JP3999369B2 - 滅菌バッグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にクリーニングされた作業着あるいは医療用品等を滅菌するのに使用する滅菌バッグに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
例えば、製薬メーカーの工場や医療現場あるいはIC工場等で着用される作業着等は、作業環境の汚染防止のために、細菌やゴミ等の付着がなく、汚れのないことが求められている。そのため、このような作業着が汚れた場合は、専門のクリーニング業者によってクリーニングされ、さらにクリーニングの後、特殊な滅菌バッグに収納し、口部を熱融着手段等により封緘した状態で、高圧蒸気滅菌やガス滅菌(エチレンオキサイドガスによる滅菌)等が行なわれ、滅菌された作業着等は前記滅菌バッグに封入されたまま納品される。
【0003】
これに使用される滅菌バッグとしては、表裏体の一方が、非通気性の合成樹脂フィルム、他方が細菌の通過を遮断できる通気性の滅菌シートよりなるものが一般的である。特に前記滅菌シートに、長繊維パルプを材料とする抄造紙よりなる耐熱性のある滅菌紙を用いて構成したものが、高圧蒸気滅菌その後の加熱乾燥に耐える耐熱性やコスト面から特に好ましく用いられ、多用されている。
【0004】
ところで、作業着自体は繊維の出ない特殊な素材で製作されているものの、これを滅菌すべく前記の滅菌紙を使用した滅菌バッグに入れると、作業着等が滅菌紙と接触し、滅菌作業や運搬等の取扱い中に擦れが生じ、滅菌紙のパルプ繊維等のダストが作業着等に付着するおそれがある。仮に、前記のダストが作業着に付着すると、作業環境の汚染を生じたり、製品中に混入するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、一部を滅菌紙で形成した滅菌バッグに収納した作業着等を、従来と同様に高圧蒸気滅菌やガス滅菌を実施でき、しかも収納した作業着等が滅菌紙と接触せず、パルプ繊維等のダストの付着を防止できるようにした滅菌バッグを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するものであり、請求項1の発明は、表裏体の一方が合成樹脂フィルム、他方が細菌の通過を遮断できる通気性の滅菌紙により形成された袋体よりなる滅菌バッグにおいて、前記表裏体間に、微細な孔を多数有する通気可能な樹脂フィルムを、袋内を前記合成樹脂フィルム側と滅菌紙側とに仕切るように介設してなることを特徴とする。
【0007】
また請求項2の発明は、合成樹脂フィルムを主材とし、少なくとも一部が細菌の通過を遮断できる通気性の滅菌紙により形成された袋体よりなる滅菌バッグにおいて、袋内に、少なくとも一部が微細な孔を多数有する樹脂フィルムよりなる合成樹脂製内袋を設けてなることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記の滅菌バッグを、表裏体の一方が合成樹脂フィルム、他方が滅菌紙よりなるものとしたものである。請求項4の発明のように、袋の表裏体の双方を滅菌紙よりなるものとすることもできる。
【0009】
請求項3の発明は、前記の滅菌バッグを、表裏体の一方が合成樹脂フィルム、他方が滅菌紙よりなるものとしたものである。請求項4の発明のように、前記滅菌バッグの袋体を、表裏体の双方が前記滅菌紙よりなるものとし、袋内に、前記同様の合成樹脂製内袋を設けてなる構成とすることもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基いて説明する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施例の滅菌バッグを示す一部欠截斜視図、図2は同滅菌バッグの断面図、図3は作業着を収納した状態の一部欠截斜視図、図4は同断面図である。
【0012】
この実施例の滅菌バッグ(A)は、表裏体の一方が合成樹脂フィルム(1)、他方が細菌の通過を遮断できる適度の通気性の滅菌紙(2)よりなり、これら両者が両側部(3)(3)および底部(4)において熱融着手段等により接合されることにより製袋された袋体からなる。接着剤を用いて製袋したものであってもよい。(5)は口部である。
【0013】
前記の合成樹脂フィルム(1)としては、ポリエステルやポリプロピレン等の各種の熱可塑性樹脂のフィルムを単独あるいは複合して使用できるが、中でも適度に耐熱性があり強度のある結晶化したポリエステル系樹脂を基材とし、これにシーラント層として熱融着可能な樹脂フィルム、例えば無延伸ポリプロピレンフィルムを積層した複合フィルムが、耐熱性が高く特に好適に用いられる。
【0014】
また滅菌紙(2)は、主に長繊維パルプを素材とする抄造紙よりなるもので、フィルムとの熱融着性やピール性がよく、しかも細菌は通過せずに蒸気等のガスが透過できる適度の透気度を有するものよりなる。
【0015】
そして、前記の合成樹脂フィルム(1)と滅菌紙(2)とによる表裏体間に、蒸気やガスは通すがパルプ繊維は通さない程度の微細な孔(6)を多数有するいわゆる多孔の通気可能な樹脂フィルム(7)が、袋体内を合成樹脂フィルム(1)側と滅菌紙(2)側との2部分に仕切るように介設されている。
【0016】
この樹脂フィルム(7)は、前記合成樹脂フィルム(1)と滅菌紙(2)との間に挟まれて、両側部(3)(3)および底部(4)において熱融着手段等により一体に接合される。この樹脂フィルム(7)としては、合成樹脂フィルム(1)と滅菌紙(2)との双方に熱融着手段等により接着できる合成樹脂、例えば無延伸ポリプロピレンフィルムが好適に用いられる。
【0017】
また前記の微細な孔(6)は、樹脂フィルム(7)の略全面にわたって形成しておくほか、ある範囲に部分的に設けておくこともできる。いずれにしても、滅菌時の蒸気やガスの流通性を充分に確保できるように、前記孔(6)の配設密度や範囲を設定しておく。
【0018】
この滅菌バッグ(A)を用いて、例えばクリーニングされた作業着を滅菌する場合、図3および図4のように滅菌対象の作業着(B)を、合成樹脂フィルム(1)と多孔の樹脂フィルム(7)との間に収納し、口部(5)において合成樹脂フィルム(1)と滅菌紙(2)を前記樹脂フィルム(7)と共に一体に熱融着手段等により封緘する。こうして、高圧蒸気滅菌あるいはガス滅菌処理を施す。この際、例えば蒸気やガスは滅菌紙(2)を透過して内部に侵入するとともに、内部の前記樹脂フィルム(7)の多数の微細な孔(6)を通じて、前記作業着(B)が収納されている部分、すなわち前記合成樹脂フィルム(1)と前記樹脂フィルム(7)との間の部分に入り込むもので、作業着等の収納部分と滅菌紙(2)との間を仕切る樹脂フィルム(7)を有するにも拘らず、従来と同様に滅菌処理を施すことができる。
【0019】
しかも、前記合成樹脂フィルム(1)と前記樹脂フィルム(7)との間に収納されている作業着(B)は、滅菌紙(2)と接触することがなく、また前記樹脂フィルム(7)に多数の微細な孔(6)を有しており、この孔(6)はパルプ繊維等のダストを通さないため、滅菌作業やその後の運搬等の取扱いにおいても、パルプ繊維等のダストが作業着(B)に付着するおそれはない。
【0020】
図5および図6は、本発明の滅菌バッグ(A)の第2の実施例を示す斜視図と断面図である。第1の実施例と同構成部分には同符号を付している。
【0021】
この第2の実施例では、上記の実施例のようにバッグを構成する袋体の内部を表裏体一方の合成樹脂フィルム側と、他方の滅菌紙側とに仕切るように多孔の樹脂フィルム(7)を介設するのに換えて、袋体の内部に少なくとも一部に微細な孔(16)が多数を形成された多孔の合成樹脂フィルム(17)よりなる内袋(10)を設けている。
【0022】
この内袋(10)は、図のように、表裏片面側のみを前記同様の微細な孔(16)を多数有する樹脂フィルム(17)とし、他面側を無孔の樹脂フィルム(18)で形成した袋のほか、表裏双方を前記の多孔の樹脂フィルムで形成したものであってもよい。またこの内袋(10)は、通常の合成樹脂性袋と同様に製袋することができる。
【0023】
いずれにしても、前記の微細な孔(16)は、蒸気やガスは通すがパルプ繊維は通さない孔よりなり、上記同様に高圧蒸気滅菌やガス滅菌を支障なく行なえるように配設密度や範囲を設定しておく。
【0024】
なお、滅菌バッグ(A)の袋体構造は、上記した第1の実施例の袋体と同様の構成をなすものとし、表裏体の一方を合成樹脂フィルム(1)、他方を滅菌紙(2)で構成したものとする。
【0025】
この実施例の場合、滅菌対象物の作業着等を前記内袋(10)に収納して、その口部を必要に応じて接着テープや熱融着手段等により封緘した状態で、これを滅菌バッグ(A)の袋体内に収納し、上記同様にその口部を熱融着手段等に封緘して滅菌処理を施す。前記内袋(10)と外側の袋体との口部を一体に熱融着手段等により封緘してもよい。
【0026】
この滅菌処理において、滅菌用の蒸気やガスは、滅菌紙(2)を透過してバッグ内に侵入するとともに、内袋(10)に有する多数の微細な孔(16)を通じて内袋(10)内に入り込むため、前記同様に滅菌処理を施すことができる。しかも内袋(10)に収納された作業着等は、内袋(10)を構成する樹脂フィルム(17)(18)により包被されていて、滅菌紙(2)には接触することがなく、また内袋(10)に有する多数の微細な孔(16)は、蒸気等は通すがパルプ繊維等は通さないため、パルプ繊維等のダストが作業着に付着することがない。
【0027】
この第2の実施例のように内袋(10)を利用する場合、滅菌バッグの本体構造は、表裏体の一方が合成樹脂フィルム(1)、他方が滅菌紙(2)よりなるものに限らず、少なくとも一部が滅菌紙よりなるものにおいても実施可能であり、例えば図7のように、底部(4)を含む下部を滅菌紙(22)で、表裏体の上部を合成樹脂フィルム(21)で構成した袋体よりなるものとすることができ、さらに表裏体の双方を滅菌紙で構成した袋体よりなる滅菌バッグ(図示せず)においても、実施可能である。
【0028】
なお、作業着以外の医療用品その他の滅菌処理を施しておく必要のある場合においても、同様に高圧蒸気滅菌やガス滅菌を実施できて、しかもパルプ繊維等の付着を防止できる。
【0029】
【発明の効果】
上記したように本発明の滅菌バッグによれば、一部を滅菌紙で形成した滅菌バッグに作業着等を入れて、従来と同様に高圧蒸気滅菌やガス滅菌を実施でき、しかも袋に入れた作業着等が滅菌紙と接触せず、パルプ繊維等のダストの付着を防止でき、作業環境の汚染防止を確実になすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の滅菌バッグの1実施例を示す一部欠截斜視図である。
【図2】同上の断面図である。
【図3】同上の作業着を収納した状態の一部欠截斜視図である。
【図4】同上の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す一部斜視図である。
【図6】同上の滅菌状態の略示断面図である。
【図7】本発明の滅菌バッグに使用する袋体の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
(A) 滅菌バッグ
(1) 合成樹脂フィルム
(2) 滅菌紙
(3)(3) 両側部
(4) 底部
(5) 口部
(6)(16) 微細な孔
(7)(17) 多孔の樹脂フィルム
(10) 内袋
Claims (4)
- 表裏体の一方が合成樹脂フィルム、他方が細菌の通過を遮断できる通気性の滅菌紙により形成された袋体よりなる滅菌バッグにおいて、
前記表裏体間に、微細な孔を多数有する通気可能な樹脂フィルムを、袋内を前記合成樹脂フィルム側と滅菌紙側とに仕切るように介設してなることを特徴とする滅菌バッグ。 - 合成樹脂フィルムを主材とし、少なくとも一部が細菌の通過を遮断できる通気性の滅菌紙により形成された袋体よりなる滅菌バッグにおいて、
袋内に、少なくとも一部が微細な孔を多数有する通気可能な樹脂フィルムよりなる合成樹脂製内袋を内装してなることを特徴とする滅菌バッグ。 - 袋の表裏体の一方が合成樹脂フィルム、他方が滅菌紙よりなる請求項2に記載の滅菌バッグ。
- 表裏体の双方が細菌の通過を遮断できる通気性の滅菌紙により形成された袋体よりなる滅菌バッグにおいて、
袋内に、少なくとも一部が微細な孔を多数有する通気可能な樹脂フィルムよりなる合成樹脂製内袋を内装してなることを特徴とする滅菌バッグ。
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