JP3373271B2 - アルキルチオベンズアミド類の製造方法 - Google Patents

アルキルチオベンズアミド類の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルキルチオベンズア
ミド類の製造方法に関する。さらに詳しくは、抗菌剤、
抗かび剤として有用な2−置換−1,2−ベンズイソチ
アゾール−3−オン等の中間体として有用なアルキルス
ルフィニルベンズアミド類を製造するために有用な中間
体であるアルキルチオベンズアミド類の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、アルキルスルフィニルベンズアミ
ド類、例えば2−(アルキルスルフィニル)ベンズアミ
ド類の製造方法としては、下記の方法などが知られてい
る。
【0003】(A)Bull.Chem.Soc.Jp
n.,55,1183−7(1982)
【0004】
【化3】
【0005】(B)Tetrahedron Let
t.,33,153−6(1992)
【0006】
【化4】
【0007】しかし、これらの公知の製造方法は、次の
ような点から工業上有利な方法とはいえない。すなわち
(A)の方法は、原料として用いる2−(メチルチオ)
ベンゾイルクロライドの安定性およびその製造方法に問
題がある。また、高価で、取扱い上危険性の高い過よう
素酸を用いている。(B)の方法もまた、原料として用
いるN−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズアミドの
製造方法が記載されていないために原料供給に問題があ
る。しかも、取扱い上危険性の高いm−クロロ過安息香
酸(m−CPBA)を用いている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ア
キルスルフィニルベンズアミド類を製造するために有用
な中間体であるアルキルチオベンズアミド類を製造する
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明の要旨
は、 般式(I)
【0010】
【化5】
【0011】(式中、XはClまたはBrを表わし、R
1 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール
基、またはアラルキル基を表わす) で表わされるハロベンズアミド類と一般式(II) 2 SH (II) (式中、R 2 は炭素数1〜4のアルキル基を表わす) で表わされるアルカンチオールとを、塩基の存在下、
と非水溶性有機溶媒とからなる不均一溶媒で反応させ
ることを特徴とする一般式(III)
【0012】
【化6】
【0013】(式中、R 1 、R 2 は前記と同様である) で表わされるアルキルチオベンズアミド類の製造方法に
関する。
【0014】上記の一般式(I)、(II)および(III)
おいて、R1 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル
基、アリール基、またはアラルキル基を表わし、R2
炭素数1〜4のアルキル基を表わす。これらのアルキル
基は直鎖状でも分岐状でも良い。かかるアルキル基の具
体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルおよびt
−ブチルを挙げることができる。また、かかるアリール
基の具体例としては、フェニル、4−トルイル、1−ナ
フチル等を挙げることができる。また、かかるアラルキ
ル基の具体例としては、ベンジル、フェネチル等を挙げ
ることができる。
【0015】本発明で使用する原料の一般式(I)で表
わされるハロベンズアミド類としては、特に限定される
ものではなく、例えば2−クロロベンズアミド、N−エ
チル−2−クロロベンズアミド、N−フェニル−2−ク
ロロベンズアミド、N−4−トルイル−2−クロロベン
ズアミド、N−ベンジル−2−クロロベンズアミド、2
−ブロモベンズアミド、N−エチル−2−ブロモベンズ
アミド、N−フェニル−2−ブロモベンズアミド、N−
4−トルイル−2−ブロモベンズアミド、N−ベンジル
−2−ブロモベンズアミド、4−クロロベンズアミド、
N−エチル−4−クロロベンズアミド、N−フェニル−
4−クロロベンズアミド、N−4−トルイル−4−クロ
ロベンズアミド、N−ベンジル−4−クロロベンズアミ
ド、4−ブロモベンズアミド、N−エチル−4−ブロモ
ベンズアミド、N−フェニル−4−ブロモベンズアミ
ド、N−4−トルイル−4−ブロモベンズアミド、N−
ベンジル−4−ブロモベンズアミド、等を挙げることが
できる。
【0016】一般式(II)で表わされるアルカンチオー
ルとしては、メタンチオール、エタンチオール、1−プ
ロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオ
ール等が使用可能であり、その使用量は、ハロベンズア
ミド類に対して、通常0.8〜3.0倍モル、好ましく
は1.0〜2.0倍モルの範囲である。アルカンチオー
ルの使用量が、0.8倍モル未満の場合には、未反応の
ハロベンズアミド類が多くなり、一方、3.0倍モルを
超えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に
不利である。
【0017】ハロベンズアミド類とアルカンチオールと
の反応で使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;ナトリウムメ
チラート、ナトリウムエチラート等の金属アルコラート
等が挙げられる。中でも、経済的見地から水酸化ナトリ
ウムが好ましく用いられる。また、塩基の使用量は、ハ
ロベンズアミド類に対し、通常0.8〜3.5倍モル、
好ましくは、1.0〜2.5倍モルの範囲である。塩基
の使用量が、0.8倍モル未満の場合には、未反応のハ
ロベンズアミド類が多くなり、一方、3.5倍モルを超
えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不
利である。
【0018】本発明の一般式(III)で表わされるアルキ
ルチオベンズアミド類の製造方法においては、反応を水
の存在下で不均一溶媒系で行なうことを特徴とする。反
応原料であるハロベンズアミド類とアルカンチオールと
の反応は、ハロベンズアミド類が水不溶性であるため二
相系での反応となる。この場合、相間移動触媒を添加す
ると反応が円滑に進行することが多く、好適である。こ
こで使用する相間移動触媒としては、ベンジルトリエチ
ルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモ
ニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウ
ムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムク
ロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、オクチルトリエチルアンモニウムブロマイド、テト
ラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−
ブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニ
ウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロ
ライド等の4級のアンモニウム塩;ヘキサデシルトリエ
チルホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチル
ホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニ
ウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロ
ライド、トリオクチルエチルホスホニウムブロマイド、
テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホ
ニウム塩;18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラ
ウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6等の
クラウンエーテル等が挙げられる。中でも、経済的見地
から、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テ
トラ−n−ブチルアンモニウムクロライド等の4級アン
モニウム塩が好ましく用いられる。
【0019】また、相間移動触媒を使用する場合の使用
量は、ハロベンズアミド類の重量に対し、通常、0.0
05〜0.5倍重量、好ましくは、0.01〜0.2倍
重量の範囲である。相間移動触媒の使用量が、0.00
5倍重量未満の場合には、触媒効果が十分あらわれず、
一方、0.5倍重量を超えて用いても、それに見合う効
果が得られず経済的に不利である。
【0020】本発明で用いる反応溶媒としては、反応を
容易にするため、および反応後の生成物の分液を容易に
するため、通常、水1重量部に対して非水溶性有機溶媒
1〜10重量部からなる不均一溶媒を用いる。非水溶性
有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、n−
ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水
素;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができ
る。不均一溶媒の使用量は、ハロベンズアミド類に対し
て、通常1〜30倍重量である。
【0021】反応温度は、通常0〜150℃、好ましく
は20〜120℃の範囲である。反応温度が、150℃
を超えると副反応が起こり、他方、0℃未満だと反応速
度が実用上遅すぎるので好ましくない。反応時間は、反
応温度、相間移動触媒種および反応溶媒種により異な
り、一概には言えないが、通常1〜40時間の範囲であ
る。
【0022】反応終了後、分液されたアルキルチオベン
ズアミド類は、有機溶媒層より晶析等の通常の処理で、
単離精製することができる。また、水層は、相間移動触
媒を含んだまま分液されるため、次の反応に引き続き使
用することが可能であり、反復使用される。そのため、
系外にはほとんど水性の廃棄物が排出されることがな
い。さらに、分液されたアルキルチオベンズアミド類を
含む有機溶媒層は、そのまま次の反応に用いることもで
きる。
【0023】次に、このようにして得られる一般式(II
I)で表わされるアルキルチオベンズアミド類を、ハロゲ
ンとさらに不均一溶媒系で反応させることにより、一般
式(IV):
【0024】
【化7】
【0025】(式中、R 1 およびR 2 は前記と同様である) で表わされるアルキルスルフィニルベンズアミド類を製
造することができる。ここで用いるハロゲンとしては、
塩素、臭素等を使用することができる。反応選択性の見
地からみると臭素が好ましい。また、ハロゲンの使用量
は、アルキルチオベンズアミド類に対し、通常0.8〜
2.0倍モル、好ましくは、1.0〜1.3倍モルの範
囲である。ハロゲンの使用量が0.8倍モル未満では、
未反応のアルキルチオベンズアミド類が多くなり、2.
0倍モルを超えて用いる場合は、副反応が起こり収率が
低下する。
【0026】アルキルチオベンズアミド類とハロゲンと
の反応で副生するハロゲン化水素を反応系内で中和する
ことも可能である。使用できる塩基としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム等の炭酸アルカリ金属;ナトリウムメチ
ラート、ナトリウムエチラート等の金属アルコラート;
トリエチルアミン、ピリジン等の有機アミン等が挙げら
れる。中でも、経済的見地から水酸化ナトリウム、炭酸
水素ナトリウムが好ましく用いられる。
【0027】アルキルチオベンズアミド類とハロゲンと
の反応で使用する溶媒としては、反応を容易にするた
め、および反応後の生成物の単離を容易にするため、通
常、水1重量部に対して非水溶性有機溶媒1〜10重量
部からなる不均一溶媒を用いる。非水溶性有機溶媒とし
ては、特に限定されるものではなく、n−ヘキサン、n
−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;塩化メ
チレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。不均一
溶媒の使用量は、アルキルチオベンズアミド類に対し
て、通常1〜30倍重量である。
【0028】アルキルチオベンズアミド類とハロゲンと
の反応温度は、通常−10〜100℃、好ましくは0〜
50℃の範囲である。反応温度が、100℃を超える
と、副反応が起こり、他方、−10℃未満だと、反応速
度が実用上遅すぎるので好ましくない。反応時間は、反
応温度、反応溶媒種により異なり、一概には言えない
が、通常1〜40時間の範囲である。
【0029】本発明においては、このように一般式
(I)で表わされるハロベンズアミド類、一般式(II)
で表わされるアルカンチオールを原料として、まず一般
式(III)で表わされるアルキルチオベンズアミド類を製
造し、次の工程で単離されたアルキルチオベンズアミド
類とハロゲンとの反応により目的とするアルキルスルフ
ィニルベンズアミド類を製造することができる。本発明
においては、このように2つの工程で行う方法の他に、
ハロベンズアミド類、アルカンチオール、ハロゲン等を
原料として、ワンポット反応でアルキルスルフィニルベ
ンズアミド類を得ることができる。即ち、この場合、反
応の中間生成物であるアルキルチオベンズアミド類は単
離することなくアルキルチオベンズアミド類を含む有機
溶媒層を分液してハロゲンとの反応に供される。ワンポ
ット反応でアルキルスルフィニルベンズアミド類を得る
場合、溶媒としては、中でもトルエンと水との不均一溶
媒系で行うのが好ましい。このように、2つの工程ある
いはワンポット反応で得られるアルキルスルフィニルベ
ンズアミド類の反応液からの単離は、通常、分液した有
機溶媒層から晶析または再結晶等の操作により行なうこ
とができる。
【0030】このようにして得られるアルキルスルフィ
ニルベンズアミド類は、一般式(IV)で表され、その具
体例としては、2−(アルキルスルフィニル)ベンズア
ミド類の具体例として、2−(メチルスルフィニル)ベ
ンズアミド、2−(エチルスルフィニル)ベンズアミ
ド、2−(n−プロピルスルフィニル)ベンズアミド、
2−(イソプロピルスルフィニル)ベンズアミド、2−
(n−ブチルスルフィニル)ベンズアミド、2−(イソ
ブチルスルフィニル)ベンズアミド、2−(s−ブチル
スルフィニル)ベンズアミド、2−(t−ブチルスルフ
ィニル)ベンズアミド、N−エチル−2−(メチルスル
フィニル)ベンズアミド、N−フェニル−2−(メチル
スルフィニル)ベンズアミド、N−4−トルイル−2−
(メチルスルフィニル)ベンズアミド、N−ベンジル−
2−(メチルスルフィニル)ベンズアミド、N−エチル
−2−(エチルスルフィニル)ベンズアミド、N−フェ
ニル−2−(エチルスルフィニル)ベンズアミド、N−
4−トルイル−2−(エチルスルフィニル)ベンズアミ
ド、N−ベンジル−2−(エチルスルフィニル)ベンズ
アミド等を、また4−(アルキルスルフィニル)ベンズ
アミド類の具体例として、4−(メチルスルフィニル)
ベンズアミド、4−(エチルスルフィニル)ベンズアミ
ド、N−エチル−4−(メチルスルフィニル)ベンズア
ミド、N−フェニル−4−(メチルスルフィニル)ベン
ズアミド、N−4−トルイル−4−(メチルスルフィニ
ル)ベンズアミド、N−ベンジル−4−(メチルスルフ
ィニル)ベンズアミド等を挙げることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例および製造例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0032】製造例1 N−フェニル−2−クロロベンズアミドの合成 撹拌機、温度計、冷却器を備え付けた500ml四つ口
フラスコに、2−クロロ安息香酸31.3g(0.2モ
ル)、トルエン180gを仕込み、撹拌下で、塩化チオ
ニル25.0g(0.21モル)を60〜65℃にて約
30分間かけて滴下し、約30分間反応させた。この溶
液にアニリン27.9g(0.3モル)をトルエン10
0gに溶解させた溶液を滴下し、70〜75℃で30分
間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、
5%塩酸70gを添加し抽出分液した。トルエン層を濃
縮し、析出した白色結晶を再結晶(水:メタノール=
3:7)することによりN−フェニル−2−クロロベン
ズアミド43.1g(融点116〜117℃)を得た。
2−クロロ安息香酸に対する収率は93%であった。
【0033】実施例1 N−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズアミドの合成 撹拌機、温度計、冷却器を備え付けた500ml四つ口
フラスコに、N−フェニル−2−クロロベンズアミド4
6.3g(0.2モル)、トルエン100g、50%テ
トラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド水溶液9.3
gを仕込んだ。一方、別途、水酸化ナトリウム12.0
g(0.30モル)と水113.7gを窒素雰囲気下で
別の容器に仕込み、攪拌下でメタンチオール14.5g
(0.30モル)を室温にて約1時間かけて仕込んで、
メタンチオールのナトリウム塩水溶液140.2gを調
製した。こうして得たメチルメルカプタンナトリウム水
溶液140.2g(0.3モル)を攪拌下80℃で添加
し、還流下で1時間反応させた。反応終了後、反応液を
室温まで冷却し、析出した白色結晶を水、トルエンで洗
浄後、乾燥させるとN−フェニル−2−(メチルチオ)
ベンズアミド46.2g(融点148〜149℃)を得
た。N−フェニル−2−クロロベンズアミドに対する収
率は95%であった。
【0034】参考 N−フェニル−2−(メチルスルフィニル)ベンズアミ
ドの合成 撹拌機、温度計、冷却器を備え付けた1000ml四つ
口フラスコに、N−フェニル−2−(メチルチオ)ベン
ズアミド48.6g(0.2モル)、トルエン300
g、10%炭酸水素カリウム水溶液200gを仕込み、
撹拌下で、臭素32.0g(0.2モル)を10〜15
℃で滴下し、10分間反応させた。反応終了後、生成し
た白色結晶を濾過し、再結晶(水:メタノール=1:
9)することによりN−フェニル−2−(メチルスルフ
ィニル)ベンズアミド48.7g(融点194〜195
℃)を得た。N−フェニル−2−(メチルチオ)ベンズ
アミドに対する収率は94%であった。
【0035】参考 2−クロロ安息香酸からN−フェニル−2−(メチルス
ルフィニル)ベンズアミドへの連続合成 撹拌機、温度計、冷却器を備え付けた1000ml四つ
口フラスコに、2−クロロ安息香酸31.3g(0.2
モル)、トルエン300gを仕込み、製造例1に従い反
応を行った。抽出したトルエン層に50%テトラ−n−
ブチルアンモニウムブロマイド水溶液9.3gを添加
し、前述の方法により得られたメチルメルカプタンナト
リウム水溶液140.2g(0.3モル)を添加し、実
施例1に従い反応を行った。反応終了後、反応液を熱分
液し、取得したトルエン層に10%炭酸水素カリウム水
溶液200gを添加し、撹拌下、臭素38.4g(0.
24モル)を10〜15℃で滴下し、実施例2に従い反
応を行った。上記一連の操作をワンポットで行ったとこ
ろ、N−フェニル−2−(メチルスルフィニル)ベンズ
アミドが2−クロロ安息香酸に対し81%の収率で得ら
れた。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法によれば、工業的に容易に
入手できるハロベンズアミド類を原料とし、アルキルチ
オベンズアミド類を経由して、ワンポットで容易にアル
キルスルフィニルベンズアミド類が得られる。このよう
に本発明では廃棄物の排出が少なく、高価で取扱い上危
険性の高い物質を原料として使用することなく、しかも
高収率で、目的とするアルキルスルフィニルベンズアミ
ド類が容易に得られるため、経済的にも工業的にも有用
な方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂上 茂樹 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住友精化株式会社第1研究所内 (56)参考文献 特開 平3−130258(JP,A) 特開 昭60−248660(JP,A) 特開 昭56−26869(JP,A) 特開 昭50−116445(JP,A) 特開 平6−56760(JP,A) 特開 平7−10829(JP,A) Tetrahedron,39(24), 1983,p.4153−61 Bull.Chem.Soc.Jp n,55,1982,p.1183−7 第4版実験化学講座24 有機合成VI −ヘテロ元素・典型金属元素化合物,丸 善株式会社,1992年9月25日,第351頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 319/14 C07C 323/62 C07C 315/02 C07C 317/44 CA(STN) REGISTRY(STN) CASREACT(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、XはClまたはBrを表わし、R 1 は水素原
    子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基またはアラ
    ルキル基を表わす) で表わされるハロベンズアミド類と一般式(II) 2 SH (II) (式中、R 2 は炭素数1〜4のアルキル基を表わす) で表わされるアルカンチオールとを、塩基の存在下、
    と非水溶性有機溶媒とからなる不均一溶媒で反応させ
    ることを特徴とする一般式(III) 【化2】 (式中、R 1 およびR 2 は前記と同様である) で表わされるアルキルチオベンズアミド類の製造方法。
  2. 【請求項2】 相間移動触媒の存在下で反応を行なう請
    求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 相間移動触媒が4級アンモニウム塩また
    は4級ホスホニウム塩である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(I)の化合物がN−フェニル−
    2−クロロベンズアミドである請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(III)の化合物がN−フェニル−
    2−(メチルチオ)ベンズアミドである請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 塩基が水酸化アルカリ金属である請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
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