JP2620903B2 - 2−置換ベンゾ[b]チオフェンの製造方法 - Google Patents

2−置換ベンゾ[b]チオフェンの製造方法

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JP2620903B2 JP4142718A JP14271892A JP2620903B2 JP 2620903 B2 JP2620903 B2 JP 2620903B2 JP 4142718 A JP4142718 A JP 4142718A JP 14271892 A JP14271892 A JP 14271892A JP 2620903 B2 JP2620903 B2 JP 2620903B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2−アルキルチオベン
ズアルデヒドを原料とする2−置換ベンゾ[b]チオフ
ェンの製造方法に関する。2−置換ベンゾ[b]チオフ
ェンは、医薬、農薬、機能性高分子等の中間体として有
用な化合物である。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、2−置換ベンゾ[b]チオフェンの製造方法、例え
ば2−アセチルベンゾ[b]チオフェンの製造例として
は、下記に挙げる方法などが知られている。
【0003】(1)ベンゾ[b]チオフェンにブチルリ
チウムを反応させ、引き続きN,N−ジメチルアセトア
ミドを作用させる方法
【化2】
【0004】(2)2−メルカプトベンズアルデヒドの
ナトリウム塩とクロロアセトンを水酸化ナトリウムの存
在下に反応せしめる方法
【化3】
【0005】(3)チオサリチル酸をリチウムアルミニ
ウムハイドライドで還元して2−メルカプトベンジルア
ルコール塩となし、引き続き、クロロアセトンと反応さ
せてスルフィドとし、その後、ピリジン−無水硫酸で環
化する方法
【化4】
【0006】しかしながら、このような公知の方法は、
それぞれ次のような欠点を有している。
【0007】(1)の方法は、原料として用いるベンゾ
[b]チオフェンが高価なため、工業的に有利な方法と
は言い難い。
【0008】(2)の方法に関しては、原料として用い
る2−メルカプトベンズアルデヒドあるいはそのアルカ
リ金属メルカプチドの製造方法および安定性に問題があ
る。
【0009】(3)の方法も(1)の方法と同様、原料
コストおよび高価な副原料を使用するため、工業的に有
利な方法とは言い難い。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
状況に鑑み、簡易かつ経済的に有利に2−置換ベンゾ
[b]チオフェンを製造する方法を提供すべく鋭意検討
した。その結果、下記反応式に示すように、一般式
(I)で表わされる2−アルキルチオベンズアルデヒド
と一般式(II)で表わされるハロ化合物とを、酸化カ
ルシウム、酸化マグネシウム、よう化カリウムまたは固
体酸の存在下で反応させることにより一般式(III)
で表わされる2−置換ベンゾ[b]チオフェンが大きな
反応速度で容易に得られることを見い出し、本発明に至
った。
【化5】
【0011】すなわち、本発明の要旨は、2−アルキル
チオベンズアルデヒドとハロ化合物とを、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、よう化カリウムまたは固体酸
存在下で、反応させることを特徴とする2−置換ベンゾ
[b]チオフェンの製造方法である。
【0012】上記反応式において、Rは炭素数1〜4
のアルキル基を示す。このアルキル基は直鎖状でも分岐
状でもよい。かかるアルキル基の具体例としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基およびt−ブ
チル基を挙げることができる。
【0013】また、本発明の一般式(III)で表わさ
れる2−置換ベンゾ[b]チオフェンの具体例として
は、2−ベンゾ[b]チオフェンカルボン酸、2−ベン
ゾ[b]チオフェンカルボン酸メチルエステル、2−ベ
ンゾ[b]チオフェンカルボン酸エチルエステル、2−
アセチルベンゾ[b]チオフェン、2−プロピオニルベ
ンゾ[b]チオフェン、2−ベンゾ[b]チオフェンカ
ルボン酸アミド、2−シアノベンゾ[b]チオフェン等
を例示することができる。
【0014】2−アルキルチオベンズアルデヒドは、例
えば、安価な2−ハロベンズアルデヒドとアルカンチオ
ールとを、塩基の存在下で反応させることにより容易に
得られる。本発明で使用する2−アルキルチオベンズア
ルデヒドとしては、そのアルキル基の炭素数が1〜4の
ものであり、例えば2−メチルチオベンズアルデヒド、
2−エチルチオベンズアルデヒド、2−プロピルチオベ
ンズアルデヒド、2−ブチルチオベンズアルデヒド等を
挙げることができる。なかでも、2−メチルチオベンズ
アルデヒドまたは2−エチルチオベンズアルデヒドは、
反応性が良好であることから好適に用いられる。
【0015】また、一般式(II)で表わされるハロ化
合物としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸メ
チル、クロロ酢酸エチル、クロロアセトン、ブロモアセ
トン、1−クロロ−2−ブタノン、クロロアセトアミ
ド、クロロアセトニトリル等が使用可能であり、その使
用量は、2−アルキルチオベンズアルデヒドに対して、
通常0.8〜10.0倍モル、好ましくは1.0〜6.
0倍モルの範囲である。ハロ化合物の使用量が0.8倍
モル未満の場合には、未反応の2−アルキルチオベンズ
アルデヒドが多くなり、一方、10.0倍モルを超えて
用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不利で
ある。
【0016】本発明で使用する固酸としては、特に限
定されるものではなく、例えば、ほう酸、無水ほう酸、
リン酸水素カルシウム、塩化第二鉄、塩化アルミニウ
ム、酸化第二鉄、シリカ−アルミナ、陽イオン交換樹
脂、ゼオライト、モンモリロナイト等を例示することが
できる。なかでも、反応速度および経済的見地から、ゼ
オライトが好ましく用いられる。また、前記酸化カルシ
ウム、酸化マグネシウム、よう化カリウム、固体酸等の
使用量は、2−アルキルチオベンズアルデヒドの重量に
対し、通常0.005〜2.0倍重量、好ましくは0.
01〜1.2倍重量の範囲である。酸化カルシウム、酸
化マグネシウム、よう化カリウム、固体酸等の使用量が
0.005倍重量未満の場合には、添加の効果がほとん
どなく、一方、2.0倍重量を超えて用いても、それに
見合う効果が得られず経済的に不利である。
【0017】本発明においては反応溶媒は用いてもよ
く、用いなくてもよい。また、溶媒種としては、特に限
定されるものではない。例えば、水;n−ヘキサン、n
−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;塩化メ
チレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロ
ロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシド等の極性溶媒類;及びこれらの2種以上の混合
物等を挙げることができるが、反応速度の点からは無溶
媒が好ましい。また、反応原料である一般式(II)で
表わされるハロ化合物を溶媒として用いてもよい。
【0018】反応温度は、通常10〜150℃、好まし
くは20〜130℃の範囲である。反応温度が150℃
を超えると、副反応が起こり、他方、10℃未満だと、
反応速度が実用上遅すぎるので好ましくない。反応時間
は、反応温度、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、よ
う化カリウム、固体酸等の種類、反応溶媒等により異な
り、一概には言えないが、通常1〜50時間の範囲であ
る。
【0019】このようにして得られる2−置換ベンゾ
[b]チオフェンを反応液から単離するには、通常、反
応液に水を加え、有機溶剤で抽出して晶析または蒸留す
るか、あるいは、反応液に有機溶剤を加え、未溶解物を
濾過した後に晶析または蒸留する等の操作により行なう
ことができる。
【0020】
【発明の効果】本発明の2−置換ベンゾ[b]チオフェ
ンの製造方法によれば、医薬、農薬等の重要な中間体で
ある2−アセチルベンゾ[b]チオフェンや2−ベンゾ
[b]チオフェンカルボン酸等を、短い工程で容易にか
つ高収率で得ることができるため、経済的にも工業的に
も有利である。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定され
るものではない。
【0022】製造例1 2−メチルチオベンズアルデヒ
ドの合成 撹拌機、温度計、冷却器を備えた500ml四つ口フラ
スコに、窒素雰囲気下で、水酸化ナトリウム28.0g
(0.70モル)、水200gを仕込み、撹拌下で、メ
タンチオール33.8g(0.70モル)を室温にて約
1時間かけて吹込み、メタンチオールのナトリウム塩水
溶液を調製した。この水溶液に、2−クロロベンズアル
デヒド84.3g(0.60モル)を添加し、テトラ−
n−ブチルアンモニウムブロマイド(相間移動触媒)
3.4gの存在下、80℃で4時間反応させた。反応終
了後、反応液を室温まで冷却し、油層と水層とに分液し
た。この油層を減圧蒸留し、2−メチルチオベンズアル
デヒド86.5gを得た。
【0023】実施例1 2−アセチルベンゾ[b]チオ
フェンの合成 撹拌機、温度計、冷却器を備えた300ml四つ口フラ
スコに、上記製造例1で得た2−メチルチオベンズアル
デヒド30.4g(0.20モル)、クロロアセトン2
7.8g(0.30モル)および酸化カルシウム1.5
2gを仕込み、撹拌下、110℃で約2時間反応させ
た。反応終了後、反応液にシクロヘキサン150gを加
えて熱溶解し、熱濾過にて未溶解物を除去した後、晶析
させた。析出物を濾取、乾燥し、淡黄色結晶の2−アセ
チルベンゾ[b]チオフェン32.8gを得た。2−メ
チルチオベンズアルデヒドに対する収率は93.2%で
あった。
【0024】実施例2〜4、比較例1 2−アセチルベ
ンゾ[b]チオフェンの合成 表1に示す添加剤(量)、クロロアセトンのモル比、反
応条件(温度、時間)に変える以外は実施例1と同様に
反応を行ない、表1の結果を得た。
【0025】
【表1】
【0026】実施例5〜10 2−置換ベンゾ[b]チ
オフェンの合成 表2に示す2−アルキルチオベンズアルデヒド(一般式
(I)のR1で示す)、ハロ化合物(一般式(II))
に変える以外は実施例1と同様にして、相当する2−置
換ベンゾ[b]チオフェン(一般式(III)のYで示
す)を得た。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】比較例2 2−ベンゾ[b]チオフェンカ
ルボン酸の合成 撹拌機、温度計、冷却器を備えた300ml四つ口フラ
スコに、2−メチルチオベンズアルデヒド30.4g
(0.20モル)、モノクロロ酢酸28.4g(0.3
0モル)を仕込み、撹拌下、110℃で約10時間反応
させた。反応終了後、反応液にトルエン150gを加え
て溶解させた後、冷却により晶析させた。析出物を濾
過、乾燥し、淡黄色結晶の2−ベンゾ[b]チオフェン
カルボン酸28.5g(収率80%)を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 雅仁 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住友精化株式会社第1研究所内 (56)参考文献 SYNTHESIS,VOL.1 (1978)P.58−60

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表わされる2−アルキル
    チオベンズアルデヒドと一般式(II)で表わされるハ
    ロ化合物とを、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、よ
    う化カリウムまたは固体酸の存在下で反応させることを
    特徴とする一般式(III)で表わされる2−置換ベン
    ゾ[b]チオフェンの製造方法。 【化1】
  2. 【請求項2】 固体酸がゼオライトである請求項記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)の2−アルキルチオベンズ
    アルデヒドが2−メチルチオベンズアルデヒドである請
    求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 一般式(I)の2−アルキルチオベンズ
    アルデヒドが2−エチルチオベンズアルデヒドである請
    求項1または2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 一般式(II)のハロ化合物が、クロロ
    アセトンまたはブロモアセトンである請求項1〜のい
    ずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 一般式(II)のハロ化合物が、クロロ
    酢酸またはブロモ酢酸である請求項1〜のいずれか1
    項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 一般式(III)の2−置換ベンゾ
    [b]チオフェンが2−アセチルベンゾ[b]チオフェ
    ンである請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 一般式(III)の2−置換ベンゾ
    [b]チオフェンが2−ベンゾ[b]チオフェンカルボ
    ン酸である請求項1〜およびのいずれか1項に記載
    の方法。
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