JPH06211837A - 環状含硫黄有機化合物の製造方法 - Google Patents
環状含硫黄有機化合物の製造方法Info
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- JPH06211837A JPH06211837A JP322593A JP322593A JPH06211837A JP H06211837 A JPH06211837 A JP H06211837A JP 322593 A JP322593 A JP 322593A JP 322593 A JP322593 A JP 322593A JP H06211837 A JPH06211837 A JP H06211837A
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- mercaptothiophene
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェ
ン−2−カルボン酸エステルおよび3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエ
ステルの安価かつ容易な新規製造方法の提供。 【構成】 3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カ
ルボン酸エステルを硫化水素および塩化水素と反応させ
て4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−
カルボン酸エステルを得、これを触媒の存在下に空気酸
化して3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン
−2−カルボン酸)ジエステルを得る。
ン−2−カルボン酸エステルおよび3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエ
ステルの安価かつ容易な新規製造方法の提供。 【構成】 3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カ
ルボン酸エステルを硫化水素および塩化水素と反応させ
て4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−
カルボン酸エステルを得、これを触媒の存在下に空気酸
化して3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン
−2−カルボン酸)ジエステルを得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、除草剤等の農薬の中間
体や、甘味料となるチオフェンサッカリンの原料などと
して有用な含硫黄有機化合物、すなわち、4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルおよびその酸化化合物である3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエス
テルの新規製造方法に関する。
体や、甘味料となるチオフェンサッカリンの原料などと
して有用な含硫黄有機化合物、すなわち、4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルおよびその酸化化合物である3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエス
テルの新規製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒ
ドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステルの1つで
ある3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン−
2−カルボン酸)ジメチルの製造方法は、すでに、ロッ
セイ(Rossey)らによって報告されている。該方法によ
れば、反応式:
ドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステルの1つで
ある3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン−
2−カルボン酸)ジメチルの製造方法は、すでに、ロッ
セイ(Rossey)らによって報告されている。該方法によ
れば、反応式:
【0003】
【化1】
【0004】に従い、3−オキソテトラヒドロチオフェ
ン−2−カルボン酸メチルをトシルクロライドと反応さ
せてトシレート体とした後、二硫化ソーダと反応させて
目的である3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフ
ェン−2−カルボン酸)ジメチルを得ている[ジャーナル
・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.,
45 617(1980)]。
ン−2−カルボン酸メチルをトシルクロライドと反応さ
せてトシレート体とした後、二硫化ソーダと反応させて
目的である3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフ
ェン−2−カルボン酸)ジメチルを得ている[ジャーナル
・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.,
45 617(1980)]。
【0005】しかし、この方法は、反応試剤に高価なト
シルクロライドを用いたり、高純度の試剤の入手が困難
な二硫化ソーダを用いるなど、工業的に有利な方法とは
言えない。
シルクロライドを用いたり、高純度の試剤の入手が困難
な二硫化ソーダを用いるなど、工業的に有利な方法とは
言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる問
題を解決すべく鋭意検討した。その結果、原料として3
−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エス
テルを用い、これを硫化水素および塩化水素と反応させ
ることにより容易に4,5−ジヒドロ−3−メルカプト
チオフェン−2−カルボン酸エステルが得られること、
また、得られた4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオ
フェン−2−カルボン酸エステルをルイス酸触媒の存在
下、空気酸化させることにより3,3'−ジチオビス(4,
5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステル
が得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、反応式1:
題を解決すべく鋭意検討した。その結果、原料として3
−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エス
テルを用い、これを硫化水素および塩化水素と反応させ
ることにより容易に4,5−ジヒドロ−3−メルカプト
チオフェン−2−カルボン酸エステルが得られること、
また、得られた4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオ
フェン−2−カルボン酸エステルをルイス酸触媒の存在
下、空気酸化させることにより3,3'−ジチオビス(4,
5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステル
が得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、反応式1:
【0007】
【化2】
【0008】で表されるごとく、3−オキソテトラヒド
ロチオフェン−2−カルボン酸エステルを硫化水素およ
び塩化水素と反応させることを特徴とする4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルの製造方法、反応式2:
ロチオフェン−2−カルボン酸エステルを硫化水素およ
び塩化水素と反応させることを特徴とする4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルの製造方法、反応式2:
【0009】
【化3】
【0010】で表されるごとく、得られた4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルをルイス酸触媒存在下空気酸化することを特徴とす
る3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン−2
−カルボン酸)ジエステルの製造方法、および反応式1
および2の方法を結合した、反応式3:
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルをルイス酸触媒存在下空気酸化することを特徴とす
る3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン−2
−カルボン酸)ジエステルの製造方法、および反応式1
および2の方法を結合した、反応式3:
【0011】
【化4】
【0012】で表される該ジエステルの製造方法を提供
するものである。本発明の方法により得られる4,5−
ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸
エステルのエステル種としては、例えば、反応式中のR
で示される基が炭素数1〜4のアルキル基のものが挙げ
られ、その具体例としては、4,5−ジヒドロ−3−メ
ルカプトチオフェン−2−カルボン酸メチル、4,5−
ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸
エチル、4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン
−2−カルボン酸イソプロピル、4,5−ジヒドロ−3
−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸n−プロピ
ル、4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2
−カルボン酸n−ブチル、4,5−ジヒドロ−3−メルカ
プトチオフェン−2−カルボン酸iso−ブチル、4,5−
ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸
sec−ブチル、4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフ
ェン−2−カルボン酸tert−ブチル等がある。
するものである。本発明の方法により得られる4,5−
ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸
エステルのエステル種としては、例えば、反応式中のR
で示される基が炭素数1〜4のアルキル基のものが挙げ
られ、その具体例としては、4,5−ジヒドロ−3−メ
ルカプトチオフェン−2−カルボン酸メチル、4,5−
ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸
エチル、4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン
−2−カルボン酸イソプロピル、4,5−ジヒドロ−3
−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸n−プロピ
ル、4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2
−カルボン酸n−ブチル、4,5−ジヒドロ−3−メルカ
プトチオフェン−2−カルボン酸iso−ブチル、4,5−
ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸
sec−ブチル、4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフ
ェン−2−カルボン酸tert−ブチル等がある。
【0013】反応式1で表される本発明の4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルの製造方法において出発原料となる3−オキソテト
ラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エステルは、例え
ば、反応式:
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルの製造方法において出発原料となる3−オキソテト
ラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エステルは、例え
ば、反応式:
【0014】
【化5】
【0015】[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を
示す]に従って、アクリル酸エステルとチオグリコール
酸エステルから得られる3−チオアジピン酸エステルを
ナトリウムメトキシドで処理することで容易に得ること
ができる[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(J.Org.Chem.,45 617(1980); ケミカ
ルChem.Pep.,40(5),639(1986)]。
示す]に従って、アクリル酸エステルとチオグリコール
酸エステルから得られる3−チオアジピン酸エステルを
ナトリウムメトキシドで処理することで容易に得ること
ができる[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(J.Org.Chem.,45 617(1980); ケミカ
ルChem.Pep.,40(5),639(1986)]。
【0016】本発明では、3−オキソテトラヒドロチオ
フェン−2−カルボン酸エステルを4,5−ジヒドロ−
3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルに
変換するために、すなわち、カルボニル基をチオール基
に変えるために、硫化水素および塩化水素を用いる。硫
化水素および塩化水素の使用量は、原料3−オキソテト
ラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エステルに対し、
硫化水素は1倍モル以上、好ましくは1〜10倍モル、
塩化水素は1倍モル以上、好ましくは1〜5倍モル使用
する。この反応は、炭素数1〜4のアルキル基を有する
アルコール溶媒を用いて行っても良い。その場合、原料
3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エ
ステルのエステル種と同じアルキル基を有するアルコー
ルを用いるとエステル交換反応を起こすことがないため
好適である。反応は、−20℃〜50℃の範囲、好まし
くは、0℃〜20℃の範囲で行うと好結果が得られる場
合が多い。反応温度が−20℃より低い場合には反応速
度が遅く、また50℃より高い場合には副生成物が多く
なる。
フェン−2−カルボン酸エステルを4,5−ジヒドロ−
3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルに
変換するために、すなわち、カルボニル基をチオール基
に変えるために、硫化水素および塩化水素を用いる。硫
化水素および塩化水素の使用量は、原料3−オキソテト
ラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エステルに対し、
硫化水素は1倍モル以上、好ましくは1〜10倍モル、
塩化水素は1倍モル以上、好ましくは1〜5倍モル使用
する。この反応は、炭素数1〜4のアルキル基を有する
アルコール溶媒を用いて行っても良い。その場合、原料
3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カルボン酸エ
ステルのエステル種と同じアルキル基を有するアルコー
ルを用いるとエステル交換反応を起こすことがないため
好適である。反応は、−20℃〜50℃の範囲、好まし
くは、0℃〜20℃の範囲で行うと好結果が得られる場
合が多い。反応温度が−20℃より低い場合には反応速
度が遅く、また50℃より高い場合には副生成物が多く
なる。
【0017】かくして得られる4,5−ジヒドロ−3−
メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルは、反
応式2および3に表すごとく、例えば、溶媒を留去した
後、蒸留により単離して、あるいは単離することなく、
得られた4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン
−2−カルボン酸エステルを含む反応液を引き続き、触
媒の存在下、空気酸化することにより3,3'−ジチオビ
ス(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエ
ステルを得ることができる。
メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルは、反
応式2および3に表すごとく、例えば、溶媒を留去した
後、蒸留により単離して、あるいは単離することなく、
得られた4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン
−2−カルボン酸エステルを含む反応液を引き続き、触
媒の存在下、空気酸化することにより3,3'−ジチオビ
ス(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエ
ステルを得ることができる。
【0018】4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフ
ェン−2−カルボン酸エステルから3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエス
テルへの変換は、チオール基を酸化し、ジスルフィド体
に変換するだけであるが、出発原料たる4,5−ジヒド
ロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステ
ルには分子内に酸化され易い硫黄原子および加水分解さ
れ易いエステル基を含んでいるため、その酸化方法には
種々の制約を受ける。実際、4,5−ジヒドロ−3−メ
ルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルを原料と
してヨウ素酸化、または、ジメチルスルホキシドによる
酸化等を試みたが目的物を得ることはできなかった。
ェン−2−カルボン酸エステルから3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエス
テルへの変換は、チオール基を酸化し、ジスルフィド体
に変換するだけであるが、出発原料たる4,5−ジヒド
ロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステ
ルには分子内に酸化され易い硫黄原子および加水分解さ
れ易いエステル基を含んでいるため、その酸化方法には
種々の制約を受ける。実際、4,5−ジヒドロ−3−メ
ルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルを原料と
してヨウ素酸化、または、ジメチルスルホキシドによる
酸化等を試みたが目的物を得ることはできなかった。
【0019】しかし、ある種の触媒の存在下、空気酸化
することにより高収率で目的の3,3'−ジチオビス(4,
5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステル
が得られることが判明した。反応に用いる触媒として
は、例えば、二塩化鉄、三塩化鉄、塩化亜鉛または塩化
アルミニウム等のルイス酸触媒が挙げられる。その使用
量については出発原料である4,5−ジヒドロ−3−メ
ルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルに対して
0.01重量%〜20重量%の範囲、好ましくは、0.1
重量%〜10重量%の範囲である。使用量が0.01重
量%より少ない場合には反応が遅く、また、20重量%
より多くを用いてもそれに見合う効果が得られず経済的
でない。
することにより高収率で目的の3,3'−ジチオビス(4,
5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステル
が得られることが判明した。反応に用いる触媒として
は、例えば、二塩化鉄、三塩化鉄、塩化亜鉛または塩化
アルミニウム等のルイス酸触媒が挙げられる。その使用
量については出発原料である4,5−ジヒドロ−3−メ
ルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステルに対して
0.01重量%〜20重量%の範囲、好ましくは、0.1
重量%〜10重量%の範囲である。使用量が0.01重
量%より少ない場合には反応が遅く、また、20重量%
より多くを用いてもそれに見合う効果が得られず経済的
でない。
【0020】反応式2で表される反応は、4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルを該エステルとおなじアルキル基を有するアルコー
ルまたは酢酸等の溶媒に溶解し、触媒として、例えば、
上記のルイス酸を加えて、空気を系内に吹き込むだけで
容易に3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン
−2−カルボン酸)ジエステルに変換できる。反応温度
は、−10℃〜80℃の間でよいが、好ましくは10℃
〜30℃の間で行うことが望ましい。−10℃より低い
場合には反応が遅く、また80℃より高い場合には、副
反応生成物の量が多くなり得策でない。
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルを該エステルとおなじアルキル基を有するアルコー
ルまたは酢酸等の溶媒に溶解し、触媒として、例えば、
上記のルイス酸を加えて、空気を系内に吹き込むだけで
容易に3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン
−2−カルボン酸)ジエステルに変換できる。反応温度
は、−10℃〜80℃の間でよいが、好ましくは10℃
〜30℃の間で行うことが望ましい。−10℃より低い
場合には反応が遅く、また80℃より高い場合には、副
反応生成物の量が多くなり得策でない。
【0021】反応式3で表される反応も、4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルを単離することがない以外は、反応式1および2の
反応について記載したと同様にして行うことができる。
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エス
テルを単離することがない以外は、反応式1および2の
反応について記載したと同様にして行うことができる。
【0022】本発明の方法で得られた4,5−ジヒドロ
−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステル
およびその酸化化合物である3,3'−ジチオビス(4,5
−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステル
は、公知の方法に従って農薬の中間体や、チオフェンサ
ッカリンの原料として利用できる。
−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エステル
およびその酸化化合物である3,3'−ジチオビス(4,5
−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエステル
は、公知の方法に従って農薬の中間体や、チオフェンサ
ッカリンの原料として利用できる。
【0023】
【実施例】以下に実施例および参考例をあげて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。 実施例1 撹拌機、温度計、冷却器、ガス吹き込み管を備えた50
0ml4ツ口フラスコ中に、メタノール180gを入れ、
3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カルボン酸メ
チル33.6g(0.21mol)を溶解させた。そこへ、ガス
吹き込み管より硫化水素ガス11g(0.32mol)と塩化
水素ガス18g(0.49mol)を、温度0℃〜20℃にて
30分間吹き込んだ後、さらに20℃で3時間撹拌を続
けて反応を完了させた。その後、溶媒のメタノールを留
去し、減圧蒸留することにより、沸点、97〜99℃/
4mmHgの留分として4,5−ジヒドロ−3−メルカプト
チオフェン−2−カルボン酸メチル31.7g(0.18mo
l)を得た。3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カ
ルボン酸メチルに対する収率は86%であった。
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。 実施例1 撹拌機、温度計、冷却器、ガス吹き込み管を備えた50
0ml4ツ口フラスコ中に、メタノール180gを入れ、
3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カルボン酸メ
チル33.6g(0.21mol)を溶解させた。そこへ、ガス
吹き込み管より硫化水素ガス11g(0.32mol)と塩化
水素ガス18g(0.49mol)を、温度0℃〜20℃にて
30分間吹き込んだ後、さらに20℃で3時間撹拌を続
けて反応を完了させた。その後、溶媒のメタノールを留
去し、減圧蒸留することにより、沸点、97〜99℃/
4mmHgの留分として4,5−ジヒドロ−3−メルカプト
チオフェン−2−カルボン酸メチル31.7g(0.18mo
l)を得た。3−オキソテトラヒドロチオフェン−2−カ
ルボン酸メチルに対する収率は86%であった。
【0024】実施例2 撹拌機、温度計、冷却器、ガス吹き込み管を備えた10
0ml4ツ口フラスコ中で、実施例1で得た4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸メチ
ル7.9g(0.045mol)と三塩化鉄0.5gを酢酸20g
に懸濁させた。そこへ、20℃にて空気を100ml/分
の流量で4時間通気させ、反応を完結した。その後、反
応液を水60gに添加して結晶を晶析させ、濾過、乾燥
することにより、融点150〜152℃の3,3'−ジチ
オビス(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)
ジメチル7.6g(0.022mol)を得た。4,5−ジヒド
ロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸メチル
に対する収率は98%であった。
0ml4ツ口フラスコ中で、実施例1で得た4,5−ジヒ
ドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸メチ
ル7.9g(0.045mol)と三塩化鉄0.5gを酢酸20g
に懸濁させた。そこへ、20℃にて空気を100ml/分
の流量で4時間通気させ、反応を完結した。その後、反
応液を水60gに添加して結晶を晶析させ、濾過、乾燥
することにより、融点150〜152℃の3,3'−ジチ
オビス(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)
ジメチル7.6g(0.022mol)を得た。4,5−ジヒド
ロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸メチル
に対する収率は98%であった。
【0025】実施例3 実施例2において、触媒である三塩化鉄0.5gのかわり
に塩化亜鉛0.5gを用いる以外は実施例2と同様にし
て、3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン−
2−カルボン酸)ジメチル6.0g(0.017mol)を得
た。4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2
−カルボン酸メチルに対する収率は76%であった。
に塩化亜鉛0.5gを用いる以外は実施例2と同様にし
て、3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフェン−
2−カルボン酸)ジメチル6.0g(0.017mol)を得
た。4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2
−カルボン酸メチルに対する収率は76%であった。
【0026】実施例4 実施例2において、触媒である三塩化鉄0.5gのかわり
に塩化アルミニウム0.5gを用いる以外は実施例2と同
様にして、3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフ
ェン−2−カルボン酸)ジメチル5.7g(0.016mol)
を得た。4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン
−2−カルボン酸メチルに対する収率は72%であっ
た。
に塩化アルミニウム0.5gを用いる以外は実施例2と同
様にして、3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒドロチオフ
ェン−2−カルボン酸)ジメチル5.7g(0.016mol)
を得た。4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン
−2−カルボン酸メチルに対する収率は72%であっ
た。
【0027】参考例 実施例2で得られた3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒ
ドロチオフェン−2−カルボン酸)ジメチルを用い、
J.Org.Chem.,45,617(1980)記載の
方法により、以下の(1)〜(4)の工程を経て、チオ
フェンサッカリンを合成した。
ドロチオフェン−2−カルボン酸)ジメチルを用い、
J.Org.Chem.,45,617(1980)記載の
方法により、以下の(1)〜(4)の工程を経て、チオ
フェンサッカリンを合成した。
【0028】(1)3,3'−ジチオビス(チオフェン−
2−カルボン酸)ジメチルの製造 撹拌機、温度計、冷却器、滴下ロートを備えた100ml
4ツ口フラスコに3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒド
ロチオフェン−2−カルボン酸)ジメチル7.0g(0.0
20mol)を仕込み、塩化メチレン50mlに溶解させ
た。その溶液に塩化スルフリル5.7g(0.042mol)
を50mlの塩化メチレンに溶解させた溶液を室温下10
分間かけて滴下した。その後1時間同温度にて撹拌を続
けて反応を完了させた。反応溶液に水を加えた後、0℃
に冷却して、トリエチルアミンを水層のpHが7〜8に
なるまで添加し、さらに1時間撹拌した。反応液を分液
し、有機層を濃縮することにより3,3'−ジチオビス
(チオフェン−2−カルボン酸)ジメチル6.2g(0.
018mol)を得た。
2−カルボン酸)ジメチルの製造 撹拌機、温度計、冷却器、滴下ロートを備えた100ml
4ツ口フラスコに3,3'−ジチオビス(4,5−ジヒド
ロチオフェン−2−カルボン酸)ジメチル7.0g(0.0
20mol)を仕込み、塩化メチレン50mlに溶解させ
た。その溶液に塩化スルフリル5.7g(0.042mol)
を50mlの塩化メチレンに溶解させた溶液を室温下10
分間かけて滴下した。その後1時間同温度にて撹拌を続
けて反応を完了させた。反応溶液に水を加えた後、0℃
に冷却して、トリエチルアミンを水層のpHが7〜8に
なるまで添加し、さらに1時間撹拌した。反応液を分液
し、有機層を濃縮することにより3,3'−ジチオビス
(チオフェン−2−カルボン酸)ジメチル6.2g(0.
018mol)を得た。
【0029】(2)3−(クロロスルホニル)チオフェ
ン−2−カルボン酸メチルの製造 撹拌機、温度計、冷却器、ガス吹き込み管を備えた10
0ml4ツ口フラスコに(1)の方法で得た3,3'−ジチ
オビス(チオフェン−2−カルボン酸)ジメチル7.0g
(0.020mol)を仕込み、メタノール40mlと水15
mlからなる混合液に溶解させた。この溶液を0℃に冷却
して、塩素ガス8.3g(0.117mol)を同温度で1時
間かけて吹き込んだ。2時間撹拌を続けて反応を完了さ
せた。反応液を氷水60gに加えて析出した結晶を濾過
し、乾燥することにより3−(クロロスルホニル)チオ
フェン−2−カルボン酸メチル8.5g(0.035mol)
を得た。
ン−2−カルボン酸メチルの製造 撹拌機、温度計、冷却器、ガス吹き込み管を備えた10
0ml4ツ口フラスコに(1)の方法で得た3,3'−ジチ
オビス(チオフェン−2−カルボン酸)ジメチル7.0g
(0.020mol)を仕込み、メタノール40mlと水15
mlからなる混合液に溶解させた。この溶液を0℃に冷却
して、塩素ガス8.3g(0.117mol)を同温度で1時
間かけて吹き込んだ。2時間撹拌を続けて反応を完了さ
せた。反応液を氷水60gに加えて析出した結晶を濾過
し、乾燥することにより3−(クロロスルホニル)チオ
フェン−2−カルボン酸メチル8.5g(0.035mol)
を得た。
【0030】(3)3−スルファモイルチオフェン−2
−カルボン酸メチルの製造 (2)で得た3−(クロロスルホニル)チオフェン−2
−カルボン酸メチル7.3g(0.03mol)を塩化メチレ
ン60mlに溶解させ、溶液を0℃に冷却し、この溶液に
アンモニアガス1.53g(0.09mol)を同温度で1時
間かけて吹き込んだ。その後さらに2時間撹拌を続けて
反応を完結させた。反応液を分液した後、有機層を10
%塩酸10gで洗浄し、濃縮して3−スルファモイルチ
オフェン−2−カルボン酸メチル6.0g(0.027mo
l)を得た。
−カルボン酸メチルの製造 (2)で得た3−(クロロスルホニル)チオフェン−2
−カルボン酸メチル7.3g(0.03mol)を塩化メチレ
ン60mlに溶解させ、溶液を0℃に冷却し、この溶液に
アンモニアガス1.53g(0.09mol)を同温度で1時
間かけて吹き込んだ。その後さらに2時間撹拌を続けて
反応を完結させた。反応液を分液した後、有機層を10
%塩酸10gで洗浄し、濃縮して3−スルファモイルチ
オフェン−2−カルボン酸メチル6.0g(0.027mo
l)を得た。
【0031】(4)チオフェンサッカリンの製造 (3)で得た3−スルファモイルチオフェン−2−カル
ボン酸メチル4.5g(0.020mol)にメタノール20
mlと30%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液4.
5gを添加し、還流下7時間加熱を続け反応を完了させ
た。反応液を室温まで冷却した後、35%塩酸2.8g
(0.027mol)を加えた。析出した結晶を濾過した
後、乾燥し、水より再結晶することによりチオフェンサ
ッカリン3.1gを得た。融点は230〜232℃であっ
た。
ボン酸メチル4.5g(0.020mol)にメタノール20
mlと30%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液4.
5gを添加し、還流下7時間加熱を続け反応を完了させ
た。反応液を室温まで冷却した後、35%塩酸2.8g
(0.027mol)を加えた。析出した結晶を濾過した
後、乾燥し、水より再結晶することによりチオフェンサ
ッカリン3.1gを得た。融点は230〜232℃であっ
た。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、安価な、また容
易に入手可能な試剤を原料とし、容易に除草剤等の農薬
の中間体として有用な有機硫黄化合物である4,5−ジ
ヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エ
ステルおよびその酸化化合物である3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエス
テルを製造することができる。
易に入手可能な試剤を原料とし、容易に除草剤等の農薬
の中間体として有用な有機硫黄化合物である4,5−ジ
ヒドロ−3−メルカプトチオフェン−2−カルボン酸エ
ステルおよびその酸化化合物である3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエス
テルを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片桐 敏文 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内
Claims (5)
- 【請求項1】 3−オキソテトラヒドロチオフェン−2
−カルボン酸エステルを、硫化水素および塩化水素と反
応させることを特徴とする4,5−ジヒドロ−3−メル
カプトチオフェン−2−カルボン酸エステルの製造方
法。 - 【請求項2】 4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオ
フェン−2−カルボン酸エステルをルイス酸触媒の存在
下、空気酸化することを特徴とする3,3'−ジチオビス
(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジエス
テルの製造方法。 - 【請求項3】 ルイス酸触媒が、三塩化鉄、塩化亜鉛ま
たは塩化アルミニウムである請求項2記載の製造方法。 - 【請求項4】 3−オキソテトラヒドロチオフェン−2
−カルボン酸エステルを、硫化水素および塩化水素と反
応させて4,5−ジヒドロ−3−メルカプトチオフェン
−2−カルボン酸エステルを得、これをルイス酸触媒の
存在下、空気酸化することを特徴とする3,3'−ジチオ
ビス(4,5−ジヒドロチオフェン−2−カルボン酸)ジ
エステルの製造方法。 - 【請求項5】 ルイス酸触媒が、三塩化鉄、塩化亜鉛ま
たは塩化アルミニウムである請求項4記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP322593A JPH06211837A (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | 環状含硫黄有機化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP322593A JPH06211837A (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | 環状含硫黄有機化合物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06211837A true JPH06211837A (ja) | 1994-08-02 |
Family
ID=11551510
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP322593A Pending JPH06211837A (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | 環状含硫黄有機化合物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06211837A (ja) |
-
1993
- 1993-01-12 JP JP322593A patent/JPH06211837A/ja active Pending
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