JP2001089441A - 2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類の製造方法 - Google Patents

2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類の製造方法

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JP2001089441A
JP2001089441A JP2000240340A JP2000240340A JP2001089441A JP 2001089441 A JP2001089441 A JP 2001089441A JP 2000240340 A JP2000240340 A JP 2000240340A JP 2000240340 A JP2000240340 A JP 2000240340A JP 2001089441 A JP2001089441 A JP 2001089441A
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alkylthio
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JP2000240340A
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English (en)
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Hirokazu Kagano
宏和 加賀野
Hiroshi Itsuda
博 五田
Mikio Yamamoto
幹生 山本
Shigeki Sakagami
茂樹 坂上
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の
製造の中間体である2−(アルキルチオ)ベンゾニトリ
ル類の新規な製造方法を提供すること。 【解決手段】2−ハロベンゾニトリル類とアルカンチオ
ール類とを、塩基の存在下に不均一系で反応させること
を特徴とする、一般式(I)で表される2−(アルキル
チオ)ベンゾニトリル類の製造方法。 【化1】 (式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2
は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4
のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそ
のエステル、又はハロゲン原子を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2−ハロベンゾニ
トリル類を原料とする2−(アルキルチオ)ベンゾニト
リル類の製造方法に関する。さらに詳しくは、1,2−
ベンズイソチアゾール−3−オン類の製造中間体として
有用な2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類の新規な
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、1,2−ベンズイソチアゾール−
3−オン類の製造方法としては、下記の方法などが知ら
れている。
【0003】(A)Bull. Chem. Soc. Jpn., 55, 1183-
7(1982) この方法は、2−(メチルチオ)ベンズクロライドから
2−(メチルチオ)ベンズアミドを製造し、このものを
過ヨウ素酸を用いて酸化させて2−(メチルスルフィニ
ル)ベンズアミドを製造し、さらにこれを塩化チオニル
によって環化させて、目的とする1,2−ベンズイソチ
アゾール−3−オンを得る方法である。
【0004】
【化3】
【0005】(B)Org. Prep. Proced. Int.,15,315-3
19(1983) この方法は、チオサリチル酸を出発原料とし、4工程を
経て1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンを得る方
法である。
【0006】
【化4】
【0007】(C)Ger. Offen. 3500577, (1986) この方法は、チオサリチル酸を出発原料とし、最後は苛
性ソーダを用いて環化させ、目的とする1,2−ベンズ
イソチアゾール−3−オンを得る方法と考えられる。
【0008】
【化5】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの公知
の方法には次のような欠点がある。(A)の方法は、原
料として用いる2−(メチルチオ)ベンゾイルクロライ
ドの安価な製造方法および安定性に問題がある。また、
取扱い上危険性が高く、かつ高価な過ヨウ素酸を用いる
必要があり、反応工程数も多い。(B)〜(C)の方法
は、高価なチオサリチル酸を用い、しかも反応工程数が
多いため、工業的に満足できる方法とは言いがたい。こ
のように、公知のいずれの方法によっても、1,2−ベ
ンズイソチアゾール−3−オン類を工業的に有利に製造
することは困難であった。
【0010】従って、本発明の目的は、工業的に有利
に、しかも高価で取扱い上危険性の高い物質を使用する
ことなく、簡易かつ経済的に1,2−ベンズイソチアゾ
ール−3−オン類を製造するために、1,2−ベンズイ
ソチアゾール−3−オン類の製造の中間体である2−
(アルキルチオ)ベンゾニトリル類の新規な製造方法を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況に鑑み、鋭意検討した。その結果、一般式(III)で表
される2−ハロベンゾニトリル類と一般式(IV) で表さ
れるアルカンチオールとを、塩基の存在下に不均一系で
反応させることにより、上記の一般式(I)で表される
2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類が容易に得られ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【化6】
【0013】(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表
し、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2 は水
素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のア
ルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエ
ステル、又はハロゲン原子を表す。)
【0014】すなわち、本発明の要旨は、(1) 一般
式(III)で表される2−ハロベンゾニトリル類と一般式
(IV)で表されるアルカンチオール類とを、塩基の存在
下に不均一系で反応させることを特徴とする、一般式
(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル
類の製造方法、
【0015】
【化7】
【0016】(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表
し、R2 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素
数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基も
しくはそのエステル、又はハロゲン原子を表す。) R1 SH (IV) (式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0017】
【化8】
【0018】(式中、R1 およびR2 は前記と同意義を
表す。) (2) 相間移動触媒の存在下で反応を行うことを特徴
とする前記(1)記載の製造方法、(3) 相間移動触
媒が4級アンモニウム塩又は4級ホスホニウム塩である
前記(2)記載の製造方法、並びに(4) 塩基が水酸
化アルカリ金属である前記(1)記載の製造方法、に関
する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、非水溶性有機溶
媒を用いて一般式(III):
【0020】
【化9】
【0021】(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表
し、R2 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素
数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基も
しくはそのエステル、又はハロゲン原子を表す。)で表
される2−ハロベンゾニトリル類と一般式(IV) : R1 SH (IV) (式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で
表されるアルカンチオール類とを、塩基の存在下に不均
一系で反応させ、一般式(I):
【0022】
【化10】
【0023】(式中、R1 およびR2 は前記と同意義を
表す。)で表される2−(アルキルチオ)ベンゾニトリ
ル類を得るところにある。
【0024】得られた一般式(I)で表される2−(ア
ルキルチオ)ベンゾニトリル類は、水の存在下、ハロゲ
ン化剤と反応させることにより、一般式(II)で表され
る1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類が一段階
で得られる。
【0025】
【化11】
【0026】上記一般式(I)および(IV)におけるR
1 は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R1 で表され
るアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げるこ
とができる。これらのうち、R1 の好ましい例として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、tert−
ブチル基を挙げることができる。
【0027】また、一般式(I)、(II) 、(III)にお
けるR2 は、具体的には、水素原子、炭素数1〜4のア
ルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カ
ルボキシル基もしくはそのエステル、又はハロゲン原子
を表す。R2 で表されるアルキル基を例示すると、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基等を挙げることができる。R2 で表される
アルコキシ基を例示すると、メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。R
2 で表されるカルボキシル基のエステルを例示すると、
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポ
キシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げるこ
とができる。R2 で表されるハロゲン原子としては、塩
素原子、臭素原子等を挙げることができる。これらのう
ち、R2 の好ましい例としては、水素原子、メチル基、
エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、メトキシ
カルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカル
ボニル基、塩素原子、ニトロ基等を挙げることができ
る。
【0028】本発明において、一般式(III)で表される
2−ハロベンゾニトリル類を具体的に例示すると、2−
クロロベンゾニトリル、2−ブロモベンゾニトリル、3
−メチル−2−クロロベンゾニトリル、5−ブチル−2
−クロロベンゾニトリル、4−メトキシ−2−クロロベ
ンゾニトリル、2−クロロ−3−ニトロベンゾニトリ
ル、4−メトキシカルボニル−2−クロロベンゾニトリ
ル等を挙げることができる。
【0029】一般式(IV)で表されるアルカンチオール
類としては、メタンチオール、エタンチオール、1−プ
ロパンチオール、2−ブタンチオール等が使用可能であ
り、その使用量は、2−ハロベンゾニトリルに対して、
通常0.8〜3.0倍モル、好ましくは1.0〜2.0
倍モルの範囲である。アルカンチオールの使用量が0.
8倍モル未満の場合には、未反応の2−ハロベンゾニト
リル類が多くなり、一方、3.0倍モルを超えて用いて
も、それに見合う効果が得られず経済的に不利である。
【0030】2−ハロベンゾニトリルとアルカンチオー
ルとの反応で使用する塩基としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属、ナトリウ
ムメチラート、ナトリウムエチラート等の金属アルコラ
ート等が挙げられる。中でも、経済的見地から水酸化ナ
トリウムが好ましく用いられる。また、塩基の使用量
は、2−ハロベンゾニトリルに対し、通常0.8〜3.
5倍モル、好ましくは1.0〜2.5倍モルの範囲であ
る。塩基の使用量が、0.8倍モル未満の場合には、未
反応の2−ハロベンゾニトリル類が多くなり、一方、
3.5倍モルを超えて用いても、それに見合う効果が得
られず、経済的に不利である。
【0031】本発明の2−(アルキルチオ)ベンゾニト
リル類の製造方法においては、反応を塩基の存在下で不
均一系で行うことを特徴とする。反応原料である2−ハ
ロベンゾニトリルとアルカンチオールとの反応は、2−
ハロベンゾニトリル類が水不溶性であるため二相系での
反応となる。この場合、相間移動触媒を添加すると反応
が円滑に進行することが多く、好適である。ここで使用
する相間移動触媒としては、ベンジルトリエチルアンモ
ニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムク
ロライド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムブロマ
イド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オク
チルトリエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−
ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルア
ンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロ
ライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド等
の4級アンモニウム塩、ヘキサデシルトリエチルホスホ
ニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウ
ムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマ
イド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド、ト
リオクチルエチルホスホニウムブロマイド、テトラフェ
ニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩、
18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、
ジシクロヘキシル−18−クラウン−6等のクラウンエ
ーテル等が挙げられる。中でも、経済的見地からテトラ
−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブ
チルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が
好ましく用いられる。
【0032】また、相間移動触媒を使用する場合の使用
量は、2−ハロベンゾニトリルの重量に対し、通常0.
005〜0.5倍重量、好ましくは、0.01〜0.2
倍重量の範囲である。相間移動触媒の使用量が、0.0
05倍重量未満の場合には、触媒効果が十分あらわれ
ず、一方、0.5倍重量を超えて用いても、それに見合
う効果が得られず、経済的に不利である。
【0033】この方法では、必ずしも反応溶媒を用いる
必要はないが、反応を容易にするため、および反応後の
生成物の分液を容易にするため、通常、水1重量部に対
して非水溶性有機溶媒0.5〜10重量部からなる混合
溶媒を用いる方が良い結果が得られる場合が多い。非水
溶性有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、
n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭
化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ク
ロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることが
できる。溶媒の使用量は、2−ハロベンゾニトリルに対
して、通常1〜30倍重量である。
【0034】反応温度は、通常0〜150℃、好ましく
は20〜120℃の範囲である。反応温度が、150℃
を超えると、副反応が起こり、他方、0℃未満では、反
応速度が実用上遅すぎるので好ましくない。反応時間
は、反応温度、相間移動触媒種および反応溶媒種により
異なり、一概には言えないが、通常1〜40時間の範囲
である。
【0035】反応終了後、分液された2−(アルキルチ
オ)ベンゾニトリル類は、有機溶媒層より晶析等の通常
の処理で、単離精製することができる。また、水層は相
間移動触媒を含んだまま分液されるため、反復使用する
ことが可能である。そのため、系外にはほとんど水性の
廃棄物が排出されることがない。さらに、分液された2
−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類を含む油層は、そ
のまま1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の製
造に使用することができる。
【0036】このようにして得られる目的の化合物であ
る、一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベン
ゾニトリル類の具体例としては、例えば、2−(メチル
チオ)ベンゾニトリル、2−(エチルチオ)ベンゾニト
リル、2−(n−プロピルチオ)ベンゾニトリル、2−
(tert−ブチルチオ)ベンゾニトリル、3−メチル
−2−(メチルチオ)ベンゾニトリル、5−ブチル−2
−(メチルチオ)ベンゾニトリル、4−メトキシ−2−
(メチルチオ)ベンゾニトリル、2−メチルチオ−3−
ニトロベンゾニトリル、4−クロロ−2−(メチルチ
オ)ベンゾニトリル、4−カルボキシ−2−(メチルチ
オ)ベンゾニトリル、4−メトキシカルボニル−2−
(メチルチオ)ベンゾニトリル等を例示することができ
る。
【0037】次に、本発明の2−(アルキルチオ)ベン
ゾニトリル類から1,2−ベンズイソチアゾール−3−
オン類を得る工程に用いるハロゲン化剤としては、塩
素、臭素、塩化スルフリル、臭化スルフリル等が使用可
能であるが、反応選択性の見地より塩化スルフリル、塩
素が好ましく用いられる。その使用量は、2−(アルキ
ルチオ)ベンゾニトリルに対して、通常0.8〜3.0
倍モル、好ましくは1.0〜2.0倍モルの範囲であ
る。ハロゲン化剤の使用量が0.8倍モル未満の場合に
は、未反応の2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類が
多くなり、一方、3.0倍モルを超えて用いる場合は、
副反応が起こり収率が低下する為、それぞれ好ましくな
い。
【0038】ハロゲン化剤を反応させて1,2−ベンズ
イソチアゾール−3−オン類を得る工程に用いる水の添
加量としては、2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類
に対して、通常0.8〜5.0倍モル、好ましくは1.
0〜3.0倍モルの範囲である。水の添加量が、0.8
倍モル未満の場合および5.0倍モルを超えて用いる場
合は、副反応が起こり収率が低下するためそれぞれ好ま
しくない。
【0039】ハロゲン化剤を反応させて1,2−ベンズ
イソチアゾール−3−オン類を得る工程に用いる反応溶
媒としては、反応に対し不活性な溶媒であれば特に限定
されるものではなく、具体的に例示すると、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、
塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。
この場合、溶媒として、2−(アルキルチオ)ベンゾニ
トリル類の製造に用いたのと同一のものを用いると、2
−ハロベンゾニトリル類とアルカンチオール類とから2
−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類を得る工程および
2−(アルキルチオ)ベンゾニトリル類にハロゲン化剤
を反応させて、1,2−ベンズイソチアゾール−3−オ
ン類を得る工程を、全てワンポットで行うことができ、
極めて効率的である。溶媒の使用量は、2−(アルキル
チオ)ベンゾニトリルに対して、通常1〜30重量倍で
ある。
【0040】反応温度は、通常−20〜170℃の範
囲、好ましくは0〜150℃の範囲である。反応温度
が、170℃を超えると、副反応が問題となり、一方、
−20℃未満では、反応速度が実用上遅すぎるので好ま
しくない。反応時間は、反応温度、反応溶媒種により異
なるため一概にはいえないが、通常1〜40時間の範囲
である。
【0041】このようにして得られる反応混合物から、
目的とする1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類
を単離精製する方法としては、常法通り、そのまま晶析
させるか、または抽出して再結晶させる等により行うこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】このようにして得られる一般式(II)で表
される1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン類の具
体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾール
−3−オン、7−メチル−1,2−ベンズイソチアゾー
ル−3−オン、5−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾ
ール−3−オン、6−メトキシ−1,2−ベンズイソチ
アゾール−3−オン、7−ニトロ−1,2−ベンズイソ
チアゾール−3−オン、6−クロロ−1,2−ベンズイ
ソチアゾール−3−オン、6−カルボキシ−1,2−ベ
ンズイソチアゾール−3−オン、6−メトキシカルボニ
ル−1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン等が例示
される。
【0043】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらによりなんら限定されるもので
はない。
【0044】実施例1 2−(メチルチオ)ベンゾニトリルの合成 攪拌機、温度計、及び冷却器を備え付けた500ml四
つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、2−クロロベンゾニ
トリル27.5g(0.2モル)、モノクロロベンゼン
100g、50重量%テトラ−n−ブチルアンモニウム
ブロマイド水溶液5.5gを仕込んだ。一方、別途、水
酸化ナトリウム9.6g(0.24モル)と水35.0
gを窒素雰囲気下で別の容器に仕込み、撹拌下でメタン
チオール11.5g(0.24モル)を室温にて約1時
間かけて仕込んだ。こうして得た30重量%メチルメル
カプタン・ナトリウム塩水溶液56.1g(0.24モ
ル)を、攪拌下で上記四つ口フラスコに添加し、還流さ
せながら2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温
まで冷却し、溶媒を留去した後、減圧蒸留すると2−
(メチルチオ)ベンゾニトリル29.2g(沸点139
〜140℃/7mmHg)を得た。2−クロロベンゾニ
トリルに対する収率は98%であった。
【0045】参考例1 1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成 攪拌機、温度計、及び冷却器を備え付けた500ml四
つ口フラスコに、2−(メチルチオ)ベンゾニトリル2
9.8g(0.2モル)、モノクロロベンゼン100
g、水4.32g(0.24モル)を仕込み、攪拌しな
がら塩化スルフリル29.7g(0.22モル)を5〜
15℃で添加したのち、70〜80℃に加熱し、1時間
反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析
出した白色結晶をモノクロロベンゼンで洗浄後、乾燥さ
せると1,2−ベンズイソチアゾール−3−オン29.
0g(融点157〜158℃)を得た。原料とした2−
(メチルチオ)ベンゾニトリルに対する収率は96%で
あった。
【0046】参考例2 1,2−ベンズイソチアゾール−3−オンの合成(ワン
ポット反応) 攪拌機、温度計、及び冷却器を備え付けた500ml四
つ口フラスコに、窒素雰囲気下、2−クロロベンゾニト
リル27.5g(0.2モル)、モノクロロベンゼン1
00g、50重量%テトラ−n−ブチルアンモニウムブ
ロマイド水溶液2.25gを仕込んだ。一方、別途、水
酸化ナトリウム9.6g(0.24モル)と水35.0
gを窒素雰囲気下で別の容器に仕込み、撹拌下でメタン
チオール11.5g(0.24モル)を室温にて約1時
間かけて仕込んだ。こうして得た30重量%メチルメル
カプタン・ナトリウム塩水溶液56.1g(0.24モ
ル)を、攪拌下で上記四つ口フラスコに添加し、還流さ
せながら2時間反応させた。反応終了後、40〜50℃
で水層(下層)と油層(上層)とに熱時分液した。この
油層に、モノクロロベンゼン100g、水3.6g
(0.2モル)を仕込み、攪拌しながら塩化スルフリル
27.0g(0.2モル)を5〜15℃で添加したの
ち、70〜80℃に加熱し、1時間反応させた。反応終
了後、反応液を室温まで冷却し、析出した白色結晶をモ
ノクロロベンゼンで洗浄後乾燥させ、1,2−ベンズイ
ソチアゾール−3−オン29.3g(融点157〜15
8℃)を得た。原料とした2−クロロベンゾニトリルに
対する収率は97%であった。
【0047】
【発明の効果】本発明の製造方法により、工業的に有利
に、しかも高価で取扱い上危険性の高い物質を使用する
ことなく、簡易かつ経済的に1,2−ベンズイソチアゾ
ール−3−オン類を製造するために、1,2−ベンズイ
ソチアゾール−3−オン類の製造の中間体である2−
(アルキルチオ)ベンゾニトリル類を容易に得ることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 幹生 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内 (72)発明者 坂上 茂樹 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(III)で表される2−ハロベンゾ
    ニトリル類と一般式(IV)で表されるアルカンチオール
    類とを、塩基の存在下に不均一系で反応させることを特
    徴とする、一般式(I)で表される2−(アルキルチ
    オ)ベンゾニトリル類の製造方法。 【化1】 (式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、R2 は水素
    原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアル
    コキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエス
    テル、又はハロゲン原子を表す。) R1 SH (IV) (式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表す。) 【化2】 (式中、R1 およびR2 は前記と同意義を表す。)
  2. 【請求項2】 相間移動触媒の存在下で反応を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 相間移動触媒が4級アンモニウム塩又は
    4級ホスホニウム塩である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 塩基が水酸化アルカリ金属である請求項
    1記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114044747A (zh) * 2021-11-26 2022-02-15 大连百傲化学股份有限公司 一种邻甲硫基苯甲腈的合成方法

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