JP3600603B2 - 流路遮断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流路遮断装置、特に、火災発生時において、設定温度に達した時点で、ガス流路を遮断可能な流路遮断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流路遮断装置を管継手内に組み込んだものとして、例えば、特開2000−74239号に開示のものがある。
【0003】
このものは、流路遮断弁として球弁を採用してなるもので、前記球弁を収容する弁収容室を三方継手の上方開放端の上方に連設させると共に、前記弁収容室と前記継手との境界部分には感熱変形部材から構成されているストッパが張設されており、前記ストッパによって前記球弁が常温において前記弁収容室内で前記継手内への脱出が阻止された状態で収容された構成となっている。そして、火災発生等により、異常過熱状態となった時点において、前記ストッパの支持力が失われて、前記球弁が弁収容室から継手内に自重により落下し、下端の弁座に係止されることにより、前記継手内の流路を遮断させる構成である。
【0004】
このものでは、例えば、前記ストッパを低融点金属や熱可塑性樹脂材料等のような、設定温度以上の加熱によって融解あるいは変形を起こす性質の材料で構成しておけば、異常過熱時に、ストッパが融解又は変形することにより、球弁が弁収容室から継手内に投入することとなり、前記流路を確実に閉塞させることができる。よって、火災発生時において緊急にガスを遮断することができる、安全な管継手を提供することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものでは、感熱部材であるストッパは継手内に位置するように配設されているから、管継手の周壁が十分に過熱されないと変形に至らず、球弁を流路内に落下させることができない。よって、火災の発生から球弁によって流路が遮断されるまで、比較的時間がかかってしまい、迅速な対応は期待できないといった問題がある。
【0006】
本発明は、『異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置』において、周囲の異常過熱に迅速に対応して確実にガス流路を遮断することができる流路遮断装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
*1項
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、『前記ガス流路を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、前記板状弁を流路遮断方向に付勢する第1付勢手段と、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記板状弁を流路方向に対して前記板状弁の弁軸を約90度回転させた流路開放姿勢に保持可能な保持部材とからなり、
前記板状弁の保持状態が解除される非保持位置へ前記保持部材を付勢する第2付勢手段が設けられていると共に、
前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記保持部材を前記板状弁の前記保持状態が維持されるように位置決めする位置決め手段が設けられ、
前記ガス流路を構成している主配管の内周壁のうち、前記第2付勢手段によって前記非保持位置へ付勢された状態の前記保持部材の側方に、前記第1付勢手段によって前記流路遮断方向に付勢された前記板状弁が対接する環状リブが突設され、
前記主配管の周壁に形成された貫通孔の周囲を囲むようにして前記ガス流路に連通し且つ外方気密状態に閉塞された補助室が設けられると共に、前記補助室内に前記位置決め手段が収容され、
前記位置決め手段は設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成され、
前記保持部材は、前記板状弁を保持する第1保持部と、前記第1保持部に対して相対移動阻止状態に直交し且つ一端が前記主配管を貫通して前記補助室内に挿入されている第2保持部とからなり、
前記第2保持部は前記第2付勢手段の付勢力によって前記補助室への挿入方向に付勢されると共に、前記第2保持部の前記一端とそれに対向する前記補助室の閉塞端面との間に前記位置決め手段が介在されている』ことである。
【0008】
上記技術的手段は次のように作用する。
遮断弁としての板状弁と、これを流路遮断状態に付勢させる第1付勢手段と、前記板状弁を流路開放状態に保持する保持部材とから、流路遮断装置が構成されており、前記保持部材をガス流路内の所定位置に位置決めして前記板状弁を保持させれば、流路遮断装置の設置が完了する。前記板状弁は、板状弁を保持しきれない非保持位置に常時付勢されているが、常温においては、位置決め手段によって、板状弁を流路開放姿勢に保持できるように設定されている。よって、ガスは流路内を上流側から下流側へ支障なく流れていくこととなる。そして、火災の発生等によりガス配管が高温に異常過熱された場合、ガス配管の周辺が過熱されると、その周壁に設けられた補助室から先に過熱されることとなる。前記補助室内には前記位置決め手段が収容されており、前記位置決め手段は設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成されていることから、補助室の過熱によって前記位置決め手段が変形又は融解し、第2付勢手段の付勢力を阻止する力が喪失される。前記位置決め手段による位置決め力が喪失すると、前記保持部材は、前記第2付勢手段の付勢力によって、板状弁を流路開放姿勢に保持できない非保持位置へ付勢されてしまう。これにより、前記板状弁は前記第1付勢手段の付勢力によって流路遮断状態に付勢される。このとき、前記板状弁は、前記非保持位置にある前記保持部材の側方に設けられている環状リブに対接することにより、前記環状リブは弁シートとして機能することとなり、板状弁は確実に前記流路遮断状態に維持されることとなる。
【0009】
そして、前記保持部材は、前記板状弁を保持する第1保持部と、前記第1保持部に対して相対移動阻止状態に直交し且つ一端が前記主配管を貫通して前記補助室内に挿入されている第2保持部とからなり、前記第2保持部は前記第2付勢手段の付勢力によって前記補助室への挿入方向に付勢されると共に、前記第2保持部の前記一端とそれに対向する前記補助室の閉塞端面との間に前記位置決め手段が介在されているので、補助室内には、第2保持部の一端及びその近傍部分と、前記第2保持部の一端と補助室の閉塞端面との間に介在されるように設けられた位置決め手段とが収容されている。補助室が異常過熱された場合、前記閉塞端面から前記位置決め手段に熱が速やかに伝導することとなり、位置決め手段を迅速に溶融又は変形させることができる。
【0010】
*2項
1項において、『前記補助室内における前記位置決め手段の内方又は外方に所定の空間部が形成されている』ものでは、位置決め手段のうち、過熱によって変形又は溶融させられた部分は、その内方又は外方に設けられた空間部で受けることができる。
【0011】
*3項
1項又は2項の各項において、『前記補助室は、前記主配管の外周壁から外方に突出するように設けられている』ものでは、配管外周域における異常過熱状態を最も速く感知することができる。
【0012】
*4項
また、本発明の技術的手段は、『異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置において、
前記ガス流路を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、前記板状弁を流路遮断方向に付勢する第1付勢手段と、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記板状弁を流路方向に対して前記板状弁の弁軸を約90度回転させた流路開放姿勢に保持可能な保持部材とからなり、
前記板状弁の保持状態が解除される非保持位置へ前記保持部材を付勢する第2付勢手段が設けられていると共に、
前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記保持部材を前記板状弁の前記保持状態が維持されるように位置決めする位置決め手段が設けられ、
前記ガス流路を構成している主配管の内周壁のうち、前記第2付勢手段によって前記非保持位置へ付勢された状態の前記保持部材の側方に、前記第1付勢手段によって前記流路遮断方向に付勢された前記板状弁が対接する環状リブが突設され、
前記主配管の周壁に形成された貫通孔の周囲を囲むようにして前記ガス流路に連通し且つ外方気密状態に閉塞された補助室が設けられると共に、前記補助室内に前記位置決め手段が収容され、
前記位置決め手段は設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成され、
前記第1付勢手段はコイルバネとし、前記板状弁は、前記コイルバネの両端にそれぞれ相互に対向姿勢に配設されると共に、その対向面の中心に前記コイルバネの両端がそれぞれ接続されるものとし、
前記板状弁は、前記コイルバネを伸張させることにより、前記対向面相互が同方向を向く前記流路開放姿勢に設定されると共に、前記姿勢は、前記保持部材によって保持されるように設定されている』ことである。
このものでは、板状弁は2枚用意され、コイルバネの両端に1枚ずつ中心が連結された状態で対向させる態様となる。この対向姿勢から各板状弁の対向面が同方向を向く開放姿勢となるように、板状弁の姿勢を変更させると、前記中心相互間の距離が伸びることから、前記コイルバネは伸張方向に弾性変形させられることとなる。これにより、前記開放姿勢にある板状弁相互間に弾性復帰力が働くこととなる。この開放姿勢で前記板状弁は保持部材に保持されることとなり、この保持状態は位置決め手段によって保持されることとなる。前記位置決め手段が異常過熱により融解又は変形して、前記保持部材による保持状態が解除されると、前記コイルバネの付勢力によって前記板状弁は前記対向姿勢に復帰されることとなる。これにより、流路が閉塞されることとなる。
【0013】
*5項
また、本発明の技術的手段は、『異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置において、
前記ガス流路を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、前記板状弁を流路遮断方向に付勢する第1付勢手段と、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記板状弁を流路方向に対して前記板状弁の弁軸を約90度回転させた流路開放姿勢に保持可能な保持部材とからなり、
前記板状弁の保持状態が解除される非保持位置へ前記保持部材を付勢する第2付勢手段が設けられていると共に、
前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記保持部材を前記板状弁の前記保持状態が維持されるように位置決めする位置決め手段が設けられ、
前記ガス流路を構成している主配管の内周壁のうち、前記第2付勢手段によって前記非保持位置へ付勢された状態の前記保持部材の側方に、前記第1付勢手段によって前記流路遮断方向に付勢された前記板状弁が対接する環状リブが突設され、
前記主配管の周壁に形成された貫通孔の周囲を囲むようにして前記ガス流路に連通し且つ外方気密状態に閉塞された補助室が設けられると共に、前記補助室内に前記位置決め手段が収容され、
前記位置決め手段は設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成され、
前記第1付勢手段はコイルバネとし、前記コイルバネの一端は前記板状弁の中心に連結されると共に、他端は前記流路内に固定させた係止ピンに連結される構成とし、
前記板状弁は、前記コイルバネを伸張させることにより前記ガス流路を開放させる開放姿勢に設定されると共に、前記保持部材は、前記板状弁を前記開放姿勢に維持した状態で保持できるようにした』ことである。
このものでは、前記板状弁はコイルバネの一方に接続するように1枚だけ設けられており、コイルバネの他端は流路内に固定させた係止ピンに係止される態様となっている。前記板状弁を開放姿勢にすることにより、前記付勢手段は前記係止ピンを基端として伸張方向に弾性変形させられ、この状態にて前記板状弁は保持部材によって保持されることとなる。
尚、6項に示すように、『前記位置決め手段は、熱可塑性合成樹脂、バイメタル、形状記憶合金、又は低融点金属から構成されている』ものが採用可能である。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
板状弁を流路開放状態に保持させた状態に位置決めする位置決め手段は、設定温度で変形又は溶融可能な素材から構成されていると共に、これを収容させる補助室を火災発生時等に熱を受け易い配管周壁に設ける構成としたから、異常過熱状態に迅速に対応することとなる。すなわち、火災の発生により、前記補助室内の温度が設定温度に達すると、位置決め手段による位置決め力が喪失されることから、前記板状弁は前記第1付勢手段の付勢力によって主配管内に設けた前記環状リブに対接する態様となり、前記主配管の流路を遮断することとなる。このように、異常過熱状態に、迅速に対応可能な流路遮断装置を提供することができる。
【0015】
また、外部の熱は一層位置決め手段に伝わり易くなり、ガス流路の緊急遮断が確実となる。
【0016】
2項においては、位置決め手段が設定温度以上に加熱されたときに溶融又は変形させられた部分は、前記空間部へ変形又は溶融していくこととなるから、前記位置決め手段を確実に変形は溶融させることができ、位置決め手段による前記保持部材の位置決め力を確実に解除することができる。これにより、前記保持部材による保持状態を確実に解除させることができ、一層迅速な対応が期待できる。
【0017】
3項においては、配管外周辺域の異常過熱を最も速く感知することができるようにしたから、異常過熱に対して一層迅速に対応可能な流路遮断装置を提供することができる。
【0018】
4項においては、2枚の板状弁で流路を二重に遮断させる構成としたから、ガス流路の緊急遮断が確実となる。又、どちらか一方の板状弁が加圧状態で閉弁されるので、この点でも流路の遮断が確実となる。さらに、遮断時において下流側の板状弁が密着する弁シート部分には異物が付着することがないので、この点でも流路の遮断が確実となる。
【0019】
5項のものでは、板状弁を1枚としたから、安価で且つ構造が簡単な流路遮断装置を提供することができるといった効果がある。
【0020】
6項のものでは、保持部材の材料を特定することにより、異常過熱時の溶融又は変形を確実なものとすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。
図1から図3に示すものは、第1番目の実施の形態に関するものであり、緊急遮断装置を内蔵させたガス配管継手を提供するものである。
【0022】
図1に示すように、前記配管継手(10)の周壁の略中央部には貫通孔(11)が形成されていると共に、前記貫通孔(11)の周囲を囲むように、筒状の補助室(1)を配管継手(10)の外方に突設させている。又、前記配管継手(10)の内周壁には、前記貫通孔(11)の形成位置の両側に位置するように、一対の環状リブ(16)が設けられており、これら環状リブ(16)のさらに両側に一対の板状弁(2a)(2b)が配設されている。これら板状弁(2a)(2b)は、第1付勢手段としてのコイルバネ(3)によって流路遮断方向に付勢されていると共に、前記コイルバネ(3)の付勢力に抗して、板状弁(2a)(2b)が流路に対して平行に位置する流路開放姿勢に維持されるように、第1保持部(31)によって保持可能となっている。
尚、環状リブ(16)間の距離は、前記第1保持部(31)の長さよりも大きく設定されているものとする。
【0023】
板状弁(2a)(2b)は、前記配管継手(10)の流路の内径よりやや小径の金属製の円板とし、前記円板の一方の面の中心部に、環状の係止突起(20a)(20b)が設けられており、前記係止突起(20a)(20b)に、コイルバネ(3)の両端がそれぞれ係止される構成となっている。
【0024】
第1保持体(31)の両端には、図2に示すように、前記板状弁(2a)(2b)の周縁の一部を嵌め込み可能な係止凹部(30)が開放しており、前記第1保持体(31)の中央には、貫通孔(11)を貫通する棒軸状の第2保持体(32)の一端が第1保持体(31)に対して直角に螺合接続されるネジ孔(34)が形成された構成となっている。
【0025】
前記補助室(1)内に収容されている第2保持体(32)の他端には、前記貫通孔(11)よりも大径なフランジ部(33)が張り出しており、前記フランジ部(33)と前記貫通孔(11)の周辺部との間に、第2付勢手段としてのコイルバネ(12)を配設させている。
【0026】
補助室(1)の開放端は、閉塞蓋(13)によって外方気密状態に閉塞されて入ると共に、前記閉塞蓋(13)と前記フランジ部(33)との間には、低融点金属から構成された保持筒(14)を介在させる構成とする。
【0027】
尚、常温において、図1に示したように、第1保持部(31)を、配管継手(10)内において、前記板状弁(2a)(2b)の係止突起(20a)(20b)と同高さで且つ水平姿勢に位置させた状態が、板状弁(2a)(2b)が第1保持部(31)によって流路開放姿勢に保持される状態であり、この第1保持部(31)の位置を保持位置とする。この保持位置が維持されるように、貫通孔(11)から配管継手(10)内に突出される第2保持部(32)の長さと、コイルバネ(12)の付勢力と、保持筒(14)の高さと、さらには、補助室(1)の高さとがそれぞれ所定の寸法関係及び力関係となるように設定されているものとする。
【0028】
この実施の形態の流路遮断装置を配管継手(10)内にセットするには、まず、第1保持部(31)の一方の係止凹部(30)にコイルバネ(3)の一端を係止させた一方の板状弁(2a)を配管継手(10)の一方から差込む。そして、配管継手(10)の他方から他方の板状弁(2b)を差し込んで、他方の係止凹部(30)に嵌め込み、前記コイルバネ(3)を伸張させて他端を他方の板状弁(2b)の係止突起(20b)に係止させる。これにより、環状リブ(16)の両側に前記板状弁(2a)(2b)が配設された態様で収容されることとなる。
【0029】
このように、第1保持部(31)を挟み、コイルバネ(3)によって付勢された状態に板状弁(2a)(2b)をセットし、第1保持部(31)の中央に設けたネジ孔が貫通孔(11)と同軸上に位置するように設置する。そして、補助室(1)の上方開放端からコイルバネ(12)を巻回させた状態の第2保持部(32)を差込み、貫通孔(11)を貫通させると共に、第2保持部(32)の一端の雄ネジ部を前記第1保持部(31)の前記ネジ孔(34)に螺合させる。このとき、フランジ部(33)の下面周縁部分によって、コイルバネ(12)が貫通孔(11)の周辺部分へ押さえ付けられる方向に弾性変形させられる。この状態を維持させた状態で、フランジ部(33)の上面に保持筒(14)を配設し、さらに、閉塞蓋(13)で補助室(1)の開放端を閉塞させる。これで、流路遮断装置の設置が完了し、保持筒(14)は、フランジ部(33)の上面と閉塞蓋(13)との間で挟圧された態様で収容されることとなる。
【0030】
一対の板状弁(2a)(2b)は、コイルバネ(3)によって、相互に対向する姿勢に復元される方向に付勢されているが、前記板状弁(2a)(2b)は、それぞれ第1保持部(31)の係止凹部(30)に挟持されていることから、第1保持部(31)が配管継手(10)内の前記保持位置に存在する限り、板状弁(2a)(2b)の姿勢は流路に対して平行な流路開放姿勢に維持されることとなる。言い換えれば、常温においては、配管継手(10)の流路は開放状態に維持され、圧力損失も少ないものとなる。
【0031】
そして、火災の発生等によって、配管継手(10)の外周域が異常過熱状態となった場合、補助室(1)は配管継手(10)の周壁から外方に突出する態様に設けられているから、外部の熱は、迅速に補助室(1)に伝達され、補助室(1)の周壁及び閉塞蓋(13)が過熱される。
【0032】
保持筒(14)は閉塞蓋(13)に接触するように補助室(1)内に収容されていると共に、上記したように低融点金属から成型されているから、設定温度以上に過熱されると溶解してしまう。補助室(1)内における保持筒(14)の外周には所定の空間部(15)が形成されているから、保持筒(14)が溶解したとき前記空間部(15)に流れ出すこととなる。保持筒(14)が溶融すると、コイルバネ(12)の弾性復帰力を制限していた復帰阻止力が喪失されるため、コイルバネ(12)が弾性復帰することとなる。これによって、フランジ部(33)が閉塞蓋(13)側へ押し上げられ、それに伴って、第2保持部(32)及び第1保持部(31)が一体的に上昇する。第1保持部(31)の上昇によって、図3に示すように、第1保持部(31)の係止凹部(30)が板状弁(2a)(2b)の周縁から外れた非保持位置に移動させられることとなる。
【0033】
第1保持部(31)が板状弁(2a)(2b)を保持できない非保持位置に移動させられて、板状弁(2a)(2b)の保持力が喪失されると、板状弁(2a)(2b)は、コイルバネ(3)の付勢力によって、同図に示すように、相互に対向する姿勢に復帰することとなる。
【0034】
尚、コイルバネ(3)の付勢力は、板状弁(2a)(2b)の係止突起(20a)(20b)が形成されている対向面相互が前記環状リブ(16)の端面にそれぞれ密着状態に対接可能な強さに設定されており、前記環状リブ(16)を前記板状弁(2a)(2b)に対する弁シートとして機能させることができ、配管継手(10)内の流路は板状弁(2a)(2b)の上流側及び下流側の両方において二重に遮断されることとなる。尚、前記環状リブ(16)は、第1保持部(31)の両側に位置するように突設させた構成としたから、前記保持筒(14)による保持力が喪失して第1保持部(31)がコイルバネ(12)の復帰力によって押し上げられる際に、前記環状リブ(16)が邪魔になることなく、前記第1保持部(31)は、確実に、板状弁(2a)(2b)を保持できない非保持位置にまで押し上げられることとなる。
【0035】
又、板状弁(2a)(2b)は金属により形成されているから、過熱によって溶融したり変形したりすることなく、配管継手(10)を確実に遮断させた状態に保持することができる。
【0036】
図4に示すものは、第2番目の実施の形態の流路遮断装置の使用状態を示す説明図である。
【0037】
この実施の形態における板状弁(2a)(2b)とコイルバネ(3)との構成、及び、板状弁(2a)(2b)を流路開放姿勢に保持する第1保持部(31)の構成、さらには、配管継手(10)に設ける補助室(1)の構成については、上記した第1番目の実施の形態と同様なものが採用可能であるが、この実施の形態では、第1保持部(31)に対して、第2保持部(32)が貫通孔(11)側から直交するように螺入可能とし、全体として略十字状の保持部材を構成している。又、貫通孔(11)に対向する配管継手(10)の内周壁の所定位置には、第1保持部(31)に直交させた第2保持部(32)の一端を収容可能な環状凸部(17)が形成されており、この環状凸部(17)の底部と、第1保持部(31)との間に介在されるように、コイルバネ(12)を前記第2保持部(32)の一端側に巻回させた構成としている。
【0038】
コイルバネ(12)の弾性復帰力によって、第1保持部(31)は、図4の二点鎖線に示すように、係止凹部(30)で板状弁(2a)(2b)の周縁が保持しきれない非保持位置へ押圧移動させられるが、このコイルバネ(12)の弾性復帰力に抗して、第1保持部(31)を、板状弁(2a)(2b)を保持可能な前記保持位置に位置決めさせるための位置決め手段として、低融点金属製の筒体(21)を補助室(1)内に収容させた構成としている。
【0039】
前記筒体(21)は、内方に所定の空間部(15)が形成されており、この筒体(21)を、第2保持部(32)のフランジ部(33)と、閉塞蓋(13)との間に介在させることによって、第1保持部(31)は、常温においては、板状弁(2a)(2b)を保持可能な所定の保持位置に位置決めされた状態で固定されるようにその高さは設定されているものとする。又、第2保持部(32)の一端及びコイルバネ(12)の一端は、環状凸部(17)内に収容されていることにより、これらが配管継手(10)内において流路方向にずれることはない。さらに、この実施の形態においても、前記第1保持部(31)の両側方に位置するように,一対の環状リブ(16)が形成されているものとする。
【0040】
この実施の形態のものでは、火災の発生等により、補助室(1)が異常過熱された場合、その内周壁に接触状態に収容されている筒体(21)が熱により溶解し、内方の空間部(15)内に流れ出すと、コイルバネ(12)の弾性復帰力が発揮されて、第1保持部(31)が直接的に貫通孔(11)側へ押圧移動させられる。板状弁(2a)(2b)が第1保持部(31)から外れることにより、板状弁(2a)(2b)はコイルバネ(3)の弾性復帰力によって対向姿勢となり、図4の二点鎖線に示すように、環状リブ(16)にそれぞれ当接する態様で、配管継手(10)内の流路を遮断することとなる。
【0041】
尚、上記各実施の形態で採用した保持筒(14)及び筒体(21)は、低融点金属製としたが、熱可塑性樹脂やバイメタルの他、形状記憶合金等も採用可能である。又、コイルバネ(12)を、形状記憶合金から構成しておけば、一層確実に、第1保持部(31)を、板状弁(2a)(2b)を流路開放姿勢に保持可能な保持位置から、保持不可能な非保持位置へ移動させることができる。
【0042】
図5に示すものは、ガスメータ(M)の上流側のガス入口管(40)と、地中の本管から延長接続されている引き込み管(41)との間に介在させる継手部材(4)内に、上記各実施の形態の流路遮断装置を具備させる構成としたものである。このものでは、火災発生等の異常過熱状態において、継手部材(4)から外方へ突設させた補助室(1)内が設定温度以上に過熱されると、補助室(1)内の保持筒(14)による第1保持部(31)の位置決め力が喪失し、コイルバネ(12)の弾性復帰力によって第1保持部(31)が板状弁(2a)(2b)を保持しきれなくなり、板状弁(2a)(2b)はコイルバネ(3)の付勢力によって、継手部材(4)内の流路を遮断する態様となる。このように、火災発生時において、ガスメータ(M)の上流側の流路を遮断することができるから、何らかの原因で不用意にガスメータ(M)が落下した場合でも、引き込み管(41)内のガスは継手部材(4)内で遮断され、ガスが外部に漏れる危険性を防止することができる。
【0043】
尚、上記各実施の形態の流路遮断装置は、コイルバネ(3)の両端に2枚の板状弁(2a)(2b)をそれぞれ設け、これら2枚の板状弁(2a)(2b)によって流路を遮断させる構成としたが、前記板状弁はコイルバネ(3)の一端にのみ1枚だけ設ける構成としても良い。この場合、流路内の所定位置にピン(図示せず)を固定しておき、このピンにコイルバネ(3)の他端を係止させる構成としておけば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1番目の実施の形態の流路遮断装置をガス配管継手に使用した例を示す常温時の断面図。
【図2】本発明の第1番目の実施の形態の流路遮断装置に採用した保持部材の平面図。
【図3】本発明の第1番目の実施の形態の流路遮断装置の異常過熱時の様子を示す断面図。
【図4】本発明の第2番目の実施の形態の流路遮断装置の説明図。
【図5】本発明の第3番目の実施の形態の流路遮断装置の説明図。
【符号の説明】
(1) ・・・・・・・補助室
(10)・・・・・・・主配管(配管継手)
(12)・・・・・・・第2付勢手段
(14)・・・・・・・位置決め手段(保持筒)
(16)・・・・・・・環状リブ
(2a)(2b)・・・・・板状弁
(3) ・・・・・・・第1付勢手段
(31)・・・・・・保持部材
Claims (6)
- 異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置において、
前記ガス流路を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、前記板状弁を流路遮断方向に付勢する第1付勢手段と、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記板状弁を流路方向に対して前記板状弁の弁軸を約90度回転させた流路開放姿勢に保持可能な保持部材とからなり、
前記板状弁の保持状態が解除される非保持位置へ前記保持部材を付勢する第2付勢手段が設けられていると共に、
前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記保持部材を前記板状弁の前記保持状態が維持されるように位置決めする位置決め手段が設けられ、
前記ガス流路を構成している主配管の内周壁のうち、前記第2付勢手段によって前記非保持位置へ付勢された状態の前記保持部材の側方に、前記第1付勢手段によって前記流路遮断方向に付勢された前記板状弁が対接する環状リブが突設され、
前記主配管の周壁に形成された貫通孔の周囲を囲むようにして前記ガス流路に連通し且つ外方気密状態に閉塞された補助室が設けられると共に、前記補助室内に前記位置決め手段が収容され、
前記位置決め手段は設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成され、
前記保持部材は、前記板状弁を保持する第1保持部と、前記第1保持部に対して相対移動阻止状態に直交し且つ一端が前記主配管を貫通して前記補助室内に挿入されている第2保持部とからなり、
前記第2保持部は前記第2付勢手段の付勢力によって前記補助室への挿入方向に付勢されると共に、前記第2保持部の前記一端とそれに対向する前記補助室の閉塞端面との間に前記位置決め手段が介在されていることを特徴とする流路遮断装置。 - 請求項1に記載の流路遮断装置において、前記補助室内における前記位置決め手段の内方又は外方に所定の空間部が形成されている流路遮断装置。
- 請求項1または2に記載の流路遮断装置において、前記補助室は、前記主配管の外周壁から外方に突出するように設けられている流路遮断装置。
- 異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置において、
前記ガス流路を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、前記板状弁を流路遮断方向に付勢する第1付勢手段と、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記板状弁を流路方向に対して前記板状弁の弁軸を約90度回転させた流路開放姿勢に保持可能な保持部材とからなり、
前記板状弁の保持状態が解除される非保持位置へ前記保持部材を付勢する第2付勢手段が設けられていると共に、
前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記保持部材を前記板状弁の前記保持状態が維持されるように位置決めする位置決め手段が設けられ、
前記ガス流路を構成している主配管の内周壁のうち、前記第2付勢手段によって前記非保持位置へ付勢された状態の前記保持部材の側方に、前記第1付勢手段によって前記流路遮断方向に付勢された前記板状弁が対接する環状リブが突設され、
前記主配管の周壁に形成された貫通孔の周囲を囲むようにして前記ガス流路に連通し且つ外方気密状態に閉塞された補助室が設けられると共に、前記補助室内に前記位置決め手段が収容され、
前記位置決め手段は設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成され、
前記第1付勢手段はコイルバネとし、前記板状弁は、前記コイルバネの両端にそれぞれ相互に対向姿勢に配設されると共に、その対向面の中心に前記コイルバネの両端がそれぞれ接続されるものとし、
前記板状弁は、前記コイルバネを伸張させることにより、前記対向面相互が同方向を向く前記流路開放姿勢に設定されると共に、前記姿勢は、前記保持部材によって保持されるように設定されている流路遮断装置。 - 異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置において、
前記ガス流路を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、前記板状弁を流路遮断方向に付勢する第1付勢手段と、前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記板状弁を流路方向に対して前記板状弁の弁軸を約90度回転させた流路開放姿勢に保持可能な保持部材とからなり、
前記板状弁の保持状態が解除される非保持位置へ前記保持部材を付勢する第2付勢手段が設けられていると共に、
前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記保持部材を前記板状弁の前記保持状態が維持されるように位置決めする位置決め手段が設けられ、
前記ガス流路を構成している主配管の内周壁のうち、前記第2付勢手段によって前記非保持位置へ付勢された状態の前記保持部材の側方に、前記第1付勢手段によって前記流路遮断方向に付勢された前記板状弁が対接する環状リブが突設され、
前記主配管の周壁に形成された貫通孔の周囲を囲むようにして前記ガス流路に連通し且つ外方気密状態に閉塞された補助室が設けられると共に、前記補助室内に前記位置決め手段が収容され、
前記位置決め手段は設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成され、
前記第1付勢手段はコイルバネとし、前記コイルバネの一端は前記板状弁の中心に連結されると共に、他端は前記流路内に固定させた係止ピンに連結される構成とし、
前記板状弁は、前記コイルバネを伸張させることにより前記ガス流路を開放させる開放姿勢に設定されると共に、前記保持部材は、前記板状弁を前記開放姿勢に維持した状態で保持できるようにした流路遮断装置。 - 請求項1から5のいずれかに記載の流路遮断装置において、前記位置決め手段は、熱可塑性合成樹脂、バイメタル、形状記憶合金、又は低融点金属から構成されている流路遮断装置。
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