JP3376542B2 - 包装構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】 本発明は、滅菌処理と滅菌
の維持に好適な包装構造に係る技術分野に属する。

【０００２】

【従来の技術】 最近、新規な抵抗力を備えた細菌の発
見等に伴って、医療材料，食品等で被包物の清浄性（滅
菌処理性）をより厳密に保持することのできる包装構造
の開発が切望されるようになってきている。

【０００３】従来、被包物の清浄性（滅菌処理性）を厳
密に保持する包装構造としては、例えば、図４?図７に
示すものが知られている。

【０００４】この従来の包装構造は、空気の通過を許容
する透気性と細菌の通過を阻止するバクテリアバリア性
とを有する滅菌紙等からなる滅菌処理用シート１と、空
気の通過を阻止する非透気性と細菌の通過を阻止するバ
クテリアバリア性とを有する合成樹脂材等からなる包装
材本体２とを備えている。滅菌処理用シート１の一面の
全面には、図４に示すように、加熱により接着性を発揮
する接着材３が小さなスポット突起が規則的に連続する
格好となるドットコーティングで積層されている。

【０００５】被包物４は、滅菌処理用シート１，包装材
本体２の間に収容される。滅菌処理用シート１，包装材
本体２は、加熱体等を備えたシーラー等でヒートシール
される。滅菌処理用シート１，包装材本体２のヒートシ
ールされた部分では、図５に示すように、接着材３が加
熱溶融して固化した融着材５が滅菌処理用シート１，包
装材本体２の双方に融着している。

【０００６】滅菌処理用シート１，包装材本体２で密封
された被包物４（密封内部の空気）については、図５に
示すように、滅菌処理用シート１を利用して滅菌ガス
（例えば、エチレンオキサイド，過酸化水素など）Ａに
よる置換で滅菌処理を行う。置換される滅菌ガスＡは、
接着材３の非ドット部分を通過する。

【０００７】密封された被包物４は、図６に示すよう
に、滅菌処理用シート１，包装材本体２の剥離により開
封されて取出しが可能になる。開封の際には、融着強度
の差により融着材５が包装材本体２側に残る。

【０００８】包装材本体２側に残った融着材５について
は、図７に示すような欠損部６の有無を目視により検査
する。そして、欠損部６を見つけた場合には、密封が不
完全であるとして被包物４を廃棄することになる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】 前述の従来の包装構
造では、欠損部６をなくそうとすると、接着材３のドッ
トコーティングを密にしなければならなくなる。接着材
３のドットコーティングを密にすると、滅菌ガスＡが通
過する接着材３の非ドット部分の間隔Ｓが狭くなって置
換性が悪く、滅菌処理に時間が掛かるとともに、内部に
滅菌ガスが残留するという不都合がある。

【００１０】本発明は、このような問題点を考慮してな
されたもので、完全な密封が可能で滅菌処理に時間が掛
からず残留ガスの殆んどないない包装構造を提供するこ
とを課題とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決する
ため、本発明に係る包装構造は、次のような手段を採用
する。

【００１２】即ち、請求項１では、空気の通過を許容す
る透気性と細菌の通過を阻止するバクテリアバリア性と
を有する滅菌処理用シートと、空気の通過を阻止する非
透気性と細菌の通過を阻止するバクテリアバリア性とを
有してカップ形の本体部の周縁にフランジを設けた形状
に形成されている包装材本体とを備え、滅菌処理用シー
ト，包装材本体の間を接着材を介して剥離可能にヒート
シールで接着して被包物を密封し、滅菌処理用シート，
包装材本体の間を開封口とした包装構造において、接着
材は包装材本体に積層され剥離の際に滅菌処理用シー
ト，包装材本体の双方に加熱溶融して固化した融着材が
残る性質を有するものであることを特徴とする。

【００１３】この手段では、滅菌処理用シートに接着材
を積層していないため、滅菌処理用シートの全面で滅菌
処理のための滅菌ガスの通過が可能になる。包装材本体
に積層された接着材は、加熱溶融して固化した融着材が
滅菌処理用シート，包装材本体の双方に強固に融着して
完全な密封を可能にする。

【００１４】また、請求項２では、請求項１の包装構造
において、接着材は包装材本体のヒートシールされる側
の全面に積層されていることを特徴とする。

【００１５】この手段では、ヒートシールされる部分以
外にも接着材が積層される。

【００１６】

【発明の実施の形態】 以下、本発明に係る包装構造の
実施の形態を図１〜図３に基づいて説明する。

【００１７】図１，図２は、本発明に係る包装構造の実
施の形態（１）を示すものである。

【００１８】この実施の形態は、前述の従来例と同様の
滅菌処理用シート１，包装材本体２を備えている。

【００１９】この実施の形態の滅菌処理用シート１は、
空気の通過を許容する透気性と細菌の通過を阻止するバ
クテリアバリア性とを有してシート状に形成されてい
る。この滅菌処理用シート１は、滅菌紙又は合成樹脂材
などである。

【００２０】この実施の形態の包装材本体２は、空気の
通過を阻止する非透気性と細菌の通過を阻止するバクテ
リアバリア性とを有してカップ形の本体部２１の周縁に
フランジ２２を設けてた形状に形成されている。この包
装材本体２は、合成樹脂材で成形されてなる。合成樹脂
材としては、ポリプロピレン（ＰＰ），ポリエチレン
（ＰＥ），ポリエステル（ＰＥＴ），ナイロン（Ｎ
Ｙ），ポリスチレン（ＰＳ）等が挙げられる。

【００２１】この実施の形態では、加熱により接着性を
発揮する接着材３が包装材本体２の内側の全面に積層さ
れている。接着材３としては、例えば、オレフィン系の
合成樹脂材が選択され、フィルムに形成されたものを包
装材本体２にラミネートすることにより積層される。な
お、接着材３については、包装材本体２のフランジ２２
にのみ積層すればよいのであるが、全面に積層する方が
積層作業が容易になる。ちなみに、接着材３の加熱溶融
されない部分については、未加熱で接着性を発揮しない
ため、被包物４等に何等不具合を与えることはない。

【００２２】本体部２１の内部に被包物４を収容した包
装材本体２に対しては、滅菌処理用シート１が被せられ
る。そして、滅菌処理用シート１と包装材本体２のフラ
ンジ２２との間が加熱体等を備えたシーラー等でヒート
シールされる。滅菌処理用シート１，包装材本体２のヒ
ートシールされた部分では、接着材３が加熱溶融して固
化した融着材５が滅菌処理用シート１，包装材本体２の
双方に強固に融着する。従って、完全な密封が可能にな
る。

【００２３】滅菌処理用シート１，包装材本体２で密封
された被包物４については、滅菌処理用シート１を利用
して滅菌ガスＡによる置換で滅菌処理を行う。置換され
る滅菌ガスＡは、滅菌処理用シート１のヒートシールさ
れた部分を除く全面で通過する。従って、前述の従来例
のように滅菌ガスＡの通過が制約されることがない。こ
のため、滅菌処理に時間が掛からなくなるとともに、置
換作用の繰返しにより密封内部における滅菌ガスの残留
を殆んどなくすることができる。

【００２４】密封された被包物４は、滅菌処理用シート
１，包装材本体２の剥離により開封されて取出しが可能
になる。開封の際には、融着材５が滅菌処理用シート
１，包装材本体２の双方に強固に融着しているため、融
着材５が滅菌処理用シート１，包装材本体２のフランジ
２２の双方に破断されて残ることになる。従って、前述
の従来例と同様に目視による欠損の有無の確認が可能で
ある。

【００２５】図３は、参考例を示すものである。

【００２６】この参考例では、包装材本体２がシート状
に形成されている。

【００２７】この参考例によると、前述の実施の形態
（１）と同様の作用，効果が奏される。また、包装材本
体２の全面に接着材３を積層しておくと、包装材本体２
に対して接着材３を補強材として機能させることができ
る。

【００２８】この参考例の変形例としては、複数の被包
物４を滅菌処理用シート１，包装材本体２の間に並べて
おき、各被包物４の間をヒートシールして、密封と被包
物４の区画とを同時に行うことが考えられる。

【００２９】以上、図示した実施の形態の外に、包装材
本体２を金属材等で形成することも可能である。

【００３０】さらに、接着材３をコーティングで積層す
ることも可能である。

【００３１】さらに、接着材３をヒートシールする部分
にのみ積層することも可能である。

【００３２】

【発明の効果】 以上のように、本発明に係る包装構造
は、滅菌処理用シートに接着材を積層せず、滅菌処理用
シートの全面で滅菌処理のための滅菌ガスの通過が可能
になるため、滅菌処理に時間が掛からないばかりか、滅
菌ガスの残留が殆んどなく、この滅菌ガスによる人体へ
の悪影響を及ぼすことがない。

【００３３】さらに、接着材が加熱溶融して固化した融
着材が滅菌処理用シート，包装材本体の双方に強固に融
着するため、完全な密封が可能になる効果がある。

【００３４】さらに、請求項２のみとして、接着材を包
装材本体のほぼ全面に積層するため、接着材の積層作業
が容易になる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る包装構造の実施の形態（１）を
示す断面図であり、（Ａ）は密封状態を示し、（Ｂ）は
開封状態を示している。

【図２】 図１（Ｂ）の要部の拡大平面図である。

【図３】 参考例を示す断面図である。

【図４】 従来例を示す未密封状態の断面図である。

【図５】 図４の密封状態の断面図である。

【図６】 図５の開封状態の断面図である。

【図７】 図６の要部の拡大平面図である。

【符号の説明】

１ 滅菌処理用シート ２ 包装材本体 ３ 接着材 ４ 被包物 ５ 融着材

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−126060（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−129720（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−139371（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−26568（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−149263（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−154904（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭62−44934（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭54−44066（ＪＰ，Ｙ２) 実公 平２−19405（ＪＰ，Ｙ２) 実公 平６−50382（ＪＰ，Ｙ２) 実公 平４−13155（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B65D 81/28 B65D 53/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気の通過を許容する透気性と細菌の通
   過を阻止するバクテリアバリア性とを有する滅菌処理用
   シートと、空気の通過を阻止する非透気性と細菌の通過
   を阻止するバクテリアバリア性とを有してカップ形の本
   体部の周縁にフランジを設けた形状に形成されている包
   装材本体とを備え、滅菌処理用シート，包装材本体の間
   を加熱により接着性を発揮する接着材を介して剥離可能
   にヒートシールで接着して被包物を密封し、滅菌処理用
   シート，包装材本体の間を開封口とした包装構造におい
   て、接着材は包装材本体に積層され剥離の際に滅菌処理
   用シート，包装材本体の双方に加熱溶融して固化した融
   着材が残る性質を有するものであることを特徴とする包
   装構造。
2. 【請求項２】 請求項１の包装構造において、接着材は
   包装材本体のヒートシールされる側の全面に積層されて
   いることを特徴とする包装構造。