JPH0710829A - フェニルチオベンズアルデヒド類及びチオキサントン類の製造方法 - Google Patents

フェニルチオベンズアルデヒド類及びチオキサントン類の製造方法

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JPH0710829A
JPH0710829A JP17246993A JP17246993A JPH0710829A JP H0710829 A JPH0710829 A JP H0710829A JP 17246993 A JP17246993 A JP 17246993A JP 17246993 A JP17246993 A JP 17246993A JP H0710829 A JPH0710829 A JP H0710829A
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phenylthiobenzaldehyde
general formula
formula
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thioxanthone
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JP17246993A
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Hirokazu Kagano
宏和 加賀野
Hiroshi Itsuda
博 五田
Masahito Nakano
雅仁 中野
Kazuyuki Kobayashi
和幸 小林
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、下記の一般式〔I〕で表されるハ
ロベンズアルデヒドと、下記の一般式〔II〕で表され
る置換チオフェノールとを、塩基と水の存在下、不均一
系で反応させることにより下記の一般式〔III〕で表
されるフェニルチオベンズアルデヒド類を製造する方法
により構成される。 本発明はまた、下記の一般式〔IV〕で表される2−フ
ェニルチオベンズアルデヒド類を鉱酸の存在下、環化反
応させることにより下記の一般式〔V〕で表されるチオ
キサントン類を製造する方法により構成される。 式中、Xは、Cl、又はBrを表す。Rは、水素、炭素
数1〜4のアルキル、Cl、又はBrを表す。 【効果】 本発明によれば、短い工程で、廃棄物の排出
が少なく、しかも高収率で目的物であるフェニルチオベ
ンズアルデヒド類を取得することができる。また本発明
によれば、こうして得られたフェニルチオベンズアルデ
ヒド類を原料として、目的物であるチオキサントン類を
簡単な操作で、しかも高収率で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェニルチオベンズア
ルデヒド類の製造方法、及び、該方法により得られるフ
ェニルチオベンズアルデヒド類を原料とするチオキサン
トン類の製造方法に関する。本発明に係るチオキサント
ン類は、医薬、農薬、機能性高分子等の中間体として有
用である。
【従来の技術】
【0002】従来、フェニルチオベンズアルデヒド類の
一つである2−フェニルチオベンズアルデヒド類の製造
方法としては、以下のような方法が知られている。 (A)クロロベンズアルデヒドを原料とする方法。
【0003】
【化1】
【0004】式中、DMFは、ジメチルホルムアミド
(dimethylformamide)を表す。HMPAは、ヘキサメチ
ルリン酸トリアミド(hexamethylphosphoric triamide)
を表す。 (B)ニトロベンズアルデヒドを原料とする方法。
【0005】
【化2】
【0006】式中、DMSOは、ジメチルスルホキシド
(dimethyl sulfoxide)を表す。しかし、上記した公知の
製造方法は、高価な有機溶媒の使用を必要とし、必ずし
も収率が高いとは言えないため、決して工業的に有利な
方法ではなかった。また、チオキサントン類の製造方法
としては、以下のような方法が知られている。 (1)チオサリチル酸とベンゼンとを硫酸の存在下に反
応させる方法。
【0007】
【化3】
【0008】(2)2−ヨード安息香酸と4−クロロチ
オフェノールとを銅触媒の存在下に反応せしめて、2−
(4−クロロフェニル)チオ安息香酸とし、その後硫酸
の存在下に環化する方法。
【0009】
【化4】
【0010】(3)o,o’−ジクロロベンゾフェノン
と硫化物とを反応環化させる方法。
【0011】
【化5】
【0012】しかし、(1)及び(3)は、原料である
化合物が入手困難であるため、決して工業的に有利な方
法ではなかった。また、(2)の方法は、触媒として銅
を使用しているため、その廃水の有害性に問題があっ
た。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、工業的に有利な、しかも有害な物質を使用すること
なく目的化合物を取得することを目的とするものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、上記目的に見合うフェニルチオベンズアルデヒ
ド類の製造方法を見いだし、更にこの方法により得られ
るフェニルチオベンズアルデヒド類を原料として用いる
ことによるチオキサントン類の製造方法を見いだし、本
発明を完成した。
【0015】本発明の第一の要旨は、一般式〔I〕で表
されるハロベンズアルデヒドと一般式〔II〕で表され
る置換チオフェノールとを、塩基と水の存在下、不均一
系で反応させることにより、一般式〔III〕で表され
るフェニルチオベンズアルデヒド類を得る方法にある。
【0016】
【化6】
【0017】式中、XはCl又はBrを表し、Rは水
素、炭素数1〜4のアルキル、Cl、又はBrを表す。
【0018】本発明の第二の要旨は、上記方法により得
られるフェニルチオベンズアルデヒド類のうち一般式
〔IV〕で表される2−フェニルチオベンズアルデヒド
類を鉱酸の存在下に環化反応させることにより一般式
〔V〕で表されるチオキサントン類を得る方法にある。
【0019】
【化7】
【0020】式中、Rは水素、炭素数1〜4のアルキ
ル、Cl、又はBrを表す。
【0021】本発明の第一の要旨について、以下に詳述
する。一般式〔II〕、一般式〔III〕において、R
として表されるアルキルとしては、炭素数1〜4のアル
キルであり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
かかるアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、
s−ブチル、t−ブチル等を挙げることができる。
【0022】一般式〔III〕で表されるフェニルチオ
ベンズアルデヒド類としては、例えば、2−フェニルチ
オベンズアルデヒド、4−フェニルチオベンズアルデヒ
ド、2−(4−メチルフェニルチオ)ベンズアルデヒ
ド、4−(4−エチルフェニルチオ)ベンズアルデヒ
ド、2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒ
ド、4−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒ
ド、2−(4−ブロモフェニルチオ)ベンズアルデヒド
等を挙げることができる。
【0023】一般式〔I〕で表されるハロベンズアルデ
ヒドとしては、例えば、2−クロロベンズアルデヒド、
2−ブロモベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデ
ヒド、4−ブロモベンズアルデヒド等を挙げることがで
きる。
【0024】一般式〔II〕で表される置換チオフェノ
ールとしては、例えば、チオフェノール、4−クロロチ
オフェノール、4−ブロモチオフェノール、4−メチル
チオフェノール、4−エチルチオフェノール等を挙げる
ことができる。かかる置換チオフェノールの使用量は、
ハロベンズアルデヒドに対して、通常は0.8〜3.0
倍モルの範囲がよく、好ましくは1.0〜2.0倍モル
の範囲である。置換チオフェノールの使用量が、0.8
倍モル未満の場合には、未反応のハロベンズアルデヒド
が多くなり適当ではない。また置換チオフェノールの使
用量が、3.0倍モルを超えても、それに見合う効果を
得ることができないので、経済的に不利である。
【0025】本発明において、ハロベンズアルデヒドと
置換チオフェノールとの反応で使用する塩基としては、
例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化
アルカリ金属,炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸
アルカリ金属,ナトリウムメチラート、ナトリウムエチ
ラート等の金属アルコラート等を挙げることができる。
特に経済的見地から水酸化ナトリウムが好ましい。かか
る塩基の使用量は、ハロベンズアルデヒドに対して、通
常は通常は0.8〜3.5倍モルの範囲がよく、好まし
くは1.0〜2.5倍モルの範囲である。塩基の使用量
が、0.8倍モル未満の場合には、未反応のハロベンズ
アルデヒドが多くなり適当ではない。また置換チオフェ
ノールの使用量が、3.5倍モルを超えても、それに見
合う効果を得ることができないので、経済的に不利であ
る。
【0026】本発明のフェニルチオベンズアルデヒド類
の製造方法においては、反応を塩基と水の存在下で不均
一系で行うことが本発明の特徴である。反応原料である
ハロベンズアルデヒドと置換チオフェノールとの反応
は、ハロベンズアルデヒドが水不溶性であるため二相系
での反応となる。この場合、相間移動触媒を添加するこ
とにより反応を円滑に進行させることができる。従っ
て、このように相間移動触媒を添加することもまた本発
明を構成することとなる。
【0027】ここで使用する相間移動触媒としては、例
えば、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベ
ンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシ
ルトリエチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルト
リメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリエチル
アンモニウムクロライド、オクチルトリエチルアンモニ
ウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロ
マイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、
テトラエチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメ
チルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、
ヘキサデシルトリエチルホスホニウムブロマイド、ヘキ
サデシルトリブチルホスホニウムクロライド、テトラ−
n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチ
ルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホ
ニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマ
イド等の4級ホスホニウム塩、18−クラウン−6、ジ
ベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18
−クラウン6等のクラウンエーテル類等を挙げることが
できる。
【0028】中でも経済的見地から、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモ
ニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、又は、テト
ラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−
ブチルホスホニウムクロライド等の4級ホスホニウム塩
等を好適に使用することができる。
【0029】また、相間移動触媒を使用する場合の使用
量は、ハロベンズアルデヒドに対して、通常、0.00
5〜0.5倍重量の範囲がよく、更に好ましくは0.0
1〜0.2倍重量の範囲である。相間移動触媒の使用量
が0.005倍重量未満の場合には、触媒効果を充分に
あげることができず、一方、0.5倍重量を超えて用い
ても、それに見合う効果が得られず経済的に不利であ
る。
【0030】本発明の反応溶媒としては、水単独でもよ
いが、反応を容易にするため、又は反応後の生成物の分
液を容易にするため、水1重量部に対して非水溶性有機
溶媒0.1〜10重量部からなる混合溶媒を用いること
ができる。このような非水溶性有機溶媒としては、特に
限定されるものではなく、例えば、n−ヘキサン、n−
ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、塩化メチ
レン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロ
ベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることがで
きる。溶媒の使用量は、ハロベンズアルデヒドに対し
て、通常1〜30倍重量である。
【0031】反応温度は、通常0〜150℃、好ましく
は20〜120℃の範囲である。反応温度が150℃を
超えると、副反応が起こり好ましくない。また0℃未満
だと、反応速度が実用上遅すぎるので、好ましくない。
反応時間は、反応温度、相間移動触媒の種類及び反応溶
媒の種類により異なるが、通常、1〜40時間の範囲が
よい。
【0032】本発明に係るフェニルチオベンズアルデヒ
ド類の製造方法によれば、工業的に安価に入手すること
ができるハロベンズアルデヒドと置換チオフェノールと
を原料として用い、温和な条件で、しかも容易に目的物
を取得することができる。
【0033】本発明においては、水不溶性のハロベンズ
アルデヒドと置換チオフェノールとの反応を塩基と水の
存在下、不均一系で行うため、チオール基は塩を形成し
て水層に存在することになり、その結果、チオールとア
ルデヒドの直接反応、アルデヒドの分解反応が抑制さ
れ、収率よく目的物であるフェニルチオベンズアルデヒ
ド類を得ることができる。
【0034】このようにして得られたフェニルチオベン
ズアルデヒド類は、反応液を水相と分液した後、抽出、
蒸留等の通常の処理方法により単離精製することができ
る。また、水相は、相間移動触媒を含んだまま分液する
ことができるため、次の反応に引き続いて使用すること
ができ、反復使用をすることができる。そのため、系外
にほとんど水性の廃棄物が排出されることがない。この
ことも、本発明の優れた効果の一つである。
【0035】本発明の第二の要旨について、以下に詳述
する。前記した従来の技術(1)及び(2)に記載され
ているように、カルボン酸を脱水反応に付してチオキサ
ントン類を製造する方法はよく知られている。しかしな
がら、本発明者らは、意外にも、アルデヒドをカルボキ
シルに変換することなく鉱酸の存在下で反応させると、
アルデヒドから見かけ上脱水素反応が起こり、容易に環
化してチオキサントン類が生成することを見いだし、本
発明を完成したものである。
【0036】この方法によれば、一般式〔IV〕で表さ
れる2−フェニルチオベンズアルデヒド類を単離するこ
となく、いわゆるワンポットで目的とする一般式〔V〕
で表されるチオキサントン類を容易に製造することがで
きる。このことは、本発明の極めて優れた効果の一つで
ある。
【0037】本発明において使用する鉱酸としては、例
えば、硫酸、燐酸、ポリ燐酸等を挙げることができる。
本発明においては、鉱酸の使用量は、一般式〔IV〕で
表される2−フェニルチオベンズアルデヒド類に対し
て、通常、5〜30倍モルの範囲、好ましくは8〜15
倍モルの範囲である。鉱酸の使用量が5倍モル未満の場
合には、チオキサントン類の収率が低下して好ましくな
い。また、30倍モルを超えて使用しても、それに見合
う効果が得られないため経済的に不利となる。
【0038】環化反応温度は、通常0〜120℃の範
囲、好ましくは5〜100℃の範囲である。反応温度が
0℃未満の場合には、反応速度が遅くなり好ましくな
い。また、120℃を超えると、副反応が起こって収率
が低下する。反応時間は、通常0.5〜6時間の範囲で
ある。
【0039】本発明により製造されるチオキサントン類
の反応液からの単離は、通常、反応液に水を加えて析出
物を濾取する等の通常の操作により、容易に行うことが
できる。
【0040】本発明の方法により得られる一般式〔V〕
で表されるチオキサントン類としては、例えば、チオキ
サントン、2−クロロチオキサントン、2−ブロモチオ
キサントン等を挙げることができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定さ
れるものではない。
【0042】実施例1 2−フェニルチオベンズアルデヒドの合成 攪拌機、温度計、冷却器を備えた300ml四つ口フラ
スコに、窒素雰囲気下で、水酸化ナトリウム20.0g
(0.5モル)、水75.2gを仕込み、攪拌下で、チ
オフェノール55.1g(0.5モル)を室温にて約1
時間かけて滴下し、チオフェノールのナトリウム塩水溶
液を調製した。この水溶液に、テトラ−n−ブチルアン
モニウムブロマイド4.0gを添加し、2−クロロベン
ズアルデヒド70.25g(0.5モル)を90℃で1
時間かけて滴下した。さらに、同温度で2時間反応させ
た。反応終了後、反応液を、室温まで冷却し、油層と水
層(下層)に分液した。この油層を濃縮、減圧蒸留し、
2−フェニルチオベンズアルデヒド101.7g(沸点
151〜153℃/2mmHg)を得た。2−クロロベ
ンズアルデヒドに対する収率は95.0%であった。
【0043】実施例2〜5 フェニルチオベンズアルデヒド類の合成 表1に示すハロベンズアルデヒド、置換チオフェノール
等、相間移動触媒を用いること以外は実施例1と同様に
して、相当するフェニルチオベンズアルデヒド類を得
た。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例6 チオキサントンの合成 攪拌機、温度計、冷却器を備えた500ml四つ口フラ
スコに、実施例1で得た2−フェニルチオベンズアルデ
ヒド100g(0.47モル)を入れ、さらに濃硫酸5
75g(5.6モル)を40℃以下の温度で徐々に添加
した。濃硫酸添加後、温度を80〜100℃に昇温し、
同温度で2時間反応させた。反応終了後、反応液を、冷
水約2000ml中に注ぎ、析出物を濾過し水洗した。
析出物を乾燥し、淡黄白色結晶のチオキサントン94.
3g(融点209〜211℃)を得た。2−フェニルチ
オベンズアルデヒドに対する収率は、95.2%であっ
た。
【0046】実施例7 チオキサントンの合成(ワンポット反応) 攪拌機、温度計、冷却器を備えた500ml四つ口フラ
スコに、窒素雰囲気下で、水酸化ナトリウム20.0g
(0.5モル)、水75.2gを仕込み、攪拌下で、チ
オフェノール55.1g(0.5モル)を室温にて約1
時間かけて滴下し、チオフェノールのナトリウム塩水溶
液を調製した。この水溶液に、テトラ−n−ブチルアン
モニウムブロマイド4.0gを添加し、2−クロロベン
ズアルデヒド70.25g(0.5モル)を90℃で1
時間かけて滴下した。さらに、同温度で2時間反応させ
た。反応終了後、反応液を、室温まで冷却し、油層と水
層(下層)に分液した。この油層に濃硫酸510g(5
モル)を40℃以下で徐々に加えた。濃硫酸添加後、温
度を80〜100℃に昇温し、同温度で2時間反応させ
た。反応終了後、反応液を、冷水約2000ml中に注
ぎ、析出物を濾過、水洗した。析出物を乾燥し、淡黄白
色結晶のチオキサントン97.5gを得た。2−クロロ
ベンズアルデヒドに対する収率は、92.0%であっ
た。
【0047】実施例8〜11 2−置換チオキサントン類の合成 表2に示す置換チオフェノールを用いること以外は実施
例7と同様にして、相当する2−置換チオキサントン類
を得た。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、工業的に容易に入手可
能な安価なハロベンズアルデヒドを原料として用いるこ
とができる。
【0050】本発明によれば、短い工程で、廃棄物の排
出が少なく、しかも高収率で目的物であるフェニルチオ
ベンズアルデヒド類を取得することができる。
【0051】また本発明によれば、こうして得られたフ
ェニルチオベンズアルデヒド類を原料として、目的物で
あるチオキサントン類を簡単な操作で、しかも高収率で
得ることができる。
【0052】本発明によれば、フェニルチオベンズアル
デヒド類を取得する工程と、その後チオキサントン類を
取得する工程とを、ワンポット反応で行うことができる
ので、工業的価値が極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 和幸 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式〔I〕で表されるハロベン
    ズアルデヒドと、下記の一般式〔II〕で表される置換
    チオフェノールとを、塩基と水の存在下、不均一系で反
    応させることを特徴とする下記の一般式〔III〕で表
    されるフェニルチオベンズアルデヒド類の製造方法。 式中、XはCl又はBrを表す。Rは、水素、炭素数1
    〜4のアルキル、Cl、又はBrを表す。
  2. 【請求項2】 相間移動触媒の存在下で反応させること
    を特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 相間移動触媒が4級アンモニウム塩又は
    4級ホスホニウム塩である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式〔I〕のハロベンズアルデヒド
    が、2−クロロベンズアルデヒド又は4−クロロベンズ
    アルデヒドである請求項1〜3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式〔III〕のフェニルチオベンズ
    アルデヒド類が、2−フェニルチオベンズアルデヒド類
    又は4−フェニルチオベンズアルデヒド類である請求項
    1〜4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 塩基が水酸化アルカリ金属である請求項
    1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 下記の一般式〔IV〕で表される2−フ
    ェニルチオベンズアルデヒド類を鉱酸の存在下、環化反
    応させることを特徴とする下記の一般式〔V〕で表され
    るチオキサントン類の製造方法。 式中、Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル、Cl、又
    はBrを表す。
  8. 【請求項8】 鉱酸が硫酸である請求項7記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 一般式〔V〕で表されるチオキサントン
    類がチオキサントンである請求項7〜8記載の製造方
    法。
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