JP5957321B2 - 既存建物の外付け補強構造および既存建物の補強方法 - Google Patents
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鉄骨ブレース架構を既存建物へ接合する手段としては、既存建物の外周に形成されたバルコニー等の床スラブや先端小梁に後施工アンカーやPC鋼材等を打ち込み、これに鉄骨ブレース架構の梁を固定することにより行うのが一般的である。また、既存建物の外周に床スラブや先端小梁がない場合や、あっても強度が低い場合には、後施工アンカーやPC鋼材を介して床スラブや小梁を既存建物の外周に増設し、これに鉄骨ブレース架構を接合する場合もある(非特許文献1参照)。
また、床スラブや小梁の増設は、作業に手間がかかり、工期短縮化の妨げとなっていた。
また、補強フレームは、既存建物の柱梁架構と直接一体化させるために、補強フレームの柱高さや梁のスパン長は、必然的に既存建物の柱梁架構の各部材長さと同一となり、補強フレームの柱幅や梁せいサイズの縮小化や軽量化は困難であり、大掛かりな揚重機械が必要で補強工事が高額となるなど問題があった。
さらに、鉄骨ブレースを設ける補強構造は、既存建物の開口部の視野を塞ぐことになり、居住環境に影響を及ぼす問題があった。
また、建物の外部において補強を行うため、施工時に居住環境に及ぼす影響も最小限に抑えることができる。
補強架構10(補強柱11および補強梁12)を構成する材料は限定されるものではないが、本実施形態ではH形鋼で形成されている。
補強プレート11bは、補強柱11のフランジとウェブに囲まれた空間を仕切るように水平に配設されている。なお、補強プレート11bは、必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
接合部材20は、水平部材31に配筋された鉄筋に溶接されている(図5の(a)参照)。補強柱11は、接合部材20を介して水平部材31の鉄筋に接合されている。
つまり、左右の梁部材12aの境界を跨ぐように配設された前後一対のスプライスプレート14によりウェブを前後から挟むとともに、スプライスプレート14およびウェブを貫通したボルトにより締着すると、梁部材12a同士が連結される。
本実施形態の水平部材31は、既存建物30の室外に形成されたバルコニーの床部分を構成している。
貫通孔32は、補強柱11の断面形状よりも大きな形状を有している。本実施形態では貫通孔32を矩形状に形成しているが、貫通孔32の形状は、例えば円形でもよく、限定されるものではない。
既存建物の補強方法は、貫通部形成工程と、補強柱設置工程と、横架工程と、接合工程とを備えている。
柱部材11aは、その下側に先行配置された既設の柱部材11aに接合する。
横架工程では、左右に隣り合う補強フレーム13の梁部材12a同士を連結すればよい。
次に、図5の(b)に示すように、接合部材20と貫通孔32との間の隙間に固化材40を充填することで、補強柱11と水平部材31とを接合する。
既存建物30の梁軸方向に加わる地震水平力を、水平部材31を介して補強架構10にも分担せしめることで耐震性能が向上する。また、水平部材31を介して応力を伝達するため、既存建物30の柱梁架構(構造体)との位置関係に制限されることなく、補強架構10を配置することができる。
すなわち、補強架構10の位置は、水平部材31の張り出し長さの大小とは関係なく比較的自由に設定できるので、水平部材31の張り出し長さが大きい場合であっても、既存建物30の柱33や梁34(あるいは壁)に近づけることができる。
また、補強柱11の本数を多くすることで、補強柱11の断面の縮小化が可能となり、その結果、補強架構10の軽量化を図ることも可能となる。
また、各階において上下2段に配設された補強梁12の高さを調節することで、1段梁と比較して補強梁12の梁せいを小さくすることができる。また、補強梁12を既存建物30の内部からの視界を妨げることのないように配置することができる。
さらに、既存建物30を使用しながら施工を行うことが可能であるので、施工について時期的・時間的な制約を受けづらく、全体として短期施工が可能となり、費用の低減化を図ることもできる。
例えば、前記実施形態では、補強柱と水平部材との間に接合部材を配設する場合について説明したが、接合部材は必ずしも配設されている必要はない。また、接合部材は、必ずしも水平部材の鉄筋に溶接されている必要もない。
10 補強架構
11 補強柱
12 補強梁
20 接合部材
30 既存建物
31 水平部材
31a 鉄筋
32 貫通孔(貫通部)
40 固化材
Claims (3)
- 既存建物の外周部に取り付く水平部材と、前記既存建物の外周部の外側に設置される補強架構と、を備える既存建物の外付け補強構造であって、
前記水平部材に形成された貫通孔を貫通して配設された補強柱と、前記補強柱と直交する方向に前記補強柱の側面から延設された補強梁と、からなる前記補強架構を備え、
前記補強柱は、前記貫通孔を貫通している当該補強柱に当接された接合部材を介して前記水平部材の鉄筋に接合されていることを特徴とする、既存建物の外付け補強構造。 - 前記補強梁が、上下の前記水平部材の間において、上下に2段または3段配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の既存建物の外付け補強構造。
- 既存建物の外周部に取り付く水平部材に貫通孔を形成する貫通部形成工程と、
前記貫通孔に補強柱を貫通させる補強柱設置工程と、
隣り合う前記補強柱に補強梁を横架させる横架工程と、
前記貫通孔内において、前記水平部材に配筋された鉄筋に接合部材を溶接し、当該接合部材を前記補強柱に当接させるとともに、前記接合部材と前記貫通孔との間に固化材を充填することで、前記補強柱と前記水平部材とを接合する接合工程と、を備え、
前記横架工程と前記接合工程とは、いずれか一方を前工程とすることを特徴とする、既存建物の補強方法。
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