JP3373836B2 - PCaコンクリート部材による既存建築物の補強構造 - Google Patents

PCaコンクリート部材による既存建築物の補強構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PCaコンクリー
ト部材を用いた既存コンクリート建築物の補強構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】既存コンクリート建築物を補強するため
に、従来、既存柱や既存梁の外側にブレースを取り付け
たり、既存柱を鉄筋コンクリートで増し打ちしたり、さ
らには、既存の柱梁の枠内に現場打ちコンクリートで壁
を増設することが行なわれている。しかしながら、既存
建築物の外側にブレースを取り付ける場合、窓からの視
界を遮るとともに、そこがベランダである場合には出入
りが困難になったり、ベランダが狭くなり居住性を低下
させるという欠点がある。また現場打ちコンクリートに
より既存柱を増打ちしたり、あるいは壁を増設する場
合、比較的長期にわたり既存建築物の使用が不可能にな
るため、居住者がいる既存建築物に適用するのは困難で
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、既存建築物における居住性を低下させることな
く、しかも、比較的短期間で工事を実施することができ
る補強構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、既存コンク
リート建築物の補強構造であって、既存柱とほぼ同じ幅
かつ既存梁の上下間隔とほぼ同じ長さのPCaコンクリ
ート部材が既存柱外側に所定の隙間をおいて対向配置さ
れ、該隙間を保持するため前記PCaコンクリート部材
上端部と既存梁との隙間に受圧部材が設けられ、前記既
存柱を挟む両側の既存梁と前記PCaコンクリート部材
上端部とにそれぞれ貫通する孔が設けられ、該孔にそれ
ぞれ挿通された緊張材に緊張力が導入されることで前記
PCaコンクリート部材上端部が剛接合される一方で、
前記PCaコンクリート部材下端部と該下端部に対向す
る前記既存コンクリート建築物のスラブ材との一箇所に
貫通する孔が設けられ、該孔に緊張材が挿通されて該緊
張材に緊張力が導入されることにより前記PCaコンク
リート部材下端部が回動可能に枢着されてなる既存建築
物の補強構造が提供される。
【0005】本発明において、前記PCaコンクリート
部材には上下に貫通する貫通孔を設け、該貫通孔を前記
請求項1における前記スラブ材まで貫通する一箇所の孔
となし、該貫通孔の所定位置に支圧板を埋設し、上端部
にナットなどの定着具を設けた緊張材を前記貫通孔内に
挿設すれば緊張材は前記支圧板により定着することがで
きる。また前記PCaコンクリート部材の上端部には、
既存柱の両側の既存梁まで延びる凸部を形成することが
好ましく、この場合、両側の凸部から既存梁を貫通する
孔がそれぞれ設けられ、該孔にそれぞれ緊張材が挿通さ
れて該緊張材に緊張力が導入されることでPCaコンク
リート部材上端部を剛接合しても良い。さらに、前記受
圧部材は、前記PCaコンクリート部材上端部と既存の
柱梁接合部との圧着した箇所に滑り破壊が生じにくいよ
うな摩擦抵抗力が得られれば良く、例えば、施工現場に
おいて両部材間の前記隙間にモルタルを充填して形成し
ても良い。
【0006】また本発明において、前記PCaコンクリ
ート部材の下端部に切欠きを設けることにより、前記ス
ラブ材又はこのスラブ材との間に設けられる受圧部材
(例えば、目地モルタル)に当接する面を小さくするこ
とが好ましく、かかる構成により、一箇所でPCaコン
クリート部材下端部における回動が比較的容易になり、
この下端部に生じる損傷を低減できる。
【0007】また本発明では、既存コンクリート建築物
の補強構造であって、既存柱とほぼ同じ幅かつ既存梁の
上下間隔とほぼ同じ長さのPCaコンクリート部材が既
存柱外側に所定の隙間をおいて対向配置され、該隙間を
保持するため前記PCaコンクリート部材の上下端部と
既存梁とのそれぞれ対向面に受圧部材が定着され、前記
PCaコンクリート部材の上下端部と前記既存梁には貫
通する孔が設けられ、該孔に挿通された緊張材に緊張力
が導入されることにより、前記PCaコンクリート部材
を前記既存柱に沿って圧着してなる既存建築物の補強構
造が提供される。
【0008】さらに本発明では、既存コンクリート建築
物の補強構造であって、既存柱とほぼ同じ幅かつ既存梁
の上下間隔とほぼ同じ長さのPCaコンクリート部材
が、上下の階層に連続するようにそれぞれ既存柱外側に
所定の隙間をおいて対向配置され、前記既存柱を挟む両
側の既存梁と前記PCaコンクリート部材上端部とにそ
れぞれ貫通する孔が設けられ、該孔にそれぞれ挿通され
た緊張材に緊張力が導入されることで前記PCaコンク
リート部材上端部が剛接合される一方で、前記PCaコ
ンクリート部材の上下方向と前記既存コンクリート建築
物のスラブ材とに貫通する孔が設けられ、上下の階層に
連続するように該孔に挿通された緊張材に緊張力が導入
されることにより前記PCaコンクリート部材上下端部
が前記スラブ材に剛接合されてなる既存建築物の補強構
造が提供される。
【0009】本発明において、前記PCaコンクリート
部材はそれ自体にプレストレスが導入された部材を使用
しても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて説明する。図1は居室外側にベラ
ンダや外廊下などが設けられた既存建築物における補強
構造10を示す正面図であり、図2は図1の補強構造の
側面図であり、図3は図1におけるIII−IIIに沿った断
面図であり、さらに、図4はPCaコンクリート部材1
1の上下端部の拡大断面図である。図1〜図4におい
て、補強構造10は既存建築物において既存柱50の外
側、例えば、ベランダまたは外廊下(図示せず)に設け
られるものであり、PCaコンクリート部材11が既存
柱50の外側に隙間35をおいて対向配置され、上端部
は2箇所が緊張材としてのPC鋼棒27により既存梁5
2に剛接合される一方で、下端部は1箇所がPC鋼棒1
5によりベランダスラブ51または廊下のスラブに回動
可能に枢着されたものである。
【0011】ここで、前記PCaコンクリート部材11
は、既存柱50とほぼ同じ幅かつ既存梁52の上下間隔
とほぼ同じ長さに形成し、上端部のほぼ中央に凹溝13
を、また両側に既存梁52まで延びる固定部12を設
け、下端部には切欠き部14aを形成する。この切欠き
部14aは、PCaコンクリート部材11の下端部を切
り欠いて、この下端部におけるベランダスラブ51また
は目地モルタル22に接触する面を小さくすることによ
り、PCaコンクリート部材11の下端部における回動
を容易にするものであり、PCaコンクリート部材11
の下端部に生じる損傷も低減するものである。またPC
aコンクリート部材11では、PC鋼棒15を挿通する
ための貫通孔11aを上下方向に延設すると共に、固定
部12の両方にはPCaコンクリート部材11の表裏に
貫通する貫通孔12aを設け、前記上下方向の貫通孔1
1aの上端付近に支圧板16を埋設し、貫通孔11aに
おいて支圧板16よりも上方区間11a’には、少なく
ともナット19が挿通できるような直径にする。なお、
PCaコンクリート部材11は、この部材に要求される
強度に応じて、内部にPC鋼材を埋設して予め緊張力を
導入したプレストレストコンクリート部材として形成し
たものを使用しても良い。
【0012】前記PCaコンクリート部材11により補
強する既存建築物には、既存柱50の両側の既存梁52
に居室の内外に貫通する貫通孔52aを穿設し、ベラン
ダスラブ51には既存柱50に対応する位置で上下に貫
通する貫通孔51aを穿設する。このとき、既存梁52
の貫通孔52aは、可能な限り既存柱50に近い箇所に
穿設することが好ましく、ベランダスラブ51の貫通孔
51aは、既存柱50から所定の隙間35を隔て取り付
けられるPCaコンクリート部材11の下端部に対向す
る位置に穿設する。
【0013】前記ベランダスラブ51上の貫通孔51a
の周りには、モルタル用型枠リング22aが載置され
て、このモルタル用型枠リング22aの周りにモルタル
目地22が形成される。このモルタル目地22は、PC
aコンクリート部材11を取り付ける前に予め形成され
るものである。また前記既存梁52の貫通孔52aの周
りにも、同様にモルタル用型枠リング31aが固定され
て、このモルタル用型枠リング31aの周りにモルタル
目地31が形成される。このモルタル目地31は、PC
aコンクリート部材11の取付け作業の前後にかかわら
ず形成することができるものである。
【0014】前記PCaコンクリート部材11は、図4
に詳細に示したように、その上下方向に設けられた貫通
孔11aとベランダスラブ51の貫通孔51aが連通す
るようにモルタル目地22の上に載置され、これら貫通
孔11a,51aに挿通されたPC鋼棒15の上端はナ
ット19により支圧板16に固定され、PC鋼棒15の
下端はベランダスラブ51の下面に支圧板25とナット
26により固定され、PC鋼棒15には緊締時に500
〜1000kN程度の緊張力が導入される。PCaコン
クリート部材11の下端部は、一箇所のみにおいてPC
鋼棒15により圧着されているため、この下端に水平方
向の変位が伝達した場合にも、曲げ応力を生じることな
く、剪断力を下方に伝達することができる。またPCa
コンクリート部材11の上端部は、その貫通孔12aと
既存梁52の貫通孔52aがそれぞれ二箇所で連通する
ように配置され、この貫通孔12a,52aまわりの隙
間35に目地モルタル31が充填されて受圧部材が形成
され、これら二箇所の貫通孔12a,52aにそれぞれ
挿通されたPC鋼棒27の両端はそれぞれ支圧板20,
28とナット21,29により固定され、PC鋼棒27
には緊締時に500〜1000kN程度の緊張力が導入
される。PCaコンクリート部材11の上端部は、二箇
所でPC鋼棒15により圧着されているため、この上端
部は既存建築物と同様に水平方向に変位する。
【0015】なお、PCaコンクリート部材11の下端
面には図5に示したような凸部14cを突設しても良
く、これによりPCaコンクリート部材11とモルタル
目地22との間に滑りが生じるのを防止することができ
る。またベランダスラブ51の貫通孔51aと、PCa
コンクリート部材11の貫通孔11aとには、グラウト
材を充填せずにアンボンド構造にすることで、既存建築
物において水平方向の変位が生じても、PCaコンクリ
ート部材11とベランダスラブ51の接合部におけるP
C鋼棒15の回動により変位の伝達が可能になる。これ
らの貫通孔11a,51a以外の貫通孔12a,52a
にグラウト材を充填するか否かは、適宜、選択すれば良
い。さらに、図示はしないが、PCaコンクリート部材
11の上端部とこの上端部に対向するベランダスラブ5
1の下面との間の隙間にモルタルを充填しても良く、こ
れによりベランダスラブ51の補強を図っても良い。
【0016】次に、図1〜図4の補強構造10の作用に
ついて説明する。補強構造10により補強した既存建築
物に地震などの外力が作用した場合、各階層間には水平
方向の変位が生じる。このとき、PCaコンクリート部
材11の上端部は既存梁52の二箇所においてPC鋼棒
27で圧着することにより剛接合されているので、既存
柱50や既存梁52とともに同じ変位だけ水平方向に移
動し、一方、PCaコンクリート部材11の下端部は既
存のベランダスラブ51の一箇所においてPC鋼棒27
で圧着することにより回動可能に接合されているので、
既存柱50や既存梁52に変位が生じても、PCaコン
クリート部材11の下端部におけるPC鋼棒27を中心
として回動し、ここに曲げ応力が生じるのを防止して剪
断力を下方の階層に伝達する。
【0017】図6(a)(b)は既存柱と既存梁の配置
が異なる場合に生じるPCaコンクリート部材の形状の
違いについて説明するための簡略断面図であり、図7
(a)は図6(a)に対応し、図7(b)は図6(b)
に対応するPCaコンクリート部材の簡略な斜視図であ
る。図6(a)では、居室内側で既存柱50が既存梁5
2よりも突出する一方で、居室外側では既存柱50と既
存梁52の面が平らに連続するように配置されており、
かかる既存建築物に取り付けるPCaコンクリート部材
11は、図6(a)及び図7(a)に図示したように、
既存建築物に対向する面を平らに形成したものを使用
し、これは図1〜図4のPCaコンクリート部材11と
同じものを使用することができる。また図6(b)で
は、居室外側で既存柱60が既存梁62よりも突出する
ように配置されており、かかる居室外側に取り付けるP
Caコンクリート部材70は、図6(b)及び図7
(b)に図示したように、上端の固定部71が既存梁6
2に向かって突出するように凸状部71aが設けられた
ものを使用する。なお、図6(a)(b)を比較すれば
判るように、PCaコンクリート部材70は、凸状部7
1aを除いた構成をPCaコンクリート部材11と全く
同じに形成することができるものである。
【0018】次に、図8(a)は図1〜図4と異なり居
室外側にベランダや外廊下などが設けられていない既存
建築物の補強構造60を示す正面図であり、図8(b)
は図8(a)の側面図であり、図9は図8の補強構造6
0におけるPCaコンクリート部材61の上下端部まわ
りを拡大して示した断面図である。図8及び図9におい
て、PCaコンクリート部材61は、既存柱80とほぼ
同じ幅かつ既存梁82の上下間隔とほぼ同じ長さに形成
し、上下端部の両側に既存梁82まで延びる固定部62
を設け、この四箇所の固定部62に表裏に貫通する貫通
孔62aを穿設したものを使用する。なお、固定部62
は、後述のPC鋼棒73によるPCaコンクリート部材
61の既存梁82への圧着を可能にする範囲で可能な限
り短く形成することが好ましい。
【0019】前記PCaコンクリート部材61は、その
貫通孔62aの周りに目地モルタル75を介在させるこ
とにより、既存柱80の外側面から所定の隙間65を隔
てて対向配置し、既存梁82に居室の内外に貫通する貫
通孔82aを、PCaコンクリート部材61の貫通孔6
2aに連続する配置で設け、各貫通孔62a,82aに
それぞれPC鋼棒73を挿設して、各PC鋼棒73の両
端部を支圧板71とナット72により固定して、500
〜1000kN程度の緊張力を各PC鋼棒73に導入し
て、補強構造60を構成する。かようにして、補強構造
60では、PCaコンクリート部材61の上端部と下端
部がそれぞれ二箇所で目地モルタル75を介して既存梁
82に圧着され、これにより、PCaコンクリート部材
61の上下端部はそれぞれ既存梁82に剛接合される。
【0020】上述の補強構造60により補強した既存建
築物では、既存柱80等の鉛直部材の水平耐力が向上す
ると共に、層間及び平面的な剛性のかたよりの修正が為
されるので、地震などの外力が作用した場合でも、柱部
分が急激に破壊することを防止できる。
【0021】次に、図1及び図8と異なる補強構造につ
いて、図10及び図11を参照して説明する。図10及
び図11において、PCaコンクリート部材91は、既
存柱80とほぼ同じ幅かつベランダスラブ84の上下間
隔とほぼ同じ長さに形成し、上端部の両側に既存梁82
まで延びる固定部92を設け、この2箇所の固定部92
に表裏に貫通する貫通孔92aを穿設すると共に、上下
方向に貫通する貫通孔94を二箇所に穿設したものが使
用される。
【0022】かかるPCaコンクリート部材91は、そ
れぞれの階層ごとにPCaコンクリート部材91の上下
端面と上下のベランダスラブ84との間に目地モルタル
96a,96bを介在させて、既存柱80の外側面から
所定の隙間98を隔てて対向配置される。また上下のベ
ランダスラブ84には貫通孔が、PCaコンクリート部
材91の貫通孔94に連続する配置で設けられており、
また既存梁82にも居室の内外に貫通する貫通孔82a
が、PCaコンクリート部材91の貫通孔92aに連続
する配置で設けられ、これら貫通孔82a,92a付近
の隙間98に受圧部材としての目地モルタル97が設け
られる。そして、上下階層において同じ位置に配置した
すべてのPCaコンクリート部材91を貫通するよう
に、その貫通孔94とベランダスラブ84の貫通孔にP
Cストランド95が挿通され、このPCストランド95
に緊張力が導入された後に、その上下端部が最上階層の
スラブ(図示せず)と最下階層のスラブ(図示せず)と
に支圧板やナットにより定着される。また既存梁82の
貫通孔82aとPCaコンクリート部材91の貫通孔9
2aとにそれぞれPC鋼棒93cが挿設されて、各PC
鋼棒93cの両端部が支圧板93aとナット93bによ
り固定され、各PC鋼棒93cに緊張力が導入されて補
強構造90が構成される。
【0023】
【発明の効果】請求項1記載の補強構造では、PCaコ
ンクリート部材が受圧部材を介して既存柱の外側に所定
の隙間を隔てて対向配置され、PCaコンクリート部材
の上端部が既存梁に剛接合され、下端部が既存スラブ材
に回動可能に枢着されているため、PCaコンクリート
部材の上端部は既存柱や既存梁とともに同じ変位だけ水
平方向に移動し、PCaコンクリート部材の下端部は緊
張材を中心として回動し、剪断力を下方の階層に伝達す
ることができるので、ここに曲げ応力が生じるのを防止
できる。
【0024】本発明の補強構造では、既存柱とほぼ同じ
幅かつ既存梁の上下間隔とほぼ同じ長さのPCaコンク
リート部材が補強材として既存柱外側に取り付けられる
ため、従来のブレースによる補強構造のように窓などの
開口部が補強材で遮られることなく、視界と採光面積を
補強前とほぼ同じに維持することができる。
【0025】また本発明の補強構造において、既存建築
物への作業は、既存梁や既存スラブ材に貫通孔を設ける
作業と、PCaコンクリート部材の取り付け作業のみで
あるため、従来の既存柱の増し打ち工法や壁の増設工法
に比べると、工期の短縮と現場作業の低減が可能にな
り、使用中の既存建築物における居住性を低下させるこ
となく、補強構造が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の既存建築物における補強構造の正面図
である。
【図2】図1の補強構造の側面図である。
【図3】図1におけるIII−IIIに沿った断面図である。
【図4】図2において円IVで囲んだ部分の拡大断面図で
ある。
【図5】本発明の補強構造におけるPCaコンクリート
部材の下端部を正面から拡大して示した断面図である。
【図6】(a)(b)は既存柱と既存梁の配置が異なる
場合に生じるPCaコンクリート部材の形状の違いにつ
いて説明するための簡略断面図である。
【図7】(a)は図6(a)に対応し、(b)は図6
(b)に対応するPCaコンクリート部材の簡略な斜視
図である。
【図8】(a)は図1と異なる本発明の補強構造におけ
る正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図9】図8の補強構造におけるPCaコンクリート部
材の上下端部まわりを拡大して示した断面図である。
【図10】図1及び図8と異なる本発明の補強構造にお
ける正面図である。
【図11】図10の補強構造の側面図である。
【符号の説明】
10 補強構造 11 PCaコンクリート部材 11a,12a,51a,52a 貫通孔 15 PC鋼棒(緊張材) 27 PC鋼棒(緊張材) 31 目地モルタル(受圧部材) 35 隙間 50 既存柱 51 ベランダスラブ(スラブ材) 52 既存梁 52a 貫通孔 60 補強構造 61 PCaコンクリート部材 62a,82a 貫通孔 73 PC鋼棒(緊張材) 75 目地モルタル(受圧部材) 80 既存柱 82 既存梁 84 ベランダスラブ(スラブ材) 90 補強構造 91 PCaコンクリート部材 93c PC鋼棒(緊張材) 94 貫通孔 95 PCストランド(緊張材) 97 目地モルタル(受圧部材)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既存コンクリート建築物の補強構造であ
    って、既存柱とほぼ同じ幅かつ既存梁の上下間隔とほぼ
    同じ長さのプレキャストコンクリート部材(以下、PC
    aコンクリート部材という)が既存柱外側に所定の隙間
    をおいて対向配置され、該隙間を保持するため前記PC
    aコンクリート部材上端部と既存梁との隙間に受圧部材
    が設けられ、前記既存柱を挟む両側の既存梁と前記PC
    aコンクリート部材上端部とにそれぞれ貫通する孔が設
    けられ、該孔にそれぞれ挿通された緊張材に緊張力が導
    入されることで前記PCaコンクリート部材上端部が剛
    接合される一方で、前記PCaコンクリート部材下端部
    と該下端部に対向する前記既存コンクリート建築物のス
    ラブ材との一箇所に貫通する孔が設けられ、該孔に挿通
    された緊張材に緊張力が導入されることにより前記PC
    aコンクリート部材下端部が回動可能に枢着されてなる
    既存建築物の補強構造。
  2. 【請求項2】 前記PCaコンクリート部材には上下に
    貫通する貫通孔を設け、該貫通孔を前記請求項1におけ
    る前記スラブ材まで貫通する一箇所の孔となし、該貫通
    孔の所定位置に支圧板を埋設し、該貫通孔内に緊張材を
    挿設してその上端部を前記支圧板により定着したことを
    特徴とする請求項1記載の既存建築物の補強構造。
  3. 【請求項3】 既存コンクリート建築物の補強構造であ
    って、既存柱とほぼ同じ幅かつ既存梁の上下間隔とほぼ
    同じ長さのPCaコンクリート部材が既存柱外側に所定
    の隙間をおいて対向配置され、該隙間を保持するため前
    記PCaコンクリート部材の上下端部と既存梁とのそれ
    ぞれ対向面に受圧部材が定着され、前記PCaコンクリ
    ート部材の上下端部と前記既存梁に貫通する孔が設けら
    れ、該孔に挿通された緊張材に緊張力が導入されること
    により、前記PCaコンクリート部材を前記既存柱に沿
    って圧着してなる既存建築物の補強構造。
  4. 【請求項4】 既存コンクリート建築物の補強構造であ
    って、既存柱とほぼ同じ幅かつ既存梁の上下間隔とほぼ
    同じ長さのPCaコンクリート部材が、上下の階層に連
    続するようにそれぞれ既存柱外側に所定の隙間をおいて
    対向配置され、前記既存柱を挟む両側の既存梁と前記P
    Caコンクリート部材上端部とにそれぞれ貫通する孔が
    設けられ、該孔にそれぞれ挿通された緊張材に緊張力が
    導入されることで前記PCaコンクリート部材上端部が
    剛接合される一方で、前記PCaコンクリート部材の上
    下方向と前記既存コンクリート建築物のスラブ材とに貫
    通する孔が設けられ、上下の階層に連続するように該孔
    に挿通された緊張材に緊張力が導入されることにより前
    記PCaコンクリート部材上下端部が前記スラブ材に剛
    接合されてなる既存建築物の補強構造。
JP2000287404A 2000-09-21 2000-09-21 PCaコンクリート部材による既存建築物の補強構造 Expired - Fee Related JP3373836B2 (ja)

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