JP3939769B2 - 1,2−ベンズイソチアゾール類の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類とハロゲン化物とを原料とする2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法に関する。かかる2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類は、抗菌剤、抗かび剤、医薬品中間原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法としては、下記に挙げる方法などが知られている。
【0003】
(A)Bull. Chem. Soc. Jpn., 55, 1183-7(1982)
【0004】
【化4】
【0005】
この方法は、2−(メチルチオ)ベンゾイルクロライドから2−(メチルチオ)ベンズアミドを製造し、このものを過ヨウ素酸を用いて酸化させて2−(メチルスルフィニル)ベンズアミドを製造し、さらにこれを塩化チオニルによって環化させて、目的とする2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得る方法である。
【0006】
(B)J. Org. Chem., 40(14), 2029-32(1975)
【0007】
【化5】
【0008】
この方法は、チオサリチル酸を出発原料とし、最後は強塩基を用いて環化させ、目的とする、2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得る方法である。
【0009】
しかし、これらの公知の方法には、次のような欠点がある。
すなわち(A)の方法は、目的とする、2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得るためには、2−(メチルチオ)ベンズアミドを酸化させ、それによって得られる2−(メチルスルフィニル)ベンズアミドを塩化チオニルによって環化させるという2段階の反応工程を要する。またこの方法は、取り扱い上危険度が高くかつ高価な過ヨウ素酸を用いる必要がある。
(B)の方法もまた、高価なチオサリチル酸を原料として用いており、しかも反応工程数が多いため、工業的に満足する方法ではない。
【0010】
このように、公知のいずれの方法によっても、2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を製造するには、複数の反応工程を要し、また原料の経済性、安全性にも問題があり、工業的に満足できる方法ではなかった。
【0011】
一方、アミン類またはアミド類とハロゲン化物の反応により、窒素原子に結合した水素原子を置換する方法としては、次のようなものが知られている。
【0012】
(C)Arm. Khim. Zhur., 33,152(1980)
【0013】
【化6】
【0014】
(D)Synthesis., 113(1976)
【0015】
【化7】
【0016】
しかし、これらの公知の方法は比較的単純でかつ活性なアミノ基にアラルキル基、アルキル基等を求核置換反応により導入する技術であり、このため当業者は2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法にこの技術がそのまま適用できるとは、考え難かった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、反応工程数が少なく工業的に有利で、しかも取り扱い上危険性の高い物質を使用することなく、容易に2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく各種の反応原料、反応経路を鋭意検討した結果、反応原料として一般式(I)で表される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を用いることに想到し、更にこれを一般式(II)で表されるハロゲン化物と反応させることにより、求核置換反応により所望の置換基が1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の2−位に好適に導入されることを見いだし、本発明を完成した。
【0019】
【化8】
【0020】
(式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、R1 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル、またはハロゲン原子を表す。また、R2 はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、または置換アリル基を表す。)
【0021】
すなわち、本発明の要旨は、
(1) 一般式(I)で表される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類と一般式(II)で表されるハロゲン化物とを水酸化アルカリ金属の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(III) で表される2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法、
【0022】
【化9】
【0023】
(式中、R1 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル、又はハロゲン原子を表す。)
【0024】
【化10】
【0025】
(式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。R2 はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、または置換アリル基を表す。)
【0026】
【化11】
【0027】
(式中、R1 は一般式(I)におけるR1 と同意義を表し、R2 は一般式(II)におけるR2 と同意義を表す。)
(2) 水酸化アルカリ金属が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、上記(1)記載の製造方法、
(3) 相間移動触媒の存在下に反応を行う上記(1)又は(2)記載の製造方法、並びに
(4) 相間移動触媒がテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド又はテトラ−n−ブチルアンモニウムクロライドである上記(3)記載の製造方法、に関する。
【0028】
本発明による2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法の特徴は、工業的に容易に入手できる1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を原料として用い、比較的穏和な条件でしかも容易かつ安全に2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を製造できるところにある。
【0029】
本発明の方法によれば、従来技術である前記(A)または(B)等のように2−(メチルチオ)ベンゾイルクロライドやチオサリチル酸を原料として、数段の工程を経て、最後に環化反応を行って目的を得る従来の方法に比べて、簡単にかつ収率良く2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得ることができる。
また、上記イソチアゾール環の2−位に一般式(II)におけるR2 のような置換基を導入する反応は今までに知られていない新規な反応である。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
一般式(I)、(III)におけるR1 は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル、またはハロゲン原子を表す。R1 で表されるアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。R1 で表されるアルコキシ基を例示すると、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。R1 で表されるカルボキシル基のエステルを例示すると、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。R1 で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
【0031】
これらのうち、R1 の好ましい例としては、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、塩素原子、ニトロ基等を挙げることができる。
【0032】
また、一般式(II)、(III)におけるR2 は、本発明の反応のみが好適に進行する基であれば何でもよいが、具体的にはアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、または置換アリル基を表し、これらの基は反応に不活性な基でさらに置換されていてもよい。R2 で表されるアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の直鎖又は分岐した基が挙げられる。R2 で表されるシクロアルキル基を例示するとシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。R2 で表されるアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。R2 で表される置換アリル基を例示すると、アリル基、クロチル基、メタリル基、プレニル基、2−ヘキセニル基、ゲラニル基、ネリル基、シンナミル基等が挙げられる。
上記の基が反応に不活性な基でさらに置換される場合、その反応に不活性な基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0033】
これらのうち、R2 の好ましい例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、アリル基、シンナミル基等を挙げることができる。
【0034】
本発明の一般式(I)で表される、原料の1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類としては、特に限定されるものではないが、例えば次のものを例示することができる。
【0035】
1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
5−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
6−メトキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
7−メチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
7−ニトロ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
6−クロロ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
6−カルボキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
6−メトキシカルボニル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン。
【0036】
なお、一般式(I)で表される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類は、いかなる方法によって得られたものを用いてもよいが、中でも本発明者等が先に出願した特願平6−301348号「1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法」の明細書に開示された方法によると、2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類とハロゲン化剤とを水の存在下に反応させることにより有利に得ることができる。
【0037】
本発明で用いる塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等の金属アルコラート、ナトリウムハイドライド、カルシウムハイドライド等の金属ハイドライド等が挙げられる。中でも経済的見地から水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
【0038】
また、塩基の使用量は、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類に対して通常0.8〜3.0倍モル、好ましくは1.0〜2.0倍モルの範囲である。塩基の使用量が0.8倍モル未満の場合には、未反応の1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が多くなり、一方、3.0倍モルを超えて用いる場合は、副反応がおこり収率が低下するためそれぞれ好ましくない。
【0039】
また、本発明に用いるハロゲン化物は特に限定されるものではないが、例えばヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル、ヨウ化エチル、臭化エチル、塩化エチル、ヨウ化プロピル、臭化プロピル、塩化プロピル、ヨウ化イソプロピル、臭化イソプロピル、塩化イソプロピル、ヨウ化ブチル、臭化ブチル、塩化ブチル、ヨウ化tert−ブチル、臭化tert−ブチル、塩化tert−ブチル、ヨウ化ヘキシル、臭化ヘキシル、塩化ヘキシル、ヨウ化オクチル、臭化オクチル、塩化オクチル、ヨウ化デシル、臭化デシル、塩化デシル、ヨウ化ドデシル、臭化ドデシル、塩化ドデシル、ヨウ化シクロヘキシル、臭化シクロヘキシル、塩化シクロヘキシル、ヨウ化ベンジル、臭化ベンジル、塩化ベンジル、ヨウ化フェネチル、臭化フェネチル、塩化フェネチル、ヨウ化アリル、臭化アリル、塩化アリル、ヨウ化シンナミル、臭化シンナミル、塩化シンナミル等が挙げられる。
【0040】
これらのうち好ましい例としては、ヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル、臭化エチル、塩化エチル、臭化イソプロピル、塩化イソプロピル、臭化ブチル、塩化ブチル、臭化tert−ブチル、塩化tert−ブチル、臭化ヘキシル、臭化オクチル、塩化オクチル、臭化デシル、塩化デシル、臭化ドデシル、塩化ドデシル、臭化シクロヘキシル、塩化シクロヘキシル、塩化ベンジル、塩化アリル、塩化シンナミル等が挙げられる。
【0041】
ハロゲン化物の使用量は、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類に対して通常0.8〜3.0倍モル、好ましくは1.0〜2.0倍モルの範囲である。ハロゲン化物の使用量が0.8倍モル未満の場合には、未反応の1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンが多くなり、一方、3.0倍モルを超えて用いても、それに見合う効果が得られず、経済的に不利である。
【0042】
本発明の1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類とハロゲン化物との反応は、ハロゲン化物が水不溶性である場合、二相系での反応となる。この場合、相間移動触媒を添加すると反応が円滑に進行することが多く、好適である。
【0043】
ここで使用する相間移動触媒としては、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ヘキサデシルトリエチルホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6,ジシクロヘキシル−18−クラウン−6等のクラウンエーテル等が挙げられる。中でも、経済的見地からテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0044】
また、相間移動触媒を使用する場合の使用量は、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類に対して、通常0.005〜0.5倍重量、好ましくは、0.01〜0.2倍重量の範囲である。相間移動触媒の使用量が0.005倍重量未満の場合には、触媒効果が十分あらわれず、一方、0.5倍重量を超えて用いても、それに見合う効果が得られず、経済的に不利である。
【0045】
本発明はハロゲン化物の反応性により無溶媒でも進行するが、溶媒を用いて行うこともできる。用いられる溶媒としては、本反応に対し不活性な溶媒であれば、特に限定されるものではなく、具体的に例示すると、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。
溶媒の使用量は1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類に対して通常1〜30重量倍である。
【0046】
反応温度は、ハロゲン化物の反応性によるが、通常−20〜150℃、好ましくは0〜100℃の範囲である。反応温度が150℃を超えると、副反応が問題となる傾向があり、一方、−20℃未満では、反応速度が実用上遅すぎるので好ましくない。反応時間は、反応温度、反応基質により異なるため、一概には言えないが、通常1〜100時間の範囲である。
【0047】
このようにして得られる反応混合物から、目的とする2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を単離精製する方法としては、常法通り、2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が固体の場合は、そのまま晶析させるか、または抽出して再結晶させる等により行うことができる。また、2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が液体の場合は、減圧蒸留により行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
このようにして得られる目的の化合物である一般式(III)で表される2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の具体例としては、次のようなものが例示される。
2−エチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−イソプロピル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−(tert−ブチル)−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−オクチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−デシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ドデシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−シクロヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ベンジル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−アリル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−シンナミル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
5−ブチル−2−メチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン、
2−ブチル−6−メトキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン。
【0049】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明ではこれらになんら限定されるものではない。
【0050】
実施例1
2−シクロヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成
攪拌機、温度計、および冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン30.2g(0.2モル)、水40gを仕込み、攪拌しながら20%水酸化ナトリウム水溶液44.0g(0.22モル)を溶解させて1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンのナトリウム塩水溶液を調製した。
この水溶液に臭化シクロヘキシル35.9g(0.22モル)を強攪拌下で添加し、90〜100℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶を水洗後、乾燥させると2−シクロヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン43.3g(融点87〜88℃)を得た。原料とした1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンに対する収率は93%であった。
【0051】
実施例2〜6
2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の合成
原料を表1に示すハロゲン化物に変える以外は実施例1と同様にして、相当する2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類を得た。但し、相当する2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が液体の場合は減圧蒸留により取得した。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例7
5−ブチル−2−メチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成
原料をヨウ化メチル、5−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンに変える以外は実施例1と同様にし、5−ブチル−2−メチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン(融点87〜88℃)を得た。原料とした5−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンに対する収率は92%であった。
【0054】
実施例8
2−ブチル−6−メトキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成
原料を臭化ブチル、6−メトキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンに変える以外は実施例1と同様にして、2−ブチル−6−メトキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン(融点50〜51℃)を得た。原料とした6−メトキシ−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンに対する収率は94%であった。
【0055】
実施例9
2−シクロヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成
攪拌機、温度計、および冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン30.2g(0.2モル)、水40g及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.05gを仕込み、攪拌しながら20%水酸化ナトリウム水溶液44.0g(0.22モル)を溶解させて1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンのナトリウム塩水溶液を調製した。
この水溶液に臭化シクロヘキシル35.9g(0.22モル)を強攪拌下で添加し、90〜100℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶を水洗後、乾燥させると2−シクロヘキシル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン44.2g(融点87〜88℃)を得た。原料とした1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンに対する収率は95%であった。
なお、本実施例は、実施例1において相間移動触媒を更に使用したものであるが、実施例1と比較して反応時間の短縮と収率の向上が行えた。
【0056】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、抗菌剤、抗カビ剤、医薬品中間原料等として重要な2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が従来よりも短い工程で、しかも高価で取り扱い上危険性の高い物質を使用することなく安全なプロセスにより、高い収率で得られる。また、相間移動触媒の存在下に反応を行うことにより、反応を円滑に進行させて反応時間の短縮や収率の向上が可能となる。
Claims (4)
- 一般式(I)で表される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類と一般式(II)で表されるハロゲン化物とを水酸化アルカリ金属の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(III) で表される2−置換−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造方法。
- 水酸化アルカリ金属が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項1記載の製造方法。
- 相間移動触媒の存在下に反応を行う請求項1又は2記載の製造方法。
- 相間移動触媒がテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド又はテトラ−n−ブチルアンモニウムクロライドである請求項3記載の製造方法。
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1995
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