JP3373155B2 - ガスメータのガス自動遮断構造 - Google Patents

ガスメータのガス自動遮断構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスメータのガス自
動遮断構造に関し、特に、ガスメータのガス流路内に形
成された弁座部上に載置され、該ガス流路を閉じた状態
に閉塞可能な脈動防止用フロート球を備えたガスメータ
のガス自動遮断構造に関する。
【0002】
【従来の技術】火災等によるガス流路の異常過熱時にガ
ス流路を自動的に遮断するガス自動遮断構造としては、
図5に示したような熱ヒューズ弁が開発され、都市ガス
等のガス流路となる配管の途中、あるいはガスメータや
ガス燃焼機器等のガス器具のガス流路に装備されてい
る。ここに示した熱ヒューズ弁1は、実開昭51−13
4238号公報に開示されたものであり、ガスを燃焼さ
せるガス器具(図示せず)のメインバルブ2にガスを供
給するガス供給路を構成する管状ハウジング3に組み込
まれている。前記管状ハウジング3には、図5中の矢印
A方向にガスが流れる。この管状ハウジング3は、上流
側にガス供給路を開閉する元栓7を有した構造であり、
該元栓7よりも下流側となるガス供給路5に、前記熱ヒ
ューズ弁1が組み込まれている。
【0003】前記熱ヒューズ弁1は、ガス供給路5の途
中に装備される弁座11と、下流側から前記弁座11に
着座することでガス供給路5を遮断状態にする球状の弁
体12と、該弁体12を弁座11に向けて付勢するばね
部材である圧縮コイルばね13と、該圧縮コイルばね1
3の基端側を支持するバネ受け4と、この圧縮コイルば
ね13のばね付勢力に抗して前記弁座11から離間した
位置に前記弁体12を支承する支承体14とを備えた構
成である。
【0004】前記支承体14は、図6に示すように、管
状ハウジング3の内周壁に係合するリング状の外周部1
4aと、この外周部14aからリングの中心に向かって
張り出して弁体12を支える支持突起部14bとを備え
た構成であり、設定温度以上で溶融する低融点金属や熱
可塑性プラスチック、あるいは設定温度以上に加熱され
ると所定の変形を起こすバイメタル等により一体形成さ
れている。そこで、設定温度(例えば、160℃〜20
0℃)以下の環境では前記支持突起部14bが弁体12
を支承するが、設定温度以上に加熱されると、該支持突
起部14bが溶融又は熱変形することにより弁体12に
対する支承力を喪失する。
【0005】上述の構成により、前記熱ヒューズ弁1
は、火災等によるガス供給路5の異常過熱時には、支承
体14の溶融又は熱変形によって該支承体14の弁体支
承力が喪失し、図7に示すように、弁体12が弁座11
に着座してガス供給路5が遮断された状態を得る。な
お、前記支承体14において隣接する支持突起部14b
間の切り欠き部14cは、図5に示した通常使用時に、
ガス流路を確保するためのものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した従
来の熱ヒューズ弁1は、弁体12や支承体14等の構成
部品が、通常使用時においても常時、ガス供給路5内に
位置しているため、ガス流の圧力損失の増大を招くとい
う問題があり、圧力損失をできる限り抑えてより高精度
な測定を実現することが要求されるガスメーター内には
装備が難しい。又、遮断動作に圧縮コイルばね13を利
用する構造では、該圧縮コイルばね13の動作不良等が
発生する不安もあった。
【0007】そこで、本発明の目的は上記課題を解消す
ることに係り、通常使用時における圧力損失を増大させ
ることなく、異常圧力上昇時にはガス流路を閉じてガス
供給を確実に遮断することができる良好なガスメータの
ガス自動遮断構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、ガ
スメータ内のガス流路に形成された弁座部上に載置さ
れ、該ガス流路を閉じた状態に閉塞可能な脈動防止用フ
ロート球と、ガス圧により浮上する前記フロート球の上
方位置に形成され、所定以上のガス圧が作用した前記フ
ロート球により前記ガス流路を閉じた状態に閉塞可能な
シール部とを備えたガスメータのガス自動遮断構造であ
って、前記弁座部及び前記シール部が、設定温度以上に
加熱されると軟化して前記フロート球を融着可能な融着
部を有することを特徴とするガスメータのガス自動遮断
構造により達成される。
【0009】上記構成によれば、火災等によるガスメー
タ内の異常圧力上昇によって設定以上のガス圧が脈動防
止用フロート球に作用すると、該フロート球がシール部
まで押し上げられるので、ガス流路は閉じた状態に閉塞
される。そこで、脈動防止用フロート球を備えたガスメ
ータのガス流路内に前記シール部を設けるという簡単な
構成によって、異常圧力時のガス流路を遮断することが
できる。
【0010】又、前記フロート球によるガス流路のガス
遮断動作は、ガス流路内のガス圧によるものであり、弁
体を付勢するばね部材や該ばね部材の付勢力に抗して弁
体を支承する支承体等をガス流路内に設ける必要がない
ので、通常使用時におけるガス流路内の圧力損失を増大
させることがなく、簡単な構造によってガス遮断動作の
信頼性を向上させることもできる。
【0011】更に、火災等によるガス供給路の異常過熱
によって、設定温度以上にガスメータ内の温度が上昇す
ると、弁座部及びシール部の融着部が軟化する。この
時、ガス器具等が未使用であれば、脈動防止用フロート
球は弁座部の融着部に融着し、ガス流路を遮断する。一
方、ガス器具等が使用中であれば、ガスメータ内の温度
と共にガス圧が上昇し、前記脈動防止用フロート球はシ
ール部まで押し上げられるので、該シール部の融着部に
融着し、ガス流路を遮断する。そこで、ガス流路の遮断
性能が高まると共に、その後の温度低下時には前記フロ
ート球を融着した状態で融着部が固化し、ガス流路を遮
断状態に維持することができる。
【0012】尚、好ましくはガス圧に抗して前記シール
部から離間した位置に前記フロート球を規制すると共に
設定温度以上に加熱されると規制力を失って前記フロー
ト球のシール部への着座を可能とする規制部材が、ガス
流路を確保しながら前記フロート球と前記シール部との
間に設けられる。上記構成によれば、前記規制部材に規
制された前記フロート球は、通常使用時にシール部を閉
塞することがない。そこで、通常使用時に脈動を吸収す
べく変位している前記フロート球が不用意にシール部を
閉塞することがないように設定される弁座部とシール部
との間隔を最小限に設定することができ、ガス自動遮断
構造を更にコンパクトにすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の一実施形態に係るガスメータのガス自動遮断構造を詳
細に説明する。図1及び図2に示したガス自動遮断構造
は、ガスメータ25の出口22近傍の鉛直向きのガス流
路23内に形成された弁座部27上に載置され、該ガス
流路23を閉じた状態に閉塞可能な脈動防止用フロート
球21と、ガス圧により浮上する前記フロート球21の
上方位置に形成され、所定以上のガス圧が作用した前記
フロート球21により前記ガス流路23を閉じた状態に
閉塞可能なシール部29とを備えている。又、前記フロ
ート球21と前記シール部29との間には、ガス圧に抗
して前記シール部29から離間した位置に前記フロート
球21を規制する規制部材31が設けられている。ガス
流路23におけるガスの流れは、図1に矢印Bで示すよ
うに、鉛直上向きである。
【0014】前記弁座部27は、設定温度以上に加熱さ
れると軟化して前記フロート球21を融着可能な融着部
としてのリング状部材28がガス流路23の内壁に埋設
されており、ガス流路23の内径を狭める縮径部を形成
している。前記シール部29は、設定温度以上に加熱さ
れると軟化して前記フロート球21を融着可能な融着部
としてのリング状部材30がガス流路23の内壁に埋設
されており、ガス流路23の内径を狭める縮径部を形成
している。尚、前記フロート球21よりも内径の小さな
前記リング状部材28及びリング状部材30は、設定温
度(例えば、70℃〜200℃)以上に加熱されると軟
化する低融点金属や熱可塑性プラスチック等の低融点材
料からなる。
【0015】前記規制部材31は、図2に示したよう
に、ガス流路23の内壁面からガス流路23の中心に向
かって突設されて前記フロート球21の外面に当接する
ことにより該フロート球21の上昇を押さえる複数本
(本実施形態では、4本)の支持突起部31aと、これ
らの支持突起部31a相互を連結するリング状の外周環
状部31bとを有した構造である。
【0016】そこで、各支持突起部31aと外周環状部
31bとの間の凹部31cは、各支持突起部31aに前
記フロート球21が当接した状態の時にはガスの流通を
許容する空隙部となる。更に、前記規制部材31は、外
周環状部31bの外周縁がガス流路23の内壁面に埋没
され、ガス流路23の内壁面に保持されている。尚、前
記規制部材31は、設定温度(例えば、70℃〜200
℃)以上に加熱されると溶融する低融点金属や熱可塑性
プラスチック等の低融点材料からなる。
【0017】次に、本実施形態における上記ガス自動遮
断構造の作用を説明する。先ず、通常使用時、前記ガス
流路23内を流れるガス流の脈動は、矢印Bに沿った順
流時には前記フロート球21を変位させることによって
吸収され、逆流時には該フロート球21が弁座部27に
着座してガス流路23を閉塞することによって遮断され
る。
【0018】尚、前記フロート球21は、過大な脈動流
等によって万が一大きく上方へ変位させられても、図1
に示したように、前記規制部材31の支持突起部31a
に押さえられてシール部29に着座するのを阻止される
ので、不用意にシール部29を閉塞してガス流路23を
遮断してしまうことがない。
【0019】火災等によってガスメータ25内が設定温
度以上に過熱された場合には、前記規制部材31の支持
突起部31aが溶融又は変形することによって前記フロ
ート球21に対する上昇規制が解除される。そして、ガ
スメータ25内の温度上昇に伴う異常圧力上昇によって
設定以上のガス圧が脈動防止用フロート球21に作用す
ると、図3に示すように該フロート球21がシール部2
9まで押し上げられるので、ガス流路23は閉じた状態
に閉塞される。
【0020】そこで、本実施形態におけるガス自動遮断
構造によれば、上述の如く脈動防止用フロート球21を
備えたガスメータ25のガス流路23内に前記シール部
29を設けるという簡単な構成によって、異常圧力時の
ガス流路23を遮断することができる。即ち、上記ガス
メータ25では、火災等によるガス流路23の異常圧力
時には、脈動吸収構造として装備されている前記フロー
ト球21がガス流路23の遮断を行って、ガスの漏れを
防止する熱ヒューズ弁としての機能を果たす。
【0021】又、前記フロート球21によるガス流路2
3のガス遮断動作は、ガス流路23内のガス圧によるも
のであり、図5に示した従来の熱ヒューズ弁1のように
弁体12を付勢する圧縮コイルばね13や該圧縮コイル
ばね13の付勢力に抗して弁体12を支承する支承体1
4等をガス流路23内に設ける必要がないので、通常使
用時におけるガス流路23内の圧力損失を増大させるこ
とがなく、簡単な構造によってガス遮断動作の信頼性を
向上させることもできる。
【0022】尚、前記規制部材31は、前記フロート球
21が過大な脈動流等によって万が一大きく上方へ変位
させられた際にシール部29に着座するのを阻止すれも
のであり、前記支承体14の如く常時過大な支持力を必
要としないので、支持突起部31aを小さくしてガスの
流通を許容する空隙部を大きくでき、該規制部材31に
よる圧力損失は最小にできる。
【0023】更に、本実施形態の弁座部27及びシール
部30は、リング状部材29,30をそれぞれ有してお
り、火災等によってガスメータ25内が設定温度以上に
過熱された場合には、これらリング状部材29,30が
軟化する。そこで、この時にガス器具等が使用中であれ
ば、ガスメータ25内の温度と共にガス圧が上昇し、図
3に示すように規制部材31の上昇規制が解除された前
記フロート球21はシール部29まで押し上げられるの
で、該シール部29のリング状部材30に融着し、ガス
流路23を遮断する。そして、その後の温度低下時には
前記フロート球21を融着した状態で前記リング状部材
30が固化するので、ガスメータ25内のガス圧力が下
がっても前記フロート球21はシール部29に着座した
まま落下することはなく、ガス流路23を遮断状態に維
持することができる。
【0024】一方、ガス器具等が未使用であれば、図4
に示すように、前記弁座部27に着座した状態の前記フ
ロート球21は該弁座部27のリング状部材28に融着
し、ガス流路23を遮断する。そして、その後の温度低
下時には前記フロート球21を融着した状態で前記リン
グ状部材29が固化し、ガス流路23を遮断状態に維持
することができる。
【0025】従って、火災等の異常圧力時におけるガス
流路23の遮断性能が高まると共に、例えば火災の鎮火
によりガス流路23が通常温度に下がった時にもガス流
路23の遮断状態が不用意に解除されてしまうことがな
く、ガス流路23の遮断による安全を維持できる。
【0026】更に、本実施形態のガス自動遮断構造によ
れば、前記規制部材31によって前記シール部29から
離間した位置に前記フロート球21が規制されており、
通常使用時に脈動を吸収すべく変位している該フロート
球21が過大な脈動流によって万が一大きく上方へ変位
させられても、不用意にシール部29を閉塞してガス流
路23を遮断してしまうことがない。
【0027】そこで、前記規制部材31が無い場合には
不用意にシール部29を閉塞することがないように十分
な安全マージンを以て設定される弁座部27とシール部
29との間隔Lが、最小限の間隔で良く、ガス自動遮断
構造を更にコンパクトにすることができる。尚、本発明
に係るガスメータのガス自動遮断構造は、上記実施形態
の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づ
いて種々の形態を採りうることは云うまでもない。
【0028】
【発明の効果】本発明のガスメータの自動遮断構造によ
れば、火災等によるガスメータ内の異常圧力上昇によっ
て設定以上のガス圧が脈動防止用フロート球に作用する
と、該フロート球がシール部まで押し上げられるので、
ガス流路は閉じた状態に閉塞される。そこで、脈動防止
用フロート球を備えたガスメータのガス流路内に前記シ
ール部を設けるという簡単な構成によって、異常圧力時
のガス流路を遮断することができる。又、前記フロート
球によるガス流路のガス遮断動作は、ガス流路内のガス
圧によるものであり、弁体を付勢するばね部材や該ばね
部材の付勢力に抗して弁体を支承する支承体等をガス流
路内に設ける必要がないので、通常使用時におけるガス
流路内の圧力損失を増大させることがなく、簡単な構造
によってガス遮断動作の信頼性を向上させることもでき
る。更に、火災等によるガス供給路の異常過熱によっ
て、設定温度以上にガスメータ内の温度が上昇すると、
弁座部及びシール部の融着部が軟化する。この時、ガス
器具等が未使用であれば、脈動防止用フロート球は弁座
部の融着部に融着し、ガス流路を遮断する。一方、ガス
器具等が使用中であれば、ガスメータ内の温度と共にガ
ス圧が上昇し、前記脈動防止用フロート球はシール部ま
で押し上げられるので、該シール部の融着部に融着し、
ガス流路を遮断する。そこで、ガス流路の遮断性能が高
まると共に、その後の温度低下時には前記フロート球を
融着した状態で融着部が固化し、ガス流路を遮断状態に
維持することができる。従って、通常使用時における圧
力損失を増大させることなく、異常圧力上昇時にはガス
流路を閉じてガス供給を確実に遮断することができる良
好なガスメータのガス自動遮断構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスメータのガス自
動遮断構造の要部拡大断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面矢視図である。
【図3】図1に示した脈動防止用フロート球がシール部
に着座してガス流路を遮断した状態を示す要部拡大断面
図である。
【図4】図1に示した脈動防止用フロート球が弁座部に
着座してガス流路を遮断した状態を示す要部拡大断面図
である。
【図5】従来の熱ヒューズ弁の非作動時の状態を示す縦
断面図である。
【図6】図5に示した熱ヒューズ弁の支承体の正面図で
ある。
【図7】図5に示した熱ヒューズ弁の作動時の状態を示
す縦断面図である。
【符号の説明】
21 脈動防止用フロート球 23 ガス流路 25 ガスメータ 27 弁座部 28 リング状部材 29 シール部 30 リング状部材 31 規制部材 31a 支持突起部 31b 外周環状部 31c 凹部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスメータ内のガス流路に形成された弁
    座部上に載置され、該ガス流路を閉じた状態に閉塞可能
    な脈動防止用フロート球と、ガス圧により浮上する前記
    フロート球の上方位置に形成され、所定以上のガス圧が
    作用した前記フロート球により前記ガス流路を閉じた状
    態に閉塞可能なシール部とを備えたガスメータのガス自
    動遮断構造であって、 前記弁座部及び前記シール部が、設定温度以上に加熱さ
    れると軟化して前記フロート球を融着可能な融着部を有
    することを特徴とするガスメータのガス自動遮断構造。
  2. 【請求項2】 ガス圧に抗して前記シール部から離間し
    た位置に前記フロート球を規制すると共に設定温度以上
    に加熱されると規制力を失って前記フロート球のシール
    部への着座を可能とする規制部材が、ガス流路を確保し
    ながら前記フロート球と前記シール部との間に設けられ
    ていることを特徴とする請求項1に記載のガスメータの
    ガス自動遮断構造。
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