げ、成形時の形状凍結性を劣化させ
る。従って、Ti含有量の上限を0.04%と定めた。 【0016】:Nは、スラブ鋳造過程で窒化物として
析出しスラブのひび割れの原因となる好ましくない元素
である。従って、N含有量を0.0080%以下と定めた。 【0017】Mo:Moは本発明において重要な成分であ
る。即ち、MoはMnと同様にオ−ステナイトを安定化する
ことで硬質相を生成し、鋼板を高張力化する上で欠かせ
ない元素であるが、Mnとは違ってバンド状組織が形成し
にくく、得られる高強度に比べ加工性の劣化が小さい。
ただ、Mo添加による前記効果はその含有量が0.03%未満
では発揮されず、一方、0.50%を超えてMoを含有させて
もその効果が飽和するばかりか、コスト的にも不利にな
る。従って、Mo含有量については0.03〜0.50%と定めた
が、より好ましくは0.05〜0.20%とするのが良い。 【0018】:Vも本発明において重要な成分であ
る。即ち、Vには析出強化作用があるが、その作用はNb
やTiに比べると弱く、そのためそれが幸いして軟質な相
を適度に強化し、全体を均一な組織として、形状凍結性
に影響する降伏比を上げずに鋼板の曲げ性を改善する。
ただ、Vによる前記効果は0.01%未満の含有量では得ら
れず、一方、0.06%を超えてVを含有させると析出量が
多くなって鋼板の降伏比を上げるので好ましくない。従
って、V含有量は0.01〜0.06%と定めたが、好ましくは
0.02〜0.06%、更に好ましくは0.04〜0.06%の範囲に調
整するのが良い。 【0019】Ca:Caは必要に応じて添加される成分であ
る。即ち、Caには鋼板中の介在物を制御し、MnSの量を
減少する効果があるので必要に応じて添加されるが、0.
01%を超えてCaを含有させてもその効果が飽和し、経済
的でない。従って、Ca含有量は0〜0.01%と定めた。 【0020】なお、以上に示した化学組成の鋼は、例え
ば転炉,電気炉又は平炉等により溶製される。本発明に
おいては、鋼種もリムド鋼,キャップド鋼,セミキルド
鋼又はキルド鋼の何れでも良い。更に、鋼片の製造につ
いても、造塊−分塊圧延あるいは連続鋳造の何れの手段
によっても構わない。 【0021】(B) めっき処理条件 本発明において、前記化学組成の鋼片は、常法通りに熱
間圧延及び冷間圧延が施されて所要厚さの冷延鋼板とさ
れる。つまり、熱間圧延は、通常通り鋼片を1100〜
1280℃に加熱保持してから実施し、連続熱間仕上圧
延を750〜950℃で終了した後、500〜700℃
の温度範囲で巻取る等の条件で行えば良い。なお、熱間
圧延に際して加熱炉に挿入する鋼片は、鋳造後の高温の
ままのスラブであっても、室温で放置されたスラブであ
っても構わない。また、この熱延鋼帯を冷間圧延するに
当って、一般には常法通りに酸洗が施される。 【0022】本発明では、次の工程であるめっき処理の
条件が重要である。即ち、次の工程では前記特定化学組
成の冷延鋼板にめっき処理が施されるが、この処理工程
は、まず上記冷延鋼板を750〜930℃の温度に5秒
間以上加熱した後、5〜30℃/sの冷却速度で460〜
530℃の温度域まで冷却し、この温度域(460〜5
30℃)で10〜50秒間保持してから溶融亜鉛めっき
を施し、更に480〜650℃の温度範囲で合金化処理
を施す条件で実施される。なお、図1は本発明方法が適
用される合金化溶融亜鉛めっきラインでの鋼板の熱履歴
を説明したものである。 【0023】ここで、冷延鋼板の加熱温度が750℃未
満では、例え再結晶温度以上であったとしてもオ−ステ
ナイト化が不十分なため、処理後の鋼板は粗大なフェラ
イトとマルテンサイトの不均一な混合組織となって曲げ
性が低下する。また、冷延鋼板の加熱温度が930℃を
超えるとオ−ステナイトが粗大化し、処理後の鋼板は組
織が不均一となり曲げ性が劣化する。従って、冷延鋼板
の加熱温度を750〜930℃と定めたが、好ましくは
800〜860℃とするのが良い。また、十分にオ−ス
テナイト化するには、前記温度域での5秒以上の保持が
必要である。 【0024】加熱後の鋼板は、5〜30℃/sの冷却速度
で460〜530℃の温度域まで冷却される。この際、
冷却速度が5℃/s未満であると冷却途中での炭化物析出
量が多くなって、処理後の鋼板は曲げ性が劣化する。一
方、30℃/sを超える冷却速度では硬質相の生成量が多
くなりすぎ、処理後の鋼板は伸び及び曲げ性が劣化す
る。 【0025】冷却後の鋼板は、460〜530℃の温度
域に10〜50秒間保持した後、溶融亜鉛めっきされ
る。本発明においては、この“保持”が特に重要であ
る。即ち、この特定温度域での保持中にベイナイト変態
が生じ、過度のマルテンサイト変態による曲げ性の劣化
が抑制される。また、この保持中にV炭化物が適量生成
して均一な鋼板強度が達成され、曲げ性を劣化させるこ
となく高張力が確保される。この場合、保持温度が46
0℃未満であったり保持時間が10秒未満であったりす
ると、ベイナイト生成量が減少してマルテンサイト量が
増加するだけでなくV炭化物の析出量も不足し、処理後
の鋼板は曲げ性が劣化する。一方、530℃を超える温
度で保持してもベイナイト生成量が減少するためマルテ
ンサイト量が増加し、処理後の鋼板は曲げ性が劣化して
しまう。また、上記温度域での保持時間が50秒を超え
ると過度にベイナイト変態が進行してマルテンサイト量
が不足し、降伏比が高くなってしまう。なお、この際の
より好ましい保持温度は460〜500℃である。 【0026】溶融亜鉛めっき後のめっき鋼板は、続いて
480〜650℃に加熱されてめっきの合金化が行われ
る。この場合、加熱温度が480℃未満では、合金化が
不十分で表面の摺動性が悪くなって加工性が劣化する。
一方、加熱温度が650℃を超えると、過度に合金化が
進行してしまって合金化めっき鋼板の加工中におけるめ
っき剥離が問題となると共に、鋼板の硬質相が焼き鈍し
されるので目標の強度を確保することが困難となる。 【0027】次いで、実施例によって本発明をより具体
的に説明する。 【実施例】まず、転炉にて表1に示す各種化学組成の鋼
を溶製した後、連続鋳造にてスラブとした。 【0028】 【表1】 【0029】次に、得られた各スラブを1200℃に加
熱してから、仕上温度:890℃,巻取温度:610℃
の条件で 2.3mm厚の熱延鋼板を製造し、続いて、これら
を酸洗してから 1.0mm厚まで冷間圧延を行った。そし
て、このようにして得られた各冷延鋼板に対し、表2に
示す条件で合金化溶融亜鉛めっきを施した。 【0030】 【表2】【0031】続いて、上述のように製造された各合金化
溶融亜鉛めっき鋼板から圧延方向と直角にJIS5号引
張試験片を採取し、引張試験を実施した。また、これと
は別に各合金化溶融亜鉛めっき鋼板からシャ−切断にて
曲げ試験片を採取し、曲げ試験も実施した。これらの試
験結果を表3に示す。 【0032】 【表3】【0033】表3に示される試験結果等から次のことが
確認された。即ち、本発明方法に従って製造された試験
番号1〜4及び試験番号16〜18に係る合金化溶融亜鉛め
っき鋼板は、何れも形状凍結性に有利な70%以下の降
伏比を示すと共に、限界曲げ半径も2.0t以下であり、良
好な加工性を有している。また、これらの鋼板は何れも
ベイナイトとマルテンサイト主体の組織となっているこ
とも確認された。 【0034】これに対して、めっき処理に際しての加熱
温度が低い試験番号5と加熱時間の短い試験番号7に係
る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は曲げ性に劣っている。な
お、これらの鋼板は何れも粗大フェライトとマルテンサ
イトの混合組織となっていることが確認された。また、
めっき処理に際しての加熱温度が高い試験番号6に係る
合金化溶融亜鉛めっき鋼板も曲げ性にも劣っている。そ
して、この鋼板は結晶粒径が大きくなっていることが確
認された。 【0035】更に、加熱処理後の冷却速度が遅い試験番
号8に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、炭化物の生成
が顕著だったために強度が低く、曲げ性にも劣ってい
る。一方、加熱処理後の冷却速度が速い試験番号9に係
る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、マルテンサイト量が増
加したためにやはり曲げ性に劣っている。 【0036】そして、溶融亜鉛めっき前の保持温度が高
かった試験番号10に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
保持中のべイナイト変態量が少なかったためにマルテン
サイト量が増加し、曲げ性が低くなっている。これに対
して、溶融亜鉛めっき前の保持温度が低かった試験番号
11に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、V炭化物の析出
量が少なかったためにやはり曲げ性に劣る結果となって
いる。また、溶融亜鉛めっき前の460〜530℃での
保持時間が長すぎた試験番号12に係る合金化溶融亜鉛め
っき鋼板は過度にベイナイト変態が進行したために降伏
比が高く、一方、この保持時間が短かすぎた試験番号13
に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板はベイナイト生成量と
V炭化物析出量が少なかったために曲げ性に劣る結果と
なっている。 【0037】更に、合金化温度の低かった試験番号14に
係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、引張試験及び曲げ試
験では良好な特性を示したものの、めっきの合金化が不
十分で表面の摺動性に劣ることが確認された。一方、合
金化温度が高すぎた試験番号15に係る合金化溶融亜鉛め
っき鋼板は、合金化が過度に進み、加工時のめっき剥離
が問題となった。 【0038】そして、鋼板成分としてのMoの含有量が少
ない試験番号19に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、V
の含有量が本発明規定範囲を超えた試験番号21に係る合
金化溶融亜鉛めっき鋼板は、何れも降伏比が高く、一
方、V含有量が少なすぎる試験番号20に係る合金化溶融
亜鉛めっき鋼板は曲げ性に劣る結果となっている。ま
た、鋼板成分としてNbを含有する試験番号22及び23に係
る合金化溶融亜鉛めっき鋼板では降伏比が高くなってい
ることが分かる。更に、試験番号24に係る合金化溶融亜
鉛めっき鋼板のように、めっきに際しての加熱後の冷却
速度を上げてマルテンサイト量を増加させると、Nbが含
有されているにもかかわらず降伏比は低下したが、曲げ
性については劣る結果となっている。 【0039】 【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、高張力と優れた曲げ性を示す合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を安定製造することが可能となり、この合金化溶融
亜鉛めっき鋼板をロッカ−インナ−レインフォ−スなど
自動車の補強部品等の材料として適用することでその性
能や生産性の更なる向上が望めるなど、産業上有用な効
果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明方法が適用される合金化溶融亜鉛めっき
ラインでの鋼板の熱履歴に関する説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−179402(JP,A) 特開 平5−105960(JP,A) 特開 平4−173945(JP,A) 特開 平9−25538(JP,A) 特開 平6−316729(JP,A) 特開 平1−198459(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40 C21D 9/46 C21D 9/48

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量割合にて、 C:0.07〜0.18%, Si: 0.3%以下, Mn: 1.8
    〜 2.7%,P:0.03%以下, S: 0.010%以下,
    Al: 0.005〜0.08%,N:0.0080%以下, Mo:0.
    03〜0.50%, V:0.01〜0.06%,Ti:0.04%以下,
    N:0.0080%以下, Ca:0〜0.01% を含み残部が実質的にFe及び不可避不純物から成る鋼片
    に熱間圧延及び冷間圧延を施してから合金化溶融亜鉛め
    っきを施すに際して、上記冷間圧延を施した鋼板を75
    0〜930℃で5秒間以上加熱した後、5〜30℃/sの
    冷却速度で460〜530℃まで冷却し、この460〜
    530℃の温度域に10〜50秒間保持してから溶融亜
    鉛めっきを施し、更に480〜650℃の温度範囲で合
    金化処理を施すことを特徴とする、曲げ性に優れる高張
    力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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