JP2021062907A - 滅菌袋及びそれを利用する製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内容物の滅菌処理と除湿処理を効率的に行うことができる生産性に優れた滅菌袋を提供する。【解決手段】非通気性の裏面シート2と、非通気性シート4と通気性の滅菌紙5とから構成されて裏面シート2に積層された表面シート3と、を有し、非通気性シート3と滅菌紙5は、一部分が重ね合わされてヒートシールされており、裏面シート2と表面シート3は、周縁において一部分の開口部13を残して互いにヒートシールされており、裏面シート2及び非通気性シート3の少なくとも一方は、内面側に吸湿フィルム層10を有する。これにより、滅菌紙5を利用して内容物の滅菌処理を効率良く実行することができると共に、シリカゲル等の乾燥剤を使用することなく、吸湿フィルム層10で内容物を全体的に高精度に吸湿処理することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、医療用品等を収納して封止した状態で内容物の滅菌処理を行うことができる滅菌袋に関する。
従来、この種の滅菌袋として、例えば、特許文献1に開示された滅菌袋が知られている。同文献に記載された滅菌袋は、非通気性の裏面シートと、非通気性シート及び通気性を有する滅菌紙から構成されて裏面シートに積層された表面シートと、を有する。表面シートと裏面シートは、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、非通気性シートと滅菌紙は、非通気性シートが外側になるように一部分が重ね合わされて剥離自在にヒートシールされている。
この滅菌袋は、開口部から滅菌袋の内部に内容物が入れられた後、開口部がヒートシールされて封止される。滅菌袋は、内容物が収納され封止された状態で、滅菌処理される。内容物が収納された滅菌袋は、医療現場まで輸送され、保管される。滅菌袋から内容物を取り出す際には、表面シートの非通気性シートと滅菌紙との接合部を引き剥がして開封することができる。
また、他の従来技術の例として、特許文献2に開示された収納袋が知られている。同文献に記載された収納袋は、周縁部がシールされた収納袋であって、収納袋が通気性部材により2室に仕切られている。通気性部材は、対向する2辺と当該2辺に隣接する少なくとも一方の辺が周縁部シールでシールされている。この滅菌袋では、通気性部材で仕切られた2室中の1室に、脱酸素剤や乾燥剤等の梱包保全材料を充填することができる。
しかしながら、上記した従来技術の滅菌袋は、滅菌処理及び吸湿処理が要求される内容物を安全且つ効率的に保管するために改善すべき点があった。
具体的には、従来技術の滅菌袋では、例えば、手術用の糸や合金プレート等、品質を維持するために高精度な吸湿保管が求められている内容物を収納保管するためには、シリカゲル等の乾燥剤が必要であった。
そのため、滅菌袋を利用する生産者等にとっては、乾燥剤を購入するためのコスト負担があり、また、生産者等は、優れた乾燥性能が得られる状態に維持するため、乾燥剤を適切に管理する必要があった。
また、医療用品等の内容物を滅菌袋に収納して出荷するためには、内容物を滅菌袋に挿入して滅菌する工程の他に、乾燥剤を滅菌袋内に収納する工程や、滅菌処理された滅菌袋を別途乾燥剤が入れられた袋に収納して乾燥させる工程等が必要であった。そのため、内容物を収納して出荷するまでの作業工程を減らして、生産時間を短縮し、生産の効率化を図ることが難しかった。
また、滅菌剤や乾燥剤を入れるために滅菌袋の室内を複数の収納空間に分ける構成では、その複数の収納空間を有する滅菌袋の製造が容易ではない。また、滅菌袋を複数の収納空間に分ける構成では、乾燥剤が入れられた収納空間から離れた位置においては、医療用品等の内容物を吸湿する性能が局所的に低くなるという問題点もあった。
また、滅菌袋を開封して内容物を取り出す際には、内容物と共に乾燥剤が滅菌袋から外部に飛び出してしまうことがあった。滅菌袋の外部に飛散した乾燥剤を回収する作業は容易ではなく、乾燥剤の飛散は医療行為の妨げになる恐れがある。
また更に、滅菌袋を開封して内容物を取り出した後には、乾燥剤を廃棄処理しなければならず、その使用後の乾燥剤処理の作業負担を削減したいという課題もあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内容物の滅菌処理と除湿処理を効率的に行うことができる生産性に優れた滅菌袋を提供することにある。
本発明の滅菌袋は、非通気性の裏面シートと、非通気性シートと通気性の滅菌紙とから構成されて前記裏面シートに積層された表面シートと、を有し、前記非通気性シートと前記滅菌紙は、一部分が重ね合わされてヒートシールされており、前記裏面シートと前記表面シートは、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、前記裏面シート及び前記非通気性シートの少なくとも一方は、内面側に吸湿フィルム層を有することを特徴とする。
また、本発明の滅菌袋を利用する製品の製造方法は、非通気性の裏面シートと、非通気性シートと通気性の滅菌紙とから構成されて前記裏面シートに積層された表面シートと、を有する滅菌袋を利用した製品の製造方法であって、前記非通気性シートと前記滅菌紙は、一部分が重ね合わされてヒートシールされており、前記裏面シートと前記表面シートとは、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、前記裏面シート及び前記非通気性シートの少なくとも一方は、内面側に吸湿フィルム層が設けられており、前記開口部から前記滅菌袋に内容物を挿入する工程と、前記内容物が挿入された前記滅菌袋の前記開口部をヒートシールして封止する工程と、前記開口部が封止された前記滅菌袋の前記内容物に滅菌処理を施す工程と、前記内容物が滅菌された前記滅菌袋の前記滅菌紙と前記内容物との間の領域において前記裏面シートと前記非通気性シートをヒートシールして密封ヒートシール部を形成し前記内容物を密封する工程と、前記密封ヒートシール部と前記滅菌紙との間の領域において前記裏面シート及び前記非通気性シートを切断して前記滅菌紙を切り離す工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の滅菌袋によれば、非通気性の裏面シートと、非通気性シートと通気性の滅菌紙とから構成されて裏面シートに積層された表面シートと、を有し、裏面シート及び非通気性シートの少なくとも一方は、内面側に吸湿フィルム層を有する。これにより、滅菌紙を利用して内容物の滅菌処理を効率良く実行することができると共に、シリカゲル等の乾燥剤を使用することなく、吸湿フィルム層で内容物を全体的に高精度に吸湿処理することができる。よって、乾燥剤が不要になると共に、乾燥剤を使用する作業工程も不要になり、滅菌袋及びそれを利用する製品の製造工程の効率化を図ることができる。また、乾燥剤を使用しないので、滅菌袋を開封する際に乾燥剤が外に飛散する恐れもなく、乾燥剤の回収や廃棄処分も不要となる。
また、本発明の滅菌袋によれば、前記裏面シート及び前記非通気性シートは、前記滅菌紙を切り離すよう切断可能であっても良い。このような構成により、滅菌処理が完了した後に、滅菌紙近傍の裏面シート及び非通気性シートをヒートシールして滅菌袋を密封してから、滅菌紙を切除することができる。これにより、滅菌処理が行われた滅菌袋の密封性能を高め、保管時に水分が侵入することを抑えて、内容物の乾燥性能を高く維持することができる。
また、本発明の滅菌袋によれば、前記裏面シート及び前記非通気性シートは、開封のために切断可能であっても良い。これにより、滅菌袋から内容物を取り出す際に、裏面シート及び非通気性シートを切断して、滅菌袋を容易に開封することができる。
また、本発明の滅菌袋によれば、前記裏面シートと前記非通気性シートとがヒートシールされている周縁部には、前記裏面シート及び前記非通気性シートを切断するための切欠部が形成されていても良い。これにより、切欠部から裏面シート及び非通気性シートの切断を容易に開始することができ、滅菌紙を取り外す作業や、滅菌袋を切り開いて内容物を取り出す作業を容易に行うことができる。
また、本発明の滅菌袋によれば、前記裏面シート及び前記非通気性シートの少なくとも一方には、外面側に切断のためのミシン目が形成されていても良い。これにより、ミシン目に沿って裏面シート及び非通気性シートを効率良く切断することができ、滅菌紙の取り外し作業や、滅菌袋の切開作業が容易になる。
また、本発明の滅菌袋を利用する製品の製造方法によれば、非通気性の裏面シートと、非通気性シートと通気性の滅菌紙とから構成されて前記裏面シートに積層された表面シートと、を有する滅菌袋を利用した製品の製造方法であって、前記非通気性シートと前記滅菌紙は、一部分が重ね合わされてヒートシールされており、前記裏面シートと前記表面シートとは、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、前記裏面シート及び前記非通気性シートの少なくとも一方は、内面側に吸湿フィルム層が設けられており、前記開口部から前記滅菌袋に内容物を挿入する工程と、前記内容物が挿入された前記滅菌袋の前記開口部をヒートシールして封止する工程と、前記開口部が封止された前記滅菌袋の前記内容物に滅菌処理を施す工程と、前記内容物が滅菌された前記滅菌袋の前記滅菌紙と前記内容物との間の領域において前記裏面シートと前記非通気性シートをヒートシールして密封ヒートシール部を形成し前記内容物を密封する工程と、前記密封ヒートシール部と前記滅菌紙との間の領域において前記裏面シート及び前記非通気性シートを切断して前記滅菌紙を切り離す工程と、を具備する。このような製造方法により、シリカゲル等の乾燥剤を準備して使用することなく、内容物を滅菌袋に収納して滅菌処理と吸湿処理を高精度且つ高効率に実行することができる。そして、密封ヒートシール部を形成して優れた密封性能で内容物を保管することができる。よって、内容物の品質を高精度に維持することができると共に、滅菌袋を利用する製品の生産性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態に係る滅菌袋を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る滅菌袋1の概略構成を示す平面図である。図2は、滅菌袋1の概略構成を示す断面図であり、図1に示すA−A線断面を示している。
図1は、本発明の実施形態に係る滅菌袋1の概略構成を示す平面図である。図2は、滅菌袋1の概略構成を示す断面図であり、図1に示すA−A線断面を示している。
滅菌袋1は、医療用品である内容物X(図3参照)を収納する袋であり、内容物Xを医療現場まで輸送して保管するための包装容器として用いられる。滅菌袋1に収納される内容物Xは、例えば、手術用糸、骨折治療用合金プレート、注射器、注射針、カテーテル、輸液チューブ、医療用メス、ガーゼ等の各種医療用品である。滅菌袋1は、内部に手術用糸等の内容物Xが収納されて封止された状態で、内容物Xの滅菌処理及び吸湿処理が可能に構成されている。
図1及び図2に示すように、滅菌袋1は、裏面シート2と表面シート3とを有し、平面視で略矩形状に形成されている。裏面シート2は、略矩形状に形成された菌バリア性を有する非通気性のシートである。他方、表面シート3は、菌バリア性を有する非通気性シート4と、通気性を有する菌バリア性の滅菌紙5と、を有する。
表面シート3は、平面視において裏面シート2と略同一の周囲形状に形成されている。表面シート3の図1において右側の領域は、略矩形状に形成された非通気性シート4から構成され、左側の領域は、略矩形状に形成された滅菌紙5から構成されている。
裏面シート2及び非通気性シート4は、空気や菌、異物等を通さない合成樹脂製のシート若しくはフィルムまたはそれらの積層体である。裏面シート2及び非通気性シート4としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ナイロン等の各種合成樹脂製の複合シート材等を採用し得る。
裏面シート2及び非通気性シート4の内面の少なくとも後述するヒートシールされる箇所は、ヒートシール可能に構成される必要がある。具体的には、裏面シート2及び非通気性シート4のヒートシールされる箇所には、低融点のヒートシールコート剤が塗布される。または、裏面シート2及び非通気性シート4の内面全体に、加熱されることによって接合するヒートシール層が設けられる。
例えば、裏面シート2及び非通気性シート4の支持基材として外面側にポリエチレンテレフタラートシートが用いられ、その内面側にヒートシール層としてポリエチレンフィルムが設けられても良い。また、ヒートシール層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンから成るポリマーアロイ等が利用されても良い。
裏面シート2及び非通気性シート4は、内面側に吸湿フィルム層10を有する。即ち、裏面シート2及び非通気性シート4は、フィルムと乾燥剤を一体化した高機能フィルムから構成され、不可逆性化学反応により水分を吸収する機能を有する。これにより、内容物Xに対して全体的に優れた吸湿性能が発揮され、内容物Xから湿気を吸収して品質の劣化を防ぐことができる。
なお、収納する内容物Xに求められる吸湿性能に応じて、吸湿フィルム層10は、上記の如く裏面シート2及び非通気性シート4の両方に設けられても良いし、裏面シート2または非通気性シート4の何れか一方に設けられても良い。また、吸湿フィルム層10は、ヒートシール可能に構成されても良い。
滅菌紙5は、滅菌処理が可能となるようにエチレンオキサイド等の滅菌用のガスが流通自在な通気性を有し、更に滅菌処理後には菌等の侵入を防止できる菌バリア性を有する。滅菌紙5としては、略帯状の形態をなす不織布や紙等を用いることができる。例えば、本実施形態では、滅菌紙5として高密度ポリエチレン繊維からなる略帯状の多孔性不織布が用いられている。
表面シート3及び裏面シート2は、重なり合うように配設され、その周縁は、一部分の開口として開口部13を残して塞がれている。具体的には、積層された表面シート3及び裏面シート2の3辺に対応する縁部は、周縁シール部11によって塞がれており、残りの1辺に開口部13が形成されている。
周縁シール部11は、表面シート3と裏面シート2とを互いにヒートシールすることにより形成されている。即ち、周縁シール部11では、表面シート3の内面と裏面シート2の内面を当接させて加熱圧縮することにより表面シート3と裏面シート2が熱接合されている。
開口部13は、内容物Xを滅菌袋1の内部に入れるための開口である。開口部13は、表面シート3と裏面シート2をヒートシールしないことにより形成される。前述のとおり、開口部13は、滅菌紙5が設けられている縁部に対して反対側の縁部に形成されている。開口部13から滅菌袋1の内部に内容物Xが入れられた後、開口部13は、ヒートシールされて封止される。
非通気性シート4と滅菌紙5は、非通気性シート4が外側になるように一部分が重ね合わされている。非通気性シート4と滅菌紙5の重なり部分には、非通気性シート4の内面と滅菌紙5の外面がヒートシールされた接合シール部12が形成されている。
接合シール部12は、開口部13が形成された縁部の辺と略平行に、その辺につながる両側辺の周縁シール部11に達するよう滅菌袋1の略全幅に亘って延在している。即ち、非通気性シート4の滅菌紙5側の辺近傍と、滅菌紙5の非通気性シート4側の辺近傍とは、表面シート3に開口となる隙間を形成しないよう、滅菌袋1の略全幅に亘って重ね合わされて接合されている。
裏面シート2及び非通気性シート4の外面側には、裏面シート2及び非通気性シート4を切断するためのミシン目15が形成されている。ミシン目15は、接合シール部12の非通気性シート4側で、接合シール部12に沿って裏面シート2及び表面シート3の両側辺に達するよう、非通気性シート4の外面側を構成するポリエチレンテレフタラートシート等の支持基材層に形成されている。
ミシン目15の平面視形状としては、例えば、破線状、点線状、鎖線状でも良いし、S字状、波形状、鋸刃形状等、破線や鎖線を構成する各線をミシン目15の延在方向から傾斜させた形状でもよい。また、ミシン目15は、1列のみではなく、2から3列程度が並行するよう形成されていても良い。
ミシン目15が形成されていることにより、生産者、即ち内容物Xを製造する者は、ミシン目15に沿って裏面シート2及び非通気性シート4を容易に切断することができる。よって、生産者は、滅菌工程の後に滅菌紙5を取り外す作業を容易に行うことができる。
裏面シート2と非通気性シート4とがヒートシールされている周縁シール部11には、裏面シート2及び非通気性シート4を切断するための切欠部17が形成されている。
切欠部17は、裏面シート2及び表面シート3の両側辺から内側に向かう略直線状または略V字状等の切り込みである。切欠部17は、ミシン目15よりも接合シール部12から離れた位置に、換言すれば、ミシン目15の開口部13側に形成されている。
利用者、即ち内容物Xを使用する医師や看護師等は、切欠部17から裏面シート2及び非通気性シート4の切断を容易に開始することができ、滅菌袋1を切り開いて内容物Xを容易に取り出すことができる。
次に、図3ないし図9を参照して、滅菌袋1の利用方法について詳細に説明する。
図3は、開口部13から滅菌袋1に内容物Xを挿入する工程を示す滅菌袋1の断面図であり、図1に示すA−A線断面に相当する断面を示している。
図3は、開口部13から滅菌袋1に内容物Xを挿入する工程を示す滅菌袋1の断面図であり、図1に示すA−A線断面に相当する断面を示している。
図3に示すように、生産者が滅菌袋1に医療用品等の内容物Xを入れる際には、開口部13が開かれる。そして、開かれた開口部13から滅菌袋1の内部に内容物Xが挿入される。
図4は、滅菌袋1に内容物Xが収納された状態を示す断面図であり、図1に示すA−A線断面に相当する断面を示している。
内容物Xが挿入された後、図4に示すように、開口部13をヒートシールして封止する工程が実行される。この工程により、開口部13はヒートシールされて閉じられる。即ち、開口部13において、裏面シート2の縁部内面と非通気性シート4の縁部内面とが熱接合して閉シール部20が形成される。これにより、滅菌袋1は封止される。
内容物Xが挿入された後、図4に示すように、開口部13をヒートシールして封止する工程が実行される。この工程により、開口部13はヒートシールされて閉じられる。即ち、開口部13において、裏面シート2の縁部内面と非通気性シート4の縁部内面とが熱接合して閉シール部20が形成される。これにより、滅菌袋1は封止される。
次に、開口部13が封止された滅菌袋1の内容物Xに滅菌処理を施す滅菌工程が行われる。滅菌工程では、通気性を有する滅菌紙5を介して、滅菌用のガスが滅菌袋1の内部に流入、流出されて、内容物Xの滅菌処理が行われる。即ち、滅菌袋1は、内容物Xが収納され、封止された状態で、滅菌処理される。
なお、内容物Xの滅菌方法は、上記に限定されず、例えば、滅菌袋1に収納された内容物Xに、ガンマ線や電子線等の放射線や紫外線を照射する方法でも良い。放射線等を利用する滅菌方法が採用される場合には、放射線等の照射によって表面シート3や裏面シート2から臭いが発生する恐れがある。しかし、滅菌袋1に滅菌紙5が設けられていることにより、滅菌紙5を介して臭い成分を外部に逃がすことができるので、開封時の臭いを低減することができるという効果がある。
図5は、滅菌袋1の滅菌工程が実行された後の状態を示す平面図である。図6は、滅菌工程が実行された後の状態を示す断面図であり、図1に示すA−A線断面に相当する断面を示している。
滅菌工程の後には、図5及び図6に示すように、内容物Xを密封する工程が実行される。内容物Xを密封する工程では、内容物Xが滅菌された滅菌袋1の滅菌紙5と内容物Xとの間の領域において、裏面シート2と非通気性シート4をヒートシールして、密封ヒートシール部としての密封シール部21が形成される。
密封シール部21は、接合シール部12の非通気性シート4側で、ミシン目15よりも非通気性シート4の中心側に近く、切欠部17よりも接合シール部12側に形成される。また、密封シール部21は、裏面シート2及び表面シート3の両側辺の周縁シール部11に達して滅菌袋1の略全幅に亘って延在するよう形成される。このように形成された密封シール部21によって、裏面シート2と非通気性シート4が密着して熱接合され、内容物Xが完全に密封される。
図7は、滅菌袋1の滅菌紙5が切除された状態を示す平面図である。図8は、滅菌紙5が切除された状態を示す断面図であり、図1に示すA−A線断面に相当する断面を示している。
内容物Xを密封する工程が実行された後には、図7及び図8に示すように、滅菌紙5(図5参照)を切り離す工程が行われる。滅菌紙5を切り離す工程では、密封シール部21と滅菌紙5との間の領域において、裏面シート2及び非通気性シート4がミシン目15に沿って略直線状に切断される。これにより、滅菌袋1から滅菌紙5が切除される。滅菌紙5が切除された滅菌袋1には、密封シール部21に沿った辺状の切断部22が形成される。
滅菌紙5が切除された滅菌袋1は、内容物Xが収納された状態で、医療現場まで輸送され、保管される。上記のように滅菌紙5が切除されることにより、滅菌処理が行われた滅菌袋1の密封性能が高められ、その後の輸送時や保管時に水分が侵入することが抑えられて、内容物Xの乾燥性能を高く維持することができる。
前述のとおり、裏面シート2及び非通気性シート4の外面側には、切断のためのミシン目15が形成されているので、生産者は、ミシン目15に沿って裏面シート2及び非通気性シート4を効率良く切断することができる。これにより、滅菌紙5を容易に切り離すことができる。
以上説明の製造方法により、滅菌袋1を利用すれば、シリカゲル等の乾燥剤を使用することなく、内容物Xを滅菌袋1に収納して滅菌処理と吸湿処理を高精度且つ高効率に実行することができる。
裏面シート2及び非通気性シート4の内面側に設けられた吸湿フィルム層10を利用して吸湿処理が行われるため、内容物Xを全体的に高精度に吸湿処理することができる。よって、乾燥剤が不要になると共に、乾燥剤を使用する作業工程も不要になり、滅菌袋1及びそれを利用する製品の製造工程の効率化を図ることができる。
そして、密封シール部21を形成して優れた密封性能で内容物Xを輸送し保管することができる。よって、内容物Xの品質を高精度に維持することができる。
そして、密封シール部21を形成して優れた密封性能で内容物Xを輸送し保管することができる。よって、内容物Xの品質を高精度に維持することができる。
図9は、滅菌袋1が開封された状態を示す断面図であり、図1に示すA−A線断面に相当する断面を示している。
図9を参照して、医師等の利用者が内容物Xを使用する際には、滅菌袋1を切り開いて内容物Xを取り出す。具体的には、利用者は、裏面シート2及び非通気性シート4の周縁部に形成されている切欠部17(図7参照)の両側近傍を指で摘まんで開方向に引く。
図9を参照して、医師等の利用者が内容物Xを使用する際には、滅菌袋1を切り開いて内容物Xを取り出す。具体的には、利用者は、裏面シート2及び非通気性シート4の周縁部に形成されている切欠部17(図7参照)の両側近傍を指で摘まんで開方向に引く。
即ち、利用者は、一方の手で切欠部17の閉シール部20側を押さえ、他方の手で切欠部17の密封シール部21側を摘まんで、切欠部17を広げるように周縁シール部11を引っ張る。
これにより、裏面シート2及び非通気性シート4が切断され開封部23が形成される。このように滅菌袋1を容易に開封することができる。そして、内容物Xを容易に取り出すことができる。
このように、裏面シート2と非通気性シート4とがヒートシールされている周縁部に切欠部17が形成されており、その切欠部17から裏面シート2及び非通気性シート4を切断して開封部23を容易に切開することができる。これにより、滅菌袋1を切り開いて内容物Xを取り出す作業を容易に行うことができる。
滅菌袋1は、裏面シート2及び非通気性シート4を切開可能であるので、内容物Xを取り外す際に、周縁シール部11(図7参照)、閉シール部20及び密封シール部21(図7参照)の何れのヒートシール部も剥がす必要がない。そのため、周縁シール部11、閉シール部20及び密封シール部21では、裏面シート2と表面シート3を、開封剥離を考慮せずに、強固にヒートシールして良い。
このように裏面シート2と表面シート3の周縁が強固に結合されていることにより、滅菌袋1の優れた気密性を保つことができ、外部からの菌の進入や水分の浸入を防止することができる。
そして、裏面シート2と非通気性シート4の内面側に吸湿フィルム層10を有することにより、内部の湿度を低く保つことができ、滅菌性能と共に優れた吸湿性能を維持することができる。
また、裏面シート2と表面シート3の周縁が強固に結合されているので、輸送時や保管時等に滅菌袋1の周縁シール部11、閉シール部20または密封シール部21が剥がれて内容物Xが落下してしまう等の不具合を回避することができる。
また、滅菌袋1は吸湿処理用の乾燥剤を使用しないので、滅菌袋1を開封する際に乾燥剤が外に飛散する恐れもなく、乾燥剤の回収や廃棄処分も不要となる。
また、滅菌袋1は吸湿処理用の乾燥剤を使用しないので、滅菌袋1を開封する際に乾燥剤が外に飛散する恐れもなく、乾燥剤の回収や廃棄処分も不要となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の例では、開口部13は、滅菌紙5が配置される縁部の反対側の縁部に形成される例を示したが、開口部13は、滅菌紙5が配置される縁部側に形成されても良い。
滅菌紙5が設けられている側の縁部に開口部13が形成されることにより、裏面シート2と滅菌紙5が密着して貼り付くことが抑制され、開口部13を開き易くすることができる。また、開口部13が滅菌紙5の縁部に形成されることにより、滅菌紙5の内面と内容物Xとの滑りが良好であるので、内容物Xを入れる作業が容易になるという利点もある。
また、裏面シート2と非通気性シート4とがヒートシールされている周縁部のミシン目15の両端部近傍には、裏面シート2及び非通気性シート4を切断するための図示しない切欠部が形成されていても良い。この切欠部は、例えば、前述の切欠部17と同等または類似する形態をなす。
このような構成の切欠部が形成されることにより、切欠部から裏面シート2及び非通気性シート4の切断を容易に開始することができ、生産者が滅菌紙5を取り外す作業が容易になる。
また、裏面シート2及び非通気性シート4の少なくとも一方の外面側には、両縁部の切欠部17をつなぐように延在する図示しないミシン目が形成されていても良い。このミシン目の形態は、例えば、前述のミシン目15と同等または類似する。
このような構成のミシン目が形成されることにより、このミシン目に沿って裏面シート2及び非通気性シート4を効率良く切断することができ、利用者が内容物Xを取り出す際に滅菌袋1を切開する作業が容易になる。
また、裏面シート2及び非通気性シート4を切断するためのミシン目15、切欠部17等が形成されていない構成を採用することも可能である。生産者は、切断用の機械を利用して滅菌袋1を自動切断して滅菌紙5を切除することができる。また、利用者は、裏面シート2及び非通気性シート4を切断して滅菌袋1を開封することができる。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
1 滅菌袋
2 裏面シート
3 表面シート
4 非通気性シート
5 滅菌紙
10 吸湿フィルム層
11 周縁シール部
12 接合シール部
13 開口部
15 ミシン目
17 切欠部
20 閉シール部
21 密封シール部
22 切断部
23 開封部
X 内容物
2 裏面シート
3 表面シート
4 非通気性シート
5 滅菌紙
10 吸湿フィルム層
11 周縁シール部
12 接合シール部
13 開口部
15 ミシン目
17 切欠部
20 閉シール部
21 密封シール部
22 切断部
23 開封部
X 内容物
Claims (6)
- 非通気性の裏面シートと、
非通気性シートと通気性の滅菌紙とから構成されて前記裏面シートに積層された表面シートと、を有し、
前記非通気性シートと前記滅菌紙は、一部分が重ね合わされてヒートシールされており、
前記裏面シートと前記表面シートは、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、
前記裏面シート及び前記非通気性シートの少なくとも一方は、内面側に吸湿フィルム層を有することを特徴とする滅菌袋。 - 前記裏面シート及び前記非通気性シートは、前記滅菌紙を切り離すよう切断可能であることを特徴とする請求項1に記載の滅菌袋。
- 前記裏面シート及び前記非通気性シートは、開封のために切断可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の滅菌袋。
- 前記裏面シートと前記非通気性シートとがヒートシールされている周縁部には、前記裏面シート及び前記非通気性シートを切断するための切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の滅菌袋。
- 前記裏面シート及び前記非通気性シートの少なくとも一方には、外面側に切断のためのミシン目が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の滅菌袋。
- 非通気性の裏面シートと、非通気性シートと通気性の滅菌紙とから構成されて前記裏面シートに積層された表面シートと、を有する滅菌袋を利用した製品の製造方法であって、
前記非通気性シートと前記滅菌紙は、一部分が重ね合わされてヒートシールされており、
前記裏面シートと前記表面シートとは、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、
前記裏面シート及び前記非通気性シートの少なくとも一方は、内面側に吸湿フィルム層が設けられており、
前記開口部から前記滅菌袋に内容物を挿入する工程と、
前記内容物が挿入された前記滅菌袋の前記開口部をヒートシールして封止する工程と、
前記開口部が封止された前記滅菌袋の前記内容物に滅菌処理を施す工程と、
前記内容物が滅菌された前記滅菌袋の前記滅菌紙と前記内容物との間の領域において前記裏面シートと前記非通気性シートをヒートシールして密封ヒートシール部を形成し前記内容物を密封する工程と、
前記密封ヒートシール部と前記滅菌紙との間の領域において前記裏面シート及び前記非通気性シートを切断して前記滅菌紙を切り離す工程と、を具備することを特徴とする滅菌袋を利用した製品の製造方法。
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JP2019189463A JP2021062907A (ja) | 2019-10-16 | 2019-10-16 | 滅菌袋及びそれを利用する製品の製造方法 |
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-
2019
- 2019-10-16 JP JP2019189463A patent/JP2021062907A/ja active Pending
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